藤沢版【5月9日(金)号】

自治会町内会 加入率維持へ支援戦略 負担減や魅力アップなど市方針

 地域住民によって運営される自治会・町内会の加入率低下が全国的な課題となっている。藤沢市内の加入率も減少傾向で、ピーク時から約3割少ない。市では、昨年度コミュニティ設計アドバイザーに就任した企業ブランディングなどに携わる山根堯氏と共に、持続可能な市内自治会・町内会支援策の方向性をとりまとめた。これを基に、今後戦略的に加入率を維持していきたい考え。

     ◇

 広報物の配布や防犯啓発、資源ごみ回収の収集所運営などを担う自治会・町内会。市民自治推進課によると、市内の団体数は474。近年大きな増減はないのに対し、加入率は64・5%(昨年9月時点)で1980年度の96・4%をピークに、2016年度の75・9%から減少が続く。

 こうした状況を踏まえ、市は支援戦略を始動させ、取組方針の3つの柱に負担軽減、魅力アップ、周知啓発を挙げた。

 広報の配布など現在、自治会・町内会と庁内との間では約30課が約70の関わりを持ち、市からの依頼に苦慮する住民もいるという。これらの内容を見直す。また従来の紙による回覧版と同時に、スマートフォンなどへの情報提供を行う電子回覧板の説明会を各地区で開催。昨年は約120自治体が参加し、自主的に行う自治会もあり、好事例として普及支援を進めていく。運営の参考書「アクションプランブック」も作成し、周知を図る。

 会員限定コンテンツとして昨年、江の島サムエル・コッキング苑でイルミネーション「湘南の宝石」の点灯体験も実証レベルで実施。参加者アンケートでは満足度100%の回答が得られた。民間企業と連携し、加入機会となる新たなコンテンツ創出に努めていく。

 そのほか、加入案内のリーフレットも刷新し、市は5年後の加入率60%以上キープを目標に掲げる。

 先月25日の会見で山根氏は「時代の変化と共に自治体・町内会のあり方を見直すタイミングがきている。共助の精神を今の時代にどう伝えていくか。施策やイベントを視野に入れ、ワクワクするような形にしていければ」と展望を語った。

ZINEを手にする学生と加藤教授(中央後ろ)

SFC加藤ゼミ 善行団地の日常つづる 冊子制作、住民との交流も

 ”団地を味わい、団地を批評し、団地を創る――”。慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の学生たちが善行団地でフィールドワークに取り組んでいる。活動開始から1年。これまでの成果をまとめた小冊子を制作した。それを手に取った住民らから多くの声も寄せられ、地域の新たなコミュニケーションツールとしてさらにブラッシュアップしていきたい考えだ。

 高齢化や多様化により、かつて存在した住民同士のつながりが全国的に失われつつある団地。善行団地も例外ではない。SFCの加藤文俊研究室(社会学)では、コロナ禍で宿泊を伴う活動が制限されたことなどを機に、同団地をフィールドワークの対象地に設定。学生が現場で感じたことを同団地に還元しようと、ZINE(個人や少人数による自主制作の小冊子)に班ごとの成果をまとめることにし、昨春調査を開始した。

 「広場の日陰が満席だった」「住民の方にジュースをごちそうになった」など、学生が見た団地の何気ない風景や交流などを「ダンチジン」と銘打ったハガキに現地で記入。その日のうちに最寄りの郵便局から研究室宛てに投函する手法で経過を記録していき、昨年末までに80枚ほど集まった。これらを基にZINEを制作した。

現場の声に反応

 班ごとに完成したZINEの内容はさまざま。清水彩也香さんの班では交流した住民との会話から着想を得て、団地内の花を見に巡る「孫と花さんぽ」を作成した。その後、「団地のことを教えてください」と記したハガキを同封し、団地内のパン屋に配架。それを見た人から「身近に色々なお店があり便利で住みやすい」「住民同士のコミュニケーションがないのがさみしい」といった反応が郵送で返信された。”花さんぽ”は季刊になっており、「完結編は連休明けにまた配架する予定」という。

 小田文太郎さんの班では「手に取った人が団地をくまなく歩くきっかけになれば」と謎解きをしながら団地を歩く「善行団地クエスト」を考案。「まだプロトタイプ。今後改良を加え、英語版の発行やイベント開催ができれば」と意気込む。

 学生の目と住民の声が重なり合うZINE。団地でのつながりに新風を吹かせるかもしれない。

用田にある古民家の活用法を考えるイベントを企画する 片岡 侑史さん 亀井野在住 42歳

人集う”第4の居場所”に

 ○…目指すイメージは「地域をつなぐハブ」だ。医師として働く職場に隣接する畑の所有者が亡くなり、明治期に建てられた近くの民家の行く末が気になった。「思い出が失われてしまう」。その娘から相談され、土地ごと譲り受けた。友人と手弁当で改修を重ね、地域一体で活用法を考えることにした。「住民が自然に足を運び、緩やかな交流が生まれれば」

 ○…緑が生い茂るエリアにぽつんとある建物。年季の入った柱、薪ストーブ。まるで診療所とは思えない佇まい。病院勤務医時代、あらゆる病気の診断と治療にあたる総合診療に携わった。救急外来や緩和ケアにも。診断はつくが、もはや治療できる状況にない多くの患者と接してきた。難病や金銭的な問題など原因は人ぞれぞれ。自問自答を繰り返す中で、「病院の医療だけでは限界がある」という思いが募った。そのうち介護や福祉、在宅医療の領域を知り、2018年に開業。誰もが訪れやすい雰囲気づくりを心掛けている。

 ○…「常に味方でいること」がモットー。「人は希望がないと孤立し、絶望する。せめて敵にならないこと」とつけ加える。便利な世の中だからこそ効率化を求められ、生きづらさを感じる人は多い。「SNSがいい例。承認欲求が歪んでいく。義務や強制力があると人間関係は続きにくい。弾かれる人も」。古民家が社会課題解決の糸口となり、家や病院、施設に属さない”第4の居場所”を視野に入れる。

 ○…農業は生活の欠かせない一部だ。物々交換で生まれる温かな交流。年の差は関係なく、古き良き日本の暮らしぶりを体現する。生後7カ月の娘の頬をなで「愛着と誇りを持ち豊かに過ごせる未来になれば」と願う。夢はこの地で少しずつ実を結ぼうとしている。

新種のミズタマスズフリクラゲ(上)、日本初記録種のカンザシスズフリクラゲ(いずれも同館提供)

新種クラゲと判明 えのすい採取の2種

 新江ノ島水族館は先月28日、2018年から22年にかけて各地で採取されたクラゲ2種について、新種「ミズタマスズフリクラゲ」と日本初記録種「カンザシスズフリクラゲ」と判明したと発表した。2種は同日から同館内のクラゲサイエンスで展示されている。

 同館は20年、江の島で見たことがないクラゲを採取。同時期に高知県でも同じ特徴を持つ謎のクラゲが出現しており、黒潮生物研究所(高知県)と西海国立公園九十九島水族館海きらら(長崎県)との共同研究の結果、新種であったことが判明した。外傘に見られる白い粒々が水玉模様のように見えることから「ミズタマスズフリクラゲ」と命名したという。合わせて21年に同館が駿河湾で、海きららが長崎県で採取したクラゲが日本では確認されていなかった初記録種だったことも判明。見た目の様子から「カンザシスズフリクラゲ」と命名した。

 担当者は「これからもクラゲ研究のパイオニアとして情報を積み重ねていく」と話している。

藤沢市 国勢調査員を募集 令和7年 申込締切は6月30日

 藤沢市は、今秋実施される「国勢調査」の統計調査員を募集している。6月30日(月)まで。

 国勢調査は5年ごとに日本に住む全ての人や世帯を対象に実施され、国が男女別や出生年月、国籍、就業状態といった人に関する事項などの統計を取る事業。データは地域振興や住みよい街づくり、防災・福祉対策などに活用される。1920(大正9)年から開始され、次回で105年目、22回目を迎える。

 調査員は市民からの公募が基本で、報酬が支払われる。報酬の目安は2調査区を担当した場合、9万円程度。活動期間は8月〜11月上旬。応募要件は今年8月8日時点で20歳以上で、心身とも健康であることなど。説明会に出席した後、担当調査区の確認、調査票の配布、回収、提出を行う。

 市HPから電子申請、または申込用紙に必要事項を明記の上、郵送、メール、持参で申し込む。問い合わせは市文書統計課統計担当【電話】0466・50・8286。

自然豊かな環境にある古民家

地域つながる古民家へ 11日 用田で活用法検討

 市北部エリアに立地する古民家(用田2668)の活用法を考える催し「魅力発見!つながる古民家」が11日(日)、現地で開かれる。

 近隣に診療所を構える片岡侑史さん=人物風土記で紹介=らが運営するあそびゴコロ(株)の主催で、舞台は明治期に建てられた築100年以上の古民家。「自然と足を運ぶことができ、つながりが生まれ、互いの生きづらさが緩和されていく、そんな空間づくり」をビジョンを描き、5月の孤独・孤立対策強化月間の一環で行う初の企画だ。

 当日参加者は、片岡さんの案内で古民家を探検。地中の水の流れや風の通り道を知るツアーのほか、御所見地区コミュニティソーシャルワーカー(CSW)の中野伸哉さんから交通手段が限られ、スーパーもない同地区の特徴や課題を聞く。最後に古民家の活用法などを書いた付箋を模造紙に貼りつけるワークショップが実施される。

 「人と人が触れ合い、時におせっかいも焼いてしまうような地域づくりをもう一度していきませんか」と参加を呼びかけており、一緒に活動する仲間も募集している。

 時間は午後1時から3時。参加無料。小雨決行、荒天中止。問い合わせは同社(playfullness2022@gmail.com)。

九条の会が20周年 記念講演に伊藤塾塾長

 ふじさわ・九条の会20周年記念講演「戦争をしないと誓った憲法と私たちにできること」が10日(土)、藤沢市民会館小ホールで開かれる。

 講師は、弁護士で伊藤塾(法律資格受験指導校)塾長の伊藤真さん。安保法制違憲訴訟や憲法53条違憲国家賠償等請求訴訟に取り組んでいる。

 午後1時30分から4時、開場1時。参加費1千円、学生無料。講演前に長野県・鈴鹿音神太鼓の演奏もある。

 問い合わせは同会の島田さん【携帯電話】090・9239・0864。

歌川広重『東海道五十三対 二川』(藤澤浮世絵館提供)

藤澤浮世絵館 弥次喜多の旅路辿る 5月17日から企画展

 辻堂神台の藤澤浮世絵館で5月17日(土)から7月6日(日)まで企画展「東海道中膝栗毛 江戸のコメディアン弥次さん喜多さん」を開催する。

 江戸時代後期の戯作者・十返舎一九の代表作『東海道中膝栗毛』や、同作から派生した「栗毛物」と呼ばれる作品の版本や浮世絵を展示する。

 東海道コーナーでは一九や同作の主人公の弥次さんと喜多さんを紹介する展示や、幕末の『東海道中栗毛弥次馬』(仮名垣魯文・文、落合芳幾・画)が並ぶ。

 藤沢宿コーナーでは一九の代表作の一つ『諸国道中金の草鞋』や、当時の藤沢の様子が描かれる『江之島土産』などを展示。江の島コーナーでは、歌川広重など当時の絵師が弥次喜多人気に影響され自作に登場させた絵などが並ぶ。

 企画展コーナーでは魯文の『西洋道中膝栗毛』を展示。明治初期に弥次喜多の孫が世界中を旅する作品となっている。

 派生作品の多さについて「栗毛物が庶民の生活の一部になっていたことがわかる」と同館の学芸員は話す。「弥次喜多の滑稽な道中や、一九の言葉遊びは現代人にも共感できる。同展で好きなエピソードを見つけてもらえれば」

 入場無料。午前10時から午後7時まで。問い合わせは同館【電話】0466・33・0111。

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家族で学ぶ金融セミナー 24日 参加無料

 「家族で学ぶ金融教育セミナー」が24日(土)、藤沢商工会館ミナパーク(藤沢607の1)5階で開かれる。午前10時30分〜11時30分(受付開始10時〜)。参加無料。

 「未来を担う子どもたちに楽しみながら”お金”のことを知ってもらおう」と、藤沢ロータリークラブ職業奉仕委員会が企画。三井住友信託銀行が運営協力する。

 「”お金”のひみつをさぐれ!」をテーマに、金銭に対するイメージや価値、機能、役割のほか、「モノ」「カネ」の大切さや信用、自身との関係性などの理解を深める。

 同クラブの吉野貴美会長は「経済や経営、本当に大切なものとは何なのか、家族で語り合う機会になってもらえれば」と参加を呼びかけている。

 対象は小学1〜4年生(要保護者同伴)、定員20世帯(応募多数の場合は抽選)。筆記用具を持参。参加希望者は専用フォーム、メール(info@fujisawa-rotary.com)のいずれかで申し込む。

井出部長(左)と感謝状を手にする皆川さん

地域の不用品を児童書に ODAKYU湘南GATEが22冊寄贈

 藤沢駅南口のショッピングモールODAKYU湘南GATEを運営する(株)小田急SCディベロップメントが先月28日、児童書22冊を市総合市民図書館に寄贈した。

 同社が地域貢献の一環として行っている恒例企画で、同館への寄贈は3回目。家庭で不要になった衣類や本を、同社が運営する各施設で回収し、パートナー企業が査定。査定額に応じ「子育て応援」をテーマとしたギフトを各自治体に寄贈している。

 同店では、昨年9月から10月にかけて1011点の衣類や本を回収。チャリティーイベントの収益と合わせ、2万8314円の原資が集まった。図書館側からの希望に応え児童に人気の絵本シリーズや学びにつながる本など22冊の児童書が寄贈された。児童書は背に同店ロゴがデザインされたシールを貼った上で図書館で貸し出される。

 同日行われた寄贈式では同店支配人の皆川慶太さんから市生涯学習部の井出祥子部長に絵本が手渡された。

 井出部長は「昨年いただいた本も人気で今日はほとんど貸し出しに出てしまっている。バラエティー豊かな図書を寄贈していただきありがたい。本は学びの第一歩。子どもたちも喜ぶと思う」と感謝を述べた。

約130種類の中から商品を選ぶ入居者ら

移動販売で買い物満喫 高齢者住宅にぎわう

 サービス付き高齢者向け住宅・ココファン弥勒寺で先月27日、無印良品Fuji善行店の移動販売が行われ、入居者らが買い物を楽しんだ。

 同店の畑秀和店長によると、無印良品を展開する(株)良品計画では地域課題の解決に向けた取り組みを各店で進めている。畑店長は昨年、藤沢市の職員を通じて同住宅につないでもらい、移動販売の開催に至ったという。

 今年2月にプレ開催され、この日は第2弾。同住宅は入居者用の送迎車を使わない時間帯を活用し、同店の商品を積み、搬入。入居者でつくる実行委員がバターチキンカレーや炊き込みご飯の素、化粧品といった運び込まれた商品を食堂に陳列した。前回開催時に実行委から「季節を感じる衣類も欲しい」という要望が上がり、Tシャツや帽子などを合わせて約130種類が用意された。

 開店の午後2時を迎えると、同住宅の入居者72人のほか、その家族、自治会を経由してまかれたチラシなどを見た近隣住民らが集まり出した。80代女性は「やっぱり買い物は楽しいわよね」と声を弾ませながら買い物かごに商品を詰めていった。コーヒーや紅茶も100円で提供され、皆会話を交わしていた。

 同住宅で事業所長代理を務める上岡留美子さんは「今後も商品を入れ替えながら定期的に開催し、入居者さんのほか、近隣の独居の人などが馴染みのスタッフに相談できるような憩いの場になれば」と展望を語った。
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スーパーキッズ部門を制したDooooΦ(ドーフィー)

リズムに乗せ 情熱爆発 湘南ダンスサミットに43チーム

 小学生から25歳以下までの若者がダンスの技や表現力でぶつかり合う「湘南ダンスサミットVol.12」が先月27日、湘南台文化センター市民シアターホールで行われた。年齢別に順位を争うコンテスト部門に31チーム、作品発表のみ行うショーケース部門に12チームが市内外から集結し、躍動感あふれる演技を披露した。

 「もう一度見たい」が評価の基準となるコンテスト部門ではプロのダンサーらが審査。最多16チームが出場したスーパーキッズ部門(小学6年生以下)では厚木市から出場した10歳から12歳までの8人組「DooooΦ」が頂点に立った。メンバーたちは「このチームで踊るのは今回が最後だったので、うれしくて倒れるかと思った」と喜びを爆発させた。

 小学3年生以下のキッズ部門では「ABLAZE」(厚木市)、中学生以下のジュニア部門では「ONDO」(横浜市)、25歳以下のユース部門では「SWAG SHOW CREW」(川崎市)がそれぞれ優勝した。

和菓子、ケーキ作りに挑戦 職人の教室 参加者募集

 ふじさわ観光名産品協議会では、ふじさわ産業フェスタ協力事業として5月25日(日)に開く和菓子・ケーキ作り体験教室の参加者を募集中だ。

 会場は藤沢市民会館(鵠沼東8の1)第2会議室。和菓子教室が午前10時30分〜正午。ケーキ教室が午後2時〜4時。

 受講料は1人につき2000円。抽選で20人(付添いは1人につき1人まで)。

 同教室は藤沢菓子組合の協力で開催。講師は地域で活躍する職人が担当する。和菓子は上生菓子を形作る練り切りの体験、ケーキではデコレーションケーキの仕上げが学べる(予告なく変更の場合あり)。

 「小さなお子様の親子連れも歓迎。お気軽にご参加を」と事務局。参加申し込みは二次元コードで5月8日から14日まで受付。問い合せは藤沢商工会議所振興課【電話】0466・27・8888。