伊勢原版【4月11日(金)号】
受賞作品「生命の木・II」(本人提供)

陶芸家 村山恵子さん NHK会長賞に 日本新工芸展で新境地

 伊勢原市石田在住の陶芸家、村山恵子さんの作品「生命の木・II」が、「第47回 日本新工芸展」においてNHK会長賞を受賞し、その造形と深い精神性が、多くの人々の心を捉えた。

 日本新工芸展は、単なる伝統工芸の継承にとどまらず、現代の生活空間や美意識に調和する新たな工芸の創造を目指す展覧会。陶芸、染織、漆芸、金工、人形など、多様な分野の作家が参加し、それぞれの素材と技を駆使しながら、自由な発想と斬新な表現を追求している。公募展としての性格を持ち、若手作家の登竜門としても重要な役割を果たす。

 3月23日に行われた審査会で村山さんの作品は、「自然の力で上に伸びてゆく樹のように、又、時々つまずきながらも天を目指していく造形の抽象的な陶芸作品だが、形は有機的な人体や自然の形を連想させる」と高く評価された。

立体的な視点取り入れ

 村山さんは愛知県出身で24歳の時に上京し、作陶を開始。結婚を機に伊勢原へ転居し、1989年の女流陶芸展で初入選を果たすと、日展をはじめとする公募展で入選してきた実力の持ち主。

 近年、作風には顕著な変化が見られる。以前は左右対称で安定感のあるフォルムが多かったが、現在は360度どの角度から見ても異なる表情を見せる、複雑で有機的な形が特徴となっている。この変化について村山さんは、「作品を立体として捉え、鑑賞者が様々な視点から作品と対話することを意識するようになったため」と語る。

 作品に施された繊細な模様も、村山芸術の重要な要素。これらの模様は、暗闇の中で見るイメージを形にしたものだという。具体的なモチーフを持たない抽象的な文様は、見る者の想像力を刺激し、内面に深く響く。村山さんは、これらの模様について「架空のもの」であり、「説明できない」と語っており、作品に神秘的な魅力を添えている。

 受賞作について村山さんは、「うれしい」と素直な喜びを語った。自身の新しい挑戦が、公の場でどのように評価されるのか関心を持っていたという。

 村山さんは伊勢原美術協会会員として市展のサポートのほか、市内で陶芸教室を開くなど、精力的に活動を続けている。村山さんの作品は、5月12日(月)から18日(日)に東京都美術館(東京都台東区)で開催される日本新工芸展で展示される。

移転した遊具で遊ぶ幼児ら(中央が宇都宮住職)

坪ノ内 養国院 「思い出の遊具残して」 処分惜しむ園児の声で

 市内坪ノ内にある大乗山養国院(宇都宮昌徳住職)の境内の一角に、幼児用の遊具がお目見えした。これは、宇都宮住職が理事長を務めていた相模原市の中和田幼稚園(齋藤淑子園長)が3月31日で閉園となったことから移転したもの。

 同幼稚園は1966年4月、「正しく 強く のびのびと」を掲げ、創立者の願いであった仏教の教えのもと、「自立と慈悲深い心、思いやりと感謝の心を忘れずに」をモットーに、明るく健やかな仏教情操教育による園児の育成に力を注いできた。

 しかし、少子化や認定こども園のニーズの高まりなど、子育て環境の変化の波を受けて3年前に閉園が決定。このたび3月末をもって59年間の歴史に幕を閉じた。

 閉園にあたり、遊具が廃棄処分されることを知った同園最後の卒園生7人の園児や保護者らから、「思い出がたくさん詰まった遊具がなくなってしまうのが寂しい」と処分を惜しむ声が上がった。そこで先代理事長から後を託され、8年前から同園の理事長を務めてきた宇都宮住職が「子どもたちの思いを少しでもかなえられるなら」と養国院で引き取ることを決めた。

 遊具の移転については、ブランコや滑り台などの大型遊具は運ぶことが困難であることから断念。かろうじて軽トラックで運べる小型の遊具のみを引き取ることにしたという。また遊具は、長年にわたって多くの園児に愛されてきたため、塗装の劣化などがあったが、移転にあわせて塗りなおした。

 宇都宮住職は「寺は敷居が高いと思われがちなので、気軽に遊びに来てほしい。この後鉄棒も移転させる予定なので、多くの方に足を運んでもらい、寺の存在を知ってもらえたらありがたい」と話す。

 齋藤園長は「昭和の時代から園や園児たちを守ってきた遊具たちが、伊勢原の地で、新たに地域の方に利用していただけるのはうれしい。卒園児たちも学び、触れていた遊具を懐かしむことができるので喜んでくれるのでは」と語った。

伊勢原バッティングセンターでさまざまなイベントを企画する 大平 聖也さん 岡崎在住 28歳

子どもの笑顔が原動力

 ○…「野球の面白さを子どもたちに」。その一心で、開業から約40年経つ市内唯一のバッティングセンターを舞台にイベントを企画。バッティング体験を皮切りに、花火大会、キッチンカー、キャンプ用品のマルシェなど、多彩な企画で子どもたちを魅了している。今年の春には、センターに通う小学生の交流試合も初開催。弾ける笑顔に「やっぱり野球って楽しい」と改めて実感する。

 ○…実は、毎週月曜日のみセンターを手伝うスタッフ。きっかけは3年前。社会人になり、気分転換にと、子どもの頃に通ったセンターを訪れる中で人手不足を知り、「仕事が休みの日なら手伝いますよ」と冗談半分で言った一言が現実に。そこで目にしたのは、かつての賑わいが嘘のような光景。習い事の多様化などで、客足は最盛期の半分に。「この場所を無くしたくない」とインスタグラムでの情報発信をはじめ、手作りのチラシを配りPR。「懐かしい」と訪れる親世代や、楽しそうにバットを振る子どもたちの姿が増えるのを見て、「居場所になっているのかな」と手応え。

 ○…伊勢原生まれ、伊勢原育ち。小学4年から野球を始め、竹園小のチームでセンターを守り「守備とバントと走塁の人」と振り返る。中学でも続け、高校時代からは草野球チームにも所属。現在もプレーを続けている。本業は動物病院の看護師。飼っていた猫の死をきっかけに、物言わぬ動物の気持ちに寄り添い、日々勉強。看護にやりがいを感じている。

 ○…将来の夢は、スポーツの活性化で伊勢原の人口をもっと増やすこと。「一度出ても、また戻ってくる人が多い。都会のような大きな施設はないが、人の温かさや治安の良さが自慢」。地元をもっと面白く、と若い炎を灯した。

交流試合に参加した児童らと元プロ野球選手の寺田さん(後列中央)

伊勢原バッセンが交流試合 石田小を会場に初開催

 伊勢原バッティングセンターが主催した交流試合が3月10日、石田小学校で初めて開催された。

 この交流試合は、「伊勢原に野球好きを増やそう」と同センターのスタッフ・大平聖也さん(=今号人物風土記で紹介)が企画。センターに通う小学校2〜6年18人が参加した。

 初顔合わせだったが、監督・作戦・ポジションなどは全て子どもたちが決め、試合を通じて連携をとり、交流を深めていった。また、元プロ野球選手の寺田光輝さんを招き、プロのボールを間近で見る体験も行った。

 大平さんは「思った以上の反響があり、子どもたちの笑顔が見れてよかった」と話した。

いせはら市展 出品作品を募集

 伊勢原市は6月11日(水)から、市立中央公民館で前・後期2部制で開催される「第30回記念いせはら市展」への出展作品を募集している。

 前期は絵画、版画、彫刻、陶・工芸、後期は書、写真を展示する。募集期間は前期が5月1日(木)から14日(水)、後期は15日(木)から6月1日(日)。

 受付は市内各公民館(中央・大山・高部屋・比々多・成瀬・大田・伊勢原南)で休館日(毎週月曜日及び祝日ほか)。WEB申し込みフォームから応募もできる。出品数は各部門1人2点以内。出品料は一般2千円(2点目千円)、学生千円(2点目千円)。作品搬入時に持参する。

 同展は、文化・芸術創作活動の発表の場や鑑賞の機会を広く設け、市民に深い関心を持ってもらい、心豊かな活力あるまちづくりに貢献することを目的に開催されるもの。

 問い合わせは市社会教育課【電話】0463・93・7500へ。

国産材を活用した厚木・伊勢原店

神奈川スバル(株) 国産材でSDGsに貢献 飛騨市産の家具を初導入

 神奈川スバル(株)(本社横浜市港北区・中村亜人代表取締役社長)はこのほど、1月にリニューアルオープンした厚木・伊勢原店=伊勢原市高森=に岐阜県飛騨市の国産材を使った木製家具を初めて導入した。

 車の点検などの待ち時間を「ゆっくり過ごしてほしい」と同社では10年ほど前からショールームのリニューアルなどに併せてカフェコーナーを設置。これまでは市販の木目調の家具を導入していたが、国産材を有効活用することで自然を守りながら維持し、地球温暖化防止へもつながる取り組みを推進する飛騨産業(株)の想いに共感。同市産のブナ材のテーブルやイスなど約40点を導入した。

 「少しでも二酸化炭素削減につながる活動ができれば」と担当者。同社では今後も、店舗の改装時などに県産材を含めた国産材の家具を取り入れていく方針。

ソメイヨシノの桜並木(4月4日撮影)

春爛漫、ピンクの並木道 伊勢原市総合運動公園

 伊勢原市内でも有数の桜の名所として知られている伊勢原市総合運動公園では、ソメイヨシノを中心に約300本の桜が咲き誇り、春の訪れを告げている。公園には、お花見を楽しもうと多くの人が訪れ、賑わいを見せていた。

 園内はピンク色の桜で埋め尽くされ、訪れた人々は思い思いに写真撮影や散策を楽しんでいた。特に、公園から望む大山と桜のコントラストは素晴らしく、カメラを構える人の姿が多く見られた。広々とした公園内には、散策路や広場もあり、一日中楽しめる。

日向薬師で春季例大祭 4月15日

 日向薬師宝城坊(内藤京介住職)で4月15日(火)、春季例大祭「本尊開扉大法会」が開催される。午前9時から午後5時まで。

 かながわのまつり50選にも選ばれている同祭。当日は、宝殿で年内最後となるご本尊の秘仏鉈彫薬師三尊像の御開帳が行われる(拝観料大人300円)。

 また午後1時からは、境内で柴燈護摩供や山伏姿の修験者による神木のぼり、火渡りも行われる。雨天の場合は中止(秘仏の御開帳は雨天決行)。

 同坊では、駐車場の台数に限りがあるため、公共交通機関の利用を呼び掛けている。

 問い合わせは日向薬師宝城坊【電話】0463・95・1416へ。

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