鎌倉版【10月10日(金)号】
豆腐を切る関本さん

北鎌倉関本豆腐店 99年の歴史に幕 こだわりの味惜しむ声

 北鎌倉で1926(大正15)年から99年続く関本豆腐店が10月4日に閉店した。六国見山から湧き出る地下水とこだわりの大豆で作る濃厚な味わいの豆腐は、長らく地域の名品として親しまれてきた。店頭では、多くの常連客から別れを惜しむ声が聞こえた。

 「やっぱりこのお豆腐じゃなきゃ」「最近は他のお店で買っていなかったから、これからどうしようかしら」。最終営業日に、常連客から豆腐を評価する声や閉店を悲しむ声があがる。「本当に申し訳ないですねぇ」と、店主の関本敏子さん(76)は長年作り続けてきた豆腐を手渡す。

 北鎌倉の円覚寺からほど近い関本豆腐店は、敏子さんの父・豊吉さんが創業した。家の裏に井戸を掘り、この地下水が豆腐の味や食感を引き立てる。豊吉さんの後を母・やえさんが継ぎ、敏子さんは20代で3代目となって看板を守り続けた。

 「1日1丁食べる」という豆腐好きの敏子さん。なめらかな絹豆腐は満足できたが、当初は木綿豆腐に納得ができなかった。勉強のため、鎌倉で先に創業していた豆腐店に通い、職人の仕事を見て覚えた。

 温度管理や大豆の混ぜ方など、自分との違いを一つ一つ検証し試作を繰り返した結果、「俺の豆腐に一番近い」と職人から太鼓判を受け、「代わりに豆腐を納めろ」と、仕事先も紹介してもらったという。

 油分の多い大豆にこだわり、濃厚ながら料理の味も奥まで染み込む木綿豆腐は敏子さんにとって最も思い入れが深い。「自分が美味しい豆腐を食べたかっただけ」と、照れ隠しで手を振る。

 3年前、手首を痛めて重いものを持つことができなくなった。コロナ禍もあり廃業を考えたが、惜別のつもりで豆腐を振る舞った同級生から「これだけのものを作ってやめちゃうのはもったいない」と言われ、営業日を減らして継続してきた。

 しかし、今年5月に膝を痛め立ち続けることが困難に。昨年から2倍以上になった大豆の高騰などもあり、赤字の幅が大きくなった。一時は息子が家業を継ぐことも考えて手伝ってくれたが、「渡せる給料は会社員時代の3分の1」だった。

 苦渋の決断を下し、顧客への感謝の言葉とともに、「女手1人で55年、体がついていけなくなりました」と書いた告知を扉に貼った。

 店の看板を下ろしても、関本さんの味を求める声は根強い。「じっくり味の染みた煮物を肴に居酒屋でも開けたら。自分が『のんべぇ』だからかな」。地域に親しまれた味との再会が、今から待ち遠しい。
オリジナルの手ぬぐいと同商店街会員。右端が堀理事長

由比ガ浜商店街振興組合 地域振興続け90周年 今年はカラー舗装を予定

 鎌倉由比ガ浜商店街振興組合が今年で創立90周年を迎え、記念セレモニーと祝賀コンサート「夜会」を9月25日、ハリス記念鎌倉幼稚園ホールで開催した。来賓による祝辞のあと、ジュン葉山さんによるライブショーが催され、祝賀ムードを盛り上げた。

 同商店街は名称や組織を変えながらこれまで継続。1994年からは振興組合として、街路灯やポケットパークなど、地域の環境整備に尽力してきた。

 13代目理事長で帝国堂時計店店主の堀淳一さんは「今後も地域振興のためお役にたちたい」と力を込め、「90周年の今年は、下馬交差点の湘南信用金庫脇のポケットパークのカラー舗装を予定しています」と、まちを訪れる人が心地よい空間づくりに意欲を示した。

 この日、葉山さん作詞・作曲の新曲「君に恋して由比ガ浜」が初披露され、ポップな中に地元愛の詰まった一曲が聴衆を魅了。また、同商店街会員デザインによる90周年記念オリジナル手ぬぐいも参加者に配られ、盛況のうちに幕を閉じた。

湘南発・地域マーケットイベント「MARKESTA」の発起人 高橋 創平さん 鎌倉市在住 41歳

多様な文化交流の場に

 ○…マーケットという言葉が今ほど巷に溢れていなかった黎明期から、常にシーンの最前線で異彩を放ってきたのが、今年10周年の節目を迎える湘南発の地域マーケットイベント「MARKESTA」だ。その発起人として、熱狂を創始し10年にわたり牽引してきた。10月12日(日)と13日(月)には、藤沢駅北口のサンパール広場にこだわりの店舗や地元クリエイターなど、2日間で延べ100店舗が軒を連ねる。「まずは関係者のみなさんに感謝。これからも多様なコミュニティから新しいモノが生まれるイベントにしていきたい」

 ○…20代の頃、さまざまな国を暮らすように旅した。「どこの町でもマーケットが開かれていて、地域ごとに独特のカラーがあった」。自ら手掛けたいという気持ちが膨らみ、帰国後、勤めていた藤沢市内のカフェの一角で小規模スタートした。話題は広がり、場所を変えながら大小合わせて23回実施。遠くは札幌で開いたこともあった。「しっかりと世界観をつくり、全国規模で続けたい」と意気込む。

 ○…鎌倉で生まれ育つ。高校2年の時に祖父からフィルムカメラを譲り受け、花や風景を写すように。現像すると、想像と違う仕上がりになるといい、「それが面白かった」という。海外で撮りためた作品で個展を開くようになり、さまざまな仕事が舞い込むように。31歳でフォトグラファーとして独立した。風景が得意だったが、父が逝去した際に、遺影に使用できる写真が見つからなかったことに後悔した。「カメラを仕事にしているのに、なぜ家族をもっと撮ってあげられなかったのか」。技術を磨き、今では人物や家族写真の撮影が得意になった。「写真を残すことが使命。依頼者と喜びを共有していければ」

まんが行灯 今年も 荏柄天神社「絵筆塚祭」

 二階堂の荏柄天神社で恒例の「絵筆塚祭」が開催され、10月4日と5日には著名漫画家による「まんが行灯(あんどん)」が点灯された=写真。

 学問の神様として信仰される菅原道真の神前で筆の焚き上げ供養をするとともに、筆技の上達を祈る同祭。漫画家たちが独自の画風で描いた行灯だけでなく、古筆を使って漫画家たちが描いた「寄せ書き漫画」を筆と一緒に焚き上げる祭典・筆供養が行われ、これらを楽しみに訪れる漫画愛好家も多い。

 今年のまんが行灯は「コメ」「かっぱ」「合格」をテーマに65作品が寄せられた。日暮れになると、ろうそくが灯され、ほのかな光の揺らめきで作品を彩った。

 なお、同天神社では10月11日(土)から13日(月)までまんが行灯の室内展示も行われる。午前8時30分から午後4時まで。入場無料。詳しくは同天神社(二階堂74)【電話】0467・25・1772へ。

スポーツ4施設無料開放 10月13日 体験会やグルメも

 スポーツの日に合わせ、鎌倉武道館、大船体育館、鎌倉体育館、見田記念体育館の4施設が、10月13日(月・祝)に無料開放される。

 ▽鎌倉武道館=剣道や空手など9種の武道体験会、体調改善気功体操、キッチンカー。(問)【電話】0467・46・8010

 ▽大船体育館=ソフトエアロやストレッチなどの教室、バスケや卓球など個人向けに会場を開放、ラウンドフィットネスなど。(問)【電話】0467・47・1862

 ▽鎌倉体育館=シセイカルテ&インボディ測定会。(問)【電話】0467・24・3553

 ▽見田記念体育館=武道やダンスなど個人向けに会場を開放(球技不可)。(問)【電話】0467・24・1415

梅澤保雄氏

鎌倉市長選挙 梅澤氏が出馬表明

 任期満了に伴う鎌倉市長選挙(10月19日告示、26日投開票)を巡り、新人で造園会社会長の梅澤保雄氏(73)が立候補を表明した。10月7日、タウンニュース社の取材に答えた梅澤氏は、緑地保全や防災目的の緑基金の創設、公的不動産の活用、芸術や文化事業の強化、子育て・福祉支援など「次世代のための鎌倉を創りたい」と訴えた。

小川さん(左)と、とまそんさん

稲村ヶ崎の絶景背に踊る 10月18日に「なみぼん」開催

 「絶景と踊ろう。」をスローガンに、市民が一丸となって企画・運営する、「第4回なみおと盆踊り祭(なみぼん)」が10月18日(土)、稲村ヶ崎公園(正式名称:鎌倉海浜公園 稲村ガ崎地区)を会場に開催される。

 鎌倉在住の音楽ユニット「小川コータ&とまそん」の2人が発起人になり始まった同祭りは、公園から望む夕日や江の島、富士山などを背景に、ミュージシャンの生演奏で楽しむ盆踊りイベント。ビーチクリーン活動や、飲食提供時のリユース容器使用など環境にも配慮した催しで、今年から環境省も後援に名を連ねている。

 時間は午前11時から午後7時。当日は、盆踊りの他、子どもたちのダンスステージ、駄菓子屋ROCKや小川コータ&とまそんのライブなどを予定。フードやドリンク、マルシェや縁日などが会場を盛り上げる。

 なお、入場は無料だが、祭りの継続資金として「なみぼんうちわ(くじ付き)」の応援購入を受け付ける。

 発起人の2人は、「景色やそこに集う人など、各々が絶景を感じてほしい。生演奏の盆踊りは他にないイベントだと思います。ぜひ一度ご来場を」と話している。

 詳細は公式ホームページで確認を。

芸術館で奇術大会 11月2日午後1時から

 鎌倉マジシャンズクラブの第57回奇術大会が11月2日(日)、鎌倉芸術館小ホールで開催される。午後0時30分開場、1時開演。入場無料(自由席)。

 同クラブ会員がマジックを披露するほか、プロマジシャン・藤山大樹氏による日本古典奇術(手妻・和妻)も行われる。同クラブでは「テレビではなく、生のステージを見ていただけるチャンスです。ぜひお越しください」と呼びかける。

 イベントについての問い合わせは同会山田征礼会長【電話】0467・31・1829へ。

介護施設でコンサート

 共生社会実現を目指して音楽でつながるイベント「百人コンサートby.かまくらハーモニー」が10月23日(木)、介護付有料老人ホーム・花珠の家おおふな(城廻23の1)で開催される。

 午後1時30分から。参加費無料。地域で助け合う共生社会を作るため、音楽を通して絆を深める。国際的な合唱コンクールで活躍する清泉女学院の中学生を招く。

(問)同ホーム【電話】0467・84・8840

ビールでかんぱ〜い

 鎌倉商工会議所青年部が主催したビールの祭典「オクトーバーフェスト鎌倉2025」が10月4日・5日に鎌倉市役所駐車場で開催された=写真。

 当日は、会場のオープン前からビールを求める長蛇の列が。来場者はさまざまなブルワリーをめぐり、味わいを楽しんだ。子どもたちのダンスや音楽ステージなども用意され、会場は大盛り上がり。主催者は「完売店も続出でした。すてきな思い出を作っていただけてうれしい」とコメントした。

巨大カボチャが並ぶ芝生広場

ずっしり ごろり フラセンに巨大カボチャ

 大船フラワーセンターで今年もハロウィンにちなんだ巨大カボチャが芝生広場に登場し、来場者の目を楽しませている。

 カボチャは茨城県常陸大宮市で作られたアトランティックジャイアントで、最大67kg。100個以上が並べられ、転がしたり写真を撮ったりすることができる。

 同センターではこのほかにも、ハロウィンにちなんだフォトスポットや、合言葉でのお菓子プレゼント(中学生以下)、クイズラリー、こわ〜い植物展なども開催されている。カボチャの展示や各イベントは10月31日(金)まで。

 10月25日(土)と26日(日)にはライトアップも行われる。25日は午後8時30分まで、26日は8時まで(最終入園は閉園30分前)。入園料は20歳以上400円。中学生以下無料。シニア割・学割あり。10月は14日(火)、27日(月)休園。詳しくは同センター【電話】0467・46・2188へ。

<PR>
【LINE読者限定プレゼント】
【LINE読者限定プレゼント】
毎月15名様に抽選で『Amazonギフト券1,000円分』をプレゼント!ギフト券以外のプレゼントもあるかも!是非チェックしてみてください。 (続きを読む)

連載 vol.5鎌倉の未来 紡ぐ視点 市民活動は地域の元気 鎌倉市市民活動センター 渥美 貴司 センター長

 鎌倉市のこれからのまちづくりについて、経済、観光、医療、スポーツ、学生、地域活動など、さまざまな分野の団体にインタビューする連載企画。第5回は、鎌倉市市民活動センターの渥美貴司センター長=写真=に「地域活動」を軸に話を聞いた。

 環境や福祉、子育てなど、多種多様な市民活動団体がある鎌倉市。現在、340を超える団体が所属する同センターでは、団体間の交流や活動のサポートなど、縁の下の力持ちとして日々尽力する。

 鎌倉市の人口は約17万人。同規模の他自治体に比べて「市民活動団体の数は多いですし、皆さんとても活発です」と渥美センター長。近年注目を集める人工知能(AI)の見識を深めてもらおうと同センターで企画したチャットGPTのセミナーでは、定員に対して2倍近い申し込みがあり急遽2部制にしたという。「まちづくりに市民が積極的に参加してくれている意識の高さですね」と語る。

ワンストップの窓口を

 市民活動では、行政と連携することもあるが、よりスムーズに支援するために、渥美センター長は「横断的な組織体制」の必要性を訴える。「例えば子育て支援の団体さんが『この内容は教育委員会』『こっちは市民保健課』と複数の窓口を訪ね歩くことがある。市民活動の内容は各課にまたがるケースが多い。一本化された窓口があれば」と理想を描く。

 また、同センターでは市と連携し、設立間もないスタートアップの団体や、地域課題を解決する団体、市との協働事業を行う団体などに「つながる鎌倉エール事業」として補助金や負担金を交付している。市民活動の多くはボランティアであり、「協力してくれた人にお茶やお弁当だけでも出したいのに、予算がなくてできない」という悩みの声もある。「補助金の総額を増やしてもらえたら、採択できる団体の範囲がもっと広がる」

 市民活動は、地域の元気を示す指標でもある。高齢化や後継者不足などに悩む団体も多いが、「先日、若い人が『環境保全の団体を教えてほしい』と訪ねてきました。今や市民活動は高齢者だけでなく、幅広い世代の人に関心がある。もっと可能性を開拓できたら」と言葉に力をこめる。

ふるいでマイクロプラスチックを探す参加者

マイクロプラ減らすには 風致保存会が体験会

 鎌倉風致保存会が9月20日、材木座で海岸清掃・マイクロプラスチック採取体験を開催した。

 環境省などが定める「海ごみゼロウィーク」にあわせて行われたもので、この日は親子連れなど約50人が参加した。

 海岸ではペットボトルキャップやプラスチック包装容器の破片などが多く見つかり、参加者らはトングで丁寧に拾っていった。

 また、砂を集めて金属製のふるいを使い、網を徐々に細かくしていくことで数ミリのプラスチックごみを採取。虫眼鏡で観察した子どもたちは驚きの声をあげていた。同会では「自分にできることを皆で考えてもらえたら、きっとマイクロプラスチックごみが減るはず」と話す。

由比ガ浜マンション計画 市民集い意見交換 土地活用案など提案

 由比ガ浜4丁目のテニスクラブ跡地で進むマンション計画(158戸)に対し、異議を唱える地元住民らで構成される由比ガ浜西自治会・THINK KAMAKURAが9月28日、シンポジウム「集う、憩う、誇れる由比ガ浜から未来の鎌倉を考える」を実施し、約100人が参加した。

 当日は、主催者から問題点などが説明されたのち、3種類の土地活用案の提案などが行われた。参加者からは「業者の対応を再考してもらいたい」「市民の意見を吸い上げてほしい」といった感想があがった。

<PR>
神奈川の企業Web集客に タウンニュースのネット版「タイアップ広告」でPR強化
神奈川の企業Web集客に タウンニュースのネット版「タイアップ広告」でPR強化
1人1台のスマホ時代。企業広告・商品サービスPRにおいて「デジタル化」は避けては通れないテーマといわれている。「日本の広告費」(電通調べ)によると、2024年の... (続きを読む)

湘南モノレール 「交通ルールを学ぼう」 深沢幼稚園で交通安全教室

 湘南モノレールが9月24日に深沢幼稚園を訪れ、年長園児約65人に交通ルールやマナーについて学んでもらう「交通安全教室」を実施した。

 当日は、駅係員や運転士、車掌の仕事について説明したほか、動画視聴のあとにクイズを実施。問題を一生懸命聞いていた子どもたちは、正解に元気よく手をあげて答えていた。

 同社担当者は、「楽しく学んでいただけたようです。今後も交通安全教室を通して、地域とのコミュニケーションも深めていきたい」と話した。

 

 

以前のライトアップの様子

亡くなった赤ちゃん家族想い点灯 大船観音寺で10月9日から

 国際的な啓発運動「ベイビー・ロス・アウェアネス・ウィーク〜亡くなった赤ちゃんとご家族に想いを寄せる1週間〜」の10月9日(木)から15日(水)(12日除く)まで、大船観音寺がキャンペーンシンボルのピンク&ブルーリボンの色にライトアップされる。点灯は、雨天を除く日没から午後8時まで。

 ピンク&ブルーリボン運動に合わせてライトアップを企画したのは、大船が拠点の団体「まなざしカフェ」。流産や死産、新生児死を経験した人たちの受け皿として活動する同団体に、大船観音寺が協力した。