横須賀・三浦版【1月17日(金)号】
横須賀市が提供している学校給食の一例(市提供)

横須賀市 7年ぶり給食費値上げ 物価高騰影響、負担軽減策も

 横須賀市は9日、市立学校の給食費を4月から値上げすると発表した。小学校は現在の月額4500円から5700円に、中学校は5400円から6500円に改定する。近年の物価高騰を背景に、食材費が上昇していることが主な要因。小学校では1977年以降最大の値上げ幅で、市は過度な保護者負担増にならないよう、2025年度予算案で軽減策を検討するとしている。

 小学校の給食費値上げは2018年以来7年ぶり、中学校は給食が始まった21年以来初となる。養護学校でも4500円を5700円に、ろう学校(中学部・高等部)では5300円を6500円に改定する。教職員も同様に値上げする。

 市教育委員会学校食育課によると、食材費の高騰が続く中、食材の種類を変更したり量を減らすなどして調整してきた。

 また2022、23年度には国の地方創生臨時交付金を活用し、食材費の不足分を補填。24年度は市が補正予算で約9900万円を充当したが、今後も物価上昇した場合に提供が困難になることが予想されたため、改定に踏み切った。同課は「社会情勢の急激な変化で対応が限界に達した」と説明する。

 24年度の1食あたりの単価(想定値)は小学校が約281円(21年度比約21円増)、中学校が約355円(同比約25円増)。近年特に値上がりが大きいのは主食の米と毎食提供される牛乳で、24年度は同年比で1本あたり9・16円上がった。

 こうした状況を踏まえ、市は昨年9月、学校関係者や保護者らから成る市学校給食運営審議会に給食費について諮問。同12月に値上げは妥当との答申があり、市長や教育長が参加する総合教育会議で値上げをすることで意見が一致した。

 市は2025年度予算案で給食費の値上げ分の一部を補填する方針で、急激な値上げが過度な負担にならないよう支援措置を図りながら、保護者らに理解を求めたい考えだ。同課では「物価高騰の中での値上げは苦渋の判断。市民の理解が得られるよう丁寧に説明していく」と話した。

三浦市では

 物価高騰による学校給食費の改定は近隣自治体でも同様の対応が相次ぐ。三浦市では昨年11月に小学校を4400円から5000円に、中学校では5200円から6200円に値上げした。

相模湾を望む海岸線に立地する秋谷老人福祉センター

秋谷老人福祉センター 跡地活用で賑わい創出 市が民間事業者を公募

 横須賀市は10日、老朽化により2024年度末で廃止予定の「秋谷老人福祉センター」(秋谷3の6の25)の跡地活用について、公募型プロポーザルで民間事業者を公募すると発表した。宿泊施設や飲食店などを備えた西地区の新たな交流拠点に再整備したい考えで、今年の3月末までに事業者を決定し、2026年7月以降に開設するスケジュールを描いている。

 同センターは1975年3月に完成。国有地を含む約2300平方メートルの敷地内には鉄筋コンクリート造3階建ての建物(延床面積約600平方メートル)があり、広間や図書室、娯楽室などを備える。

 長年地域の高齢者らの交流場所として親しまれてきたが、開設から半世紀近くが経ち施設の老朽化が進行。廃止後の跡地の活用について、市が検討を進めていた。

 建物は国道134号線沿いにあり、「かながわの景勝50選」に選ばれる立石公園に隣接。目の前には相模湾が広がり、風光明媚なロケーションで地域住民や観光客の人気を集める。

 市はこうした土地のポテンシャルに着目。地域住民の意見や事業者への利活用可能性調査を実施した上で、市内外の人が利用できる宿泊施設や飲食店、売店などの「便益施設」と、地域活動スペースなどの「公共施設」を設置することを決めた。

 公募では、民間事業者の独立採算事業として、跡地の持続的な利活用につながる事業提案を求める。対象区域は公園用地の約1200平方メートル(貸付のみ)、建物は売却または貸付で契約期間はいずれも10年。地域交流拠点については5700万円を上限に市が費用を負担する。今年3月に優先交渉権者を選定し、26年1月に着工、同年7月以降にオープンするスケジュールを描く。

 市企画調整課では今回の公募を通じ、「秋谷エリアをはじめとする西地区の活性化に貢献できる民間事業者の提案を期待している」と話した。

 公募の詳細は市ホームページ(https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/0810/akiya/akiyaproposal.html)へ。

野生動物を題材にした画集を出版し、個展を開催しているアマチュア画家 佐藤 陽(あきら)さん 横須賀市平作在住 82歳

動物の叫び”目”で感じて

 ○…注目すべきは懸命に生きる動物たちのまなざしだ。ライオン、ヒョウ、カモシカ、ヤマネコ。力強くも儚げな瞳は、”目が合った”鑑賞者の意識をとらえて離さない。そこにあるのは「自然界からのメッセージ」。原画が並ぶ会場では、魂を込めて描き上げた野生動物たちが声なき声をあげている。

 ○…中学1年時に、後にグラフィックデザイナーとなる双子の弟と共作で昆虫の具象画を制作。コンクールで銀賞を受賞し、翌年は動物を描いて金賞を獲得した。絵描きへの憧れはあったが、「才能溢れる弟に引け目を感じた」。横須賀工業高校造船科を卒業後は、マグロ漁船の無線通信士として南太平洋を巡った後、キューバ政府と契約を結び現地で技術指導を行った。帰国は30歳の時。その後は父の塗装屋を引き継いだ。

 ○…転機は42歳の時。油絵画家だった顧客との話の流れで中学時代に賞を受賞した絵を見せると、実力を評価され弟子入りを促された。それからは堰(せき)を切ったように創作意欲が湧くように。外壁塗装の作業ができない雨の日と日曜日は作品制作に没頭した。眠っていた才能は目を覚まし、さらに磨かれたことで50代では市民文化祭で2年連続市長賞を獲得。市美術協会主催のYB展でも市長賞を受賞した。72歳で現場を退いた後も「毎日が日曜日」と連日筆を握り続けている。

 ○…野生動物を題材にしたシリーズを描き始めて8年。地球温暖化、森林伐採、海洋汚染のほか戦争・紛争など、動物の生活の場を奪う人間による自然破壊を憂う。「目はすべて我々人間に向けられたもの。言葉にならないメッセージを感じ取ってくれたら」。懸命に生きる命を表現し続けることで、人間社会に警鐘を鳴らし続ける。

『ガマの油』を英語で披露する寺田さん

基地のまちで「英語落語」 笑いは万国共通?

 日本の伝統娯楽である落語を英語に翻訳して上演する寄席「誰でもわかる英語/日本語落語会」が1月12日、YRP野比駅近くのカフェ「ビレッジボイス」で催された。古典落語として著名な『ガマの油』と『初音の鼓』を演目に、一題をまず英語で、次に日本語で上演した。

 発起人は横浜市在住のアマチュア噺家・寺田隆郎さん(72)。2年前まで県内の中学高校や受験予備校で英語講師をしており、本業と並行してアマチュア落語家「川之家河童」としても活動してきた。英語落語は国内の外国人向け旅館のほか、ロサンゼルスやシアトルでも上演している。

「禁じ手」も臨機応変に

 落語家は話術と動作のみで情景を伝えるのが基本。手に持つのは扇子や手ぬぐいのみというのが一般的で、それ以外の小道具の使用は「禁じ手」とされている。しかし、寺田さんは『ガマの油』で、鉢巻や短刀を使用。日本文化に馴染みのない外国人に、より分かりやすく情景を伝えるため、既存の概念にとらわれない高座を展開する。日本人に比べダイナミックな動作が好まれるのも特徴だという。

 今回は申し込み開始から1週間ほどでチケット30枚が完売。地域住民のほか落語好きの外国人2人も訪れた。寺田さんは「横須賀は米軍基地もあり国際色豊かな街。落語を国際交流のツールとして活用出来たら」と次回以降の開催にも前向きな姿勢を見せた。

社会的性差考える 本町でセミナー

 日常生活の中で感じる男女の社会的性差について考える横須賀市主催のセミナー「『ジェンダー平等って何ですか?』〜日常のモヤモヤ・思い込みを探る」が2月8日(土)、本町の市総合福祉会館視聴覚研修室で開かれる。午後2時から4時。

 講師は「#男女共同参画ってなんですか」代表で、若者向けの学びの場「ジェンカレ」を主宰するなどジェンダー平等へ向けた活動を展開する櫻井彩乃さん。

 定員は抽選30人。申し込みは市人権・ダイバーシティ推進課【電話】046・822・8228。1月30日(木)締切。

「チームで世界一を目指したい」と意気込む横山さん

芦名在住横山紗子さん 小学生チアの頂点目指せ 4月に米世界大会出場へ

 横須賀市芦名在住の小学4年生、横山紗子(すずこ)さん(10)が4月下旬、米フロリダ州で行われるチアリーディングの世界大会「The Youth SUMMIT」に出場する。初の大舞台への挑戦に「緊張するけど、笑顔を絶やさずメンバーと世界一をつかみ取りたい」と意気込んでいる。

 横山さんは4歳のときに競技を始め、横浜市を拠点にするチアリーディングチーム「横浜オールスターズ」に所属。小中学生から成る「DOLPHINSTARS」の一員として昨年11月16日に横浜市で行われた「ジャムフェスジャパン」に出場し、ユース編成とジュニア編成の2部門で1位に輝いた。世界大会には小学生11人で編成するユース部門での出場で、チームは2019年の初優勝に続き、2度目の頂点を目指している。

厳しい練習重ね

 現在、慶應義塾横浜初等部(横浜市青葉区)に通う横山さん。練習は週4日、週末は長いときには午前9時から夜8時までハードな練習に臨む。

 競技時間は約2分半。 音楽に合わせて技の難度やテクニック、ジャンプの高さなどを競う。ポジションは宙を舞う選手を持ち上げたり支える「ベース」で筋力や体幹の強さが求められる。

 「トレーニングは大変だけど、世界一になるために泣き言なんて言えない。チームのみんなもがんばっているから」と強い思いを口にする。

 世界大会には315チームがエントリー。横山さんらは「レベル1」の部門105チームの頂点を目指す。

家族の支えに感謝

 自身にとっては初の世界大会。競技に専念するため、一時的に居住地を横浜市に移し、送迎や身体のケアなど献身的にサポートしてくれる両親への感謝も忘れない。「家族の応援があってできる。思いに応えたい」

 将来はチアリーディングの指導者という夢を描く。大会出場は、実現に向けた第一歩だ。

縄文人から学ぶ自然共生 考古学者の山田氏が講演

 自然と人が共生する生活スタイルを築いていた縄文人から現代人は何を学ぶべきか―─。

 考古学者で東京都立大学名誉教授の山田昌久氏(横須賀市富士見町在住)が講師を務める自然環境講演会が1月25日(土)、横須賀市自然・人文博物館(深田台95)で開かれる。

 テーマは「縄文人と最初の里山」。縄文時代は狩猟採集だけでなく、集落をつくって定住生活を開始していたことがわかっている。石斧を使って木を倒し、燃料として資源利用していくようになると動植物の生態に変化が生まれ、「里山経済」が誕生していった。これこそが数百年・数千年と続く縄文文化であり、自然を上手に利用していた縄文時代像を描き直すことで、エネルギーや水・食料自給の問題を抱える現代の状況を考えるきっかけを提示する。

 山田氏は先史考古学を専門としており、最初に日本列島を訪れた古代人がどのようにして海を越えたかを検証したプロジェクトのコアメンバーのひとり。

 定員60人で対象は横須賀市内在住・在学・在勤の小学生以上。申し込みは市建設部自然環境・河川課【電話】046・822・9749。

三浦市長選6月15日投開票

 三浦市選挙管理委員会は1月9日、6月28日に任期満了を迎える三浦市長選を6月8日告示、15日投開票で実施することを決定したと発表した。

 14日現在、同市長選への出馬を正式に表明している立候補予定者はいない。現職の吉田英男氏(68)が6選を目指して出馬するか去就が注目されている。前回21年の市長選は8年ぶりの無投票で再選を果たした。

 今月1日現在の選挙人名簿登録者数は3万5451人。

反骨の海軍大将、先見の教育者 防衛大学校で井上成美50周忌記念展

”最後の海軍大将”と呼ばれ、終戦後に横須賀市長井で暮らした井上成美(1889〜1975年)=写真=の足跡をたどる展示が1月27日(月)から同市走水にある防衛大学校総合情報図書館で始まる。井上の50周忌に合わせて企画された。2月7日(金)まで。

 海軍省軍務局長時代に日独伊三国同盟に異を唱えるなど、反骨の姿勢で反戦を貫いた。兵学校長時代は敵性語とされる英語の使用を禁止する空気が漂う中、「英語を話せない海軍士官では、世界に通用しない」と教育の先見性を発揮したことでも知られる。

 展示会場では、井上の写真やパネル、ゆかりの品のほか、井上と関わりのある人たちからの寄稿文などが飾られている。1966年に録音されたと思われる井上のインタビューテープの再生もあり、肉声が聞ける。

 入館時間は平日の午前8時30分から午後5時15分。一般の来場は同大正門で手続きを行う。

最高齢プログラマーに学ぶ ヴェルクよこすかで講演会

 世界最高齢プログラマーとして知られる若宮正子さん(89)=写真=の講演会が2月16日(日)、ヴェルクよこすか(横須賀市立勤労福祉会館)で開かれる。午後1時30分から3時。

 若宮さんは58歳からパソコンを独学で習得。81歳のときにゲームアプリ「hinadan」を開発し、アップル社のCEOから開発者向けイベントに招待されるなど、世界的に注目を集めた。

 講演会は「生涯現役!やりたいことの見つけかた」がテーマ。若宮さん自身の経験を交え、高齢化社会におけるデジタル活用の重要性や、年齢に関係なく挑戦することの意義を語る。

 参加費600円、定員120人(抽選)。申し込みは、横須賀市生涯学習センター(まなびかん)で1月27日(月)まで受け付ける。問い合わせは同センター【電話】046・822・4873。

受動喫煙防止ポスターコン 健康憂慮「タバコやめて」 剣崎小・鈴木さんが特賞

 タバコによる健康被害や受動喫煙防止を啓発する「喫煙防止・受動喫煙防止のポスター原画コンクール」で、剣崎小学校3年生の鈴木さくらさん=写真=が特賞を受賞し、1月9日に同校で行われた表彰式で賞状を受け取った。鎌倉保健福祉事務所三崎センターの主催。

 「ずっといっしょにいたいから タバコやめて!」-。絵のモチーフは父親と鈴木さん自身。笑顔を浮かべる一方で肺にはタバコの有毒性が残っていく様子を示しており、「身近な人に健康でいてほしいという願いを込めた」と鈴木さん。

 審査員の一人は「タバコの有毒性や危険性だけでなく、喫煙者の健康を願う優しさが感じ取れた」と講評した。

 同センターによると、三浦市内の小中学校に通う児童生徒を対象に実施し33枚の応募があった。鈴木さんのポスターは市内各所の学校などに掲出していく予定という。

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晴れ着姿で写真撮影を楽しむ式典参加者(左:横須賀市文化会館、右:うらり)

4510人が門出 晴れ姿で笑顔あふれ

 二十歳の門出を祝う式典が1月13日、横須賀・三浦の両市で開かれ、式典参加者らが旧友との再会や歓談、写真撮影を楽しんだ。

 今年、門出を迎えたのは市内在住・出身者で両市合わせて4510人(横須賀市4170人、三浦市340人)で、2004年4月2日〜05年4月1日生まれが対象。

 横須賀は中学校区ごとに3つの組に別れて式典を実施。横須賀市文化会館を会場にゴスペルやウクレレの演奏が披露され、華やかな祝いの場となった。祝辞として上地克明市長は「人生はまだまだこれから。どんなことにもチャレンジしていってほしい」とメッセージを贈った。

 三浦市民ホールでは、小中学校の教諭からのビデオメッセージを放送。当時を懐かしむ声が会場を包んだ。同式典の運営サポーターは「家族や学校の先生、地域の皆様の支えがあり、今の私たちがある。大人としての自覚と責任を持ち、社会に貢献できる人に」と宣言した。

三浦半島農漁業者 環境変化にどう向き合う 現場の声聞くトークイベント

 気候変動をはじめとする環境の変化が三浦半島の一次産業にどうような影響を与えているか。それに対して、生産者や漁業者はどんな対応を迫られているのか。現場の生の声を聞きながら、私たちにできることを考えるトークイベント「環境変化に対峙する三浦半島の農漁業者たち」が1月26日(日)、横須賀市小川町のコワーキングスペース「16スタートアップス」(横須賀市役所裏)で開かれる。地域の「食」に携わる農漁業者や食品加工業者などで組織する「三浦半島 食彩ネットワーク」の主催。現状を嘆くのではなく、打つべき手立てなど未来志向の議論を発信していく。

 4人がパネラーとして登壇する。1963年に猿島地先に自生する天然わかめの種苗から養殖を始めた「佳栄丸」の3代目である栗山義幸さん。葉山真名瀬漁港で季節ごとの漁を営みながらアマモ(海草)を増やす活動にも取り組む「桜花丸」の長久保晶さん。三浦市初声町で環境配慮と少量多品目の栽培で年間150種類の野菜を生産し、そのすべてを直売する農業モデルを築いている「高梨農場」の高梨雅人さん。農業研修でドイツに渡り、環境保全型農業技術を学んだ後、実践者として農林水産大臣賞を受賞した経歴の「ながしま農園」の長島勝美さん。進行役を同ネットワーク事務局長の桑村治良さんが務める。

 時間は午後1時から3時。参加費1千円。定員50人。申し込みは「食彩ネットワーク」(【URL】https://miura-shokusai.net/)ホームページから。
ファンとハイタッチを交わす新入団選手

横浜DeNA入団歓迎式 新市民とファン交流

 昨年10月に行われたプロ野球ドラフト会議で横浜DeNAベイスターズへの入団が決まった選手9人を迎える「新入団選手歓迎式」が1月11日、同球団のファーム施設「ドックオブベイスターズヨコスカ」(横須賀市夏島町)で行われた。

 会場には抽選で選ばれたファン約300人が参加。選手とのハイタッチや少年野球チームの児童らとの交流が行われた。

 ドラフト1位で入団した竹田祐選手は「しっかり練習をこなし、横須賀市を盛り上げていきたい」と意気込んだ。

 選手らは1月7日に同施設併設の「青星寮」に入寮。横須賀市民となったことを受け、上地克明市長から特別住民票が選手らに手渡されると、ファンや市民からの拍手や温かい声援がその場を包んだ。

 上地市長は「市民を代表して心から歓迎する。皆さんが一日でも早く大活躍できる”大海原”に出ていけるよう応援しています」とエールを送った。

展示されている「フクロウ」

ペン画家 佐藤陽さん 自然保護 絵で訴え 25日まで根岸町で個展

 絶滅の危機に瀕している野生動物を描き続けているアマチュア画家で平作在住の佐藤陽(あきら)さん(82=人物風土記で紹介)が、横須賀市根岸町の画廊喫茶「ギャラリー55」で個展を開催している。1月25日(土)まで。

 同展のタイトルは「WILD LIFE」。開発や資源採取のための森林伐採や戦争行為による自然破壊で被害を受ける動物に思いを寄せると同時に、人間の行為に警鐘を鳴らす作品40点を展示。F80号キャンバス(縦145・5cm×横112cm)に巨大樹を描いた大作も来場者の目を引く。

 多くは1本80円のフェルトペンで描いたもの。インクのかすれ具合なども巧みに使い濃淡を表現する。「次世代に命をつなごうと必死に生きる動物たちのメッセージを感じ取って」と佐藤さん。

 午前10時30分から午後6時(最終日は4時)。19日(日)定休。問い合わせは同ギャラリー【電話】046・836・6562。

練習に励む「スタジオこっと」のメンバーら

文化の違い「あるある」 多国籍キャストで表現

 はじめて遭遇した和式トイレに困惑する外国人。温泉や銭湯で臆面もなく裸になる日本人。

 日本と海外で異なる文化や習慣、独特の作法など日常に転がるカルチャーショックをコメディー仕立てで見せるミュージカル&コンサート「That’s It!Aru-Aru‼」が2月9日(日)、ヨコスカ・ベイサイド・ポケット(本町3の27)で開かれる。元劇団四季メンバーで浦郷町在住の岡本和子さんが立ち上げた合同会社スタジオこっとの主催。

 外国人が日本で感じる違和感や不思議さを性別、年齢、国籍横断のメンバーが「あるある」を例示しながら違うからこその面白さを表現する。

 午後1時開場、1時30分開演。チケットは一般5千円、学生2500円。配信は3千円。

 詳しくは公式サイト(【URL】https://thatsitaruaru.com/)へ。

インタビューに答える黒岩知事

黒岩知事インタビュー デジタル活用で施策推進 三浦半島、人口減対策は

 2025年の年頭にあたり、本紙では黒岩祐治知事にインタビューを行った。黒岩知事は、デジタル技術を最大限に活用し、少子高齢化や人口減少にあたっていく姿勢を改めて強調した(聞き手・熊坂淳)。

当事者の目線で

 ――少子高齢化・人口減少への対応を視点に据えた新総合計画が昨年、策定されました。

 「少子化の流れに歯止めはかかっていませんが、背景のひとつに子どもを産み育てることに対する様々な不安があるのでは、と考えています。例えば出産に伴う痛みだとか経済的不安、仕事上のキャリアと両立できるのか、急な発熱や引きつけへの対応ができるかなど。こうした不安を少しでも取り除けるようにと開発したのが無料通信アプリLINEを使った『かながわ子育てパーソナルサポート』で、昨年はオンラインで相談できる機能を盛り込みました。デジタルの力を活用しながら、今後も子育て当事者の目線に立った施策を進めていきます」

 ――三浦半島エリアや県西エリアでの人口減が特に著しいです。

 「人口減少地域は、裏返して言えば自然豊かで住みやすい場所でもあります。そうした利点を生かし、県では『ちょこっと田舎でオシャレな神奈川』をキャッチフレーズに施策を展開しています。都心への通勤圏内にありながら自然環境に恵まれ、かつちょっとおしゃれという魅力を前面に打ち出した移住定住作戦です。コロナ禍においては都心から本県への移住者が増えましたので、この流れを今後も継続していきます」

労働力不足に外国人材

 ――少子高齢化に伴い生産年齢人口も減ってきています。

 「今の高齢者は元気です。そういった皆さんに働いていただける環境づくりを、まずは進めたい。それからロボットとDXです。ロボット技術やデジタル技術は、業務効率化を補うために大きな力になると考えています。それと外国人です。県は現在ベトナムとの間に太いパイプを持っており、昨年、県内企業で働いてもらう流れもできました。優秀な外国人材によって労働力不足を補う施策も推進します」

 ――昨年も米軍による事件・事故事案が続発しました。日米地位協定の改定が課題です。

 「神奈川県は沖縄に次ぐ第二の基地県です。日米安保条約、安保体制を守るのが我々の大きな使命だと思っていますが、米兵の犯罪を日本の法律体系の中で扱えないという現状に対し、割り切れないという住民感情もあります。私は米軍基地が所在する15都道府県の知事で構成する『渉外知事会』の会長でもあります。石破総理は総裁選時に日米地位協定の見直しを明確におっしゃっていましたので、この問題を前に進めてくださることを期待しています」

 ――今年3月に新たな地震防災戦略を策定予定です。

 「昨年の能登半島地震では情報網が未整備で全体像を把握できない状況がありました。県では『防災DX』を以前から準備してきましたが、それをさらに発展させ、デジタル技術の活用促進により安心安全を図ることを基本に据えます」

 ――県民の皆さんに新春のメッセージをお願いします。

 「昨年は横浜DeNAベイスターズが日本一となり、大谷翔平選手も大活躍、オリンピック・パラリンピックでも神奈川県勢が活躍してくれました。そうした『感動』『高揚感』を新しい年でも展開したいですね」

鹿児島市街地と桜島

OGURIをあるく 〜小栗上野介をめぐる旅〜第30回 横須賀編【1】文・写真 藤野浩章

「二十日とは、なんともはや・・・」(第三章)



 小栗忠順(ただまさ)は、なぜ"自前"での造船所づくりに力を注いだのか。

 自らパワーを持つことが外交交渉で有利になることはもちろん、何よりすべての軍艦を外国から購入していた幕府は、度重なる修繕を製造国に依存し、莫大な予算を使っていた。この「コスパの悪さ」を勘定奉行として熟知していたのだ。

 さらに1863(文久2)年は、攘夷(じょうい)の動きがピークを迎えた年だった。

 帝(みかど)による攘夷命令の実行日であった5月10日を、幕府は賠償金の支払いという穏便な方法で何とか回避したと思ったら、翌日に長州藩が暴走する。外国商船を砲撃し、武力で攘夷を始めたのである。いわゆる下関戦争だ。

 この動きを見て小栗は朝廷と攘夷派への圧力策を5月下旬に提案するが、頓挫する(第29回参照)。

 一方、生麦事件の犯人引渡しを拒否した薩摩とイギリスが7月2日、ついに武力衝突に至る。薩英(さつえい)戦争だ。

 この直後の7月22日、小栗は陸軍奉行並に任命されているが、わずか20日で辞職している。その時の妻・道子のセリフが冒頭のものだ。実際、本書の通り薩英戦争の事で頭が一杯だったろう。

 しかも死傷者は十数名だけで、実質的に薩摩勝利とも言える戦果だったのだから、なおさらだ。近代兵器の威力を知った薩摩と、彼らの力を認めたイギリスはこの後急接近していく。

「薩摩恐るべし」。小栗は、近く薩摩藩と直接対決する日が来ると警戒するようになる。造船所と海軍力の増強は、反幕府勢力に対抗するためにも、必要だったのだ。