多摩区・麻生区版【3月7日(金)号】
カラー化された市役所付近の焼け跡の写真(平和通りから市役所方面を撮影)=平和館提供

川崎市平和館 空襲戦災写真をカラー化 8日から記録展で公開

 川崎市平和館(中原区)では現在、川崎市市制100周年記念事業として「川崎大空襲」の戦災写真のカラー化プロジェクトを進めている。3月8日(土)から同館で開催される「戦後80年 川崎大空襲記録展〜戦時下の市民生活と川崎大空襲〜」で展示する予定だ。期間は5月6日(火)まで。

 1945年4月15日未明、米軍のB―29爆撃機が焼夷弾1万2748発(1072t)などを投下し、罹災者は10万人を超えた川崎大空襲。川崎市内の空襲による死者約1千人、負傷者約1万5千人の大半はこの空襲によるものだったという。

 川崎市平和館は、この「川崎大空襲」の記録と共に、「平和」と「戦争」の両面から考えてもらうきっかけにしてほしいと、毎年「川崎大空襲記録展」を開催。今年、同展で初めて企画されたのが戦災を写したカラー化写真の展示だ。

AIと体験者の証言で

 川崎大空襲のカラー化プロジェクトは、昨夏ごろにスタート。「10年前だとAI(人工知能)技術が今ほど進歩していない。10年後だと体験された方の証言が取れない可能性が高い。戦後80年、市制100周年の今だからできた」と北村憲司館長は企画の意図を語る。複数のソフトを用いて、AIで白黒写真を自動着色。空襲体験者で証言活動を行っている川崎区在住の小川一夫さん(96)の記憶や体験談をヒアリングしながら写真の色彩を補正して進めてきた。

 結果、今回カラー化された写真は計9枚。当時は戦局の悪化による配給制など軍事統制中だったこともあり、憲兵による監視などで市井の人たちが街中の写真を簡単に撮ることができなかった。そのため、空襲前後の川崎のまちを記録した写真はほとんどなく、あったとしても空襲で焼けてしまったこともあり、残された写真は希少だという。そうした数少ない空襲直後や終戦直後の写真の中から、市役所3階から明治産業(現在のソリッドスクエア)方面を撮影したものや、市役所付近の焼け跡、焼け跡に建つバラック小屋などの写真をカラー化した。

80年前をリアルに

 北村館長によると、カラー化を進める中で、空襲を避けるために白と赤茶色で偽装された市役所、防空壕を掘った際に湧き出た水をかき出した水で生えた緑の草など、AIの学習機能ではわかりえないことまで小川さんの証言で初めてわかったという。「人の思い、建物の被害状況など、よりリアルなものができた」と北村館長は今回の企画を振り返る。

 「80年前の大空襲は川崎市の100年の歩みの一つ。展示を見て記憶を継承してもらい、未来に向けて平和について考えるきっかけに。今、自分ができることを考えてもらう機会になれば」と北村館長は話している。

チラシを持つ板橋会長

麻生区文化協会 先端技術で伝統文化継承 40周年を記念し講演会

 麻生区文化協会は3月15日(土)、創立40周年を記念し「IT技術と映像文化」と題した講演会を麻生市民館で開催する。映像や照明システムのリーディングカンパニーをゲストに招き、バーチャルの世界などについて学ぶ。同協会の板橋洋一会長(70)は「伝統文化をつないでいくため、最先端の技術を活用していきたい。学びのきっかけになれば」と思いを語る。

 麻生区の文化活動の振興に寄与することを目的に1984年に創立した同協会。文化サロン、アカデミー、美術工芸、舞台芸能の4つの部に分かれ、現在は25団体、87人の個人が会員として名を連ねている。

新たな見せ方に期待

 同会は活動の中で、文化講演会を毎年実施している。今年度は創立40年を記念し、映像制作に関するサービス、バーチャル技術を提供するARRI Japan(株)代表取締役の朱嘉浩(カルロス・チュー)氏が講師として登壇する。

 今回、ゲストを決める中で「映像のまち・かわさき」推進フォーラムから同社を紹介され、講演会を行うことになった。板橋会長は「高齢化、後継者不足が課題と言われ、文化継承のためには今、重要視される知識を蓄える必要がある。新たな教養を深めるきっかけになれば」とテーマについて説明する。

 当日は同社の実践的な最新技術や事例紹介などを行う。板橋会長は「単なる合成ではなく、より自由なバーチャルスタジオを展開していくような技術を持っている」と目を輝かせる。

 一見相反するように見える伝統文化とIT技術だが、「伝統的な文化も映像とかけ合わせることで見せ方に幅が出ると思う」と板橋会長。「例えば、日本舞踊を桜吹雪や京都の映像をバックに舞うことで、より華やかに見せられる。伝統文化をつないでいくため、できることにはチャレンジしたい」と熱を込める。

広報に注力

 ほかにも40周年の記念事業として、記念誌制作やウェブサイトのリニューアルを行う。

 現在、会員手製のウェブサイトを活用しているが、会員から宣伝力強化を望む声をうけたことなどから、刷新し、3月中の開設を目指す。板橋会長は「子どもたちに情報を届ける方法として、既に効果が出ている。今後は活動の申込みをウェブサイト上で行うなどしていきたい」と話す。

 今後目指すのは、「時代に即した文化活動」。板橋会長は「多文化共生、国際化、環境問題。新たな考え方をマッチングさせながら、伝統文化を継承していく一助となれば」と展望を語った。

 講演会は3月15日、麻生市民館大会議室。午後2時30分から(2時開場)。入場無料、申込み先着150人。

 参加申込みは、氏名、連絡先を明記し、板橋会長【ファクス】042・738・8249、【メール】and28248@hotmail.com。

#かわさき推しメシでグランプリを受賞した「ブラッスリーほっぺ」のオーナー 大森 達也さん 幸区在住 60歳

「味は真心」から作る

 ○…「ブラッスリーほっぺ」では文字通りほっぺたが落ちるほどおいしい洋食と、心地よい音楽が楽しめる。「お腹いっぱい食べて、楽しい音楽を聴いて、また来たいと思ってほしい。盛りすぎちゃうのが玉にきずだけどね」と笑う。名物の「よくばりベーコンナポリタン」は今年、かわさき推しメシのグランプリを受賞。「以前準グランプリだったので、結果を求めた」と語るように見事栄冠に輝いた。

 ○…店名の「ブラッスリー」はフランスの「レストラン・ビストロ・ブラッスリー・カフェ」の等級の中の一つ。かしこまらずに気軽に来てほしいという願いが込められている。2010年にオープンし、今年で15年目。「ありきたりな言い方になるけど、やっぱり料理を作っておいしいと言ってもらえるのが一番かな」。奇抜なモヒカンと強面な見た目とは裏腹に、笑顔が印象的だ。

 ○…中原区市ノ坪出身。母が開いた定食屋の手伝いや弟の食事の面倒を見るうちに、いつしか料理の道へ。料理学校を卒業後、先輩のつてをたどって六本木のフレンチレストランに入ったのは20歳の時だった。その後いくつかのレストランを経て、地元川崎へ。この土地に根差し、地域の人に喜ばれる料理を提供したいとの思いから、洋食店を開いた。

 ○…クレイジーケンバンドの大ファンで、歴は20年以上。メンバーとの親交も深く、演奏をしに来てくれたり、ランチを食べに来ることもあるいう。「でも(横山)剣さんはまだだから、来てくれたら壁にでっかくサインを書いてもらうつもり」と冗談めかす。その壁には「味は真心」というモットーが掲げられている。フレンチで鍛えた料理の腕をふるって、今日も真心を込めた一皿を作る。

新たな寺子屋 多摩区栗谷に

 地域の小中学生に学習支援や体験活動などを提供する「地域の寺子屋事業」について、市教育委員会(市教委)は3月4日、錦ケ丘こども文化センター(多摩区栗谷)で、新規の寺子屋「まなてら」を開講した。

 実施団体はまなてら運営委員会。今後は毎週火曜日、主に南生田中生徒が利用する。時間は午後7時から8時30分。

 詳細・問い合わせは市教委【電話】044・200・1305。

グランプリ受賞者として演奏を披露した福富さん

かわさきピアノコン 入賞者が演奏で魅了

 昨年11月に本選が行われた「かわさきピアノコンクール」の入賞者によるコンサートが2月24日、カルッツかわさき(川崎区)で開かれ、グランプリに輝いた福富愛莉さん(23)=多摩区在住=ら24人が、観客の前で美しい旋律を奏でた。

 同コンクールは「音楽のまち・かわさき」から世界へ羽ばたく音楽家の発掘と育成を目的に3歳から一般までの8部門で行われている。4回目の今回は予選に全国から250人が参加。うち本選には132人が進んだ。

 入賞者コンサートには約150人が訪れた。全体の最高位を射止めた福富さんはブラームス『パガニーニの主題による変奏曲イ短調Op.35より第2巻』を演奏。入場者を魅了した。地元川崎での演奏を終え、福富さんは「温かい雰囲気の中で演奏できた」と笑顔を見せ、「今後は海外のコンクールなどにも挑戦してみたい。聴く人の心に寄り添えるような演奏ができるピアニストになりたい」と抱負を述べた。

 なお、同コンクールでは、第2位の神奈川県知事賞に富士見台小学校5年の堀唯人さん(宮前区)、第3位の川崎市長賞に東高津小学校3年の佐藤匠さん(高津区)が選ばれている。

両地区社協のメンバー

生田・柿生の地区社協 交流会を初開催 互いの運営手法など学ぶ

 多摩区生田地区と麻生区柿生地区の社会福祉協議会(社協)による交流会が2月21日、福祉パルあさおで開かれた。

 他地区の社協との情報交換により互いの良い点を学び、社会福祉の向上を図ることを目的として初めて実施された。

 会には17人が参加。約1時間半をかけて、互いの社協の概要や委員会活動などについて説明し合い、質疑応答も行った。

 生田地区社協の西尾信会長は「会の運営と活動内容を学ぶとともに意見交換と親睦を図れた。素晴らしい会ができた」、柿生地区社協の梅澤馨会長は「非常に有意義な時間だった。各部会ではさまざまな活動を行っていることが勉強になり、今後も会ができれば」と話していた。

麻生の健康、地域で守る 初開催の企画に100人超

 健康づくりイベント「あさお地域健幸フェスタ」が2月24日、麻生区五力田にあるスポーツクラブルネサンス五月台24で初めて開催され、100人超の地域住民が集まった。

 この企画は、「健康支援」をテーマに、麻生区役所、病院、施設、企業、団体が協力して行われたもの。同クラブの声がけで7団体が集まり、それぞれの特色を生かしたブースが設置された。

 当日は、ストレッチやサーフヨガ体験=写真=などの運動ができる企画に加え、体力測定やフレイルチェック、福祉や介護の相談ができる場も設けられた。禅寺丸柿のキャラクター・かきまるくんや、同クラブのマスコット・ルネくんたちも登場。子どもと共に体験を行う姿も見られた。

 同クラブの大庭広樹支配人は「麻生区に集う団体の健康支援への思いの強さを実感した。行動に移すことが大事だと思えた時間になった」と企画を振り返った。続けて「今後は地域課題をより明確にして、さらに多くの方の笑顔が見られるイベントにしたい」と展望を語った。
2025年度版の「はなもす」

多摩区観光協会 「はなもす」新版発行 ガイドブック 無料配布中

 多摩区観光ガイドブック「はなもす」の2025年度版が発行され、3月1日から多摩区内の公共施設などで配布されている。発行は多摩区観光協会(末吉一夫会長)。

 はなもすは区の木「ハナミズキ」「ナシ」と、区の花「モモ」「スミレ」の頭文字から名付けられた造語。多摩区にあるたくさんの魅力を「ぎゅっと凝縮する」という意味が込められている。

 巻頭では家族で楽しめるお出かけスポットを特集。区内の飲食店を紹介するたまグルメガイドは同誌提示で利用できるグルメ特典付。ほかにもまち歩きマップ「てくてくたま」や名産品、農産物など盛りだくさんの情報が掲載されている。「ぜひはなもすを持って、多摩区の魅力を楽しんでほしい」と担当者は話す。

 B5判カラー24頁。2万7千部発行で無料配布。多摩区役所総合案内や生田出張所、生田緑地東口ビジターセンターなどの公共施設に順次設置される。同協会のウェブサイトでも閲覧できる。

(問)多摩区地域振興課【電話】044・935・3132

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優勝を喜ぶ多摩署の柔道訓練員のメンバーら(多摩署提供)

多摩警察署 柔道で初優勝に輝く 力強く県制す

 多摩警察署(菅健司署長)は2月10日、神奈川県警察学校で行われた第58回「神奈川県警察柔道・剣道大会」の柔道の部(中規模署)で優勝を果たした。剣道では過去2回優勝経験があるが、柔道での優勝は同署初。

 試合には内田陽之さん(38)、松本幸之さん(34)、藤田真輝さん(25)、三木俊弥さん(36)、田添守さん(24)の5人が出場した。海老名署、磯子署、保土ケ谷署を破り迎えた青葉署との決勝。5人では勝負が決まらず代表戦で藤田さんが判定勝ちを収めた。

 松本さんは「プレッシャーもあったが力強い多摩署を見せられたことは誇らしい。今までやってきたことが良い結果になりうれしい」と笑顔を見せた。内田さんは「今後も、力を生かし安全・安心のまちを守っていきたい」と思いを話した。

フリマで福祉応援 3月末まで参加者募集

 地域密着、福祉参加型の「福祉応援!王禅寺フリーマーケット」が4月27日(日)、新百合ヶ丘駅南口マプレ専門店街遊歩道からペデストリアンデッキ一帯で開かれる。午前10時〜午後4時。同実行委員会は3月30日(日)まで出店者申込みを受付中。

 麻生区、麻生区柿生地区社会福祉協議会(社協)、東地区社協が後援。地域の福祉向上、交流拠点づくりを目的に開催されている=写真。

 募集は120区画。1区画3・6m×1・35mで出店寄付金は2千円。うち1千円が地区社協に寄付される。同フリマ公式サイト内の応募フォーム、麻生区役所企画課にある応募用紙から申込む(3月28日(金)締切)。(問)同実行委員会【メール】frm.ozenji@gmail.com

表彰を受けた児童ら

生田出張所新広場 愛称は「生田っ子広場」 児童から案募集

 生田出張所新広場(多摩区)の愛称がこのほど、「生田っ子広場」に決定した。

 かつて生田小学校の校舎が設置されていた同広場。「生田小学校下校庭」として親しまれていた。今年度からは、地域住民が活用できる場として生田出張所が整備、管理を行い、昨年6月から供用されている。

 広場と縁が深い同校児童から愛称候補を募り、中学年以上の各クラスから挙がった12案のうち5つを選出。約2カ月で多摩区在住、在勤、在学の人から1442票の投票が集まり553票を獲得した「生田っ子広場」が新たな愛称に選ばれた。

 2月26日、愛称案を考案した同校の児童12人が佐藤直樹多摩区長から表彰を受けた。新愛称を考案した臼井翔真さん(3年)は「生田小の子どもが昔から学んできた場所だからこの名前にした」と理由を語り、区担当者は「元々学校があったことを忘れず愛着を持ち続けてほしい」と話した。

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生田緑地で春のフェス 3月22日 入場無料

 春のお祭り「生田緑地スプリングフェスタ」が3月22日(土)、同緑地中央広場周辺などで開催される。午前9時30から午後4時。雨天の場合、縮小開催となる。入場無料。

 竹を使ったアーチや藍染め・草木などの装飾や展示が春の生田緑地を彩る。多摩区を拠点とする「ヒートアップ」のプロレス実演や、歌のステージ、ワークショップなどの多彩なプログラムが目白押しだ。イベント詳細は同緑地サイト。問い合わせは、同緑地東口ビジターセンター【電話】044・933・2300。

アルテリッカを先取り 特別講座 読者プレゼント

 新百合ヶ丘駅周辺を会場に、毎年4、5月にかけて、まちが一丸となって開催している「川崎・しんゆり芸術祭」(アルテリッカしんゆり)。「昭和100年」となる今年のテーマは「今、生きる昭和」。3月にはプレイベントとして、本祭に関連した2つの特別講座が新百合トウェンティワンホールで開催される。

 3月13日(木)は「ドリアン助川による『あん』と昭和の時代」と題した講座。28日(金)は「オペラ『ロメオとジュリエット』解説・演奏」で、いずれも午前10時から。

 共に自由席で1000円。詳細は同実行委員会事務局【電話】044・952・5024。

5組10人を招待

 本紙読者を各回5組10人ずつ招待。希望者は、住所、氏名、年齢、電話番号、紙面の感想を明記し、【メール】kawasaki@townnews.jp。13日分は3月10日(月)、28日分は18日(火)締切。当選発表は返信をもって。

ヒートアップ 最強かけ新百合で激突 読者15組30人を招待

 多摩区に道場があるプロレス団体・ヒートアップによる興行が4月5日(土)、麻生区の新百合21ホールで開催される。午後6時30分開始(5時30分開場)。

 2つのブロックに分かれ行われている灼熱王ヒートアップ最強決定リーグ戦。その決勝戦となる同興行では、熱戦を勝ち抜いた2選手がリング上で激突する。詳細は同団体のサイト。(問)【電話】044・712・4312

 読者15組30人を招待(指定席5千円分)。応募は住所、氏名、年齢、電話番号、本紙感想を記し、〒211―0042中原区下新城3の14の7タウンニュース社「ヒートアップ係」。メールは件名「観戦希望」で【メール】kawasaki@townnews.jp。3月17日(月)必着。当選発表はチケット発送をもって。

左から反町さん、伊早坂さん、市川功一さん(ジェクト(株)代表)、平松さん

全国都市緑化かわさきフェア 地元民のパワーを結集 市民3者が手を組み、奔走

 3月22日(土)から4月13日(日)に春開催を予定する、国内最大級の花と緑の祭典「全国都市緑化かわさきフェア」。富士見公園・等々力緑地・生田緑地を会場に現在、準備が進行中だが、この行催事を企画・運営するのが、緑化フェアを地域から盛り上げようと川崎市民3人が手を取り設立したTribute Kawasaki合弁会社だ。こうした大規模イベントは大手企業がプロポーザルで受託することも多いが、地元ネットワークを生かし奔走を続ける。

 中心となる3人は、トビラ(株)(中原区)代表の伊早坂遥さんと(株)カリヨン・カンパニー(高津区)代表の平松あずささん、NPO法人カワサキミュージックキャスト(中原区)理事長の反町充宏さん。普段、伊早坂さんはイベント企画・制作ほか、平松さんは音楽教室の運営、反町さんは音楽イベントの企画・制作などを各々手がけ、いずれも地域に密着した活動を続けている。

 3人が連携することになったのは昨春、委託事業者募集の市のプロポーザルを知った伊早坂さんが「川崎の住民で地元事業者でもある私たちが手を取り合うことで、より市民主体、総参加の催しにできないか」と、知り合いだった2人に声をかけたのがきっかけ。互いの信頼関係から急ピッチで会社を設立しプロポーザルに向け、地元民ならではのアイデアと機動力で企画案を練り受託に至った。ファイナンシャルマネジメントには建築・不動産事業等を行う中原区のジェクト(株)に協力を求め、大規模事業の財務アドバイスを得ながら遂行してきたという。

 「各メンバーが今までの活動で地域の人・団体と関係を築いており『ここはこの人に関わってほしい』という人がたくさんいた」という伊早坂さん。昨年に実施した秋会期でも、出演者はじめ、企画・運営・施工・運搬まで、地域の繋がりを生かし多くの市民の協力・参加を得られたという。

 春開催でも芸術家・岡本太郎の「母の塔」に映像を投影する「TARO Night」など、多彩な企画を予定する。

 3人は、「この春しか経験できない緑化フェアに、ぜひ来てください」と呼びかけた。

記念セレモニーでテープカットの後、写真撮影に応じる関係者ら=3月1日

巨人2軍新拠点が開業 Gタウン 稲城市矢野口に

 東京都稲城市矢野口に読売ジャイアンツ2軍の新球場「ジャイアンツタウンスタジアム」(通称・Gタウン)が完成し、3月1日に開業した。記念セレモニーでは巨人の阿部慎之助監督、桑田真澄2軍監督、駒田徳広3軍監督、小池百合子東京都知事、近隣市長、OBの堀内恒夫さん、原辰徳さん、高橋由伸さん、川崎市出身で巨人の女子チームに所属する田中美羽選手らによるテープカットなどが行われた。

 Gタウンは、読売ジャイアンツが整備を進めている複合施設「TOKYO GIANTS TOWN」(東京ジャイアンツタウン)の中核施設。巨人の2軍戦が開催されるほか女子チームや育成年代の活動、各種イベントなどに活用される。試合のない日は球場内の一部を一般開放するなど地域活性の場としての展開も見込まれる。中堅122m、両翼100mの人工芝球場で、計約2900席。2027年には水族館や飲食施設も併設される予定となっている。

 巨人軍に関しては、選手寮やこれまで2軍が本拠地としていた読売ジャイアンツ球場などの球団関連施設が、多摩区菅仙谷にある。

 なおGタウンの開業に伴い稲城市が整備を進めていた道路、稲城南多摩線が2月20日に開通。これにより多摩区・麻生区と稲城市・府中市を結ぶ交通利便性が向上した。

記念撮影をする現役選手と卒部生=チーム提供

少年野球宿河原ベアーズ 創部50周年祝う 選手と先輩の合同練習も

 今年、創部50周年を迎えた多摩区の少年野球チーム「宿河原ベアーズ」(鈴木良司代表、高塚竜大監督)が2月23日、式典などの記念事業を行った。

 午前中に、拠点としている稲田小学校で現役選手と卒部生28人が合同練習を行い、午後は多摩区の「ヒッコリーファーム登戸」で式典を開催。歴代監督やOBら約70人が集い周年を祝い合った。

 チームは1975年、「新明子供会野球部」として発足。部員減少による存続の危機も、広報などに工夫を凝らして乗り越え、現在は19人の部員が野球に励んでいる。

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市立川崎のオーストラリア留学の様子

市立高校「検証報告書」 専門学科や定時制に課題 市教委、「魅力化推進へ」

 川崎市教委はこのほど市立高校に関する「検証報告書」をまとめた。2026年度から私立高校の授業料無償化が確実となり、生徒争奪戦が予想される中、市教委は今後、「公立離れ対策」の議論を本格化させる。

 川崎市立高校が目指す方向性として、市教委は2003年に「川崎市立高等学校教育振興計画」を策定し、開かれた高校づくりなどに取り組んできた。さらに20年には「振興計画」を推進する約10年間の「第2次計画」を策定。24年度は「第2次計画」の中間にあたることから実施状況を検証のうえ、今年2月に「第2次計画検証報告書」をまとめた。

 報告書ではまず、14年に中高一貫校として開校した市立川崎高校・附属中学校について、計画で目指す「6年間を通した体系的な学び」が未達成と評価。今後は教育課程の見直しや柔軟な教員配置などを検討する。また「福祉科」や「総合電機科」など専門学科の定員割れが常態化しており、動画による情報発信など広く魅力を伝える取り組みを強化する。

定時制の需要が変化

 最も状況が厳しいのが定時制だ。従来の「勤労学生の夜間学校」としての需要がほぼなくなり、通信制人気にも押され、定員の1割や2割という学校もある。個別の支援が必要な生徒も多く、23年度には全生徒の約3割(延べ人数)に、学習面や福祉面での支援が必要なことが分かった。市教委の担当者は「一人一人の状況に応じた、きめ細やかなフォローが必要とされている」と語る。今後は時代の変化にあわせた学級編成や、個々のニーズに応じた学びの充実に取り組む方針を報告書に明記した。

 検討すべき「3つの方向性」として、【1】選ばれる高校づくり【2】生徒が学びを選べる高校づくり【3】適正配置や(学校や学級の)規模の検討、を掲げた。今後は報告書をもとに「新たな市立高等学校等改革構想」(仮称)を策定する。

 政府は高校生のいる世帯への就学支援金を巡り、今年4月から現行の支給額について所得制限を撤廃し、2026年度からは私立高校向けの加算支援金についても所得制限を撤廃する方針を固めた。公私とも授業料が無料化される見通しで、全国的な「公立離れ」が危惧される。

 市教委の担当者は「高校無償化の影響は現時点では分からないが、現状の課題解決に取り組み、市立高校の魅力化を進めていく」としている。

川崎市営バス

市バスの運転手不足 「未経験者枠」新設 ジョブ・リターン制度も

 市バスの運転手不足の解消を目指し、川崎市交通局は2025年度採用選考から、大型自動車二種免許の保有者でバス乗務経験がない人を対象とした「未経験者枠」と、育児や介護などで退職した人を再雇用する「ジョブ・リターン制度」を新設した。

 これまでの市バス運転手の採用選考では、経験者と未経験者を同じ枠で募集して試験を実施していたが、圧倒的に経験者の合格率が高かった。しかし市バス運転手の人手不足が恒常化、深刻化していることから、大型自動車二種免許を持つ未経験者のみの採用枠を設けることで、幅広く人材を募りたい考えだ。

 また、市バス運転手として5年以上勤務した人で、出産や育児、介護などで退職した人が対象の採用選考「ジョブ・リターン制度」も創設。スキルのある人材がライフステージに合わせて働ける環境整備を目指したという。

 市バスの運転手不足の影響で、昨年6月には「鷲ヶ峰営業所」管内の4区を走る7路線18系統の計144便を減便した。そのため人材確保が急務となった24年度の採用選考では、受験可能な年齢を「49歳以下」から「59歳以下」へと拡大し、選考に必要な日程を短縮し、教養試験を廃止した。その結果、前年度(62人)の2倍以上の169人の応募があった。

 市交通局の担当者は「多くの方に『市バス運転手』を職業の選択肢に加えて頂きたい。若い世代にも選ばれるよう、魅力づくりに努めていく」と話している。

 問い合わせは市交通局の庶務課職員係(【電話】044・200・3215)。

川崎市メルカリShopsの画面。「SOLD」の文字も目立つ

川崎市 メルカリで不用品販売 両袖机など計約520点

 川崎市は市役所庁舎の移転に伴い不要になった事務机などのリサイクルを進めるため、フリマサイト「メルカリ」での販売を始めた。2月18日に「メルカリShops」を開設し、課長級以上の管理職が使った両袖机や、更衣室のロッカーなどを出品している。

 2023年秋の市役所の庁舎移転に伴い、市職員約2600人分の事務机やロッカー、ソファーセットや書類ファイルなど、大量の什器や事務用品が不用となった。このうち約2700点を新庁舎や旧庁舎(現・第3庁舎)、交通局などが入る御幸ビルなどで再利用したうえで、約1500点を市内の区役所や公立学校、消防署など出先機関で転用。ソファーなどの什器約200点を、市内の町内会や自治会に譲渡した。

 そして今回、より幅広く再利用を呼びかけようと、(株)メルカリ(東京都港区)の協力のもと、庁内物品販売サイト「川崎市メルカリShops」を開設し、事務机やロッカーなどの什器約70点、書類ファイルや電話機などの消耗品約450点を出品。金額は未使用の磁気ファイル1000円から両袖机の18000円までと幅広い。

 このうち5000円から1万円前後で出品したソファーセットが完売。その一方で両袖机の動きが鈍いという。市の担当者は「本来なら4〜5万円するものだが、価格的にはお手頃だと思う」とアピールする。

 事務机やロッカーなどの什器類は第4庁舎(川崎区宮本町)で保管しており、落札後は現地での引き取りとなる。

川崎市役所

埼玉の道路陥没事故受け 川崎市 下水道管を緊急点検

 埼玉県八潮市での道路陥没事故を受け、川崎市は2月20日までに下水道の汚水管や合流管の緊急点検を実施した。対象となる施設とマンホールを点検した結果、道路陥没につながる不具合は確認されなかったという。

 八潮市の陥没事故では、複数の自治体にまたがる「流域下水道」が硫化水素の影響で腐食・破損したことが原因とみられる。そのため国土交通省は同様の「流域下水道」に関して、管理する都道府県に対して緊急点検を求める事務連絡を1月末に通達。川崎市は対象外だが、独自の調査を実施した。

 国交省の通達に準じ、市内に設置されている口径2千ミリ以上の汚水管約7Kmと合流管約31Kmを点検。計483カ所のマンホールを開けたうえで、地上からの目視に加え、地上から見えない箇所は作業員が下へ降りて目視で点検した。その結果、管の劣化は数カ所で確認されたが、陥没につながる腐食などは確認されなかったという。

 一方、2月15日の午後6時20分ごろ、川崎区大島3丁目の県道で、マンホールのふたと乗用車が接触する事故が起き、乗用車を運転していた男性と助手席に乗っていた女性が首に軽いけがをした。市の担当課によると、このマンホールは事故前日に点検を実施したが、点検時に異常はなかったという。