平塚・大磯・二宮・中井版【7月25日(金)号】
渡辺紗緒里さん(右)と彩華さん

大磯産初の肉牛 「磯姫牛」を6次産業化 加工品を販売開始

 大磯町内唯一の肉牛農家「大磯なごみ牧場」(生沢/渡辺紗緒里代表)が、生産する「磯姫牛」の加工品開発、販売までを行う6次産業化を初実現した。7月7日からハンバーグなどのオンライン販売を開始している。

 渡辺さんは、伊勢原市内で代々続く農家の出身。祖父は乳牛、父と母は肉牛の生産をしていたといい、「先代から伝わってきた昔ながらの飼育を取り入れながら、新しい農業にゼロから挑戦したい」と、2015年に利用されなくなった牛舎や堆肥舎を有効活用する形で、妹の彩華さんと共に新規就農した。男手が必要だと思われがちだが、「女性ができる畜産業」の道を開拓している。

 同牧場の特徴は「子育て経験者の視点」を生かした飼育だ。牛を捕まえたり、移動させたりするような力仕事は難しいため、牛との信頼関係を築き、なつかせることで解決しているという。「我が子のように接すれば、この子は顔色が悪いねという変化にも気づける。病気も早期に対処でき、死亡事故も少ない」と渡辺さん。

 その実績を買われ、死亡率の高い生まれて間もない子牛を他牧場から受け入れ、哺乳と育成を行う「預託農場」としての業務も行っている。常時100頭ほどの子牛を預かっているほか、同牧場の母牛と子牛60頭ほどを、太平洋を望む牧場で飼育している。

 磯姫牛は全て、出産を経験した母牛。赤身の味が濃く、和牛本来のおいしさが特徴だ。渡辺さんは「経産牛は一般的に廃用牛と言われ、ネガティブに捉えられがち。うちでは牛の体力を鑑みずに出産させることはしません。牛たちにお仕事を頂いているという気持ちでおいしい肉牛を生産したい」と話していた。

堤町にある日産車体

日産車体湘南工場 車両生産終了へ 雇用最優先で可能性模索

 日産自動車株式会社(本社=横浜市西区/イヴァン・エスピノーサ社長)は7月15日、平塚市堤町に本社を置く子会社「日産車体株式会社」(冨山隆代表取締役)の湘南工場に生産委託している小型商用車「NV200バネット」の生産を2026年度末に終了するとした。

* * *

 湘南工場で生産している車両は2種のみで、既に小型商用車「AD」の生産は25年10月に終えるため、同工場での車両生産は26年度に終了することになる。「NV200」の後継モデルは27年度に導入予定だが、詳細は明らかになっておらず、今後発表される。

 日産車体株式会社は同日、湘南工場の今後について、同社ホームページでコメントを発表。車両生産の可能性も模索するとし、今後は消防車や救急車といった特装車や、現在も取り扱っているサービス部品生産をはじめとするサポート事業を担うことも視野に「従業員の雇用を最優先に、あらゆる可能性を検討してまいります」とした。

フェアレディZなど人気車種も送り出し

 1937年に設立された「日本航空工業株式会社」を前身に持つ日産車体は、戦災復旧電車である都電「6000」第1号を完成させるなど、日本の戦後復興を支えた。その後、湘南工場では69年に「フェアレディZ」、97年に「エルグランド」の生産を開始するなど、日産の人気車種を世界に送り出してきた。

 2013年には車両生産が終了していた湘南工場の敷地の一部を三井不動産に売却。16年にららぽーと湘南平塚が開業している。

 日産車体の従業員は1786人(25年3月31日時点)。平塚市内には他に、設計、試作車の製作や、生産設備を設計するテクノセンター(大神)を有している。

経営相談窓口も

 平塚市の落合克宏市長は15日、同社の発表を受け「日産車体では、湘南工場継続に向けた取り組みを進めるとのことです。平塚市としましては、日産車体の今後の動向を注視するとともに、必要となる協議を進めていきたい」とコメント。

 平塚商工会議所の常盤卓嗣会頭はタウンニュースの取材に対し、「湘南工場が閉鎖されないということが分かって良かった」と話し、一方で「生産縮小に対応するため、平塚商工会議所では下請け企業を対象にした、相談窓口を立ち上げ稼働している。資金繰りや再就職先などの相談に応じるので活用してもらいたい」と、地元の産業や雇用を守るための動きをスタートさせていると明かした。(問)同相談窓口【電話】0463・22・2512

 県内の生産拠点を巡って日産は同日、横須賀市にある「追浜工場」での車両生産を27年度末に終了するとしている。

湘南ひらつか七夕まつりの飾りを7月25日からギャラリー1045で展示する 清水 幹(つよし)さん 平塚市出身 31歳

「まつり後も飾り見て」

 ○…デザインを担当した今年の「湘南ひらつか七夕まつり」の飾りと、その原画などを展示する「祭りのあと」を、4人のアーティストと共に、「(一社)七夕飾り空いっぱいプロジェクト」や企業とタイアップして、計約40点の作品を披露する。

 ○…作家としの忍耐力を育んでくれたのは、柔道だ。平塚市立浜岳中学校で、「一番厳しい部活」と言われていた柔道部に入部。スポーツ推薦で東海大学付属諏訪高校、名城大学に進学し、心身を鍛えた。「作家活動は、常に新しいことを生み出し続けなければいけない。中学の部活が人生の全てに影響している」と真っ直ぐな目で語る。アニメに魅了され、東京の専門学校でイラストを学びながら、「絵画の基礎も習得したい」と日本画家に弟子入り。イラストは仕事で、日本画は作品として制作している。

 ○…作品の特徴は、「動物の形をそのまま残しながら、擬人化をする」こと。歴史上の人物をはじめ、伝承や伝説、季節事や行事からヒントを得ている。落語好きが高じて、演目を作品のモチーフにすることもある。昨年11月、平塚市で初めてとなる個展を開催した際は、干支の動物と落語のコラボ作品をずらりと並べ、好評を博した。

 ○…毎年100万人以上が来場する「湘南ひらつか七夕まつり」は、幼い頃から身近にあった存在。その飾りに携ることは、作品を大勢に見てもらえる貴重な機会だ。2018年から参加する中で「まつり終了後、すぐに解体するのはもったいない」と今回の展覧会を企画。今年は、野村證券平塚支店の飾りを担当し、動物の絵や織姫・彦星のイラストを描いた。「今後、参加する平塚市の作家を増やせたら」と目を輝かせた。

能登の教訓 大磯にも 輪島市職員が被災伝える

 能登半島地震で被災した輪島市の職員を招いた講演会「能登から学ぶ防災・教育 交流ミーティング」が7月27日(日)、大磯町郷土資料館で開催される。午前10時〜11時30分。定員60人で申し込み不要。参加無料。LOVEのとプロジェクト、輪島市教育委員会主催。

 第1部では、輪島市の被災状況や現在の様子などを、同市教育部長が伝える。第2部では同市教育長、池田東一郎大磯町長らが登壇するクロストーク「災害を教訓に考えるまちづくり」を実施。教育現場や地域が果たせる役割について対話する。

 問い合わせはLOVEのとプロジェクト【メール】lovenoto2025@gmail.com。

ギャラリー1045 七夕飾りを細部まで 平塚出身作家ら展示

 今年の湘南ひらつか七夕まつりで掲出された飾りの一部と、そのデザイン原画を展示する「祭りのあと」が7月25日(金)〜30日(水)、ギャラリー1045(平塚市明石町1の1)で開催される。

 平塚の七夕飾りを広く一般に普及させることを目的に飾りの制作支援を行う「(一社)七夕飾り空いっぱいプロジェクト」に参加するアーティスト5人の作品が、約40点並ぶ。

 企画したのは、平塚市出身で、日本画材を使用した絵画を描く清水幹さん(31)=人物風土記で紹介=。

 午前11時〜午後6時(初日は3時〜、最終日は3時まで)。入場無料。(問)同ギャラリー【電話】0463・22・7625

こどもの未来考える 二宮町でワークショップ

 「二宮で育つ こどもの未来」と題した参加・対話型ワークショップが8月6日(水)、二宮町町民センター老人クラブ室で開催される。午後1時30分(1時15分受付)〜4時30分。にのみや子どもの権利フォーラム主催。

 対象は同町に暮らすこどもや、こどもに関わる人。「こどもの権利ってなんだろう」、「二宮町にあったらいいな!を出し合おう」などをテーマに話し合う。参加無料。

 申し込み、問い合わせは【メール】kodomo.kenri.nino2024@gmail.com。

4選を果たした牧山氏(20日、横浜市中区)

参院選 立民・牧山氏トップで4選 国民・籠島氏、自民・脇氏、参政・初鹿野氏が初議席

 第27回参議院選挙は7月20日に投開票が行われた。改選議席4に対して16人が立候補した神奈川県選挙区では、立憲民主党の現職・牧山弘惠氏(60)が73万1605票を獲得し、4選を果たした。国民民主党新人・籠島彰宏氏(36)、自民党新人・脇雅昭氏(43)、参政党新人・初鹿野裕樹氏(48)が初当選を決めた。3選を目指した公明党現職・佐々木さやか氏(44)は議席を失った。

立民・牧山氏 食料品消費税0%を

 トップ当選した牧山氏は「多くの方が物価高に苦しんでいることをまちを歩いて実感した。食料品の消費税を0%へ引き下げ、ガソリンコストの25円値下げを実現したい。生活に寄り添える政治を全うしたい」とあいさつ。選挙戦を通じ、排外主義的な主張が大きくなってきたことに対しては憂慮を示し、「世界情勢を鑑みると自由を重んじるあらゆる国と手を携えなければならないこの時期に間違ったメッセージを与えてしまってはいないか危機を感じている」と語った。

国民・籠島氏 手取り増への期待感じる

 籠島氏は元農水官僚。選挙戦では玉木雄一郎代表が何度も応援に入っていた。国民民主党は参院神奈川では初の当選。籠島氏は「『手取りを増やす』と訴え、多くの有権者からの期待を感じた。若い世代や年配者からの政治を変えてもらいたいとの思いが票になったのだと思う」と述べ、「海外にいた経験から日本と海外の賃金格差を感じる。これを埋めていくための持続的な賃上げを実行していかなければならない。農水省出身の経験を生かし、コメ政策の改革にも取り組みたい」と意欲を示した。

自民・脇氏 党への信頼取り戻す

 脇氏は神奈川県の元局長。選挙戦では小泉進次郎農水相や菅義偉元首相らが精力的に応援。18日には石破茂首相が横浜市緑区へ応援に駆け付けた。脇氏は「県庁を辞めてからの11カ月間、多くの人と話をして、この国を動かしているのは、それぞれの方の力と思いなのだと実感した」と感想を語り、「私に信頼を託していただいた県民に感謝したい。政治への信頼、自民党への信頼を取り戻せるよう、私にできることは成果で、結果で返す。それしかない」と決意を述べた。

参政・初鹿野氏 薄かった反応、次第に大きく

 初鹿野氏は元警察官。参政党への注目が集まる中、最終日の19日は、公示日に続いて神谷宗幣代表が2度目の応援に入り、横浜市港北区での応援演説に多くの支援者らが集まった。大接戦となった4議席目の当確が報じられたのは午前4時ごろ。関係者と抱き合って喜んだ初鹿野氏は「最初は街頭で話していても反応は薄かったが、次第に数十人、数百人と集まるようになった。(有権者は)減税などの経済政策や外国人政策に共感したのでは」と述べ、「愚直にやるべきことを一生懸命やっていきたい」と抱負を語った。

公明・佐々木氏 逆風で接戦に敗れる

 佐々木氏は初鹿野氏との接戦に敗れて議席を失った。落選の報を受け、「大変厳しい、逆風の中の戦いだった。私の力不足でこの接戦を制することができなかったことを心からお詫び申し上げたい」と支援者に陳謝。「国内外の課題、主に物価高を中心とした多くの国民が感じている不安を公明党はしっかりと受け止めて、もう一度原点に立ち返って、寄り添っていく必要がある」と前を向いた。

共産・浅賀氏 4度目挑戦も届かず

 共産党新人の浅賀由香氏(45)は4度目の参院選挑戦となったが、今回も及ばなかった。浅賀氏は選挙戦を振り返り、「消費税減税の財源を明確に示したり、外国籍の人のせいで生活が苦しくなっているわけではないことを、根拠を示しながら戦うことができた唯一の候補者だったと思う」とし、「自民党の裏金問題への反省のなさや物価高対策の遅れを指摘し、自公が議席を減らすことに貢献できた」と述べた。

 神奈川県選挙管理委員会によると、選挙区の投票率は60・30%で前回の2022年を5・79ポイント上回った。

左から今井さん、金子さん、尾上さん

中井町民ゴルフで交流 社協に8万円寄付も

 第39回中井町民ゴルフ大会が7月7日、平塚富士見カントリークラブで開催され、中井町在住、在勤の参加者218人が親睦を深めた。

 中井町ゴルフ協会(松本忠雄会長)主催。平塚・大磯コースを併用して実施された。

 全員がホールアウトした後に開催された表彰式では、中井町の戸村裕司町長があいさつし、参加者の健闘を称えた。

 男子優勝は金子毅さん、女子優勝は今井恵子さん、シニア優勝は尾上博治さんだった。

 チャリティーホールも実施し、8万4678円を中井町社会福祉協議会に寄付した。

夜の生きもの探索 8月23日 平塚市馬入水辺の楽校で

 夜の生きものの鳴き声や姿を観察できる「自然探偵団 ナイト ウォーク」が8月23日(土)、平塚市の馬入水辺の楽校で開催される。午後5時〜7時頃。8月8日(金)まで参加者を募集している。雨天中止。NPO法人暮らし・つながる森里川海(臼井勝之理事長)主催。

 コウモリやオオカマキリ、セミ、カナブン類の昆虫の鳴き声などを楽しめる。

 馬入水辺の楽校の風車前集合。対象は5歳以上(保護者同伴)。先着30人。大人2000円、中学生以下1000円。

 持ち物は長袖、長ズボン、帽子、軍手、雨具、防虫スプレーなど。

 同法人のHP問い合わせから、代表者の名前、性別、年齢、携帯電話番号、参加者全員の名前を書いて申し込む。

(問)同法人【メール】shounanikimonogakkou@gmail.com

<PR>
【LINE読者限定プレゼント】
【LINE読者限定プレゼント】
  毎月15名様に抽選で『Amazonギフト券1,000円分』をプレゼント!ギフト券以外のプレゼントもあるかも!是非チェックしてみてください。 (続きを読む)
天皇杯やルヴァンカップで躍動し、J1 リーグ戦にも絡み始めた高卒ルーキーの石橋瀬凪選手。石橋選手のドリブルが同点ゴールとなるPKを生んだ

ベルマガ通信 今季初の3得点、後半に強い湘南が始まるか  天皇杯3回戦7月16日ホーム湘南0-1清水エスパルス、J1第24節7月19日ホーム湘南3-3セレッソ大阪

 山口智監督は会見で、戦術の細かい決め事や意図は明かさない印象が強い監督に感じます。それでも会見に長く参加してベルマガがつかんだ傾向があります。それは機嫌が良いと声が大きくなり、機嫌が悪いと消え入るようなか細い声になること。SNSに載せる会見の「文章」では、そのニュアンスはなかなか伝えづらいのが悩みです。

 当然試合に負けると、か細い声になりがちなんですが、天皇杯の清水エスパルス戦は少し違いました。清水の秋葉監督は、声がめちゃくちゃ大きな監督でマイクも要らないほどでしたが、山口監督もいつもの負け試合とは違い、少し声量を感じた印象。延長戦のセットプレー一発でやられた試合内容は決して悪くなかっただけに、希望を感じました。

 迎えたリーグ戦のセレッソ大阪戦。これまでは引分けの際でも暗い印象が多かったのですが、会見はまあまあ明るめ。笑顔こそなかったかと思いますが、今季初の3得点、新加入選手やルーキーの躍動を感じた試合だけに、「後半戦は、レアルマドリードより強い湘南ベルマーレ」が始まった期待にあふれています。(ベルマガ編集長 有坂玲)

「サポーターは僕の原動力だった」と語った福田翔生選手。彼が安心して旅立てるよう、残った選手で戦える集団になりたい

ベルマガ通信 危機感 昨季王者神戸に4失点 7月5日アウェー湘南0-4神戸

 すでに梅雨明けし、体温を超える最高気温と、もやがかった湿度の悪条件の中、昨季王者神戸相手に4失点を喫した。

 デンマーク1部ブレンビーIFへの移籍が決定しているFW福田翔生選手を白星で送り出すことは叶わなかった。

 4失点目の後、主将鈴木章斗選手は、センターサークル付近で一人腰を下ろし、ピッチに手をつきうなだれた。

 試合後のインタビューで新加入のGKポープ・ウィリアム選手は「攻守において繋がっていたが、次第に練習でできていたことが出せなくなっていった」と語った。練習で出せていたことが出せなくなった理由について「メンタル」と口にした。試合開始10分までは、チーム一丸となってゴールに向かう姿勢が見て取れた。が、次第に神戸の圧力を前にその勢いは鳴りを潜め、メンタルが折られた。4失点目のシーンは、そういう面が否めないだろう。

 海外挑戦、負傷離脱、そして新加入の戦力。横浜FM戦後の会見で山口智監督は「チームは色んな意味で動いていく」と語ったが、危機感を持ってこの事態を覆すリバウンドメンタリティをチーム全体に期待したい。

(ベルマガ・浜地隆史)