宮前区版【5月23日(金)号】
くす玉を割って50周年を祝った

菅生こども文化センター 地域と歩み50年 記念イベントに800人

 創立50周年を迎えた菅生こども文化センター(運営 NPO法人あかい屋根・阿部克義理事長=人物風土記で紹介=)で5月11日、記念イベントが開催された。市内唯一、地域住民の要望によって設立されたこども文化センターということもあり、開館当時からの利用者や元職員など約800人が来場。シンボルとなっている歌を合唱するなど、半世紀の節目を祝った。

 昭和40年代前半、公害問題から子どもを守り、自然の中で育てようと多くの人々が菅生地区に移り住んだ。当時は、近隣に図書館や映画館といった文化施設がなく、最寄りの繁華街まではバスで1時間ほど。こうした背景から、住民らは「子どもたちに豊かな文化を」と、児童厚生施設であるこども文化センターの建設を市に長年要望。その熱意が行政を動かし、1975(昭和50)年5月17日、菅生こども文化センターが開所された。

 自然に囲まれ、子どもたちの成長・発達を支援する拠点に加え、コーラスグループをはじめとする大人たちのサークル活動や市民活動の拠点としても親しまれてきた。

センターの歌 大合唱

 50周年記念イベントでは、シンボルとして歌い継がれてきた「菅生こども文化センターの歌」を、地元の菅生中学校吹奏楽部の伴奏で大合唱した。この歌は、開館当時に小学4年生だった博多義之さんが作曲し、母のすみ江さんが作詞したもの。会場には博多さん親子も駆けつけ、開館当時を知る利用者やその保護者らと共に、世代を超えて歌声を響かせた。

 また館内には、地域住民から寄せられた写真約200枚を展示するフォトコーナーも設置。開館日の様子や、長年続く恒例行事のキャンプで遊ぶ子どもたちの姿などを収めた写真が並び、来場者は当時を懐かしみながら思い出話に花を咲かせていた。

 初代職員で館長も務めた針山直幸さん(76)は、「今でも当時のことは鮮明に思い出せます。地域の方々の協力があってこそ、これほど長く親しまれる施設になった」と感慨深げに語った。

月末に記念キャンプ

 同センターでは5月31日(土)、50周年記念事業の一環として、恒例行事のキャンプにちなみ「キャンプファイヤー」(申込制・午後6時〜8時)を企画。また同日、思い出話に花を咲かせてほしいと「菅生こぶんを語る会」(参加自由・午後3時〜6時)も開催する

 仁平一洋館長は、「子どもも大人も楽しめる企画を用意している。ぜひ多くの方に参加してほしい」と呼びかけている。

「オートステップ」が装備された新車両と庄司会長ら

県営野川南台団地 新型「みらい号」お披露目 地域の足が2代目に

 県営野川南台団地自治会が運営するコミュニティバス「みらい号」の新型車両の出発式が5月17日、野川南台団地集会所で行われた。庄司幹夫会長は「地域の足として欠かせないものになっている。これからも協力して維持していきたい」と話す。

 高台に位置する同団地は、入居者の高齢化が進む一方で、周辺には店舗や医療施設が少ないため、日常生活に必要な移動手段の確保が課題となっていた。2005年には協議会を発足し、自治会と行政との協働によるコミュニティ交通の導入の検討を開始。みらい号は、試行期間を経て2008年に本格運行をスタート。現在は週3回、同団地集会所、ヨークマート川崎野川店、ダイワサイクル川崎野川店、セブン─イレブン川崎高津野川店を周回し、団地集会所に戻ってくる。

 車両購入費などは川崎市が補助。運行に係る経費は、自治会費や募金、企業からの寄付などで賄っている。道路運送法の許可を要しない運行で、運転は自治会のボランティアが担う。約17年間で延べ16万人超が利用。走行距離は約9万Kmとなっていた。

 式典には齋藤正孝区長も駆け付け、「地域の方々のこれまでのご尽力に敬意を表する。末永く運行できるよう、行政としても協力していきたい」とあいさつ。関係者とテープカットの後、運行ルートを試乗した。

 2代目は、これまで同様の10人乗りのワゴン車だ。これまでは、停留所ごとに踏み台を置いていたが、新型車では「オートステップ」を装備して運転手の負担を軽減。てすりやビューモニターなどの機能も加わった。

 庄司会長は「高齢化が進む地域に欠かせない存在となったが、老朽化による故障の心配があった。新型車が納車されたので『みらい』に向けて取り組んでいきたい」と話した。

管生こども文化センターを運営するNPO法人あかい屋根の理事長を務める 阿部 克義さん 管生在勤 57歳

「みんな笑顔に」を胸に

 ○…50年前、小学2年生の時に菅生こども文化センターが開所した。毎日のように遊びに通い、4年生の時に始まったキャンプ「わんぱく生活学校」に夢中になった。「ここで働きたい」との思いを胸に、高校卒業後は市役所に入庁。幸区のこども文化センターなどに勤務したが、4年前、早期退職を申し出て運営管理をしているNPO法人あかい屋根に再就職し、センター職員になる夢を叶えた。

 ○…一人っ子だったこともあり、センターに集うさまざまな学年の子どもたちとの触れ合いが楽しかったという。キャンプではボランティアで参加していた大学生の頼りがいのある姿に憧れ、中学生になると「リーダー」という役割で、下級生の面倒を見たり、センターの催しや祭事を積極的に手伝うようになった。「家や学校ではできない体験をいっぱいした。コミュニケーション能力や人を支える気持ちなど、経験したことは、その後の人生や役立っている」と振り返る。

 ○…菅生幼稚園、菅生小学校、菅生中学校と進み、生まれも育ちも生粋の地元っ子。小学生から野球を始め、プロ選手を夢見たが、高1の夏、同い年で元プロ野球選手、桑田真澄さんと清原和博さんが甲子園で活躍する姿をみて、「レベルが違い夢を諦めた」と笑う。当時は「金八先生」を見れば教師に、「太陽にほえろ」を見れば刑事に憧れた。「私にとっては、センターの職員も同じ憧れの的だった」

 ○…25歳になる一人息子も大学生までリーダーを務めた。「同じ思いを持ってくれたようでうれしい」と目を細める。運営の目標は「みんな笑顔に」。「つらい思いや悲しい思いして何かを成し遂げた時の楽しさや喜びを伝えていければ」と意気込んだ。

向丘出張所でフレイル予防

 健康講座「フレイルについて〜解説編〜」が6月9日(月)、向丘出張所で開かれる。午前11時から正午(10時45分から受付)。参加は無料で予約不要。主催はつばめプロジェクト運営委員会。

 講座では、加齢によって心身が衰えた状態にある「フレイル」の予防や対策について地元クリニックの看護師が説明。簡単な体操も行う。

 参加は動きやすい服装で。飲み物やタオルは持参する。予約は不要。

 問い合わせは内田さん【携帯電話】090・8171・3297(受付時間は平日午前10時〜午後4時)。

会場の國學院大學たまプラーザグラウンド

東急SレイエスFC サッカー大会を定期開催 東急沿線の小学生を募集

 東急スポーツシステム(株)が運営するフットボールクラブ「東急SレイエスFC」と東急電鉄(株)は共同で、東急線沿線の小学生を対象としたサッカー大会「東急電鉄のるるんカップ」を今年6月から定期的に開催すると発表した。

 同大会は、東急(株)が今年2月に立ち上げた「子育て・学生応援東急スクラムプロジェクト」の一環。子どもたちが地域とのつながりを感じつつ、サッカーを通じて楽しみながら成長できる場を提供することを目的としている。

 第1回大会は6月14日(土)に國學院大學たまプラーザグラウンドで開催され、小学校3・4年生が募集対象となる。以降、9月27日(土)に1・2年生が対象の第2回大会、11月2日(日)に5・6年生が対象の第3回大会を開催。26年1月11日(日)に4・5年生が対象の第4回大会が二子玉川区民運動施設にて開かれる予定だ。

参加無料

 参加費は無料。参加を希望するチームは、東急SレイエスFCのホームページから申し込みが可能(抽選制)。第1回大会の参加申込締切は5月29日(木)まで。第2回大会以降の参加申し込みは8月上旬以降に順次受付開始予定となっている。

 大会では、参加チームの選手にオリジナルデザインの「東急線キッズパス」やたまプラーザテラスのお買物券が贈呈されるほか、東急SレイエスFCアカデミーチームの選手との交流機会も設けられる予定。

 大会担当者の佐野友也さんは「東急電鉄様をはじめ、さまざまな企業の方のサポートのおかげで大会を開催することができる。競技力の向上、チーム強化はもちろん、『東急沿線で活動していて良かった』と選手、コーチ、保護者の方に感じてもらえるような大会にしたい。ご参加お待ちしております」と大会への意気込みを語った。

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三味線団体の演奏

市民館拠点団体が一堂に 活動の成果披露

 宮前市民館を拠点に活動する団体の祭典「みやまえJAM」が5月17、18日の両日、同館で開催された。宮前市民サークル連絡会(高橋智彦代表)が主催し23回目。

 今回は、フラダンスやコーラス、朗読、仏彫刻、絵手紙など28団体・約500人が参加し、大ホールや会議室などで日ごろの活動の成果を披露した。メインイベントとなった洗足学園音楽大学の学生によるオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」の上演には、多くの観客が訪れた。

 小山流師範として津軽三味線の普及に努めている小山貢永さん(南平台在住)は、「津軽三味線を楽しむ会haru」の代表として初参加し、幹事としてイベント運営にも携わった。「とても楽しかった。多くの方に来てもらえるよう、今後も取り組んでいきたい」と話した。

 みやまえJAMは、「じゃんじゃん(J)、あつまって(A)、まなびあう(M)」を合言葉に、市民公開講座参加者たちの発表の場としてスタートしたイベント。現在は、同館を拠点とするサークルが一堂に会する交流の場としても定着している。

寄付金を受け取った山田さん(右)と高橋会長

川崎鷺沼RC 子ども食堂を支援 活動資金を寄付

 奉仕活動団体の川崎鷺沼ロータリークラブ(RC・高橋悟会長)は5月14日、市内で子ども食堂を運営する「ホッとスペース・和」(山田千鶴代表)に運営資金として10万円を寄付した。同日、クラブ定例会に山田代表を招いて卓話が行われ、その後、寄付金が手渡された。

 ホッとスペース・和は2021年から活動を開始し、月に2回、蔵敷自治会館と稗原団地自治会館の2カ所で子ども食堂を開いている。卓話の中で山田代表は、いじめや虐待といった子どもの社会課題に対し予防的な役割を担うとの考えから、子ども子育て支援やコミュニティーづくりを柱に活動していると説明。子ども食堂の現状や活動理念についても語った。

 山田代表は「誰にとっても安心できる居場所として地域に根づいていくことが目標。大変有り難い機会をいただき、支援を有効に活用していきたい」と感謝の言葉を述べた。高橋会長は「最近、若い人の犯罪を耳にし、悲しく嫌な気持ちになる。子ども食堂のような空間が提供されることは意義深いこと。ロータリーとしても支援していきたい」と語った。
収穫体験する子ども

「農業と畜産の祭典」盛況 等々力緑地に多くの人出

 川崎市内の農業と畜産の魅力を発信するイベントが5月18日、等々力緑地で開催された。主催はJAセレサ川崎と川崎市からなる、かわさき農業フェスタ実行委員会。

 半世紀にわたり親しまれてきた「花と緑の市民フェア」が体験型イベント「かわさき農業フェスタ」に生まれ変わった。会場には多くの親子の姿が見られ、市内産の農産物「かわさきそだち」の販売や収穫体験、イチゴ釣りなどを楽しむ子どもたちの歓声が聞かれた。同時開催された「川崎市畜産まつり」では、羊の毛刈り体験やポニーの乗馬、搾乳疑似体験などが行われた。

 JAの担当者は「組合員と一体となって川崎の農業の魅力を発信できた。地域の皆さまに川崎の農業を身近な存在として感じていただき、私たちの活動が未来の農業を支える基盤となればうれしい」と話した。

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川崎市長選 10月26日投開票に

 川崎市選挙管理委員会は5月12日、任期満了に伴う川崎市長選挙を、10月12日(日)告示、26日(日)投開票の日程で行うことを決定し、同日発表した。

 福田紀彦市長は今年11月18日に任期満了を迎える。2021年10月31日に行われた前回の市長選は、衆議院議員総選挙と同日選となった。前回の投票率は57・66%で、前回比5・36ポイント増だった。宮前区1(宮前区のうち神木本町1〜5丁目を除く)は52・50%、宮前区2(神木本町1〜5丁目)は51・34%だった。

 川崎市の選挙人名簿登録者数は3月3日現在で127万1896人。宮前区は19万3501人。

ロビーコンサート 5月27日 区役所で

 「みやまえロビーコンサート」が5月27日(火)、宮前区役所2階ロビーで開かれる。時間は正午から(午前11時30分入場開始予定)。観覧無料。

 区役所を訪れた人が、昼休みの時間帯をうるおいある楽しい時間として過ごしてもらおうと、毎月開かれているコンサート。今回が368回目となる。

 当日は、川崎市出身でバイオリニストの神山里梨さんとピアニストの廣田響子さんが出演。ベートーベンやパガニーニなどの名曲を披露する。

 問い合わせは区地域振興課【電話】044・856・3134。

いのちの電話 収益を活動費に 6月1日 チャリティー寄席

 社会福祉法人川崎いのちの電話主催のチャリティー寄席「柳家三三独演会」が6月1日(日)、エポックなかはら(川崎市総合福祉センター)で開催される。午後1時30分開演(開場0時30分)。

 三三さんのほか、鈴々舎美馬さん、柳家ひろ馬さん、桂小すみさん(俗曲)、森本規子さん(三味線)が出演する。チケットは郵便振込、チケットぴあ(Pコード530693)で販売中。木戸銭は、3500円(当日4000円)で全席自由となる。

 自殺予防の電話相談を担う同法人は、365日24時間休みなく悩める相談者からの電話を受け続けている。イベントの収益は活動にあてられる。

 問い合わせは、同事務局【電話】044・722・7121(平日午前10時から午後5時まで)。

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自身の体験を語る吉田さん

戦後80年 戦禍の記憶【3】 中原区在住 吉田 恵美子さん(86) 6歳で感じた「死」の恐怖 「今でもサツマイモが嫌い」

 元住吉は田んぼや畑が広がり、春には菜の花が一面に咲き渡る、のどかな場所だった。幸いにも焼け野原になることはなく、死線を越えるような経験はない。それでも戦争は、当時6歳の少女に今もなお消えることのない傷痕を残している。

 まず食べるものがなかった。セリやナズナといった野草を摘んで、食事の足しにした。ご飯の中には、サツマイモの種芋が入っていたこともあった。「子どもながらに状況を理解して、我慢して食べた。でも種芋がまずくてね、今でもサツマイモが嫌いで食べないんです」

 小学1年生だった、1945年。空襲警報のサイレンが鳴り響くと、学校から夢中で走って帰った。低空飛行をしている飛行機の羽に「B29」と書いてあるのが見えたことも。電球に黒い布がかぶせてあったせいで、家の中はいつも薄暗かった。庭には父が作った地下防空壕があり、サイレンが鳴ると近所の家族と一緒に入った。

 隣のおばさんと、その息子のお兄さんにはよく可愛がってもらった。だが戦争が激しくなってきたある日、お兄さんは出征することになった。日の丸の小旗を持って記念写真を撮ったのもつかの間、お兄さんは国防色(カーキ色)の軍服に帽子をかぶり、肩から名前の書かれたたすきをかけて、元気に出征していった。「それが最後の姿。今もお兄さんは帰ってきていない」と声を震わせる。おばさんは生前、事あるごとに「もし生きていたら」と口にし、息子のいる生活を想像していたという。

 一度、夜中に綱島街道の方に焼夷弾が落ちたらしく、夜空が真っ赤に染まったことがあった。家の前の道は大勢の人々でごった返しており、みな頭には防空頭巾、手にはいろいろなものを持って、井田山の方へ逃げていた。母としっかり手をつないで、農家の竹やぶに逃げたが、目の前の井田山はすさまじい勢いで燃えている。その時、子ども心に死を感じ、母のそばで「お母さん死んじゃいやー」と震えながら叫んだ。

 あれから80年。これほどの月日が流れても、人間が戦争を止める兆しはない。「一番かわいそうなのは子どもたち。戦争ほど愚かなことはない」と涙し、遠い海の向こうに思いをはせた。

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今年で戦後80年。体験者が年々減少し、戦争の記憶が風化しつつある。当事者の記憶を後世に残すとともに平和の意義について考える。不定期で連載。

DV問題の専門家に聞く 「警察以外」も環境整備を

 川崎区で起きた女性遺棄事件では、被害女性が川崎臨港署(川崎区)にたびたび相談していたことが分かっているが、ストーカーやDV問題の専門家は、「警察以外」の相談先の重要性を指摘する。市内の相談・支援体制は万全だろうか。

適切な相談先に

 DV被害者などを支援する民間団体の全国組織、NPO法人「全国女性シェルターネット」(本部・東京都)の共同代表・北仲千里さんは、今回の事件の教訓として、「ストーカー規制法の範囲で動く警察の対応能力にも限りがある。被害当事者が適切な相談先につながれる環境整備の重要性を、改めて感じた」と語る。

 「配偶者暴力防止法(DV防止法)」は、配偶者や同棲しているパートナーからの暴力に関する相談や保護などの体制を整備することで、被害者の安全確保を目指している。

 今回の事件は捜査中のため不明な点が多いが、北仲さんの経験上、交際相手を「犯罪者」にするための刑事手続きを自己決定できる当事者は、「決して多くない」という。そのため相談先を警察に限定せず、DV問題を専門とする支援者から客観的な助言を得たり、一時保護施設への避難を勧められたりすることで、「命を守る選択肢がぐっと広がる」と北仲さんは語る。

民間の対応能力

 川崎市では電話相談窓口「川崎市DV相談支援センター」で、配偶者や同棲中のパートナーからの暴力行為に関する相談を受け付けている。相談者が希望する場合、神奈川県と連携のうえ女性相談支援センターや民間施設での一時保護も可能だが、保護中は安全確保のため携帯電話が利用できず職場にも行けなくなるなど制限が多く、一時保護に至らないケースも多いという。実際、2023年度は878件の相談があり、一時保護の件数は32件だった。

 一方で、北仲さんは「神奈川特有の課題」も指摘する。県全体で「DV問題に関する民間の対応能力が弱まりつつある」というのだ。

 DV被害の支援現場では、緊急性が高いと判断される場合に被害者のもとに駆け付け、そのまま保護する場面もあり、多くの都道府県で民間団体も対応している。ところが相談から保護判断までの一連の対応を行政に一本化した「神奈川方式」の導入以後、民間が対応する機会が減少した。「神奈川では、警察の担当窓口すら知らない団体も少なくない」と北仲さん。「DV被害で最悪の事態を防ぐためには、官民の分け隔てなく、迅速かつ柔軟に対応できる支援者育成が必要だと思う」と話している。

(上)白米が並ぶ小島米店。中央が小島さん(下)小島米店のカラの玄米容器

止まらないコメ価格高騰 市内の消費者を直撃 米穀店主「問題は夏」

 コメ価格の高騰が止まらない。コメの調達に奔走する米穀店や、米を探して複数のスーパーを「はしご」する消費者もいる。市内の影響を取材した。

 5月16日の朝、小島米店(多摩区)の店頭には5kg入りの白米5種類がびっしり並んでいた。数日前まで数袋だったが、卸売業者から2日前に入荷し、前日夕方に並べたばかりという。

 同店では創業時からこだわりの玄米をその場で精米して販売してきたが、コメ価格高騰の影響で玄米が手に入りにくいため、卸売業者から白米を仕入れ始めた。平時なら複数の銘柄を取り揃えているという玄米の容器は、カラのものもある。

 代表取締役の小島晃さん(71)は、「こんなことは初めてだが、お客さんも困り果てている。『スーパーを何軒回ってもコメがない』と、初めてうちに来る人もいる」。実際、取材中も続々と来客があった。

 女性の常連客は白米が並ぶ棚を見るなり「いっぱいある!」と声を上げ、5kgを一袋買い求めた。さらに「来週分を1袋、キープで」。2人の娘が食欲旺盛のため、月に2回は同店でコメを購入するといい、「見通しが立つことはありがたい」と話していた。

 各地の生産者からもコメを仕入れている小島さんは「そもそも国の生産調整の失敗だ」と憤る。「生産量が増えなくては解決しない。問題はコメが切れる夏。去年はパニックだった」

増える善意の支援

 市立小中学校の給食については、コメを含む物価高騰の傾向を見越して2025年度から価格改定したため、市の担当者は「今のところ問題ない」と説明する。

 市内の子ども食堂等約75カ所が参加するNPO法人「かわさきこども食堂ネットワーク」の佐藤由加里理事長は、「物価高騰の報道があると善意の支援も増える傾向がある。参加団体から『寄付があり助かった』という声も聞かれ、ありがたい」。同ネットワークでは昨年度に寄付されたコメ計1・4tを、公平に配布してきた。「今後もネットワークに届く寄付は、寄付者の意向を確認しながら公平に配布していく」と話している。

川崎市役所

治療後の生活支援 川崎市 アピアランスケア助成 がん以外の疾病も

 川崎市は6月から、がんなど病気の治療の過程で生じた外見の変化に対する「アピアランスケア」への助成金交付を開始する。がん以外の病気にも適用する。

 アピアランス(外見)ケアは、抗がん剤治療の副作用でおきる脱毛や、乳がんの手術による乳房の切除など、がん治療等に伴う外見の変化に対する医療者のケアとして、国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)の外見関連患者支援チーム(現・アピアランス支援センター)が取り組み始めた患者サポート。

 ウィッグや胸部補整具のほか、化粧品など日用品での生活支援、皮膚科や形成外科との連携など、各地で様々な支援が広がっている。

 6月から市が始める助成の対象は、がん治療中またはがん治療を経験した人か、健康保険の保険給付対象となる傷病や先天的な疾患の治療をした人で、いずれも申請時点で川崎市に住民登録があり、治療による外見の変化を補う装具類を購入、またはレンタルした人。今年4月1日以降に購入またはレンタルした【1】ウィッグやウィッグ着用時のネット、【2】胸部の補整下着やエピテーゼ(人工乳房)などに対し、3万円を上限に助成する。

 申請者が18歳以上の場合は【1】【2】について各1回ずつ助成するが、18歳未満の場合は【1】【2】とも18歳に達するまで年度ごとに助成を受けられる。がん以外の傷病や疾患の場合、アピアランスケアの必要性を証明する医師の「意見書」が申請時に必要となる。

 神奈川県の概算では、市内には約9千人のがん患者がいるとみられる。市の担当者は「がんは治る病気になりつつあり、回復して社会生活に戻る方々が増えている。先行自治体の動向も踏まえて導入した」としている。

 問い合わせは市地域包括ケア推進室専門支援担当【電話】044・200・3801。

GO!GO!!フロンターレ

niko and...(ニコ アンド)とコラボグッズ販売

 サッカーJ1・川崎フロンターレは、ファッションからインテリアまで幅広く扱うniko and...と、コラボグッズを販売している。

 同グッズはniko and...のデザイナーが実際にフロンターレの試合を観戦し、サポーターの熱気やスタジアムの空気感から着想を得て、デザインを手がけたもの。試合の興奮や一体感を感じられるグッズがそろった。

 Tシャツには、表にさりげなくクラブロゴを配置し、袖に同クラブが掲げる「12の価値観(12VALUES)」をプリント。日常でもスタジアムでも着られる、トレンド感とクラブ愛が共存したデザインだ。カラーはブラックとオフホワイトの2色、サイズはS〜Lまでを用意している。

 ほかにもトートバッグやタオルマフラー、キーホルダー、ネックピース、ドリンクカップホルダーなど全9種。オフィシャルショップ「アズーロ・ネロ」や同ウェブショップ、U等々力のスタジアム売店で購入することができる。

 詳細・問い合わせは同ショップ【電話】044・767・6111。