横須賀・三浦版【5月16日(金)号】
「目指すは優勝」と意気込む3年生

軟式野球若竹ライナー 投手三本柱で初代王者へ 新設のベイスターズ杯に出場

 横須賀市内の中学生を中心に構成される軟式野球のクラブチーム「若竹ライナー中等部」が、5月18日(日)に横浜スタジアムで開催される「第1回横浜DeNAベイスターズカップ 神奈川県中学軟式野球選手権大会」の決勝リーグに出場する。今年新設された大会。「初代王者」を目標に目下練習に励んでいる。

 同大会は、横浜DeNAベイスターズが主催。中学軟式野球部員が減少している課題などを受けて、横浜スタジアムで試合をする楽しさや喜びを感じてもらおうと、従来は硬式のみだったが、今年から軟式部門を新設した。

クラブ・部活動混合

 同大会には、県内中学軟式野球部とクラブチームを対象に、優秀な成績を収めてきた10チームが選出されていた。同部は、18チーム所属する「神奈川県中学生軟式野球クラブチームリーグ」の秋季大会優勝などの成績が評価され、出場が決定。今年2月に行われた予選で、慶應義塾湘南藤沢中等部(藤沢市)に勝利し、決勝リーグへの切符を掴んだ。

182cm左腕軸に

 同チームは例年、得点力のある強打線が特色だったが、今年は3人の投手を柱にした「守りからリズムをつくる」試合展開を得意とするスタイルに仕上がった。

 エースは182cmの大型左腕、コンリーケイデンさん(3年)。スライダーやカーブ、チェンジアップ、120キロ超えのストレートを巧みに操る。続く2・3番手はそれぞれ右腕の本格派と変則派。三者三様の投手陣の継投で相手打線を翻弄し、勝利をもぎ取ってきた。山下真彦監督は「3人の安定した投球だけでなく『打てるものなら打ってみろ』というガッツあふれる姿勢が強み。チームの士気向上にもつながっている」と分析する。

 同チームの部員は34人。土日に市内のグラウンドや中学校の校庭などを借りて練習に励んでいる。現在は、より実戦に近い形のケースを想定したメニューや練習試合を組み、調整している。

 主将の大柴海さん(3年・衣笠中)は、「積み重ねてきた練習の成果を出すだけ。今年はメンバー間の結束も強く一人ひとり個性がある。必ず初代王者に」と熱意を燃やしている。

 準決勝は午前10時から浜岳中学校(平塚市)と対戦する。勝利すると午後3時から決勝戦が予定されている。両試合、横浜スタジアムで行われる。観戦無料。

横須賀市全公立学校 答案採点にAI導入 DX化推進で教員の負担減

 横須賀市は、最新のデジタル技術を活用して教職員の業務効率を上げるDX化を教育現場に積極導入する。市では生成AIを全国の自治体に先駆けて業務に取り入れてきた実績があり、学校の仕事の中でも作業的な要素の強い校務に用いることで教職員の働き方改革につなげる。

  * * * *

 市教育委員会が策定している「教職員の働き方改革の方針(よこすかスクールスマイルプラン)」に基づく具体的な取り組み。市立学校の教員の時間外在校等時間(残業時間)を原則、月45時間、年360時間以内にするという目標を定めており、生成AIを用いることで業務負荷を軽減させる。これにより生じた時間を児童や生徒に向き合うことに振り向けていく。

 4月から運用を開始したのは、生成AIによる文書作成と答案用紙の自動採点の2つ。それぞれ民間事業者が教育現場に特化して開発したサービスを利用する。

 前者は学級通信や学年通信、保護者への案内物などの文書作成をテンプレート化することで、生成AIが不慣れな人でも利用しやすくしている。導入は神奈川県内で初。昨年度に試験運用した小・中学校各2校では、業務負担の半減につながった。教務全般の文書作成にも応用可能で小テスト案などに用いることができるという。

 後者は教職員の多くが負担を感じている答案用紙の採点を自動で行うシステムで、模範解答と生徒の答案をスキャンして照らし合わせる。自分の考えをまとめて答える記述式を除く、数字や記号、英単語などをAIが採点する。採点業務だけでなく、様々なデータの自動集計も可能で生徒の理解度や定着度を図るツールとしての利用も想定。授業改善にも役立ててもらう考えだ。昨年度に中学校1校で試験運用した結果、65%の業務削減の成果があった。こちらは県内19市のうち藤沢・秦野・海老名の3市で導入されている。

大津諏訪神社の創建1200年を祝う「御柱祭」の運営委員長を務める 長森 修さん 横須賀市公郷町在住 57歳

地域の一体感高める「御柱」

 ○…長野県の諏訪大社で古来より受け継がれている「御柱祭」を横須賀市大津で盛大に執り行う。何千人もの氏子たちが力を合わせて重さ数トンにもなる神木を運ぶ信州の伝統神事を大胆に持ち込んで、大津諏訪神社の創建1200年の節目を祝う。「曳子(ひきこ)たちが御柱を(神社境内に)建てるという一つの目的のためだけに地域の力を結集して綱を曳く」。11年前、大津の沿道に1万5千人を集めたプレ祭では若手を束ねるリーダーとして参画。今回は全体を切り盛りする代表として、あの時の熱気を再現させる。

 ○…信州の山林に何度も足を運び、長さ10m超の神木となるもみの木の伐採に立ち会うなど準備に時間と情熱を注いできた。発起人である宮司の体調不良により、開催自体が危ぶまれたが「地域の期待を裏切れない」と踏ん張った。総代世話人をはじめとする神輿会(諏訪十神連合)、町内会や観光協会との連携をより深め、1年の延長期間を経てなんとか実施に漕ぎつけた。

 ○…行動の原点は「地域愛」。大津諏訪神社とは、子どもの頃から祭りを通じて関わり続け「絆の確認や世代継承など、共同体としての価値観を自分の中で醸成してきた」。祭りは様々な意味や役割を内包しているが、「災害時などにふだんの近所づきあいが力を発揮する」。御柱祭もそのひとつであり、信頼関係や一体感を築くための装置とする考えだ。

 ○…土木工事を請け負う丸孝産業の代表。経営者としての忙しさがあっても「頼まれたことは断らない」という姿勢を貫く。11年前に境内に建てた下社(女性の神)の御柱の横に今回、上社(男性の神)の御柱を並べて「夫婦柱」にして祀る。大津の里に新たな歴史を刻む。

ポートマーケット 「横須賀朝市」通年で開催 屋外スペースに旬産品

 三浦半島の農水産物が揃う「いちご よこすかポートマーケット」(横須賀市新港町6)は5月24日(土)・25日(日)の両日、屋外スペースを活用して「横須賀朝市Morning Market」を初開催する。

 営業時間を1時間早めて、生産者が持ち込んだ旬の「よこすか野菜」=写真=や地元の海で獲れた海産物を直売する。軽食やハンドメイド作家による雑貨なども並ぶ。野菜の詰め放題などのチャレンジ企画も楽しめる。

 両日先着250人にサザエのつぼ焼きを無料で振る舞う特典もある。

 時間は両日、午前9時から正午。荒天中止。来年3月まで毎月実施する。飲食・物販を問わず出店者を募集している。

 詳細はよこすかポートマーケット【電話】046・823・1015。
協定を締結した上地市長(左)と青木代表

横須賀市 避難所に看護師 オンライン相談 全国初 民間企業と連携

 横須賀市は5月1日、看護サービスを提供する「遠隔みまもり看護株式会社」(福岡市・青木比登美代表)と大規模災害時、避難所にいる人にオンラインで健康状態などを確認する遠隔看護を行う防災協定を交わした。市によると全国初の取り組み。同日行われた会見で上地克明市長は「横須賀市の防災体制が強化され、市民のみなさまにより安全で安心できる環境の整備をまた一歩進められることができた」と協定の意義を強調した。

 「オンラインでつなぐ心と健康の見守りネットワーク」と題した今回の取り組みは災害初期、市立小中学校など69カ所の震災時避難所と同社に登録している全国の看護師や保健師、助産師をオンラインでつなぐもの。校内の教育用タブレット端末などでビデオ通話システムを使用し、治療や搬送の優先度を決めるトリアージや心身状態のサポートを行う。災害対策本部や保健所と問診結果を共有することで、保健師が避難所を巡回する際の事前準備や巡回する優先順位を効率的に決められるという。

 集積した情報は、クラウド上に保存、市や保健所に共有することで迅速な情報交換と効率的に人員を配置することが可能になる。資格は所有しているが勤務していない「潜在看護師」を活用する。

 同社は、2022年から23年まで鹿児島県からの委託で新型コロナウイルス感染症の宿泊療養施設入所者約1万4千人に対して、遠隔看護業務を行った実績がある。

<PR>
「水素が当たり前に活躍する世界へ」
青葉区の「リーダー」 Vol.1
「水素が当たり前に活躍する世界へ」
美しが丘 株式会社ドクターズ・マン代表取締役 橋本 総
創業20年。水素による健康器具の開発に心血を注いできた橋本代表。慶應義塾大学との共同研究では、数々の水素の効能を証明し、水素業界を牽引する存在だ。「水素が当たり... (続きを読む)

歴史講座 米ヶ浜砲台と東京湾要塞

 歴史サークル「三浦半島の文化を考える会」は6月14日(土)、横須賀中央エリアにある米ヶ濱砲台跡と東京湾要塞跡をテーマにした講座を開く。

 同砲台は明治20年代前半に整備された。大戦後は平和中央公園内に遺されていた。今回の講座では、2020年の改修工事の際に調査を行った元横須賀市職員の野内秀明さんが講師を務める。

 会場はヴェルクよこすか(横須賀市日の出町)第1会議室。午後1時30分から3時30分。参加費500円。定員50人。

 希望者は往復ハガキに郵便番号、住所、氏名、電話番号を記して、〒238-0035 横須賀市池上2の1の5 久保木実方 三浦半島の文化を考える会事務局。6月10日(火)締切。

講師を務めた山本会長

「小栗の功績広めたい」 大河ドラマに向け機運醸成

 2027年に放送されるNHK大河ドラマ「逆賊の幕臣」の主人公に決定している小栗上野介忠順(1827-68)。横須賀製鉄所の建設に尽力するなど、近代日本の礎を築いた偉人として再評価の機運が高まる中、市内ではその功績や人物像をより深く知ろうとする動きが活発化している。

 「要職に就き功績を残した小栗だが、すごく短気な人物だった」。5月10日に横須賀市大滝町で開かれた「小栗上野介について語る」と題した講演会で横須賀開国史研究会の山本詔一会長がそう話すと、会場に集まった約40人の参加者は興味深そうに耳を傾けた。

 小栗は1860年に日米修好通商条約批准書交換のため使節団として渡米。帰国後は外国奉行や勘定奉行などの要職を歴任し、横須賀製鉄所建設に携わった。

 軍政の改革やフランス語学校の設立など日本の近代化にも大きく貢献したが、大政奉還後は抗戦の構えを示し、失脚。隠居先の上野国権田村(現群馬県倉渕町)でとらえられ裁判を経ずに処刑され、明治新政府の成立後は「逆賊」のレッテルを貼られた。

 山本会長は「勝海舟や坂本龍馬、比較的著名な偉人に比べ、日の目を浴びてこなかったが、少しずつ見方が変わってきた」と期待を込める。

 講演会は緑ヶ丘学院後援会の主催。教育機関の後援会として、小栗のような市にゆかりのある歴史の普及や同会の活動を知ってもらおうと昨年から実施している。

変化球で打者をかわす投球スタイル。甲子園のマウンドで持ち味を披露(=同校軟式野球部提供)

三浦学苑出口選手 甲子園の土踏んだ軟式球児

 高校球児の夢舞台である甲子園球場のグラウンドに、三浦学苑高校軟式野球部の出口未來選手(3年)が立った。5月5日に初めて開かれた「全国高校軟式野球選手権大会70回記念 春の軟式交流試合in甲子園」に東日本選抜チームのメンバーとして出場。先発のマウンドを堂々と務めた。

 少子化の影響を受けて加盟校と部員の減少に直面している高校軟式野球部の復権をめざして企画された新しい試み。昨秋の関東大会の優勝投手である出口選手は2回戦・準決勝、決勝を無失点で抑えた結果などが評価され、東西で25人ずつ選抜されたチームの一員に招聘された。

 高校進学時に私学の硬式野球部から誘いを受けるほどの名選手だったが、「飛距離の出ない軟式ボールは、力ではなく技で相手と勝負できる」と軟式野球部のある三浦学苑を選択。独自のプレイスタイルに磨きをかけてきた。

 高校軟式野球の頂点は、毎年夏に兵庫県明石市の明石トーカロ球場で開かれる全国大会。三浦学苑はここ数年、あと一歩のところで出場を逃しており、出口選手もチームメイトと”最後の夏”を強く意識して練習に励む日々を送っている。そうした中で得た想像だにしなかった機会。「嬉しさに震えた」と本人。硬式野球部の部員らから羨ましがられたという。

 合同練習と試合を通じて全国のトップレベルの選手と交流を図った出口選手。春季大会で関東大会出場を決めているなどチームも本人も上り調子。最高到達点をめざして「夏まで一気に駆け抜ける」と力を込めた。

<PR>
『Amazonギフト券1,000円分』など読者プレゼントはこちら
『Amazonギフト券1,000円分』など読者プレゼントはこちら
メール版タウンニュース、タウンニュース for LINEの読者それぞれ毎月15名様に抽選で『Amazonギフト券1,000円分』をプレゼントします。ギフト券の進... (続きを読む)

多種多様な展示や演奏 三浦市勤労市民センでフェス

 三浦市勤労市民センター(天神町4の19)で「第38回勤労市民センターフェスティバル2025」と題したイベントが5月17日(土)・18日(日)に開かれる。日頃、同センターで趣味やサークル活動をしている団体などの活動発表や展示がある。両日午前10時から午後3時。

 コーラスやオカリナの演奏、盆踊りなどの多種多様な活動団体の発表(17日)に加え、民謡や新舞踊、フラダンスなどの舞台もある(18日)。書道やいけばな、着物の着付け、アート作品などの展示は両日行われる。そのほか焼き菓子やコーヒーなどの販売も。

 2日目のオープニングでは、三浦出身のジャズ・ブルースシンガー「ブル松原」さんがジャズの演奏を行うほか、神奈川みなみ医療生協三浦診療所による医療相談コーナーも設けられる。

 詳細など問い合わせは同センター【電話】046・881・3766。

2024年大会のグランプリ受賞者「シゲオリアン流星群」

ロック魂を響かせる 4組出演のフリーライブ

 40歳以上のメンバーを含むバンド・アーティストのコンテスト「MIND ROCK AWARD 2025」のオープニングイベントが6月1日(日)、横須賀市大滝町のライブハウスレストラン「ヤンガー・ザン・イエスタディ」で開かれる。昨年のグランプリ受賞バンドのシゲオリアン流星群、ISAMIKAWAMURA、極楽ドルチェ、そうざんす!の4組が出演する。午後3時開演で入場無料。

 同コンテストは2023年にスタート。全国から200組を超えるアーティストの応募があるなど国内最大級の規模を誇る。3回目を数える今年の募集は、当日の会場で発表される。

 詳細は市文化スポーツ観光部企画課【電話】046・822・9884。

花見にマルシェに大道芸 しょうぶ園で5月18日

 横須賀市阿部倉の横須賀しょうぶ園では5月18日(日)、マルシェや大道芸が楽しめるイベントが開かれる。寒川町で小売業、サービス業を営んでいる有志で構成された任意団体「寒川にぎわいマルシェ実行委員会」の主催。午前9時から午後4時。荒天中止。

 園内ではキッチンカーをはじめ、似顔絵作成、メダカの販売、中国ゴマやギターの弾き語りなどのパフォーマンスも行われるなど、多種多様な催しがある。

 目玉の一つとして、同園管理棟2階ホールでは、日本と台湾を拠点に10年以上活動するマジシャン「Crystal Magician (C)Michel」によるマジックショーも行われる(午前10時30分・午後2時から)。各公演定員90人。当日受付もしくは事前予約。参加費大人1千円(高校生以下500円)。

 詳細は同園HPを確認する。入園料は6月まで大人320円、小中学生100円。

<PR>
【LINE読者限定プレゼント】
【LINE読者限定プレゼント】
毎月15名様に抽選で『Amazonギフト券1,000円分』をプレゼント!ギフト券以外のプレゼントもあるかも!是非チェックしてみてください。 (続きを読む)

地域課題としての不登校 まちぐるみで考える講習会

 不登校やひきこもり者の支援を行っているNPO法人アンガージュマン・よこすかと横須賀市は6月15日(日)、不登校の課題を当事者とその家族だけでなく、まちぐるみで考える講習会を開く。

 演題は「北風と太陽と不登校のはなし」。父親の立場から不登校を捉えて情報を発信しているコピーライターの蓑田雅之氏を講師に迎える。同NPO法人代表の島田徳隆氏とのトークセッションもある。参加無料。

 会場は久里浜コミュニティセンター3階集会室。時間は午後1時30分から3時。対象は横須賀市内在住・在勤・在学の人。先着80人。

 申し込みは横須賀市コールセンター【電話】046・822・4000。

落語で知る「東京大空襲」

 戦争の惨禍と尊い犠牲があったことを風化させないことを目的とした「戦争犠牲者を慰め平和を祈念する集い」が5月18日(日)、横須賀市の主催で開かれる。

 戦後80年となる今年は特別企画として、「落語で知る東京大空襲」と題した公演を行う。落語家の柳家さん八さんが、家族や親戚、師匠から聞いた空襲の様子を題材にした新作落語を演じる。

 会場は横須賀市文化会館大ホール(深田台50)で入場自由。追悼式典は午前10時30分から11時30分、落語公演は11時45分から0時25分。問い合わせは市民生局地域支援部 市民生活課【電話】046・822・8212。

わたしのまちでいきる きょうだいの想い 編 【1】兄から見たうららの成長「一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛」

 この連載では、障がいを持って生まれたうららの兄、蓮から見た妹の姿やきょうだい児として感じてきたことなど、さまざまなエピソードを紹介します。

 皆様はじめまして。(一社)sukasuka―ippo代表・五本木愛の息子、蓮です。これまでの連載を読んで下さった方はご存じかと思いますが、妹のうららは「アンジェルマン症候群」という遺伝子疾患をもって生まれました。

 「話すことや走ることは難しい」。診断時の主治医の言葉です。それが今では簡単な言葉、歩くこと、箸を器用に持つこと。あの日そう告げられた妹は見違えるほど成長しました。それは妹自身の努力であり、一緒に暮らしてきた私たちの葛藤の成果とも言えます。

 これからは私から見た妹の姿を「言葉として誰かに届けたい」。そう思い、母との連載執筆を決意しました。私が残していく思い・考えは全て私の主観であり、決して障がい児をきょうだいとして持つ全ての人に当てはまる事ではありません。どうぞよろしくお願い致します。

* * * * *

 数年に渡り、様々な経験、考えをコラムとして執筆してきましたが、今回からは蓮が見て、感じてきたきょうだい児としての生い立ち、そしてうららや家族への想い、それに対しての母の想い等を交互にお伝えしていきます。母としても、うららのきょうだい達の思いを全てわかっていたわけではありません。障害があると分かった時、一緒に過ごしてきた毎日にどんな思いを抱いてきたのか・・・私自身も息子の執筆を楽しみにしています!(五本木愛)

-次回に続く

永嶋家長屋門(横須賀市佐野)

OGURIをあるく 〜小栗上野介をめぐる旅〜第46回 横須賀編【11】文・写真 藤野浩章

 小栗はなぜ4度目となる勘定奉行を引き受けたのだろうか。

 今回のオファーが、2回目となる長州征伐費用の捻出にあることは分かっていたが、前回は彼の意見を取り入れず長州藩に寛大な処分をしてしまった。それゆえ、本来の小栗ならば「やっていられない」として断るか、費用のメドをつけてすぐ辞めたかもしれない。

 しかし今回は、結果として勘定奉行という重職で幕府の終焉を見届けることになるのだ。

"就任を断れば、「要らぬ造船所などで大金を費やすから、戦もできぬ」と陰口を叩かれるのは目に見えている。財政家としての自負がそれを許す

筈(はず)はなく"と、作者の大島は小栗の心の内を推察するが、やはり横須賀製鉄所の存在が、困難に立ち向かわせる大きな要素になったのだろう。

 そう、彼はあくまでも「幕臣」であり続けた。幕府は日本そのものであって、その未来のために身を賭けることは当然の事だったのだ。

 そんな小栗にとって一つの区切りとなる瞬間がやってきた。1865(慶應元)年9月27日、ついに横須賀製鉄所の鍬(くわ)入れ(起工)式が行われたのだ。この日は西洋暦だと11月15日。現在、横須賀市の「ヴェルニー小栗祭」が行われるのはこの日が由来だ。

 横須賀中央駅から衣笠駅行きのバスに乗り、約10分。佐野四丁目バス停からすぐのところにあるのが「永嶋家長屋門」。小栗たちは地元・公郷(くごう)村の名主(なぬし)である永嶋家と、聖ヨゼフ病院近くの良長(りょうちょう)院に分宿してから式典に出席したという。

 過酷な日々の中で迎えた、希望の日。小栗はここで、いったいどんな夢を見たのだろうか。