鎌倉版【4月4日(金)号】
出艇する宮本(前)・山本ペア(提供)、宮本南穂さん

"ボートの甲子園"で4位入賞 宮本南穂さん「夏は優勝」

 "ボートの甲子園"とも呼ばれる全国高等学校選抜ローイング大会が3月22日・23日、静岡県で行われ、横浜商業高校ボート部に所属する宮本南穂(なお)さん(当時2年・鎌倉市在住)が女子ダブルスカルで4位に入賞した。競技歴2年。夏のインターハイでの優勝を目指し、練習に励んでいる。

 神奈川県内に女子の出場校は他にないが、関東は強豪ぞろい。そんな中で、11月の関東選抜ではトップに立ち、全国への切符を勝ち取った。

 日本一を目指す部内では、大会ごとに出場メンバーを選考し直しており、関東選抜時からペアが変更になった。新たに組んだ山本芽生さん(当時1年)と順調に2000mを漕ぎ切り、自身最高の全国4位に輝いた。「正直入賞できるとは思っていなかった」と驚きと喜びを語る。

 スポーツについての学びを深めようと進学した同校で、ボート競技と出会った宮本さん。「高校で新しいことに挑戦したい」と考えていたこともあり、ボート部への入部を決めた。

 同部は、1897年に創部。競技未経験者がほとんどだが、全国トップクラスの強豪で、2021年にはインターハイの女子ダブルスカルで全国優勝を果たしている。

 小中学校では陸上競技をやっており、体力に自信はあった宮本さんだが、使う筋肉が全く違うため、当初は筋肉痛の日々が続いた。グッと押し出す脚からオールを持つ腕まで、全身を使って推進力を生みだす。2人乗りのボートは細長く、体幹も重要だ。

 宮本さんが出場したダブルスカルは2人乗りで、夏は1000m、冬は2000mのタイムを競う。練習拠点は相模湖のため、平日はボート用の器具での陸上トレーニング、休日は相模湖での水上練習を続ける。今大会で手応えを掴んだこともあり、「夏のインターハイは優勝したい」と思いを新たにする。

笛田での戸別収集の様子=1日

鎌倉市 ごみ戸別収集を開始 AIで効率化も視野

 鎌倉市が4月1日から、一部地区で燃やすごみの戸別収集を開始した。導入されたのは七里ガ浜や笛田、今泉などの約1万世帯。初日は雨天での収集となったが、市ごみ減量対策課では「概ねスムーズに収集できた」と話す。

 ごみ戸別収集は、各家庭等のごみを道路に面した敷地内に出し、建物ごとに収集する方法。ごみ出しの労力や集積所維持管理の負担軽減を目的に、藤沢市や葉山町などで導入が広がっている。

 鎌倉ではカラス被害などが生じている「燃やすごみ」を優先し一部で先行導入。来年度から市内全域の実施を予定する。

 1日、笛田の住宅地では委託事業者が玄関先に置かれたボックスからごみを取り出し、収集車に積み込んでいった。地区内の住民は「生ごみは重いので集積所まで行かず楽になるが、自分のごみに責任を持たないといけない」。市では「従来の集積所に出されているケースがあったが、戸別収集の周知が進めば解消されるのでは」と話す。

 市では2012年〜16年に戸別収集のモデル事業を実施したが、費用に対するごみ削減効果や市民理解が不十分として当時は導入を見送った。

 しかし、近年は戸別収集を望む声が増え、パブリックコメントでは賛成意見が6割を占めた。過去に戸別収集を行った地区では8割が希望していることなどから、市では導入を決定。モデル事業を実施した地区や、高齢者や子育て世帯の居住割合が多いエリアなどから先行地区が選ばれた。

 燃やすごみの戸別収集を市内全域で実施すると、費用は従来よりも3億2千万円増えるが、同課では「これからの時代に合わせた必要なサービス」と話す。

人工知能でデータ蓄積

 市では23年から、収集車に取り付けたカメラから地区ごとのごみ排出量などを数値化し、データを集計する実証実験に取り組んでおり、今回の戸別収集でもデータの蓄積を行っている。

 ごみ減量対策課では「戸別収集開始による排出量の変化や地区ごとの傾向を分析することで、今後はごみの量に応じて収集車の運用を効率化することもできる」と期待を寄せる。

4月1日に学生団体「ニューコロンブス」の5代目船長に就任した 松山 亮翔(あきと)さん 浄明寺在住 17歳

決意の出船にワクワク

 ○…高校生から大学生の若者たち173人が独自のまちづくりに取り組む学生団体「ニューコロンブス」の5代目船長に就任した。高校3年生。受験も控える大切な時期だけに苦悩したが、「やりたい気持ちが勝った」と、大役に挙手。迷いを振り切った。新たな航海の視界は良好だ。

 ○…旗揚げ5周年の節目として、定期的に開催する謎解きと地域清掃を組み合わせた「MiiGO」の拡大版を5月に開催する。歴代船長などゲストを招くラジオ局も開設し、活動の魅力を発信。「やりたい企画が次々出てくる」と構想は尽きない。学校にアルバイト、ミーティング、イベントとスケジュールは目一杯だが、「忙しい方が楽しい」と、荒波の日々を乗りこなす。

 ○…生まれ育った鎌倉市。幼い頃は「映画館もなくて遊ぶ所もない」と、魅力を感じられなかった。練習に励んだバスケットボールだが、進学した湘南工科大学附属高校では身長2mを超える選手が所属する現実からバスケ部に背を向けた。学校とバイトを繰り返す味気ない日々を変えたのが、ニューコロンブスだった。「最初は軽い気持ちだった」が、湘南国際マラソンでのブースで途切れない来場者に懸命に対応するうちに、心の殻が破れていった。「素の自分を出せるようになったら、いつの間にか笑いながら活動していた」と振り返る。昨年度副船長を経験した今は、「人の心が温かい鎌倉は、自分の誇り」。船旅は少年を青年に変えた。

 ○…将来の道は「まだこれから」とはにかむ。先輩や地域の人々から学びを得る中で、未来のキャンバスは刻々と色を変える。それでも「人と人をつなぐ居場所作りはいつまでも続けていきたい」。それは、身をもって学んだ人生の羅針盤。

「インパクトある心に残る作品です」と柏木さん

ダンサー・柏木みどりさん 好評のカルメンを一新

 大船在住のジャズダンサー・柏木みどりさんの公演が5月15日(木)、鎌倉芸術館で開催される。

 柏木さんは、15歳で日舞・柏木流の名取に。タレントや松竹女優を経てジャズダンサーとなり、ジャズ・モダン・日舞などを組み合わせた独自の世界を表現してきた。

 今回は、人気作の「魔性の女 カルメン」の振り付けを一新。新作の「結ばれない恋の糸は」は、バイオリンと和楽器による「竜馬四重奏」の生演奏と共に披露する。

 午後7時開演。前売5千円。購入は同館【フリーダイヤル】0120・1192・40。

10組20人を招待

 公演に読者を招待。氏名・住所を添え、〒251―0021藤沢市鵠沼神明5の13の19の2階タウンニュース「柏木さん」係へ。4月16日(水)必着。招待券は主催より発送。

鎌倉市 東アジア文化都市開幕式の参加募集

 日中韓3カ国により、文化芸術の発展を目指す東アジア文化都市事業。今年の事業都市として選ばれた鎌倉市は、5月20日(火)に鎌倉芸術館で開催する開幕式の参加者を募集している。

 各都市のパフォーマンスなど。午後2時〜。無料。申し込みはフォーム(https://questant.jp/q/East-Asia2025)。

自宅でできるトレーニングを体験=22日・藤沢市内

あおば整骨院 保護者向け「体の勉強会」

 大船に本社を構える(株)あおばHDは3月22日、バスケットボールクラブ「カマクラソルマール」の保護者を対象にした「体の勉強会」を同社研修センター(藤沢市)で実施した。

 鎌倉市内やその近隣の小学6年〜中学3年生が所属するカマクラソルマール。昨年4月から同社がチームのオフィシャルパートナーとなり、けがの少ない身体づくりやけがをした際の早期治療などで、選手たちをサポートしている。

 当日は、チームの保護者向けの講習会を初めて開催。体幹とバランスを鍛えることに着眼したトレーニングを保護者自ら体験することで、子どもの体の状態を把握できるようにすることが狙い。「子どもと一緒に継続したい」、「けがをしないためには体のバランスが大切」と口をそろえる保護者たち。チームの上林裕和代表は「力強くバスケをするには親の協力が欠かせない」と言い、同社の今川一弥さんも「子どもたちが元気に活躍できるサポートを続けたい」と話した。

大船フラワーセンター 花と音楽春の共演

 大船フラワーセンターで4月6日(日)、フラワーコンサート「ヴァイオリン・デュオコンサート」が開催される。午前11時からと午後2時からの2回開催。会場は本館2階フラワーホール。参加費無料(入園料は別途)。

 春の穏やかな陽気と鮮やかな花々に包まれて、バイオリンとピアノの音色を楽しむ。出演は木村美宇さん(バイオリン)、丹治成美さん(同)、佐藤ひなのさん(ピアノ)。事前申込は不要だが人数制限あり。

出張鎌倉ミュージアム 宝戒寺特別拝観と講演 5月11日 参加受付中

 日本遺産に認定される鎌倉。その構成文化財を巡る出張鎌倉ミュージアムが、5月11日に宝戒寺(小町)で開催される。

 昨年12月の明王院を舞台にした出張ミュージアムに続く第2弾。今回は、宝戒寺特別拝観「足利尊氏公念持仏(十王厨子地蔵菩薩)」と、明治大学の清水克行教授による講演「足利尊氏と鎌倉」を予定する。

 宝戒寺は1333年の北条氏滅亡後、その霊を弔うために、後醍醐天皇の命を受けた足利尊氏が建立した寺院。参加者には同寺特別御朱印をプレゼントする。

 時間は【1】午前10時半〜正午【2】午後2〜3時半。参加費4千円(別途拝観料)。定員各40人。申し込みは鎌倉市観光協会ホームページ。(問)【電話】0467・23・3050 

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「花咲く和紙」を発案した野口社長

古紙が花咲く和紙に 雪ノ下のSOUPが開発

 4月10日は、シードの語呂合わせで「タネの日」。若宮大路沿いの有限会社SOUP(スープ)(雪ノ下1の8の38の3階)では、企業から出た古紙を種入りの「花咲く和紙」にアップサイクルする資源循環プロジェクトを行っている。

  ◇  ◇  ◇

 企業から回収した古紙を原料に、職人が作る種入りの和紙。古紙3kgなら、名刺2千枚分に生まれ変わる。参画企業は、和紙製のカードや名刺などを配布し、自社のPRに活用する。種入りの和紙は、見た目も手触りも独特で、会話が生まれるきっかけにもなる。

 「花咲く和紙」の名の通り、ひと晩水につけて土に埋めると数日で種が発芽し、カモミールなどの花が咲く。紙は、分解され数ヶ月で土に還る。

 2008年、米国製シードペーパーの輸入代理店として創業した同社。コロナ下に「日本製シードペーパー」作りに乗り出した。

 山梨県の職人の協力を得て、22年から販売を開始。今では鎌倉の不動産店をはじめ、全国各地の企業が利用する。和紙に生まれ変わる古紙は、今年1トンを超える見込みで、鎌倉市のふるさと納税返礼品にも加わる。

「驚きと感動を」

 クリスマスカードとして受け取ったシードペーパーに感動し、同社を立ち上げた野口世津子社長。「環境のための取り組みとして広がるだけでなく、受け取った人が驚いたり、感動したりしてくれたら」と語る。

 主力は企業向け商品だが、プリンターで印刷できるはがきや子ども向けの工作セットなども一般向けに販売。毎月のオープンデーでは、購入や相談もできる。4月は9日(水)、23日(水)の午前11時から午後5時まで。(問)0467・23・3778

9日から 鎌倉カメラクラブ30回目の写真展

 30回目の鎌倉カメラクラブ写真展が4月9日(水)から13日(日)まで、鎌倉生涯学習センターで開催される。午前10時〜午後5時(最終日は4時)。

 全日本写真連盟に加盟する同クラブ。写真展では、会員24人が撮影した風景や人物など約100点を展示する。入場無料。(問)石井さん【携帯電話】080・5517・2239

歴史文化交流館 「平泉から鎌倉へ」企画展を開催中

 鎌倉歴史文化交流館で、企画展「平泉から鎌倉へ-兵どもが夢の先-」が開催されている。6月21日まで。

 鎌倉幕府の歴史書「吾妻鏡」には、平泉藤原氏が築いた浄土世界に感激した源頼朝が、平泉の寺院を模して永福寺を建立したと記される。企画展では出土品を通して、鎌倉へ伝わった平泉の文化について紹介する。

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4日「夜桜まつり」 鎌倉駅東口に地元店集結

 「かまくら駅前夜桜まつり」が4月4日(金)、東急ストア鎌倉店前の通りで開催される。午後5時30分から8時まで。

 鎌倉駅東口周辺の店舗や企業などが加盟する鎌倉表参道商店会が主催する夜桜まつり。昨年3月の朝市、8月のぼんぼり夜祭りに続く第3弾として、今回は地元事業者ら26店舗が出店する。

 当日はラーメン・焼きそば・蒸牡蠣・建長寺汁・シフォンケーキ・ビール・ワインなどの飲食コーナーの他、古本、竹製品、鎌倉彫、ぶどう蔓工芸品、鮮魚の買い物が楽しめる。また、鎌倉市農協連即売所(レンバイ)が初出店。特設ステージでは生演奏が堪能できる。

 同商店会は、「暖かくなってきたこの時期に、生演奏を聴きながら食事と買い物を楽しみませんか」と来場を呼びかける。詳細は、商店会ホームページまたは(株)ビィバリュー【電話】0467・25・4551。

「伝統は革新の連続」と話す久保田社長=21日・豊島屋本店前にて

先駆者に聞く! 「ロングセラー」の秘訣は? 豊島屋・久保田陽彦社長

 2003年創刊から、足掛け23年で1000号に到達したタウンニュース鎌倉版。次への第一歩を踏み出すこの機に、鳩サブレーで知られる(株)豊島屋(としまや)の4代目・久保田陽彦社長(65)にインタビューした。鳩サブレーは明治30(1897)年頃に誕生し、130年近く続く超ロングセラー商品。長きにわたって愛される秘訣とは?先駆者に聞いた。

 --単刀直入に伺います。鳩サブレーのロングヒットの理由を聞かせてください。

 嘘をつかない、正直な商売をするってことじゃないでしょうか。いろいろなお菓子を見てきて最近思うのは、「売れるためのお菓子」を作っているところがあるなと。我々の本業は「おいしいお菓子」を作ること。まだまだおいしくできると思っています。そのために何ができるのかと。

 --この1000号記念特別号に登場いただいたバレリーナ上野水香さんは、子どもの頃から鳩サブレーが大好きだったそうです。上野さん曰く、「おいしさの秘密はバターでは?」と。

 バターだけじゃありませんよ(笑)。詳しくは言えませんが、うちはおいしいバターではなく、鳩サブレーに合うバターを探し続けています。もっと合うバターが絶対あるはず。「ワリ」と呼んでいるレシピ、材料は当初から変わっていませんが、どこのバターや小麦粉を使うかは、明治、大正、昭和、平成、令和とその時々で見極めてきました。伝統っていうのは、革新の連続だと思っています。

 --一方、守り続けているものはありますか?

 社員には常々、気持ちを込めようと言っています。1枚の鳩サブレーと、お母さんが子どものために焼いた1枚のクッキー。どちらがおいしいかと言うと、お母さんが作った方がはるかにおいしいと思うんです。100%以上の気持ちが入ってますから。10枚でも敵わないけど、100枚ならいい勝負ができる。1000枚だと負ける気がしません、プロとアマの差がありますから(笑)。我々もお母さんに負けないように気持ちを込めようって。今の鳩サブレーを「完成品」だとは思っていません。

 --今後の思いは?

 鎌倉という街にやっぱり御恩があるので、返していきたい。自分のところだけでなく、街と一緒に成長していけたらいいですね。

取材に答える上野さん=3/17・東京バレエ団

1000号記念特別インタビュー 鎌倉から世界へ「飛躍」 バレリーナ 上野水香さん

 タウンニュース鎌倉版が、2003年10月3日に発行した創刊号から、2025年3月28日号で1000号を数えた。節目を記念して発行するこの1000号記念特別号では、鎌倉から世界へ羽ばたいたバレリーナ上野水香(みずか)さん(47)を取材。本紙、さらには鎌倉のさらなる発展を願い、「飛躍」をテーマに話を聞いた。

 大船で育った上野さんは、15歳でローザンヌ国際バレエコンクール入賞。17歳からプロとして活動し、『白鳥の湖』『ジゼル』などを国内外で披露する世界的バレリーナへと成長していった。20世紀を代表する名振付家の故モーリス・ベジャール氏から踊ることを許された『ボレロ』は、彼女の代名詞に。2023年秋には紫綬褒章受章。現在も東京バレエ団のゲスト・プリンシパル(最高位のダンサー)として、多くのファンを魅了し続けている。

練習は本番さながら

 日本を代表する踊り手にまで登り詰めた上野さんは、母の薦めで5歳から藤沢のバレエ教室へ通い始めた。「練習をたくさんできない子だったんです。周りの子たちは何度も反復練習するところ、私も同じようにすると次の日にどこかが痛み、休まなきゃいけなくなっていた」。バレエが好きで、何よりも楽しかった少女は考えた。

 集中して、1回だけ踊る。「コンクールや発表会の曲を、練習から真剣に通しで踊る。徹底して1回」。指導者から受けたアドバイスは、翌日の練習までに修正。その際、上野さんは独自にノートをつけていた。「今日は〇とか、×、△とか。注意されたことをいつも書いていた」と懐古する。

 子どもの頃の思いは、今にも通じているという。「舞台を重ねていく中で、舞台で上手くいくことがどれほど大切なのかを学んだ。すごく集中して踊らないと、観ている人は喜ばない。上手くいくと、周りは喜んでくれる。絶対に上手くいかせるという強い意志を持って舞台に出ていくようになりました」

 身長170センチ。すらりと長い手脚で美しいラインを生み出し、大きな瞳は舞台上での表現を一層映えさせる。世界的な振付家から『ボレロ』を授かったのは26歳の頃。実はそれ以前から、片思いを募らせていた。

「喜んでほしいから」

 18歳の頃にボレロの公演を初めて観賞した際、「超ステキって。感動して、憧れて...」。プロの道をスタートしたものの、配役はなく苦悩の時期を経験。そこで考えたのが"勝手に"上野水香オン・ステージだ。鎌倉芸術館のホールを借り、観客は家族らわずか7人。「手書きのプログラムを作り、それっぽい衣装を着て。ラジカセで音楽を流してボレロを踊ったんです(笑)」。上野さんの初ボレロに、客席では祖父母が熱狂していた。「自分の踊りによって人を喜ばせたいという気持ちは、あの頃から変わっていません」

 所属する東京バレエ団は45歳が定年。ファンからの熱望もあり、バレエ団がゲスト・プリンシパルという地位を設け、上野さんは団員として舞台に立ち続ける。「いつ引退するか、いつ次の道に進むのか。じゃあ次は何をするのか、今は何もわからない」。ただ、こうも話す。「求めてもらえるから踊る。踊るから生きている。喜んでもらえるから踊る、だから生きている」。今後も、4月下旬に「Pas de Trois 上野水香×町田樹×高岸直樹」、6月には東京バレエ団「ザ・カブキ」の公演が控える。

 100年ほど前、エリアナ・パブロワによって日本初のバレエスクールが誕生した鎌倉。日本バレエ発祥の鎌倉から世界へ飛躍した上野さんは、「市民の方がもっとバレエに親しむきっかけに、私がなれたらうれしい。鎌倉でまたオン・ステージができたらいいですね」と目を輝かせた。

取材に答える上野さん=3/17・東京バレエ団

鎌倉版1000号記念特別号

 2003年の創刊から、2025年3月28日号で発行1000号に到達したタウンニュース鎌倉版。この節目に合わせて、鎌倉編集室では「1000号記念特別号」を発行しました。

鎌倉から羽ばたいた世界的バレリーナ・上野水香さんへの「飛躍」をテーマにしたインタビュー、

鳩サブレーで知られる豊島屋・久保田陽彦社長に「長く愛される秘訣」を取材。鎌倉市民の笑顔もたっぷり詰まった紙面です。

p span{color:#ff6e00;font-size:1.4em;line-height:1.1;} #akimeguri{margin-bottom:60px} #gazouId{background-color:#F6F6F6;padding:10px;} #gazouId img{display: block;width: 98%;float: left;padding: 1%;} .none{display: none} ◆以下の画像をクリックかタップするとデジタルブックが開きます。


鎌倉の今昔、映像で 26日 鎌倉同人会の講座

 鎌倉同人会の講座「映像で振り返る鎌倉の今昔」が4月26日(土)、鎌倉生涯学習センターで開催される。

 この講座は「鎌倉再発見」をテーマに実施しているもので、今回で30回目。東京大学学術専門員(歴史映像学)の山内隆治さんが講師を務め、鎌倉を舞台に市民によるごみ問題解決を描いた映画『わが街の出来事』(1950年)に触れながら、鎌倉の今昔を語る。午後2時から4時まで。申し込み制(4月1日〜)で先着50人。一般1000円。

 申し込みは、同会事務局(銀の鈴社内)【電話】0467・61・1930。