川崎消防署長に就任した 伊藤 健一さん 東京都在住 58歳
風通しのよい署へ
○…年々外国人市民が増加する川崎区。「言葉の壁がある中、しっかり情報が届けるのが目標」とこのエリアの課題を静かに語る。川崎市消防局で働き35年。約140人を束ねる消防署長として、いざという災害に備え「すぐに駆け付けて安心感を与えたい」とフットワークを大事にする。
○…中原区在住。父親も消防士。仕事の話をあまりしない人だったが、台風で出動する姿は「ヒーローに思えた」と振り返る。見慣れた父のその背中は、中学生の頃から憧れに。念願の消防学校では苦しいこともあったが「人のために働きたい」と消防士への思いを強め、つらくても心が折れなかった。
○…初めての勤務は多摩消防署。隣にある麻生消防署では、当時父親が働いていた。勤務時間のすれ違いで顔を合わせることはなかったが、父親を知る上司に声を掛けられ「照れ臭ったですね」と苦笑い。救助隊として約20年のキャリアの中、東日本大震災に部隊長として福島県の原子炉建屋の熱を冷ます作業に立ち会ったことは印象深い。「映画のセットのようだった」と経験したことのない規模の大きさ。これ以上被害を拡大させるわけにいかないと緊迫した状況を力を込めて話す。自分の子どもと同じくらいの子を救助する現場で抱いた使命感が「絶対助ける」と今日までの成長につながる原点だ。
○…「カヌーで訪れたスカイツリーの桜の景色は忘れない」と自然を愛す。自身も仕事で苦しい時「勤務外でも先輩から学ぶこともたくさんあった」と勤務終わりに署員で食事をした大切な日々は今も心の中に。署の第一歩として「垣根を越えて、交流できる組織を作っていく」と話し、風通しの良さが強い連携を生む。目指す署のカラーは、既に頭の中にある。
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6月20日
6月13日