川崎区・幸区版【5月2日(金)号】
舞台に立つ咲貴さん(上・左)と茂木さん(上・右と下)=提供

咲貴流家元咲貴(さかき)晴若(はるわか)さん 文化や伝統を次世代へ 小学生踊り子と舞台へ

 川崎市内を拠点に活動する日本舞踊咲高流の家元・咲貴晴若さんが大島劇場(川崎区大島)で開催された「鳳翔座」に弟子で小学1年=当時=の踊り子と特別出演した。咲貴さんは、子どもたちに貴重な経験を積んでもらいつつ、大衆劇業の灯を絶やさないようにしたいと文化継承に力を注ぐ。

 咲貴さんは川崎市内で生まれ、市内を中心に約33年間、舞踊家として現在も活躍する。咲貴流は藤坂流の分家で2005年に独立。地域の祭りや文化祭出演など、文化を通じた地域への貢献が評価され、川崎市文化協会文化祭奨励賞を受賞。現在は舞台出演の傍ら、弟子たちを育成する。

 大島劇場での3月26日の公演が決まった際、咲貴さんは、区内在住で小学2年の茂木(もてぎ)芽衣さんを踊り手として出演させることを決めた。茂木さんは4歳の頃に同劇場で大衆演劇に出会い「大衆演劇の役者になりたい」という夢を抱く。咲貴流には5歳から入門し、週に2回ほど、師の咲貴さんと稽古に励んでいる。咲貴さんは、音への反応が良く大人びた歌詞も少しずつ理解する茂木さんに期待をかけている。

大衆劇場の灯消さない

 大島劇場は1950年に創業し、さまざまな劇団が月ごとに公演を行い、日替わりで演出を変えたりと芝居を楽しむことができる大衆劇場。川崎区内にはかつて18の大衆劇場があったが、ほかの娯楽の広がりなどにより、現在は同劇場のみとなった。咲貴さんは舞台出演を契機に何とか大衆劇場を盛り上げたいとの思いがあったと話した。

 公演当日、咲貴さんは女形として2曲踊り、茂木さんは江戸時代から続く「木遣りくずし」という祭りを楽しむ町娘など全2曲を披露した。子ども8人含む約70人の観客が集まり、芽衣さんの妖艶な表現の踊りに魅了された。公演を映像で振り返った茂木さんは「楽しかったけど、ゼロ点だった」と自己採点。表情への意識が欠けたと反省した。5月25日(日)にはサロン・ド・バンブー(川崎区大師駅前)への出演に向けて茂木さんは稽古を重ねる。

国立劇場再開 署名にも参加

 現在、咲貴さんは公益社団法人日本舞踊協会(近藤誠一会長)らが中心となって展開する国立劇場の再開を求める要望書の活動にも賛同。市内を中心に100人の署名を集めるなど、精力的に取り組む。国立劇場をめぐっては再整備を行うため、2023年10月末から閉場。資材高騰などを背景に入札不調が続き、再開の目途が立っていない。公演を終え「小さな子の舞踊に興味を持っていただいたり、残された劇場への出演やご縁に感謝したい」と咲貴さん。「自分の出来ることから文化の継承を行っていきたい」と語る。
登頂した陵太郎さん(左)と父・建一郎さん

高津区在住前田陵太郎さん キリマンジャロに登頂 アフリカ最高峰、10歳で

日本人最年少記録を達成

 高津区在住の小学5年生、前田陵太郎さんが昨年12月、10歳でアフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ(5895m)の登頂に成功した。これまでの11歳の日本人最年少記録を塗り替えた。

 1歳から登山を始めた陵太郎さんは、日本最高峰の富士山(3776m)に小学1年生で登頂。家族と一緒に日本各地の山々を巡り、登山愛好家が憧れる「日本百名山」のうち70座をすでに制覇している。

 キリマンジャロへの挑戦は、父・建一郎さんが同じ小学生が登頂した新聞記事を読んだことがきっかけ。「お父さんに誘われて、もし登れたら最年少記録になることを知って、挑戦する勇気が湧いた」と決意した。

 陵太郎さんは、12月25日に日本を出発しキリマンジャロのあるタンザニアへ。27日に登山口から歩き始めた。途中で高度順応をしながら登ったが、歩き出して3日目に激しい頭痛に襲われた。翌日には回復したが、連日の疲労や薄い酸素など過酷な登山は続いた。そして30日午後11時30分、ついに山頂へのアタックを開始。真っ暗な中ヘッドライトの明かりを頼りに黙々と歩き続け、翌31日午前9時1分、ついにアフリカ大陸最高地点の頂に到達した。

 厳しい山行を振り返り、陵太郎さんは「疲れて足も痛くて、景色をゆっくり見ることはできなかった」と話す。それでも、下山を始めると徐々に体力が回復し、登頂できた喜びが湧き上がってきたという。

頼れる父とともに

 共に登山をする父・建一郎さんは、大学時代に探検部に所属し、国内外で豊富な経験を持つ。陵太郎さんは、そんな頼りになる父のことが「大好き」だという。登山の魅力について「山頂に着いた時の達成感や、きれいな景色を見ること。そして、大好きな父と一緒に登れることが何より楽しい」と笑顔を見せる。

 陵太郎さんの目標は、小学生のうちに日本百名山の残り30座に登頂すること。そして「将来は、アジアやヨーロッパなど世界七大陸それぞれの最高峰を全て制覇するのが夢。19歳までに達成して、日本人最年少記録をまた作りたい」と力強く語った。

【9月1日追記】以下について訂正いたします

当記事は、山岳雑誌「岳人」のキリマンジャロ日本人最年少登頂の記事を基に取材し取り上げましたが、岳人は9月号で「事実と異なる記述があった」とし、訂正を発表しました。訂正文では「当時10歳の前田陵太郎さんが日本人最年少で登頂したと記載してたが、2019年に中澤正太さんが特別許可を得て当時6歳4カ月で登頂し、日本記録認定協会から登山証明書が発行されていることが判明した」としています。よって、当記事も同誌に従い訂正させていただきます。関係者並びに読者にご迷惑をおかけしお詫びいたします。

川崎消防署長に就任した 伊藤 健一さん 東京都在住 58歳

風通しのよい署へ

 ○…年々外国人市民が増加する川崎区。「言葉の壁がある中、しっかり情報が届けるのが目標」とこのエリアの課題を静かに語る。川崎市消防局で働き35年。約140人を束ねる消防署長として、いざという災害に備え「すぐに駆け付けて安心感を与えたい」とフットワークを大事にする。

 ○…中原区在住。父親も消防士。仕事の話をあまりしない人だったが、台風で出動する姿は「ヒーローに思えた」と振り返る。見慣れた父のその背中は、中学生の頃から憧れに。念願の消防学校では苦しいこともあったが「人のために働きたい」と消防士への思いを強め、つらくても心が折れなかった。

 ○…初めての勤務は多摩消防署。隣にある麻生消防署では、当時父親が働いていた。勤務時間のすれ違いで顔を合わせることはなかったが、父親を知る上司に声を掛けられ「照れ臭ったですね」と苦笑い。救助隊として約20年のキャリアの中、東日本大震災に部隊長として福島県の原子炉建屋の熱を冷ます作業に立ち会ったことは印象深い。「映画のセットのようだった」と経験したことのない規模の大きさ。これ以上被害を拡大させるわけにいかないと緊迫した状況を力を込めて話す。自分の子どもと同じくらいの子を救助する現場で抱いた使命感が「絶対助ける」と今日までの成長につながる原点だ。

 ○…「カヌーで訪れたスカイツリーの桜の景色は忘れない」と自然を愛す。自身も仕事で苦しい時「勤務外でも先輩から学ぶこともたくさんあった」と勤務終わりに署員で食事をした大切な日々は今も心の中に。署の第一歩として「垣根を越えて、交流できる組織を作っていく」と話し、風通しの良さが強い連携を生む。目指す署のカラーは、既に頭の中にある。

子ども向けの遊び場ブースも

学生がひとり親家庭援助 食糧・物資届ける

 学生団体Alku(アルク)がひとり親家庭に食糧・物資を届けるイベントを、5月15日(木)午後4時〜7時にNEC玉川事業場(中原区)で開催する。参加無料。事前申し込み制。定員100人に達し次第受付終了。

 川崎市社会福祉協議会とNECプロボノ倶楽部の協力で、4回目を数える同イベント。寄付によって集まった食糧や日用品を渡すだけでなく、現役大学生による教育支援のブースや、勉強ブースも設置する。

 同団体は食糧・物資の寄付と募金を呼びかけている。食糧・物資の送付は「困窮家庭への物資支援」と記載の上、川崎市社会福祉協議会総務部企画調整室(〒211―0053、中原区上小田中6の22の5)。5月8日(木)必着。

 募金は以下の口座に振り込み。▽みずほ銀行、向ヶ丘支店、普通預金、店番号540、口座番号3108563

左から古賀裕和副会長、夏さん、福田市長、志帆さん

幸区在住空手選手 「最強姉妹」が福田市長訪問 本田志帆さん、夏さん

 極真拳武會川崎元住吉道場(中原区)に所属する幸区戸手在住の本田志帆選手(21)と本田夏選手(15)の姉妹が4月16日、川崎市役所を訪問。古賀裕和副会長とともに福田紀彦市長に昨年の大会の成績を報告した。

 大学4年の志帆選手は、11月に行われた「第3回全日本フルコンタクト空手道選手権大会」女子1部重量級で準優勝。前大会のチャンピオンとして出場したが、決勝では判定で敗れた。「力を出し切ることができたので、気持ちはすっきりしている」と志帆選手は話した。

 都内の高校(1年)に通う夏選手は、12月の「第12回全日本ジュニアチャンピオンシップ」中学生女子重量級に出場。決勝では得意の突きで判定勝ちし、優勝した。「一度負けたことのある選手との対戦だったので、リベンジすることができてうれしい」と笑顔を見せた。今年の12月に開催する「第13回全日本ジュニアチャンピオンシップ」の出場権を獲得したほか、5月に有明で行われる「第2回国際フルコンタクト空手道選手権大会」で初めて大人と一緒の一般の部に参加することも決まり、「優勝したい」と意気込む。

 6歳離れた姉・志帆選手の姿を見て、3歳から空手を始めた夏選手。今では二人で一緒に練習することも多いという。

 福田市長は「全国の舞台の重量級で活躍する、まさに最強姉妹。後進のためにも、さらに高みを目指して頑張ってほしい」とエールを送った。

兜飾り、五月人形などずらり 日吉合同庁舎で展示

 5月5日の端午の節句にあわせ、日吉出張所(幸区南加瀬)で兜や陣羽織飾り、金太郎などの五月人形、こいのぼり約50点が4月24日から1階タウンホールで展示され=写真、訪れる人の目を楽しませている。

 日吉地区の住民から寄せられたもので、こいのぼりは加瀬山の緑の保全や育成活動に携わる「さいわい加瀬山の会」から借りたという。「50年前に購入した兜飾り」など歴史を感じるものや、子どもの健やかな成長を願う「張子の虎」なども飾られている。展示は「季節を感じる一助になれば」と、日吉出張所が企画。同出張所では、今年3月にひな人形の展示を同様の形で実施し、好評を博したという。

 初日には兜飾りにスマートフォンをかざして撮影する女性の姿もあった。女性は、絵手紙サークルで兜飾りや五月人形を題材に描くことから、日吉分館に参考になる本を探しに訪れ、偶然展示されているのを見かけたという。女性は「実物が見られてよかった。昔飾ったこともあり、懐かしい」と語った。

 同出張所の日野英樹所長は「地域の方が子どもたちのためにと快く寄贈していただいた。趣のある味わい深いものばかり。連休中も空いているので見に来てもらえれば」と呼びかける。展示期間は、5月15日(木)まで。開館時間は午前8時30分から午後5時。

2つの落語会に出演する喜楽亭笑吉さん

連休は、笑って過ごそう 川崎区本町で落語会

 東海道かわさき宿交流館(川崎区本町)で社会人落語家による落語会がゴールデンウイーク期間中に開催される。

 出演は川崎区役所職員でアマチュア落語家の喜楽亭笑吉(本名・依田耕一)さんら。笑吉さんは「ゴールデンウィークに遠出の予定のない方は、お近くの寄席で大いに楽しんでください」と来場を呼び掛けている。

 ▽開催日=5月3日(土・祝)=「えりぬき寄席」▽出演者と演目=俺亭きらり「まんじゅう怖い」、天祖亭媛堵「締め込み」、喜楽亭笑吉「三枚起請」、上州亭楽々「壺算」、林家好丸による紙切り、楠木亭遊人「頭のネジ」(自作)

 ▽開催日=5月5日(月・祝)=「落語馬鹿四人衆」▽出演者と演目=千壱夜舞歌による開口一番、喜楽亭笑吉「くしゃみ講釈」、金河岸亭とも助「永代橋」、二松亭風林火山「館林」、夢見家春木「淀五郎」

 いずれも午後1時30分開演、午後1時開場。午後0時30分から整理券を配布する。

 定員は100人で当日先着順。木戸銭(入場料)は無料。

体をほぐす多くの参加者

バレエで健康増進 富士通スタジアム川崎で

 バレエの要素を取り入れてストレッチを行う「バレエストレッチ教室」が5月24日(土)、富士通スタジアム川崎(川崎区富士見)で開催される。第1部が午前9時半〜10時半、第2部が午前11時〜12時。雨天決行。

 姿勢改善や体幹強化、ケガ予防などの効果が期待できる。バレエの経験は不問。座りや寝た姿勢が中心のため、年齢を問わず参加できるのが特徴。講師は丹羽千種氏。

 定員は各回12人で先着順。定員を超えた場合は抽選。参加費は1人1000円(税込み、保険料込み)。ヨガマットの貸し出しあり。申し込みは同所【電話】044・276・9133、または公式ウェブサイト内申し込みフォーム。

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『シン・ゴジラ』内にも登場する丸子橋

かわさきロケアワード 1位は『シン・ゴジラ』 応募数1200通超える

 「映像のまち・かわさき」推進フォーラムはこのほど、川崎市内で撮影された映像作品に投票する「かわさきロケアワード」の結果を発表した。1位には2016年に公開された『シン・ゴジラ』(東宝)が選ばれた。

 例年、同フォーラムは、市内の映画館でその年に観た中で、一番印象に残っている作品を選ぶ「かわさきシネマアワード」を開催している。

 昨年の市制100周年を記念し、今回は市内で撮影された一番好きな映像作品に投票する「かわさきロケアワード」を実施。昨年12月から今年2月末まで投票を募り、昭和から現在までに市内でさまざまな作品のロケ地となっていることを周知することで、シビックプライドの向上を図った。

 応募総数は1269通。1位の『シン・ゴジラ』は、川崎区の川崎市役所旧本庁舎、第3庁舎や、中原区の武蔵小杉エリア周辺などで撮影が行われており、313票を集めた。投票者からは「自宅が無事か映画を見ながら探してしまった」「多摩川河川敷を舞台にしていて衝撃だった」といった声が寄せられた。

 2位はMV『Gifted.―Orchestra ver.』(BE:FIRST/2024年)で139票、3位はドラマ『男女7人秋物語』(TBS/1987年)で106票。4位から10位の作品や詳細なコメントは同フォーラムウェブサイトを参照。

ミツトヨ測定博物館を見学した参加者=同商議所提供

市中部の魅力スポット見学 川崎商議所 観光研究会

 川崎商工会議所サービス業部会「かわさき観光研究会」(阿部勝部会長=当時)はこのほど、「かわさき中部エリアの魅力再発見ツアー」を行い、30人が参加した。

 研究会は川崎市の観光や文化を盛り上げて経済活性化につなげることを目的に設立された組織。これまで北部と南部の魅力スポットを視察するツアーを実施している。

 参加者は高津区の「ミツトヨ測定博物館」や「富士通・Fujitsu Technology Park(富士通テクノロジーパーク)」(中原区)を見学。二ヶ領用水(中原区)では桜を鑑賞し等々力緑地(中原区)では「全国都市緑化かわさきフェア」を巡った。

 ミツトヨ測定博物館では博物館担当者から、創業者の思いや社名の由来、会社のあゆみ・歴史、測定機器の変遷について解説を受けた。富士通・Fujitsu Technology Parkでは総務担当が同社が始めた新しい働き方を紹介。テレワーク率8割、単身赴任解消、男性育児率100%宣言、ワーケーションなどこの一年間で時間も場所も柔軟な働き方が前進したことが説明された。

 昼食はホテル精養軒(中原区)で行われ、萩原ひとみ同ホテル社長が、中原街道が中原区の由来になっていることや小杉御殿の歴史について講演。参加者は「知っているようで知らない話」と興味深げだった。

イベントのチラシ

5月13日から 詩人、佐藤惣之助を知る かわさき宿交流館で

 東海道かわさき宿交流館3階企画展示室(川崎区本町)で「川崎が生んだ詩人 佐藤惣之助」と銘打った企画展が5月13日(火)から開催される。

 川崎区砂子で誕生し、詩人、俳人、作詞家として活躍。代表曲に『赤城の子守唄』などがある惣之助の軌跡を追う。

 6月29日(日)まで開催で月曜日は休館(祝日の場合は翌平日が休館)。開館時間は午前9時から午後5時まで。入場無料。問い合わせは同館【電話】044・280・7321。

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熱弁する栄居氏

県税事業進展に注力 栄居県議、県政報告で

 川崎区選出の栄居学県議(立民)は4月22日、川崎市労連会館(川崎区東田町)で県政報告を行った。

 栄居氏は県の補助金が使われている京急川崎駅西口地区の再開発について言及。幸区から同駅前を通る車道(駅前本町線)が廃止され、JR川崎駅北口前から幸区方面を結ぶ車道と一体となって相互通行となることや、京急川崎駅前に歩行者が滞留可能なスペースができることを挙げ、完成後には「川崎の発展につながる」との見方を示した。

 県の補助金が投入された事業は幸区や宮前区でも進められ「しっかり取り組む」と約束した。

マイクを握る長谷川市議

臨海道路「完成後に期待」 長谷川市議が市政報告

 川崎区選出の長谷川智一市議(立民)は4月22日、川崎市労連会館(川崎区東田町)で市政報告会を開いた。

 長谷川氏は川崎区内の整備事業の進捗状況を紹介。東扇島と内陸部を結ぶ川崎港東扇島〜水江町臨港道路整備事業では「あと2年で橋が架かる。完成すれば臨海部へのアクセス道路が増え、ますますの発展につながる」と期待を込めた。

 今年1月に京急大師線の鈴木町〜東門前が地下化されることが示された連続立体交差事業については、「莫大な投資額だが50年間で2020億円の経済効果が生まれる」と述べた。

インタビューに応えるふじたさん

戦後80年 戦禍の記憶【2】 麻生区在住 ふじた あさやさん(91) 「手のひら返し」に憤り覚え 「自分事として見つめる体験を」

 たった一夜で、家が、人が、まちが、なくなった――。

 東京都生まれ。国民学校(小学)5年生だった1944年の初夏から、学童疎開が始まっていたが、体調を崩し伊豆から帰京を余儀なくされていた。東京では、度重なる空襲に怯え、睡眠不足が続く毎日。「皆、段々とまいっていくのが目に見えた」

 そんな日々の中、東京大空襲が起こった。1945年3月10日の真夜中。今までは数百m上空を飛んでいた爆撃機が、初めて数十mの超低空から爆弾を落とした。操縦士の顔が見えるほどの近さだった。「何丁目の角から何丁目の間に何発、と正確に落としていく。それはもう正確に」。射程距離が狭まったことで、米軍機は的確に被害を与えていった。

 「僕は上野不忍池の方に逃げた。無駄だから、池には焼夷弾を落とさないだろう」。不忍池の周りにあった防空壕に入り、時々顔を出して様子をうかがった。まちが焼けていくだけだった。その光景はまさに火の海。一夜にして9万5千人が亡くなった。「軍事的なものはない場所。人々がこれだけ死ねば音を上げるだろう、というものだったのでは」

 凄惨な光景を目の当たりにしてもなお、我が国が勝利を手にする日がやってくると思っていた。なぜか。日本は勝つと「教えられていた」からだ。

 それが、負けた。

 日本はポツダム宣言を受け入れ、戦争は終わった。

 敗戦後、学校では手のひらを返したように、教科書に記された文章を濃くすった墨で塗りつぶすよう指示された。戦意を鼓舞し、軍国主義を賛美する文言ばかりだった。「今消したところは教わらなかったことにしてほしい」。担任の言葉に、激しい憤りを覚えた。「だましやがって。覚えてろ!」。心の中で叫んだ。

 当時感じた教育への不信感は、演劇にまい進し、劇作家として活動をする今もなお、自身の表現の根となっている。「教育は信じるものではなく、考え始めるきっかけに過ぎない」。その思いで多くの児童向け作品を手がけてきた。「自分だったらどうしようと考え、自分事として見つめられる。そういう疑似体験をさせる演劇は、本当の意味で教育だ」

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今年で戦後80年。体験者が年々減少し、戦争の記憶が風化しつつある。当事者の記憶を後世に残すとともに平和の意義について考える。不定期で連載。
生まれ変わった武道館で練習する利用者

武道館がリニューアル 利用者から感謝の声

 老朽化のために、昨年11月から3月まで休館していた石川記念武道館(幸区下平間)が、4月1日にリニューアルオープンした。

 同館は市内唯一の独立した武道館。初心者を対象とした6武道(空手道、なぎなた、合気道、剣道、柔道、少林寺拳法)やヨガの定期教室のほか、個人利用も可能。

 壁の塗り直しや冷暖房の設置などを行い、利用しやすい施設に生まれ変わった。

 市の担当者は「やっと利用してもらえるようになった。ぜひ足を運んでほしい」と呼び掛ける。利用者からは「冷暖房が備わった武道場は少ないので、大変ありがたい」といった感謝の声が聞かれた。

 利用の際は市の公共予約システム「ふれあいネット」への登録が必要。詳細は同運用センター【電話】044・741・3345。

(左から)福田市長、町田瑠唯選手、宮澤選手、テーブスHC

富士通レッドウェーブ ファンに感謝捧げる リーグ、皇后杯優勝を報告

 女子プロバスケットボールWリーグを2年連続で制した富士通レッドウェーブは4月18日、ラゾーナ川崎プラザルーファ広場(幸区)で優勝報告会を開いた。BTテーブスヘッドコーチや選手らが参加し、会場に訪れた多くのファンと喜びを分かち合った。

 2024―25シーズンから2部制となったWリーグ。レッドウェーブは、8チームで競われる1部プレミアリーグに所属し、レギュラーシーズンを1位で終え、プレーオフセミファイナルに進出。シーズン4位のENEOSサンフラワーズを下し、ファイナルでは同2位のデンソーアイリスと対戦。1勝2敗と後がない状況から4戦目、5戦目を勝利し、2年連続3回目の優勝を決めた。昨年12月には皇后杯も制しており、2冠を達成した。

 優勝報告会で福田紀彦川崎市長は「昨年、次は連覇をとお願いしたが実行するのは難しい。しっかり勝ち切ったことを誇りに思う」と選手を称えた。川崎市市制101年を迎えたことに触れ、「新しい川崎をつくる年。新たなスタートに花を添えてくれた。次はさらなる高みを目指して、3連覇をみんなで後押しして勝ちに行きましょう」とエールを送った。

 チームの平松浩樹顧問は、リーグ戦、プレーオフの激闘を振り返り、「タフな試合が続く中で頑張れたのも皆さんの応援の力。来年もまたここに戻ってきたい。地元川崎に愛され、誇りに思ってもらえるよう努力し続けるチームでありたい」とファンに感謝の気持ちを伝えた。

 今回の2連覇、2冠を祝し、川崎市からスポーツ特別賞が贈られた。テーブスヘッドコーチは「大変光栄。チームの目標だった皇后杯優勝、リーグ連覇を達成し、特別なシーズンだった。多くの困難な時期もあったが選手たちが粘り強く戦い抜いた。引き続き応援を」と呼び掛けた。キャプテンの宮澤夕貴選手は優勝が決まった瞬間を振り返り、「シーズン中、苦しいときもあったが、スタッフも含めたこのチームで優勝できてうれしかった」と声を弾ませた。地域やファンへ「今までやってきてこういう結果を出せたのは、支えてくださるファンの方々や川崎市民のおかげ。恩返ししていきたい」と感謝の言葉を述べた。

 会場を訪れた埼玉在住のファンは「選手がケガをしてもみんなでステップアップして頑張っていた。2連覇、2冠はうれしい」と喜んだ。

外国人市民意識実態調査 「ネット上の攻撃」不安増 入居拒否25%が経験

 川崎市が外国人市民を対象に実施した意識実態調査の結果が公表され、4人に1人が外国人であることを理由に賃貸物件などの入居を断られた経験がある一方で、「ヘイトスピーチ」などの差別的な暴言への不安は、2019年の前回調査よりは減少した。

 川崎市では、日本国籍を持たない外国籍の人々が市民生活で感じる不便や不安などを行政として解消するため、5年に1度、実態を調査している。今回の調査は昨年6月28日〜7月31日に実施され、川崎市在住の18歳以上の外国人市民5千人を対象に、郵送方式で実施。1031人から回答があり、回収率は20・6%だった。

 国籍・地域別の内訳は、中国籍28・4%、韓国籍とベトナム籍が11・9%、フィリピン籍が10・6%と続き、その他アジアが20%を占めた。居住地域は川崎区が最も多く31・8%、中原区15・4%、高津区11・6%と続いた。

 市内で住居を探す際に「外国人を理由に入居を断られた」は前回と同じ26・1%。「外国人であることを理由に物件を紹介してもらえなかった」は17・7%と前回の14・2%より3・5ポイント増加し、不動産業者の段階で拒否されている可能性がある。

 直近の1年間で感じた不安や危険に関する質問では、「住んでいる地域の治安についての不安」は前回の17・7%より大幅減の10・9%。外国人であることを理由に「暴力をふるわれる不安・危険」は6・8%(0・3ポイント減)、「脅迫や差別的な暴言を受ける不安」は14・7%(3・3ポイント減)といずれも減少したが、「外国人を攻撃するようなインターネットやSNSの書き込みを見て感じる不安・危険」は13・2%で前回の12・4%より微増した。市は「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の効果は表れているものの、条例の運用を一層、推進していく必要がある」としている。

 国籍に関係なく全国的な課題である災害への備えでは、「飲み水や食料を準備している」は7・8ポイント増の51・7%と5割を超えたが、「特に何もしていない」は27・7%(前回32・5%)と3割近く、「防災訓練に参加している」は16%(前回16・7%)にとどまった。

 市担当者は「この結果を関係部局に共有のうえ、施策に反映していく」と話している。報告書は市のホームページで公開しており、ルビ付きの日本語を含め10カ国語で閲覧できる。

中田悠真さん(右)と豊さん

川崎市子ども夢パーク 「あそぼうデイズ」今年も 初の解体イベント好評

 川崎市の「子どもの権利に関する条例」に基づく社会教育施設「川崎市子ども夢パーク」(高津区)で4月19日、施設内に蓄積した壊れた家具などを解体して再利用につなげる「かいたいまつり」が開かれ、市内外から約50人が参加した。

 川崎市子ども夢パーク(以下「夢パーク」)では、市民有志が多様な形で施設運営にかかわる利用者懇談会「つくりつづける会」がある。この会の中で、「夢パーク」内に散在している壊れかけの机や椅子などに関し、「解体して再利用につなげる企画をやろう」との提案があり、「かいたいまつり」と名付けてイベントを企画。19日には市内外から親子連れが集まり、主に木製の壊れた椅子や机、看板など約20点を、ドライバーやのこぎりなどの工具を使って解体した。

 東京都国立市から父と参加した小学校1年生の中田悠真さん(6)は、電動ドライバーを使って釘を上手に抜き取り、木製の机を手際よく解体した。日ごろからDIYを楽しんでいるといい、父の豊さん(32)は「今日も張り切って来ました」。

 この日は市の環境局が保有する学習用の「スケルトンごみ収集車」や、市のリサイクルキャラクター「かわるん」も参戦。ごみ分別の大切さなどをアピールした。

 「夢パーク」所長の友兼大輔さんは「初めてのイベントだったが、たくさんの人に集まってもらえた。作ったものを自分が片付けるという意識づけになればうれしい」と話していた。

 大型連休中は、「夢パーク」恒例の「とことん遊ぼうデイズ」を開催する。5月3日には文字通り、大きなこいのぼりを作って遊ぶ「巨大こいのぼりづくり」▽4日は段ボールなど様々な素材を使って自由にものづくりを楽しむ「ものづくりして遊ぼう」▽5日はパン生地を棒に巻いて焚火で焼く「遊ぼうパンづくり」がある。3日と4日は午前10時半〜、5日は午後2時〜で、パン生地の準備は約100人分の予定。

 問い合わせは「夢パーク」(【電話】044・811・2001)。

校庭で遊ぶ小学校児童

放課後等の子どもの居場所 川崎市 支援の「方向性」策定

 川崎市は「放課後等の子どもの居場所に関する今後の方向性」を策定し、4月17日に公表した。今年1月に案をまとめて1月末から2月末まで、行政手続法に基づくパブリックコメント(意見募集)を実施し、改めて「方向性」として内容を策定した。

 こども家庭庁が2023年12月に「こどもの居場所づくりに関する指針」を閣議決定したことを受け、全国の各自治体が「子どもの居場所」に関する取り組みを本格化させている。川崎市では、子どもを孤立・孤独から守り、健やかに育てるための「Well-being(ウェルビーイング)で成長するための居場所づくり」を全市的に進めることを目指し、「今後の方向性」の策定を進めていた。

 市はまず基本的な考え方として、「子どもの声・主体性・価値観を大切にする居場所づくり」「発達段階に応じた目的・空間を有する居場所づくり」、そして不登校の状態にある子どもたちに対する「子どもの状況に応じた支援の実施」の3点を掲げた。そのうえで、居場所のありようを考えるうえで、「学童期(主に6歳〜12歳)」と「思春期(主に13歳〜18歳)」に分けて方向性案をまとめた。

 寄せられた意見は55通76件で、学童期の居場所づくりに関する意見は43件、思春期の居場所づくりに関する意見は11件だった。方向性の策定にあたり「意見を踏まえて反映したもの」はなかったが、「今後の参考とするもの」は15件あり、このうち「思春期の居場所づくりに関すること」が10件で最多だった。

中学生の居場所は

 学童期の居場所づくりに関する意見では、「学童クラブ」への補助金支出を求める声が多数寄せられた。「こども文化センターの老朽化」を指摘する声や、小学校の全学年が対象である「わくわくプラザ事業」と、低学年が対象から外れがちな「みんなの校庭プロジェクト」などの放課後児童健全育成事業を「分けて運営するべき」との指摘もあった。

 思春期の居場所づくりに関する意見としては、「中学生が急に地域とつながるのは難しい。小学生から(地域と)かかわることが理想」「中学生は部活に入らないと居場所を見つけにくく、居場所が不足している」といった「中学生」に関する意見が目立つ。「貧困や家庭環境の問題を抱える子どもの『生き場所』が必要」と、複雑な生育環境にある子どもを気遣う声もあった。

 今回の「方向性」は、今年度から策定が進む「総合計画第4期実施計画」や「第3期川崎市子ども・若者の未来応援プラン」の中で、考え方の基本となる。市の担当者は「地域ごとに子どもたちの状況は異なるので、具体的にどのような居場所を設けるかは、様々な形をとることになる。地域と連携しつつ、市としても部局間で工夫して進めていきたい」とした。
リーグ後半戦のホームゲームが対象のハーフシーズンチケット

GO!GO!!フロンターレ

ハーフシーズンチケット販売中

 サッカーJ1・川崎フロンターレが、2025ハーフシーズンチケット(抽選)を販売中。

 リーグ戦約3分の1を終了して、1位との勝ち点はわずか3(4月25日現在)と、4年ぶりのリーグ優勝へ順調な滑り出しを見せる同クラブ。ハーフシーズンチケットで後半戦を応援しよう。

 対象試合は6月21日(土)ヴィッセル神戸戦以降の、リーグ戦ホームゲーム全10試合(「ホームA自由」は対象外)。同クラブ後援会会員が条件で、申し込み受付期間に新規入会した人も含まれる。後援会マイページ内のバナーから申し込む。5月6日(火・振休)の午後11時59分まで受付。抽選結果の発表は19日(月)午前10時。

 今季のシーズンチケット保有者の紹介で購入すると、紹介者にリーグ戦ホームゲームのスタジアム内外で利用できる飲食クーポンをプレゼント。

 詳細は同クラブ【電話】0570・03・5026、または公式ウェブサイト。

画像は川崎フロンターレ

聴衆の前で演奏するゆずなさん

KAWASAKI NOTE 音楽のまちの最前線

 夕暮れ時のJR川崎駅東口。家路に急ぐ人々が行き交う中で、思い思いの音楽を奏でるストリートミュージシャンたちの姿は、既に川崎の名物と言えるだろう。何食わぬ顔で通り過ぎて行く人もいれば、足を止めて演奏に聴き入る人もいる。

 大阪出身のゆずなさんは、路上演奏を始めてまだ半年。2年前、人気ロックバンド・Mr.Childrenに憧れてギターを手にした。昨年9月に上京し、新宿などで演奏をしていたが、規制が厳しくなったこともあり、川崎にやって来たという。「川崎はストリートミュージシャンの間で有名な場所。新宿から流れてきている人も多いはず」と語る。この日はJ-POPのカバーやオリジナル曲を演奏。「人前に立つのは苦手」と謙遜するが、人情味のある優しい歌声に足を止める聴衆の姿は多かった。

 午後7時過ぎ。江の島翔太さんが奏でるのは、ブルース、ジャズ、カントリーなどを混ぜたオリジナルジャンルの曲。歌詞のないものが多く、人や自然をイメージしながら即興で弾く。時間帯によっても、曲調を変えるというこだわりようだ。

 博物館の学芸員や大型トラックの運転手など、さまざまな職を経験。友人の不幸や家族の体調不良などが重なった時期に人生を問い直し、ずっとやりたかった音楽で生きていくことを決意。ポルトガルやオランダ、ベルギーなど海外での演奏経験もある。現在はアルバイトをしながら、ギターを演奏する日々だ。「夢は世界中を演奏して周ること」と目を輝かせる。「多くの人ではなく、一人ひとりに届けられるミュージシャンになりたい」

 ミューザ川崎や2つの音楽大学があるなど、川崎は多くの音楽資源にあふれた「音楽のまち」だ。路上演奏のルールやマナーを守って、これからも素敵な音楽を届けてほしい。川崎の路上から、いつの日か大物ミュージシャンが生まれるかもしれない。