中区・西区・南区版【1月1日(水)号】
新しくなったアーチの下でテープカット

横浜駅西口 五番街アーチを改装 大型ビジョンで情報発信も

 横浜駅西口五番街商店会協同組合(宮田博幸理事長)はこのたび、横浜駅西口の玄関口にあるアーチをリニューアルした。12月18日には記念式典が行われ、来賓やリニューアル協力事業者らが参列した。

 アーチのリニューアルは同商店会の約60年の歴史の中で4度目。横浜FCカラーの先代アーチが設置から約10年が経過し、老朽化したことなどから改装された。

 新しいアーチは大きく「五」と書かれた赤い提灯を中心に同商店会の会員店舗や地元団体、市内プロスポーツチームの提灯が掲げられ、和風で懐かしさが感じられるデザインに。提灯の下には1m×4mの大型ビジョンが設置され、イベント告知やコマーシャルなど情報発信の機能も果たしていくという。

 同商店会の宮田理事長は会員や関係団体の協力に謝辞を述べつつ「安全・安心をモットーに、さらなる発展を志していきたい」と挨拶し、街のにぎわいづくりを進めていくことを誓った。また、来賓やマスコットキャラクターによるテープカットも行われた。

表彰盾を掲げる主将の山本さん(前列右)と内藤さん(同左)。後列左から2人目が野原監督

高校野球選抜大会 清陵「21世紀枠」候補に 初の甲子園出場なるか

 県立横浜清陵高校=南区清水ケ丘=が3月に甲子園球場で行われる選抜高校野球大会の「21世紀枠」で関東・東京地区の候補に選ばれた。同校が県大会で上位の常連になりつつあることや監督と選手が話し合って練習メニューを決めている点などが評価された。21世紀枠は全国9地区の候補から2校が選ばれる仕組みで、1月24日に発表される。

 同校は1974年に清水ケ丘高校として開校。2004年に南区の大岡高校と統合して横浜清陵総合高校となり、17年に現在の校名になった。野球部は25人。グラウンドを他の部活と共有し、使用時間が限られるが、選手と野原慎太郎監督が協議して練習メニューを決めるなどの工夫を重ねる。過去3年、春、夏、秋の県大会で1回ずつベスト8に進出している。

 神奈川の高校野球は、横浜や東海大相模などの私立勢が圧倒的に強い。公立校が最後に甲子園出場を果たしたのは、夏が1990年、春は97年のともに横浜商業(Y校)までさかのぼる。

 21世紀枠は2001年に導入。一定の成績を残した学校の中から、困難な練習環境を克服しているなどの学校を選抜大会に選出するもの。各都道府県から候補が選ばれ、全国を9地区に分けて候補を絞り、そこから2校が選ばれる。これまで、県内校が21世紀枠に選ばれたことはない。横浜清陵は昨年11月に21世紀枠の県候補となり、12月13日に関東・東京地区の候補に選出された。19日に同校で日本高野連などから表彰盾が贈られた。

全員で戦う

 盾を受け取った主将の山本康太さん(2年)は「全員野球で戦うのが強み」と話し、選手マネジャーの内藤大維さん(同)は「3年生やOBの方の積み重ねがあったからこそ」という。野原監督は「練習メニューを選手とすり合わせるのは時間がかかるが、納得して進められる」と利点を強調する。

 21世紀枠2校の発表は1月24日。初の甲子園出場となるか注目される。

「carnival(カーニバル)」と名付けた横浜ワインを手に町田さん

市内産ブドウで醸造 「横浜ワイン」が誕生 希少な有機栽培にこだわり

 中区の横濱ワイナリー(株)が自社農園でブドウの有機栽培を始めてから4年。初の市内産・醸造となる「横浜ワイン」がついに誕生した。400本限定で、1月1日から一般販売が始まった。

 同ワイナリーでは、2020年から旭区の自社農園で、ブドウ栽培を開始。「市民参加型の農園にしたい」とオーナー制度を導入し、希望したオーナーたちはボランティアで栽培作業も担ってきた。地球環境に配慮した無農薬栽培にこだわり、今回のワインは有機JAS認証を取得した。ワイン用ブドウの有機栽培は手間がかかると敬遠され、非常に珍しい。県内では初めての試みだ。

 農園ではシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・グリージョの3品種の苗木を400本育てている。毎年完成が待ち望まれていたが、ワインを醸造するほどの実はつかなかった。しかし、苗植え付けから苦節4年。昨年9月に初めて約300kgのブドウを収穫できた。

 横浜産のブドウを使い、横浜で醸造したワインのみ「横浜ワイン」を名乗れるという。今回は品種ごとに醸造するだけの収穫量には至らなかったため3品種を混醸し、微発泡のロゼに仕上げた。同ワイナリー代表の町田佳子さん(60)は、環境保護活動家から醸造家へと転身した経緯があり「横浜で有機栽培でワイン用ブドウが育つことが証明できたことはとても嬉しい」と語る。

 一方、ワインとしては「未成熟の香味で、納得いくレベルには程遠い」。台風の影響を懸念して収穫時期を早めたため糖度が足りず、アルコール度数は7%とワインとしては低い。町田さんは「まずは育ったブドウでスタートのワインをと思い、リリースした。この味を記憶に留めて頂き、数年後に『最初のワインはあんなだったね』と皆様と語り合える日を楽しみにしながら、美味しいワインづくりを目指したい」と語った。

 横浜ワインは、500ミリリットルで3千円。同サイト(https://yokohamawinery.com/)で販売。

取材に答える山中市長

人にやさしいまち 横浜へ 山中市長が新年の抱負

 本紙では新年を迎えるにあたり、山中竹春横浜市長に2025年の抱負を聞いた。山中市長は、子育て支援や防災・減災対策、防犯対策などの取組を積極的に進める姿勢をみせるとともに、市民の声を大切に「人にやさしいまち」の実現に向け力を尽くす考えを示した。質問に書面と対話で答えた。(聞き手/木曽祐司・添田守男)

「子育てしやすさ」実感を

 ――市長就任時より、子育て支援に力点を置いてきました。

 「一昨年は子どもの医療費を無料化し、長年市民の皆様から望まれていた中学校での全員給食の導入を決定しました。全員給食は2026年4月の開始に向けた準備が着実に進んでおり、小学生の保護者向け試食会のアンケートでも75%の方に『良い印象を持った』と回答いただいています。

 昨年は、出産や妊婦健診に係る費用への市独自の助成を新たにスタートさせました。出産費用については、国の出産育児一時金50万円に加えて最大9万円を市独自で助成することで、市内公的病院での出産に係る基礎的費用を100%カバーできるようになりました。妊婦健診の助成額は5万円を上乗せし、政令市トップの水準となりました。46万人もの子ども(中学生以下)が暮らす『日本最大の子育て支援都市』として、皆様が安心して子育てをしていただけるよう取り組んでいます」

 ――子育て支援では公式アプリのリリースや保育の負担減、いわゆる「小1の壁」対策等にも取り組んでいます。

 「10月にリリースした全国初の総合的な子育て支援アプリ『パマトコ』は、現在5万人以上の方にご利用いただいています。例えば出産費用助成の申請は、ほぼすべての方が『パマトコ』から申請されています。また、アプリには母子手帳機能や予防接種のスケジュール管理、イベント情報のプッシュ通知など、さまざまな機能を搭載しています。ユーザーの皆様のお声を聞きながら、これからもどんどん進化させていきます。また、保育園に持参するおむつなどの準備や持ち帰りの負担を減らす『にもつ軽がる保育園』も、導入する施設が広がっています。さらに、『小1の壁』の代表例である夏休み中のお弁当づくりの負担を軽減するため、すべての学童等での昼食提供をモデル実施し、95%以上の保護者から『ゆとりを感じた』との満足の声をいただきました」

「市民目線の地震防災対策を」

 ――防災・減災対策は、横浜市にとって喫緊の課題です。

 「能登半島地震など大きな災害の経験を、横浜でもいつ起きてもおかしくない大規模地震への備えに生かすため、地震防災戦略を刷新し、災害対策を大幅に強化します。

 【1】市民や地域の"発災前からの備え"の強化【2】誰もが安心して避難生活を送ることができる仕組みの構築【3】救援活動や緊急物資輸送の要となる横浜市初の広域防災拠点の整備【4】上下水道の耐震化や緊急輸送路の整備などを加速化する災害に強いまちづくり――の4つの柱に沿って徹底的に『市民目線』に立った取組を進め、市民の皆様の命と暮らしを守るための災害対策を進めていきます」

 ――地域の防犯対策も急務です。

 「地域での平穏な暮らしを守るためには、行政と地域の皆様が連携して取り組むことが必要です。地域からいただいたLED防犯灯の設置要望について、当初予定を拡充し、設置基準を満たすものは全て年度内に整備するなど、スピーディーに対応します。

 また、市内すべての不審者情報をGoogleマップで確認できる市独自の『こども安全・安心マップ』の活用や、学校と家庭との連絡アプリ『すぐーる』を活用した適切なSNS利用の情報発信など、ハード・ソフトの両面から地域防犯の取組を強化します」

市民・企業の行動変容促す

 ――脱炭素社会の実現に向けた取組みについてお聞きします。

 「気候変動を食い止め、環境にやさしい循環型の社会にしていくためには、市民の皆様の行動変容が鍵になります。横浜市は、市民の皆様の身近なアクションを後押しし、環境にやさしい社会につながっていることを実感していただけるような取組を進めています。

 プラスチック資源のリサイクルを拡大するため、昨年10月に先行9区でごみの分別ルールを変更しました。今年4月からは、全18区で新たな分別ルールがスタートします。他にも、消費期限が近くなったパンをお得な値段で販売するロッカーを設置して食品ロスを減らす取組や、ご家庭で揚げ物などに使った油(廃食油)を回収し、飛行機の燃料に生まれ変わらせる取組も進めています。

 昨年12月には、『地球1個分で暮らそう STYLE100』プロジェクトを始動し、地球にやさしい新しい暮らしを市民や企業の皆様と一緒に発信していく取組がスタートしました。

 市内企業の99・6%を占める中小企業の皆様の行動変容につなげるため、『脱炭素取組宣言』制度を昨年6月に創設し、環境に配慮した経営、脱炭素経営に取り組む中小企業の皆様のチャレンジを、積極的に後押ししていきます」

「環共」テーマの国際博覧会

 ――旧上瀬谷通信施設で開かれるGREEN×EXPO 2027まで、いよいよあと2年です。

 「『GREEN×EXPO 2027』は、環境と共生し、皆様と共につくる『環共』がテーマの世界で初めての国際博覧会です。

 会場では、まず、皆様を圧倒的な花と緑でお迎えします。脱炭素技術を体験したり生物多様性への理解を深めたりできるエリアをはじめ、農と食が近い暮らしの体験や、子どもたちが自然の大切さを楽しみながら学べるエリアなど、国内外のあらゆる世代の皆様にお楽しみいただける場所となるよう、着実に準備を進めています。

 今後、各エリアの出展内容など、会場計画についてタイムリーに市民の皆様にお伝えし、開催への期待感を高めていきたいと考えています」

 ――会場周辺交通への影響について、対策は。

 「会場および周辺の整備は、地元の皆様の生活に影響がでないことを大前提に、多くの皆様が安全・円滑に来場できる環境を整えていきます。会場周辺の道路整備や主要ルートの交通円滑化をはじめ、環境にやさしいシャトルバスの導入など環境に配慮した対策を関係者と連携して進めています」

 ――2025年度予算編成の方向性を聞かせてください。

 「地震防災戦略を刷新し災害対策を大幅に強化するとともに、子育てしやすさを実感できる更なる取組の推進、医療・福祉の充実などあらゆる世代の暮らしを支えてまいります。

 また、地域交通の拡充に本格的に着手するほか、公園や学校のトイレの洋式化、学校体育館の空調整備など、市民の皆様からの改善要望が多かった身近な環境の整備を大幅に加速させます」

再選出馬、明言せず

 ――今夏の市長選について再選出馬の考えは。

 「市民の皆様から託された任期の中で、成果をしっかりとお返ししていくことに全力を尽くしていきます」

 ――市民へのメッセージをお願いします。

 「地域に足を運ぶといろいろなお声をいただき、その一つ一つがとても大切なものです。今年も、市民の皆様の『声』を第一に、人にやさしく、誰もが安心してくらせるまちの実現に向けて、力を尽くしてまいります」

建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を昨年、受賞した建築家 山本 理顕さん 神奈川区在住 79歳

建築でコミュニティ豊かに

 ○…「公と私の境をなくした建築空間が、コミュニティを豊かにしている」と評価され昨年、プリツカー賞を受賞した。「『言ってもらいたい』と思っていたこと。受賞そのものより、その評価が嬉しい」。人は一人では生きられないからこそ、人を巻き込み、人と人が関わりあう建築を提案し続ける。「だから、波風が起きることも多いんだけど」といたずらな笑みを見せる。

 ○…4歳の時に亡くなったエンジニアの父の素晴らしさを母から聞いて育った幼少期。「その影響か、技術者への漠然とした憧れはあった」と振り返る。青年期は南区三春台の関東学院中学高校で過ごした。記憶に残るのは、当時の学校にあった木造平屋の礼拝堂や建築家・モーガンが設計した旧本館。そのユニークな構造や迫力に、「今も強く印象に残っている」と話す。湧いてくる興味を育て、建築の道を志した。

 ○…東京藝大大学院修了後は、東大生産技術研究所の原広司研究室の研究生に。世界各地に赴き、集落の調査を行った。数ある住居を見る中で、共通して「プライバシーとパブリックの間の空間」=『閾(しきい)』が存在することに気づいた。「かつて日本の住居や店舗に当たり前に見られた空間だが、現代社会では失われつつある」と危惧する。

 ○…横浜駅西口から徒歩圏内の自宅がある反町を、「田舎感がすごい」と評する。その言葉から、自身のコミュニティに対する愛情が滲む。神奈川県内の横須賀美術館や子安小学校のほか、世界中で著名な施設や住居を手がけてきた。建築作品を通して一貫して提示し続けているのは、「コミュニティの在り方」だ。「専門家はみんな哲学者。思想をもってやるべき」

表敬状を手にする倉澤社長(中央)

向洋電機土木 初の優良申告法人に

 南区井土ヶ谷下町の向洋電機土木(株)(倉澤俊郎代表取締役)が12月11日、法人税・消費税の優良申告法人として横浜南税務署の表敬を受けた。

 優良申告法人とは、管轄の税務署で申告納税制度の趣旨に即した適正な申告と納税を継続し、他の納税者の模範としてふさわしいと認められた法人のこと。税務調査により、経営内容が優良で適正な申告がされていると認められた証となる。同社の表敬は初。現在、同法人に選定されているのは日本法人企業全体の約1%未満といわれる。

 当日は横浜南税務署から長井みわ署長らが同社を訪れ、倉澤社長に表敬状を手渡した。倉澤社長は「納税は法人や個人にとって、当たり前の義務。正しく納税していることを評価いただいて嬉しかった」と話した。

橋本さん(中央)と加藤署長(左)

伊勢佐木署 横浜信金職員に感謝状 警察かたる詐欺防ぐ

 伊勢佐木警察署(加藤雅道署長)は12月18日、特殊詐欺被害を阻止したとして横浜信用金庫野毛町支店の橋本夏波さんに感謝状を贈呈した。

 警察官をかたる者から「あなた名義の携帯電話と口座が作られ犯罪に悪用されている。紙幣を調べるために口座を解約し、自宅に持ち帰って」との指示を受けた高齢女性が、12月6日に同支店の窓口に訪れた。橋本さんは「娘の家のリフォーム代のため」という解約理由や話をはぐらかすような態度からチェックシートを活用して聞き取りを実施。詐欺を疑い警察に通報し、被害を未然に防いだ。

 同署管内の2024年度の特殊詐欺被害は、認知件数5件、被害総額は約1200万円(11月末までの暫定値)。

遊佐大輔氏

南区・遊佐市議が辞職 「カンボジアで起業」

 南区選出の自民党・遊佐大輔市会議員(43)が12月20日に辞職した。

 遊佐氏は菅義偉元首相の秘書を経て、2011年から4回連続当選。

 辞職の理由について「世界各国の大学と日本の企業をつなぐことに挑戦したいと思うようになった」とし、すでにカンボジアで活動を行っているという。起業し、秘書として仕えた菅元首相が力を入れてきたインバウンド政策の課題解決に取り組むとしている。

補選2月9日投開票

 遊佐氏の辞職により、補欠選挙が1月31日告示、2月9日投開票の日程で行われる。

 補選には共産党の元職・荒木由美子氏(65)が立候補を表明している。12月26日時点で自民党は候補を決められていない。(12月26日起稿)

受賞の喜びを語る和田さん

日本被団協和田さん 「被爆者の言葉が核抑止に」 ノーベル平和賞受賞で喜び

 ノーベル平和賞の授賞式が12月10日にノルウェーで行われ、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)にメダルと賞状が授与された。本紙では、同協議会の事務局次長を務める和田征子さん(81)=横浜市鶴見区在住=に受賞の喜びや、被爆者たちのこれまでの苦労、若い世代や今後の活動への思いを聞いた。

 日本被団協は1956年、被爆者たちが全国組織として結成し、核兵器の廃絶や被爆者の救済を訴える運動を続けてきた。「これまで何度もから騒ぎがあり諦めかけていたけれど、連絡をもらった時は驚いたし、本当に嬉しかった」と言葉を噛みしめながら喜びを語る和田さん。「被爆者がずっと証言を続けてきたことが受賞理由になり、核兵器ではなく私たちの言葉が、核の使用を阻止する抑止力になったのだと、ノルウェーのノーベル委員会が評価してくれてありがたい」

 和田さんは1歳10カ月の時、長崎の爆心地から2・9Kmの自宅で被爆した。当時の記憶はないが被爆した両親や親族から当時の話を聞いて育ち、また、被爆者が社会から差別を受け続け、隠れるように生活してきた実情などを知り、40歳頃から被団協の活動に積極的に参加するようになった。「その頃はまだ証言できる先輩方が多くいたけれど、段々少なくなってきてしまった。被団協の平均年齢も86歳になった。今でも私が青年部って可笑しいでしょう」と肩を落とすが、「でもね、一緒に活動してくれる学生なども出てきてくれた。発信力はあるし、本当に心強い」と若い世代の協力を喜び、継承にも力を入れていきたいとする。

「過去の話ではない」

 これまで数々の国際会議などに出席し、核兵器廃絶を訴えてきた和田さん。被団協の事務局次長だけでなく、横浜市原爆被災者の会会長なども務め、慰霊祭や講演会などを行っている。

 今回のノーベル平和賞受賞によって改めて被団協の運動が評価されることを願いつつ、今後も政府に核兵器の廃絶と被爆者の救済を訴え続ける。世界唯一の戦争被爆国でありながら、核兵器禁止条約に参加していない日本。和田さんは「これまで被爆者の先人たちがどれだけ苦労したか。核使用は過去の話ではない。使用のリスクは高まっているし、私たちが証言することで悲惨さを伝え、核は絶対に使ってはいけないということを今後も伝えていきたい」と力を込めた。

施設の図面をもとに話し合う参加者

横浜市 帰宅困難者、どうする 受け入れ先拡大目指す

 横浜市内で大規模な地震が発生し交通機関が全面運休した場合、街に溢れる帰宅困難者は約9万5千人にのぼるといわれる。市が指定する「帰宅困難者一時滞在施設」の対応力向上を目的に、みなとみらいで12月5日、受け入れを想定した机上の運営訓練が行われた。

 当日は商業施設やホテル、大学など市内6つの事業者の防災担当者ら約30人が参加。首都直下震度7の地震が発生して多くの帰宅困難者を受け入れたという想定で、滞在の受付方法や休憩場所、非常食の配布方法、要望に対しての対応など、具体的な受け答えや手順を話し合った。

 収容人数を超えた際の対応に関しては、ほぼ全ての施設で「安全面を考慮し受け入れない」と回答。その上で「人道的には悩む」「他の受け入れ可能施設の情報提供を行う」などの意見が出た。参加者は「普段から防災訓練は行っているがシミュレーションをしてみると新たな課題がたくさん出てきた。今後に生かしたい」と話した。

 今回の訓練では帰宅困難者受け入れに対する施設運営や課題を机上で疑似体験できるよう開発された「KUG(帰宅困難者支援施設運営ゲーム)」が活用された。先行実施している(一社)横浜みなとみらい21で好評だったことを受け、市と初めて共同で実施した。

 市は「まだ帰宅困難者一時滞在施設の数が足りない状況。今回の訓練で出た課題や対応法などを参考にしながらマニュアル作成を進めて情報を共有し、受け入れ先を増やしていきたい」と話した。市内に同施設は約260カ所あり、「一時滞在施設NAVI」検索で調べることができる。

西区ヘルスメイト 在宅避難のレシピ考案 今あるもので温かご飯

 食を通じた健康づくりの活動を行うボランティア団体「西区食生活等改善推進委員会(ヘルスメイト)」はこのほど、在宅避難を想定したレシピ集を作成した。電気、ガス、水道が止まった際にもできる、ポリ袋を使った調理法「パッククッキング」で、月見うどんや野菜の肉巻き、蒸しケーキなど全13品を紹介している。

 マンション世帯の多い西区では、災害時も自宅で生活を続ける人が多いと想定される。そこで、同会の災害食グループ会のメンバー約20人は、「在宅避難食」という言葉を使い、長期保管可能な缶詰や乾物、どこの家にもありそうな米や冷凍餃子などの食材を使用した「食材を無駄にしない」「簡単で分かりやすい」メニュー作りに取り組んだ。

 耐熱性食品用ポリ袋を使うことで1人分ずつ作れる、盛り分けの手間がかからず袋のまま皿に載せれば洗い物を減らすことができるといったメリットがある。

 同会の石渡和子会長は「災害時こそ、温かくて栄養バランスの良いご飯を。基本を覚えれば同じ材料ではなくてもできるので、実際に作ってみてほしい」と話す。

 レシピ集は西区役所や区内の地域ケアプラザ、地区センターなどで配布している。また、動画も作成され、市の公式YouTubeから見ることができる。

自宅で避難の備え

 災害発生時、避難所に行く以外に「在宅避難」という選択肢がある。市は、自宅とその周囲の安全が確認できれば、普段の生活に近い環境でストレスなく過ごせ、ペットとも一緒にいることができる在宅避難を推奨している。備えとして、生活必需品の備蓄は最低3日分、可能であれば1週間分の用意をしておくと安心だ。

タンクからくみ上げた水をボトルに入れる児童

災害時の給水手順を確認 名古屋市との合同訓練で

 災害時の生活に水の確保は、必要不可欠なもの。昨年、元日に起こった能登半島地震では、水道施設が壊滅的な被害を受け、復旧に半年以上を費やした。

 横浜市水道局と名古屋市上下水道局は災害時の応急給水などの合同訓練を12月20日、みなとみらいの高島中央公園で実施した。この訓練は両水道局が締結した協定に基づき3年に1度、横浜と名古屋で交互に開催している。地域住民やみなとみらい本町小学校の児童のほか、横浜建設業協会や横浜市管工事協同組合、綜合警備保障(ALSOK)も参加した。

 訓練は相模湾を震源とする最大震度7の地震を想定。同公園の地下にある災害用地下給水タンクから飲料水をくみ上げる給水所を立ち上げ、同小児童らに提供した。また、名古屋市上下水道局は、仮設水槽を組み立て給水車から飲料水を入れて住民に提供する一連の流れを確認した。

 市水道局は災害などで断水した時に備え、配水池、災害用地下給水タンク、緊急給水栓、耐震給水栓を災害時給水所として整備している。高島中央公園などに整備されている災害用地下給水タンクは、市内に134基設置されている。詳細は左記二次元コードから市HPで確認を。

生徒から花束を贈られた山本さん

山本理顕さんが講演 母校・関東学院中高で

 関東学院中学校高等学校=南区三春台=の卒業生である建築家・山本理顕さん(79)=人物風土記で紹介=が12月9日、同校で特別講演を行った。山本さんは昨年3月、「建築界のノーベル賞」とも呼ばれるプリツカー賞を受賞。同校は「偉大な卒業生が関東学院に通っていたことを実感し、考えるきっかけにしてほしい」とこの講演を企画した。

 山本さんは約1300人の後輩の前で、世界各地の集落で調査した村や住居の例を紹介。その中で、パブリックとプライバシーの間にある空間を各地で発見したことを話した。また、この原理を「閾(しきい)」と名付け、「みんなで仲良く住むためには、こうした空間が必要である」と、例を挙げて説明した。

 講演後は、生徒からの質問タイムも。「自分の建築に後悔が生まれたらどうしますか」という質問には「直しますよ」と即答した。細川佳乃さん(高3)は「発表したら戻れないと思っていたので斬新で、仕事に対してストイックに取り組んでると感じた。柔軟にフラットに取り組むことが大事だと思った」と感想を話した。

桜木町駅からすぐの場所にある本町小。現校舎は3代目(写真提供:(株)国際総合企画 横浜)

本町小が創立120周年 2月に記念セレモニー

 2025年4月に創立120周年を迎える横浜市立本町小学校(田川斉史校長)=中区花咲町。24年度をアニバーサリーイヤーとして、児童や学校、まちが一体となり記念事業を進めてきた。今年の2月21日(金)には、周年を祝うセレモニーを行う予定になっている。

 同校は1905(明治38)年に区設の尋常高等小学校から独立した市設の「横浜市第一高等小学校」として創立した。

 当初の校舎は中区北仲通、現在のみなとみらい線馬車道駅付近にあった。20(大正9)年には後の校歌となる『学び舎』が誕生した。

 23(大正12)年に発生した関東大震災で校舎が全焼。27年(昭和2)年に現在の学校がある中区花咲町に二代目の校舎が建てられた。この場所は、高島嘉右衛門による日本で初めてのガス会社が設立された「日本ガス事業発祥の地」。その証として、正門前にはガス灯が設置されており、校庭からは日本最古と思われるガス管が発見されている。

 学校令による2度の改称を経て「横浜市立本町小学校」の名になったのは47(昭和22)年のことだ。現在の校舎は84(昭和59)年に建てられた三代目。当時は珍しい壁のないオープンスペースの教室やじゅうたん敷きの校舎は、新しい時代の教育に対応していると、さまざまなメディアに紹介された。

「挑戦」の軌跡

 教育活動においても新たな取り組みに挑戦してきた。94(平成6)年度から開始した「学校のインターネット化による情報活用の高度化」を実施する「100校プロジェクト」の実践校に選定され、インターネットをいち早く取り入れた。また、学年担任制の導入や総合的な学習の時間の先行実施なども行い、全国の学校関係者が視察に訪れていたという。

 学校創立時に教育環境の充実を目指して保護者の有志で作られた「本町小学校教育奨励会」も、同校の歴史を象徴する存在の一つ。PTA組織ができてからも存続し、毎年PTAとは別に役員を選出する全市的にも珍しい組織だ。

横浜の新旧歴史ある学び舎に

 本町小の桜木町駅から関内駅周辺までを学区とし、野毛や伊勢佐木町、馬車道といったエリアや、野毛山動物園、中央図書館、開港記念会館などの横浜を代表するスポットが点在している。

 みなとみらい21地区(MM)でタワーマンションの建設が相次ぎ児童数が急増して教室数が足りなくなったことを受け、本町小の学区を分割。2018(平成30)年に、MMと北仲通北地区を学区とする「みなとみらい本町小学校」=西区高島=を期間限定(当初の予定は10年間)の小学校として開校した。

2月に記念式典

 2月21日(金)に同校で「記念式典・祝う会」の開催が予定されており、現在創立120周年事業実行委員会(高橋忠彦委員長)らが主体となって準備を進めている。

 祝う会では、児童が中心となってお祝いセレモニーを行い、本町小の卒業生による演出も企画中。児童や教職員、保護者、まちが一体となって120周年を盛り上げている。

▲クラファンの受付サイト

児童に新しいロッカーを クラファンで寄付募る

 本町小学校では、老朽化したロッカーを新調するためのクラウドファンディングを行っている。

 ロッカーは通常、学校の「施設費」で購入できるところ、同小ではオープンスペースの教室に対応した稼働式のロッカーのため「器具」扱いとなり、年間の学校予算(約1100万円)から購入する必要があるという。しかし、全員分を新調するのに必要な金額は約1600万円。本来教育活動の実践に使うべきお金を削らなければいけないため、予算が確保できないのが現状だ。

 まずは120万円を目標に設定して寄付を募っている。「卒業生や地域の方を中心に、徐々に支援の輪が広がっている。本町小を大切に思って下さっている方が多く感謝しかない」と同校。

2月10日まで

 寄付は3千円〜。5万円以上だとロッカーへの記名あり。受付サイト(【URL】https://syncable.biz/campaign/7347)では応援メッセージも掲載できる。2月10日まで。

記念バンダナが完成

 児童の案を取り入れてデザインしたオリジナルバンダナが、記念品として配布された。児童たちは大事そうにデザインを眺めたり、首に巻いたりして喜んでいたという。

 このバンダナは野毛地区振興事業協同組合と、野毛地区街づくり会の協賛により作成。今後校外学習の際などに、同校の目印として活用される。

インタビューに答える黒岩知事

黒岩知事インタビュー デジタル活用で施策推進 新地震防災戦略策定へ

 年頭にあたり本紙では黒岩祐治知事にインタビューを行った。黒岩知事は、デジタル技術を最大限に活用し少子高齢化や人口減少にあたっていく姿勢を改めて強調した(聞き手・熊坂淳)。

 ――少子高齢化・人口減少への対応を視点に据えた新総合計画が昨年、策定されました。

 「少子化の流れに歯止めはかかっていませんが、背景のひとつに子どもを産み育てることに対する様々な不安があるのでは、と考えています。例えば出産に伴う痛みだとか経済的不安、仕事上のキャリアと両立できるのか、急な発熱や引きつけへの対応ができるかなど。こうした不安を少しでも取り除けるようにと開発したのが無料通信アプリLINEを使った『かながわ子育てパーソナルサポート』で、昨年はオンラインで相談できる機能を盛り込みました。デジタルの力を活用しながら、今後も子育て当事者の目線に立った施策を進めていきます」

 ——三浦半島エリアや県西エリアでの人口減が特に著しいです。

 「人口減少地域は、裏返して言えば自然豊かで住みやすい場所でもあります。そうした利点を生かし、県では『ちょこっと田舎でオシャレな神奈川』をキャッチフレーズに施策を展開しています。都心への通勤圏内にありながら自然環境に恵まれ、かつちょっとおしゃれという魅力を前面に打ち出した移住定住作戦です。コロナ禍においては都心から本県への移住者が増えましたので、この流れを今後も継続していきます」

 ――少子高齢化に伴い生産年齢人口も減ってきています。

 「今の高齢者は元気です。そういった皆さんに働いていただける環境づくりを、まずは進めたい。それからロボットとDXです。ロボット技術やデジタル技術は、業務効率化を補うために大きな力になると考えています。それと外国人です。県は現在ベトナムとの間に太いパイプを持っており、昨年、県内企業で働いてもらう流れもできました。優秀な外国人材によって労働力不足を補う施策も推進します」

 ――昨年も米軍による事件・事故事案が続発しました。日米地位協定の改定が課題です。

 「神奈川県は沖縄に次ぐ第二の基地県です。日米安保条約、安保体制を守るのが我々の大きな使命だと思っていますが、米兵の犯罪を日本の法律体系の中で扱えないという現状に対し、割り切れないという住民感情もあります。私は米軍基地が所在する15都道府県の知事で構成する『渉外知事会』の会長でもあります。石破総理は総裁選時に日米地位協定の見直しを明確におっしゃっていましたので、この問題を前に進めてくださることを期待しています」

 ――今年3月に新たな地震防災戦略を策定予定です。

 「昨年の能登半島地震では情報網が未整備で全体像を把握できない状況がありました。県では『防災DX』を以前から準備してきましたが、それをさらに発展させ、デジタル技術の活用促進により安心安全を図ることを基本に据えます」

 ――県民の皆さんに新春のメッセージをお願いします。

 「昨年は横浜DeNAベイスターズが日本一となり、大谷翔平選手も大活躍、オリンピック・パラリンピックでも神奈川県勢が活躍してくれました。そうした『感動』『高揚感』を新しい年でも展開したいですね」

各区で消防出初式

 地域防災力の向上や消防職員団員の士気高揚などを目的とする新春恒例の消防出初式が1月、各区で行われる。

 西区は1月7日(火)、午前10時30分から11時30分まで西公会堂で。式典や車両展示、消防音楽隊のアンサンブル演奏など。

 中区は同日9時30分から午後1時まで、横浜市庁舎1階アトリウムで。式典のほか、消防士体験や一斉放水、AED体験、防災e-パーク体験、獅子舞演舞など。

 南区は同日午後1時から3時30分、南公会堂と南消防署ガレージ前で。式典のほか、纏振り込み・はしご乗り、ちびっ子レンジャー体験など。

 問合せは各消防署へ。

チームの展望を語る萩原さん

(株)横浜DeNAベイスターズ 「リーグ優勝で価値を本物に」 チーム統括本部長 萩原龍大さん

 横浜DeNAベイスターズは昨季、26年ぶりの日本一に輝いた。リーグ3位から厳しいクライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がっての日本一は「最大の下克上」とも呼ばれたが、それゆえに「リーグ優勝」は今季の大きな宿題だ。編成トップのチーム統括本部長・萩原龍大さんに話を聞いた。(聞き手/本紙・岩田潤)

26年ぶり日本一の熱狂

 ――日本一の優勝パレードは30万人もの人が沿道に駆けつけました。

 「パレードの日は早朝から準備のためにハンマーヘッドに向かったのですが、すでに会場に向かう多くのファンのみなさんの姿を目にしました。その後、沿道がすべて人で埋まっている光景には圧倒されましたね。

 我々は球場スタッフも含めて500人くらいの中小企業。こんなことが起こせるのかというのは、想像をはるかに越え、泣きそうになりました。あれを知ったら毎年やりたくなる。選手スタッフみんなにとって大きかったと思います」

 ――一方でビールかけの時ですが、日本一を喜びながらも牧秀悟主将は「来季はリーグ優勝」と引き締めていました。

 「私の立場でも、少なくともリーグ優勝をしていない段階で手放しで喜ぶことはできないです。来季も全力ですね」

 ――日本シリーズ出場は17年以来でした。

 「今でも覚えているのが、その翌18年の春のキャンプです。選手、コーチ、スタッフみんな一言でいえば浮足立っていました。あの時もリーグ3位で、結果を出せなかったのですが。

 当時を知る選手がベテランとして在籍しているのは大きく、秋のトレーニングも、全員が何をすべきか、リーグ優勝に何が必要かを考え、取り組んでいました。今年リーグ優勝してはじめて昨年の日本一の価値が本物になると思います」

絞り尽くした1年

 ――とはいえCS、日本シリーズでは勢いや力強さを見せました。

 「『意図をもって勝つ』という取り組みが実を結んだと思います。本当はリーグ終盤に発揮できればよかったですが。ただ、チームとして『最高の準備をする』とはどういうことかがわかってきたと思います。

 例えばCSからの戦いは、初日にピークを合わせることを徹底して共有しました。全員が意思統一を図り、そこからは日々を全力で。息切れしてもいいから、乗り切ろうと心を揃えたんです。

 だから日本一のビールかけが終わった後は、みんな疲弊していたので飲みにも行かずに帰っていきました。余力なく絞り尽くした1年でした」

 ――中川颯投手(戸塚区出身)ら新戦力も躍動しました。

 「うちのノウハウ、技術環境なら伸びるはずという選手を獲得していますが、戦力外から加入した選手たちは想定以上の活躍でした。補強の形として新しい引き出しを増やせたと感じています。

 またベテランがチームを引っ張ることに目覚めてくれた1年でもありました。うちは優勝を経験していないメンバーがほとんどで、強い文化がなかった。『勝ち切る覚悟』というスローガンを掲げた頃から、遠慮せずに力を発揮してくれました。

 牧が主将として引っ張ってくれましたが、さらにベテランの中心にゴウ(筒香嘉智選手)がいたのは大きかった。相当いろんなことに腐心してくれたと思います」

 ――現状の手応えは?

 「チームの究極のゴールは世界一のチームですから、やらなきゃいけないことは山ほどある。破綻しないように、緩まないように、仮説と検証を繰り返して着実にゴールに向かっている手応えは感じています」

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