鎌倉版【10月4日(金)号】
細かな沈金の細工が施された重箱や朱色の御膳セットが並ぶ

被災者の輪島塗、買って支援 大船リサイクル店で販売

 元日の地震に、9月の豪雨と災害が重なった能登半島。被害の大きかった石川県輪島市の伝統工芸品「輪島塗」を販売し、支援に充てるプロジェクトが大船消防署隣のリサイクルショップ「ピースロード鎌倉」で10月1日から始まった。販売するのは、廃棄予定だった被災者の御膳セットや重箱。収益は、提供した被災者の街に還元される。

 販売されるのは、被災者が各家庭で使ってきた輪島塗の漆器の中古品だ。地震の発生後、被災地では家の片付けや仮設住宅への引っ越しで、椀や皿など一揃いの御膳セットや、木箱に入った豪華な装飾の重箱など、使うには問題ないものまでもが行き場を失い、処分されようとしていた。中には、何代にも渡って受け継がれてきた歴史ある品も少なくなかったという。

 同店を運営するNPO法人ピースロード鎌倉は、22年前から東南アジアの女性の自立支援を皮切りに、東日本大震災、熊本地震、国境なき医師団など、寄付品の販売や支援企画の開催で、その収益を支援金として各地に届けてきた。能登半島地震の支援金もすでに15万円を送っており、22年間の総支援額は3600万円にのぼる。

 今回のプロジェクトは、東日本大震災後から神楽の上演企画で協力してきた岩手県のボランティア団体(一社)SAVE IWATEが発案。輪島塗を販売することで復興を支援するだけでなく、伝統工芸を守りたいという思いに賛同し、ピースロード鎌倉も協力を決めたという。

 同店で販売しているのは、朱塗りの御膳セットやおひつ、細かな沈金の細工が施された5段の重箱など。売り切れ次第、販売を終了する。寄付金や販売用の寄付品も随時受け付けている。「東日本大震災後も『被災地を忘れない』という思いで活動してきた。まずは店を覗いてもらえたら」(スタッフ)

 午前10時30分から午後4時30分まで(第2火曜は2時から)。日・祝休み。(問)【携帯電話】090・7283・4209

幼稚園の頃から参加する幼なじみが朗読=28日・建長寺法堂

足掛け20年で1000回 親と子の土曜朗読会

 建長寺で毎週土曜に実施されている「親と子の土曜朗読会」が、9月28日に節目の1000回を迎えた。2005年1月にスタートして、足掛け20年での大台到達。主催のNPO法人日本語の美しさを伝える会は、「続けるではなく、続いていくものになればいい」と語り、今週土曜には1001回目が開かれる。

 日本語の乱れが問題視されていた2005年。子どもたちが小説や童話の名作を朗読で聞くことによって、日本語の美しさを感じ、言葉への関心を深めてもらおうと始まったのが朗読会だ。伝える会の代表理事・伊藤玄二郎さん(80/かまくら春秋社代表)と、建長寺宗務総長が鎌倉ペンクラブの会員として親交があったことから、「平成の寺子屋」を構想した。

雨、風、雪でも休まず開催

 朗読会は、建長寺で毎週土曜午前10時から1時間、親子やお年寄りなど毎回10〜20人が参加する。最初に般若心経を唱えてから5分間座禅し、朗読に入る。新型コロナによる緊急事態宣言中の建長寺閉門時を除き、雨、風、雪でも休まず開催してきた。大晦日や元日も含む。ゲストにやなせたかしさんや井上ひさしさん、角野栄子さんらを迎えたこともあった。

 そして2024年9月28日、1000回到達。当日は同寺法堂で記念特別プログラムを実施し、駆けつけた約300人が節目を祝った。会場では「古事記」や芥川龍之介「蜘蛛の糸」が朗読され、参加者は読み手の一言一句に耳を傾けた。

 読み手として、日本とトルコの友好をテーマにした本を朗読したのは、幼稚園の頃から参加する20歳の長井知茅(ちがや)さん、山崎晴日さん、渡邉瑞紀さん。地元の幼なじみは、朗読会が毎週の楽しみだった。聞くだけではなく、読み手も担当するように。長井さんは、「ここに来ると素敵な話を聞くことができる。これからもみんなの居場所であってほしい」。

 主催者の伊藤さんは今後の目標を据えず、「参加した方が幸せな気持ちになって帰れる場でありたい」と前を向いた。

功労ボランティア団体表彰を受けた大船防犯指導員会会長を務める 石渡 順二さん 山崎在住 69歳

一歩踏み出す勇気

 ○…防犯活動に尽力し、顕著な功労があった個人や団体を表彰する「全国地域安全運動中央大会」。自身が会長を務める大船防犯指導員会が、9月26日の同大会で「功労ボランティア団体表彰」を受けた。1973年に発足した同会は、年金支給日の声かけや青パトでの広報、小学校の下校時の見守りなど防犯活動に50年以上取り組む。「会員や先人たちの地道な活動が評価された」と周囲への感謝を口にする。

 ○…父親の「世のため人のため」の教えから、高校卒業後に2年の社会人経験を経て、神奈川県警へ。秋田県出身で都会に憧れを持ち、神奈川県警を志願したのは「最初に見た募集要項だったから」と笑う。腰越交番が最初の赴任地で、機動隊では日航ジャンボ機墜落事故の捜索活動にも従事。山中の傾斜面で野営し、「ご遺体を一刻も早く家族のもとへ」と懸命に活動したことは今でも記憶に残る。

 ○…警察官という仕事柄、家族からは「眼が鋭い」と言われ、幼かった娘を抱っこすると泣かれてしまうため、顔を見せずにおんぶしてあやした。防犯指導員は65歳で委嘱を受け、昨年から会長を務める。鋭い眼差しも今ではすっかり鳴りを潜め、「近所の子どもたちが寄って来てくれるのがうれしい」と笑みがこぼれる。

 ○…「ぼーっと過ごしてもしょうがない」。警察官を退職後は、自己研鑽も兼ねて防災士や庭園管理士、無人航空従事者3級など7つの試験に合格。防犯指導員の活動の傍ら、山崎町内会会長や市スポーツ推進委員連絡協議会副会長を務め、地域を支えている。モットーは、「一歩踏み出す勇気があれば前に進む」。大切な仲間とともに、住みよい街づくりに貢献していく。

市役所新庁舎計画 反対市民128人が提訴 予算執行差し止め求め

 鎌倉市役所の深沢地区移転計画を巡り、移転に反対する市民128人が9月25日、松尾崇市長を相手に新庁舎の基本設計にかかる予算の執行差し止めを求めて、横浜地方裁判所に提訴した。

 予算執行の停止を求める訴状では、2024年度予算に含まれている新庁舎の基本設計費約2・9億円に加え、設計者選定審査会の委員報酬と交通費約25万円の差し止めを訴えている。今年7月には、鎌倉市に住民監査請求書を提出したが、棄却された。

 横浜地裁に提訴した市民団体・鎌倉市民連絡会議の岩田薫共同代表(71)は、「市役所の移転に必要な位置条例案が否決されている中で、予算を執行し、設計事業を進めるのは違法。司法の判断に委ねたい」と話した。これに対し市は、「訴状が届いていないので、コメントは差し控える」としている。

 深沢地区への移転を巡っては、出席議員の3分の2以上の同意が必要な「位置条例改正案」が22年12月議会で否決。市は条例改正案の再提出を模索するも、賛同を得られない状況が続く。

深沢・腰越 きららフェスで演奏や作品展示

 鎌倉市生涯学習センターで活動する団体が成果を披露する「きららフェスティバル」が、深沢(10月4〜6日)と腰越(11〜13日)の両学習センターで開催される。午前10時〜午後4時(6・13日は3時)。

 音楽演奏や作品展示のほか、パンや手芸品の販売(深沢)、フラワーアレンジメントや粘土クラフト体験(腰越)も。

 入場無料。(問)【電話】0467・25・2030

昨年の鎌倉薪能

11日に66回目の「鎌倉薪能」 鎌倉宮特設舞台、残席あり

 今年で66回目を迎える「鎌倉薪能(たきぎのう)」が、10月11日(金)に鎌倉宮(二階堂)の特設舞台で開催される。演目は素謡「翁」、狂言「黒塗」、能「通小町」。金春憲和さんや野村裕基さん、金春安明さんが出演する。

 午後6時開演、8時30分終演予定。雨天中止。S席(9千円)はすでに完売しているが、A席(7千円)は残席あり。購入方法など詳細は鎌倉市観光協会ホームページ。(問)【電話】0467・23・3050 

29年活動する薄永さん

薄永さんが防犯栄誉金賞 大船防犯指導員会は団体表彰

 防犯活動で顕著な功労があった個人や団体を表彰する「令和6年全国地域安全運動中央大会」が9月26日、明治記念館(都内)で開催され、鎌倉市内から薄永礼子さん(笛田在住・71)が防犯栄誉金賞、大船防犯指導員会が功労ボランティア団体として表彰された。

 薄永さんは、鎌倉警察署の防犯指導員として29年前から活動し、下校する小学生への声かけや年金支給日に合わせた啓発キャンペーンを通して、犯罪防止を呼びかけてきた。2017年に防犯栄誉銀賞を受賞し、7年越しでの金賞。今年の金賞を受賞した93人のうちの1人に選ばれた。昨年までの2年間は同会の会長を務め、「晴れがましい。仲間に支えられて活動を続けることができた」と笑みを浮かべる。

 「見守りや防犯活動は結果が見えないが、続けることで抑止につながっていけば」と言う薄永さん。今後も変わらずに、「できることを続けていきたい」と話す。

「先人たちに感謝」

 大船防犯指導員会は、地道なボランティア活動を模範的に推進した団体に贈られる功労ボランティア団体表彰を受けた。同賞には全国42団体が選出され、県内からは同会を含む2団体が選ばれた。

 1973年発足の同会は現在12人で活動し、年金支給日の声かけや青パトでの犯罪防止広報、小学校の下校時の見守りなどを50年以上続けてきた。石渡順二会長(69)=人物風土記で紹介=は、「今までみんなが築いてきた功績が認められて感無量」と喜んだ。

 同会では、大船警察署や大船防犯連合協会と協力し、犯罪防止活動を月2〜3回の頻度で実施する。石渡さんは、「継続的な活動が未然防止に少しでもつながれば」と期待を寄せる。

油としょうゆで「うまっ」 大船小で食育授業

 大船小学校で9月27日、6年生が対象の出張食育授業が行われた。

 この取り組みは、日清オイリオグループ株式会社とキッコーマン株式会社が、食の大切さを知ってもらおうと昨年から協働で行っているもの。各社の社員が講師となり、油としょうゆが料理をおいしくすることに加え、食べすぎを防いだり、栄養素を取り入れやすくしたりするなど、身体への働きについてもクイズを交えながら紹介した。

 座学後は、鎌倉パークホテル副料理長の指導のもと、建長寺直伝のけんちん汁作りに挑戦=写真。こんにゃくをちぎって根菜と油で炒め、しょうゆを回し入れると「めっちゃいい匂いがする」と児童は大盛り上がり。昆布としいたけでとった出汁と共に煮込み、仕上げのごま油を入れる前後で味の違いも確認した。出来上がったけんちん汁を味わった児童は「おいしい」と笑顔を見せていた。

11月6日 鎌倉中央公園で赤ちゃんとレク 自然遊びや紙芝居

 自然の中で遊びを楽しむ親子企画「赤ちゃんあそびたい」が11月6日(水)、鎌倉中央公園(山崎1667)で開催される。午前10時から11時まで。参加無料。

 0〜1歳児とその親向けのレクリエーション。鎌倉市図書館司書が講師を務め、ネイチャーゲームや話し会、紙芝居などを実施する。絵本の貸し出しもあり。

 市内在住者が対象で10組募集。申し込みは【メール】info@kamakura-park.comに講座名、保護者氏名(ふりがな)、子どもの年齢(月齢)、住所、電話番号を明記し、10月22日(火)締切。応募多数時は抽選。(問)鎌倉市公園協会【電話】0467・45・2750

湘南私学が大集合 5日 進学相談会

 中学・高校受験を控える生徒や保護者らが私立学校を選ぶ際に参考になる「第25回湘南私学進学相談会」が10月5日(土)、藤沢商工会館ミナパーク(藤沢607の1)で開かれる。午前10時〜午後3時。入場無料、事前予約制。主催は湘南私学進学相談実行委員会。

 湘南エリアに校舎を構える15校がそれぞれブースを設置。学校の様子や入試の傾向・対策など最新の情報を知ることができる。同館1階で受付、会場は5・6階。

 詳細は同事務局【電話】0466・86・0829。

大正時代のユリカタログの絵も

鎌倉のユリの歴史展 14日まで 中央図書館

 かつてユリ球根の産地だったという玉縄地区の歴史を紐解く企画展が、鎌倉市中央図書館1階で10月1日から始まった。

 鎌倉玉縄ユリ・プロジェクトとコソガイ、市図書館の共催企画で、明治・大正時代に大規模なユリの球根栽培が行われ、欧米に輸出されていたことやその核となった豪農・角田助太郎の働きなどを、資料と共に振り返ることができる。海外でカタログとして使われたユリの絵なども展示。10月14日(月・祝)まで。7日(月)休館。

6日に講演会も

 10月6日(日)に講演会を実施。午前10時から正午まで。先着30人。予約は中央図書館【電話】0467・25・2611。

<PR>
【LINE読者限定プレゼント】
【LINE読者限定プレゼント】
毎月15名様に抽選で『Amazonギフト券1,000円分』をプレゼント!ギフト券以外のプレゼントもあるかも!是非チェックしてみてください。 (続きを読む)

13日 稲村ヶ崎公園で恒例「なみぼん」

 稲村ヶ崎公園で10月13日(日)、秋の恒例ベント「なみおと盆踊り祭」が開催される。

 鎌倉なみぼんバンドの生演奏で盆踊りを踊るほか、ステージでのライブやダンスパフォーマンス、フード&ドリンク、マルシェ、縁日コーナーもあり。

 午前11時から午後7時まで。入場無料。景品が当たる番号くじ付きのうちわを、公式サイトで販売している。

萩、上田、足利 11・12日 姉妹都市の物産展

 鎌倉市と姉妹都市の山口県萩市、長野県上田市、栃木県足利市の物産展が10月11日(金)と12日(土)、鎌倉生涯学習センターで開催される。午前9時30分〜午後4時30分(12日は3時30分)。

 萩の蒲鉾や夏みかん菓子、上田のりんごやおやき、足利のようかんやワインなど販売。鎌倉からも鎌倉彫、鎌倉芋焼酎が並ぶ。12日午前11時30分〜と午後1時30分〜足利伝統芸能の八木節披露。

 (問)市商工課【電話】0467・23・3000 

マイクロプラスチックを採取

「細かいごみも逃さない」 風致保存会が海岸清掃

 材木座海岸で9月21日、鎌倉風致保存会主催の海岸清掃が行われ、同会会員やボランティアなど46人が参加した。

 環境省と日本財団の「秋の海ごみゼロウィーク」に合わせて実施した活動。砂浜に落ちたごみや、海岸に漂着した空き瓶、ペットボトルを回収した。清掃後には、砂浜に溜まったマイクロプラスチックを採取し、ふるいにかけた砂をバットに移して微小なプラスチックを選別。参加した小学3年生の女児は、「瓶に入れて学校のみんなに見せたい」と喜んだ。

 風致保存会の石山由夫事務局長は、「マイクロプラスチックが海に拡散している実態を、身近なところで感じてもらえたのでは」と話した。

親子で乗船、藻場見学 11月に県市連携企画

 親子でクルーザーに乗り、ブルーカーボンの取り組みを見学・体感する無料ツアーが11月に開催予定で、10月21日(月)まで参加者を募集している。

 神奈川県と鎌倉・横須賀・逗子・三浦市、葉山町は、海藻の生い茂る藻場を再生し、海の二酸化炭素吸収量を増やすブルーカーボンの取り組みを進めている。募集中のツアーは11月10日(日)午前7時45分〜、17日(日)8時40分〜、午後0時40分〜の3回。各回30組60人。対象は県内在学の子ども(小4以上推奨)と保護者のペア。多数時抽選。

 詳細・申し込みは県ホームページへ。