八王子版【3月6日(木)号】
寄附受領式に出席した(右から)初宿市長、帝京大学の小林さん、今野准教授、八王子織物工業組合の樫崎理事長

八王子織物工業組合 桑都スゴロクを寄附 街の理解深め 小学校で活用へ

 八王子が「織物のまち」であることを楽しく学んでほしいと、八王子織物工業組合が2月21日、「桑都・八王子 クイズ・スゴロク」70枚を全市立小学校・義務教育学校へ寄附した。帝京大学経済学部観光経営学科の学生らが多くの人に織物産業への理解を深めてもらおうと制作したもので、今後、順次配布し活用していく。

 スゴロクは、縦72・8cm、横103cmのB1判。スタートからゴールまでの43マスのなかに、1584(天正12)年頃から現在までの、八王子のまちや織物産業の歴史が紹介されている。「?」のマスでとまるとクイズカードを1枚引き、答えるのがルール。マス目には「【江戸時代〜昭和時代】農業の合間に蚕を育て、生糸や織物を売っていた」「【1887(明治20)年】奮起した織物仲買商人が八王子織物染色講習所(後の東京府立織染学校)をつくる」などの文章と共に、当時を連想できる写真も掲載。スゴロクで遊びながらクイズに答えることで、織物産業がまちの発展とどう関わり合ってきたか理解を深められる内容となっている。

 21日に八王子市役所で行われた寄附受領式には、八王子織物工業組合の樫崎亮一理事長と帝京大学同学科の今野久子准教授、制作に携わった学生として小林美瑠さんらが市庁舎を訪れた。

 初宿和夫市長が制作で工夫した点や苦労した点を尋ねると、小林さんは、情報がたくさんある中でポイントを絞るのが大変だったことや、織物と街の発展の関わりの歴史を伝える視点を大事にしたと答えた。「つくりながら八王子の魅力を知ることができ、自分自身も興味がでてきた。いい経験だった」と小林さん。

 同大学の経済学部は、2023年に開催された「大学コンソーシアム八王子学生発表会」で、「日本遺産『桑都』と『織物』を生かす、持続可能なまちづくりの提案〜親子・学生との連携により『桑都』八王子への関心を深める試み〜」と題してプレゼンを行い、観光・まちづくり提案セッションで最優秀賞を受賞。提案した内容を継続して実施し、スゴロク制作はその一環として行われた。完成品を見た同組合が、学校に配ろうと提案し印刷。市教育委員会へ寄附した。

 今野准教授は「学生らは資料館に何度も足を運び、掲載写真などにもこだわった。なんとなく知っているけど詳しく知らない、という人にこそ遊んでほしい」と話している。

 市教委は各学校にスゴロクを配布し、PDFデータでも共有する。社会科の授業などで活用する予定。

SMBC賞に選ばれた七国スピリッツのメンバーたち=写真はいずれもチーム提供

七国スピリッツ 全国大会でSMBC賞 八王子勢 ベアーズも奮闘

 市内の小学生タグラグビーチーム「七国スピリッツ」と「いずみの森ユナイテッドベアーズ」が2月23日・24日に埼玉県で行われた「SMBCカップ第21回全国小学生タグラグビー大会」に東京代表として出場。七国スピリッツが「最も多くのトライを獲得した」チームに贈られるSMBC賞に唯一選ばれた。

 通常のラグビー競技からタックルなどの身体接触プレーを除き、子どもでも安全に取り組めるタグラグビー。だ円形のボールを持って走り、タグ(ひも)を取られないようにしながらトライ(得点)を目指すスポーツで、七国スピリッツは七国小やみなみ野君田小など、七国地域の児童らが集まり2009年に発足した。

 同チームは全国大会であるSMBCカップ本戦への出場を目指し、今年1月に行われた東京ブロック大会に参加。全勝で優勝し、2位通過した「いずみの森ユナイテッドベアーズ」と共に、東京代表として全国に駒を進めた。

 23・24日に埼玉県で行われた全国大会では、各ブロック大会の代表24チームと、三支部協会推薦の6チーム、計30チームがエントリー。6グループに分かれ総当たり戦を行った後、大会本部選定の1チームと交流戦を実施。計5戦が繰り広げられた。

4勝1引き分け

 優勝経験豊富な新田ウォーリアーズ(北関東代表)との引き分け以外、4勝を収めた七国スピリッツ。5勝したチームもあったが、総トライ数が評価され冠スポンサー名であるSMBC賞が贈られた。コーチでみなみ野君田小学校教諭の亀田慎也さんは、「(ウォーリアーズ相手に)気後れしない強い精神力とメンバー同士声かけしモチベーションを高められたことがよかったのでは」と分析。主軸となった6年生のなかには怪我で出場できなかった選手もいたが、「セットの早さなどを意識して上手くできた」「どのチームの人よりも声が出てたと思うし、ゲームの流れを持ってこれた」など、発足以来初となる同賞を喜んだ。

悔し涙ふいて

 同じく東京代表として出場したいずみの森ユナイテッドベアーズも奮闘。大会2日前に主力メンバーの1人が怪我をするというアクシデントに見舞われながら、補填メンバーが踏ん張り、2勝3敗となった。コーチの福田健一さんは「悔し涙を見せた子もいたが、みんな精一杯いいプレーをしていた」と選手たちを称えた。

60年以上の歴史を持つ八王子交通安全協会女性部会の部会長を務める 河田 裕子さん 犬目町在住 70歳

受け継がれる 安全のバトン

 ○…八王子から悲惨な交通事故を1件でもなくそうと活動する女性交通指導員の団体の7代目部会長。コロナ禍で延期になっていた創立60周年記念研修会を先ごろ東京たま未来メッセで開き、会員やOG、関連団体などが集まり節目を祝った。「皆さんとお祝いできたことが、うれしい。先輩方から受け継いだ心のバトンを次の世代につなげていきたい」と周囲への感謝と共に思いを語る。

 ○…八王子で生まれ育ち、結婚・出産を機に勤めていた銀行を退職して2人の子どもを育てた。子育てが落ち着いた頃、町会で「軽い気持ちで引き受けた」のが、現在まで続く交通指導員としての活動の始まり。「制服に威圧感を感じる人もいるので優しく笑顔で」を心がけ、登校の見守りや地域行事での交通整理、出前型交通安全教室などに取り組んできた。「交通事故は被害者と加害者、その身内も苦しむことになる。この地域からなくしていきたい」

 ○…女性部会では、子どもや高齢者にも交通ルールをわかりやすく伝える「指人形劇」を代々受け継いでおり、今年で35年目を迎える。自身も舞台に立ち、都代表の一人として交通安全指導者の全国講習会で披露した経験も。ほぼ見守る立場となった今は「若い人や新しいアイデアを取り入れながら続けてもらえれば」と期待する。一方で交通指導員の減少という課題もあり「各地区で少人数でもできることをしながら、一緒に活動してくれる人を増やしていきたい」と対策を練る。

 ○…和裁が得意で、指人形劇の幕や衣装を縫うことも。伝統文化にも関心があり八王子車人形や説経節を経て、三味線と端唄を嗜む。「自分の声で人形が一足動いた時の感動は忘れられない」。そうした経験を日々の活動に役立てている。

ピンクシャツでいじめ撲滅を訴え ビートレインズ ホーム2連勝

 東京八王子ビートレインズが3月1・2日、エスフォルタアリーナ八王子でヴィアティン三重と対戦。92―80、89―81と、2連勝を飾った。成績は18勝22敗で17クラブ中10位に。来場者数は2日間で3396人となり、目標の3万9000人達成まであと約3600人に迫っている。

 今節は、いじめ撲滅を掲げるピンクシャツデーとして行われ、お笑い芸人・麒麟の田村裕さんと大西ライオンさんが駆けつけた。2人は八王子市内の公立中学・義務教育学校の代表生徒約90人が参加するバスケ教室を一緒に楽しんだ後、いじめについて議論してきた「はちおうじっ子サミット」の成果報告を受け、子どもたちにメッセージを送った。

 田村さんは「芸人同士でも、いじりにも愛が必要やでって話す。いじめは1人で闘わず、みんなで立ち向かおう」と呼びかけた。大西さんは「いじめは本当によくない。いじめる方が絶対に悪い」と話した。また、田村さんに「いじりといじめの違い」について尋ねると、「すごく難しい問題だけど、いじりには2つ必要。愛と、いじられている人が得しているか。この視点を忘れないでほしい。いじるときには、いじりで注目されることが好きな子かどうかを知っておくこと。普段のコミュニケーションが大事」と答えた。

 試合開始前のオープニングには、代表生徒3人がサミット後の各校での取り組みや成果を発表。地域全体でいじめをなくす取り組みを加速する機会とした。

開眼供養を行う宗関寺の足利住職

氏照の供養塔、修繕完了 宗関寺が開眼供養

 破損していた北条氏照の供養塔と、その家臣の墓の修繕工事が完了し2月26日、管理する宗関寺の檀家や関係者らが集まり開眼供養が行われた。開眼供養とは、新しく用意した墓や位牌に行う魂を入れる仏教儀式。曹洞宗の青年部「一歩の会」から多摩地域近隣の僧侶8人と、宗関寺の足利崇昭住職が読経し、供養を行った。

 無事供養を終えた足利住職は「土台を頑丈にしていただいた。6月23日は八王子城が落城した日。ぜひ偲んでお参りしていただければ」と話していた。

 氏照は八王子城の城主として名をはせた人物。この供養塔と墓は、都の指定旧跡で日本遺産の構成文化財でもある。

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知れば怖くない、脳卒中
知れば怖くない、脳卒中
22日に市民向け講座
日本人の死因上位に入る「脳卒中」の最新情報が学べる市民公開講座が3月22日(土)、東京たま未来メッセで行われる。参加無料。テーマは「脳卒中急性期治療と回復期... (続きを読む)

医療通訳ボラ講座

 八王子国際協会が3月16日(日)、医療通訳ボランティア講座を開催。会場は八王子市学園都市センター第5セミナー室(オクトーレ12階)。医療通訳の注意点や基本知識、医療制度や病気について専門家から学ぶ。

 講師は医学博士や全国通訳案内士などの有資格者で国立がんセンター中央病院などでの勤務経験を持つ中村春木さん。

 講座は午後2時から4時まで。定員は40人で、参加費500円(協会会員は無料)。希望者はメールに▽医療通訳▽住所▽氏名▽電話番号▽通訳言語を記入しevent@hia855.comへ送信する。3月7日(金)締切。問い合わせは同協会【電話】042・642・7091。

見頃を迎え多くのハイカーが訪れる木下沢梅林=写真は昨年

寒波影響 開花遅め 高尾梅郷梅まつり 8・9日に

 裏高尾地域で3月8日(土)と9日(日)、恒例の「第46回高尾梅郷梅まつり」が行われる。今冬の冷え込みなどの影響で「全体的に開花が遅め」(同まつり実行委員会の山口義夫会長)で、「まつりは予定通り行うが、開花情報はホームページで定期的に更新しているので確認してほしい」と山口会長は話している。

特別開放の梅林も

 JR高尾駅から西に約5キロメートルほどのエリアに点在する8つの梅林。地元の町会などが60年ほど前から植樹を始め、今では高尾梅郷と呼ばれ約1万本の梅を目当てに毎年多くのハイカーが訪れる。

 8つの梅林は、関所梅林、遊歩道梅林、荒井梅林、天神梅林、木下沢梅林、湯の花梅林、するさし梅林、小仏梅林。どの梅林も自由に観梅できるが、中央自動車道沿いにある「木下沢梅林」と旧甲州街道沿いの「するさし梅林」は3月1日から16日(日)までの間だけ特別に開放されている。

 開花の時期に合わせ毎年行われている同まつりは、梅林内で模擬店や大道芸、地元中学校の吹奏楽部の生演奏などが楽しめる。

 各梅林に駐車場はなし。まつりについての問い合わせは実行委員会【電話】080・6758・1187。開花情報は市のホームページから。

色鮮やかな風呂敷で贈答品の包み方を実践する参加者ら

風呂敷で江戸の知恵学ぶ 「八王子桑都千景」、14日まで

 「江戸×SDGs」をテーマにした風呂敷講座ワークショップが3月1日、桑都テラスで行われ、約20人が参加。風呂敷を通じて江戸時代の衣食住に関する生活の工夫を学び、贈答品のほか、瓶やバッグの包み方にも挑戦した。

 母親と参加した山岸由美子さん(48)は、「風呂敷の応用編の使い方を知りたかったので面白かった。以前から興味があり本や動画を見ていたけど、実際に教えていただくのは違う。いい機会でした」と話した。

 この講座は、国内外からの観光誘客をめざし、甲州街道を中心に江戸情緒あふれる景観を創出するプロジェクト「八王子桑都千景」の一環として実施。期間中、街中はライトアップや藍色ののれんで彩られるほか、江戸から続く老舗店らが並ぶ「のれん市」がセレオ北館でスタート。たくさんの催しが予定されており、3月8日(土)には、切り絵体験ワークショップや八王子車人形トークショー&ステージなどが桑都テラスで開催される。詳細は公式サイトへ。

灯りに思いを託す

感謝の灯りともして 3月8日 肥沼医師の命日

 第二次大戦後のドイツで感染症から多くの命を救い、現地で亡くなった八王子市出身の肥沼(こえぬま)信次医師。その命日に合わせて感謝の灯りをともす「キャンドルナイト」が、3月8日(土)に西放射線ユーロード中町公園で催される。雨天中止。

 肥沼医師の遺徳を偲び、ドイツ・ヴリーツェン市との交流や偉業を広く伝えようと「Dr.肥沼の偉業を後世に伝える会」(塚本回子代表)が企画。キャンドルの灯りで肥沼氏への感謝を表す。点火は午後5時30分から7時まで。点火への参加は5時30分までに集合。問合せは塚本代表【電話】042・664・9539。

イベントに出演する法政大学落語研究会(通称ほちけん)の面々

子どもに刺激 落語絵本 中央図書館で読み聞かせ

 日本の伝統芸能である落語に親しむ読み聞かせイベントが3月9日(日)、八王子市中央図書館で行われる。参加費無料。

 主催は(一社)林家こん平事務所。落語には「物事の良い面を捉えるプラス思考や生きる知恵が溢れている」という考えの下、落語絵本を通じて「いのちの大切さ」を共有するのが目的。

 対象は子どもとその家族。古典落語で有名な「寿限無」を題材にした絵本を、同事務所の認定講師が臨場感たっぷりに披露する。また、法政大学落語研究会(通称ほちけん)も出演。大学生らも会場を盛り上げる。

 同事業に協力している中央図書館のスタッフは、「絵本の読み聞かせと銘打ってはいますが、プロの噺家の語りを間近で体感するまたとない機会ですので、落語や伝統芸能に触れたことのないお子様などぜひご参加ください」と呼びかける。

 時間は午前10時30分から11時15分。申し込み不要で当日先着40人。

 問い合わせは落語絵本読み聴かせ事務局【電話】0120・118・731(平日午後1時から3時)。

実験器具を使って薬の変化を確認(同社提供)

南大沢小 薬の働きや工夫を体感 全薬工業が出前授業

 地域資源を生かして子どもたちのキャリア教育の推進や郷土愛の醸成などにつなげようと、市立南大沢小学校(安田尚民校長)は今年度、学校周辺にある企業と連携した特別授業を展開している。2月12日には南大沢に研究開発センターを構える全薬工業株式会社の社員を学校に招いた授業を、6年生を対象に実施した。

 同校では今年度、南大沢の豊かな地域資源を生かして街づくりと学校づくりの連動を追究する「南大沢ブランディング教育構想」を立ち上げ、近隣の企業や大学などに連携を打診。CSRなどの観点からこれに賛同したJQA(日本品質保証機構)、ヤマザキ動物看護大学、東京都立大学と施設見学や出前授業などの連携を実現している。安田校長は「学校内や映像教材だけでは得られない説得力のある授業が実現し、きっと児童一人ひとりの心に残る。今後も連携の輪を広げていくとともに、学習成果の発表や発信に力を入れていきたい」と展望を語った。

製薬に興味津々

 この日は同センターから5人が南大沢小を訪れ、「薬の正しい使い方」をテーマに講義と実験を行った。児童らは薬の種類や働きについてクイズ形式を交えて楽しみながら学んだ後、成分が腸で溶けるように設計されている薬などの研究が同センターで行われていることを知った。

 また「薬をジュースで飲むとどうなるか」を確認する実験にも取り組み、胃薬に見立てた重曹を入れたジュースから泡があふれる様子に驚きの声を上げた。講師を務めた社員からは「薬を体の中できちんと働かせるためにも用法・用量を守って、水かぬるま湯で飲むようにしてほしい」と注意が呼びかけられた。社員から業務内容ややりがいなどについて話を聞く時間も設けられ、児童からは「安全な薬が販売されるまで10年以上もかかることがあると知って驚いた」「将来、自分も薬の開発をしたい」などの感想が出た。

 同社は「当初は施設見学を希望されていたが、研究施設のためノウハウのある出前授業という形で協力させてもらった。全薬グループでは次世代を担う子どもたちのキャリア教育支援に取り組んでおり、今後も近隣の学校などからの要望にできる範囲で応えていきたい」としている。

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本格的なコース料理でテーブルマナーを学んだ

中央LC 将来社会で役立つ経験を 児童養護施設の子ら招待

 児童養護施設の子どもたちが社会保険の知識やテーブルマナーなどを学ぶセミナーが2月23日、八日町の八王子エルシィで開かれた。社会に出た時に役立つ知識を身に着けてもらおうと奉仕団体の東京八王子中央ライオンズクラブ(谷合ひろよ会長、以降=中央LC)が企画し、裏高尾町の児童養護施設エス・オー・エスこどもの村で暮らす中学生と高校生から6人が参加した。

 こどもの村は、さまざまな事情で家族と暮らせなくなってしまった2歳から18歳までの子どもたちを預かり養育している。これまでLCからクリスマスにケーキが贈られるなどの交流はあったが、セミナーの実施は初めて。中央LCでは今年度、クラブ内に青少年育成委員会(飯村芳樹委員長)を新設して地域の子どもたちへの支援活動に力を入れており、セミナーはその一環で企画された。研修内容は施設側からの要望を聞き取り、職員が子どもらに伝えきれていない内容(ネットリテラシー、社会保険と身元保証、テーブルマナー)を盛り込んだ。

人生の糧に

 講師は中央LCで、それぞれのテーマに造詣の深い会員が務めた。企業コンサルタントが本業の飯村委員長は「自分の身を守るためにもルールを決めるなど、上手にネットと付き合って」とネット利用の注意点を語り、保険のしくみや保証人の注意点について説明した社会保険労務士の赤澤将さんは「今の延長線上に未来がある。今を頑張って」とエールを送った。エルシィの嶋田徳彦さんはコース料理のテーブルマナーを解説。「マナーの基本は、同席した人への気づかい。その上でこの空間と食事を楽しんで」と肩の力を抜くように呼びかけた。参加した子どもたちは慣れない作法にとまどいながらも終始、笑顔で料理に舌鼓を打った。また今春に施設を卒園し就職する高校生へ、中央LCから通勤用の自転車が贈られた。高校生は「これから大切に使いたいと思います」と頭を下げた。

 セミナー後、こどもの村の職員は「進学や就職などで社会と向き合う時、今日の経験がきっと役に立つ」と感謝を述べ、谷合会長は「こうした経験の積み重ねが自信につながり、子どもたちの人生の糧の一つになれば」と思いを語った。

日本記録を更新した田中選手(上写真)と樋口選手(主催者提供/西岡浩記撮影)

パラ・パワーリフティング 地元ゆかりの選手が日本新 八王子で選手権大会

 足などに障害がある選手がベンチプレスで持ち上げたバーベルの重さを競う「全日本パラ・パワーリフティング国際招待選手権大会」が、3月1日・2日、片倉町にある日本工学院八王子専門学校で開催された。大会では八王子出身の樋口健太郎選手(男子72kg級)、在住の田中秩加香選手(女子79kg級)が日本新記録を出した。

 今年10月にある世界選手権への派遣選考対象大会でもある同大会には国内トップクラスの選手と4カ国からの招待選手が出場。観客席からの「挙がるよ」「行け」などの声援を受けて、自らの限界に挑んだ。188kgを挙げた樋口選手は「ベストを狙った結果、日本新となった。世界選手権ではさらに上を目指す」、日本人女性初の100kgに成功した田中選手は「世界選手権ではさらに自己新記録を更新したい」と語った。

学生が協力

 運営には同校が全面協力。メインビジュアルやプロモーションビデオ、テーマ曲などを学生が提供し、選手の競技補助も行うなど、それぞれの専攻分野で大会を支えた。

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―連載小説・八王子空襲―キミ達の青い空 第18回 作者/前野 博

 (前回からのつづき)

 列の後方を見た。由江と村上が楽しそうに話しながら二人並んで歩いていた。キミの胸の辺りがキュッと締め付けられ、歌が止まってしまった。

 「お姉ちゃん、どうしたの?」

 えつ子がキミの顔を見上げていた。えつ子は、キミの手をしっかり握っている。キミのもう一方の手は、別の女の子が握っている。

 「何でもないわ。歌いましょう!」

 キミは、顔をえつ子に近づけ微笑んだ。

 「歌おう、お姉ちゃん!」

 えつ子の元気な声が響いた。恩方の方から、寺の鐘が聞こえてきた。夕焼けが空いっぱいに広がり始めていた。

 

6・キミの家

 キミはぐっすりと眠っていた。一階の洋品店のシャッターが下りる音がした。閉店の時間は午後八時だ。洋品店は全国展開している会社であったが、このところ営業成績の悪い不採算店の店を大分閉めているらしい。店長の大場さんは、この店に移ってきてから五年にはなるだろうか? 四十の半ば位になるのではないか、高校生と中学生の子どもがいるという。どうもシングルマザーらしい。

 「この通りも、最近人通りが少なくなりましたね」

 先日、出会った時、大場さんは言っていた。

 「いやあ、そうですかね!」

 隆は、空とぼけたような返事をしていたが、駅前通りの通行量の減少は、歩行量調査によっても明らかだった。大場さんの言葉が、この一週間、隆の頭にこびりついていた。一階の洋品店の賑やかさも以前ほどではなかった。客もおらず、店員が手持ちぶさたにぼんやりしている様子を何度となく、隆は見ていた。

 「八王子店の閉店撤退が決まりました」と、大場さんから言われる日が近づいているのだろうか? 次のテナントが見つかるまで時間も掛かるだろうし、その時は、家賃の値下げを要求されるのは目に見えている。近所の店舗賃貸の相場は、相当下がっている。〈続〉

◇このコーナーでは、揺籃社(追分町)から出版された前野博著「キミ達の青い空」を不定期連載しています。