小田原・箱根・湯河原・真鶴版【11月23日(土)号】
新玉小で確認された奉安庫

新玉小で奉安庫を発見 戦前・戦時中の学校伝える

 戦前や戦時中に学校で天皇と皇后の写真(御真影)や教育勅語の写しを収納していた「奉安庫」がこのほど、小田原市立新玉小学校(山田明子校長)で見つかった。

 新玉小の奉安庫は皇室を示す桐の紋章が施され、校長室隣の応接室に設置されていた。少なくとも山田校長が教頭として同校に着任した2022年以降、使用したことはなかったという。7月下旬、東京都の小学校で奉安庫が発見された報道を見て「応接室の金庫に似ている」と、保管されていた鍵で扉を開けた。

 いくつかの資料が納められていたこともあり、10月16日に市郷土文化館の学芸員と「戦時下の小田原地方を記録する会」の事務局長で元小学校長の井上弘さんが立ち合い、改めて調査。井上さんが戦時中の教育史を専門にする大学教授に確認し、奉安庫と判明した。

 1941年に新玉国民学校(現新玉小)に入学した90代の男性は、建物型の「奉安殿」があり、「教室から奉安殿に向かい、立って敬礼した」などと証言している。「関東大震災でいくつかの学校で御真影が焼失し、校舎外に奉安殿を造ったのでは」と井上さんは語る。戦後、奉安殿はGHQの指令でほとんどが撤去された。

「当時を知る大事な資料」

 井上さんは「本会の調べでは、小田原地方で旧奉安殿は湯河原の五所神社、奉安殿は小田原市風祭の箱根病院で確認できたが、奉安庫の実物を見たのは今回が初めて」と話す。

 発見された奉安庫の重厚な扉の内側には菊の紋章、内扉に鳳凰があしらわれている。教育勅語と御真影は残っていなかったが、明治天皇が描かれた掛軸などが見つかった。

 井上さんは「本来の役割を終えた後、大切なものを入れていたのでは」と推測する。また同文化館の学芸員は「当時を知る大事な資料」と述べる。山田校長は「昔の人たちの思いを地域で語り継ぐことができれば」と話し、6年生の社会科の授業で活用したいとしている。

鈴木代表取締役(左)と加藤市長

有償ボラで介護人材確保 小田原市、プラスロボと協定

 小田原市は11月12日、介護分野のマッチングサービス「スケッター」を運営する(株)プラスロボ(東京都港区)と連携協定を締結した。介護現場の補助業務を地域の人が担うことで、人手不足の解消を目指すねらい。

 「スケッター」は介護事業所と有償ボランティアのマッチングサービス。介護福祉に関わる人を増やすことを目的に、2019年にリリースされた。食事の配膳や掃除、レクリエーションなど、資格や経験を問わない介護事業所の業務を、介護に関心のある地域の人材が有償で担うというもの。サービスに登録した地域住民は、介護事業所が募集する案件から希望する業務を選び、謝礼として介護事業所が定めた報酬を受け取ることができる仕組み。

 同サービスの登録者数は現在、全国で約6500人。うち約65パーセントが介護未経験者。学生から70代までが登録していることから、幅広い人材や世代が介護分野に関わっているのが特徴だ。

 今回の連携協定は、市高齢介護課の呼び掛けにより実現したもので、神奈川県内の自治体では初。市は今後、介護事業所にトライアル利用を促すほか、市民に同サービスの周知を呼び掛ける。

 締結式でプラスロボの鈴木亮平代表取締役は「県内で先陣を切っていただいてありがたい。地域で新たな互助のインフラを構築していきたいので、ぜひお力添えをお願いしたい」と話した。加藤憲一市長は「介護分野は人材不足などの課題がある。今回の協定で高齢化社会を地域住民が支える仕組みができれば」と期待を寄せた。

箱根登山電車3000形「アレグラ号」の就役10周年を記念した写真展を行う 大橋 史明(ふみあき)さん 秦野市在住 28歳

写真で電車の魅力伝える

 ○...10年にわたり、箱根登山電車を撮り続ける写真家。あえて一つの路線に集中するのは、「その方が早く上達するから」。何シーズンも過ごしたからこその撮影スポット、タイミングで「一番良いところを切り取った」と、アレグラ号10周年記念にふさわしい作品を展示する。サクラや紅葉など四季折々の風景と茜色のアレグラ号との共演を、「誕生日ケーキ」を作る気持ちで写真に収めた。

 ○...生まれは滋賀県。実家の前には「湖西線」が走り、電車が通ると家が揺れた。ガタンゴトンと多くの人を乗せ「誰かのために走る」献身的でひた向きな姿に魅了されれたという。中学2年生のときに一眼レフを買ってもらい、以来鉄道写真にのめり込んでいった。

 ○...東京工芸大学芸術学部写真学科に進学し、写真家の夢を追った。上京して出会ったのが箱根登山電車だった。「これが探していた電車だ」と直感したという。しかし強く惹かれると同時に、撮った写真を見返してこれまでにないハードルも感じた。「乗ったときの楽しさやきれいさが写っていなかった。悔しかったし、これは取り組む価値があるとも思った」

 ○...撮影の技術以上に「『編集』が写真の本質」と、今回の企画では受け手に伝わる印象を意識して、展示やフォトブックの見せ方に力を注いだ。没入感を出すために参考にしたのは意外にもゲーム『ドラゴンクエスト』や、スタジオジブリのアニメ作品の色彩バランス。何度も色校をして、求めている表現に近づけた。「良い作品は何が良いのか細部を指摘できない」。写真も同じで「言葉になっていないけど、それで伝わる何かがある」。写真の表現を追求してひたすらに撮って編集してを繰り返す、「そのプロセスが面白い」。

修復中の皆春荘表門の前で、芹澤さんから説明を聞く参加者

伝統建築工匠の技に触れる 皆春荘でワークショップ

 「表門」の補修・修復が行われている小田原市所有の歴史的建造物「皆春荘(かいしゅんそう)」で11月17日、伝統建築工匠の技を学ぶワークショップが開かれた。

 講師は、補修・修復を手掛ける宮大工棟梁の芹澤毅さんが務めた。

 一般向けの部には約15人が参加。薄い板を重ね合わせる「杮(こけら)葺き」や、凹凸のある丸太材を削り隙間なく組む「光付け」など、表門にも用いられている伝統的技術を現場を見ながら学んだ。

 芹澤さんが、「修復するだけでなく、技術を受け継ぐため100年後の人に何を残すべきかを考えている」と説明すると、参加者は感心した様子でうなづいていた。

 また建物内で、表門の屋根にも使用される「ヘギ板」作りを体験。木材にナタを打ち込み、木目にそって剥ぎ取るように割り厚さ3mmほどの板に仕上げた。親子で参加した大澤采子さん(11)は「板がうまく割れると楽しい」と笑顔で話した。

 木造建築物を受け継ぐための伝統技術「伝統建築工匠の技」は、ユネスコ無形文化遺産に登録されている。
特別展のチラシ

小田原城、掘った成果を発表 12月1日に特別講演会

 小田原三の丸ホール大ホールで12月1日(日)、特別講演会「小田原城を掘る 城郭史研究と考古学」が開催される。午前10時25分から午後5時(午前10時開場)。

 小田原城とその城下では1982年から本格的に発掘調査が始まり、その数は約600カ所を超える。戦国時代の発展や、江戸時代に引き継がれていく変遷の様子など、講演では調査で明らかになりつつある成果などが語られる。

 小田原市文化財課副課長の佐々木健策氏が「小田原北条氏の居館を掘る」を、小田原城天守閣館長の諏訪間順氏が「発掘から読み解く小田原城とその城下の変遷」を、東北学院大学教授の竹井英文氏が「城郭研究の現状と課題『杉山城問題』を通して」をテーマに語る。入場無料。当日参加可能。

 また小田原城天守閣4階企画展示室では2025年2月24日(月)まで、発掘調査で出土した遺物、堀や石垣の遺構写真などを展示する特別展が開催されている。詳細は小田原城公式HP。(問)小田原城総合管理事務所【電話】0465・23・1373

イベントのチラシ

パラスポーツに触れる 小田原アリーナで体験会

 「パラスポーツおだわら」が11月30日(土)、小田原アリーナのサブアリーナ(市内中曽根)で開催される。午前10時〜午後3時。市主催、城下町スポーツクラブ協力。

 パラスポーツの楽しさを実感し、障害についての理解を目的に開催。当日は「車いすバドミントン」や「ディスゲッター9」、「ボッチャ」などのパラスポーツ体験会や、小田原市出身でパリ2024パラリンピックのゴールボール競技金メダリスト鳥居陽生選手との交流会が開催される。また保健師による健康相談も行われる。

 入場無料で事前申込は不要。参加者は室内用運動靴を持参。問い合わせは障がい福祉課【電話】0465・33・1468。

紅葉と灯りのコラボ

11月30日12月1日 最乗寺で「灯りの祭典」 県西の灯り集う、出店も

 紅葉ライトアップ中の大雄山最乗寺(南足柄市)で11月30日(土)・12月1日(日)、初企画「あしがら灯りの祭典」が開かれる。午前10時〜午後9時。雨天決行。主催は、かながわ西観光コンベンションビューローなどで構成する実行委員会。

 境内や回廊に、南足柄市の金太郎ねぶた、大井町のひょうたんランプ、松田町のきらきらフェスタイルミネーションをはじめ小田原市、真鶴町、湯河原、中井町のちょうちんや灯篭を展示する。

 会場には地酒や甘酒、キッチンカーが並ぶほか、本堂で映画「二宮金次郎」11時〜、「じょっぱり 看護の人花田ミキ」2時30分〜を特別開催(大人2千円、こども1千円)。

 2日間、5時〜9時の駐車場利用は500円(限定お守り進呈)。大雄山駅から有料シャトルバスあり(5時30分〜8時30分、1時間毎)。

 問い合わせは事務局(同コンベンションビューロー)【電話】0465・20・9166。

約30人が清掃を行った

箱根LCが地域を清掃 強羅観光協会と合同で

 箱根ライオンズクラブ(LC)が11月14日、国内外のLCが行う「ワールドライオンズ奉仕デー」の一環として清掃活動を行った。

 他団体との交流や親睦を深める目的で、今回は箱根強羅観光協会との合同で実施した。当日は約30人が参加し、強羅から早雲山方面と宮城野方面の二手に分かれて、約2時間かけてごみ拾いなどを行った。

コルクをリサイクル

 また同LCは現在、捨てられるコルクをリサイクルする取り組みを展開している。「ホテルなどでワインの消費量が多い、箱根ならではの取り組みができれば」と担当者。コロナ禍で使用したアクリルパーテーションを再利用して回収ケースを制作し、設置可能な事業者を募っている。問い合わせは同クラブ【電話】0460・87・2139。

多様な「ともいきアート」の展示とスタッフら

横浜赤レンガ倉庫 ともいきアートが大集結 アール・ド・ヴィーヴルも参加

 「第1回かながわともいきアート展」が11月24日(日)まで、横浜赤レンガ倉庫1号館2階スペースで開催されている。神奈川県内で公募を行い、選考を通過した「ともいきアート」(障害者アート)80点以上が展示される。午前11時から午後8時。入場は無料。

 小田原を拠点に活動する(社福)アール・ド・ヴィーヴルは招待施設として参加し、24日に2つのワークショップ「塚本愛実画伯による似顔絵コーナー」(正午〜、500円)と、「みんなで大きな絵を描こう!」(午後2時〜、無料)を行う。メインビジュアルに起用された同施設利用者の作品も展示される。

 また、23日(土)午後5時には表彰式が開かれ、県知事や審査委員、観覧者などによって選ばれた各種受賞作品が発表される。(問)事務局【電話】045・620・0131

「アレグラ号」車内で写真展 就役10周年を記念して

 箱根登山電車3000形「アレグラ号」の就役10周年を記念して、車内で写真家・大橋史明さん=人物風土記で紹介=の写真展「ハレのひ」が開催されている。

 箱根の風景に溶け込むことをコンセプトに、2014年に就役したアレグラ号。写真展では、茜色の車両が四季折々の箱根の町を走る風景を撮った写真11作品を展示している。展示は3001号の一車両のみ。期間は25年10月31日(金)まで。

 大橋さんは「鉄道に興味のない人も楽しんで、魅力を再発見してほしい」と話す。大橋さんは展示作品に数点を加えたフォトブックを作成し、箱根湯本駅と強羅駅、同電車オンラインストアで販売している。(問)(株)小田急箱根【電話】0465・32・6823

公園でスケボー楽しむ イベントで多世代が集結

 小田原市東大友の上府中公園で11月9日、地場野菜マルシェや音楽ライブ等が行われた「サンクスギビングフェスタ」が開催された。当日はアトラクションとして、噴水広場周辺でスケートボードイベントも開催され=写真=、幅広い世代のスケーターや技を見守る観客でにぎわった。

 同公園ではスケートボード等の利用に制限はないが、土日祝日は噴水広場で時間が決められ、他では利用者と接触する恐れがある場合などは自主的に控えるよう看板表示や呼び掛けによってルールが伝えられている。

 この日はキッズスクールが行われたほか、トリック用の台が設けられるなど、多くのスケーターが1日を楽しんだ。公園関係者は「今日は終日利用としているが、これも日頃からルールを守るスケーターや理解を示してくれる公園利用者あってのこと。引き続き良好な関係を継続できれば」と話していた。

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小田原薬剤師会 健康増進に向け講座

 公益社団法人小田原薬剤師会(渡邊千括会長)が川東タウンセンターマロニエで10月27日に一般公開講座を開催、約90人が来場した=写真。

 同会は県西2市8町の薬剤師が所属。地域住民への薬事や健康の啓発を目的に、毎年公開講座を企画している。今年度は医療法人恵仁会松島病院の黒水丈次名誉院長を講師に迎え、「快便は健康な生活の基本〜知らないと損する排便のしくみ〜」をテーマに講演を実施。参加者は話に聞き入っていた。

 また同会の薬剤師によるお薬・健康相談等も行われた。渡邊会長は「薬剤師会は皆さまの健やかで豊かな暮らしを支えていく団体。ぜひかかりつけの薬剤師へ気軽に相談いただければ」と話す。

「郷土愛育んで」 おだわら学習帳とぬりえ寄贈

 「おだわら学習帳」「おだらぬりえ」が小田原市内の小学校と幼稚園、保育園に寄贈され、贈呈式が11月6日に小田原市役所で行われた=写真。

 同学習帳とぬりえは、小田原の未来を担う子どもたちに、郷土の歴史・文化・産業を知って親しみ、より地域に愛着をもって健やかに成長することを目的に協賛者と連携し、2017年から製作され、無償で配布されている。今回は地元企業と個人62者が協賛している。

 贈呈式には同配布実行委員会の神戸洋一さん、天野信一さん、熊谷和真さんの3人が出席。加藤憲一小田原市長と栁下正祐教育長に学習帳とぬりえを手渡した。

 加藤市長は「子どもたちも毎年楽しみにしています。大事に使わせていただきます」と感謝を述べた。

記録証を手にする神保さん

投てき五種で日本新 曽我谷津の神保さん マスターズ陸上

 小田原市曽我谷津在住の神保辰男さん(62)が、10月20日に茨城県で開催された「第65回茨城マスターズ陸上競技記録会」の投てき五種M60(60歳〜64歳)のクラスで日本新記録を樹立し、優勝した。

 投てき五種はハンマー投げ、砲丸投げ、円盤投げ、やり投げ、重量投げの合計点で競う。当日は記録が思うように伸びなかったが、最後に得意の重量投げで13・25mを記録、ライバルに約2mの差をつけ、見事勝利を掴んだ。

 神保さんが陸上競技に出会ったのは22歳のころ。公立中学で陸上部の顧問として部員の指導をしていたとき、「見ているだけではつまらない」と、トレーニングを始めたのがきっかけという。ときには部員とともに大会に出場し技を競うなど、次第に陸上競技にのめり込んでいき、49歳からマスターズ陸上へ出場するようになった。

 本業のミカン農家の仕事に励みながら、畑でのトレーニングが日課だという神保さん。今後について「体力が続くまで挑戦を続けていきたい」と、来シーズンに向けて意気込みを語った。

現地であいさつする遠藤理事長

さがみ信金 恒例旅行企画 今年も 年金受給者約400人が参加

 さがみ信用金庫(遠藤康弘理事長)が10月中旬から、年金受給者を対象にした宿泊旅行企画「第35回 さがみ旅クラブ」を開催した。今回は参加者約400人が全5グループに分かれ、紫式部ゆかりの花寺「石山寺」(滋賀県)や大原三千院(京都府)を巡り、温泉宿に宿泊する1泊2日の行程を楽しんだ。

 同信金による旅行企画は、添乗員と信金職員や看護師も同乗するなど、安全面に配慮して開催。初日のグループには遠藤理事長が現地に滞在し、参加者との交流なども行われた。

元セリエA記者・佐藤貴洋がFリーグ解析 1/Fゆらぎ 1/fゆらぎのような「五感に響く心地よさ」をFリーグで

 ハイリスクハイリターンも実らず。開始13分32秒で0-3の湘南は早々に5人攻撃のPP(パワープレー)を選択も、大分のPP返し3発もあり4-6負け。

 「点を取りに行くための作戦で、もちろんリスクはある」と伊久間監督。2連敗の湘南は上位グループから脱落の7位後退で正念場を迎えた。

 さて、この日は年に一度の南足柄市体育センター開催。なでしこフットサル教室&親子フットサル教室、ダンスショー、ライブ、和太鼓、そして観客によるスマホライトで緑一色に。

 選手監修のクラフトビールやカフェ、そしてサインボール投げ込みなどFリーグ開催による「非日常のお祭り感」の演出は心地よかった。

 

 

 

takaの目 試合採点&寸評

5/10点満点

湘南4-6バサジィ大分

(11/16 @南足柄体育センター)

 

前半から諸刃の剣で返り討ちとなったが、勝負に出たうえでの「結果論」。勝利への最善策だったと捉えて切り替えたい。南足柄開催を盛り上げた演出には「9」点を。

 

佐藤貴洋...

西湘高〜慶応大学を経て渡ったイタリアで日刊スポーツ「セリエA通信員」として元日本代表MF中村俊輔らを取材(2002〜07年)、帰国後はJリーグ、プロ野球などを取材(2007〜12年)。現在はライターやクリエイティブディレクターなどで活動中。小田原フットサルアカデミー(FAO)広報広聴委員会委員長。