港南区・栄区版【2月13日(木)号】

特殊詐欺24年認知 港南が件数・額「大幅減」 栄区額が下がるも8件増

 2024年に認知された特殊詐欺事案について、港南区は30件(昨年比24件減)、被害額約4300万円(同1億4300万円減)、栄区は58件(同8件増)、被害額約8600万円(同3100万円減)だったことが分かった。ただ、認知件数は被害届が出された数であり、実際の被害状況とは異なるとの見方もある。

 神奈川県警が1月21日に発表した特殊詐欺認知状況(暫定値)によると、1年間で1999件の詐欺を認知し、被害額は約65億5800万円だった。昨年比では件数が26件減だったものの、被害額は約19億4900万円増だった。

「暗数が多い」

 港南区の30件のうち最も多かったのは預貯金詐欺の16件、次いでオレオレ詐欺が7件、キャッシュカード詐欺盗が4件、還付金詐欺が3件だった。架空料金請求詐欺、融資保証金詐欺は認知されなかった。

 昨年と比べると件数はほぼ半減し、被害額は4分の1以下と大幅な減少。市内の他区と比較すしても、件数は中区の20件に次いで2番目に少なく、被害額も瀬谷区の約3600万円に次いで2番目に少なかった。

 認知件数減少の要因として港南署担当者は県内1位だった阻止率の高さを挙げる。家族や金融機関などが被害を防いだものだ。ただ、「被害届が出されず、認知件数に含まれない暗数も多い。被害自体が大幅に減ったとは考えていない」との見方も示した。「手口も変わるので、工夫した広報が必要」と啓発に力を入れる考えを語る。

狙われる高齢地域

 栄区は58件が認知された。最多は預貯金詐欺で20件。次いで還付金詐欺が18件、オレオレ詐欺が14件、架空料金請求詐欺が3件、キャッシュカード詐欺盗が3件だった。融資保証金詐欺は認知されなった。

 市内の他区比較では件数は6番目に多く、被害額は4番目に少なかった。昨年比での被害額減少について、栄署担当者は「1件多額な被害があるだけで大きく変動することもあるが、そうした被害があまりなかったことが要因」と話した。

 また、目立ったのは還付金詐欺。県全体で前年比40%減だったが、栄区では125%(10件)の増加。県内で3番目に多かった。還付金詐欺は区役所職員などを謳い「還付金を渡すため」とATMに誘導。操作方法を教えるふりをしながら、送金手続きをさせる手口だ。同様に高齢化率が高い金沢区で県内最多の20件が認知されていることも合わせ、「(ATM操作に不慣れな)高齢者が多い地域が狙われたかも知れない」と分析する。

 さらに、最近の特徴的な手口として挙げたのが「警察官語り」。画質の低いビデオ通話で偽の警察手帳を見せて相手を信用させるという。「警察は電話でお金の話をしたり、手帳を見せたりすることはありません」と注意を促す。

SNSから始まる手口も

 また、特殊詐欺には分類されないが、県内で増加しているのがロマンス詐欺と投資詐欺だ。共にSNSを介するのが特徴として挙げられる。

 ロマンス詐欺は、SNSでつながった相手に恋愛感情を抱かせ「生活に必要」など理由を付けて金を要求する。性別年齢問わず被害が出ている。また、投資詐欺はSNS上の広告で、サイトに誘導。最初は少額で投資させ、利益が出たように見せかけた後、大金を投資させるのが手口だ。栄署担当者は「サイトに入る人は『お金を増やしたい』気持ちが強いので、詐欺だと気付けない」と話す。さらに、「昨今の投資ブームを利用している」とするのは港南署担当者。「幅広い層に啓発したい」と語った。

共同検針用の水道スマートメーター(防水型)

市水道の自動検針 全戸導入に向け技術検証 市民生活の利便性向上も

 横浜市はこのほど、自動で使用水量を把握できる水道スマートメーターの技術検証を今年10月から実施する計画を打ち出した。独居高齢者の見守りや減災対策にもつながる事業で、2028年度からの順次導入を目指す。

 スマートメーターは無線端末を用いて、自動的に使用水量データを取得するもの。現在は検針員約400人が平均して月約2500戸のメーターを目視で調べている。

 市水道局によると、導入後は利用者(市民)が1時間ごとの使用量を確認できるようになる。漏水やトイレの故障などの早期発見、水の不使用などの異変をいち早く察知することにより、独居高齢者の見守りにもつながる。加えて、将来予想される検針員不足への対応、震災時の断水エリアの早期特定や円滑な復旧作業が可能になるなどメリットが多いという。

 スマートメーターの技術検証は、19年度に始まった緑区(約460戸)に続いて2回目。緑区では携帯の通信回線を利用しているのに対して、10月からの検証は東京電力パワーグリッド(株)との連携によって、既に整備されている電力通信ネットワークを活用。3区(保土ケ谷・西・中)の約1000戸で自動検針を行い、さまざまな環境下における通信の安定性を調べるほか、通信コスト低減を模索する。

コスト低減が課題

 導入への課題が高コストだ。現行タイプは、設置や使用期間中(8年)の検針委託費を含めて1戸あたり約1万1000円。スマートメーターは現段階で、専用機器や通信コストによって現行の3倍ほどかかるという。

 市は19年度に導入に向けた連携協定を東京都と大阪市と結んでおり、仕様の共通化などを推進することで、コストを低減したい考え。市職員は「3都市で連携しながら、最短での全戸導入を目指したい」と話す。

 全国ではスマートメーターを住民の見守りに活用している事例もある。高知県仁淀川町では高齢化が進む地区で、水道利用の異常を検知した際に登録アドレスに通知する実証を行っている。

 市職員は見守りの仕組みについて、「個人情報の取り扱いなど課題もあるが、将来的に検討できれば」と説明する。

今年度、50周年を迎えた蓬莱荘の所長を務める 木村 正弘さん 港南台在勤 67歳

1人で終わる仕事はない

 ○…高齢者が健康で明るい生活を送れるように、趣味の教室やイベントを企画する蓬莱壮の所長を務める。昨年は施設50周年にあわせて市社協会長から表彰を受けた。「51年目に向けて、飛躍していきたい」と意気込む。「人と関わることが健康寿命につながる」という考えのもと、1年を通して多くの企画を考案。「訪れやすい施設」を目指している。

 ○…大学を卒業後、神奈川県庁に就職。参議院への出向も経験した。「委員会の運営など、一人で完結した仕事は無かった」と当時を懐かしむ。印象に残っているのは「在日外国人の生活課題」をテーマに市区町村の職員と行った共同研究。チームの運営を任され、「普段はそれぞれ別の場所で働いているから、常に相手の考えを把握するようにした」と調整役としての心得を明かした。その後、各自治体の職員と関わるうちに「地域に根差した仕事をしたい」と考えるようになった。

 ○…趣味は鉄道。中学生の時に見た鉄道雑誌がきっかけで、「今でも『鉄道ファン』という雑誌は読み続けている」とにこやか。蒸気機関車を好み、休日にはSLの写真を撮りに行くことも。「煙を吹きながら峠を越える力強さに惹かれた」とマニアの顔を見せる。

 ○…蓬莱荘に初めて訪れた時、「家にこもりがちだった母に、早く教えたかった」と生き生きとしている高齢者たちに感銘を受けた。その後は、県庁時代に培われた傾聴力を生かして、職員・利用者と積極的な対話を行ってきた。そして、周囲の要望を積極的に取り入れて、太鼓の演奏会など多様な企画を実施。利用者数はコロナ禍以前の水準に回復した。「より広い世代に使用してもらえる施設にしたい」と展望を語った。

横浜市教委 いじめ対策部を新設 専門部署で迅速支援へ

 横浜市教育委員会は、不登校やいじめ対策を強化するため、専門部署「不登校支援・いじめ対策部」を新たに設置する。情報共有を強化し、いじめの未然防止と児童生徒に対する迅速な対応、支援につなげることが主な狙い。

 横浜市の「いじめの状況調査結果」によると、2023年度のいじめ認知件数は小学校で1万3261件で、19年度の3倍超、中学校も2913件で、19年度と比較し2・3倍に増加している。昨年には、20年にいじめを理由に自殺した中学生の事案に関する第三者検証で、学校が基本調査の段階で、いじめを認知していなかったことなどが明るみになった。

 市教委ではこれまで、いじめに関する対応は、人権健康教育部人権教育・児童生徒課が担当していたが、多様な情報を一元化し、迅速な支援につなげるため組織を再編。専門部署を設けることにした。

 新設の「対策部」では、「いじめ対応情報管理システム」を導入。これまで学校現場がエクセルベースで入力していた「いじめ認知報告書」をシステムで一元管理し、いじめの未然防止や早期発見・対応につなげる。市教委の担当課長は「現場の教職員の業務負担軽減にもつながるはず。児童生徒と向き合う時間増につなげたい」と話す。

ソフト・ハードで不登校支援を強化

 不登校支援では、昨年9月から全中学校に拡充している校内ハートフル事業を通年運用とするほか、スクールソーシャルワーカーをチーム制とし、各区や民間のフリースクール、児童相談所などとの連携を強化する。さらに港南区上大岡の「ゆめおおおかオフィスタワー」に支援拠点を新設。リアル、オンライン、バーチャルの3層を活用した学びの空間を用意するなど「安心できる居場所と学びの機会」を確保する。

 市教委では「対策部」の他に学校現場や市教委事務局に対し、客観的に助言指導を行う「法務ガバナンス室」も新設。担当課は「学校現場でのリスクを軽減し、教育の質の向上が狙い」と話す。

セミナー参加者ら

港南区内30事業所 健康経営セミナーで学ぶ 社員元気で業績アップ

 港南区福祉保健課主催の「第2回港南区健康経営セミナー」が1月31日、港南区役所で開催され、区内の30事業所37人が参加した。

 健康経営とは、事業所が従業員の健康増進に力を入れることで、生産性向上などにつなげる経営手法。市は「横浜健康経営認証」制度を整備し、普及に力を入れている。

 セミナー内のパネルディスカッションでは既に取り組みを行っている事業所の担当者から、事業所内の変化や苦労、工夫について語られた。

 またグループディスカッションでは参加事業所間で現状の取り組みなどについて意見交換がなされた。

 主催した同課は「取り組みに対する悩みなどを共有する有意義な時間になった。今後開始する事業所の参加もあった」と手ごたえを語った。

市政を語る田野井市議

田野井市議「新春の集い」 地域活性化に注力

 港南区選出の田野井一雄市会議員の支援の会(中馬昌平会長)が主催する「第41回 市会議員たのい一雄 新春の集い」が2月7日、中区のロイヤルホールヨコハマで開催された。

 同会は毎年の恒例行事で、今回は約300人以上が参加。駐横浜大韓民国総領事館の金玉彩(キム オクチェ)総領事らが列席した。

 あいさつに立った田野井市議は上大岡駅周辺の再開発事業に触れ、「活性化に力を尽くしたい」と語った。

迫力ある演奏に聴き入る来場者

老人福祉センター蓬莱荘 太鼓と豆まきで地域交流

 港南区の老人福祉センター蓬莱荘で1日、「和太鼓演奏」と「節分豆まき大会」が行われた。

 60歳以上が健康で明るい生活を楽しむためのイベントや趣味の教室を開催している同施設。より幅広い世代に使用してもらえる機会の創出を目的に「地域交流事業」と題して、ファミリーコンサートやサマーフェスタなどのイベントを通年で開催している。

 当日は高齢者や子ども連れなど、100人以上が参加。保土ヶ谷区にある藤塚小の創立20周年を契機に発足した創作太鼓グループ「藤塚太鼓」が迫力ある演奏を披露した。中盤では体験コーナーの時間も設けられ、来場者はステージ上で自由に太鼓に親しんだ。その後は豆まき大会が行われ、木村正弘所長=人物風土記で紹介=を含む職員や、一部来場者が豆をまいた。

 参加した60代の女性は「今年も参加できて良かった。これからも地域の人が集まれるようなイベントを開催して欲しい」と施設への期待を語った。

駅利用者にチラシなどを配布

港南警察署 痴漢注意を呼びかけ 港南台駅で啓発物配布

 港南警察署は港南防犯協会、神奈川県警親会、県立横浜明朋高等学校の生徒会と協力して2月5日、JR港南台駅付近で「痴漢撲滅キャンペーン」を行った。

 2月14日に行われる県立高等学校の入学試験に合わせての開催となった同キャンペーン。受験生を狙った悪質な痴漢に対する被害対策の呼びかけや、痴漢の発生抑制を目的としている。今年は約10人が参加し、チラシや防犯ブザーなどが入った約400セットの啓発グッズを30分ほどで配り終えた。

 横浜明朋高等学校生徒会のメンバーは「今回で2回目の参加。今年も多くの人に受け取ってもらえて安心した。少しでも啓発に役立てれば」と話した。

 同署の生活安全課防犯少年係の児池伸介さんは「実際に被害に遭うと声をあげるのは難しいと思う。スマホの画面上に『助けて』といったメッセージを表示させて、周囲に気づいてもらうなど、周りへのアピールを諦めないで欲しい」と周囲に状況を知らせることの重要性を語った。

根本代表取締役

根本建設(株) 賀詞交歓で気持ち新たに

 横浜市や神奈川県内を中心に年間100棟以上を新築する地域の建設会社、根本建設(株)の新年賀詞交歓会がローズホテル横浜(中区)でこのほど行われ、関係者ら280人以上が参加した。

 会には港南区選出の県議、市議らも駆けつけた。冒頭、新年の抱負を語った根本雄一代表取締役は2024年に新社屋を建設したことや旧社屋をグループホームに改修していることなどに触れ「5年後、10年後も同じ顔ぶれでこれから先も一緒に仕事をしていきたい」と力を込めた。

ひまわりが鮮やかな港南区

役所で「御庁舎印」巡り 市の若手職員が初企画

 横浜市は市役所と全18区役所で、各庁舎をモチーフとした御朱印の庁舎版「御庁舎印」の初の販売を2月10日から始めた。市の若手職員が区局横断で新規事業の立ち上げなどにチャレンジする仕組み「横浜創造100人隊」による取り組みの一つ。

 市民や観光客が「御庁舎印」収集のため各庁舎を巡ることで、まちの新たな魅力発見につなげる目的で企画されたもの。通常はがきサイズの紙製で、表面には庁舎や区の木・花、名所など、裏面には庁舎やまちに関する情報が掲載されている。

 6区ずつ3期に分けての実施で、2月21日(金)までは神奈川、南、金沢、中、港南、栄、25日(火)から3月7日(金)までは鶴見、保土ケ谷、戸塚、西、旭、瀬谷、3月10日(月)から21日(金)までは磯子、緑、都筑、港北、青葉、泉の各区役所で、売店及び庁舎内の自動販売機で平日のみ販売する。時間帯は各区庁舎により異なる。市役所では市庁舎の印を3月21日まで毎日販売している。

 一枚300円(税込)で、10種類購入した人は集めた印を収納できる「御庁舎印帳」が市庁舎でもらえる(数量限定)。企画の担当者は「足を運んだことのない区庁舎を訪れ、楽しみながらまちへの理解を深めてほしい」と語った。問い合わせは市総務局行政マネジメント課【電話】045・671・4774。

祝賀会での鏡開き

横浜南間税会が60周年 会員や来賓集い祝う

 横浜南間税会(山岸幹夫会長)は2月5日、ナビオス横浜=中区=で創立60周年記念式典・祝賀会を開催した。

 同会は1965年、横浜南物品税協議会として発足。93年に現在の名称となり、現在は港南・金沢・磯子・南の4区から約250人の会員が所属し、消費税など間接税の知識普及や啓発などを目的に活動している。

 式典には来賓や会員あわせて約90人が出席。同会に長年貢献した26人、2団体へ感謝状を贈呈した。続く祝賀会では鏡開きをして盛大に節目を祝った。山岸会長は「皆さまと新しい時代に対応できる間税会を目指していきたい」と話した。

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福祉クラブ生協栄「いこい」 防犯対策学ぶ講座 2月20日 あーすぷらざ

 「地域でのお互いさまのたすけあい」を目指す団体、福祉クラブ生協 栄家事介護ワーカーズコレクティブ「いこい」は2月20日(木)、あーすぷらざ・中会議室で介護講座「防犯講話 強盗事件をどう防ぐ」を開催する。同団体は現在、参加者を募集中。2月17日締切。

 時間は午前10時から11時半。当日は栄警察署署員が闇バイト関連の強盗事件や悪質な点検商法等について解説する。

 申し込み、問い合わせは「いこい」【電話】045・895・2114(午前9時〜午後5時)。

甲子園での勝利を目指す選手

横浜清陵高 クラファンで支援募る センバツ出場で

 3月18日から兵庫県の甲子園球場で開催される春のセンバツ高校野球大会に、南区の県立横浜清陵高校が21世紀枠で出場を決めた。同校は「未知なる夢舞台に挑戦する選手たちに安心して試合に挑んでほしい」との思いから、学校に特化したクラウドファンディングサイト「Yellz(エールズ)」で支援を募っている。

 クラファンでは、県立高ということもあり経費や環境面が十分でない中、保護者の負担を軽減し、チームが大会に集中して参加できるような環境整備を目指す。目標金額は2千万円で、1000円から寄付ができる。まずは選手たちのサポートが最優先だが、在校生の応援参加費補助にもつなげたい考えだ。詳細・寄付は「Yellz 横浜清陵」で検索を。

 地元のドンドン商店会協同組合は、入口アーチに横断幕を掲げる予定。若山光晴理事長は「何ができるか考えながら、応援していく」と話した

2014年10月、台風による大雨で栄区の一部が浸水=市提供

横浜市 下水道浸水対策を強化 高リスク地区で施設整備

 横浜市が下水道による浸水対策の目標などを定めた「(仮称)横浜市下水道浸水対策プラン」の素案を昨年12月に発表した。素案では気候変動による大雨に備え、排水路や下水道施設の整備を強化する方針やリスクが高いと判断した地区から整備を行い、約20年かけて完了させることなどが示された。市は素案への意見を2月14日まで募っている。

 浸水には大雨で河川があふれる「外水氾濫」と、降雨が河川などに排水できずに起こる「内水氾濫」がある。下水道は雨水(内水)を排除する役割があり、市は河川などに放流する雨水管やポンプ場の整備を行う。

 今回のプランは、下水道の浸水対策の目標や進め方などを定めたもの。市はこれまでも、過去に浸水が発生した地区を優先して施設整備を進めており、2025年度末までに発生地区の約9割で整備が終わる見込み。

 09年〜23年の15年間、市内で最も浸水が多かったのは14年の約240棟。そのほかの年は数棟から100棟以内で推移し、20、22、23年は1棟も被害がなかった。

雨量基準引き上げ

 しかし、13〜22年に市内で1時間あたり50mm超の雨が降った回数は平均で年328回で、1976〜85年の約1・5倍に増加。今後、気候変動によって増加が予測される。国は21年に雨量増を踏まえた整備水準の引き上げを実施。従来より1割増の雨量に対応するよう自治体に求めている。

 この状況を受け、素案では浸水対策の考え方として、下水道から水をあふれさせない「防災」の観点と水があふれても床上浸水させない、浸水しても安全に避難できる環境を整える「減災」の目標を掲げている。

 さらに、市内を6千以上の地区に分け、浸水のシミュレーションを行い、人口や鉄道駅などの状況を考慮してリスクを算出。高リスク地区を含む流域を受け持つ16幹線・252地区の施設を約20年かけて整備する方針を示した。市下水道河川局によると、水が集まりやすい窪地は浸水リスクが高いという。

 市は素案への意見を募っており、プランを3月に公表する見込みだ。

横浜市、下水道管緊急点検で路面下空洞2カ所を発見 埋め戻し完了 八潮市の陥没事故受け

 埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、横浜市は管理する下水道管の緊急点検を2月3日から5日に実施し、その結果を10日に発表した。

 点検は水再生センターへ流入する内径2m以上の汚水幹線と合流幹線の24本。水再生センター直近のマンホールから下水道管内部を目視で点検するとともに、管が布設されている道路表面も点検した。加えて、対象の下水道管が布設されている道路の下に空洞がないか、電磁波地中レーダー方式で調査した。

 その結果、下水道管の点検では緊急対応を要する異常は見つからなかった。空洞調査では、港北区新吉田町と神奈川区入江2丁目の2カ所で緊急対応が必要な空洞を発見。原因は点検した下水道管に起因するものではなかったが、2月10日までに埋戻し作業を終えた。

 市は定期的に行う目視点検やテレビカメラを使った下水道管内部の調査を続けていくという。

当日のチラシ

栄区在住の小説家 大崎梢さんの講演会 あーすぷらざで3月29日

 栄図書館と栄区は3月29日(土)に開催される栄区在住の小説家・大崎梢さんの講演会参加者を募集している。

 当日、大崎さんは同区が舞台のモデルとなった小説『春休みに出会った探偵は』を執筆した際のエピソードや、推薦本などについて語る。また、参加者から集めた質問にも答える。開演は午後2時。

 参加無料で事前申し込み制の先着100人。期間は3月22日(土)まで。

 市電子申請サービスや、栄図書館カウンターまたは電話にて申し込みを受け付けている(火曜から金曜までが午前9時30分から午後7時まで。土・日・月曜日と祝日は、午後5時まで)。【電話】栄図書館045・891・2801

永谷天満宮で豆まき 健康願い「福は〜内」

 永谷天満宮は節分となった2日、毎年恒例の豆まきを行った。

 午前中からの雨で開催が危ぶまれたが、昼頃に回復し、無事決行。紅白の幕が張られた特設の舞台上から年男、年女など10人ほどが、集まった人に豆を投げた。

 今年は天候に加え、気温が下がったことで、例年よりも集まった人数は少なかったというが、それでも150人程度が参加。永谷天神囃子によるお囃子も披露され、人々を楽しませた。

 川辺浩司宮司によると「豆は清めのもの」という。縁起のよい年男、年女が豆を投げた豆を拾うことで、集まった人たちは「福を取り入れ、厄を払う」ことができるとされている。「節分に豆まきを行うことによって、今後、健康に過ごしていけると思います」と笑顔だった。

アマビエ挟み紙と1月限定御朱印

御朱印探訪【3】 毎月変わる限定御朱印も魅力の栄区上郷町・横浜御嶽神社 記者の参拝レポート

 御朱印(ごしゅいん)とは、神社や寺を参拝した証として押印される印章印影のこと。参拝の記録として集める人も少なくない中、タウンニュース記者が横浜市内の寺社で入手できる御朱印を紹介する「御朱印探訪」。3回目は栄区上郷町にある横浜御嶽(おんたけ)神社を訪れた。

 JR港南台駅、大船駅からバスに揺られること約20分。中島バス停で下車し、すぐ横にある急坂を上がれば目的地、横浜御嶽神社だ。

横浜市内で唯一、木曽御嶽山の神々を祀る

 石段を数段上がると石造りの鳥居があり、その先右手に手水舎が備えられている。手水のすぐ先には、不動明王と稲荷社が。少し変わっているのは、手前に小さな池があり、その奥に二つの社がある点だ。

 「この神社がお祀りしている木曽御嶽山では、滝の下に不動様が祀られているので、それを模しているんです」。そう教えてくれたのは、禰宜(ねぎ)の森沙緒莉さんだ。

 横浜御嶽神社は創建1903(明治36)年と言われている。森さんによると、初代先達の森巳之助(みのすけ)氏はこの地の農家に生まれ、幼少期から信心が篤く、木曽御嶽山で修行。天台寺門教会で法名を授かったのち、生家のある横浜へ戻って自宅で護摩行を続けていたという。

 詳しく書かれた文書が残っているわけではないので、と前置きしたうえで森さんは「明治36年より前に木曽御嶽神社から御分霊されて、巳之助さんの自宅内に創建したと言われています」と話す。 

木曽の山に帰った信者は霊神に

 森さんに案内されて本殿へ。一般の参拝では内部まで入れないが、病気平癒や厄除けなどの各種祈祷は本殿内で行われる。御嶽神社の御祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)、国常立尊(くにとこたちのみこと)、少彦名命(すくなひこなのみこと)の三柱で、総称して「御嶽大神」として祀っている。

 「他の神社ではあまりないのですが」と森さんが教えてくれたのが、内殿左側に設けられた霊神碑(れいじんひ)だ。木曽御嶽神社の信仰において、御嶽山に信仰を尽くした行者や信者は亡くなると木曽の山に帰るとされていて、その後、その魂を霊神として内殿に祀るのだという。

 「この場所で信仰された方々、約40人の霊神がいま、霊神碑に祀られていると記録が残っています」と森さん。

病気平癒を願う人々が訪れる神社

 そんな横浜御嶽神社では定番の3種(御嶽神社、不動明王、稲荷神社)のほかに月替わりの御朱印を授与していて、動植物や雪だるま、花火など、季節感が伝わるデザインになっている。使用する判も御嶽神社のオリジナルだ。

 「よく参拝にいらっしゃる方の励みになれば」と、森さんが月替わり御朱印を始めたのは7〜8年前。その後、コロナ禍があり、御朱印帳に挟む「挟み紙」に疫病退散の伝承がある妖怪、アマビエを描くようになった。コロナ禍が落ち着いた今でも、「健康祈願、病気平癒を願って当社へいらっしゃる方が多いので」アマビエの挟み紙を続けている。ひな祭りや端午などの節句や祭事に合わせた限定御朱印を用意することもあるそう。

 「毎月変わる御朱印を楽しみにしてくださる方も少なくないので、以前と同じような絵柄にならないよう、気を配っています」と森さん。

 御朱印は書き置きが基本だが、公式SNS(Facebook、Instagram、X)で書き入れ対応ができる日を公開しているので、直書きをしてほしい場合はSNSをチェックしてほしい。

■栄区上郷町1314

【電話】045-891-4457

▽参拝は午前8時ごろから日没まで。御朱印授与は午前10時から午後4時

▽御朱印授与1枚500円。初詣限定の切り絵御朱印1500円(なくなり次第終了)