中原区版【1月1日(水)号】
かわさきFMの大西社長(上)、FM大師の清水代表と局長

ラジオ放送100年 市内2局「地元を元気に」 かわさきFM、FM大師

 2025年はラジオ放送が始まってから100年を迎える。武蔵小杉駅前に開局し29年目の「かわさきFM(79.1MHz)」と、川崎大師近くで昨年9月に放送を開始した「FM大師(94.9MHz)」。川崎市内にあるこの2つのコミュニティ放送局は、それぞれの思いで地域に元気を届け、災害時に市民の命を守るためにも情報配信を続ける。

「7区を一つに」

 市と民間企業の共同出資による第3セクターとして1996年に開局したかわさきFM(大西絵満代表)。周波数の語呂合わせ「(川崎市の)7区を一つに」をコンセプトに、市民参加型メディアにこだわる。スポーツ、音楽、文化芸術、生活情報など川崎の魅力を伝える多彩な番組構成が特徴で、中でもリスナーから人気を集めるのがスポーツの実況中継だ。川崎フロンターレのホーム戦生中継は15年以上続け、ネットでの聴取率は通常時の10倍以上にも上るという。川崎ブレイブサンダース戦も中継を開始。各スポーツ番組のほか、貴重な音源を紹介する「ミュージックセレクション」や、川崎と沖縄のつながりを伝える長寿番組も好評だ。自社制作番組の放送枠は平日7時間設け、年間約1500人の市民らが登場する機会にもなっている。

 ラジオの大きな役割の一つが防災情報の伝達。同局では大地震や特別警報などの災害発生時に、即座に自動放送するシステム「ラジアラート」を2022年に導入。時間帯問わず迅速かつ正しい情報を地域住民に届けつつ、社員の放送体制を整える。大西社長は「導入しているFM局は全国でも少ない。日々の防災番組を含め、市民の命を守ることが責務」と強調する。今年は市と連携し、「防災ラジオ」の提供も検討中だ。

 今後のテーマに掲げるのは、ラジオを若い世代にも普及させること。昨年は市内のイベントなどに出展し、子どもにDJやアナウンサーが体験できる場を提供。高校生バンドやアニメを支援する活動にも取り組んできた。SNSとのマルチメディア展開の充実も視野に入れる大西社長は「地域の担い手支援もラジオ局の役割。『リッスンラジオ』(アプリ)だけでなく、スマホやネットでも聴きやすい環境も整備し、地域に寄り添うメディアであり続けたい」と力を込める。

「収益よりもまず認知」

 昨年9月30日に開局し、FM局初の周波数90ヘルツ台として注目を集めるFM大師(清水暁代表)。「地元を元気に」をテーマに、川崎区在住・在勤のスタッフ9人が、パーソナリティー、リポーター、ディレクターなど全ての業務を兼任し番組づくりに勤しむ。「収益よりもまずは認知してもらうこと」と、歩いて得た超ローカル情報やリスナーから寄せられた話題で番組を構成。昨秋は都市緑化かわさきフェアで富士見公園にサテライトスタジオを開設し、絶好のPR機会ともなった。「行列ができるお好み焼き屋を紹介したら、リスナーが買ってくれて嬉しかった」と局長の清水成美さん。そんな温もりある地元密着の放送を重ね、徐々に手応えも。会員クラブの加盟店は70を超え、メンバー登録した市民らは早くも500人に達するほどに。スマホでも聴ける「FM++(エフエムプラプラ)」のダウンロードも増えているという。

 今年は認知度の向上を大きなテーマに掲げる。川崎駅北口でYOUテレビが運営するサテライトスタジオでの配信や、川崎区内すべての公園でのリポート、町内会の紹介などを検討中という。また、防災情報の配信強化も掲げ、消防署などの公共機関や県内のFMネットワークとの連携、緊急告知ラジオの普及を進め、災害時の命を助ける活動にも注力する方針。清水社長は「CM料金も破格にしており収益面も考えていかなければならないが、まずは認知してもらうこと。どローカルな情報を届けていきたい」と力を込める。

 立場や状況は異なる2つのラジオ局だが、地域に元気を届けるという共通の思いで臨む2025年。平時も災害時も、市民に寄り添うメディアとしての役割を果たす。

市政運営に意気込みをみせる福田市長

新たな価値生む都市へ 福田市長、2025年を語る

 2025年の幕開けにあたり、本紙は福田紀彦川崎市長に恒例の新春インタビューを行った。川崎市制100年の節目を迎えた昨年を振り返るとともに、若い世代を交えたまちづくりの必要性や、全国・世界をリードするグローバルな都市実現への意欲を示した。

(聞き手/本紙川崎支社長・有賀友彦)

 ――昨年は市制100周年と全国都市緑化かわさきフェアを開催し、節目の年でした。福田市長が呼び掛けてきた「知って、関わって、好きになってもらう」、公約に掲げる「緑化先進市」という点で、手応えや課題はありましたか。

 「年間を通し様々な記念イベントを行い、6月の飛躍祭は約18万人、10月の多摩川花火大会は20万人超、緑化フェアも94万人もの人にご来場いただき、多くの市民の皆さんと100周年を共有し、改めて川崎を知って関わっていただいた機会になりました。実は100周年の認知度と、愛着・誇りを表すシビックプライド指標は比例しており、そういう意味で川崎を好きになっている人が確実に増えていると認識しています。緑化フェアの前半は天候もあってか出足が鈍かったのですが、後半は佳子内親王殿下がお見えになられたこともあり、急速に認知度が上がりました。緑化フェアは昨秋と今春の開催で、計160万人の来場者を目指しており上々の滑り出しです。春ならではの花や緑もあり、春会期では秋にも増して楽しんでいただけると思います。一方で課題は、緑化フェアのレガシーを次の時代にどうつないでいくか。公園や街路樹などの日常の緑、都市の中の緑の価値や可能性をいかしていけるよう、101年目の今年からまちづくりの挑戦が始まります」

 ――市のイメージアップにつながりましたか。

 「各イベントを通じて、川崎が持つ魅力を最大限発揮できたと思います。本市は基本的に川崎市民へのPRを重視しており、他都市とは少し異なる方針ですが、その準備してきたものを良い形で表現できました。飛躍祭ではブルーインパルスに市周辺を飛行していただいたことで、結果的に市外にも100周年を周知できました。また『みんなの川崎祭』は6車線の道路を初めて封鎖し楽しむことで、道路空間を活用したにぎわい創出の可能性を示すことができました。今後、公共空間をいかした取り組みを進める上で良いモデルになったと思っています」

トイレ対策「早急に検討」

 ――能登半島地震から1年、阪神・淡路大震災から30年。昨年は被災地支援を積極的に進めましたが、得た学びや教訓、市の防災力強化にいかせる点はありましたか。

 「地震が発生した元日から3カ月間は集中的に職員を現地へ派遣し、延べ約3500人が輪島市などの被災地で支援活動にあたりました。今も災害廃棄物の受け入れや技術職員を派遣しており、中長期にわたるかもしれませんが一刻も早い復興復旧のために尽くします。今回得た教訓は、災害時のトイレ問題です。特に川崎市のような都市部は、被災直後から衛生的にも重要な課題となると認識していますので、マンホールトイレの整備など、総合的なトイレ対策について早急に検討を進めているところです」

 ――市民の防災意識を一層高める上での課題はありますか。

 「例えば、風水害と地震では備え・対策が異なること、各家庭でのマイタイムライン(避難行動計画)作成の必要性、都市型災害の危険性など、市民に理解を深めていただくため強く訴えていきます。また、消防団員を増やすことも、地域の防災意識向上につながります。消防団業務は大変という印象を持たれがちですが、消防団によっては年間数時間の活動でよいなど、実際には過度な負担なく活動できるので、若い世代にも加入してほしいですね。発災時に命を守り、復興復旧においても、日頃からの地域のつながりが不可欠です。都市部はそうした連携が希薄な傾向にあるからこそ、強く働きかけていく必要があります」

 ――防災や防犯、子育てや地域包括ケアなどの観点からも、町内会・自治会の重要性は増しています。しかし一方で、住民世帯の加入率は2019年度の60%から23年度は56%と減少の一途をたどっています。現状をどう捉え、どのような見通しを立てていますか。

「若い世代も地域参加を」

 「地域のあらゆる場面で大切なのは、顔が見える関係です。例えば子育てでも、公園で遊ばせたり、通学する際にも、地域の目がある安心感は大きいです。地域全体で子どもを見守り育てることで、子育てが楽しいと思える環境や人間関係も生まれるはずです。その点でも、若い世代が町内会・自治会に加入し、地域でつながりを持ち、まちづくりにも加わっていただきたい。コロナ禍が明け、地域活動やイベントが再開し、その楽しさを体験・体感できるようになった今がチャンスです。市内では、多世代との交流機会を増やすため、大型公園を会場に、防災や地域について楽しく学べる企画を実施している事例もあります。市も『町内会・自治会活動応援補助金』などで支援を続けながら、加入するメリットや魅力も伝えていきます」

先端企業が集積

 ――東芝や富士通の本社移転、ホリプロやDeNAの事業展開など、川崎市がますます大手企業に選ばれる都市になっていると感じます。その要因と、今後の市政運営にどうつなげますか。

 「これまでに数多くの立地企業の皆さんと一緒にまちづくりを進めてきた成果が表れてきています。狭いエリアながら、企業を集結させ、新たな研究開発や技術が生まれる都市へと注力してきた本市の取り組みと、各企業の方針が合致してきているように感じます。日本でこれほどグローバルな企業が揃っているエリアはないように思います。研究開発を先導しイノベーションを生み出す都市に向け、顔ぶれが揃ってきました。量子コンピュータの設置を契機に取り組みを進めている『量子イノベーションパーク』も新川崎を中心拠点にしつつ、川崎臨海部もエリアと捉え取り組んでおり、先端企業の集積という川崎の強みをいかし、新たな産業が生まれることを強く期待しています。また、これまで京浜工業地帯の一角を担い二酸化炭素を排出しながら成長を遂げてきた本市が、JFEの跡地利用をはじめ、カーボンニュートラルによって豊かになろうという100年に一度レベルの産業構造の大転換を急速に進めています。我が国の経済を引っ張っていくという機運が市内全域で高まっていますし、市も一緒に取り組んでまいります」

 ――全国的な傾向ですが、教員や職員の不足が問題視され、教育面や市民サービスへの影響が懸念されます。昨年ジョブリターン制度を導入しましたが、今後の対策や展望をお聞かせください。

 「どの業界や業種も人手不足が深刻ですが、実は公務員も働き手が集まらない時代に直面しています。改めて、政令指定都市で特別市を目指す川崎市で自立的なまちづくりを進めるプレイヤーになれるという魅力を伝えていく必要があります。教員も35人学級や特別支援学級の増加に対応できる数は必要ですし、川崎市ならではの教育の魅力、先進性もアピールしたい。実は川崎市立の小学校では管理職の48%が女性で、この比率は全国平均と比べるとかなり高く、全校種で見ても全国平均より16ポイントほど高いのです。こうした女性活躍が進んでいることもアピールし、採用の過程でも示していくことが大切です。また、ジョブリターン制度により有為な人材が戻ってきてくれるのは大きいですし、あらゆる対策を講じて人手不足に対応します」

 ――特別市制度など中長期の計画や構想がある中、今秋は市長選を迎えます。継続して取り組んでいく考えは。

 「選挙については現時点で何とも申し上げられませんが、特別市にしても、川崎から新百合ヶ丘までの拠点整備にしても重要な局面を迎えています。産業構造転換という意味でも大きな節目にあり、長期的なビジョンをもってやっていくことが大事だと考えていますので、今年もしっかり取り組んでまいります」

牧阿佐美バレヱ団の公演「くるみ割り人形」で主演を務めた 今村 のぞみさん 区内在住 28歳

まだ見ぬゴール目指して

 ○…国内トップバレエ団の一つ「牧阿佐美バレヱ団」。ソリストを務め、昨年12月15日に都内で行われた恒例の公演「くるみ割り人形」で主役の「金平糖の精」を演じた。今回で3度目の大役。ケガの影響で十分なリハーサルができなかったものの、これまでの経験を生かし役を踊り切った。「振り付けも覚えていたので余裕を持って表現できた。いい形でお客さまにお見せできたと思う」と安堵する。

 ○…3歳のときに母親が見つけた区内のバレエ教室のチラシを見て習い始めた。音楽に乗って、友だちと一緒に踊るのが楽しかった。千葉に転居後も続け、高校時代は都内のバレエ学校に通った。卒業後は東京バレエ団でプロに。「次に行くなら牧阿佐美バレヱ団と決めていた」。頻繁に公演を見に行くほど憧れていた。オーディションに合格し「ずっと見てきたところで踊れるのがうれしかった」と破顔する。

 ○…「スタジオに入った瞬間からダンサーでいなさい」。それが師と仰ぐ牧阿佐美さんの教え。バレエは内面を表現するもの。日常の仕草や姿勢も舞台の上に出てしまうからだ。それを常日頃から意識し、舞台上では目線の使い方にミリ単位でこだわる。「毎回ベストを尽くすけどゴールにはたどり着けない」とバレエの奥深さを実感する。

 ○…食べることが好きで、オフは小杉周辺のカフェなどを探索。新城高校在学時に友人と通ったカレー店は思い出の味だ。日々体調管理に余念がなく、ピラティスで体幹や筋肉を鍛える。今後はダンサーとして視野を広げ、海外のようにバレエが日常にある社会になってほしいと願う。「バレエのことをもっと多くの人に知ってほしい」。これからも自分らしく踊り続け、バレエの魅力を発信していく。

実行委員会メンバー

ブレーメン通り青年部 「100Kmウォーク」準備進む 神奈川横断 3月に向け

 モトスミ・ブレーメン通り商店街の青年部が中心となって、湯河原町から元住吉までの100Kmの道程を一晩掛けて歩く「神奈川100Kmウォーク湯渡し100」の準備が進められている。3月15日(土)午後1時に湯河原の万葉公園をスタート。

 湯河原から小田原、平塚、藤沢、戸塚、六角橋を通って元住吉の住吉神社のゴールを目指す同イベント。ウォーキングの魅力と、人同士の交流、各地域のグルメを楽しんでもらうことを目的としている。昨年、プレ企画として実施し、関係者約60人が参加。14人が完歩した。今年、記念すべき第1回を迎える。

 100Kmウォークは、全国各地で町おこしイベントとして開催されており、国内最大規模の九州の行橋から別府まで歩くイベントに実行委員会メンバーも昨年10月に訪問。視察を兼ねて参加した。

 「湯河原駅前通り明店街をはじめ、各地域の商店街の協力で開催する。記録よりも地域のつながりや歩くこと、食べることを楽しんでほしい」と実行委員長で同青年部の小林規一郎さん。今年は、お笑い芸人のブレーメン通りがアンバサダーに就任。実行委員会メンバーも歩く練習も開始し、準備を進めている。

 昨年12月15日から参加者の募集がスタートし、12月20日時点で300人を超える申込みがあったという。「全国の仲間が興味を持ってくれている。神奈川の商店街を盛り上げる企画として、ぜひ注目してほしい。参加してもらったり、沿道で応援してもらえれば」と小林さん。詳細は公式ウェブサイト。

消防団らによる一斉放水=写真は昨年

恒例の出初式 今年は1月12日

 新年恒例の「中原地区消防出初式」が1月12日(日)、とどろきアリーナと等々力緑地催し物広場で開催される。

 午前9時40分から神崎順さんと、ボーイズレビューユニット「10carats」によるオープニングコンサートで幕を開けた後、第1部で式典と表彰式を実施。第2部では、分列行進と一斉放水、宮内中学校吹奏楽部の演奏、平間幼稚園園児による演技が予定されている。荒天時は第1部のみ。問い合わせは中原消防署【電話】044・411・0119。

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富士山を見るならここ! 区内絶景スポット

 正月といえば、一富士二鷹三茄子。区内には、富士山を望むことができる場所がいくつかある。市ノ坪跨線橋やJR武蔵中原駅はその一つ。他には多摩川沿いの遊歩道からも見ることができるポイントも。この機会に、ぜひ訪れてみては。

「川崎ロケ作品」人気1位は お気に入りに投票 賞品も

 映像のまち・かわさき推進フォーラムは川崎市内で撮影された映像作品の中から投票によってベスト作品を決める「かわさきロケアワード」を実施する。応募は来年2月28日(金)まで。

 今年は市制100周年を記念し、昭和から市内で多くの映像作品の撮影が行われていることの周知などを目的に、企画が行われる。

 参加者の中から335人に、イオンシネマ新百合ヶ丘など市内の映画館で使える劇場鑑賞券や、川崎フロンターレ所属選手のサイン色紙などの賞品が抽選で当たる。

 応募は同フォーラムウェブサイト内の専用ページ、もしくは各区役所などで配布している応募はがきから。問い合わせは同フォーラム【電話】044・223・6550。

カフェで川崎純情小町☆のポーズをする前田さん

あの人は今、何してる? 元川崎純情小町☆中原区担当 前田薫里さん(35)

中原区版の過去の紙面に登場してくれた人の今に迫る「あの人は今何してる?」。今回は13年前(2012年7月6日号など)の紙面で紹介した前田薫里さんです。

 川崎の魅力を発信しているアイドルグループ『川崎純情小町☆』の第1期生として2011年から17年まで6年半にわたり活動した前田薫里さん。12年7月6日号で中原区担当のメンバーとして紙面に登場した。活動期間中は中原区の「顔」として市内・区内で開催されたイベントに出演。歌とダンスを通じて、地域の魅力を発信し続けた。「中原区についての情報を必死にメモして覚えていた。懐かしいな」と当時を振り返り、思わず笑みがこぼれた。

 当時の活動で印象に残っているのは、16年10月にクラブチッタでワンマンライブをやったこと。500人の観客を集めることを目標に、連日川崎大師や飲食店を訪れて広報し続けた。無事に目標を達成し、ライブ当日を迎えた。「とっても楽しかった。あの時来てくれたお客さんの笑顔は、今でも覚えている」と目を細める。

 17年3月9日にグループを卒業。その後はアーティストとして芸能活動を継続。2つのグループ『SB5J(シブゴジ)』と『Vitamin' Kiss(ビタミンキス)』にそれぞれ2年ほど所属していたが、21年にアイドル活動から身を引いた。ただ「歌いたい」という思いは消えず、ふと思い立って家で歌を練習するように。3年前からはYouTubeチャンネル「きまぐれ歌日記」を立ち上げ、動画の撮影から編集まで1人で行い、80年代のアニメソングを歌う様子を投稿している。投稿頻度は不定期で、文字通り自由気ままに活動するのが自身のスタイル。「日常生活に歌が戻ってきて楽しい。誰にも縛られないで、好きなときに自由に歌えるのがうれしい」。他にも、振り付けの仕事やダンスレッスンの指導を頼まれることも。アイドル時代に培ってきた経験が、今に生きているという。

 今でも中原区を訪れることも。ベトナムのサンドイッチ「バインミー」や「等々力ソフトサブレ」が思い出の味だという。

目指すは登録者千人

 「今の目標はYouTube登録者数1000人を達成すること。自分のペースで、緩く続けられたら」と望む。また現在も活動する『川崎純情小町☆』にエールも。「今でもグループが続いていることが誇り。川崎のアイドルとして、今後も輝き続けて欲しい」と後輩に期待を込めた。

井田長瀬特別緑地の中に立つ大銀杏と祠(上)、根元には案内板も

区内で発見したヘビ伝説 干支特集 白い大蛇は、地域の守り神

 動物の中ではあまり人気のないヘビだが、昔から地域の守護神であり、特別な存在としてあがめられている存在だ。今年の干支の巳にちなみ、中原区に伝わる白い大蛇の伝説を追ってみた。今も残る祠には、多摩川の氾濫から村を守ったという言い伝えも。それではみなさま、白ヘビ伝説のはじまり、はじまり〜。

◆毘沙門天の大銀杏(@井田長瀬特別緑地)

 平坦な中原区にあって、貴重な里山が広がる井田山。その中の井田長瀬特別緑地に、「毘沙門天の大銀杏」という伝承が残されている。急な坂道のある住宅街を抜け、入り口もわからないような緑の林に囲まれた一角に、1本の大きなイチョウの樹と小さな祠がひっそりとたたずんでいる。

 木の根元にある案内板によると、祠には七福神の一人・毘沙門天が祭られているという。「大イチョウには祠の主である白い大蛇が住んでいて、大暴風で多摩川の水が氾濫して村が危険におちいったときに、洪水の中を大蛇が泳ぎ回って、川の氾濫を防いでくれた」と言い伝えられている。

 祠や大イチョウの樹の傍らにはお供えものが添えられ、地域の人たちによって大切にされていることが感じられた。

 この話は、1994年3月に川崎市民ミュージアムが発行した『川崎物語集』の3巻に短い伝承として収録。学芸員の鈴木勇一郎さんに聞くと「編集を担当したのは『川崎の民話調査団』という団体で、出典は84年に出版された雑誌『文化かわさき』8号です」と教えてくれた。残念ながら、伝承に関するこれ以上の詳細な情報は残っていないとか。鈴木さんは「昔の写真を見ると、近くを流れる矢上川が曲がりくねっている様子がわかる。今のように整備される前は、暴風雨で荒れることも多かったのではないか」と推測する。

 『川崎物語集』や『文化かわさき』については、一部の図書館などにも置いてあり、現物を読むこともできるという。

◆金井観音(@宮内4丁目31)

 新編武蔵風土記稿には「慶長年間に、二ヶ領用水に架かる家内橋のたもとで金井杢之助の一族が処刑された『金井橋事件』があった」と記載されている。この事件を村人が悼み、手厚く供養したが、この辺りに白ヘビが頻繁に出没。しかし村人は「これは吉兆の知らせだ」と考え、1792年に府中街道に面するこの地に観音様を建立し、杢之助を祭ったという。

 宮内自治会の田村二三夫会長は「現在、宮内こども文化センターの子どもたちに協力してもらい、金井観音が題材の紙芝居を作成している」という。3月までに完成させ、地域の小学校などで披露したい考えだ。

◆八大龍王弁財天(@宮内2丁目18)

 かつて多摩川に近い池の傍らにあった祠を、59年にこの地に再建。八つの頭を持つヘビを神様とし、商売繁盛、富貴栄達のご利益があるという。

 「戦後の復興時、今の西宮内保育園近くにあった『下ノ池』の埋め立て工事をしていたところ、その場所に大きなヘビが死んでいた。これは『下ノ池』の主であったことから、工事を請け負った業者と地主が社をつくりヘビを供養した」と伝えられている。

◆宝蔵寺の弁財天(@上小田中1の4の13)

 七福神の中で、紅一点の女神である弁財天。河川が神格化した水の神様で、その使いが仏教の守護神でもある巳(ヘビ)とされる。白ヘビは弁財天の化身と言われ、同寺の弁財天も周囲に池のあるお堂に祭られている。

 住職の谷口隆祥さんは「新年の川崎七福神めぐりの際にお立ち寄りいただければ」と話す。

記者まちかど探訪 中原区のお雑煮事情は 読者アンケート しょうゆ味が最多

 新年の食卓を彩る料理といえば「お雑煮」。日本の伝統料理として、各家庭で親しまれている。

 お雑煮は、餅や野菜などを一緒に煮た料理。起源は、平安時代、または室町時代と諸説ある。餅は、ハレの日に食べるおめでたいものとされ、年神様に備えた餅を野菜などと一緒に、その年の初めにくんだ水で、新年最初の火で煮て、正月に食べたことが始まりとされる。

 農林水産省のウェブサイト「うちの郷土料理 お雑煮 東京都」では「室町時代、京都では丸餅に味噌仕立ての雑煮を公家はおもてなし料理として、上級武家は慶事料理として、正月以外にも食していた料理である。雑煮が身分に関係なく正月の祝い事に食べられるようになったのは江戸時代から」とある。

 そのお雑煮、地域や家庭によって違いがある。同サイトによると「参勤交代などの文化の交流の中で雑煮は全国各地へと広がりをみせる」とあり、そこでさまざまな味へと変化していったことが推測される。

 では、中原区ではどんなお雑煮が食べられているのか。中原区は、古くから中原街道を中心に交通の要所として栄え、農村地帯が広がっていた。その後、京浜工業地帯の一端を担い、社宅が数多く存在し、バブル崩壊後は川崎市の再開発拠点としてタワーマンションなどが立ち並び、現在は、古くからの居住者と新住民が多く住むまちとなっている。

 そんな中原区のお雑煮事情を本紙では調査した。紙面募集、記者取材時の聞き取り、企業や団体などの協力で68人から回答を得た。

「角餅」「鶏肉」が一位 

 アンケートの設問は、味(しょうゆ、みそなど)、餅の種類(丸餅、角餅、焼く、煮るなど)、具材。その結果、味では、「しょうゆ(おすまし)」が61件と最多。次いで多かったのが「白みそ」の6件。しょうゆの中でも出汁に使われているのが「カツオ」「昆布」「煮干し」「とびうお」と答えてくれた人もいた。

 農水省のサイトによると「当初は江戸も味噌仕立ての雑煮を食していたが、元禄年間になると下総の野田と銚子で醤油の生産がさかんになり、江戸っ子好みの濃口醤油の雑煮が確立されるようになる。このようにして、江戸雑煮は現在の醤油を用いたすまし汁になった」とある。東京に近い中原区は、江戸雑煮の流れをくむ地域の人たちが多いことが伺える。

 餅については、「角餅で焼く」が44件で最多。次いで「丸餅で煮る」が多かった。「のしもち」「あんこ入りの丸餅」という答えもあった。

 具材で多かったのは、「鶏肉」「人参」「大根」「里芋」。葉物だと、「小松菜」「三つ葉」「ほうれん草」を入れるという声も。少数派の具材は「スルメ」「鮭」「鴨肉」「えび」「はんぺん」「鮭」「納豆」なども。

 記者が聞いた中で珍しかったのは、油揚げに餅・人参・しいたけ・たけのこを巾着にして煮る、大根・人参・スルメ・高野豆腐・しいたけを全部千切りにして入れるという食べ方だった。自宅では作らず、実家に帰省した時にしか食べないという人や、正月に限らず年中食べているという人もいた。

 家庭でお雑煮を食べつつ、身近でも異なるお雑煮が食卓にあがっていることを想像しながら、新年を楽しんでみては。

ベーゴマを手に笑顔を見せるまちづくり推進委員会のメンバー

Z世代に「ベーゴマ」を 昔の文化を発信

 お正月の遊びと言えば、何を思い浮かべるだろう。羽子板、たこ揚げ、かるたなどいろいろあるが、こま回しもその一つ。そのこまの中で、今回紹介するのは「ベーゴマ」。大正時代から1950年代後半にかけて、子どもたちの間で流行したものの、現代では遊ぶ子どもも少なくなっているようだ。

 今回、区内で風車、竹とんぼといった昔遊びの魅力を発信している「まちづくり推進委員会ゆかりの会」の関口清会長、濱岡信子さん、鈴木惠美子さんに「ベーゴマ」の起源や歴史、遊び方、魅力などを聞いた。

 「ベーゴマ」とは日本発祥の鉄製のこまで、ひもを巻きつけて回し、どちらが長く回るかを競う遊び。起源は諸説あるが、平安時代に関西方面で「バイ貝」という巻き貝の殻に砂を詰めてひもで回したのが始まりと言われている。最初は「バイゴマ」と呼ばれていたが、関東に伝わる時に訛って「ベーゴマ」になったそうだ。大きさは直径3cm前後の浅い円錐形で、形のバリエーションは全部で9種類。今回は角六と呼ばれる、六角形のこまを紹介してもらった。東京六大学のイニシャルが入っていて、六大学野球に由来しているという説もある。

 遊び方はまずゴザを長方形に折るか、そのまま被せて台の上に置く。もしくはタルやバケツの上にシーツやビニールなどを張って遊技台を作り、その中で複数人が「ベーゴマ」を回し、誰のこまが長く回り続けるか、弾き出されずに留まるかなどを競い合う。関口さんは「誰が勝つか分からないのがドキドキして楽しい」と目を輝かせる。コツは「こまの頂点からきつくひもを巻くこと」。上達すれば本やテーブルなどいろんな物の上に乗せて楽しむ人も。

 同会は「なかはらっぱ祭り」などイベントにも参加し、「ベーゴマ」を知らない人たちに昔遊びを伝え続けている。濱岡さんは「若者にベーゴマの魅力を広めていきたい。訪日外国人も増えているので、日本の遊びを知ってもらい、交流のきっかけになれば」と期待を込める。

健康・医療情報

 新年を迎え、健康な一年を過ごしたいと願う人も多いはず。そのためには、病気や感染症の予防と早期受診・早期発見が大切。気軽に相談できる「かかりつけ医」を持ち、健康管理に努めたいものだ。

インフル猛威

 川崎市は2024年12月24日、「インフルエンザ流行発生警報」を発令した。定点医療機関から提供されるインフルエンザの患者報告数が、流行発生警報基準値(定点当たり30・00人)を超え、59・92人となった(12月16日から22日時点)。

 そのほか、発生情報をもとに市がまとめた「今、何の病気が流行しているか!」(12月16日から22日時点)では、定点あたりの患者報告数の多かった疾病は【1】インフルエンザに次いで、【2】感染性胃腸炎、【3】新型コロナウイルス感染症となっている。

 感染性胃腸炎は6・14人(前週6・65人)から横ばいと例年並み、新型コロナウイルス感染症は3・97人(同2・15人)から増加した。

感染症の予防は

 冬場に多い感染症から身を守るには、十分な睡眠と、食事をきちんととって体調を崩さないように心掛けることが重要。例年3月ごろまでが流行期のインフルエンザは、予防接種を受けるほか、できるだけ人混みを避け、手洗いとうがいも徹底したい。

健康を支えるかかりつけ医

 それでも体調に異変を感じたら、信頼できる「かかりつけ医」に早めに相談を。【1】しっかり診療してくれる【2】自分や家族の健康状態を把握し、突然の体調不良、緊急事態に対応できる【3】入院や検査が必要な場合、専門医や病院を紹介してくれる【4】健康管理のアドバイスを得られるなどメリットは多い。

開業医に聞く

 この特集では、日々健康に過ごすために「気になるけどなかなか聞けない」という悩みや疑問を地域の医師に聞き、Q&A形式で紹介。「健康長寿」を目指すためにも、ぜひご活用を。

生徒に思いを伝える坂本さん(右)と川崎さん

平間中学校 「命を大切に、夢抱け」 元プロボクサーが情熱込め

 平間中学校で12月18日、薬物の危険性や夢・情熱をテーマとした講演会(同校区地域教育会議・PTA共催)が行われた。講師として訪れたのは、ボクシング元東洋太平洋ライト級王者の坂本博之さんと、「入れ墨ボクサー」として名を馳せた川崎タツキさん。

 背中に入れ墨し、10代で暴力団構成員になり、薬物依存症に陥った壮絶な過去を、映像とともに明らかにした川崎さん。中学の修学旅行2日前には暴行事件で逮捕され、「行き先は京都ではなく群馬の少年院だった」などと自嘲気味に自己紹介。そんな話の中で感情を込めたのは亡き父への思いだった。2度目の逮捕時、父による通報を疑ったという川崎さん。「当時は怒りしかなかったが、『父親になったら分かる』とだけ口にした父の思いが、妻子を持つ身になって理解できた。当時死んでいたかもしれない自分を救ってくれた」と追想し、言葉を詰まらせた。生徒に先祖を敬う大切さとともに、違法薬物への見解も示し、「仮に薬物が合法になっても絶対にやらない。幸せになった人なんて見たことない」と強く訴えた。

「半歩でもすり足でも」

 坂本さんは、両親が離婚し、預け先で虐待を受け、幼少期を児童相談所で過ごした。しかしその施設のテレビで観たボクシングが人生の転機に。「絶対にあのリングに立つ」。夢に向かい走り込みを続ける姿に心打たれる人が増え、「ボロボロの靴に同情し、新品をプレゼントしてくれた。その応援に応えようと更に頑張れた」と、懸命に生きる大切さを説いた。夢の見つけ方については「みんなと同じ時間を共有すること」とし、「仲間や先生との日常生活や会話の中にヒントが詰まっている。やってみたいことがあれば、半歩でもすり足でもいいから行動して」と呼び掛けた。

 講演を終え、生徒からは「命の大切さや夢を追う大切さを学んだ」と感謝の言葉が贈られた。

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音楽と融合する新体制発表会見

GO!GO!!フロンターレ

2025新体制発表会見

 川崎フロンターレは、2025年シーズンの新体制発表会見を1月18日(土)にカルッツかわさき(川崎区富士見)で開催する。午後2時〜5時半(1時開場)。

 2004年に川崎市市民ミュージアムで初めて一般公開型でスタートしたフロンターレの新体制発表会見。翌2005年からは「音楽のまち・かわさき」とスポーツの融合イベントとして、大幅にバージョンアップし「川崎音楽の拠点」である洗足学園音楽大学、ミューザ川崎シンフォニーホール、昭和音楽大学、カルッツかわさきで開催してきた。2025年は、2022年以来のカルッツかわさきでの開催が決定。川崎のスポーツと音楽が融合するエンターテインメント、フロンターレらしさあふれる新体制発表会見をお楽しみに!

 申し込みは1月7日(火)まで受付中の「2025川崎フロンターレ後援会会員先行抽選」(会員限定)か、17日(金)から始まる「一般販売」(後援会会員先行抽選で残席がある場合のみ)。価格は5000〜3500円前後(6枚1セットの1階BOX席あり)。

画像はいずれも川崎フロンターレ