好循環の輪 さらに大きく
新年の幕開けにあたり、本紙では昨秋4期目の当選を果たした福田紀彦川崎市長にインタビューを行った。選挙戦で聞いた市民の声や、新たなまちづくりの構想、他政令市と協力し実現を目指す「特別市」の法制化に向けた取り組みになどついて聞いた。(聞き手/川崎支社長・原田一樹)
◇ ◇ ◇
――昨年秋の選挙戦で多くの市民の声を聞いたかと思います。どのように受け止められましたでしょうか。
「改めて身が引き締まる思いです。選挙期間中、市民の皆さんが特に高い関心を示してくださったのは、高いレベルの技術者を養成する5年一貫の高等教育機関『高等専門学校(高専)』を核とした人材育成、人づくりの分野でした。
看護短期大学を看護大学・大学院にして、誰もが住み慣れた地域や自らが望む場で安心して暮らし続けることができる地域の実現を目指す地域包括ケアシステムなどを支える人づくりを進める一方、高専はこれからの新しい産業を支える人材を地域で育成する機関となります。市民の皆さんの『人づくり』に対する意識の高さに驚きました。
また、街頭演説などで、特に比較的若めの女性からの支持が非常に高かったのが印象的でした。これは、これまで進めてきた子育て支援策をはじめとする諸々の取り組みが、一定の評価を得られからではないかと受け止めています」
――4期目の初年度で、特に重点を置いて取り組みたいことは何でしょうか。
「選挙では7つの好循環として、人づくり、健康づくり、住まい、資源、エネルギー、産業、まちづくりを掲げました。この好循環を今年はさらに大きな輪へと広げていきたい。これまでの取り組んできた脱炭素や包括ケアシステムなどの政策については、より生活実感に結び付くよう取り組みを進めたいと思っています」
「川崎市を、もっと前へ」目指す都市像、課題に言及
――川崎版「地域包括ケア」が国に評価されていると聞きました。
「川崎市が国に先駆けて取り組んできた『全世代型』が評価されています。高齢者福祉、子育て支援、生活困窮相談などを一元化し、年齢に関わらず誰もが地域で支え合える仕組みです。多くの団体が参加し、多様な取り組みが生まれており、専門家からは、『これだけ力を入れている自治体は他にない』と言われ、国会議員の間でも川崎市の取り組みは話題になっていると聞いています」
――今後のアプローチとしては。
「地域によって高齢化率には相当なばらつきがあります。例えば、武蔵小杉周辺は若い世代が多い一方、麻生区は平均年齢が高くなっています。また、地区によっては高齢化率が45%にもなる地域もあります。
このため、市全体としてではなく、地区割りなどでエリアをしっかり限定し、自分たちの地域で安心して暮らし続けられるかを評価する仕組みが必要です。住民が『顔の見える関係』ができているかを確認し、『ここは弱い』と認識した上で、対策・改善をしていくことが不可欠です」
――川崎市総合計画の第4期実施計画がスタートする年として、川崎市の課題と目指す都市像についてお聞かせください。
「現在、市内各所で50年、60年に一度の再開発が大きく動いています。
京急川崎駅、武蔵小杉駅北口、登戸駅・向ヶ丘遊園駅、鷺沼駅、新百合ヶ丘駅北口など、ハード面でのまちづくりもしっかり進める必要があります。
同時に、産業の大転換もあります。JFEスチールの高炉等休止で川崎臨海部に生まれる広大な土地の再利用は、100年に1度の大転換ととらえ進めていきます。
また、スーパーコンピューター以上の高速計算ができる量子コンピューターが新川崎のIBM社に引き続き、富士通が今年、中原に量子コンピューターを設置します。これにより、川崎は世界で初めて一つの都市で異なるメーカーの量子コンピューターが複数台存在する都市となります。
臨海部のマテリアル(素材)開発や創薬と量子コンピューターが連携し、新しい産業が川崎を中心として栄えていく。新川崎・武蔵小杉などのエリア全体が、そんな基地になるべく踏み出します。暮らしの面や産業面でも重要で、かつ良い年になると思います」
――県の区域外となり、迅速、効率的な自治を目指す「特別市」について、また、実現に向けた展望などお聞かせください。
「特別市の実現は一言で言えば『自治体の再構築』となります。現在の都道府県と市町村という二層制は約135年前から続く制度で、人口が増えている時の枠組みです。人口減少が進む現在、このままでは当たり前の行政サービスですら日本全体で動かせなくなるという危機に直面しています。
決して政令市だけがいいとこどりをする話ではなく、一極集中ではなく、多極分散型で様々な都市の成長を促す国家プロジェクトだととらえています」
――法制化に向けて国への働きかけもされていますが。
「昨年末は主要政党の代表や政策責任者や、国会議員の皆さんのご理解をいただくよう注力しました。今年は『指定都市を応援する国会議員の会』によって、高市早苗総理にも要請することを調整いただいていると伺っています。また、総理の諮問機関である地方制度調査会にも諮問していただくことが重要です。今年は、法制化に向けて着実に進む1年になると考えています。
また、法制化という形で動き出せば、必然的に市民の皆さんの理解も高まってくると思います」
――最後に今年の抱負を示す一言を漢字で。またその思いをお聞かせください。【動画あり】
「今年のキーワードは『循環』という言葉にさせていただきました。川崎市はこの10年でも、非常に大きな成長を遂げてきています。こうして回り始めている好循環というものをさらに大きな輪、循環にしていきたいと思います。昨年の選挙の際に訴えました7つの循環というものがあります。例えば、エネルギーや資源、それから人づくり、あるいは住宅の循環という様々な取り組みなど、川崎でいい循環を回していきたいと思っています。こうした政策を進めていくには、市民の皆さんのご理解とご協力が欠かせません。私も現場に出て市民の皆さんとしっかり対話しながら政策を、そして川崎市をもっと前に進めていきたいと思っています。今年もどうぞよろしくお願いいたします」
◇ ◇ ◇
――昨年秋の選挙戦で多くの市民の声を聞いたかと思います。どのように受け止められましたでしょうか。
「改めて身が引き締まる思いです。選挙期間中、市民の皆さんが特に高い関心を示してくださったのは、高いレベルの技術者を養成する5年一貫の高等教育機関『高等専門学校(高専)』を核とした人材育成、人づくりの分野でした。
看護短期大学を看護大学・大学院にして、誰もが住み慣れた地域や自らが望む場で安心して暮らし続けることができる地域の実現を目指す地域包括ケアシステムなどを支える人づくりを進める一方、高専はこれからの新しい産業を支える人材を地域で育成する機関となります。市民の皆さんの『人づくり』に対する意識の高さに驚きました。
また、街頭演説などで、特に比較的若めの女性からの支持が非常に高かったのが印象的でした。これは、これまで進めてきた子育て支援策をはじめとする諸々の取り組みが、一定の評価を得られからではないかと受け止めています」
――4期目の初年度で、特に重点を置いて取り組みたいことは何でしょうか。
「選挙では7つの好循環として、人づくり、健康づくり、住まい、資源、エネルギー、産業、まちづくりを掲げました。この好循環を今年はさらに大きな輪へと広げていきたい。これまでの取り組んできた脱炭素や包括ケアシステムなどの政策については、より生活実感に結び付くよう取り組みを進めたいと思っています」
「川崎市を、もっと前へ」目指す都市像、課題に言及
――川崎版「地域包括ケア」が国に評価されていると聞きました。
「川崎市が国に先駆けて取り組んできた『全世代型』が評価されています。高齢者福祉、子育て支援、生活困窮相談などを一元化し、年齢に関わらず誰もが地域で支え合える仕組みです。多くの団体が参加し、多様な取り組みが生まれており、専門家からは、『これだけ力を入れている自治体は他にない』と言われ、国会議員の間でも川崎市の取り組みは話題になっていると聞いています」
――今後のアプローチとしては。
「地域によって高齢化率には相当なばらつきがあります。例えば、武蔵小杉周辺は若い世代が多い一方、麻生区は平均年齢が高くなっています。また、地区によっては高齢化率が45%にもなる地域もあります。
このため、市全体としてではなく、地区割りなどでエリアをしっかり限定し、自分たちの地域で安心して暮らし続けられるかを評価する仕組みが必要です。住民が『顔の見える関係』ができているかを確認し、『ここは弱い』と認識した上で、対策・改善をしていくことが不可欠です」
――川崎市総合計画の第4期実施計画がスタートする年として、川崎市の課題と目指す都市像についてお聞かせください。
「現在、市内各所で50年、60年に一度の再開発が大きく動いています。
京急川崎駅、武蔵小杉駅北口、登戸駅・向ヶ丘遊園駅、鷺沼駅、新百合ヶ丘駅北口など、ハード面でのまちづくりもしっかり進める必要があります。
同時に、産業の大転換もあります。JFEスチールの高炉等休止で川崎臨海部に生まれる広大な土地の再利用は、100年に1度の大転換ととらえ進めていきます。
また、スーパーコンピューター以上の高速計算ができる量子コンピューターが新川崎のIBM社に引き続き、富士通が今年、中原に量子コンピューターを設置します。これにより、川崎は世界で初めて一つの都市で異なるメーカーの量子コンピューターが複数台存在する都市となります。
臨海部のマテリアル(素材)開発や創薬と量子コンピューターが連携し、新しい産業が川崎を中心として栄えていく。新川崎・武蔵小杉などのエリア全体が、そんな基地になるべく踏み出します。暮らしの面や産業面でも重要で、かつ良い年になると思います」
――県の区域外となり、迅速、効率的な自治を目指す「特別市」について、また、実現に向けた展望などお聞かせください。
「特別市の実現は一言で言えば『自治体の再構築』となります。現在の都道府県と市町村という二層制は約135年前から続く制度で、人口が増えている時の枠組みです。人口減少が進む現在、このままでは当たり前の行政サービスですら日本全体で動かせなくなるという危機に直面しています。
決して政令市だけがいいとこどりをする話ではなく、一極集中ではなく、多極分散型で様々な都市の成長を促す国家プロジェクトだととらえています」
――法制化に向けて国への働きかけもされていますが。
「昨年末は主要政党の代表や政策責任者や、国会議員の皆さんのご理解をいただくよう注力しました。今年は『指定都市を応援する国会議員の会』によって、高市早苗総理にも要請することを調整いただいていると伺っています。また、総理の諮問機関である地方制度調査会にも諮問していただくことが重要です。今年は、法制化に向けて着実に進む1年になると考えています。
また、法制化という形で動き出せば、必然的に市民の皆さんの理解も高まってくると思います」
――最後に今年の抱負を示す一言を漢字で。またその思いをお聞かせください。【動画あり】
「今年のキーワードは『循環』という言葉にさせていただきました。川崎市はこの10年でも、非常に大きな成長を遂げてきています。こうして回り始めている好循環というものをさらに大きな輪、循環にしていきたいと思います。昨年の選挙の際に訴えました7つの循環というものがあります。例えば、エネルギーや資源、それから人づくり、あるいは住宅の循環という様々な取り組みなど、川崎でいい循環を回していきたいと思っています。こうした政策を進めていくには、市民の皆さんのご理解とご協力が欠かせません。私も現場に出て市民の皆さんとしっかり対話しながら政策を、そして川崎市をもっと前に進めていきたいと思っています。今年もどうぞよろしくお願いいたします」