鎌倉版【9月5日(金)号】
お気に入りのウェアに身を包む向山さん

24時間走の日本代表に 麺屋こころの向山さん

 ビビッドピンクのポニーテールに、レースやフリルのウェアが印象的な名物ランナー、麺屋こころ大船店の女将・向山由美子さん(46)が10月18日にフランスで行われる「IAU24時間走世界選手権」の女子日本代表に選ばれた。競技名の通り、24時間で走った距離を競うウルトラマラソンの一種。向山さんは、選考に関わる5月の大会で自己ベストの228・213Kmを記録。複数大会での結果を合わせて、初の日本代表に輝いた。

未経験から才能開花

 元々特に運動はしていなかった向山さん。約8年前、「海まで走って行けたら気持ちいいだろうな」と思い立った。最初は約7Kmで疲れ果ててしまったが、続けるうちに体力もつき、距離も延びた。「ごはんとお酒が大好きで、走ればカロリーを消費できるなと。続けていたらエスカレートしちゃって」と笑う。

 「ゆっくりならいくらでも走れそう」という向山さんの話を聞き、ランナー友達が誘ってくれたのが、42・195Kmを超えるウルトラマラソンだ。2021年に初のウルトラマラソンで70Kmに挑んだ結果、「あれ?全然走れる」と自分の走力に気付いた。

 8時間走の大会に出たところ、初出場で3位になり表彰台へ。その時の1位が24時間走の日本代表だった。「自分ももっとできるのでは」と、さらに長距離に挑戦。数カ月後には147Kmまで距離を延ばし、大会1位に輝いた。「24時間走もいけるかも」

 しかし、その後、涙が出るほどの頭や体の痛みに襲われた。「ウルトラマラソンの洗礼かと思って我慢していたら、病院で鉄分が空っぽだと怒られた」。現在は、薬での補給で元に戻り、「『限界』を経験したことも財産」と笑う。

目標持たずにマイペースで

 週に3日ほど、国道1号を西へ走り、海沿いを通って戻る約40Km、4時間半前後のランニングをしているという向山さん。語学講座やオーディオブックを聞いたり、考え事をしたり、「ぼーっとする時間をソファに座ってではなく、走りながらやっているようなもの」という。

 「途中で甘いものを食べたり、海の家でお酒を飲んだり。目標を持たずつらくないペースで」がモットー。気分の上がるかわいいウェアは、テニスやゴルフのもの、レースのレギンスなどを組み合わせて楽しんでいる。「最近は黄色も好き。ランナー用と比べたらきっと走りにくいんですけど、ここは譲れない。美意識の高い友達も多いから」ときっぱり。

 10月の渡仏費が高額なため、クラウドファンディングを店で実施中だ。「お金はかかるけれど、日本代表になんてなかなかなれるものじゃない。立ち飲み屋さんでも盛り上がるんですよ」。茶目っ気たっぷりに語る一方で、「日本代表になったことをきっかけに、声をかけてくれるお客さんも増えた。いろんな人が応援してくれていると実感できて本当にうれしい」。そう話す目には涙がにじむ。

 世界選手権でも、お気に入りの華やかなウェアに身を包み、いつもの笑顔で「走ることを楽しむ」のが目標だ。
説明会の様子=8月30日

鎌倉市長選挙 4陣営が出馬の意向 事前説明会に現新9陣営

 任期満了に伴い10月19日告示、26日投開票で実施される鎌倉市長選挙の立候補予定者向け説明会が8月30日、鎌倉商工会議所で開かれ、現職と新人の計9陣営が出席した。そのうち、4陣営が出馬の意向を明らかにしている。(9月3日起稿)

 説明会では、市選挙管理委員会から立候補に必要な書類や選挙運動の注意点などが説明された。

 出席した9陣営のうち、立候補を表明したのは、5期目を目指す現職の松尾崇氏(51)、横浜市在住の元県職員の女性(53)、鎌倉市在住の男性2人。

 説明会当日、残る新人5陣営は検討中や代理と答えた。

 9月1日現在の選挙人名簿登録者数は14万9854(男6万9850人、女8万4人)。

公開討論会

 鎌倉青年会議所(JC)は、鎌倉市長選の立候補予定者による公開討論会を10月18日(土)に開き、公式YouTubeチャンネルでライブ配信するほか、アーカイブ動画を配信する。時間は午後6時から7時45分。

(問)JC事務局【電話】0467・25・5538

第31回酒田市土門拳文化賞の奨励賞を受賞した 中沢 賢治さん 御成町在住 68歳

珠玉の作品 追い続ける

 ○…パキスタンで暮らす人々の姿を切り取った作品が山形県酒田市で行われた第31回酒田市土門拳文化賞奨励賞に選ばれた。上限30枚の組写真が審査され、一貫したテーマ性や多彩なテクニックなどが問われる難関コンテスト。初挑戦での受賞に「自分の作品づくりが認められてうれしい」と、写真を収めたファイルをゆっくりとめくる。

 ○…新潟県出身。東京大学を卒業後、電力会社に勤務した。燃料調達部門で働くなか、海外で華々しく活躍する人々の姿に感化され国際連合工業開発機関を経て欧州復興開発銀行へ。電力の専門家として23年間、アゼルバイジャンの水力事業やキルギスの送電線整備など各国を飛び回った。結果を出し続けなくてはいけない厳しい日々を「火事場の馬鹿力でしたね」と振り返る。

 ○…プロジェクトの報告などもあり、常に身に着けていたカメラが今に続いている。退職後に一眼レフを購入し、教室に通い本格的に学び始めた。持ち前の器用さもあり腕をあげたが、「いつか写真展を」と思った時に、師からの問いで壁にぶつかる。「あなたの写真のテーマは何か?」。最初の一枚から最後の一枚へ続く物語が無ければ、海外で撮りためた写真もただの旅行写真になってしまう。仕事の縁で魅力を知ったパキスタンへ何度も足を運び、1日千回シャッターを切った。その集大成が、コンテストで実を結んだ。

 ○…夫人の実家のある鎌倉に住んで10年。「海外に長く連れまわして苦労をかけた」と頭をかく。組写真に自信が持てなかった時、「私は良いと思う。ダメ出しに諦めていないで挑戦してみたら」と背中を押したのは伴侶の一言だった。受賞で得た自信と感謝を指先に込めて、珠玉の一枚を追い続ける。

参加者と一緒に体を動かす小林院長(中央)

湘南鎌倉総合病院 音楽で「未病改善」へ 産官学で臨床研究を開始

 医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院(岡本、小林修三院長)が、高齢者の認知機能や口腔機能の改善を目指し、音楽療法を用いた臨床研究「音楽療法の認知機能およびオーラルフレイルに及ぼす影響に関するパイロット研究」をスタートさせた。

 同研究は、認知症の初期段階である軽度認知障害に対し、薬を使わない非薬物療法でどこまで効果があるかを科学的に検証するもの。神奈川県が提唱する「未病」の概念に基づき、同院、横浜国立大学、県が連携し、未病領域の客観的な科学的根拠(エビデンス)の創出を目指す。

 研究には、徳洲会グループが運営する近隣の介護老人福祉施設に暮らす78歳から99歳の高齢者が協力。昭和音楽大学から認定音楽療法士を招き、参加者の状態に合わせたリズム体操や歌唱、楽器演奏などのプログラムが組まれている。8月13日には、小林院長も参加し、協力者と一緒に体を動かす場面もあった。

 同院は「未病対策を推進し、地域社会の健康寿命の延伸に貢献したい」とコメントした。

年齢問わず集い、味わう

地域食堂で笑顔になって 9月も市内各地で開催

 夏休み特別企画として地域食堂「みんたべ」が8月に3回にわたって、御成町のまちの社員食堂で開催された。

 子どもは無料、大人は低価格で食事を楽しめる鎌倉市内の地域食堂の取り組みで、料理や運営、食材寄付など、地元の店や市民ボランティアの協力で開催されている。28日には、日本料理店の御代川(由比ガ浜)が協力。炊き込みごはん、けんちん汁、からあげのほか、寄付品のスイカも提供され、皆で味わった。

 9月は、7日(日)安国論寺(大町)、19日(金)二階堂デイサービスセンター(二階堂)、24日(水)ソンベカフェ(御成町)で開催。希望者は詳細を確認し、事前予約を。

寄付も随時受付

 賞味期限が1カ月以上ある食品や寄付金も随時受付中。詳細は、主催の(一社)ふらっとカフェ鎌倉【メール】flatcafekamakura@gmail.com、または渡邉代表【携帯電話】090・5199・1654へ。
松尾崇氏

鎌倉市長選挙 松尾氏が5期目へ挑戦

 9月1日、タウンニュース社の取材に答えた現職の松尾崇氏は4期16年を振り返り、就任1期目の途中で発生した東日本大震災を教訓に災害に強いまちづくりを推進してきたといい、その一環である新庁舎の整備に触れ、「市役所移転計画に取り組んできたが道半ば。災害に強いまちを実現するため尽力したい」と立候補理由を述べた。

平和学ぶ修学旅行を報告 小中学生12人が広島訪問

 鎌倉市平和推進事業「へいわの学校〜修学旅行(広島派遣事業)」が8月5〜7日に行われ、小中学生12人が参加した。30日には、市民向けの報告会が開催された。

 鎌倉市では、これまでにも「へいわの学校」と題し、音楽や国語、美術に絡め、平和の尊さや自分にできることを考えるきっかけづくりを行ってきた。今回の修学旅行は、初の試みで、50人の応募の中から小学5・6年生6人、中学生6人が選ばれた。

 12人は、事前学習会を経て、被爆地・広島を訪問。原爆ドームや広島平和記念資料館の見学、6日の平和祈念式典への参列、被爆者の講話などを通して、原爆の恐ろしさを知り、平和について改めて考えた。

 報告会では、写真などを見せながら「被爆者の『三度許すまじ』という言葉が印象に残った」「若い世代に伝えることが必要」と感想や思いを発表した=写真。

 また、平和活動をするゲストの講話を聞いたり、児童・生徒が平和のために自分にできることを「わたしへいわ宣言」として発表したりした。

DJ体験をする参加者(主催者提供)

子どもたちが「好き」を発見 市内各所で仕事体験

 地域コミュニティーFMを運営する鎌倉エフエム放送(82・8MHz)が主催する親子向け夏の体験イベント「しごとてん2025in鎌倉」が、8月22日から24日の3日間、鎌倉市内各所で開催された。

 整備士やラジオDJ、司書や駅員など、さまざまな体験を通して、子どもたちが「自分の好き」を発見。笑顔が弾けた3日間だった。

 主催した鎌倉エフエムは、「地域のコミュニティー放送局だからこそできる、地域社会と地域教育の接点づくりに今後も取り組んで行きたい」とコメントした。

安全のために連携協定 ジェイコム×山ノ内下町上町内会

 株式会社ジェイコム湘南・神奈川 湘南・鎌倉局(秋本一茂局長)と山ノ内下町上町内会(柴田勝五会長)は、地域安全に関する協定を8月28日に締結した=写真。鎌倉市内では、昨年12月の山ノ内下町下町内会に続き、2カ所目。

 同社が日頃の業務の中で地域を回る際に見守りや犯罪等の早期発見・通報、防犯意識向上のための広報活動などで町内会に協力するもの。さらに、同社が扱う防犯カメラの設置工事費を無料にすることで家庭での導入に寄与したい考えだ。

 柴田会長は「町内には昔から長く住む高齢者も多い。『この街では悪いことはできないな』と思われるように防犯を強化していきたい」と話す。

 秋本局長は、「2月には山ノ内地区で市や警察署と共に防犯セミナーも実施した。市全体で協定を結んでいる例もあるので、地域全体に取り組みが広がれば」と語った。

中沢さんの作品「PAKISTAN―か▼し▼ら▼も▼じの国」の一部(本人提供)

第31回酒田市土門拳文化賞 中沢さんが奨励賞 30枚で描くパキスタン

 御成町在住の中沢賢治さん=人物風土記で紹介=の組写真作品「PAKISTAN―か▼し▼ら▼も▼じの国」が第31回酒田市土門拳文化賞の奨励賞を受賞した。9月27日には、山形県酒田市で授賞式が行われる。

 同市出身の写真家・土門拳氏の功績を記念した写真コンテストで、1枚写真ではなく上限30枚の組写真が審査される。今回は全国から135テーマの作品が寄せられ、文化賞1点、奨励賞3点が選ばれた。

 枚数の多い組写真作品を制作するため、中沢さんは開発支援の仕事を通じて魅力を知ったパキスタンを撮影地に選んだ。英国からの独立運動時代に5つの地方の頭文字を国名にしたパキスタンは、国境紛争やテロ、貧困などの課題を抱えながら人々が毎日を力強く生きる。作品では、屈託のない子どもたちの笑顔だけでなく、陰影を巧みに生かした構図で緊張感や悲哀を表現した。中沢さんは「明るい写真や暗い写真どちらかに偏るのは嘘になる。陰と陽が混在するあるがままの姿を見せたかった」と話す。審査員からは「町や村が生き生きと活写され、巧みなカメラワークと変化ある組写真の構成力が光っている」と評価された。

詐欺を防いだ植松さん(右)と植田署長

詐欺防止に感謝状 郵便局員が機転

 特殊詐欺の被害を未然に防いだとして8月21日、鎌倉警察署が鎌倉郵便局の植松新吾さんに感謝状を贈呈した。

 植松さんは6月26日、郵便局を訪れた高齢女性が高額を引き出そうとしていることから事情を聞き取り、次男を名乗る男性が病気になり、「手術の影響で声がいつもと違う」「財布や携帯電話を無くして上司の携帯電話からかけている」などのキーワードから詐欺と判断し、被害を防いだ。

 植松さんは「金融に携わる者としてお客様の役に立ててうれしい」と話した。同署の植田圭一署長は「郵便局の方々の日々の目配り、気配りの積み重ねがあるからこそと感謝しています」と話した。

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ふくしマルシェ「みらリン」 9月27日開催

 鎌倉ITクリエイター・ファクトリー(由比ヶ浜1の1の7マルトクビル2階)で9月27日(土)、「第2回ふくしマルシェみらリン」が開催される。午前10時から午後4時まで。鎌倉みらいリンク協会主催。

 個性的なアートや飲食、野菜類の直売、絵本サロンなどが楽しめる。

(問)同協会【携帯電話】080・9260・3192

世界のヒョウタン展 フラセンで6日から

 世界各国のヒョウタンが集う「ヒョウタン展〜飾る、遊ぶ、演じる〜」が9月6日(土)から、岡本の大船フラワーセンターで開催される。

 置物だけでなく、装飾品や人形、楽器、玩具など、幅広く親しまれてきた多彩なヒョウタンを展示する。

 9月28日(日)まで。第2・第4月曜日は休園。午前10時から午後4時30分(最終日4時)まで。入園料は20歳以上400円、中学生以下無料。学割・シニア割あり。詳しくは同センター【電話】0467・46・2188へ。



SDGs未来都市鎌倉展 9月19日〜21日 きらら鎌倉

 鎌倉市生涯学習センターきらら鎌倉(小町)で9月19日(金)から21日(日)の3日間、地球環境や社会課題の現況を市民に広く伝えるため、「SDGs未来都市鎌倉展」が開催される。午前10時から午後4時。入場無料。

 期間中の9月20日(土)午後1時30分から3時30分には、外国人と日本人の親子をつなぎ、共に支えあう活動をする「NPO法人まるまーる」によるセミナー&ワークショップ「多文化共生社会の実現」が行われる。

 問い合わせは、SDGs活動支援センター(メールinfo@sdgs.or.jp)へ。

避難に必要な犬鑑札

鎌倉市主催のペット防災セミナー 全2回 9月と12月に福祉センターで開催

 鎌倉市主催の「ペット防災と犬のしつけセミナー」が9月28日(日)と12月7日(日)の2日間、市福祉センターで開催される。全2回で両日とも午後2時から4時まで。

 風水害や津波など、災害の種類によって「取るべき行動」は変わる。鎌倉市では、避難所へのペットの同行避難には、ケージやリード、犬鑑札、狂犬病予防注射済票などが必要だ。

 セミナーでは、鎌倉市特有の注意点なども踏まえながら「マイ・タイムライン(わが家の避難行動)」の作り方、ペットを守る準備、犬のしつけなどについて紹介する。

 対象は鎌倉市民。予約制で先着150人。参加無料。会場にペット同行不可。参加希望者は専用フォームでの電子申請または市環境保全課【電話】0467・61・3454へ。9月24日(水)午後5時締切。

マイクロプラごみ探しと潜水調査見学 9月13日 坂ノ下海岸で開催

 坂ノ下海岸(江ノ電長谷駅から徒歩5分)で9月13日(土)、午前9時半から「マイクロプラスチックを探せ〜潜水調査見学」が開催される。青少年指導員鎌倉地区主催。

 海岸で活動するほか、水中のプラごみを回収するシーンを見学する。小学4年〜高校生先着10人。参加費無料。申し込みは岩田さん【電話】0467・24・4414へ。