多摩区・麻生区版【6月20日(金)号】
普段、探求活動などを行っている生物室で渡米の意気込みを語る科学部の部員

生田高校科学部 研究成果 米国で発表 平瀬川の水質 代々調査

 県立生田高校(多摩区長沢)の科学部に在籍する5人の生徒が、7月中旬に米国・アラスカ州へ渡航し、アラスカ大学で開かれるGLOBE国際会議で、研究の成果を英語で発表する。歴代の科学部員によって受け継がれてきた生田高校の研究が世界に示される。

 GLOBEは、環境意識の啓発や地球学習、理数教育の推進などを目的に観測・情報交換を行う、学校を基礎とした国際的なプログラム。同校は、地域の環境を測定・報告する「GLOBE指定校」に2015年から選ばれており、学校の近隣を流れる平瀬川の水質調査を続けている。

 今回、過去10年間の平瀬川の水質データと世界中の河川データを比較するなどした「地域河川・平瀬川の水質調査に関する研究」の論文が米国にあるGLOBE本部に高く評価され、アラスカ大学で開かれるGLOBE国際会議で発表する機会を得た。現地では研究発表のほか、アラスカの昆虫を調べるフィールドワークや、大学教授、関係者らと交流する機会も設けられる予定。部長の亀山紘一さん(2年)は「貴重な機会。発表だけでなくコミュニケーションもとれるよう、準備していきたい」と話す。

 発表にあたっては提出した論文をまとめたものを使用し、英語で行う。亀山さんは「しっかり練習してベストを尽くしたい。生田高校が世界に通じるんだと伝えてきたい」と抱負を述べる。渡米する他の部員も「日本の自然の美しさを海外の人に伝えたい」「人生に役立てたい」「海外で友人を作りたい」と意気込みは十分。顧問の根津玲子教諭は「一生にあるかないかの経験。1分1秒をむだにせず体験してほしい」と期待を込める。

 今回の渡米について野田麻由美校長は「現在のカリキュラムには過去に設置されていた自然科学コースから続く生物観察会などが残る。そうした科学的分野の教育土台と歴代科学部員の10年にわたる調査の継続があることも成果に大きく寄与している」とし、「日本を代表するという思いで世界を見てきてほしい」と部員にエールを送る。

 加えて、先輩たちも部員の背中を押す。同校の同窓会は、物価高騰の影響を受けて値上がりする渡航費などを援助しようと、クラウドファンディング(ネットを介した資金調達)の特設ページ(https://ikuta-d.com/lp/science2025/)を立ち上げた。6月30日まで支援を募っている。

失敗しても笑顔

 科学部は1年から3年まで16人が在籍。日々、生物の生息調査や光合成など自分が関心のある研究テーマに沿って探究活動を行っている。1年生で唯一渡米に参加する稲垣颯大さんは「入学前の学校見学で部活を見て楽しそうだった」と語る。

 平瀬川の調査は毎週木曜日。橋の上から紐を付けたバケツを川面に下ろし水をくみ、持ち帰ってpH値や窒素濃度、鉄などを調べる。部員は「バケツの角度を工夫しないと水がくめない」「試薬を入れる前にゼロ調整(基準値をゼロに合わせる)するのを忘れた」など苦労話や失敗談も笑顔で話す。「自由な部活。GLOBEのテーマで行う研究もありスキルが磨けている」と亀山さん。根津教諭は「研究の好きな生徒が集まっている。みんなまじめで積極的」と目を細める。

会場となっている葬儀式場の入口に立つ吉澤さん(右)と吉澤企画社員の多田総太郎さん

多摩区有志食料無償配布 地域で支えて50回 学生から対象広げ

 経済的な理由などから生活が困窮する人たちに対して、無料で食料配布を行う有志による取り組み「多摩区応援プロジェクト」が、6月29日(日)の実施で50回目となる。発足メンバーの一人で、(株)吉澤企画代表の吉澤隆さん(56)は「地域で困っている人の声があるならば、今後も続けていきたい」と話す。

 この取り組みは、地元企業や団体7者が連携して、フードバンクなどから食品の提供を受け、コロナ禍で経済的に影響を受けた学生に対して食料を無償配布する「多摩区学生食料支援プロジェクト」として、2021年2月19日に第1回が始まった。その後、コロナ禍が落ち着きを見せてくると、配布の対象をひとり親世帯などの一般の人たちにも広げ、活動を継続してきた。利用者数は、これまでに延べ約4千人にのぼるという。

 毎月最終日曜日の午前中に1時間程度、事前に申し込みをした人(先着100人)に対し、コメや缶詰、菓子、即席麺、レトルト食品などを多摩区登戸新町にある葬儀式場「家族葬ホールのぼりと」で配布。食料の受け取りや運搬、会場設営や配布などの運営は地域のボランティアに支えられて続けられ、6月29日で50回目を迎えることとなった。

定点で続ける意味

 「学生支援というところから形を変えここまでよく続けてこられた」。多摩区を拠点に葬祭事業を営み、第1回から会場として同ホールを提供している吉澤さんは活動を振り返り、「求める声があれば今後も続けていきたい」と語る。活動の中で協力してくれるスタッフが減少したり、入れ替わったりすることもあり「ボランティア活動の難しさを知った」。有志に向け、根気強く支援や協力を呼びかけるなど、「続けるための工夫は大事だ」と話す。同じく立ち上げメンバーである「(株)貴方の側で」の片桐真樹代表や「(株)ENBRIDGE」の大津慎一郎代表らの熱意が、継続を支える原動力となってきたという。

 「同じ場所で続けることで単発的な活動ではできない接点が生まれる。また、支援を必要とする人にもさまざまな背景があることに気づくことができる」と吉澤さん。「そこに、定点で開催する意味がある」と続ける。今後は、SNSやメールを使わない人に対する情報の伝達や、食料を運ぶ手段のない人への支援方法などを模索していきたい考えだ。

 50回目の受付は終了しているが、51回目も予定通り実施する方向。開催情報などはSNSなどで発信している。食料支援を希望する人は専用のフォームから申し込む。

 詳細・問い合わせは事務局【メール】tamakugakuseisyokuryousienn@gmail.com。

第60回神奈川県看護賞を受賞した 中澤 美奈子さん 麻生区上麻生在住 65歳

人を育て、安心生み出す

 ○…県内で看護師などの業務に励み、顕著な業績をあげた人を表彰する神奈川県看護賞を受賞した。現在は川崎みどりの病院とたま日吉台病院で看護部長を務める。看護師や介護職の育成に長年尽力し、人事評価などの仕組みづくりも進めてきた。外国人雇用も推進。安定した人材確保につなげている。中国などに赴き採用活動を担うほか、働きやすい環境を作り、キャリアアップを支援。「人を育てることが楽しい。好きなことで今回評価されたことがうれしい」と笑顔を見せる。

 ○…群馬県生まれ。小中時代はガールスカウトの活動でボランティアに励み、人の役に立つ喜びを感じた。がんを患った祖父が痛みに耐える中、優しく声をかけ、背中をさすっていた看護師。その姿が進路選択のときにありありと浮かび、聖マリアンナ医科大学看護専門学校に進んだ。

 ○…結婚後は子育てに専念し、仕事を離れた。子どもが小学校に入学すると、時間に余裕が生まれ、看護の道で活躍する友人がまぶしく見えた。約8年間のブランクがあり「現場に戻るのは不安だった」。勤務先では、その時の自身の不安を思い出しながら、仲間と共に看護師の復職支援プログラムを整備した。ナースコールが鳴る前に、患者の元へ向かう。そのために、とことん相手のことを知ろうと心掛けてきた。「あなたがそこにいてくれて良かった」。何度も出合ったその言葉。経験だけではなく、やりがいのある仕事の魅力を後輩に伝えている。

 ○…趣味はウオーキング。直近は四国を巡るお遍路旅にも挑戦した。出会う人や食を存分に楽しむ。「今しかできないことをやりながら、老いを楽しみたい」と笑う。そんな人生観は、患者と深く接することで育まれたのかもしれない。

会場に展示された作品

麻生いけばな協会 6流派の作品華やかに

 「花あそびオーパ 麻生いけばな協会花展」が6月13日から15日までの3日間、新百合丘オーパで開催され、多くの人が作品を鑑賞して楽しんだ。

 麻生いけばな協会の主催で、18回目。麻生区文化協会の協賛で2年に一度、同会場で開催している。6流派の師範とその生徒延べ29人が、華やかな作品を展示した。

 同協会の長澤順子会長は「オーパは多くの世代の人が通る。普段の会場ではあまり見ない若い男性なども足を止めてくれることも多く、うれしい」と笑顔を見せた。

市、人権相談を受付中 専門員が対応

 川崎市は不当な差別、いじめ、嫌がらせなど人権侵害が疑われる相談に専門員が応じる「かわさき人権相談」を開設中。インターネット上の誹謗中傷に対しても丁寧に対応。内容によっては適切な相談機関を紹介する。

 費用は無料で秘密厳守。「安心してご相談下さい」と担当者。電話またはウェブで受付。平日(月〜金)8時30分〜正午、13時〜17時15分。祝日・年末年始を除く。【電話】044・200・2359(面談希望者は事前に予約)。ウェブは専用フォームから相談内容を入力。回答までに数日から1週間程度かかる。

麻生区文化協会 俳句を募集

 麻生区文化協会は、10月18日(土)に麻生文化センターで開催される「麻生区文化祭第三十七回俳句大会」の投句を受け付けている。

 募集は未発表の作品で2句一組。何組でも可。投句料は一組1千円(切手は不可)。麻生市民館などに置いてある所定の用紙に楷書で記入し、郵便番号・住所・氏名・電話番号を併記の上、投句料を添えて、〒215-0004 麻生区万福寺1の5の2麻生文化センター内麻生区文化協会アカデミー部・横川はっこうさん宛に郵送。7月31日(木)締切(消印有効)。

 選者による審査で、市長賞をはじめ20位ほどが表彰される。詳細は横川さん【携帯電話】090・1700・9853。

千葉署長や各社の代表、税務署関係者ら

川崎西税務署 税務広報協力者に感謝状 大型ビジョンで税務PR

 川崎西税務署(千葉隆史署長)は6月12日、同署で、「感謝のことば贈呈式」と題し、税務広報に協力した4事業者に感謝状を贈呈した。

 昨年1月から同署の広報大使を務めるプロレスリング・ヒートアップ(株)に加え、今回感謝状を贈られたのは、銀座ふれ愛パーク(株)、(有)大堂、(有)ヨシザワの3社。これらの企業は、各社が所有する向ヶ丘遊園駅や登戸駅前の大型ビジョンに、「税を考える週間」「絵はがき・税の標語」「確定申告」「キャッシュレス納付」などの動画を放映し、税務広報に多大な貢献をしたとされた。

 千葉署長は「いずれのビジョンも立地の良い場所にあり、多くの人の目につく。末永くご協力いただければうれしい」と謝辞を述べた。

ヤマユリを撮影する生徒

菅中生が一日記者に 職場体験で企業など訪問

 市立菅中学校(多摩区)2年の菊地陽葵さんと牧希瞳さんが6月11日、職場体験でタウンニュース社川崎支社を訪れ、多摩区・麻生区編集室の業務を学んだ。

 2人はローカルメディアの役割や仕事の魅力について説明を受け、記者に同行して地元企業や民家を取材。積極的に取材対象者への質問や写真撮影に臨んでいた。

 菊地さんは「取材先の方が生き生きと話していて、どんな仕事をする上でもコミュニケーションが大切だと感じた」、牧さんは「自分と考えが違う人と話すのは難しいことだと思うが、この仕事を通して、人との関わり方が学べると思った」と感想を述べた。

お天気キャスター・木原 実さんに聞く 「無理せず、ゴールを目指す」

――SDGsをどのように評価されていますか。また、達成目標年2030年まであと、5年に迫っている状況です。

 「大前提として私はSDGsの理念は大賛成。しかしゴールまで5年は時間的に厳しいですね」

――その理由は。

 「国は環境・エネルギー問題に一時期は『車に乗るのをやめよう。公共交通機関を使おう』と呼びかけましたが、多くの人は不便だから応じません。でも自家用車をエコカーに変える人は増えました。無理や我慢をしない手法でゴールを目指す方が現実的です」

――具体的に何をすべきでしょうか。

 「気候変動対策でいえば、再生可能エネルギーの技術革新でしょう。太陽光発電や風力発電は使い始めたばかりの技術でノウハウが蓄積されていませんが、今後強力な研究開発をのぞみます。SDGsを提唱した国連が世界の科学技術を結集し、前進させていくことも一案です。残念ながら、ガザやウクライナの戦争もあり、それどころではない状況。しかし、 SDGsを本気で達成させるなら、世界のありようを考え直すべきです」

日常生活見直しを

――私たちの日常生活でできることは。

 「まずはごみ削減です。ご家庭の冷蔵庫の中で賞味期限が切れてるものありますよね。すぐに捨てませんか?お金と手間をかけて作った野菜、海で採ってきた魚が捨てられていく。消費期限を見て必要以上に買わないだけで済む。みなさん室内の消灯には熱心ですけど、食料を捨てることに罪悪感がないように感じます。僕は食いしん坊でケチん坊。少しくらい賞味期限が過ぎているものでも食べますよ(笑)」

――気象予報士として現在の地球環境は。

 「人間の力では気候変動を止められないだろうと思っています。コンピューターの計算ではじりじりと温暖化していくはずなんですが、実際は急上昇。一方、この冬の西日本の気温は低かった。自然は予測不能な変動を大きく起こします。温暖化で海水温も上がり強い台風が来ると言われており、実際、日本付近の海水温は過去にないくらい高くなりました。けれども未だに1934年の室戸台風や1959年の伊勢湾台風を超える台風は来ていない。では異常気象とどう向き合うか。僕は対処療法だと思います。その環境に人が適応していくこと。SDGs的な対策を進めつつ、寒波や大雪、熱波や洪水に備える。天気予報は効果があります」

――最後に読者にメッセージを。

 「私は防災士でもあります。皆さん、災害が起きても喉元過ぎるとすぐ忘れる。だから繰り返し伝えていかなきゃいけない。準備できるのは災害の発生前、地震なら揺れる前。命を守るため、今やれること全部やってください。一人一人のできることは限られています。しかし知恵とお金を戦争や軍拡でなく科学に投入すれば、安全で素敵な地球になります。みんなで実現させましょう」

長尾こども太鼓の演奏=提供

多摩区長尾・妙楽寺 あじさいまつり盛況博す

 境内に28種1千株のアジサイが咲く妙楽寺(多摩区長尾)で6月15日、「長尾の里あじさいまつり」が開かれ、多くの入場者が色とりどりのアジサイを楽しんだ。

 本堂では初企画のこども将棋塾も。プロ棋士と小学生の対局などで盛況を博した。副住職の溝江寛乃さんは「将棋は日本の伝統文化。棋力向上だけでなく伝統や礼節を学ぶきっかけになれば」と語った。絵画や書道展もあり、長尾の里あじさい保存会の井田光政会長は「出品した小学生の皆さんにとってこのまつりが心の原風景として記憶に刻まれれば」と話した。

多摩区観光協会 戦争遺跡を知る 7月4日 ツアー

 多摩区観光協会は7月4日(金)、「多摩区の登戸研究所他の戦争遺跡を知ろう」と題したツアーを開催する。雨天決行。

 午前10時多摩区役所6階601会議室に集合。稲田郷土史会による講話の後、昼食。バスで移動し明治大学平和教育登戸研究所資料館を見学。午後3時頃生田駅で解散。定員30人申込み先着順。参加費500円(交通費別途)。申込みは6月20日(金)午前10時以降、協会事務局(多摩区地域振興課)を訪れるか、【電話】044・935・3132、【FAX】044・935・3391。詳細は事務局。

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片平グロッティのメンバーら=チーム提供

片平UHC 小学生チーム フロアボール U9日本一

 麻生区片平を拠点に活動する片平UHC(ユニバーサルホッケークラブ)の小学生チーム「片平グロッティ」が6月8日、東京・稲城市で行われた「全国U9・U12フロアボールフレンドシップ大会」のU9の部で優勝した。

 フロアボールは、「室内ホッケー」とも呼ばれ、スティックとプラスチックのボールを使い、相手ゴールに得点を入れて競う6人制の競技だ。

 小学1年生から4年生までが参加できるU9の部には、全国から8チームが参加した。同チームは、予選リーグを勝ち抜き決勝トーナメントへ。最終戦で対戦した北海道のチームは、それまでとは異なり、ゴールが見えたらすぐにシュートを打ってくるような強気な相手だったが、粘り強いディフェンスを見せ、3対2で勝利を収めた。

 キャプテンの中嶋岳さん(片平小4年)は「(延長で)Ⅴゴールが決まった時はうれしかった。点を取られたら絶対に取り返す気持ちのあるチーム。冬の大会も勝ちたい」と力を込めた。

 楠英之監督は「対戦相手に合わせ、複数のポジションをこなせる選手がいる。今後は高学年と戦うことになるため、フィジカル面や連携など、早く適応してほしい」と期待を寄せた。

 同クラブは1997年に発足。現在、小学生31人、中学生以上は20人超が所属している。

福田紀彦氏

川崎市長選 福田氏が出馬表明 4選へ「川崎の未来を実行する」

 任期満了に伴い10月26日に投開票される川崎市長選挙に、現職の福田紀彦氏(53)が6月11日、4選を目指して立候補する意思を表明した。

 第2回市議会定例会で、本間賢次郎市議(自民党)による代表質問で去就を問われた福田氏は、新型コロナ後の政策や都市基盤の整備、脱炭素や教育支援の取り組みなど3期目の市政運営について振り返り、「一定の成果を示せた」と強調。市制100周年後も、県との二重行政の解消や権限・財源を移譲する「特別市」構想の実現など、将来の成長と発展に重要な局面を迎えているとし、「川崎の未来を実行すべく改めて挑戦する決意をした」と語った。後援会事務所によると、無所属で出馬し、政党推薦は受けない方針。

 福田氏は神奈川県議会議員を務め、2013年の市長選で初当選。現在3期目。

 市長選には、新人で会社員の國谷涼太氏(25)が無所属での立候補を表明している。(※6月16日起稿)

佐久間吾一氏

参院選 日本改革党 佐久間氏を擁立 59歳、米軍人 叙勲剥奪訴える

 夏の参院選神奈川選挙区(改選定数4)に、政治団体「日本改革党」は会社員の佐久間吾一氏(59)の擁立を決めた。

 佐久間氏は川崎市幸区出身で中央大学卒。2015、19年には川崎市議選に立候補し落選した。

 6月12日の本紙の取材に、佐久間氏は「消費税廃止、新型コロナワクチン接種後の超過死亡の責任追及、日本本土空襲を指揮した米軍司令官カーチス・ルメイ氏の勲章剥奪を訴えたい」とした。

実験の活動イメージ(川崎市消防局提供)

救急のデジタル実証実験  川崎市 情報伝達の正確さ評価

 川崎市が昨年度実施した「救急業務の効率化に関する実証実験」の結果がまとまり、市がこのほど公表した。救急対応の現場でデジタル技術を導入したところ、病院への情報伝達が効率化され、救急活動時間の短縮効果がみられたという。

 救急出場件数が年々増加する中、救急隊の業務を効率化することで、対応可能な救急隊を確保するとともに隊員の負担軽減を図るため、川崎市は昨年度、ICTなどのデジタル技術を使った実証実験を実施した。

 実験は、北部3区(宮前、多摩、麻生)の3消防署の13隊と中部2区(中原、高津)の2消防署の7隊と、聖マリアンナ医科大学病院や日本医科大学武蔵小杉病院など10の医療機関が連携して実施した。救急隊が現場に到着してから傷病者の情報を共有のうえ病院を選定し、搬送するまでの業務でタブレット端末を活用したところ、情報伝達がスムーズになり、現場滞在時間を短縮できたという。

 北部地区では実験期間中に13隊が延べ3418人を救急搬送し、現場の滞在時間は平均で26・9分だった一方で、期間中の地区内全体の救急事案の滞在時間は平均で27・3分だった。同じく中部地区では7隊が延べ2162人を搬送し、滞在時間は平均で26・1分だった一方で、地区全体の滞在時間は平均で27・1分だった。

データ送信で完了

 実験終了後、救急隊と参加医療機関にアンケートを実施した結果、患者の健康保険証の情報を端末で読み込めたり、けがの状態を写真データで共有できたりする点が、「正確さ」の観点で好評だった。

 救急隊サイドの評価では、現状では電話で説明している傷病者の情報を、データ送信で一度に共有できる点が「スピードアップになる」と好評だった。医療機関からは、電話で受けて院内で順次、共有している情報を、データで受け取れるため、医師や看護師などが「同時に把握できる」と高評価だった。

 市消防局警防部の平山貴至(たかゆき)担当部長は、「端末の操作性などに改善を望む声も多く、操作に慣れればスピードアップも可能。デジタル化することで、救急対応がより速やかになる可能性が高い」と話している。

南部児童相談所

児童虐待相談・通告件数 川崎市 市民通報で警察対応増

 2024年度に川崎市内の3カ所の児童相談所や区役所が受け付けた児童虐待相談・通告件数は、前年度比6・9%増の5601件だった。川崎市が集計をまとめ、5月30日に発表した。

 市の集計によれば、24年度に児童相談所に寄せられた相談・通告件数は4270件、区役所に寄せられた件数は1331件だった。相談ルートとしては、「警察経由」が1873件と最多で3割以上を占め、「学校」588件、「近隣・知人」が502件で続いた。

 市は児童虐待防止策として、警察との連携に力を入れてきたという。担当者は「(件数増加は)警察の丁寧な対応の結果だと思う」と話す。

 虐待の種別では「心理的虐待」が57・0%、「ネグレクト(育児放棄)﹂22・4%、「身体的虐待」が20・1%、「性的虐待」は0・6%。子どもの年齢は小学生が3割以上を占め、0歳〜3歳未満も3割近かった。

深夜に自ら相談に

 川崎区・幸区・中原区の事案を担当する「南部児童相談所」(幸区)の右田佳子所長は、「近年は児童虐待に関する市民の意識が高まり、警察に通報するハードルが下がった」と語る。「隣の部屋の赤ちゃんが泣きやまない」「商業施設で激しく泣いている子どもを見た」といった通報もあり、かけつけた警察官が「虐待の可能性がある」と判断した場合、児童相談所で対応している。

 子どもが自力で「SOS」を出すケースも増えた。コロナ以前は子ども自身が相談を寄せるケースは30件前後だったが、23年度は98件、24年度も93件と3倍以上。深夜に子ども一人で一時保護所を訪れたケースもあるといい、右田所長は「コロナ禍で子どもからの相談が増えたことに加え、自殺やいじめの問題もあり、子どもが『嫌なことは嫌だ』と発信する方法を学ぶ機会が増えた」。しかし早期の段階で被害を訴える子どもは多くはなく、思春期を迎えた中高生は特に対応が難しいという。右田所長は「サインを見逃さないよう、引き続き丁寧に向き合っていく」と話していた。

川崎市役所

ノロウイルスも継続中 川崎市「食中毒に注意を」 昨年上回るペースで発生

 食中毒の発生件数が昨年を上回るペースで増えている。冬から初春にかけて増えるノロウイルスによる食中毒も引き続き発生しており、川崎市では注意を促している。

 昨年1年間の食中毒発生件数は11件で、患者数は32人だったが、今年は5月末までに9件発生し、患者数は84人に達している。食中毒患者が増えている要因は、冬場に多いノロウイルスによる食中毒事案が、春以降も続いているためだ。

 3月末には、多摩区の生活介護事業所の利用者や従業員が同区内の仕出し店の弁当を食べた数日後、「胃腸炎のような症状」を訴え、計17人の便からノロウイルスが検出された。

 また4月末には川崎区内の焼き肉店を利用した団体客らが相次いで嘔吐や下痢などの体調不良を訴え、診察の結果、計14人がノロウイルスによる食中毒と判明した。

 一般的に、ノロウイルスを含むウイルスによる食中毒は11月から3月の冬場に多く発生するが、今年は全国的に春以降も発生が続いている。ノロウイルスは食べ物に付着して体内に入り増殖するため、飲食店経由で患者が増える傾向がある。市は「食品の調理や食事の前、トイレの前後での手洗いを徹底してほしい」と呼びかけている。