横須賀・三浦版【3月21日(金)号】
AIで生成された脚本からレコーディングに取り組む生徒ら

生成AIで音声ドラマ 高校生有志が分業で作成

 児童生徒の創作活動を支援するNPO法人「みんクリ」(横須賀市若松町)の「AI創作部」に所属する高校生1年生らが、脚本作りに生成AIを活用した音声ドラマを作成し、3月17日から動画投稿サイトの「YouTube」上に公開した。1枚のイラストから着想を得て作られた作品で、脚本のほか出演・録音も生徒自ら担当した。

 生徒らが制作したのは全編4分40秒程の音声ドラマ『吉田の英雄』。文化祭の劇で主役を務める吉田をクラスメイトの樋口、渡辺の2人があの手この手で励まし、演技の上達を支える物語で、登場人物同士の軽妙な会話が特徴だ。

キャラ設定を反映

 制作のきっかけとなったのは、横須賀高校で美術部に所属する寺本香純さんが描いた1枚のイラスト(=下写真)。登場人物の3人が並んで歩く様子、服装、表情から同部の久保田眞子さんとキャラクターの性格などを設定し、簡単な物語のあらすじを作成した。

 作成したあらすじを生成AI「ChatGPT」に添付し、「このあらすじから音声ドラマの脚本を原稿用紙3枚分書いて」といった指示と、登場人物の性格や容姿、3人が知り合ったきっかけなどの具体的な背景情報を盛り込むと、指示通りの脚本が生成された。それをたたき台として改良を重ね、寺本さんの小学校時代の同級生に出演を依頼し録音。フリー音源から学校内の喧騒や効果音、AIで作成した主題歌を編集で加え作品として完成させた。

「できない」を補完

 普段から小説などに親しみ、創作活動に意欲のあった久保田さん。第三者視点の説明を盛り込めない脚本の作成に苦手意識を感じていたところ、同法人の高木康太郎さんの提案であらすじを素材に脚本を完成させた。寺本さんは「AIがなければ『こうなったらいいね』で終わっていたかもしれない。できないことを補完することで、初めて作品として日の目を見ることが出来た」と達成感をにじませた。

 今回初めて声優として演技に挑戦した出演者の3人も「夜に何度も練習した」「自分と真逆の性格のキャラクターを演じるのは難しかった」「演劇と違って声だけで感情を表現するところに面白さがあった」と制作を振り返った。

「スキル 必ず生きる」

 「子どもはみんなクリエイター」を標ぼうし、1つの作品を仲間との協力で作り上げる体験を提供する同法人。今回の制作を指導・補助した高木さんは「AIの活用スキルは今後社会で活躍する上で必須になる。現状、学校での取り扱いは難しい面もあると思うが、こういった民間の場で触れてみることでAIが得意なこと、人間がやった方が良いことを知るきっかけにしてほしかった」と取り組みの意図を話した。

 完成した『吉田の英雄』は二次元コードから視聴可能(YouTube)。久保田さんは「今回は5分程度の作品だったが、機会があれば長編の作品にも挑戦したい。より複雑なストーリーでキャラの魅力を深堀り出来たら」と今後の活動に向け意欲を見せた。

※『生成AI』とは、テキスト、画像、音声などを自律的に生成できるAI技術の総称

県内市町村 生成AI 約6割が利用 本紙調査 「業務の時短に効果」

 人工知能(AI)を用いて文章や画像を作成する生成AIが世界的に普及する中、業務に導入する自治体も増えてきている。神奈川県内33市町村のうち、導入済が12市町村で実証実験中を合わせ6割近い19市町村が生成AIを利用していることが、タウンニュース社の独自アンケート調査で明らかになった。

 同調査では1月1日現在の生成AIの導入状況や活用事例、効果、課題などについて県内の33市町村に聞いた。

 導入済みと回答したのは36・3%にあたる12市町村。実証実験中を合わせると19市町村(57・5%)が生成AIを利用していた。

議事録要約などに活用

 利用するすべての自治体が「効果があった」と回答。具体的には「業務の時間短縮」をほぼすべての自治体があげた。

 活用事例として多かったのは「あいさつ文案の作成」「議事録の要約」「企画文書の作成」「アイデア出し」など。さらに、「市長の動画・音声生成AIを使い『市長アバター』を作成し、英語で行政情報や観光情報を発信する」(横須賀市)、「ビッグデータを使った数値予測や行動最適化」(横浜市)、「Excel関数、VBAなどのコードの生成」(平塚市)などもあった。

 課題は、セキュリティー面や生成AIが作成した内容の正確性などに対する懸念のほか、生成AIを使いこなす人材育成や技術習得など、「使う側」の問題が多くあがった。

 未導入の自治体で「検討中」と回答したのは8自治体で、うち3自治体は導入を予定していた。実証実験はしたものの導入には至らなかったのは2自治体。そのうちの1つ大磯町は、「有効なものだとは思っているが、一般的なリスクを鑑みた。事業者の提案をもらいつつ、検討は継続していく」とした。

4自治体「予定なし」

 残る4自治体が検討も導入予定もなかった。

 未導入の自治体はいずれも「業務効率があがる便利な技術」という認識はある一方で、「導入費用」「セキュリティー」「技術面」「利用規約の策定」「専門知識を持つ職員がいない」などをハードルと捉えていた。

横須賀市 先進事例で他市けん引

 横須賀市は2023年4月に全国で初めて対話型AI「チャットGPT」を全庁業務に導入。導入後には全国の自治体から問い合わせが相次ぎ、同年8月には民間企業と連携し、地方自治体の生成AI活用の知見をまとめたポータルサイトを開設した。また同年度からは自治体や企業関係者を対象とした「生成AI合宿」を実施するなど、生成AI導入のけん引役として存在感を高めている。

 25年度からは新たに市立学校で生成AIサービスを導入する。期末テストなどの自動採点サービスや学級通信などの文章作成を支援し、教職員の長時間勤務の解消につなげる考えだ。市デジタル・ガバメント推進室では「業務の時間短縮や新たなアイデアの創出など、さまざまな効果がある。今後新たな生成AIがあらわれた際には有用性を検討し、前向きに取り組んでいく」としている。

女性ライフクリエイターによるプロジェクトチーム「C*(シーアスター)」の代表・プロデューサーを務める 中山 柚希(ゆずき)さん 横須賀市秋谷出身 32歳

課題解決、女性目線で

 ○…個人や社会の幸福度が高い状態を示す「ウェルビーイング」。世界保健機関憲章で用いられ、近年は企業経営や組織運営の文脈でも必須となっているこの概念に学生時代から向き合ってきた。特に若年女性に照準をしぼったマーケティングと商品開発はお手の物。「よこすか野菜」を切り口とした「横須賀おでかけプラン」の動画再生回数は早くも5万回を突破する勢いで、仕掛け人としての手腕が光る。

 ○…老舗菓子メーカーとの共同開発や製薬会社とタイアップした医薬品のPRなど、数多のプロジェクトに携わってきた。きっかけは青山学院大学時代、キャンパスコンテストで準グランプリに輝き企業から女子大生向け商品開発の協力を依頼されて。同年代女性が何を求めているか、幸福に結びつくものは何か。源流にあったものこそ今やビジネストレンドとなっているウェルビーイングの考え方だった。議論を重ねて、ターゲット層に商品を発信していく。開発者と消費者でWin─Winの関係性を作る。そんな仕事の面白さが今につながった。

 ○…TOPPAN(株)でマーケティング企画を担当。よこすか野菜のPR事業は会社の受託業務の一環だが、横須賀は中学生から社会人になるまで暮らした街。今も週末の余暇には趣味のSUPやレジャーで訪れる。「前から横須賀の活性化に取り組んでみたかった」と事業にかける熱量の中に郷土愛をのぞかせる。

 ○…カラフルで多種多様な種類があり、市内には収穫体験ができる施設もある。ブランド化や販促にとどまらず、野菜を中心に人の回遊を促す事業に昇華させる発想は自らの真骨頂。「ネイビーや海の街と思われがちだけど多様な魅力がある。横須賀の存在感を若い女性に発信していきたい」

基本協定を締結した横須賀市の上地市長(中央)と事業者グループの代表者ら

三笠公園 27年3月リニューアルへ 市と企業グループが基本協定

 施設の老朽化が進む横須賀市の「三笠公園」(稲岡町、約3・14ha)の改修を巡り、市は12日、大和リース(東京都)を代表とする企業グループと大規模改修に向けた基本協定を締結した。2027年3月末のリニューアルオープンを目指し、市内外に向けた新たな魅力を創造・発信する拠点として再整備する。

 同園の大規模改修は、音楽噴水の設置や敷地を拡張するなどした1984〜86年以来初めて。今回は民間資本を活用し、整備や運営管理を行う「Park-PFI」(公募設置管理制度)と指定管理者制度を活用する。整備・運営は同社や西武造園(東京都)など4社から成る「よこすか三笠パートナーズ」が担う。

 主な整備内容は管理事務所、大規模なマルシェなどを開ける大屋根広場(約500平方メートル)、芝生広場(約3千平方メートル)、大型エア遊具など。整備費は約14億2千万円で、国の交付金を活用し、国と市がそれぞれ約6・74億円、事業者が約7千万円を負担する。

 事業者からの提案では、開園後に年間100回以上のイベントを実施。通年の賑わい創出を図りながら年間来園者数を現在の190万人(2019年)から250万人まで増やす計画が盛り込まれている。

 この日、基本協定締結後の記者会見で上地克明市長は「さらに多くの人の心が踊る場所になることを期待している」と述べ、大和リースの角一吉昭横浜支社長は「地域活性化や課題解決に向けた整備運営をしていきたい」と抱負を語った。

豊かな生態系が残る「おおくす芦名堰の森」(市提供)

おおくす芦名堰の森 保存活用へ3者連携協定 自然観察会や環境学習も

 豊かな生態系を有する「おおくす芦名堰(ぜき)の森」(横須賀市芦名、0・23ha)の保存と活用に向け、市は12日、(公財)ニッセイ緑の財団(東京都)、(公財)日本自然保護協会(同)と連携協定を締結した。外来種駆除や環境学習などを通じ、将来にわたって生物多様性の保全を図る。

 同森は今年2月、生物多様性が保たれている区域として環境省の「自然共生サイト」に認定。その他、市内では野比かがみ田緑地など3カ所が認定されている。

 森にはかつて農業用に活用されていたため池を中心に二次林や湿地が広がっており、カワセミやカラスザンショウなどの動植物計240種が生息。これまでは有志のボランティア団体が保全活動を担ってきたが、メンバーの高齢化のため3月末の解散が決定。市は生物多様性の損失に歯止めをかける「ネイチャーポジティブ」の実現を掲げ、新たな枠組みで環境保全を図ることにした。

 今後はニッセイ緑の財団が中心となり、日本自然保護協会や市の指導や助言を受けながら外来種の駆除や地域住民や小学生を対象とした自然観察会、環境学習などを実施する。記者会見で上地克明市長は「3者の連携により、未来の世代により良い環境を残していく」と意義を説明した。

コミュニティーが生まれる場 「ぽんぽんマルシェ」

 浦賀地域を盛り上げる手づくりイベント「ぽんぽんマルシェ」が3月23日(日)、「喫茶 酒と宿と不動産」(横須賀市浦賀4の5の9)を会場に開かれる。美容と健康をテーマにしたワークショップや各種体験、多彩なジャンルのハンドメイド作家やアーティストによる作品販売がある。ビーガン焼き菓子やチュロスなどのスイーツも揃う。時間は午前10時から午後2時。

【問い合わせ】

kirara.tomoppy.2860@gmail.com

先進事例に学ぶ終活支援

 人生の最期を迎えるための準備を意味する「終活」の重要性が増している。核家族化や単身世帯の増加を背景に引き取り手のない遺骨などが社会問題化しており、「自分ごと」として捉える必要がありそうだ。

 三浦市社会福祉協議会と医療法人財団青山会の主催で3月29日(土)、「遺骨が鳴らす警鐘 終活支援について」と題した公開講座を開く。横須賀市職員で特別福祉専門官の北見万幸(かずゆき)氏を迎える。

 北見氏は個人の終活内容を市に登録する事業の発案者。先進的な取り組みが全国の自治体の模範となっており、現場の生の声が聴ける。

 会場はチェルSeaみうら多目的ホール(三浦市南下浦町上宮田3258の4)。時間は午後4時から5時40分。参加無料で申し込み不要。

 問い合わせは地域包括支援センター「リンク」【電話】046・887・0048。

北下浦ふるさとマラソン 雨ニモマケズ1400人快走

 横須賀市野比〜長沢の海岸通りをコースにした「第39回北下浦ふるさとマラソン大会」が16日に開かれた。雨・風・寒さが重なるあいにくのコンディションとなったが、約1400人のランナーが思い思いのペースで完走を目指した=写真。

 今回からRUNとスタンドアップパドル(SUP)を組み合わせたクラスも新設されたが、悪天候のためRUNのみとなった。大会は地元観光協会を主体としたボランティアスタッフで運営されている。

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横須賀しょうぶ園 春の訪れ フェア開催 花販売やフリマなど

 横須賀市阿部倉の横須賀しょうぶ園では3月30日(日)、恒例の「春のしょうぶ園フェア」が開催される。午前9時30分から午後3時。

 園内ではフリーマーケットや和太鼓演奏(午前11時)に加え、竹馬体験などができるキッズコーナー、販売・軽食コーナーが設けられる。販売コーナーでは堆肥の詰め放題や、同園で栽培した花ショウブの苗を購入することができる。

 今年は開催が例年より1週間遅く、「菜の花や桜の開花と重なり、春らしいしょうぶ園を楽しんでもらえるのでは」と担当者は来園を促す。入園無料(駐車場有料)で雨天中止。問い合わせは同園【電話】046・853・3688。

三浦半島ブルワリーガイド 個性派ビール飲み比べ 横浜市大生が制作

 かながわ信用金庫ほかで組織する「三浦半島地域活性化協議会」は、新しい観光コンテンツとして開発した「三浦半島のブルワリーをめぐる旅」のガイドブックを制作した=写真。

 「地ビール」とも呼ばれるクラフトビールが活況を見せていることに着目し、三浦半島に点在するブルワリーをつないで訪れるツアーを企画。2月に実施したモニターツアーは、募集開始後すぐに定員に達するなど人気を博した。同協議会では定番化を検討しており、合わせて個人の来訪を促す狙いでガイドブックも用意した。

 同協議会に参加する横浜市立大学の学生サークル「三浦半島研究会」のメンバーが取材・編集を担当。5つのブルワリーを訪問して商品の特徴や背景にあるストーリーをまとめた。ガイドブックはかながわ信金、横須賀市観光協会のホームページから入手できる。

協定書を交わした両校

神奈川衛生×三浦学苑 医療人材、進路の指針に 高専連携で協定

 神奈川衛生学園専門学校と三浦学苑高校は3月14日、高専連携に関する協定を結んだ。施設の利用や教職員・学生の派遣、実習受け入れなどを行い、相互の教育の質向上を目指していく。三浦学苑が専門学校と協定を結ぶのは初。

 三浦学苑は例年、学年の2割ほどが医療系の道へ進む。今回の協定を機に、実習などで現場を体験し、進路の判断材料としていく。また、衛生学園で行われる講座や定例行事などへ参加できるようになる。今後両校で調整し、施設の貸利用なども行っていく。衛生学園の笹倉淳子校長は「学生の行き来だけでなく、高齢化が進む横三地区で若者のエネルギーを使った企画が出来れば」としている。

 両校は、けが予防講座を開催するなどで以前から交流があり、今回はより密接な連携を深める目的で協定に至った。

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いきいき市民塾 平時から災害に備える

 市民活動に取り組む人から始めたきっかけやノウハウを学ぶ「いきいき市民塾」が3月29日(土)、横須賀市本町の市民活動サポートセンターで開かれる。参加無料。

 19回目となる今回は、災害発生地域で支援を行うほか、横須賀が被災地になった際、各地から集まるボランティアを管理する横須賀災害ボランティアネットワークの岩間道夫代表が登壇。「災害に備えて私たちにできること」をテーマに、被災地の現状や平時からの備えについて話す。

 午前10時から正午。詳細は【電話】046・828・3130。

海自横須賀教育隊の敷地内にある地下壕を調査する佐藤さん(左)。終戦間際に基地の地下化を目的に掘られた

東京湾要塞研究家の佐藤さん 「戦跡」に光当てるガイド本 クラファンで支援呼び掛け

 東京湾要塞研究家のデビット佐藤(本名=佐藤正弘/三浦市在住)さんが、旧日本軍が三浦半島に築いた砲台や陣地跡などの戦争遺跡(戦跡)を紹介するガイドブックの制作に取り掛かっている。明治初期から太平洋戦争終焉まで70年超の長きにわたる戦争のあゆみを戦跡に焦点を当てて伝えるもの。発行費用の一部を賄うためのクラウドファンディング(CF)もスタートさせた。7月の完成を目指している。

 佐藤さんは三浦半島を中心に神奈川県や東京都、千葉県などにある戦跡を独自に調査している在野の研究家。2018年からタウンニュース横須賀・三浦版で「東京湾要塞地帯を行く!」と題した連載を担当しており、これまでに紹介した約80件の戦跡をガイドブック用に加筆修正して写真を中心に平易な言葉で伝える。

 三浦半島に点在する戦跡を自分で歩いて見学することを想定しているが、いつでも見ることが可能な場所だけでなく、管理者への確認や申請が必要なもの、中には立ち入りが制限されているケースもあり、見どころと合わせて注意点などを盛り込んでいく。

 新たな取材にも着手している。2月には海上自衛隊横須賀教育隊(横須賀市御幸浜)の敷地内にある巨大地下壕を訪れ、本土決戦に備えて掘られた軍事拠点を調査。司令部や軍需物資の格納庫のほか、人間魚雷「回天」の格納庫と思しき場所も

あり、特攻作戦を伝える貴重な資料として取り上げる。

 2025年は太平洋戦争終結80年の節目の年。佐藤さんは、これに特別な意味を感じている。「80年という期間は、1868年の明治維新から終戦の1945年まで戦争を繰り返してきた77年間を超えている。私たちは戦争のない平和な時代を永遠に続けていくために、戦争の歴史とそこに至るまでの経緯を学ばなくてはならない」。ガイドブックをその発信ツールとして役立てていく考えだ。

 CFの目標額は50万円。支援者への返礼品として完成本の進呈や佐藤さんが案内する戦跡ガイドツアーへの招待などを用意している。CFを通さない直接の応援も募っており、同様のサービスを提供する。

 詳細はタウンニュース横須賀支社【電話】046・850・1290。

記念品を手にする児童と薬王寺さん(前列右)

アーティスト村 旅立ちに感謝込め 統合の田浦小に作品贈呈

 芸術活動を通じた地域活性化を目指す横須賀市田浦泉町のアーティスト村「HIRAKU」は13日、4月に長浦小学校と統合する田浦小学校の児童らに手作りの小皿の焼き物を記念品として贈呈した。

 2020年以降、同校の総合学習で土器の土作り、薪割り、窯焚きなどに協力してきた同村。今回の統合に際し、陶芸家の薬王寺太一さんや関係者らが記念品の贈呈を企画し、全校児童や教職員に向け、穴窯で約140個の土器を焚き上げた。

 企画を主導した薬王寺さんは「児童との交流はかけがえのない思い出。縄文土器が1万年以上残るように、思い出も残り続けたら」と話した。

 記念品を受け取った東江ソフィさん(6年)は「5年生の時の土器作りは楽しかった。学校が統合してしまうのは寂しいけど、最後に思い出の品をもらえてよかった」と笑顔を見せた。

 市によると、統合後の長浦小と同村の交流については未定としている。

市が発信する「横須賀おでかけプラン」のイメージ

よこすか野菜で食育体験 東西市域で「おでかけプラン」

 横須賀市はこのほど、市内で収穫される野菜や果物のご当地ブランド「よこすか野菜」を切り口に食育が体験できる「横須賀おでかけプラン」を発表した。東西市域を中心とした2プランがあり、子育て世代や女性に地場野菜の魅力や農業の魅力を提案する。

 女性のウェルビーイングに関する事業や商品開発に取り組む任意団体「C*(シーアスター)」(中山柚希代表=人物風土記で紹介)との協働で企画した。

 プランでは、野菜を通じた日帰りのお出かけコースをモデルとして提示。「おひさまプラン」は車での周遊を想定し、長井海の手公園ソレイユの丘の中にある体験農園での収穫体験や農産物直売所「すかなごっそ」での買い物を提案。電車移動を念頭にした「しおかぜプラン」では、ドブ板通りにある横須賀ビールで地産地消グルメを味わったり、新港町の大型商業施設「よこすかポートマーケット」での飲食や買い物を勧めている。

 市は市内で収穫される野菜や果物をよこすか野菜としてブランド化し、市内外での知名度向上やPR活動に取り組む。プランは魅力を発信する活動の一環で、子育て世代によこすか野菜を食材としてだけでなく、食育や日々の食卓を豊かにしてもらおうと考案した。

 プランの詳細は市ホームページ、PR動画は市公式YouTubeチャンネルなどで公開している。

作品を紹介する横須賀高校美術部の生徒ら

横須賀高校美術部 アートで明るい衣笠地下道

 衣笠十字路の地下道に、県立横須賀高校の美術部生徒らがデザインした壁面装飾パネルが3月17日から掲出されている。衣笠地域の商店街や町内会らでつくる「衣笠地域運営協議会」が地下道のイメージアップを図る目的で同校に協力を求めた。

 1972年に完成し、老朽化も進んでいる同地下道はかねて利用者から「暗くて不安」といった声が挙がっていた。これを受けて同協議会は2015年頃から、定期的な清掃やアロマオイルを設置するなどで利用者の安心を高める取り組みを進めてきた。

 アート作品の掲示はこの一環で行われ、これまで児童養護施設の春光学園や衣笠小学校、三浦学苑高校に依頼してきた。現在は6枚が掲出されており、衣笠山の桜や三浦一族など、主に衣笠地域をイメージした作品が並ぶ。

 昨年の夏休み明けから制作をはじめ1月末に完成した作品は、縦90cm・横180cm。部員9人でiPadに描画したデジタルイラストを印刷した。海や山といった横須賀らしさをベースに同校の校章にも用いられている菖蒲を散りばめ、さわやかな印象に仕上げた。部員から募ったデザイン案を原画に起こした副部長の山森凪紗さん(17)は、「少しでも地下道が明るくなれば」と願いを込めた。

 17日に行われたお披露目式で同協議会の鈴木敏夫会長は「このようなアート作品の掲出で地域活性化にもつながれば」と話している。

シンプルなルールのパラスポーツである「ボッチャ」

横須賀南西RC 「ボッチャ」で交流の輪 

 奉仕団体の横須賀南西ロータリークラブ(宮本清志会長)は15日、年齢や性別、障害の有無などを問わず、誰もが一緒に楽しめるユニバーサルスポーツの「ボッチャ交流大会」を横須賀市総合福祉会館で開催した。フリースクールに通う児童・生徒、障害者施設やグループホームの利用者など約90人が参加した。

 ボッチャはパラリンピックにも採用されているスポーツ競技。選手はそれぞれのチームに分かれて、青玉と赤玉をコート内にある白い的めがけて投じ、近づけた距離で勝敗を決める。単純なルールでありながら相手との駆け引きなどの面白さもあり、インクルーシブな交流ができると同クラブが判断して、今回のオープン例会に採用した。

 ゲームは、普段から同競技に親しんでいる三浦半島横須賀ボッチャ会がリード。車椅子利用者が「ランプ」と呼ばれる勾配具を使って玉を投げる場面もあった。湘南学院高校の生徒会メンバーもボランティア参加。進行役などを務めた。

わたしのまちでいきる 【36】「5領域」とのつながり「一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛」

 この連載では、障がいを持って生まれた娘うららとの歩みから、(一社)sukasuka-ippoのルーツなど、さまざまなエピソードを紹介します。

 令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定により、放課後等デイサービスにおいても新たに求められるようになったことがいくつかあります。中でも支援者にとって大きな変化と言えば、「5領域」とのつながりを明確化した個別支援計画の作成ではないでしょうか。

 5領域とは▽健康・生活▽運動・感覚▽認知・行動▽言語・コミュニケーション▽人間関係・社会性―で、将来自立した社会生活を送るための基準を指します。目標設定はお子さんごとに違いますが、onestepでは「一般プログラム」として、療育とこの5領域に基づいた全体活動を行っています。

 最近行ったプログラムでは、「気持ちの理解」をテーマに感情の種類を挙げていき、どんな時にどんな感情になるか、その中でも苦手なことや困ってしまうことはどんな時か、それぞれの体験から考えてみました。

 例えば、人前に立つと緊張して困るという子には、「深呼吸してみるといいよ!」とアドバイスが出たり。整理が苦手な子には「ものの場所を決めてみたらどう?」と解決策を提案してくれたり。共感が生まれることもあれば、反対に自分とは違う感じ方もあるんだという気付きになることもあります。

その後、「うれしい時は?」と話題が切り替わると、「好きなアイドルの動画を見た時!」など好きなものの発表大会となり、大いに盛り上がりを見せた回となりました。-次回に続く

現在の「狢湾」(軍港めぐりから)

OGURIをあるく 〜小栗上野介をめぐる旅〜第39回 横須賀編【5】文・写真 藤野浩章

「八間(けん)か・・・。では隣を見ると致そうか。あの山の向うにも入江がある」(第五章)



"大造船所"をどこに造るかは、かつて小野友五郎が提言した三浦半島横須賀村の貉ヶ谷(むじながや)湾(第32回参照)、隣接する横須賀湾がまず候補に挙がっていた。しかし加えて、1861年に完成して艦船の修理を行っていた長崎製鉄所を神戸に移転して拡張する案や、伊豆・戸田(へだ)港に建設するプランもあったのだという。江戸から離れた神戸や戸田だったら、あるいは日本の歴史が変わっていたかもしれないが、小栗は政治的な理由で決めたのではない。あくまでも実利で判断したのである。

 建設決定のわずか3日後、仏公使ロッシュらとともに、小栗は幕府艦・順動(じゅんどう)丸で横須賀へ向かっていた。それはもちろん、実際に見て測量するため。何事も徹底して自分で検分しないと判断しないのは、まさに小栗の特長と言える。誰かに薦められたり、机上の計算のみでは動かないのだ。

 船は横浜を出て南下し、野島、夏島を経て目的地へ至るが"貉ヶ谷湾"とは一体どこなのだろうか。本書にある「大地の鼻」「大山岬」「黒岩鼻」は普通の地図にはないが、横須賀市の都市計画図で見つけることができた。しかも大山岬の西側には「狢湾」の文字が・・・。現在は米軍浦郷倉庫地区にある小さな湾が、歴史的な舞台の1つになった場所だろう。しかも今もわずかに地名が残り、「軍港めぐり」から間近に眺めることができる。

 測量の結果、水深は4間半(約8m)。大型艦を考えると倍は必要だといい、冒頭のセリフになる。こうしていよいよ、船は運命の地を目指す。