鶴見区版【1月30日(木)号】
全国に挑む生徒たち(ロボット探求部保護者提供)

横浜SF中高後援会 生徒支援でCF(クラウドファンディング)に初挑戦 大会出場費や交通費に

 横浜サイエンスフロンティア高等学校・附属中学校=小野町=の保護者による後援会が、全国大会に挑む生徒たちの交通費などを支援するため、クラウドファンディング(CF)を初めて立ち上げて寄付を募っている。後援会では「鶴見、そして横浜の代表として全国、世界に挑戦する生徒たちをぜひ応援してほしい」と呼び掛けている。

 小型模型ロケットで高度や滞空時間を競うモデルロケットや、設計・プログラミングしたロボットでミッション攻略を目指すロボット競技など、様々な競技で全国大会等に出場する同校。

 同校在校生の保護者が運営する「YSF―後援会」は同校の2009年の創立以来、会費を主な原資としながら、生徒の部活動や大会参加費、交通費を補助してきた。

 しかし、生徒の活動が活発化する中、後援会として継続的かつ安定した支援をするために会費以外の活動費のあり方を検討。そこで、今年2月に全国大会へ出場するモデルロケットとロボット探求部を支援する方法として、CFの活用を昨秋から検討してきた。

 1月から始まった今回のCFの最終目標金額は65万円。集まった寄付金は、福島県で行われるモデルロケットの全国大会「ロケット甲子園」に出場する2チームの交通費や宿泊費、参加費に、そしてロボット探求部が出場する全国大会への交通費やチーム登録料に使われる。

 CFの期限は2月28日まで。1月25日時点では約半分の30万円ほどが集まっている。

 同後援会の水谷真智子会長は「生徒たちの挑戦の機会を応援するクラファンですが、後援会としても初めてのチャレンジになります。鶴見、そして横浜の代表として全国・世界に挑戦する横浜SF中高の生徒たちの応援を、どうぞよろしくお願いします」と呼び掛けている。

2014年10月、台風による大雨で栄区の一部が浸水(市提供)

横浜市 下水道浸水対策を強化 高リスク地区で施設整備

 横浜市が下水道による浸水対策の目標などを定めた「(仮称)横浜市下水道浸水対策プラン」の素案を昨年12月に発表した。素案では気候変動による大雨に備え、排水路や下水道施設の整備を強化する方針やリスクが高いと判断した地区から整備を行い、約20年かけて完了させることなどが示された。市は素案への意見を2月14日まで募っている。

 浸水には大雨で河川があふれる「外水氾濫」と降った雨が河川などに排水できずに起こる「内水氾濫」がある。下水道は雨水(内水)を排除する役割があり、市は河川などに放流する雨水管やポンプ場の整備を行う。

 今回のプランは、下水道の浸水対策の目標や進め方などを定めたもの。市はこれまでも、過去に浸水が発生した地区を優先して施設整備を進めており、2025年度末までに発生地区の約9割で整備が終わる見込み。

 09年〜23年の15年間、市内で最も浸水が多かったのは14年の約240棟。そのほかの年は数棟から100棟以内で推移し、20、22、23年は1棟も被害がなかった。

雨量基準引き上げ

 しかし、13〜22年に市内で1時間あたり50mm超の雨が降った回数は平均で年328回で、1976〜85年の約1・5倍に増加。今後、気候変動によって増加が予測される。国は21年に雨量増を踏まえた整備水準の引き上げを実施。従来より1割増の雨量に対応するよう自治体に求めている。

 この状況を受け、素案では浸水対策の考え方として、下水道から水をあふれさせない「防災」の観点と水があふれても床上浸水させない、浸水しても安全に避難できる環境を整える「減災」の目標を掲げている。

 さらに、市内を6千以上の地区に分け、浸水のシミュレーションを行い、人口や鉄道駅などの状況を考慮してリスクを算出。高リスク地区を含む流域を受け持つ16幹線・252地区の施設を約20年かけて整備する方針を示した。市下水道河川局によると、水が集まりやすい窪地は浸水リスクが高いという。

 市は素案への意見を募っており、プランを3月に公表する見込みだ。

横浜市立大学の学長を務める 石川 義弘さん 金沢区在勤 65歳

受けた恩を次世代へ

 ○…鶴見区末広町にもキャンパスのある横浜市立大学の第23代学長に昨年4月に就任。横浜から「世界を変革する『ゲームチェンジャー』となる人材を育てていきたい」と意気込む。地域に対しても「大学は高い壁の向こうにあるものではなく、まちの一部として溶け込み何か学びたいという時に気軽に来てもらえるような仕組みをつくっていきたい」。

 ○…磯子区森が丘で育ち、汐見台小・中学校を卒業。幼少期は野原や山で探検ごっこをしたり、秘密基地をつくって遊ぶ「どこにでもいる少年」だったという。横浜緑ケ丘高校へ進学、父の友人に勧められ、同大学の医学部を受験。「現役で滑り込めたのが運の尽き」と苦笑い。大学では卓球部に所属した。

 ○…食べるのが好きで、趣味は料理とB級グルメ。「実験と料理は似ている。決められた規則通りに手順を踏むと同じ結果が出る。つい分析したりデータをとってしまうのは研究者の性ですね」と微笑む。

 ○…市大在学中に医療が進むアメリカに留学。その中で循環器の医師として権威がある教授に出会う。1980年代前半、アジアからの留学生は珍しく差別もあった時代。ユダヤ人として苦労した恩師が毎月「困っていることはないか」と気にかけてくれたことに深い感銘を受けたという。

 ○…モットーは『ペイフォワード』。恩師に「この恩をどう返したらいいか」と尋ねたところ、「俺に返すな。次の人に恩を渡せ」と言われた教えを今でも守っている。「現実の枠にとらわれがち」な学生たちに「どうやって夢と希望を持たせられるか。市大出身で成功している人たちに大学で授業をしてもらうなど、自分たちの延長線上にこの人たちがいると感じてほしい」。

第一部で講師を務めるソフトバンク株式会社の池田昌人氏

かながわSDGsパートナーミーティング 2月6日にパシフィコ横浜で開催

 神奈川県主催による「かながわSDGsパートナーミーティング」が2月6日(木)、パシフィコ横浜で開催される「テクニカルショウヨコハマ2025」内の催しの一部として行われる。時間は午前10時15分〜午後4時20分。

 当日は三部構成で、第一部(午前10時15分〜11時55分)は、ソフトバンク株式会社CSR本部長/ESG推進室長の池田昌人氏と株式会社トビムシによる「SDGsセミナー」、第二部(午後0時10分〜午後1時15分)はSDGsの取組についての表彰式「みんなのSDGs表彰」や受賞企業による取組発表などが行われる。

 休憩を挟んだ第三部(午後2時〜午後4時20分)は、企業同士のマッチングの機会となる少人数の「意見交換会」を予定している。

 参加申込は不要。参加希望者はかながわSDGsパートナーミーティングの会場となるパシフィコ横浜展示ホール内セミナー会場にて受付(参加希望者は名刺2枚必要)を。

 問い合わせは、神奈川県政策局いのち・未来戦略本部室SDGs推進グループ【電話】045・285・0909へ。

優勝したオールスターズの選手たち

豊岡土曜タグが全国へ 南関東大会で優勝

 豊岡小学校を拠点に活動する豊岡土曜タグのトップチーム「豊岡オールスターズ」が、1月12日に山梨県で行われた「第21回全国小学生タグラグビー大会南関東ブロック大会」で優勝し、同ブロック第一代表として全国大会の出場を決めた。

 同大会は神奈川、山梨、長野県の県予選で推薦された2チームずつが総当たりで対戦。豊岡オールスターズは5戦全勝で優勝を飾った。鶴見区から同じく出場した鶴見タグラグビークラブの「鶴見鳳凰」は惜しくも準優勝で全国大会出場はならなかった。

 豊岡オールスターズの同ブロック大会での優勝は、豊岡土曜タグが2006年に創部して以来初めて。同チームキャプテンの黒木雄大さん(潮田小6年)は「まずは南関東大会を無事に突破できてとても嬉しい。この良い雰囲気のまま、全国大会でもいつも通りのプレーをして、仲間とタグラグビーを楽しみたい」と喜びと意気込みを語った。河野竣監督は「クラブ創部以来初の南関東大会優勝は、選手たちの努力はもちろんのこと、周囲のサポートがあってこその結果だと思います」と感謝を語った。

 全国大会は30チームが参加し、埼玉県の熊谷ラグビー場で2月23日から行われる。

区内障害者の二十歳祝う 実行委が参加者を募集

 区内の障害者の20歳を祝う「鶴見区二十歳を祝う会」が3月2日に開かれる。実行委では現在参加者を募集している。

 「横浜市の二十歳を祝う会に参加できない」「鶴見区の障害のある方をお祝いしたい」という声を受け、鶴見区障害児者団体連合会主催の「新成人の集い」の趣旨を引き継いで実施する同会。

 当日は式典のほか、プロカメラマンによる家族ごとの記念撮影や記念品の贈呈なども行われる。

 午後2時から4時。会場は鶴見市場地域ケアプラザ・コミュニティハウスゆうづる=市場下町11の5。参加無料。対象は区内在住・在勤かつ、2004年4月2日から05年4月1日生まれの障害のある人とその家族。2月7日申込み締切。

 問合せは鶴見区社会福祉協議会【電話】045・504・5619。

奨励賞を受賞した過さん

統計データ分析で奨励賞 法政大学国際高の過(か)さん

 法政大学国際高等学校=岸谷=で国際バカロレアコースに通う過目今(もくきん)さん(2年)が、総務省などが主催する「統計データ分析コンペティション2024」で優秀な論文に与えられる統計活用奨励賞を受賞した。

 同コンペは、高校生や大学生の統計の有用性への理解と統計データの利活用拡大を目的に実施しているもの。統計データ分析の論文を募集し、その分析力を活用した課題解決のアイデアを競う。今回は高校生の部で全国から124件の応募があった。

 過さんが提出した論文のテーマは「医療費削減に向けたスポーツ時間増加策のデータ分析」。父親が健康改善のために運動する様子を見て、「運動に関するデータを集めて役立てられたら」と分析を始めた。そして、青少年期や現役世代、シニア世代など各年代で運動にかける時間の阻害要因などを分析し、解決策などを提言。

 分析にあたっては、相関関係のグラフ作成のためにプログラミングにも取り組んだ。審査会からは「視点が興味深く、データの性質をよく理解した上で分析している」と高い評価を受けた。

 過さんは「論文が評価されて嬉しかった。これからも様々なコンペティションを探して、プログラミング力も磨いていきたい」と笑顔で語った。

困りごとを話し合う生徒たち

人生のピンチ救う保障を学ぶ 寛政中生徒がゲームで体験

 市立寛政中学校で1月22日、生徒がゲームを通じて社会保障制度などを学ぶ取組みが行われた。

 これは、生徒の放課後の居場所づくりの一環として同校で昨年から行われている「学びの居場所プロジェクト」の一環。実施には区内の(一社)Omoshiroなどが協力している。

 今回は「人生のピンチを切り抜ける切り札を知ろう」というテーマで社会保障ゲームに挑戦。困りごとをサポートしてくれる制度があることを知ってほしいと、社会福祉士の横山北斗さんを講師に招き、生徒たちが人生の中で起きうるピンチを疑似体験した。

 横山さんからは、自身が中学生の時にがんに罹り、「医療費が200万円かかると言われたが、社会保障制度のおかげで40万円ほどにまで負担が軽くなった」というエピソードが紹介され、生徒たちから驚きの声が。

 また、ゲームの中では家族が交通事故で亡くなった時、会社が急に潰れてクビになったなど、人生のピンチを体験。それぞれがどのようにピンチを切り抜けるか意見を出し合いながら、それを助けてくれる遺族年金や生活保護、医療費助成など様々な社会保障の制度があることを学んだ。

 参加した生徒の1人は「ピンチになった時は1人で悩まず、相談窓口に連絡して助けてもらうという選択肢を持つことが大切だと知ることができて良かった」と語った。

生麦事件碑などを巡る

生麦事件を辿る街歩き 2月9日から3回講座で

 街歩きで生麦事件の歴史などを辿るリレーさんぽが2月9日から行われる。生麦事件参考館リユースプロジェクトが主催。鶴見みどころガイドの会、歴史の会が協力。

 全3回講座。9日は午前10時に鶴見駅東口に集合。旧東海道に残る幕末の街道筋や生麦事件碑、参考館などを巡る。

 第2回は24日の10時30分に東神奈川駅に集合。横浜浮世絵を片手に神奈川宿などを巡る。第3回は3月2日。関内駅から山手や外国人墓地などを散策する。

 定員先着30人程度。各回参加費500円。申込みは山田さん【携帯電話】090・3094・5421または倉田さん【携帯電話】080・1038・4072。

申込はこちらから

日本語ボラの研修会 国際学生会館 2月2日

 横浜市国際学生会館=本町通=で2月2日、ボランティア研修会「これからの日本語サポーター」が開かれる。

 スマートフォンやアプリを使いながら、今後の日本語サポートに役立つ内容を学ぶ。講師は文科省地域日本語教育アドバイザーの吉田聖子さんが務める。

 午後1時30分から3時。参加無料。申込は上記二次元コードから。(問)同館【電話】045・507・0121

紫式部の人生を探る 鶴大図書館で貴重書展

 鶴見大学図書館で貴重書展「紫式部 史実と伝説」が開かれている。2月20日まで。

 紫式部がどのような存在で、どのような人生を歩んだのか、同大源氏物語研究所による『源氏物語』と関連する古典籍での調査から探る。

 主な展示資料は源氏物語のほか、『古事談』や『紫式部日記釈』など。

 入場無料。会場は同館1階エントランスホール。平日午前8時50分から午後9時(土曜は6時)まで。日曜・祝日休館。

 展示来場者アンケートへの回答でオリジナルクリアファイルのプレゼントも。

 問合せは同館【電話】045・580・8274。

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小枝を作る児童たち=提供

汐入小5年1組 独自の小枝づくりに挑戦 森永製菓が協力

 市立汐入小学校5年1組の児童が、下末吉に工場のある森永製菓(株)の協力でオリジナルの小枝づくりに取り組んだ。

 これは、鶴見区の青少年健全育成事業の一環として区が仲介し、モノづくりの仕組みを学ぶ授業として総合的な学習の時間で進めてきたもの。

 児童たちは昨年6月に鶴見工場を見学し、同社の商品「小枝」が同工場で作られていることを発見。9月ごろに森永からオリジナルの小枝づくりが提案され、児童たちは菓子作りについて調べ始めた。そして、同社社員による出前授業で作り方を学び、校内アンケートで味や色などを募った。

 「汐入小らしさ」「5年1組らしさ」をテーマに、味は最終的に夏みかん、夕張メロン、マンゴー、塩キャラメルの4種類に決定して、小枝づくりに挑戦。初めての体験に苦戦しながらも、楽しくオリジナルの小枝を完成させた。

 体験した児童は「難しかったけれど、みんなで美味しい小枝を作ることができて良かった」と笑顔で語った。

交通安全を祈願する会員たち

總持寺で交通安全を祈願 鶴見安全運転管理者会が

 鶴見安全運転管理者会(山谷朋彦会長)が1月16日、大本山總持寺の三寶殿で交通安全祈願式を行った。

 同会は、白ナンバーの自動車を使用する企業などで安全運転の推進などに取り組む「安全運転管理者」が所属する団体。区内では205社が加入し、事件事故の早期解決を図るために鶴見警察署とドライブレコーダーの映像提供の協定も結んでいる。

 当日は、同会役員ら約20人が参加し、厳かな雰囲気の中、今年1年の交通安全を願った。

 「1件でも悲惨な交通事故を減らし、年間死亡事故ゼロ」を目指して活動する同会。祈願を終えて山谷会長は「近年区内で交通死亡事故が微増傾向にあるのは危惧すべきこと。死亡事故を0にすることは難しいことだが、今後も交通ルールの順守を徹底しながら、警察署や区役所など行政機関と協力して、1件でも事故を減らしていきたい」と思いを語った。

市庁舎から放送

横浜市臨時災害放送局 初の運用訓練 横浜マリンFMと連携

 横浜市はコミュニティラジオ局「横浜マリンFM」と連携した臨時災害放送局の運用訓練を1月15日、初めて実施した。発災時に迅速かつ確実に災害情報局を運用するための訓練で、市内各区役所でも放送が聞こえるかの確認がなされた。

 臨時災害放送局とは、大規模災害が発生した際に設置される臨時的なラジオ放送局のこと。被災地の住民に対して避難情報や生活支援情報などを迅速に提供する役割を担う。横浜市では、市役所屋上にアンテナを設置し、77・1MHzで市内全域に向け放送される。

 当日はマリンFMのパーソナリティーと市担当者が災害時の情報収集方法や日ごろからの備え、役立つ情報を話したほか、試験放送アナウンスを機械翻訳で多言語化し放送した。市担当者は一番の課題に「市民への周知」をあげ、「大規模災害発災時に市が77・1MHzで情報を流しているということを広めていきたい」と話した。今後も、年に1回を目安に運用訓練及び市民周知を行っていくという。

 通常、ラジオ放送を開始するためには多くの手続きが必要だが、臨時災害放送局は緊急性を要するという理由で、総務省に電話1本で開設できるようになっている。市は2023年、マリンFMを運営する横浜マリンエフエム(笹原延介代表)と災害放送局の開設・運用の支援に関する協定を締結した。

郷右近さんと展示作品の一部

馬場在住・郷右近さん 鶴見・横浜の風景画を展示 サルビアホールで30日から

 家庭用ペンキスプレーで鶴見など横浜の風景を描き続ける郷右近健二さん=馬場在住=が、1月30日から2月3日までサルビアホールギャラリーで「新春展」を開く。

 市場中学校など市内の学校で美術教諭をしていた郷右近さん。今回は鶴見や横浜の風景画、約40点を展示する。

 観覧無料。各日午前10時から午後6時(最終日は4時)まで。期間中は郷右近さんも会場にいるので、絵について質問もできる(30日、1日は2時まで不在)。「鶴見らしさが伝わるように描いたので、ぜひ足を運んでいただけたら」。問合せは郷右近さん【携帯電話】090・5808・6447。

笑顔で子どもと触れ合う若鍋さん(右)

不登校児童生徒の「居場所」に 区内幼稚園でフリースクール

 文科省の昨年10月の調査によると、全国の小中学校における不登校児童生徒数は34万人を超え、過去最多となった。この様な状況の中、学校に行かないことを選択した児童生徒の学習をサポートする区内にあるフリースクールを取材した。

 獅子ケ谷にある橘幼稚園の園庭開放日に開かれている「橘フリースクール」。同園の三上正芳園長と、自身の子どもを同園に通わせていた若鍋真秀さんの2人で立ち上げたスクールだ。

 学習塾を営む若鍋さんにとって、子どもの不登校は身近な問題だった。「学校に行かないことを選んだことには様々な理由があるし、悪いことではないと思う」と若鍋さん。

 三上園長も卒園生の中で学校に行けずに悩んでいる子どもの話を聞いて心配し、「学校以外の居場所として幼稚園で何かできないか」と模索していた時に若鍋さんから相談があり、意気投合。同園が月2回ほど園庭解放する土曜日に、学習や誰かと話せる居場所としてのフリースクールの実施を決めた。

 「子どもが子どもらしくある場所」を目指し、時間内であれば来る時間、帰る時間は自由。「自宅から出ることにまずハードルがある」と考え、楽しく通える場づくりに注力。取材した日には、和やかな雰囲気の中で子どもたちが計算ドリルや漢字の勉強に取り組み、分からないところを若鍋さんがアドバイス。おもちゃで楽しく遊ぶ様子なども見られた。また、保護者が自分の時間を持てるようにと、別室も用意されていた。

 参加した保護者の1人は「子どもが学校に行けなくなって困っていましたが、ここで友達もできて楽しそうで良かった」と話した。若鍋さんは「これからの時代、学びの選択肢としてフリースクールも肩を並べるのではないか」と話し、三上園長は「園としても『卒園したらバイバイ』ではなく、子どもたちが成長するための“母港”として継続的な支援をしていけたら」と語った。

 同スクールの実施日など詳細は同園に確認を。

迫力の演武を披露する署員たち

日頃の研鑽で真剣勝負 鶴見警察署で武道始式

 鶴見警察署(中西実署長)で1月21日、武道始式が行われた。

 武道始式は新年にあたり、日頃から柔道や剣道の鍛錬に励む署員が、その成果を地域に披露することなどを目的に毎年実施しているもの。当日は、区自治連合会の宮野昌夫会長や警察官友の会の遠藤一郎会長など来賓のほか、地域住民ら約50人が招かれた。

 演武では、同署地域課の署員らが柔道や剣道、逮捕術で5人制トーナメント戦を実施。

 柔道や剣道では見事な技のほか、一進一退の攻防の中で雄叫びを上げ気合いを見せる姿に会場から拍手が送られた。また、逮捕術の演武では凶器を持った犯人役に勇猛果敢に対峙して取り押さえるなど、日ごろの訓練の成果を見せた。

 中西署長は「地域の安全・安心を守るために、署員たちの武道の訓練は必要不可欠。今年も署員一同精進していきたい」と力強く語った。

あいさつする横溝支部長

変化始まる1年に 宅建協会横浜鶴見支部

 (公社)神奈川県宅地建物取引業協会横浜鶴見支部(横溝徹支部長/会員数180)の新年賀詞交換会が1月21日、西区の横浜ベイシェラトンホテル&タワーズで開かれた。

 消費者が安心・安全な不動産取引を行えるよう、区内で無料相談会など実施している同支部。

 当日は来賓や関係者、同会会員ら73人が出席。あいさつに立った横溝支部長は、同協会で神奈川県内の事務局が統合されることについて触れ、「会員数の関係などもあり、大きく変わることになった。宅建協会としても変化が始まる年」と話し、「今後も皆様に細かい内容を随時共有していく」と呼びかけた。

韓国語で自然観察会 三ツ池公園で2月24日に

 県立三ツ池公園で2月24日、同園内をハイキングしながら韓国語を学べる「韓国語でネイチャーハイク」が開かれる。

 韓国語ネイティブと自然観察のダブル講師に学べる講座。いつもと違った韓国語講座、自然観察会に参加したいという人にぴったりだ。

 午前10時から正午まで。参加費500円(お土産付き)。定員先着15人。2月23日締切。申込み・問合せは同園パークセンター【電話】045・581・0287。

ノーベル平和賞受賞 和田さんが報告会 2月22日に公会堂で

 昨年12月にノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の事務局次長を務める和田征子さん=鶴見区在住=の受賞報告集会が2月22日、鶴見公会堂ホールで開かれる。同実行委の主催。

 当日は和田さんからの報告のほか、原水爆禁止神奈川県協議会の笠木隆理事長も登壇する。

 午後1時30分から。入場料300円(学生以下無料)。

 (問)原水爆禁止鶴見区協議会の岩森さん【携帯電話】090・9852・0031

参加無料 知っておきたい、令和の相続 2月20日、新横浜でセミナー

 近年大きな変革があった相続税・贈与税制-。相続税に特化したランドマーク税理士法人では、その内容と令和7年の税制改正についての特別セミナーを、2月20日(木)に開催。午後2時から3時まで。セミナーテーマは『令和7年度税制改正と不動産の相続問題』。

 「相続税についての理解を深め、早めの対策を進めていきましょう」と講師の清田幸佑さん。終了後、希望者には個別相談も(要予約)。

 参加無料。会場は同社新横浜セミナールーム(新横浜駅1分)。申込・問合せは【電話】03・6269・9996まで。

神奈川県 新なでしこブランド披露 2月1日(土) マークイズMMで

 女性が開発に貢献した優れた商品やアイデアを県が認定する「神奈川なでしこブランド」事業。この新認定商品の認定式が2月1日(土)午後3時〜、マークイズみなとみらい(横浜市西区)で催される。

 認定商品の展示販売会やパフォーマンスは午前10時〜午後4時半。トークショーでは、女性の働き方研究所を運営する中山ゆう子氏が「自分らしい働き方」を語り、女性活躍にエールを送る。

 問い合わせは、同ブランド事務局【電話】045・210・5867へ。

上野 孝 会頭

年頭所感 「Y★X」(横浜トランスフォーメーション)で新たな変革へ挑戦 横浜商工会議所会頭 上野 孝

 これまでの3年間を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症は再拡大の振れを伴いながら収束に向かい、徐々に経済社会活動の正常化が進んだと考えております。

 わが国経済は今、停滞から成長への転換点を迎えております。この好機にデフレマインドを完全に払拭し、自己変革によりイノベーションに果敢に挑戦して、持続的な「成長型経済」を実現することが急務です。しかしながら、地域の経済と雇用を支える中小企業は自助努力をはるかに超えた厳しい経営環境に立たされております。

 厳しい時期だからこそ、地域に密着し企業とともに活動する商工会議所の出番であり、その社会的な存在意義と使命が問われております。こうした認識から、私は今期の活動を進めていくにあたり「三つの基本目標」を設定いたしました。

 一番目は「GREEN×EXPO 2027の会員一丸となった開催支援と横浜の新たな飛躍を目指して」です。この催しは国家プロジェクトであり、横浜で初めて開催される国際博覧会です。開催効果が横浜全体に波及するよう、会員一丸となって開催協力・支援してまいります。さらに、跡地活用の推進等を通じて市内全域の活性化にも繋げていきたいと考えます。二番目は「人口減少に立ち向かう横浜の革新と飛躍を目指して」です。横浜商工会議所も、企業経営や街づくり等における諸課題や施策等を検討・提案することによって、横浜全体の新たな飛躍につなげていきたいと考えております。三番目が「経営基盤の強化を図るDX・GX・CXの先駆的推進を目指して」です。社会的課題の克服にチャレンジする中小企業を全国的にも先駆的に支援していこうという取組みでございます。

 そして、全体を包括するキャッチフレーズとして『横浜トランスフォーメーション(Y★Ⅹ:ワイエックス)の推進による新たな変革への挑戦』を設定いたしました。

 この三つの基本目標を達成するため、「六つの基本政策」、【1】「物価高騰や人手不足等による倒産の防止や事業継続のための(中小企業に対する)伴走型経営支援の強化」【2】「中小・中堅企業の成長段階に応じたきめ細かな経営支援の強化」【3】「GREEN×EXPO 2027の開催に向けた協力体制の強化」【4】「人口減少問題と企業経営の諸課題に関する施策検討と支援事業の展開」【5】「DX・CX推進やSDGs、カーボンニュートラル実現に向けた取組への支援強化」【6】「稼げる都市・横浜の創造を目指した多様な都市開発の推進、交流人口の拡大、観光産業の振興等による賑わいの醸成」を掲げています。

 このように、三つの基本目標とそれを達成するための六つの基本政策を展開することによって、『Y★Ⅹの推進による新たな変革への挑戦』を進めてまいります。

(以上、要旨。見出しは本紙)
冊子の表紙

デジタルツールを紹介 市、町内会向けに冊子作成

 横浜市は市内に約2800団体ある自治会町内会のデジタル化を支援しようと、活動に役立つアプリやサービスなどのツールを紹介する冊子を作った。

 冊子には、デジタル化支援のために市と協定を結ぶ15事業者・団体によるサイト作成や電子回覧板の機能があるアプリ、デジタル化のアドバイスのほか、大手事業者のSNSサービスなど、合計で22のツール・事業者が紹介されている。

ダウンロードも

 冊子は2月に市内の全自治会町内会に配布するほか、市のサイトからダウンロードできるようにした。サイトは「横浜市 自治会町内会DX」で検索。問い合わせは市市民局地域活動推進課【電話】045・671・2317。

参院選 立民 現職2人擁立へ 牧山氏と水野氏

 今夏の参院選神奈川選挙区(改選定数4)に立憲民主党がともに現職の牧山弘惠氏(60)と水野素子氏(54)の2人を擁立することを決めた。

 牧山氏は米国での弁護士活動などを経て、2007年の参院選に民主党から出馬して初当選。13年、19年と連続当選している。1月28日に県庁で会見を開き、「物価高への対策として、食料品の消費税ゼロを訴えていく」と語った。

 水野氏は宇宙開発事業団(現JAXA)に28年間勤務した後、22年の参院選で欠員議席分の5位で当選。28日に牧山氏と別に行った会見で、「日米地位協定の改正を進めることや先端技術による産業が元気な日本を作っていきたい」と述べた。

 2人が出馬することに牧山氏は「自分の政策を思い切りアピールする」、水野氏は「議員歴が短い自分がいかに頑張れるか」と語った。

横浜市内 2024年の火災件数は23年より減少も死者は増加 24人、過去10年で最多タイ

 横浜市消防局は1月17日、2024(令和6)年の「火災・救急概況(速報)」を発表した。火災件数は23年より減少したものの、死者は10人増の24人だった。全火災の出火原因は「たばこ」に代わり「放火」が最多となった。救急出動件数、搬送人員ともに3年連続で過去最多を記録した。

出火原因は放火が最多

 発表によると、市内で24年に発生した火災は678件で、23年と比べて55件減少した。

 出火原因で最も多かったのは「放火(疑い含む)」で115件。23年は1番目だった「たばこ」は23年比15件減の110件で2番目となった。3番目は84件の「こんろ」だった。

 住宅火災(290件)の出火原因は例年と同様、「こんろ」が最多で23年比7件増の65件。次いで「たばこ」が38件、「電気機器」が32件だった。

 テレビや掃除機などの電気機器、テーブルタップなどの配線器具を発火源とする「電気火災」は全火災のうち198件で、全体の29・2%。中でもリチウムイオン蓄電池に起因した火災は40件で、消防局の担当者は「近年増加傾向にある」と話す。モバイルバッテリーやスマートフォンなどに使われていることが多いリチウムイオン蓄電池は、強い衝撃に弱いため、「高いところから落下させた場合は、使用を控えてほしい」という。特に膨れていたり、充電中に異常な高温になった場合には、「速やかに使用を中止してほしい」と呼びかける。

火災による死者の8割が高齢者

 火災による死者(放火自殺を除く)は24人で、過去10年間で2016年と並んで過去最多。全員が「住宅火災」で死亡し、そのうち19人(79・2%)が65歳以上の高齢者だった。

 火災による負傷者は108人(23年比9人減)で、そのうち45人(41・7%)が65歳以上の高齢者。23年の32・5%よりも高齢者の割合が増えている。

 火災件数は減ったが、死者数が増えている要因について、同局の担当者は高齢化があると分析。「高齢者は煙の臭いに気付きづらい人が多い。また、足腰が弱っていて逃げるのに時間がかかる人もいる」と話し、今後も高齢化が進むため、火災による死者、負傷者で高齢者の割合が高い傾向は続くとみている。

日頃から整理整頓を

 同局の担当者は出火原因1番目の「放火」に対しての備えとして、「自宅の屋外に余計なものを置かないこと」を挙げる。ごみ袋や使わないものなどを屋外に放置していると、放火犯に目を付けられやすくなるという。

 また、火災が発生した場合、速やかに避難するためには「自宅内も整理整頓してほしい」と同担当者。安全な避難ルートを確保できるだけでなく、リチウムイオン蓄電池が発火しても、周囲に燃え移るものがなかったため、被害が拡大せずに済んだケースもあったという。「日頃からの整理整頓が大事」と呼びかけている。

喜びを爆発させる横浜の部員(上)と野原監督を中心に集まる横浜清陵の部員

高校野球 センバツに市内2校 6年ぶりの横浜、初の清陵

 3月18日から甲子園球場で行われる「第97回選抜高校野球大会」の出場32校が1月24日に発表され、一般選考で横浜高校=金沢区=、「21世紀枠」で県立横浜清陵高校=南区=がそれぞれ選ばれた。戦後の選抜大会に横浜市内から2校が選ばれたのは、2019年に横浜と桐蔭学園=青葉区=が出場して以来、6年ぶり7回目。

優勝候補の名門

 横浜の選抜出場は6年ぶり17回目。昨年は夏の県大会で準優勝の後、秋に関東大会を制し、11月の明治神宮野球大会で27年ぶりの優勝を果たした。今大会では優勝候補に挙げられる。

 阿部葉太主将は「『頑張ってね』と声をかけてくれる地域の方たちのためにも、自分たちが甲子園の舞台で精一杯戦い抜いている姿を見せたい」と話し、06年以来、4度目の選抜制覇を目指す。

21世紀枠 県勢初

 横浜清陵は春夏通して初の甲子園出場。県内の県立校が選抜大会に出場するのは1954年の湘南以来、71年ぶり。

 21世紀枠は、困難な練習環境を克服しているなどの学校を選出するもの。県内校が21世紀枠で出場するのは初めて。

 野原慎太郎監督は「喜びより使命感を強く感じる」と話し、「今日も甲子園に向けた大事な一日」と監督から言葉をもらった選手は、いつも通りの練習に励んだ。

会見で発言する山中竹春市長

中居さん女性トラブル フジテレビと連携協定結ぶ横浜市の山中市長「状況を注視したい」 消防局がドラマ撮影に協力

 タレントの中居正広さんの女性トラブルにフジテレビ社員が関与していた疑いが報じられた件に関連し、フジテレビと連携協定を結んでいる横浜市の山中竹春市長は1月22日の定例会見で「今後の状況を注視していきたい」と述べた。

 市とフジテレビは2024年11月に連携協定を締結。協定に基づき、市消防局が撮影に協力している消防司令センターを舞台にしたドラマ「119エマージェンシーコール」が1月13日から放送されている。

 会見の中で山中市長はフジテレビへの対応について聞かれ、「市として特段のアクションを起こしたことはない。今後、状況を注視していきたい」と述べた。さらに、「(ドラマが)市消防局の業務の理解につながるものとして、SNSなどの発信を続けてきた。しかし、それがあまり許容されない状況になるのなら、対応を考えたい」と語った。

「土木事業者・吉田寅松」57 鶴見の歴史よもやま話 鶴見出身・東洋のレセップス!? 文 鶴見歴史の会 齋藤美枝 ※文中敬称略

 舞鶴軍港敷地造成の難工事を成し遂げた寅松は、海軍元帥西郷従道との絆をより確かなものとした。

 明治二十六年頃から三十二年に至るまで雨宮敬次郎や藤山雷太など三十数社から東京市街に電気鉄道敷設の特許認可をめぐる激しい対立がつづいていた。市民の利便よりも、会社の利益優先の計画に義憤を感じた寅松は、私財一万円を投じて公利公益、市民に利便する適正な設計案を作成し、沼津の別荘に西郷従道を訪ねて具申した。結果、明治三十三年、寅松の公利公益に資する設計案が採用され、東京馬車鉄道、東京市街鉄道、川崎電気鉄道の三社に敷設許可がおりた。

 舞鶴軍港敷地造成の難事業と東京市内鉄道の公利公益を導いた寅松の高徳が評価され、前東京府知事の久我通久侯爵ほか在野の有志数千人から、寅松に金杯と表彰状が贈られた。

 立身出世の大志を抱いて北寺尾の鶴田家から江戸に出た寅松は、明治維新前後の混乱期から薩摩藩の出入り商人となり、戊辰戦争では西郷隆盛に追従し、兵器弾薬兵糧調達を通じて西郷従道と持ちつ持たれつの関係を築いていた。従道が海軍大将として勝利を導いた日清戦争(明治二十七、八年)の軍資金として寅松は千円を献納した。

任侠大谷源次郎の仲裁

 吉田寅松の吉田組は、高級幹部の内藤富士松、中山希賢、西川孝信、中山慶助、後藤伝五郎らの代人に現場を任しながら、各地でさまざま土木工事を請負っていた。

 上野・仙台間の海岸線「常磐線」は明治二十七年に着工し、上野駅から土浦を経て、水戸、友部駅までを土浦線、水戸から平、中村を経て岩沼までを磐城線として工事がすすめられ、三十一年八月に開通した。

 土浦線を三区に分け、鹿島組、橋本組、小川勝五郎、吉田組などが特命された。土浦駅近くの工事には、吉田組の下請けとして大宮源次郎も参加した。

 大宮源次郎は、鶴田浩二出演の「関東やくざ者」の大谷清次郎のモデルになった任侠から土木請負業者になり、鉄道・港湾・製鋼所など数々の難工事を成し遂げてきた大親分。幕末に喜連川藩家老権頭の嫡子に生まれながら、お家騒動のため波乱の生涯を送り、晩年には息子と中山競馬場の創設に貢献した。

 土浦線の工事は日清戦争の最中の明治二十七年十一月に着手した。二十二日に日本軍が旅順口を占領したというニュースが飛び込んだ。どこの工事現場でも、吉田組はことあるごとに豪勢な祝宴を繰りひろげていた。

 「それ、戦勝祝賀だ」と、吉田組の連中は土浦第一流の料理屋日清楼に繰り出し、どんちゃん騒ぎの大宴会をはじめた。別室では、土地の大親分の松金一家や土浦仲買人と称する博徒の顔役たちが祝宴をはっていた。

 その中の一人が何を間違えたか、吉田組の座敷に紛れ込んできた。酒の勢いで吉田組の連中に袋叩きにされてしまった。騒ぎを聞きつけて博徒連が「吉田組の奴ら、旅烏のくせに生意気だ!」と、なだれ込み大喧嘩となった。

 急を聞き松金一家の子分たちが駆けつけ、吉田組の連中もダイナマイトを抱えて駆けつけた。警察官も駆けつけての大騒動となり、吉田組の二人が松金一家の者に霞ヶ浦に投げ込まれ、逆さ吊りにされた者もいて、大乱闘はおさまらない。

 吉田組の代人が大宮源次郎の現場事務所に飛び込み、「何とか騒ぎをおさめてほしい」と助けを求めた。

 「よろしい、承知しました」と、大宮源次郎は色あせた大宮組の印半纏に股引き、素足に草履履きで単身松金の家に行き、その日のうちにきれいさっぱり、すべてを丸くおさめてしまった。その扱いの見事さに、土浦仲買人取締りの中村半三郎は翌日、大宮の盃をもらって子分になったという。

 土浦線は、二十九年十二月に竣工した。磐城線は、四区に分け、水戸、平、浪江、岩沼に事務所を置き、鹿島組、橋本組、盛陽社、吉田組などが特命で請負い、明治二十八年二月に起工し、三十一年八月に竣工した。