鎌倉版【9月13日(金)号】
自治会から感謝状を受け取る高校生たち(中央)、Tシャツは夏祭りのスタッフ用=7日

七里ガ浜 高校と自治会が結束 地域祭り参加、花火でお返し

 七里ガ浜高校と、地元自治会の連携が進んでいる。8月に開催された七里ガ浜自治会主催の地域の夏祭りに、高校生が運営スタッフ、ステージ出演と約100人が参加。一方、9月8日の高校文化祭の花火打ち上げには自治会が一部費用を負担し、警備員も派遣するなど友好関係が深まる。

 友好が深まるきっかけとなったのは2年前の夏。コロナ禍で中止していた七里ガ浜自治会の夏祭りが復活に向けて動く中で、自治会から七里ガ浜高校へ声を掛けた。祭りに参加しませんか?

 誘いを受けた同校の長瀬淳教諭(63)が、自身の受け持つ生徒会やボランティア部の生徒たちに話をすると前向きな回答が返って来た。そして、2022年8月、3年ぶりに再開した地域の夏祭りに運営スタッフとして高校生10人ほどが参加。23年には20人、8月17・18日に行われた今年は運営だけで40人以上が協力。縁日コーナーの手伝い、自転車整理、ごみ収集とイベントを支えた。

運営、ステージ高校生が100人

 さらにステージ参加する部活が増え、今夏は吹奏楽に軽音楽、ダンス、チアダンス部が出演し会場を盛り上げた。運営と合わせると、約100人が祭りに参加していた。

 運営スタッフとして初参加の生徒会長・児玉慧さん(2年)は、「小さい子どもからお年寄りまで幅広い年代と触れ合えたのが楽しかった」と笑みがこぼれる。高校生の協力について自治会の小原達美会長(69)は「高齢化が進む中で、とんでもない戦力。イベント活性だけでなく、地域活性につなげていきたい」。

 高校生が加わって3年目の夏祭りを終え、自治会メンバーは9月7日に高校を訪れ感謝状を手渡した。また、8日の高校文化祭でグラウンドから打ち上げられる花火に、七里ガ浜自治会ら4自治会が今年初めて出資。これまで40発だった打上発数も75発に増え、七里ガ浜の夜空を彩った。

 茅ヶ崎から学校へ通うボランティア部田部眞守さん(2年)は、連携をこう捉える。「住民と交流することで、学校がある地域を理解できる」。小原自治会長は「地域のファンが増え、住みたいと思ってもらえれば街が続いていく」と語った。

神奈川ブロック大会で挨拶する森山理事長=7日

鎌倉JCが60周年 累計400人超が活躍

 地域の発展や会員間での交流促進を目的に、40歳以下の若手経営者ら35人で構成される公益社団法人鎌倉青年会議所(鎌倉JC)。今年で設立60周年を迎えた鎌倉JCには、累計で約400人が在籍し、社会奉仕活動やイベントの企画を通して、地域活性の一翼を担ってきた。

 自由な社会と経済発展を実現し、新しい社会をリードする人材育成を目指している青年会議所。日本各地の拠点で20〜40歳のメンバーが在籍し、社会貢献活動や地域の活性化に奔走している。

 鎌倉JCが発足したのは1964年。56回の開催を数える慈善茶会や鎌倉こども史跡パトロール隊の発隊(74年)、七里ヶ浜フェスタ(89年)、鎌倉未来会議(92年)、鶴岡八幡宮での鎌倉夏祭(97年)、鎌倉てらこや事業の開始(2003年)、鎌倉夜会(14年)など、若い力で地元を盛り上げてきた。

 60周年の節目に鎌倉JCが主管する一大イベントとして臨んだのが、9月7日に鎌倉芸術館で行われたJC神奈川ブロック大会。県内21のJCが年に1回集うイベントで、フォーラムや催し物の企画を鎌倉JCが主体となって進めてきた。森山桂多理事長(38)は、「達成感にあふれている。今回得た経験値を5年後、10年後につなげていきたい」と話した。

 若手世代が活躍するJCは、社会貢献だけでなく、挑戦や出会いを通してメンバーの自己成長の場にもなっている。森山理事長は、「入会してみると楽しくて勉強になることばかり。これからさらに地域との連携を深めることで、JCのことを知ってもらいたい」と意気込む。

大船夜市、初共催

 芸術館通りで9月7日に開催された大船夜市=写真。地元飲食店約40店や物産店などが軒を連ね、特設ステージではダンスや音楽ライブも披露され、会場一体が来場者で埋めつくされた。

 今年の大船夜市では、鎌倉JCが共催として参加し、実行委員会と準備を進めてきた。大船在住の親子は、「いつも通る道がこんなに活気づくとは。地元グルメも堪能できた」と目を細めた。

鎌倉市のフェアトレードタウン認定を目指す「鎌倉エシカルラボ」共同代表 稲葉 哲治さん 東京都在住 45歳

個々の価値観で創る未来

 ○…生産者の労働環境などに配慮した公正な取引「フェアトレード」。これをまちぐるみで推進するフェアトレードタウンに鎌倉も認定されることを目指し、昨年発足した市民団体「鎌倉エシカルラボ」の共同代表を務める。8月には、企業と開発した「鎌倉焙煎珈琲 フェアトレードかまくらブレンド」を発売。「そろそろ店頭に並び始める頃」と期待が高まる。

 ○…新宿で暮らし40年超。開成中高を経て、東京大学へ進学するも中退し、引きこもりを経験。社会復帰の一歩にと始めたコンビニでのアルバイトで、副店長として後輩の人材育成に力を入れたところ、売上がアップ。身をもって知った「人事や研修の大切さ」を糧に人材コンサルタントとして再出発。引きこもりやニート、シングルマザーら若年無業者の就職支援にも取り組んできた。働き方のフェアトレードも目指すものの1つだ。

 ○…現在は人事の仕事と並行して、岐れ道近くのエシカル・SDGs 商品の店「えしかる屋」のプロデュースも行う。「簡単に言うとエシカルは、より良い未来をつくるもの」。脱プラ商品とプラ包装のもの、革製品とヴィーガン商品など、店内には対立する価値観の商品もあるが、来店者には心に刺さる「トキメキ」を見つけ、「自分の中の価値観に気付いてもらえたら。エシカルは嫌々やるものではないので」とほほ笑む。

 ○…店オープンから約4年。往復3時間半かけて鎌倉に通う。移動時間は苦ではないが、最近引っ越しを考え始めた。理由は、鎌倉の人や地域とのつながりが深まってきたからだ。「子どもからおばあちゃんまで店の常連さんも増えてきた。ラボの活動でも人の輪が広がった。親しい人、頼れる人がいる町に身を置くと楽しいはず」

参加者で海藻を集める(写真は昨年)

鎌倉海藻ポーク×神奈川県 共生社会体感イベント 10月 由比ヶ浜海岸

 共生社会を体感してもうことを目的に、鎌倉漁師とインクルージョン協議会、神奈川県の共催で10月18日(金)、「インクルーシブビーチクリーンwith鎌倉海藻ポーク」が由比ヶ浜海岸で開催される。県が9月6日に発表した。

 県の「ともに生きる社会かながわ憲章」の取り組みの一環として、今回で2回目。当日は水産・畜産・福祉連携によるブランド豚「鎌倉海藻ポーク」の餌となる海藻を集め、海岸をきれいにする。初開催の昨年は、日頃から活動する障害者、高齢者、職員、漁業関係者など多様な人々が100人以上参加した。

 午前10時30分〜11時30分(集合10時10分)。集合場所は海浜公園前交差点の海側。参加無料。事前申し込み不要。濡れてもよい服装や帽子で、軍手、飲料水持参を。ごみ袋は配布。雨天などで中止の場合は当日午前8時までに県ホームページに掲載、21日(月)へ延期。(問)県共生推進本部室【電話】045・210・4961

16日に行われる流鏑馬神事(鶴岡八幡宮提供)

鶴岡八幡宮で例大祭 14〜16日 流鏑馬神事も

 鶴岡八幡宮で9月14日(土)〜16日(月・休)、恒例行事の「例大祭」が開催される。

 歴史書『吾妻鏡』によると、同宮の例大祭が始まったのは1187年。それ以来、絶えることなく800年以上続く行事で、捕獲した生き物の殺生を戒める放生会や、疾走する馬上から矢を放って的を射る流鏑馬などを執り行っている。

 14日午後6時からは、翌日から始まる諸行事の無事を祈願する「宵宮祭」を本殿で実施する。15日午前10時には、メイン行事の「例大祭」を本殿で開催。神職や巫女らが心と歩調を合わせて参進し、皇室の弥栄と国家の繁栄、氏子崇敬者の安泰を祈念する。午後1時の「神幸祭」では、3基の神輿を担ぎながら若宮大路の二ノ鳥居前までを巡行する。

 16日には、流鏑馬神事(午後1時)と鈴虫放生祭(午後5時)が開催される。また例大祭の期間中は、境内で鎌倉囃子や太鼓、合唱などの演奏も実施。

 問い合わせは鶴岡八幡宮【電話】0467・22・0315。

竹を活用した担架で小学生を搬送=7日・山崎小体育館

GO防災 山崎小学区は体験型訓練

応急担架に地元の竹

 元日の能登半島地震や台風、集中豪雨など、日本各地で多発する自然災害。いざという時に備え、鎌倉市内では自治会や町内会を中心に、防災訓練が実施されている。9月7日には山崎小学校で、学区内の10自治町内会が合同で防災訓練を開催した。

 山崎小学校ブロックの防災訓練は、学区内を管轄とする山崎、台、市場、末広町、富士見町、山崎西、戸ヶ崎、戸ヶ崎あけぼの、レーベンスガルテン山崎、サウスアリーナ鎌倉大船の10自治町内会が合同で企画する。当日は145人が参加し、防災に関する知識の習得や地域間連携を図った。

 昨年に続き2回目の開催となった山崎小の防災訓練。今年のテーマは「参加してみよう、確認してみよう、体験してみよう」とし、消火器による初期消火や三角巾を使った応急手当、体育館に避難所が開設された時に1人あたりが使えるスペースの把握など、参加者自身が体験できるプログラムを用意した。

 石渡順二実行委員長は、「山崎地区は、大きな災害に見舞われたことが少ないが、日頃の心得と訓練の積み重ねで街全体の力をつけたい」と話した。

 2本の棒と毛布や衣類を用いて作る応急担架。今回の訓練では、担架の棒の代わりに山崎地区で採取した竹を使用して、搬送体験も行われた。参加した小学5年生の男子児童は、「乗り心地も悪くなく、良い経験になった」と話した。

過去のイベントの様子(主催者提供)

平和&エシカルファッションショー 16日 長谷で開催

 ピースデー(国際平和デー)に合わせ、平和&エシカル・SDGsをテーマにしたファッションショーとトークイベント、マルシェが9月16日(月・祝)に開催される。会場は、収玄寺そばの古民家ゆりいか(長谷2の15の14)。

 鎌倉エシカルラボ共同代表の稲葉哲治さん=人物風土記で紹介=らによる企画。サステナブルファッションや難民申請中の人が作った服も登場する。鎌倉焙煎珈琲フェアトレードかまくらブレンドの販売、エシカルラボの活動報告も実施。マルシェは午後0時45分から、イベントは1時30分から。参加費2500円〜。誰がどこで作ったか知っているお気に入りを身に着けて来場を。

みらいふる・社協 10月に教養講座参加者を募集中

 みらいふる鎌倉と市社会福祉協議会が10月4日(金)、「第3回元気鎌倉教養講座」をきらら鎌倉で開催する。

 第1部はかまくら春秋社・鎌倉ペンクラブの伊藤玄二郎さんが講演。第2部は室内楽演奏。午後1時45分〜4時。参加費200円。(問)石井さん【携帯電話】090・1613・4486

11月開講 初級スペイン語深沢高で一般講座

 深沢高校が、11月から12月にかけて実施する初級スペイン語講座の一般受講生を募集している。

 スペイン語の授業を行う同校が、その教育を地域に還元する講座。「完全0からのスペイン語〜高校生用のテキストを使って学ぶ〜」と題し、11月9日(土)から全5回。講師は同校の日比野規生教諭。受講料1500円、テキスト代2500円。申し込みの詳細は同校HPへ。(問)【電話】0467・31・9497

顕証寺でクラシック 23日 入場無料

 身近な場所でクラシックの生演奏を聴いてもらうことで、ファンを増やそうと全国各地で行われている企画「100万人のクラシックライブ」が、本門佛立宗顕証寺(七里ガ浜1の5の21)で9月23日(月・休)に開催される。

 当日はバイオリニストの林佳南子さん、ピアニストの野底彩芽さんが演奏。解説つき。午後2時〜3時。入場無料。

 コンサート前の1時からは本堂で法要と法話も実施。コンサート後に、信清宏章住職お手製の石狩鍋も振る舞われる。

 (問)同寺【フリーダイヤル】0120・240・500

鎌倉歌壇、投稿募る 12月に実朝公顕彰歌会

 12月2日(月)にきらら鎌倉で開催される「第19回鎌倉歌壇さきがけ源実朝公顕彰歌会」の、投稿歌の募集が始まっている。

 B5判200字詰め原稿用紙に楷書で、新作1首と〒住所、氏名、電話番号、使用かな(新・旧)を明記。題は自由。1人3首までで、原稿用紙1枚に1首ずつ記入を。投稿歌は歌集として参加者全員に配布される。

 応募は〒248―0013鎌倉市材木座2の9の29鎌倉歌壇事務局へ。出詠料は1首千円。10月10日(木)締切(当日消印有効)。郵便局で鎌倉歌壇(00260―4―59248)へ振り込みを。

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イベントのチラシ

夜の水族館に行こう 小学生親子50組招待

 小学生と保護者50組100人を招待し、閉館後の消灯した「えのすい」(新江ノ島水族館)で海の生き物たちの生態を観察する「新江ノ島水族館20周年記念 ダーク&ディープアクアリウム」が10月5日(土)に開催される。ワーナーブラザース・ディスカバリー主催、湘南ケーブルネットワーク株式会社と新江ノ島水族館協力。

 当日は、ランタンの灯りだけを頼りに夜の生き物を観察。スペシャルなクラゲツアーも体験できる。時間は午後6時〜8時15分(5時45分受付開始)。参加対象は小学校1〜6年生の親子2人。

 参加希望者は二次元コードの応募フォームから申し込む。9月20日締切。当選者には9月下旬までにメールで知らせる。(問)事務局【電話】03・5419・1631。

10月開講 好奇心を形に企画術学ぶ

 鎌倉生涯学習センターで、大人向け長期連続講座「鎌倉まなびのプラットフォーム」の受講者を募集している。

 全9回の講座で、ラジオパーソナリティーのこまつあかりさんやゲスト講師らが、好奇心を形にする企画術を伝える。

 参加無料。講座は10月19・26日、11月16日、12月7日、1月11・25日、2月8日、3月15・29日の土曜。午後2時〜4時(3月15日は5時)。定員30人で全日程参加が条件。申し込みはきらら鎌倉HP。(問)【電話】0467・25・2030

支援を呼びかける関係者=7日・鎌倉駅西口

「スタジアム移転へ支援を」

 市内梶原のサッカー場を台3丁目へ移転するプロジェクト「スタジアムを繋ぐ。」の、クラウドファンディングが佳境を迎えている。目標額を1億円とし、6月中旬にスタートしたクラファンは、9月9日時点で8092万円。10月7日まで支援を受け付けている。

 プロジェクトは、現在のみんなの鳩サブレースタジアムを運営する(一社)鎌倉スポーツコミッションと、鎌倉インターナショナルFCが実施。7日には、関係者が鎌倉駅と大船駅周辺でチラシを配布し、支援を呼びかけた。同チームの力武巧選手(25)は「地域の皆さんの協力をお願いできれば」と言い、下部組織所属の山田悠月君(11)はスタジアム存続によって「サッカーを頑張りたい」と熱心にチラシを配った。

 開発計画地の鳩スタは11月下旬に運営を終え、12月の新拠点開業を目指す。

 

 

「敬老の日」に花配布 大船フラセンで9時〜

 大船フラワーセンターが「敬老の日」の9月16日(月・祝)、来園者に花を配布する。

 「おじいちゃん、おばあちゃんにお花のプレゼントを」と、開園時間の午前9時から配布開始。1家族1鉢。先着100人。入園料は20歳以上400円、中学生以下無料。学割・シニア割などあり。(問)【電話】0467・46・2188

 

風致保存会 材木座で海岸清掃 21日 マイクロプラ採取も 

 鎌倉風致保存会は、9月21日(土)に材木座で開催する海岸清掃の参加者を募集している。午前10時から11時30分まで。参加無料。

 環境省と日本財団が定める「秋の海ごみゼロウィーク」に合わせて行われる海岸清掃。美しい海岸を取り戻すことを目的に、清掃活動とマイクロプラスチックの採取体験を実施する。

 先着40人で事前申し込み制。持ち物は軍手とタオル、熱中症対策の飲料。青色のTシャツやタオルを身に着けて参加を。19日(木)締切。申し込みは風致保存会【電話】0467・23・6621へ。

メールでの申し込みはこちらから

ファミサポ支援会員募集 講習会やフォローあり

 鎌倉市ファミリーサポートセンターは、有償ボランティアで地域の子育て家庭を手助けする「支援会員」を募集している。

 10月3日(木)、9日(水)、18日(金)、24日(木)には、鎌倉児童ホーム支援会員の登録講習会を鎌倉児童ホームで実施。各日午前9時30分〜午後0時20分(9日のみ2時30分)。

 支援会員になるためのもので、4回に分けて子どもの発達や現代の子育てなどについて学ぶ。活動例は、保育園・学童保育・習い事などの送迎、産前産後の家事支援、保護者外出時の保育など。登録後の活動や依頼会員とのマッチング、顔合わせは、センターがフォローするので安心。活動の謝礼金は、1時間あたり平日800円、土日祝900円。

 対象は市内在住の20歳以上で子ども好きな人。資格不問。参加無料。

 (問)同センター【電話】0467・42・7415

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足利尊氏の墓(長壽寺)

鎌倉のとっておき 〈第171回〉 足利尊氏ゆかりの寺院(長壽寺、覚園寺)

 足利氏というと室町幕府を開いた初代将軍の足利尊氏、室町幕府の最盛期を築き金閣を建てた第3代将軍の足利義満、あるいは銀閣を建てた第8代将軍の足利義政を思い浮かべる方が多いと思われるが、足利氏は源義家の子孫であり、清和源氏の流れを汲む下野国(栃木県足利市付近)を拠点とする鎌倉幕府の有力な御家人であった。

 足利尊氏から遡ること6代前の足利義兼は早い段階で源頼朝に従い、頼朝の重臣として高い地位にあったと言われ、また鎌倉五山第五位の浄妙寺の開基である。金沢街道(六浦路)の浄明寺地区には、足利義兼が邸を構えて以来、足利氏の嫡流・鎌倉公方の居館があり、現在はそれを示す石碑が立っている。

 足利尊氏が開いた寺院としては、京都五山第一位の天龍寺、足利将軍家の菩提寺である等持院が有名であるが、鎌倉にも足利尊氏ゆかりの寺院がある。山ノ内にある建長寺境外塔頭の長壽寺は足利尊氏が開基で、息子の鎌倉公方足利基氏が父の菩提を弔うために七堂伽藍を建立したと言われている。足利尊氏が京都では「等持院殿」、関東では「長壽寺殿」と言われる由縁である。長壽寺は季節限定で週末にだけ公開される隠れ家的な寺院で、紅葉の季節が素晴らしい。境内では足利尊氏の遺髪を埋めたと伝えられる五輪塔を見ることができる。また、二階堂にある覚園寺の薬師堂には足利尊氏が書いたとされる棟札がある。

 源氏のまち鎌倉で、足利氏ゆかりの場所を訪ねてみるのもおもしろい。

山東直大