さがみはら南区版【5月1日(木)号】
葛飾北斎が磯部名産の鮎を描いた「花吹雪縁柵」の表紙(「仙客亭柏琳翻刻全集」より引用)

「柏琳」で町おこしを 磯部戯作者 大河きっかけ

 江戸時代の磯部に生まれた戯作者、仙客亭柏琳(せんかくていはくりん)が、当時の出版業界を描いた大河ドラマ「べらぼう」に登場する人物と関わりがあった―。きっかけは新磯観光協会の荒井優子会長がドラマを視聴中、「鶴屋」という聞き覚えのある名前に気づいたこと。持っていた全集を調べたところ、柏琳が出版した3冊の版元がいずれもドラマに出ている「鶴屋喜右衛門」であることが分かった。全集は、柏琳の子孫が経営する麻溝台の印刷会社が2016年に発行したもの。荒井さんは「このタイミングで柏琳を広げ、町おこしにつなげたい」と意気込んでいる。

観光協会会長が気づき

 仙客亭柏琳(本名・荒井金次郎)は1798年頃、相州磯部村(現在の南区磯部)に生まれたとされる。江戸時代末期、農村に暮らしながらも「偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)」の作者として知られる戯作者、柳亭種彦へ自作の「花吹雪縁柵(はなふぶきえんのしがらみ)」と出版の願いを綴った手紙を送った。種彦はその熱意に打たれ、柏琳の作品は鶴屋喜右衛門のもとで1832年に出版された。冨嶽三十六景「神奈川沖浪裏」などで知られる浮世絵師、葛飾北斎が表紙絵を担当し、鮎の絵が描かれており、「磯部の名産である」と種彦が作品の冒頭で述べている。挿絵は武者絵や美人画などで知られる歌川国芳が担当した。この経緯について郷土史の研究者は「松本清張や司馬遼太郎などの作家に無名の新人が作品を持ち込み、角川や文芸春秋社から刊行されたようなもの」と評価した。

 柏琳の作品は男女のいざこざや仇討ちが描かれる「花吹雪縁柵」のほか厚木市の寺院の言い伝えをもとにした「星下梅花咲(ほしくだりうめのはなざき)」や八百屋お七のパロディなどが描かれた「紫房紋(むらさきふさもん)の文箱(ふみばこ)」の3作。農村に住む柏琳がどのようにして作品が書けるまでの知識を身に付けたのかは不明だが、宝物探しや善人悪人の決闘などが描かれ、いずれも読者を楽しませるものになっている。

 柏琳から5代目にあたる株式會社日相印刷の創業者、荒井徹さん・功さん兄弟は2016年に柏琳の作品を集めた「仙客亭柏琳翻刻全集」を出版した。「先祖供養」を目的に、国立国会図書館や大学図書館に所蔵されていた柏琳の作品を専門家の協力を得て翻刻。500部を発行し、市や博物館、郷土史研究団体などに寄贈した。

 今回、「気が付いた」荒井さんは、徹さん・功さんと交流があったことから発行当時、その1冊を受け取っていた。「このタイミング(ドラマ放映中)で柏琳を広げる使命感に駆られた。磯部から出た人物を多くの人に知ってもらい、町おこしにつなげたい」と熱く語る。また、功さんの息子で同社の取締役を務める荒井慶太さんも「出版当時は正直あまりピンときていなかったが、ドラマを通じて柏琳の生きた世界が分かり、先祖として誇りに思う」と話す。今後は柏琳の人生を題材にした漫画やキャラクター化を検討し、先祖の功績を広げていく。

 同書は市内の図書館や公民館図書館などで閲覧することができる。

地元Jリーグクラブ・SC相模原でキャプテンを務める 島川 俊郎さん 34歳

責任と覚悟、力に変え

 ○…J3優勝、J2昇格を目指すクラブで、年齢も国籍もさまざまな選手たちをまとめるキーマン。キャンプ中に監督から指名された。これまで10クラブでプレーしたが、主将を務めるのは10年ぶり。「戦い続ける姿勢を見せたい」。プロとして、主将として、その責任と覚悟を担う。

 ○…小学2年生でサッカーを始めた。真面目に話を聞く姿勢が指導者の目に止まり、やがて市や県の選抜に選ばれるように。中高生時代を過ごした柏の下部組織で、今も「親のような存在」と慕う恩師、吉田達磨さんに出会った。「誰よりもサッカーに生きている人」。精神が追い込まれるほどの厳しい指導に向き合い続けた経験は、「辛くて逃げ出したいことばかりだった」選手生活で一つの支えだった。

 ○…24年4月、「現役を引退」した。当時所属していた徳島で、吉田監督が成績不振から解任された直後だ。「解任の仕方に納得できなかった。してはいけない順序だった」。力になれなかった自分の力不足も悔いた。「後悔はしていない。戻ろうとも思っていなかった」。ところが、引退後の夢だった愛車での日本一周をスタートした矢先、台湾のクラブから声がかかった。「サッカーやりたい」。純粋な気持ちが湧き上がり、復帰を決めた。第2のサッカー人生が始まった。

 ○…引退後の4カ月間に試合をたくさん見た。「観客の一体感、これを楽しみに生きている人が大勢いる。すごいところにいたんだな」。悩みも苦しみも、選手だからこそだった。チーム成績は好調とは言い難いが、課題はわかっている。「本気で優勝できるチームだと思っている。目指す姿勢は間違っていない」。昇格へ導くため、重圧を力に変え自分とサッカーに向き合い続ける。

フランスの写真家、クロエ・ル・ドレゼンさん撮影(2024年)

4、5日は相模の大凧まつり 「いい風吹いて」作り手願う

 相模原市の五大観光行事の一つ、「相模の大凧まつり」(同実行委員会主催)が5月4日(日)と5日(祝)、相模川新磯地区の河川敷4会場で開催される。今年の題字はメジャーリーガー大谷翔平選手の活躍にちなんだ「喜翔」。区制15周年を祝う3間凧も各会場で揚げられる。

 相模の大凧は天保年間(1830年頃)から約190年続く相模原市の伝統行事。新戸・上磯部・下磯部・勝坂の4地域の各保存会が大凧を作り、相模川河川敷で揚げている。

 凧の大きさは、新戸が最大の8間(1間=約1・8m)四方、上磯部、下磯部は6間四方、勝坂は5・5間四方。特に新戸の8間凧は毎年揚がる凧としては「日本一」の大きさを誇る。

 4地域の保存会で作る相模の大凧文化保存会の八木亨会長は「強からず、弱からず、いい風に恵まれれば。いい風が吹くと凧が揚がりたがっている気を感じる。そういうところが凧の可愛いところ」と、魅力を語る。

 昨年の来場者数は2日間で延べ17万8000人。大凧を撮影しようとフランスから写真家が訪れるなど、そのスケールの大きさから訪日観光客の関心も高まり始めている。

区制15周年祝う

 凧の題字は市民の公募から選ばれ、相模原市長(本村賢太郎市長)が揮毫することが習わし。

 今年は「喜翔」。「大リーグ、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の活躍を世界中が喜び、さらなる活躍を願い大空に翔けてもらいたい」という思いが込められている。

 また、大凧の前に各会場で揚がる3間凧の題字は、南区制15周年を祝い「南翔」と書いた。題字は南区の加藤宏美区長が揮毫している。八木会長は「みんなで南区の誕生をお祝いできれば。いつもとは違うオリジナル凧。ぜひ見に来てもらいたい」と呼び掛ける。

 午前10時から午後4時まで。会場は新戸と勝坂が新戸スポーツ広場(JR相武台下駅徒歩15分)、下磯部が磯部頭首工下流(JR相武台下駅・小田急相武台前駅からバス新磯まちづくりセンター前徒歩10分)、上磯部が三段の滝下広場(JR下溝駅徒歩5分)。問合せは相模原市コールセンター【電話】042・770・7777。

「何も足さず、何も引かず」

 実は相模の大凧が毎年作り直されていることは意外と知られていない。

 凧作りに携わり約50年の川崎喜代治さん(79)は「子どもを祝う縁起物だから年を越すことはないんだよ」と説明する。川崎さんは8間凧(14・5m四方)を揚げる新戸大凧保存会に在籍するレジェンドの一人だ。

 大凧の材料は「麻、竹、和紙」と江戸時代から一貫して変わらないという。「麻の引き綱を使うのは摩擦熱が弱く火傷をしないから、手漉き和紙は紙から抜ける微妙な風が凧揚げに重要だからと、全てに意味がある。みんな先輩から受け継いできた」と語る。だからこそ凧作りは「何も足さず、何も引かず」。それを徹底する。

 同会の凧作りは夏、引き綱や糸目糸などの虫干しから始まる。竹の切り出し、和紙の貼り付け、糸目付けなど新人もベテランも関係なく同じ作業をする。「やっている人は祭りを人に見せようと思っていないの。コツコツ準備してきた凧が揚がれば感動もひとしお。それだけなんだよね」と語った。

サブレー復活

 中央区横山で60年近く営む菓子工房くろさわが昨年、「大凧サブレー」を復活させた。約3年前に同商品を製造していた菓子店が閉業。市観光協会や相模の大凧文化保存会はサブレー復活を模索していた。

 市観光協会が運営するsagamix(相模大野)に商品を納品していた縁で観光協会が同店にサブレー商品化を依頼。同店の黒澤伸吾さんは「まさか自分が復活させるとは思わなかった」と振り返る。

 「相模」の型は前の製造店舗から譲り受け、レシピは同店オリジナル。バターの量を増やしてボリュームを出した。包装紙も黒澤さんが一から作った。

 まつりの時期は菓子業も繁忙期。黒澤さんは「大凧まつりを見たことがない」と苦笑い。それでも「地域で長年やってきた菓子屋として、市の祭りに携われるのは嬉しい」と話した。

 大凧サブレーは同店や相模の大凧センターなどで販売している。

スタンプラリー

 スタンプを集めると「相模の大凧まつり」限定缶バッジ(先着順)が進呈されるスタンプラリーが5月4日と5日に各会場で開催される。

 参加方法はまちのコイン「すもー」アプリの事前インストールが必要。「大凧題字デザイン」は4会場と新戸会場にある「南区誕生15周年記念ブース」の二次元コードを読み込み。「鉄道コラボデザイン」は、5カ所に加えさらに下溝駅または相武台下駅の二次元コードの読み込みが必要。どちらも読み込み後、相模の大凧センターで進呈される。問合せは同所【電話】046・255・1311。

ユニフォームを着て交流会に参加する茜の会のメンバー

勝坂地区 「おばあちゃん」サポーターが急増 ノジマステラと交流深め

 「次の試合も応援に行くからね」「試合中にこっち見て手を振ってくれるのがまた嬉しいのよ」―。

 平均年齢80歳となるふれあい・いきいきサロン茜の会では、女子サッカー・ノジマステラ神奈川相模原のサポーターとなる人が増えている。

 きっかけは昨夏から同クラブと行っている交流会。勝坂コミュニティーセンターで2カ月に1回程度開催されている。

 6回目の開催となった4月22日、同クラブの選手4人と茜の会のメンバー10人が参加した。「上を向いて歩こう」をBGMに体操を行い、お手玉を使った脳トレゲームでは選手が指導員となり全員で挑戦。昔遊びでは茜の会のメンバーがあやとりの「箒」の作り方を選手に伝授するなど、交流を楽しんでいた。同会の代表を務める中村方子さんは「若い人がいると声も大きくなるし、行動も早くなるみたい。元気をもらえる」と、影響を実感する。

 きっかけは同クラブから。井上陽菜選手、下山莉子選手、常田菜那選手が発案し、相模原市社会福祉協議会に相談した。常田選手は「スクールなどで子どもと関わりはあるけど、高齢の方と関わる場がなかった。何か交流できればと考えていた」と思いを語る。

 交流会の内容は選手が考えている。井上選手は「動ける人が多いので体を動かしたり、脳トレになるような活動が多い。SNSやユーチューブで検索している」と話す。サッカーを知らない参加者に、ルールの説明をしたこともあった。

ホーム戦ほぼ観戦

 交流が始まると、選手が参加者を試合に招待するように。今季、同クラブのホーム戦をほぼ観戦している山本リツ子さんは「ルールも何も分からなかったけど、最近やっと分かってきて面白くなってきた」と声を弾ませる。中村さんは「もう孫みたいな感じ。応援グッズを作ったり、普段出さないような声を出して応援してるんだから」と楽しそうに話す。

 下山選手は「皆さんから『元気をもらえる』と言われるけど、応援されているこちらがすごく力になる。おばあちゃんみたい」と語った。

暑さと災害に備える

 「この夏はどうなる?暑さや大雨による災害に備えよう」と題した講演が5月10日(土)、ユニコムプラザさがみはら(ボーノ相模大野3階)で行われる。

 近年暑さや大雨が極端になり、相模原市でも2019年の台風19号や24年の台風10号で土砂災害などが発生した。最新の予報をもとに今年の夏の暑さや大雨について解説する。講師は気象予報士で元NHK鳥取の気象キャスターの藤田友香さん。

 時間は午後2時から。申し込み不要。

SSAの内田会長

相模原スケボー協会 市スポーツ協会に加盟 五輪選手輩出が追い風に

 相模原スケートボード協会(SSA)が4月1日、市スポーツ協会(勝又修会長)に加盟した。スケートボードの任意団体が市のスポーツ協会に加盟している例は全国的にも少なく、政令指定都市では初となる。

 SSAが加盟したことにより、市スポーツ協会の加盟団体は36種目団体に増えた。勝又会長は「新しい仲間が増えたことは大変喜ばしい。36団体で当協会の理念である『する・みる・ささえる』のさらなる発展と元気な街づくりを目指していく」と話す。

 SSAは市スポーツ協会に加盟したことにより、他のスポーツ団体との情報共有を行えるようになったほか、市民スポーツの推進を同協会とともに行うことで競技の認知向上を目指すことが可能になった。SSAの内田耕平会長は「2人のオリンピック選手の輩出が加盟の追い風になった。若いスケーターの環境を整え、サポートしていきたい。スケボーのイメージアップや競技の間口を広げられたら」と思いを語る。

 SSAは2007年に設立。現在の会員数はおよそ80人。23年に開設された麻溝公園のスケートボード場の設計にも携わった。

上南50周年 思い出募集

6月特別号に掲載

 県立上溝南高等学校(中央区上溝)は6月6日(金)、創立50周年の記念式典を開催します。それにあたりタウンニュースは6月5日(木)、「上溝南高校創立50周年特別号」を発行いたします。

 タウンニュースでは現在、同校の卒業生の方から「学校の思い出話」を募集しています。学校生活をはじめ、部活動や修学旅行、学園祭や放課後などについての回想談をお寄せください。特別号に掲載させていただく予定です。匿名希望の方はその旨を記載ください。

【参加方法】住所、氏名、生年月日(または卒業年)、思い出話を明記の上、ハガキの方は〒252-0239相模原市中央区中央2の6の4タウンニュース「上溝南高校50周年」係へ。WEBの方は左記の二次元コードを読み込み、アンケートから回答ください。締切は5月9日(金)。

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検索ツールのロゴ

相模原市が子ども・若者向けに新たな相談窓口検索ツールを開始 スマホ、タブレットで簡単アクセス

 相模原市は子どもや若者が抱える悩みに対応するため、新たに相談窓口の検索ツール「こまったときは 相談しよう そうしよう」を開発した 。このツールは5月1日のいじめ防止強化月間に合わせて公開される。

 この検索ツールは、スマートフォンやパソコン、タブレットPCなどで二次元コードを読み込むことで利用可能となる。利用者は「学校」「友だち」「家族」「自分」などのカテゴリを選択し、具体的な困りごとを選択していくと、市内の適切な相談窓口が表示される仕組み。

24時間いつでも検索可能

 相談窓口は「さがみはら子どもの権利相談室(さがみみ)」、「さがみはら子どもSOSダイヤル」、「ヤングテレホン相談」、「子育て支援センター」、「青少年相談センター」、「さがみはら若者サポートステーション」、「相模原市消費生活総合センター」と多岐にわたる。これらの窓口はいじめ、友人関係、家庭問題、心の問題、消費生活など、子どもや若者が直面する様々な問題に対応しており、メール相談が可能な窓口もある。

 本村賢太郎市長は4月25日の定例記者会見で「これまではどこに相談すればいいか、わかりにくかったが、それぞれの相談窓口の職員が連携してこのツールを開発してくれた」と話し、子どもたちへの周知も進めていくとした。

 問い合わせは市こども・若者応援課【電話】042-751-0091。

告知リーフレット

相模原市、がん患者向け補整具購入費助成を拡充 ウィッグに加え補整パッド、エピテーゼなども

 がん治療に伴う外見の変化により補整具を必要とする人への助成事業として、相模原市は2025年4月からこれまで助成対象だったウィッグおよび装着時に皮膚を保護するネットに加え、補整パッド、補整下着、エピテーゼ(乳房、乳頭、鼻、耳など体の表面に取り付ける補整用人工物)を新たに対象品目とした。今回の対象品目拡大により、より多くの人々が必要な支援を受けられるようになることが期待される。

 助成対象者は申請日時点で相模原市に住民登録があり、がん治療に伴い補整具が必要で、他で同様の助成を受けておらず、市税に滞納がない人。

 助成対象品目と助成金額については、ウィッグおよび装着時に皮膚を保護するネットが1組まで、購入金額の2分の1で上限3万円。補整パッド、補整下着、エピテーゼは個数制限なしで購入金額の2分の1、上限3万円。25年4月1日以降に購入したものが対象となる。

 購入日から1年以内に市健康増進課へ申請書類一式を提出する必要があり、申請書類は市のホームページからダウンロードするか、同課から送付してもらうことができる。

 問い合わせは同課【電話】042-769-8322。

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