横須賀・三浦版【2月28日(金)号】
手製の三浦半島の地図を前にポーズする本間さん

ランナー呼び込み周遊を 三浦市初の「ランステ」開設

 三浦市を訪れるランナーが着替えや食事場所として利用できる「ランニングステーション」と呼ばれる施設が今月、三浦海岸駅そばに誕生した。三浦市内では初といい、移住者の本間香織さん(44)が一念発起して開所。ランナーが走った後にくつろぐことができる場所を作ることで、半島での滞在時間を延ばし、周遊促進など観光振興にも役立てたい考えだ。

 三浦海岸駅徒歩2分の商業ビル2階にあるランニングステーション「キミステ」。店名は本間さんがSNSで使うニックネームをもじったもので、店内にはシャワーや更衣室、ロッカーを備える。2月1日のオープン以来、週末を中心に1日平均10人ほどの利用があり、ランニングのほかトライアスロン選手やロードバイクで訪れる人もいるという。

自然に魅せられ

 風光明媚で自然豊かな三浦半島はランナーにとっては人気スポットの一つだ。本間さん自身も市民ランナーの一人。横浜市で会社員をしていた3年前、初めて三浦に足を運んだ際に海や山に魅了されたという。以来定期的にランニングに訪れ、三浦が会場のマラソン大会にも参加した。

 ただ、「都心からほど近く、走っていて最高に気持ちが良い場所」と感じる一方、着替えや汗を流せる場所の少なさを感じていた。そこで走り終わった後の受け皿を開設しようと決意し、移住。大会のゴール地点となることが多い三浦海岸に店を構えた。

地域活性化の一助に

 ランナーをサポートする場所の整備は市外からの誘客を促進し、観光周遊につなげる可能性があると本間さんは考える。今週末に行われる「三浦国際市民マラソン」には昨年市内外から約7500人が参加した。「三浦半島には土地の魅力がたくさんある。ランステが増えれば観光振興にもつながるはず」

 キミステでは、アスリートフードマイスターの資格を持つ本間さんが疲労回復に良いとされる食材や三浦半島の食材を使った料理も提供。「食材の宝庫である三浦半島の魅力も知ってもらえれば」と心を砕く。市外からランナーを呼び込み、三浦の魅力を発信していきたい考えだ。営業は平日午前9時から午後5時(土日祝日は8時から)。月・金曜定休。

横須賀市立総合医療センターの開院式典に出席する関係者ら

横須賀市立総合医療センター 「健康と幸せ守る砦」に 一般外来は3月4日から

 3月1日(土)に開院を迎える横須賀市立総合医療センター(横須賀市神明町1の8)の開院式典が2月22日、同院エントランスホールで行われ、議員や医療関係者、町内会関係者ら68人が出席した。一般外来診療は3月4日(火)からの受け付けとなる。

 うわまち病院から久里浜地区の神明公園への移転となった同院。築50年を超える施設の老朽化と患者の増加などで2018年に移転が決定した。

 うわまち病院からの主な変更点は病床の増床(417床▽450床)や診療科の拡充(28科▽34科)、手術室の増室(5室▽10室)など。病院棟は鉄骨造一部鉄筋コンクリート造の地上7階建てで、屋上に三浦半島初となる救急搬送用ヘリポートを整備。1階にコンビニエンスストア、6階にレストランを設けた。総合受付は1階で、外来の診療科は2階の同フロアに集積。診察室は科をまたいだフリーアドレス方式で、都度電光掲示板で表示される仕組みとなっている。

 沼田裕一院長が「目玉の一つ」として話すのは新導入の高度医療機器。中でも、全身のがんなどを一度に調べることのできるPET―CTは三浦半島初の導入で、これにより通常の機器よりも短時間で高画質な撮影が可能となる。

 式辞で上地克明横須賀市長は「就任時、一番大きな課題だったのがうわまち病院の運営について。新院は三浦半島の住民の健康と幸せを守る砦(とりで)

となることを確信している」と期待感を述べた。

送迎バス運行

 同院から久里浜駅までの無料送迎バスも3月4日(火)から運行される。平日のみの運行で定員22人。同院から久里浜駅前まで10分、京急久里浜駅西口まで15分で結ぶ。敷地内には170台分の駐車場も設置されている。

 うわまち病院の一般外来は27日(木)をもって終了。新院は3日(月)まで緊急診療、緊急外来のみの受け付けとなる。

地域に広がる歓迎ムード

 久里浜エリアでは、新病院の移転開設に歓迎ムードが広がっている。

 久里浜地域運営協議会と久里浜商店会協同組合は、京急久里浜駅付近の目抜き通りに開院を祝う横断幕を掲げた=写真。

 久里浜地区連合町内会の小川喜久雄会長は「三浦半島の医療の中心地として機能していくことでまちの魅力が高まる」と期待を示す。新病院の移転が呼び水となって、周辺でクリニックや調剤薬局などの開業が活発化しているなど、医療を軸にした新しいまちの姿が見え始めている。

 同エリアでは横浜F・マリノスの練習拠点や横須賀火力発電所の再整備などの大型事業が続く。複合型商業施設の計画も浮上しているなど、大きく動いている。

パワーリフティング選手として日本初の女性限定大会を主催し、競技の普及に努める 河西 香南さん 横須賀市船越町在住 28歳

女性の”力” 新時代を拓く

 ○…脚力、腕力、背筋力を3種目で競うパワーリフティング。「単なる力比べ」ではあるが、その単純さ故に「成果を出すまでの過程やトレーニング法に奥深さがある」と目を輝かせる。全国大会のジャパンクラシックでは、デビュー3年目の2021年に52kg級で、翌年は57kg級で王者に輝いた。「努力の分だけ結果に現れる面白さを広めたい」とトレーニングジム店長の傍ら、音声番組の配信で千人以上のリスナーを抱えるなど競技の普及にも精を出す。

 ○…トレーニングを始めたのは大学入学直後。きっかけはダイエットだったが、学内のジムを利用するうちにトレーニングそれ自体の面白さに目覚め、専攻もスポーツ科学に変更した。アメフト部や柔道部に所属する男性の利用がほとんどの中、独学で彼らと同等の重量を持ち上げるまでに。当初の目的を飛び越え、競技者としてさらなる高みを目指すべく専門のジムの門を叩いた。

 ○…選手として結果を残す中で感じていたのが、競技における女性人口の少なさ。「女性主体の大会を作ることで競技の門戸を広げ、『細さ』だけでない美しさを広めたい」と2年前に日本初となる女性限定大会「ストロングガールズ」を初開催した。4回目となった先月は若者からシニア世代まで48人が出場。「細く華奢(きゃしゃ)」ではなく「体の機能としての美しさ」を手にする選手たちの笑顔から、この上ない手応えを感じている。

 ○…昨年は同大会で競技デビューした選手に記録を越され、「うれしいような、悔しいような」と苦笑い。22日に行われた全国大会でも3位と辛酸を舐めた。「自己記録も伸ばしつつ、一緒に高め合う仲間をもっと増やせたら」と自身をフラッグシップとして競技のさらなる普及を目指す。

各町内ごとの災害リスク解説する三浦さん(右)

早大 三浦さん災害リスク 地域ごとに調査 「実際に即した自主防災を」

 起伏に富む丘陵地が大部分を占めている三浦半島。昨年の能登半島地震を教訓に防災の重要性が高まる中、横須賀市内各地域での防災について「共助」の視点から調査を行った論文を早稲田大学大学院の三浦エリカさん(24)=横浜市在住=が発表した。21日には長浦コミュニティセンターで、地域向けの研究発表と住民同士の意見交換会が行われた。

災害認識と対策にズレ

 三浦さんは、急傾斜地が多く複数の災害リスクがあり、活断層も通る横須賀市を研究の対象に選定。各地域の防災対策や、抱えている課題などを調査した。

64町内会に取材

 同論文では津波・洪水・土砂災害などの各種災害リスクについて、市が公表しているハザードマップに加え「人口」「土地利用」「宅地造成による地形改変」「避難場所の立地」などの要素を加え総合的な評価を実施。その上で市内64町内会や行政、地域包括支援センターなどにヒアリング調査を行うことで住民の避難課題について明らかにした。

 ヒアリングでは、津波の浸水想定がされている町内会の半数で、津波について「被害は少ないだろう」「来ないだろう」といった意識があることが判明。防災訓練でも消火器の取り扱い方の説明のみなど、訓練の内容がハザードマップなどで想定されている災害に則していない町内会もあったという。相模湾側の一部町内会では毎年津波避難訓練が実施されていることを踏まえ、「東京湾側でも、一時避難地を津波の到達予想より高く設定するなど具体的なイメージを持った対策をすべき」と課題を指摘した。

 各地区共通の課題としては、高齢者、障害者、乳幼児といった要配慮者の避難支援者が確保できないことや、若い世代の町内会加入率が低いことが浮き彫りとなった。

「共助」の大切さ説く

 三浦さんの専攻は地理学。地震災害について学びを進める中で、災害時には住民同士の「共助」が多くの命を救っているというデータから自主防災の重要性を認識したという。「各地域の状況を理解し、あらゆるリスクを考慮した準備が必要。『これくらいで大丈夫だろう』と高を括らずに備えてほしい」と話した。

 研究に際して協力を得た町内会の要望で実施された同発表会。参加した西逸見第1町内会の大澤岩男さん(79)は「『東京湾に津波は来ない』といった思い込みが危険だということが分かった」と学びを得た様子だった。

 論文は3月に学会発表される予定だが、一般公開時期は未定。三浦さんは「発表会や意見交換会といった形で各地域の防災強化に寄与できたら」と啓発へ意欲を見せた。

芥川小説『蜜柑』 和菓子で表現

 かながわ信用金庫と地域の企業や店舗が連携して名産品づくりに挑む「かなしん横須賀おみやげプロジェクト」の第1弾商品が発表された。

 老舗和菓子屋「いづみや」と「ヨコスカ調理製菓専門学校」がタッグを組んで商品開発。横須賀が舞台となっている芥川龍之介の小説『蜜柑』にちなんだ和菓子を同校の生徒が発案し、いづみやの職人が具現化させた。

 小説には横須賀駅を出発した列車の車窓から少女がミカンを投げるシーンがあり、これをモチーフにしたのが「蜜柑色の夕日」=写真。山芋と米粉の生地にみかんゼリーの入ったチョコあんとオレンジの皮を練り込んだ白あんを挟んでいる。5個入り1620円。横須賀市内の「いづみや」各店で販売中。

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展覧会に先立って行われた内覧会の様子

天才画家ダリの秘密 横須賀美術館で特別展

 スペインが生んだ天才画家、サルバドール・ダリ(1904―89)の生誕120周年を記念した特別展が横須賀美術館(鴨居4の1)で開かれている。世界屈指のコレクションを形成する諸橋近代美術館(福島県)の所蔵品を中心に約120点を展示し、その生涯を概観している。

 捻り上げたひげに鋭い眼光。芸術性とともに奇抜なパフォーマンスで知られるダリは、内面の世界や目に見えない世界を描き表そうとする「シュルレアリスム」の体現者として知られる。溶けた時計を描いた絵画が有名で、版画や彫刻など多くの作品を残した。

 企画展は1924年の「シュルレアリスム宣言」から100周年にあたる昨年に諸橋近代美術館から始まった全国5カ所の巡回展で、関東では唯一。同展では3章に構成し、ミロやマグリットなど同時代を生きた作家の作品群や渡米後の作品なども展示し、ダリの多彩な側面に迫っている。

 4月6日(日)まで。観覧料は一般1400円ほか。開館は午前10時から午後6時。3月3日(月)休館。問い合わせは横須賀市コールセンター【電話】046・822・4000。

防火ふれあいコンサート コースカで啓発イベント

 横須賀市消防局は、「消防広場・ふれあいコンサート」と題した火災予防運動を3月2日(日)に本町のコースカベイサイドストアーズで催す。

 1階メインエントランス側屋外広場では、消防ポンプ車・救急車の展示や子ども用防火衣の着用体験、住宅用火災警報器などのリーフレットを配布し、火災予防広報を行う(午前10時から正午)。

 2階催事場では横須賀市消防団音楽隊による演奏もある(午前11時30分から)。参加無料。

 問合せは市消防局予防課【電話】046・821・6466。

地域に広がる歓迎ムード

 久里浜エリアでは、新病院の移転開設に歓迎ムードが広がっている。

 久里浜地域運営協議会と久里浜商店会協同組合は、京急久里浜駅付近の目抜き通りに開院を祝う横断幕を掲げた=写真。

 久里浜地区連合町内会の小川喜久雄会長は「三浦半島の医療の中心地として機能していくことでまちの魅力が高まる」と期待を示す。新病院の移転が呼び水となって、周辺でクリニックや調剤薬局などの開業が活発化しているなど、医療を軸にした新しいまちの姿が見え始めている。

 同エリアでは横浜F・マリノスの練習拠点や横須賀火力発電所の再整備などの大型事業が続く。複合型商業施設の計画も浮上しているなど、大きく動いている。

「ケンメリ」の愛称で親しまれる4代目スカイライン

「旧車」の魅力一堂に 懐かしの日本車展示イベント

 1995年以前に製造・販売された「旧車」が集まるイベント「第2回旧車フェスタ in Yokosuka」が3月9日(日)、横須賀市汐入町のヴェルニー公園で開かれる。入場無料。

 展示されるのは約40台。全国の旧車オーナーが自慢の愛車を駆ってくる。「ハコスカ」「ケンメリ」などと呼ばれて親しまれた歴代スカイラインやマツダ「RX-7」、ホンダ「シティ」、トヨタ「AE86」などがずらりと並ぶ。

 当日は来場者による人気車投票を行うほか、三浦半島の物産販売やキッチンカー、ワークショップなどもある。時間は午前10時から午後3時。

 イベントの発案者は、旧車販売や修理の専門店「CAT」(野比1の1の5)を営む佐藤一記さん。「古き良き旧車の魅力を知ってもらい、横須賀といえば旧車といわれるようなイベントにしていきたい」と話している。

新海業プロジェクト 提案内容明らかに BBQにスパ施設も

 三崎漁港の新たな海業振興を目指す「新海業プロジェクト」を巡り、優先交渉権者の興和(本社・名古屋市)グループが市に提出した事業提案書の内容が明らかになった。産直センター「うらりマルシェ」=写真=の改修を中心に新商業エリアを構築し、三崎ブランドの価値を向上させて誘客力を強化する内容などが盛り込まれている。

 提案書は昨年4月に同グループが市に提出。うらりマルシェを軸とした「海楽里(うらり)バース」を中心に既存市街地と三崎漁港をつなぎ街全体でブランディングを確立するコンセプトとなっている。

 提案書によると、うらりには既存テナントに加え「三崎を味わう」に関連した新規テナントが入居。現在、水産物集配施設がある場所にグランピングやバーベキューができるようにし、レストランも整備する。

 現在三崎朝市会場や三崎まぐろ加工センターがある場所は「新商業エリア」として再整備し、5階建ての複合施設を建設。新たな加工場や三浦や各国の料理が楽しめる飲食店、ミュージアム、スパやコンドミニアムの入居を想定する。現在の三崎朝市はうらりの北部に場所を移す。

 提案書にはうらり前のゲストバース(係留施設)を延伸する案も描かれているが、海沿いや対象エリア外の整備については今後協議の上検討するとしている。

 市はこれまで提案書の内容は「変更になる可能性が高い未成熟な情報」として非公開としていたが、最近になり事業者に示している。今後は市と興和グループと基本協定締結を予定しており、双方が行政や関係事業者と協議し、事業計画の完成を目指す。

線路沿いに咲く河津桜の撮影を楽しむ観光客(2月25日撮影)

やっと咲いた早春の風物詩 三浦海岸の河津桜が見頃

 一足早い春を告げる風物詩として知られる三浦海岸駅付近の河津桜が見頃を迎えている。寒波の影響などで例年より開花が遅れていたため「三浦海岸桜まつり」は1週間延長され、3月9日(日)まで実施されることになった。25日現在、全体的に見頃を迎えている。

 濃いピンク色の桜と菜の花の鮮やかなコントラストが目を引く三浦海岸駅の線路沿い。同日、三浦市観光協会は線路沿い・小松ヶ池公園では7〜8分咲きとしており、「天候の影響で読めないが、今週中には見頃を迎えるのでは」としている。三浦海岸駅・三崎口駅周辺では満開に近く、街行く人の視線を奪っている。

 同日、三浦海岸駅周辺では開花を心待ちにしていた観光客が数多く訪れ、カメラを片手に写真撮影などを楽しんでいた。

 同イベントは昨年20周年を迎えた恒例行事。早春の風物詩として例年市内外から30万人ほどが訪れる。イベント期間中は三浦海岸駅前での物販も楽しめる。

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三崎小 日本の遊び、教えるね 台湾児童と交流

 三崎小学校(三崎1の20の32)に、かねて交流を続けていた台湾の子ども6人が来日し、17日から21日まで交流体験が行われた。20日には4年生15人が児童らに日本の昔遊びを教えた=写真。

 来日したのは、台湾新北市の實人(シーレン)実験教育学校に通う11〜13歳の計6人。市内中学校の外国語指導助手(ALT)であるクイニー・ライさんが通訳を務めた。

 国際感覚の養成、英語教育の充実を図る三崎小では、以前から6年生が教育学校の約20人と月に一度オンライン交流などをしていた。今回は春節と学校の休みを利用し来日。合同授業が実現した。

 子どもらは6年生の時間割に合わせて日本の授業を体験。総合の時間などで社会見学や昔遊び、みそ汁づくりなどを他の学年と行い、交流を深めた。20日、独楽回しやけん玉、折り紙など日本の昔遊びを教えた4年生は端的で伝わりやすい単語とボディーランゲージを交えながらコミュニケーションを取っていた。

 教育学校のエディさん(11)は交流を通じて「『マグロ』や日本のあいさつの言葉を覚えられた。楽しい交流だった」と振り返った。
体育館でカルタを楽しむ児童と保護者ら

児童作成 大会に地域住民 大津の歴史 カルタで学ぶ

 「龍馬はね おりょうさんと 夫婦だよ」。大津町の信楽寺に眠る坂本龍馬の妻・おりょうは、地元児童にとっておなじみ。読手が札を読みあげると歓声とともに取札を叩きつける音が鳴り響いた。

 大津小学校の3年生は2月19日、地元に根付いた創作カルタの大会を同校体育館で開催した。保護者や地域住民60人が訪れ、児童とともに競技を楽しんだ。

 取り組みは総合的な学習の一環。カルタを作成する過程で地域と触れ合い、親しみを深めることを目指した。児童らは町内会や商店に取材を行い、気になった歴史や施設を題材に句を考案。「沼だった 蛇沼会館 昔はね」といった地域に残る字名や、「卒業生 秋山翔吾 野球選手」のように地元出身の著名人を題材にするなど46枚の札のテーマは多岐に及んだ。

 大会を終えた児童は「遊ぶ人に大津のことを好きになってもらえるように作った。もっとたくさんの人に知ってほしい」と笑顔を見せた。

横須賀商店街連合会 “推しの店”6傑 利用者投票で選出

 横須賀の人気店を利用者の投票で決定する「よこすか地元のお店応援大賞2024」の結果が発表された。横須賀商店街連合会の主催。応援したい店舗のレシートが投票用紙となるルール。3回目を数える今回は854件の応募があった。

 【ショッピング・サービス部門】ねこ先生の整体院(上町2の5の7)/さくらマート(久里浜4の15の12)/メガネのささき(衣笠栄町1の8)/新鮮屋ヨシダ本店(久里浜4の6の6)

 【飲食店部門】やきとり竜馬におまかせ(日の出町2の3)/Owl,s Dream(大津町3の19の2)/ひさご寿司(久里浜4の15の10)/MaNo e MaNo/(池上2の9の15)

「安さで勝負」さくらマート

 久里浜仲通りにある「さくらマート」=写真=は、障害者の就労支援を目的に約10年前に開設された食料品販売店。店のバックヤードで手づくりしている総菜や弁当、店内の陳列やレジ打ちは主に就労者が業務を担っている。特筆すべきは価格。日替わり弁当450円、大手メーカーの商品も並外れの安さ。賞味期限が近づいた品を戦略的に仕入れるなどの工夫で販売価格に反映させているという。お得な品を宝探し感覚でみつける面白さに加え、昨今の物価高も相まって穴場的な人気となっている。

親子で工場見学

 農林業機材メーカーの「やまびこ」の横須賀事業所(横須賀市夏島)を親子で見学する春休みチャレンジ講座が3月27日(木)に開かれる。

 施設を見学しながら小型エンジンを作る工程を見て回る。実際に製品に触れる体験もある。

 対象は小学3年生以上の子どもとその保護者。定員20組で抽選で受け付ける。午前10時から正午。参加費50円。3月13日(木)締め切り。問い合わせは田浦コミュニティセンター【電話】046・861・9007。

パン食い競争で交流 三浦でミニバス200人が参加

 市内外の小学生プレーヤーが交流を図る「MIULoveミニバスケットボール交流会」が8日、三浦市初声町の市総合体育館(潮風アリーナ)で開かれた。市内外から約200人が参加し、試合やパン食い競争=写真=を通じて親睦を深めた。

 三浦スポーツ&カルチャークラブ「MIULove」の主催。ぱん食い競争協会が協力した。

 交流戦後、チーム対抗戦方式でパン食い競争がスタート。子どもらは合図とともに包装された菓子パンに向けて全力疾走し、うまく口にくわえてゴールするとうれしそうに笑顔を浮かべた。

 イベントは昨年雨で中止になった地域活性化イベント「MIULoveビーチフェスタin三浦海岸」に向けて発案したもので、同クラブでは「大人も子どもも大喜びで楽しめた。次回イベント時の開催につなげたい」としている。
関係者向けに初めて公開された旧三浦市福祉会館の内装

旧三浦市福祉会館 改修後の世界観、お披露目 地産パエリアの試食会も

 三浦市が売却した旧三浦市福祉会館の利活用を巡り、将来的に宿泊施設として利活用を目指す三浦地所(東京都)は19日、一部の内装を改修した施設を関係者向けに初めて公開した。地産食材を使った「三浦パエリア」の試食会も行われ、食を通じた地域活性化の可能性を共有した。

 旧三崎中学校や三浦市役所がある城山地区(約3・1ha)を利活用するプロジェクトの一環。市は22年1月に安田造船のグループ会社である同社と基本協定を締結。23年12月には同館や旧三崎中の一部など約2・3haが同社に売却された。

 同館は鉄筋コンクリート造3階建てで、公開されたのは元執務室だった3階部分。城ヶ島に面した高台にあり、眺望に恵まれている。ドーム型の天井にはシャンデリアが飾られ、中古ブランド家具を扱う同社グループのソファーやテーブルなど高級家具を配し、改修後の世界観を演出した。

 同社担当者によると、本格的な改修を見据え、今後県と協議を行っていくといい、オープン時期は決まっていない。

 この日は市議や市職員、自治会関係者など約50人が来場。都内と市内飲食店の計3店が考案したパエリアなどが振舞われ、来場者らが興味深そうに食べ比べていた。

横須賀市 教員の負担減へAI活用 自動採点や文章作成支援

 横須賀市は2025年度から市立学校に勤務する教職員の長時間勤務解消や教育の質向上に向け、期末テストの自動採点サービスや学級通信などの文章作成を支援する生成人工知能(AI)を導入する。

 市教育政策課によると、自動採点サービスは市立中学校と高校計24校で導入。予め模範解答を専用ソフトに登録し、回収した答案用紙を複合機で読み込むとAIが正誤を判定。記述式の問題は従来通り教員が採点する。正答率などのデータ解析も可能で、授業内容に生かすことができる。

 自動採点サービスの導入は藤沢市や秦野市などに続き県内4例目。24年度に中学校1校で実証実験を行ったところ、採点に要する時間が6割超削減できるなど一定の効果があったことから本格導入を決めた。

 文章作成支援の生成AIサービス導入は県内初で、養護学校や特別支援学校を含む全市立学校でスタートさせる。市が全庁で導入する生成AIと同様、プライバシー保護が必要な情報については使用できない。導入により月あたり2時間程度の作業時間の削減が見込めるという。

 同課は「業務改善を図ることで子どもと向き合う時間を十分に確保し、教育の質向上を図ることが期待できる」と説明している。

 市が過去に行った労務環境に関する教職員向けのアンケート調査では採点業務の負担軽減を求める声が多かったといい、市は教職員の働き方改革の推進として25年度当初予算案に約9300万円を計上した。

浦賀奉行所跡地 発掘調査を一般公開

 幕末に江戸湾の海防役を担った浦賀奉行所の跡地(西浦賀5丁目)の発掘調査を続けている横須賀市は3月1日(土)、調査の様子を一般公開する見学会を実施する。

 浦賀奉行所は伊豆・下田にあった奉行所が浦賀に移転され1720年に開設。江戸湾を出入りする船舶を検査する「船改め」や海難救助、地方役所としての仕事などを担い、江戸を防備する海防の最前線として、重要な役割を果たしていた。1966年頃から住友重機械工業株式会社の社宅として跡地が使われていたが、老朽化などを理由に2017年に更地の状態で市へ寄贈が行われた。以来、市は活用方法を模索してきた。

 今回は18・19年に続く3次調査。これまで陶磁器や瓦、当時の貨幣「寛永通宝」などが出土している。

 時間は午前11時から正午、午後1時から3時。申込不要で無料。雨天中止。当日の開催可否は市コールセンター【電話】046・822・4000。

博物館で物販や飲食 来月あにぷらまつり

 「動物(アニマル)や植物(プラント)と親しむ」をテーマにした「あにぷらまつり」が、3月9日(日)に観音崎自然博物館(鴨居4の1120)で開かれる。午前10時から午後3時。

 ハンドメイド作品や地元飲食店の飲食など40ブースが並ぶほか、火起こし教室やまき割り体験などアクティビティー体験もある。博物館入館料として大人600円。問い合わせは同館【電話】046・841・1533。

ピアノ奏者 徳永洋明生演奏とトーク

 ピアノ奏者の徳永洋明さんによる弾き語りコンサートが3月16日(日)、横須賀三浦教育会館(横須賀市日の出町3の19の16)の主催で開かれる。ゲストに歌手の徳永桃子さん(メゾソプラノ)を迎える。

 心に響く日本の歌・世界の歌と題して「初恋」「さくら貝の歌」「落葉松」ほかを届ける。

 会場は同会館で午後2時開演。入場料2000円で定員150人。

 チケットの販売・問い合わせは【電話】046・824・0683

甚行寺(横浜市神奈川区)

OGURIをあるく 〜小栗上野介をめぐる旅〜第36回 横浜編【3】文・写真 藤野浩章

「岩石でござるか。これは頼もしい」(第四章)



「栗本どのはグラン・マロン、小栗どのはプチ・マロンだと、公使は言っています」--こんなセリフが登場するように、神奈川宿(しゅく)で今も存在する甚行(じんぎょう)寺での仏公使ロッシュとの話し合いは良い雰囲気だったようだ。

 それはもちろん、栗本瀬兵衛(せへえ)が通訳カションを通じてロッシュとも懇意にしていたことに加え、小栗と栗本のタッグがあったことも大きい。ちなみにロッシュは仏語で「岩石」。それで冒頭のセリフが登場する。

 この交渉で仏側は建設に全面的に協力するという意向を示し、正式な回答は翌月に届いた。しかも具体的な検討が加えられ、最後に"利を好むより名誉を重んじ、貴国との信義を尊とぶ"ゆえに協力するとあった。

「理に叶(かな)った提案と思うがの。さすがお岩どのじゃ」と小栗は胸をなで下ろすが、フランスに下心が無かったわけではない。それは日本の生糸の独占だ。

 もちろん小栗らは分かっていて、他国の激しい横やりが入る事を見込んでのタフな交渉をしていたとも言える。とにもかくにも、仏側に日本人を見下すような意図は見られなかったのが、とかく武器を売りつけようとゴリ押しする英蘭との決定的な違いだった。

 さらに小栗は、小野友五郎を伴って仏海軍の軍艦に乗って詳細に検分するなど、慎重だった。感情に流されず、材料を集めて現実的に判断するのは、小栗の真骨頂だ。

 ところで、仏の回答に1人の人物の名が初登場する。フランソア・レオン・ヴェルニー。横須賀との長い付き合いの始まりだった。