宮前区版【11月7日(金)号】
稽古する大島さん(右)と島崎さん(右から2人目)

平均80歳 演劇に挑戦 オレオレ詐欺に注意喚起

 後を絶たないオレオレ詐欺の被害をなくそうと、平均年齢80歳、演技未経験の高齢者らが劇団を結成した。団員たちは演劇を通して注意喚起をしようと練習に励んでいる。公演は、12月から来年3月まで近隣の老人ホームや、いこいの家で開催する予定だ。

 劇団の名は「ショーアイランド」。有馬や野川のいこいの家で行っている健康マージャンの仲間たち約20人で結成した。もともと演劇とは無縁だった団員たちだが、「少しでも元気でいられる方法を」という何気ない会話がきっかけとなり、唯一、演劇経験のある島崎幸雄さん(76)が提案。「腹筋を使う発声は健康維持につながり、セリフを覚えることは脳トレにもなる」と仲間に声をかけた。自らは脚本、演出、出演の3役をこなしている。

今では生きがい

 4月から本読みを始め、練習は月7回ほど。発声練習から始まり、長いときは朝から晩まで弁当持参で練習するという。団員らは「セリフは覚えられないし最初は大変だった」と声をそろえるが、「楽しみに変わっている」「心が前向きになって、気持ちが明るくなった」「今では生きがい」と喜びの声を上げる。

 作品名は「夢フェス・コント〜今日もいい風が吹きますように〜」。詐欺の注意喚起がテーマだが、コントと銘打ち、笑いを誘う作品に仕立てた。マージャンサークルでの日常会話がそのままセリフに投影されているのが特徴だ。

 例えば、米や物価高騰の話題では、「最近はね、(スーパーで)夕方5時半の(値引きの)シールの貼り換えを狙って店に突っ込む」や、ファミリーレストランの出来事として「(注文したら)ロボットが堂々と、そこのけ、そこのけで、品物を運んでくるの。ふざけてる」といった、高齢者ならではのウィットに富んだユーモラスなセリフが随所に盛り込まれている。

 物語は、メンバーの一人に不審な電話がかかってくるという展開に。息子を装う人物から「女性を妊娠させてしまい、150万円が必要だ」という詐欺電話に思わず引っかかってしまうという被害の場面も描いている。

 被害者役を演じる大島登世さん(83)は、「演劇を始めてから、元気に見えるのか、子どもたちに心配されなくなった」と笑う。「詐欺の被害防止はもちろんだが、皆さんに元気を届けたい」と本番へ意欲を見せた。

初演は12月19日

 公演は、12月19日に麻生区にある老人ホーム・ツクイ川崎千代ヶ丘で初演予定。以降、プラザ橘、有馬いこいの家、鷲ヶ峰いこいの家などで予定。公演に関する問合せは【電話】044・853・1862(大島さん)。

「子どもたちを見守り隊」の代表として活動する 美谷島 文彦さん けやき平在住 73歳

趣味の散歩で地域貢献

 ○…現役を引退した仲間たちは、散歩を趣味にする人が多かった。わくわくプラザで働いていた経験から、「子どもたちの見守り」のアイデアを思いついた。約1年前に飲み会の席で地域貢献への思いを語ったところ、14人の仲間が手を挙げ、隊を結成した。以来、緑のビブスを着た高齢者たちは、それぞれのペースで区内各地で登下校の見守りを行っている。「子どもたちの安全だけでなく、高齢者の健康増進にも役立っている」と活動の相乗効果を語る。

 ○…トランペット奏者の父の影響から、音楽が日常の家庭で育った。慶応高校では体育会系の空手部で汗を流しつつ、ビートルズのコピーバンドとしても活動した。大学入学後は、念願のスキーサークルに入り、「あこがれの学生生活を謳歌した」。

 ○…大手メーカーに就職。34歳で輸入品を扱う子会社の役員に抜擢され、宮前区に移り住んできた。「海外へ買い付けに行くこともしばしば。異国の文化を体験できたことは大きな財産になっている」という。54歳のときに早期退職してデザイン会社に転職。時はリーマンショック直後で「最初の仕事がリストラ役で苦労した」と振り返る。モットーは現場主義。相手の声に耳を傾け社長まで上り詰めた。

 ○…65歳で現役を引退後、わくわくプラザや市議会議員の事務所などで働いてきた。母の介護や地域に携わる人たちの姿を見ているうちに「自分も地域貢献をしたい」という思いが込み上げてきた。今は見守り隊のほか、花壇の植栽ボランティアにも携わる。趣味は音楽鑑賞。「体に染みついている」と、今も月に1度はジャズバーに足を運ぶ。自宅には孫2人の写真が飾られている。「子どもたちの成長を見るのがいきがいだよ」
りんごの棚のコーナーを紹介する担当の直原さん

誰もが楽しめる図書館に 川崎市内初 「りんごの棚」

 宮前図書館(舟田彰館長)は10月中旬、大きな活字の本や点字本など、読書に特別な配慮が必要な人のための書籍を集めたコーナー「りんごの棚」を設置した。川崎市内の図書館では初の試みで、「読書のバリアフリー」の実現を目指す。

 「りんごの棚」は、本を読む際に特別な配慮が必要な子どもたちを対象に、スウェーデンの図書館で始まった取り組み。同館では、視覚障害や読み書きに困難を抱える学習障害などがある人向けに、ピクトグラムや大きな写真で説明を加えたLLブックをはじめ、大活字本、点字絵本、触って形状を楽しむ布絵本など約50冊をそろえた。

 担当の直原稜さんによると、貸し出し状況は好調で、今後は書籍数を増やしコーナーを充実させていく予定。「コーナーの前に立ち止まって本を見ている利用者も多く、興味を持ってもらえていると思う。障害のある人もない人も誰もが楽しめる図書館として知ってもらえるようにしていきたい」と抱負を語った。

読書のバリアフリー

 同館では、10年前から認知症の書籍を集めたコーナーを設置するなど、以前から「垣根のない図書館づくり」に取り組んでいる。

 舟田館長は「利用サービスを工夫して誰もが読書を楽しめる場所にしていきたい。読書のバリアフリーを進めていきたい」と話した。

音を楽しむ読書会

 同館では、バリアフリーの取り組みの一環として、11月26日(水)に川崎市視覚障害者情報文化センターと協力してイベント「小説の中の音を楽しむ会」を開催する。同センタースタッフによる朗読と小説に登場するピアノ曲の試聴などを行う。

 場所は宮前市民館の視聴覚室で、時間は午後1時30分から3時30分まで。参加無料。予約制で先着30人。申し込み、問い合わせは同館。

(株)タウンニュース 終節に向け、応援の一助に 川崎Fの特別号を配布

 タウンニュース川崎支社では「川崎フロンターレ」特別号を発行。10月18日の清水エスパルス戦の当日、武蔵中原駅、武蔵小杉駅周辺で会場に向かう同チームのサポーターらに配布しました。

 紙面には、ジュニーニョ選手のインタビューや、弊社が1998年から2006年まで取材してきた同チームの歴史を知ることができる懐かしい記事を掲載。また「組織マネジメント」をテーマにしたキャプテンの脇坂泰斗選手らの新たにインタビュー記事も載せています。

 次回は11月8日(土)のホームゲームの当日、近隣の駅などで配布予定。

 また富士通スタジアム川崎やフロンタウンさぎぬま、Anker フロンタウン生田、川崎市民プラザなど試合当日以外も入手できます。無くなり次第終了。お早めに。
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「かわさきグリーンボンド」販売
「かわさきグリーンボンド」販売
個人向け 11月14日から
川崎市はCO2排出実質ゼロに向けた取り組みの一環として個人向け市債『かわさきグリーンボンド(個人向け)』を販売する。11月14日(金)から12月5日(金)まで申... (続きを読む)

向丘出張所でスマホ相談会

 市民団体・スマボラ宮前が主催する「スマホ相談会」が11月13日(木)、向丘出張所2階大会議室で開催される。参加無料。

 相談会では、スマホの基本操作に加え、インターネットの検索方法、LINEやカメラの使い方など、日常で役立つ操作方法を学ぶことができる。また、二次元コードの読み取り方や、YouTubeの視聴方法なども相談できる。時間は午後1時30分から2時20分、午後2時30分から3時20分の2回。定員は各回5人(先着順)、事前申し込みが必要。

 申し込みや問い合わせは、向丘出張所地域振興担当【電話】044・866・6461まで、直接窓口でも受け付ける。

影向寺 「ご縁日」に多くの人出

 野川本町にある影向寺で11月3日、「影向寺ご縁日」が開催された。

 影向寺重要文化財・史跡保存会(亀ヶ谷純一会長)が、史跡「橘樹官衙遺跡群」の国史跡10周年の記念と、影向寺の薬師如来像の国宝復活を祈念して企画。会場には、屋台をはじめ、新鮮野菜や地域の銘菓のブース、ハンドメイド雑貨の販売などのワークショップが集まるマルシェも軒を連ねた。宮前区の観光大使「メロー・コスミン」も来場し、ミニ四駆サーキットや昆虫くじなどを楽しむ多くの子どもたちの姿も見られた。

 演歌歌手の杜このみさんと彩青さんによるコンサートには、多くの市民が駆け付け声援を送った=写真。亀ヶ谷会長は「影向寺を知ってもらう機会になったのでは。今後も文化の日に開催していきたい」と話した。
新しく作られたポスター

秋の予防運動 「住宅防火しよ!」 ベッキーさん呼びかけ

 秋の全国火災予防運動に向けて、川崎市宮前消防署は、宮前区出身のタレント・ベッキーさんを起用した火災予防ポスターを作成した。ポスターは合計1100枚作成され、11月9日から区内の公共施設や駅舎、学校などで掲出される。

 ポスターには「いっしょに住宅防火しよ!」というキャッチコピーが添えられている。ベッキーさんは「私が育ったまち宮前区の火災予防のため協力させていただきたいと思った。特に電気関係の火事がとても多いことを知り、電気火災チェック表を活用しなくてはならないなと再確認した」とコメント。飯田宮前消防署長は「快く広報活動にご協力いただき感謝している。引き続き、地域の皆さまのお力添えもいただきながら火災による被害を軽減していきたい」と話した。

 宮前区内では電気火災が増加傾向にあり昨年は火災件数53件のうち21件が電気火災だった。

向丘出張所でアート展 力作ずらり 11月13日まで

 向丘地区ゆかりのアーティストによる「むかおアート展」が11月13日(木)まで、向丘出張所1階で行われている。午前8時30分から午後5時。入場無料。

 地域住民の交流の場作りを行っている「交流スペース・むかおかフェ実行委員会」が主催。展示作品は、周辺住民や団体から公募し、絵画や陶芸、ちぎり絵などの作品が展示されている。

 担当者は「芸術の秋、素敵な作品がそろっているので、気軽にアートに触れる機会にしてほしい」と話している。

 問い合わせは同出張所地域振興担当【電話】044・866・6461。

東高根森林公園 体験、マルシェ、グルメ充実

 東高根森林公園で11月23日(日)、「ひがしたかねパーク大作戦」が開催される。午前10時から午後3時。入場無料。

 同園指定管理者(株式会社石勝エクステリア)が主催、のこぎり体験や木の実のクラフトづくりなどの体験アクティビティをはじめ、ハンドメイド雑貨が集まるマルシェ、野菜や焼き菓子を販売するフードマーケットなど催しが盛りだくさん。担当者は「キッチンカーも出店するので、お昼ご飯の心配も必要なし」と呼びかけている。

 雨天中止。詳細は同園ウェブサイトへ。問い合わせは同園【電話】044・865・0801。
植栽した信号近くの花壇

植栽通じ心に優しさ

 鷺沼町会ガーデニングクラブ(河野悦子代表)が11月1日、国道246号線の「鷺沼一丁目」信号近くの花壇で、ストック300株とチューリップ600球を植えた。

 同所は、以前は背丈の高い草が生い茂っていたが、2017年に発生した車と自転車の接触事故をきっかけに花壇に作り替えられた。春と秋に植え替え作業を行っている河野代表は「お花を見ることで、運転手だけでなく地域の方も優しい気持ちになれば」と思いを話した。
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命を守る着衣水泳を体験 区内スイミングクラブで

 水難事故から命を守る方法を学ぶ「着衣水泳」の体験会が10月26日、サギヌマスイミングクラブ鷺沼で開かれ、24組48人の親子が参加した。万が一の事態に備え、服を着た状態での対処法を学んだ。

 体験会は座学から始まり、参加者は水辺の危険性や安全な行動について映像を交えながら学習した。その後、プールでは、洋服を着たまま水に入り、普段の水泳とは異なる水の抵抗や衣服の重さを体感。水に落ちた際に最も重要となる「力を抜いて浮く感覚」を体験した。

 さらに、岸が近い状況で、服を着たまま泳ぐ際の泳ぎ方や注意点についても実践。参加した親子は互いに協力し合いながら、もしもの時の行動を学んだ。

 参加者からは「親子で一緒に学べてとても良い体験になった」「服を着たまま浮くことを知って驚いた」といった声が上がった。
事業を振り返る関係者

「つながる美術館」が閉幕 区役所でセレモニー

 宮前区役所を「美術館」に見立て、区民が制作した作品を展示する「つながるみんなのアート展」が10月31日にフィナーレを迎えた。終了式には関係者が集まり、3カ月間にわたる「アートの旅」を振り返った。

 このイベントは、地域の魅力を発信する市民提案型総合情報発信事業で、区役所は期間中、幅広い年代から寄せられた絵画、イラスト、写真など、個性豊かな110点で彩られた。

 作品の展示場所を巡るスタンプラリーも実施。8月27日からは、休業中の「レストランみやまえ」を会場に、市民ミュージアム所蔵の作品や川崎浮世絵ギャラリーの作品を展示。9月6日には、福田紀彦市長との車座集会に合わせたライブペイント企画も行った。主催したアースリングスプロジェクトの安藤尚美代表は「皆さんのおかげで巨大なアートを創り上げられ、さまざまなつながりを生むことができた」と総括した。
今年9月の井田病院でのコンサート(市消防音楽隊提供)

川崎市消防音楽隊 応援サポーターを募集 楽器の老朽化など課題

 川崎市消防音楽隊が協賛金で活動を支える「応援サポーター制度」を2025年度から創設し、10月29日から26年度の募集を開始した。金額に応じた特典があり、集めた協賛金は楽器や衣装の更新などに充てる予定だ。

 市消防音楽隊は、消防活動の広報を目的に1962年に創設された。消防職と兼務の音楽隊員17人と、演奏に合わせたダンスなどの表現パートを担う「カラーガード隊」など計33人で編成されている。

 公式イベントでの演奏に始まり、区民祭りや小学校、幼稚園での演奏など活動の幅は広く、出演回数は年間約170回にのぼる。今年9月には市立井田病院(中原区)で、音楽隊として初の院内コンサートを開催。ベッドや車いすの入院患者も生演奏を楽しんだ。

 一方で予算配分上、消防音楽隊の楽器や衣装などの更新費用が不足しがちな状況が続く。吹奏楽の楽器は20年に一度程度の更新が推奨されているが、市の消防音楽隊の楽器は30年以上経過したものも多く、市消防局では打開策を模索。「クラウドファンディング型ふるさと納税」を利用して費用を調達する横浜市の事例を参照し、今回の「応援サポーター制度」を創設した。

 協賛ランクは5万円〜100万円の6段階。毎年1月の定期演奏会の観覧席や、協賛企業の主催イベントでの特別コンサートなど、協賛金に応じた特典がある。

 サポーターの募集期間は2026年2月20日(金)まで。申込や問い合わせは市消防音楽隊【電話】044・975・0119。
小林悠選手とハイタッチを交わす参加者

GO!GO!!フロンターレ

誰もが観戦を楽しめるように

 川崎フロンターレは、10月18日の清水エスパルス戦(J1)で「2025 えがお共創プロジェクト」を実施した。この取り組みは、発達障がいなどの特性のある子どもや家族が安心してサッカー観戦を楽しめるよう、音や光、においなどに配慮した環境を整え、誰もが笑顔で過ごせるスタジアムを目指すもの。

 スタジアム6階の会場に、外のにぎやかな音を和らげて落ち着いて観戦できる「センサリールーム」を設置。参加者からは「子どもが自分から『外でサッカーを観てみたい』と言ってくれた」「こんなにリラックスしてスタジアムにいられたのは初めて」といった喜びの声が聞かれた。

 ハーフタイムには、選手たちと直接交流する時間もあり、サイン会や写真撮影を実施。この日限定でハロウィーンの仮装をしたマスコットのふろん太とカブレラも登場し、会場全体が笑顔であふれる一日となった。

 担当者は「サッカー観戦が特別なイベントではなく"日常の楽しみ"として広がっていく、そのきっかけを生み出せたことが何よりの喜びです」と手応えを語った。

画像はいずれも川崎フロンターレ