都筑区版【4月3日(木)号】
吸着したCO2を原料に作成したガラス製品を手にする山本代表

株式会社レブセル 大阪・関西万博に出展 温暖化対策にも効果期待

 中川に本社を構える株式会社レブセル(山本健二代表取締役)が4月13日から大阪夢洲で開催される「2025年大阪・関西万博」に出展する。同社は大気中から回収した二酸化炭素(CO2)をガラスやコンクリートの原料にリサイクルする技術を開発している。山本代表は「地球温暖化の原因物質のCO2が有効な資源に変わる技術」とアピールする。

公式レストランにも

 同社が出展するのは、大阪ヘルスケアパビリオン内の「リボーンチャレンジ(RC)」ブース。ブースは、週替わりで400社を超える大阪の中小企業やスタートアップ企業が、新技術や製品を展示する。同社は、技術紹介を依頼している関西の代理店との共同出展という形で7月1日(火)から7日(月)まで出展する。

 同社は「レコライム」と呼ばれる吸着材を開発。レコライムは、空気中のCO2に触れると、化学反応でガラスの原料にも使われる炭酸カルシウム(CaCO3)と水を生成する特性を持つ。同社の技術を用いたガラス製造方法は、製品全体におけるCO2排出量を評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)で、従来の方法と比較してCO2排出量を最大9%削減できることが示されている。

 関西万博では、同社が開発したレコライムで、大気中のCO2を回収する空気清浄機付き装置(DAC/ダイレクトエアキャプチャー)と、装置で生成したCaCO3を原料にしたコップやテーブルウェア、横浜あおば玉田ガラス工房に依頼した風鈴などのガラス製品を展示する。またサントリー株式会社が運営する会場内のレストラン「水空 SUIKUU」でも、ビールグラスとして使用される。

 これらの展示を通じて、空気中のCO2を利用して作られた原料からガラス製品を作るという「炭素循環経済」の実現をアピールし、地球温暖化対策への意識改革を訴える。

「奇跡の連続」

 もともと「酸素カプセル」のメーカーに勤めていた山本代表は、高気圧高酸素環境下のカプセル内が、どのように細胞レベルで人体にプラス効果を及ぼしているかを研究するため、再生医療などの分野で大学との共同研究を視野に2014年に独立した。社名のレブセルは、「Reborn&Revolution Of Cell」の意味がある。

 酸素カプセル内はCO2が充満してしまうことから、上手に取り除くことが出来ればもっと効果が上がるのでは、と考えた山本代表は、20年の東京五輪に向けて新製品を開発。その矢先に、新型コロナウイルス感染症の拡大で、新製品の開発どころではなくなってしまう。

 しかし、知人のアドバイスで、カプセル内の気圧に関する技術を応用し、感染症対策用の陰圧室の開発に事業を転換。発熱外来用のプレハブなど簡易陰圧ルームを全国に販売・導入を成功させる。さらに異業種から医療・介護現場への参入に注目した大手メーカーが、「地球温暖化防止」のために同社のCO2回収の研究に興味を示し、共同での開発や研究が進んでいった。

 同社が開発したDAC技術は、温暖化の原因物質の一つとされるCO2を回収するだけでなく、ガラスやコンクリートの原料など新たな資源として再利用する「カーボンリサイクル」を可能にしている。日本を代表するガラスメーカーなどと研究開発を続けており、23年5月開催の広島サミットでも紹介された。

 今年1月には、50年の脱炭素社会実現を目指す神奈川県から、優れた取り組みとして第1回かながわ脱炭素大賞の先進技術・導入部門に選定。また4月1日付で横浜市の「横浜知財みらい企業」に認定されている。山本代表は「特にコロナ前後の道程は、山あり谷ありだったが、奇跡の連続だった」と振り返った。

「つづきの本ばこ」

「つづきの本ばこ」が開設 区南部待望の図書取次所

 新しい図書取次所「つづきの本ばこ」が3月29日、ららぽーと横浜=池辺町=3階北立体駐車場出入口付近に開設された。29日と30日にはオープニングイベントとして、読み聞かせや企画展示が行われた。

 図書取次所は、横浜市内の市立図書館で予約した本の貸し出しと返却ができる施設。都筑区には総合庁舎内に「都筑図書館」があり、1日あたりの平均入館者数や貸出冊数は市内18館で最多。しかし、区南部からのアクセス性が低いことが課題だった。そこで大規模な駐車場を備え、自家用車で来館しやすいららぽーと横浜に新たな図書取次所(名称・都筑南図書取次所)が設置された。

 「つづきの本ばこ」には、絵本を中心に小説や暮らしに役立つ本、都筑・緑図書館司書のおすすめ本など、約1200冊が置かれ、読書だけの利用も可能。約4000冊の予約本を収蔵でき、子ども用のスペース展示・イベントスペースも設置されている。

 開設にあたり、環境づくりや絵本の活用についてアイデアを提供したという、ゆうぽーと保育園の小川由利子園長は「目を引く特徴的な絵本がずらり。床にも絵本を置くことで子どもたちの目線にも入りやすい」と工夫点を絶賛した。

 本の予約や受け取りには、図書館カードの作成が必要。カードはオンラインまたは市立図書館や移動図書館で作成できる。図書取次所でカードは作成できないので注意が必要。利用可能時間は、平日は午前10時から午後8時まで、土日祝は午後9時まで。休館日は年末年始とららぽーと横浜の休館日。

近隣から「気軽に」

 オープニングイベントとして29日と30日には、絵本の読み聞かせや企画展示を開催。地域住民や親子連れなど、多くの人が訪れた。

 開設日に「つづきの本ばこ」で企画展示を観賞した、横田知香さん(池辺町在住)は「清潔感があり、入りやすい。今までは図書館が遠かったが、今後はここで気軽に本を借りられる」と喜びを口にした。

食堂や弁当販売に参加したメンバー

NPO法人ロクマル 食を通し、地域に活力 60代以上の居場所提供 

 「人生100年時代」といわれる現代。都筑区の「NPO法人ロクマル」(有澤厚子理事長)は、食を通した活動や関連するセミナー・講座などの開催で、60代以上の高齢者が地域社会と交わり、元気に過ごせるための場を提供。地域の活性化につなげる活動を続けている。

シニアでもない高齢者でもない

 「ロクマル」は2011年、事務所が入るビル2階の厨房付きコミュニティースペース「みんなのキッチン」を使い、食を通した地域交流をきっかけに活動を開始した。

 理事長の有澤さんは、元々雑誌社で働いた経験を持ち、1999年に地域コミュニティー紙を創刊。地元の主婦から企業の社長まで、さまざまな人々を取材する中、注目したのが、地域で活躍する、特に60歳前後の女性の「働き方」だった。「経済的な理由で働く人がいる一方、女性は子育てや介護などで働く機会が少なかった人もおり、自分らしさや生きがいなど、若い頃には『したくてもできなかった』働き方を追い求める人たちがいる。そうした女性たちの働き方を支援できないか」と思案。「食べて・語って・仕事が生まれる」をコンセプトに「食」を通じた地域のつながりを生む場として、60代の調理チームを結成。これが「ロクマル」へと発展していく。

 有澤さんは「60代は子育ても終わり、会社や家計のために働くことから解放される『人生最高の時期』」と定義。高齢者でも、シニアでもないことを表現するため、数字の60を「ロクマル」と読み、自分の力を生かし柔軟に働く60代を「ロクマル」、50代を「プレロクマル」とネーミングした。

得意を生かし作る活躍の場

 コロナ禍を経た現在の主な活動は、「みんなのキッチン」での食堂運営と弁当販売(毎週水曜、4月から弁当販売は毎週木曜)のほか「IT」「健康」「世代間交流」「居場所づくり」など「ロクマル世代」と一緒に喋りたい、知って欲しい、といったテーマでの講座やセミナーなどの開催。地域活動への参画につなげるための場を提供し、60代以上が地域社会と交わり、活躍し、心豊かな人生を送ることを応援している。

 「みんなのキッチン」では、毎月1回(第2土曜)、定年後の男性がパン作りを学び、販売する「パンじいちゃんのパン食堂」を実施。食堂の開店日に合わせて行う「健幸体操」教室やコロナ禍を機に一人暮らしの高齢者などに一言添えて弁当を届ける「お手紙弁当」なども人気の活動だ。

 セミナーや講座では東京大学名誉教授で、『おひとりさまの老後』の著者としても知られる上野千鶴子さんや「高齢社会をよくする女性の会」理事長の樋口恵子さん、世界最高齢のプログラマーとして知られる若宮正子さんなどが講師として登壇している。

多様化する活動70、80、90も

 コロナ禍がきっかけで始まった「お手紙弁当」は、「手書き」の良さを見直し、「古くて新しいコミュニケーション」として新たに手紙書き講座や交流会にまで発展している。また昨年、自転車で横転。骨折し、杖をつく生活を強いられた有澤さんは、「今後は杖をつく人が増えるかも」と「杖の輪談義」 を開催。好評で4月23日(水)には、第2弾を開催。当日は杖アドバイザーによる杖の選び方指導も行われる。

 時代と共に活動も多様化。「今のロクマルは元気。70(ナナマル)、80(ハチマル)、90(キュウマル)になっても元気でいるために、今からできる準備を」と有澤さんは笑った。

 ロクマルの活動について知りたい、参加したい人のために4月12日(土)午後1時30分から「みんなのキッチン」(エルドラード横浜2階)で活動説明会が行われる。

 問合せはロクマル事務局【電話】045・944・1714、メールminna@dassama.com

▲厚生労働省発表データより作成

健康寿命の延伸めざす 「体力年齢」知りロコモ対策

 日本人の平均寿命は延びているが、健康寿命との差は「不健康な期間」を意味するとされ、この期間を短縮するには、運動器の障害により歩行などの移動機能の低下をきたす状態「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」への対策が重要だ。横浜市スポーツ医科学センター(港北区小机町)のスポーツ版人間ドック(SPS)では、ロコモに関する体力要素を測定し、専門家がアドバイスを行うことで、健康寿命の延伸に取り組んでいる。

要介護・要支援の原因は

 2022年の統計で、日本人の平均寿命は男性81・05年、女性87・09年である。一方、健康寿命は男性72・57年、女性75

・45年であり、日常生活に制限のある「不健康な期間」が生じている=左図。この期間を短縮するには、早い時期から疾病・介護予防に取り組むことが大切である。

 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、要支援になった原因の上位にあがるのが、骨、関節、筋肉といった運動器の障害。日本整形外科学会は、運動器の障害により歩行などの移動機能の低下をきたした状態を「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」として提唱している。

 ロコモが進行すると、将来介護が必要になるリスクが高まる。要支援、要介護になる原因のトップは、転倒、骨折や関節の病気などの運動器の故障であることはあまり知られていない。

ロコモ度を測定

 便利な移動手段の多い現代社会では、日常生活に支障がないと思っていても、ロコモになったり、すでに進行していたりする場合もある。また、高血圧など生活習慣病のある人は、比較的若い頃からロコモの原因となる病気にかかりやすいこともわかっている。自身の状態は、ロコモ度を測ることで簡単に判定することが可能。すでにロコモの場合も、それ以上進行させないことが重要だ。

専門家からアドバイス

 横浜市スポーツ医科学センターのスポーツ版人間ドック(SPS)では、ロコモに関する体力要素である、歩行速度、脚筋力、バランス能力、柔軟性、骨量、体組成などの測定を実施し、利用者の体力年齢を測定する。判定後は、医師、管理栄養士、スポーツ科学員などの専門スタッフが、スポーツ医科学に基づいたアドバイスを行う。

 検査内容は、血液検査・尿検査・血圧/脈拍・胸部レントゲン・安静心電図・運動負荷心電図・骨量・内科診察・食事調査・身長/体重・体脂肪率・全身反応時間・片脚立ちバランス・脚筋力・脚伸展パワー・長座体前屈・握力・最大歩行速度・運動問診と多岐にわたるが、検査・測定から結果返却まで1日で終わるのが特徴。一人ひとりの結果に応じて、運動や食事を含む生活習慣の改善に向けた具体的な個別アドバイスを実施する。

 同センターのスポーツ科学員、吉久武志さんは「スポーツや運動をしている人の利用も多いですが、逆にほとんど運動習慣がない人もいます。また働く世代もコロナ以降の在宅ワークなどで出勤の機会が減り、運動量が減っている方もいます。身体機能の低下で将来寝たきりにならないためにも、体力年齢を気にしてほしいですね」と話す。同センターには、各種運動・スポーツ教室やプール、トレーニングルーム、医師の診断に応じた運動療法を行う「メディカルエクササイズコース(MEC)」が設置されており、結果を受けたアフターフォローも可能としている。

 SPSの料金は、横浜市民は1万5000円、65歳以上(横浜市民)の高齢者は半額の7500円になる(保険適用外)。予約・問合せは、同センター【電話】045・477・5050へ。

女子プロレス団体「スターダム」に所属し、デビュー10周年を迎える なつぽいさん 都筑区出身 29歳

戦う都筑の「妖精」

 ○…デビューのきっかけは「スカウト」。最初は「プロレスの『プ』の字も分からない」と断ったが、現在所属している「スターダム」の試合を見て魅了された。19歳でデビューし、少女時代からの愛称をリングネームに全国各地のファンの声援に応えてきた。「今はもう、プロレスなしの生活は想像できない」と10年の重みを語る。4月27日の大会「オールスターグランドクイーンダム」は憧れの横浜アリーナで開催。気合は十分。

 ○…川和東小・川和中卒。3歳の頃から芸能事務所に所属し、アイドルとして活動した時代も。12年ほど打ち込んだバトントワリングでは、全国大会出場など、華やかな成績を誇る。アクロバットな動きや忍耐強さは、プロレスにも活かされているという。「何度も『逃げ出したい』と思ったが、踏みとどまれたのは、バトントワリングのおかげ」と笑顔。

 ○…個性溢れる選手が集うスターダム。自身に付けた異名は「ハイスピード・フェアリー」。「小柄な体格と『いたずらっ子でチャーミング』な印象の妖精。自分にぴったり」。その名の通り、試合中は持ち前のスピードを活かし、相手選手をかき乱す。心が折れそうになる瞬間もあるが、観客の声援を力に変える。「リングを囲う観客席。360度から声が届く。やりがいを感じる瞬間」とプレーヤーとしての魅力を語る。

 ○…プロレスをより知ってもらうために活用しているSNS。あえてメイクや日常など、プロレス以外の写真を載せている。「SNSきっかけで試合を見に来てくれる若者が増えた」と効果を実感。地元での活動も活発化させる予定で「まずは母校を訪問したい。都筑の子どもたちに夢を与えられたら」と地元愛を見せた。

真っ二つに折られた桜の木=提供写真

山田富士公園 桜の木、再び折られる 7年前、北山田小児童らが植樹

 北山田の山田富士公園に植樹された桜の木が、何者かに折られる被害があった。同公園愛護会の栗原紘二会長が3月23日に確認。翌24日に都筑土木事務所を通して、都筑警察署に連絡。パトロールの強化などを要望した。被害届は出していない。

 桜の木は「ジンダイアケボノ」という種類で、2018年に北山田小学校の3年生(当時)が植樹したもの。今回折られた桜は、樹勢が芳しくなかったため、同公園愛護会が都筑土木事務所に働きかけ、3月18日に公園南側に移植したばかりだった。

 児童たちが植えた桜は、数年前にも被害に遭っており、今回が2度目。前回折られた桜は栗原会長らが接ぎ木など「延命措置」を施し、現在は幹が直径5cmほどにまで成長している。

さくら祭り後にも被害

 同公園では3月29・30日に「北山田さくら祭り」が開催されたが、祭り終了後に、別の木がおられる被害も見つかっている=左写真。

寄贈楽器の贈呈式=提供写真

中川西中吹奏楽部 演奏の楽しみ、いつまでも 「支援する会」が楽器寄贈

 中川西中学校吹奏楽部の定期演奏会が3月28日、青葉区のフィリアホールで行われた。2部構成の演奏会では、1部と2部の合間に、保護者らが中心となって立ち上げた「中川西中学校吹奏楽部を支援する会」から、区民らから寄贈されたフルート、トランペットなどの楽器の贈呈式が行われた。寄贈を受け、部長の中村日向さん(2年)は「新しい楽器のおかげで活動の幅が広がるので嬉しい」と喜んだ。

楽器無くて廃部「絶対に避けたい」

 「支援する会」は、学校楽器の老朽化に直面する子どもたちをサポートしようと2024年1月、当時の現役部員の保護者が中心となって設立された。

 吹奏楽部の楽器は、学校楽器として一通り揃ってはいるものの、修理や買替えに高額な費用が掛かるため、長年据え置きになっていることが多い。1990年開校の同校も、創部当初から使用している楽器もあり、演奏に支障をきたす状態のものもあるという。

 支援する会代表の神田美保さんは、「子どもたちが平等に音楽を楽しむ環境がなくなってしまう」と思案。全国で使われなくなった「休眠楽器」の寄贈を呼び掛ける吹奏楽部があるという報道を目にし、保護者に声をかけ、支援する会を発足した。神田さんは「将来、『中川西中の吹奏楽部は楽器が無くて廃部した』という状況は何としても避けたい」と活動への思いを口にした。

 神田さんらは、同部の現状を知ってもらい、寄付および休眠楽器の寄贈を呼び掛け。活動資金確保のためにオリジナルグッズを販売したり、学区内の個人・企業にチラシを回覧したり、中川地区のイベントに出店するなどしてPRを行った。

地域が活動理解思わぬ高額支援

 活動を始めた当初は「楽器購入までは至らないかも」と思っていたという神田さん。しかし、蓋を開けてみると1年間で37万8552円の寄付金とフルート2本、トランペット、コルネット、ドラムの練習パッド2個が寄贈された。楽器は「中学時代に使っていた」という人や「仕事をリタイアした後に趣味で使っていた」という人から寄贈された。また夏まつりなどで演奏する同部の姿を覚えていて「これまで地域活動に熱心だったので、困っているのなら助けたい」と寄付を申し出る人もいたという。顧問の石井智大さんは「色々な場所で演奏する機会はあったが、地域の方の生の声を聴くことはなかったので、吹奏楽部のことを気にし、応援してくれる人がいると聞いて驚いた」と感謝した。

 「支援する会」は今後、3月に卒業した部員を新会員として迎え、新年度のスタートを切る。毎年卒業生を加え、いずれは「同窓会」へ発展していければと神田さんは将来像を思い描く。「10年経てば今年度の卒業生が大人になって引き継いでくれると思う。それまでは代表を続ける覚悟」と腹をくくっている。

JA横浜青壮年部都田支部 「革新的」農福連携で日本一

 全国農協青年組織協議会(JA全青協)が主催する「第71回JA全国青年大会」がこのほど開かれ、JA横浜青壮年部都田支部が、「JA青年組織活動実績発表全国大会」で最優秀賞に輝いた。

 同支部のメンバーは3月26日に市役所および区役所を訪れ、山中竹春市長、佐々田賢一区長に受賞の報告を行った=写真は都筑区役所。3月まで支部長を務めた角田隆一さんは、「都筑区をはじめ多くの方に協力をいただいたおかげで最優秀賞を獲得することが出来た」と謝辞を述べた。佐々田区長は「農福連携は障害者の社会参画と農家の人手不足という双方の課題を解決する意味のある取り組み。都市農業の可能性を大きく広げたのではと思う」と賛辞を送った。

横浜モデル、全国へ

 JA全国青年大会は、青年農業者の思いや組織活動の優良事例の発表などを通じ、全国の青年部員の交流と活動の強化・発展を目指し、毎年開催されているもの。大会では「JA青年の主張の部」「活動実績発表の部」「PR動画コンテスト」の3部門で、全国8ブロックから勝ち上がった代表が「日本一」を争った。

 都田支部は、「農福のトリセツ〜新たな挑戦『横浜モデル』〜」をテーマに、同支部が区内の福祉事業所と取り組んでいる活動を紹介した。

 農福連携は、農家の人手不足解消と障害者の社会参画などを目指した取組。区内の福祉農園を運営する同支部では、30年以上に渡り、地元の福祉事業所とサツマイモ掘りの体験事業を続ける実績を持っていた。

 同支部の本格的な連携のきっかけはコロナ禍の4年前。今大会でプロジェクトリーダーを務めた田丸秀昭さんが、農協の関連会社から農福連携事業への取り組みを提案されたこと。収穫作業や草むしりなど一部の業務を委託。賃金を工程ごとに設定し、農家が作業した場合に係る時間をもとに賃金を算定した。

 手応えを感じた田丸さんは、取り組みを部全体に拡げることを提案。さまざまな形態の農家と福祉事業所が参加しやすいよう、委託作業の内容や委託料の算定基準などを共有する「トリセツ」作りを目指した。

 同支部では、行政にも取り組みを紹介。都筑区では、障害者施設支援事業として、対象となる事業所に農作業に必要な資機材の購入に使える補助金を設立。また区内の障害者事業所が「地域の中で安定して生活できる環境づくり」を目的に発足した障害者事業所ネットワーク「てつなぎつづき(野々垣睦美会長)」との連携を提案。各農家の業態に応じた作業依頼に対し、事業所の特性や施設の規模などに応じてきめ細かなマッチングを可能にした。作業に係る工賃は県の最低賃金を基準に算定。福祉事務所側からは「工賃の算定フローがフェアトレードで革新的」と喜んでもらっているという。また同支部の取り組みは「横浜モデル」として、大会後に、興味を持った全国の支部から問合せが増えている。

 なお同大会で同支部は「PR動画コンテストの部」でも優秀賞に選ばれている。

横浜市歴史博物館 魅力向上へ、事業展開 会員制度、寄附募る

 横浜市歴史博物館(佐藤信館長)は、開館30周年の記念事業やその先の魅力向上につながる事業展開を見据え、会員制度「横浜レキハク・パートナーズ」の入会や寄附を通じた支援を募っている。

 同館は、開館30周年の記念特別展をはじめ、歴史劇場上映コンテンツの作成、歴史未来フェスの開催など、さまざまな事業を予定している。

 横浜レキハク・パートナーズはこれらの事業をはじめ、今後、地域社会や文化活動のニーズに合わせた取組を展開するための財政支援を目的とした制度。年度内に一定額の支援金を支払うと、金額に応じた特典・サービスを受けられる。

 寄附の場合、公益法人への寄附金となり、個人は所得税・住民税、法人は法人税の税制優遇を受けることができる。

30周年記念特別展

 同館は4月26日(土)から開館30周年記念特別展「横浜の文化財」を開催する。テーマはパート1が「修復」で6月1日(日)まで。パート2は「伝承」で、6月14日(土)から7月27日(日)まで。

 (問)【電話】045・912・7777(同館)

なつぽいさん(左)と佐々田区長

なつぽいさん デビュー10周年を報告 区長を表敬訪問

 都筑区出身のプロレスラー、なつぽいさん=人物風土記で紹介=が3月26日、区役所を表敬訪問し、プロレスラーとしてのデビュー10周年と4月29日(火)に横浜アリーナで開催される大会「オールスターグランドクイーンダム」への出場を報告した。

 なつぽいさんは、3歳からタレント活動を始め、19歳のときにプロレスデビュー。この日は佐々田賢一区長らを訪問し、10周年を振り返るとともに「都筑区での活動を活発に行っていきたい」と地元貢献の意思を語った。

 佐々田区長は「都筑区を盛り上げるために協力してくれたら、うれしい。身体には気を付けて」と話した。

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都筑区から5人が受賞 商議所の優良産業人表彰

 横浜商工会議所は、永年勤続や優秀な功績を讃え「優良産業人」として、会員企業の事業主と従業員を表彰している。69回目の今年度は事業主4人と従業員97人を表彰。都筑区からは事業主1人と従業員4人が受賞した。

 受賞者は以下の通り(敬称略、カッコ内は事業所名)。【事業主の部】児玉崇(今井工業株式会社)【従業員の部】木村みどり(株式会社サカタのタネ)、相澤淳也(日本郵便株式会社横浜桜並木郵便局)、中山勉、幸村真由美(以上、株式会社スリーハイ)

昨年400本の苗木を植えた桑畑

牧野造園 「桑畑に井戸を」 クラファン開始

 佐江戸町で造園業を営む株式会社牧野造園(牧野幸太代表取締役社長)が、桑畑に井戸を掘る資金をクラウドファンディングで募っている。期間は4月末まで。目標金額は300万円。

子どもたちに養蚕の体験を

 養蚕は、かつて横浜を代表する産業の一つで、多くの小学校で蚕の飼育を行っていた。しかし市内に養蚕業者、桑栽培農家は無くなり、飼育する小学校も年々減少傾向にある。

 同社では改めて養蚕に光を当て、子どもたちが養蚕・製糸体験ができる場づくりを目指すため、「シルクウッズ横濱」というプロジェクトを立ち上げた。

 昨年3月に旭区の休耕地に、桑の苗木を400本植え、桑畑に。夏には高さ2mを超えるほどに成長する木もあり、2026年から養蚕を開始する予定でいる。

 一方で、畑には上下水道が通っておらず、桑の葉の洗浄や用具の洗浄などに使用する水を確保するため、井戸を掘ることを決意。そのための資金をクラウドファンディングで協力を求めるという。井戸掘りは今年8月の着工、11月の完成を目指す。

 寄付に対するリターンは金額に応じ、ホームページへの名前掲載や同社製造の竹炭、絹製品など。牧野社長は「教育の観点からも日本のシルク文化の継承のためにも」と協力を呼び掛ける。問合せは牧野造園【電話】045・941・4764。

横浜スカーフ親善大使に選ばれた4人

13代目 スカーフ大使決まる 多様な魅力を発信

 横浜生まれのシルク製品ブランド「横浜スカーフ」の魅力を伝える「横浜スカーフ親善大使」の13代目メンバーが、このほど決定した。

 横浜繊維振興会(松村俊幸会長)が毎年公募しているもの。今回は34人の応募があり、(写真左から)中村美紀さん(24)、鈴木理央さん(21)、伊豆莉乃さん(19)、水木香さん(43)が選ばれた。年齢や職業、経歴が異なる4人が様々な立場から1年間、横浜スカーフをPRしていく。大使の一人は「ファッションはもちろん、防寒などの機能面でも優れているスカーフの魅力を伝えていきたい」と意欲を見せた。

 4月19日(土)・20日(日)に象の鼻テラス、26日(土)〜5月6日(火)にシルクセンターで行われる「横浜ファッションウィーク」で初お披露目となる。

 詳細はhttps://www.yokohamascarf.com/

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※『生成AI』とは、テキスト、画像、音声などを自律的に生成できるAI技術の総称

県内市町村 生成AI 約6割が利用 本紙調査 「業務の時短に効果」

 人工知能(AI)を用いて文章や画像を作成する生成AIが世界的に普及する中、業務に導入する自治体も増えてきている。神奈川県内33市町村のうち、導入済が12市町村で実証実験中を合わせ6割近い19市町村が生成AIを利用していることが、タウンニュース社の独自アンケート調査で明らかになった。

 同調査では1月1日現在の生成AIの導入状況や活用事例、効果、課題などについて県内の33市町村に聞いた。導入済と回答したのは36・3%にあたる12市町村。実証実験中を合わせると19市町村(57・5%)が生成AIを利用していた。

議事録要約などに活用

 利用するすべての自治体が「効果があった」と回答。具体的には「業務の時間短縮」をほぼすべての自治体があげた。

 活用事例として多かったのは「あいさつ文案の作成」「議事録の要約」「企画文書の作成」「アイデア出し」「翻訳」など。さらに、「市長の動画・音声生成AIを使い『市長アバター』を作成し、英語で行政情報や観光情報を発信する」(横須賀市)、「Excel関数、VBAなどのコードの生成」(平塚市)などもあった。横浜市はそのほか、「議会想定問答文案の作成」や「数値予測や行動最適化」もあげた。「今後も研修や活用事例の発信を随時行うとともに、課題解決に向けた検討・調査を行い、より効果的な活用と利用の定着に向けた取組を進めたい」としている。

 課題は、セキュリティー面や生成AIが作成した内容の正確性などに対する懸念のほか、生成AIを使いこなす人材育成や技術習得など、「使う側」の問題が多くあがった。

 未導入の自治体で「検討中」と回答したのは8自治体で、うち3自治体は導入を予定していた。実証実験はしたものの導入には至らなかったのは2自治体。そのうちの1つ大磯町は、「有効なものだとは思っているが、一般的なリスクを鑑みた。事業者の提案をもらいつつ、検討は継続していく」とした。

4自治体「予定なし」

 残る4自治体が検討も導入予定もなかった。

 未導入の自治体はいずれも「業務効率があがる便利な技術」という認識はある一方で、「導入費用」「セキュリティー」「技術面」「利用規約の策定」「専門知識を持つ職員がいない」などをハードルと捉えていた。

横浜市 地域防犯力向上へ補助金 町内会に上限20万円

 横浜市は、住民一人ひとりの防犯意識や地域の防犯力を高めることを目的とした「地域の防犯力向上緊急補助金」制度を4月から開始した。

 対象は、自治会町内会や地区連合町内会が実施する、地域の防犯力向上に向けた公益的な取組。防犯パトロールの実施や活動に必要な物品の購入、防犯啓発グッズの作成・購入、センサーライトや防犯カメラの整備や設置、防犯講座の開催などに対して補助金が支給される。

 補助率は10分の9、上限額は1団体あたり20万円。団体内で取組の内容を決め、実施後に申請、請求する(1団体につき申請は1回)。取組と申請の受付期間は10月31日(金)まで。請求書の最終提出期限は12月26日(金)。

 昨今、「闇バイト」による強盗事件などが各地で発生している。自助・共助・公助を組み合わせた社会全体での防犯対策の強化が求められている。市の担当者は「必要な対策は地域ごとに異なる。団体内で話し合い、決めることで、地域の防犯力向上への自主的な活動の推進やコミュニティの活性化につながれば」と話す。

 市のホームページでは、神奈川県警察公式アプリやNPO法人神奈川県防犯セキュリティ協会のホームページなど、取組の参考となる防犯関連情報を紹介している。

 問い合わせは、防犯緊急補助金受付センター【フリーダイヤル】045・550・5125まで(土日祝除く午前9時から午後5時)。

山中市長(左)に宣誓を行う職員

新職員746人が新たな一歩 横浜市採用式

 4月から横浜市の職員となった人の「採用式」が1日に関内ホール=中区=で行われた。

 採用されたのは事務職、技術職、医療技術職、技能職の計746人。式では4人の代表が山中竹春市長から辞令を受け取った。

 代表で宣誓を行った女性職員は「横浜市民の奉仕者であることを認識し、誠実かつ公正に良心に従って職務を執行することを誓います」と述べた。山中市長は「これから皆さんと働けることにワクワクしている」と期待を込めたメッセージを送った。

横浜市会議事堂(資料写真)

横浜市長選立候補表明の高橋徳美市議が自民会派離団

 横浜市長選挙(7月20日告示、8月3日投開票)への立候補を表明した金沢区選出の高橋徳美市議が3月31日付で自由民主党横浜市会議員団を離団したことが発表された。

 また、同日付で港南区選出の山田桂一郎市議が日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会を離団し、保土ケ谷区選出の関嵩史市議とともに新しい会派「地域政党よこはま」を結成したことも発表された。

 これらの動きに伴う横浜市会の会派構成は次の通り。▽自由民主党33▽公明党15▽立憲民主党12▽日本維新の会・無所属の会7▽日本共産党5▽民主フォーラム5▽地域政党よこはま2▽無所属7

提案を行う生徒ら

茅ケ崎中学校1年生 企業の課題に生徒が「メス」 職業講話で提案

 茅ケ崎中学校の1年生は3月13日、「課題解決型職業講話」を実施。参加企業11社の課題解決に向けた提案を行った。

 同講話は、参加企業の抱える課題に対し、生徒らが解決策を提案するもの。NPO法人アスリード(杉野瞳代表理事)の企画・運営のもと実施され、都筑区内からは株式会社スリーハイ=東山田=が参加した。

 スリーハイの課題は「本社と第2・3工場間の交流不足」。生徒らはトランシーバーを活用した交流や月に1度、従業員の誕生日会を開くなど、多様なアイデアを提案した。スリーハイの担当者からは「素晴らしい提案の数々。社内に持ち帰り、検討したい」と好評の声が挙がった。

横浜知財みらい企業 区内から新たに2社

 (公財)横浜企業経営支援財団と横浜市は、4月1日付で新たに「横浜知財みらい企業」として17社を認定した。

 都筑区からは、株式会社ビーイング・ワン=荏田東=と株式会社レブセル=中川=の2社が認定された。

 「知財みらい企業」は、独自技術やノウハウなどの「知的財産」を生かした経営に取り組み、優れた製品やサービスを作り出す中小企業を認定する制度。認定を受けると関連する助成金が受けられる他、一部融資で優遇措置がある。認定制度は2011年度から始まり、認定企業は今回の17社を含め139社になる。

政治の場「男女平等と感じる」1割 市民意識調査で明らかに

 横浜市が実施した男女共同参画に関する市民意識調査の結果が3月28日に発表され、政治の場で男女の地位が「平等」と感じている人の割合が1割にとどまることなどが明らかになった。

 調査は市内の18歳以上を対象に昨年9月から10月にかけて実施し、1667人から回答を得た。

 男女の地位の平等感について、▽家庭生活▽就職活動▽職場▽学校教育▽地域活動▽政治▽法律・制度▽社会通念・習慣・しきたり―の8項目を聞いたところ、学校教育では「完全に平等になっている」と「ほぼ平等になっている」と回答した人が合わせて53・3%で最も高かった。それに対し、政治では10・1%と最も低く、「男性の方が優遇されている」と「どちらかといえば男性の方が優遇されている」を合わせた回答は75・6%だった。

「らしさ」期待 女性6割

 日常生活での男女の役割期待に関する質問では、回答者全体の7割以上が「『女/男らしさ』を言われたり期待されたりした経験がある」と回答した。この経験に対し、女性の62・8%、男性の40・5%が不都合さや不快感、生きづらさを感じるとしている。

家事分担 理想と現実乖離

 家事・育児・介護の分担割合の理想については、男女ともに回答者の約5割が「あなたと配偶者等が同じ割合」と回答した。しかし、実際の分担割合は、女性の39・0%が「自分が8〜9割」を担っていると回答。対照的に男性は最多が「自分が1〜2割」の40・2%で、理想と現実の間に大きな乖離があることが明らかになった。

 共働き世帯の平日の家事・育児・介護に費やす時間も、夫の平均時間が2時間26分であるのに対し、妻の平均時間は5時間25分と、妻の方が約3時間長い。

 男女共同参画社会の実現に向けて、市が取り組むべきことを聞いたところ、「保育所や小学生の放課後の居場所などの整備」、「離職した女性の再就職を支援する取組」、「柔軟な働き方や仕事と育児・介護の両立支援に向けた企業への働きかけ」がともに6割を超えた。

ペーパークラフトに夢中の参加者とレクチャーする学生

おいしく、美しく、健康に 大戸屋が学生とコラボ

 ビューティー&ウェルネス専門職大学=牛久保=は3月29日、大戸屋ノースポート・モール店の共催によるイベント、親子で学ぶ「おいしいと美しい」をノースポート・モール地下1階のすぽぱーくで開催した。

 イベントでは、同大学の押田恭一教授による「家族の心を健康に」をテーマにした講演や食べ物などを題材にした「大戸屋ペーパークラフトづくり」などを開催。食事や栄養がもたらす、健康や美容への影響について、学びの場を設けた。

 イベントに参加した南町田在住の田所将さんは「子どもの食育で悩みを抱えることも。子どもたちが楽しく集中して学んでくれたので、参加して良かった」と話した。

 同大学3年生の高井遥香さんは「老若男女問わず、美容や健康への関心の高さを感じ、普段学んでいることが役に立つことを実感した」と振り返った。
「シックススターフィニッシャー」のメダルを掲げる町田さん

65歳の全盲ランナー 世界6大マラソン制覇 港北区在住 町田宏さん

 港北区在住の全盲ランナー、町田宏さん(65)が3月に開催された東京マラソン2025で完走し、世界6大マラソン(ボストン・ロンドン・ベルリン・シカゴ・ニューヨーク・東京)を制限時間内に完走したランナーに与えられる「シックススターフィニッシャー」の称号を獲得した。

 東京マラソンでは、沿道で応援する人たちの熱狂ぶりや声援の大きさに、「良い景色を感じながら、楽しく走れた」と振り返る町田さん。同大会の制限時間(6時間30分)よりもずっと速く、5時間49分55秒でゴールした。町田さんが所属し、障害者が一般市民とともにランニングを楽しむ国際的スポーツ団体「アキレス・インターナショナル・ジャパン」によると、日本人の視覚障害者の称号獲得は初めてだという。

 町田さんは横浜市職員時代の26歳のときに、「網膜色素変性症」を発症。徐々に視野が狭くなり、視力が低下し、失明することもある国指定の難病で、町田さんは40歳で全盲に。「ショックだったがゆっくり進行していったから、心の準備ができた」と振り返る。ただ、足元のごみ箱を倒したり、書類の内容が頭に入ってこなかったりとミスが続く日々を経験し、「まだうっすら見える頃が一番大変だったし、悩んだ」という。全盲になってからは音声ガイドや周りのサポートを受けながら、定年まで勤めあげた。

 健康維持のためのウォーキングから同団体を知り、50歳で練習会に参加し、マラソンを始めた。走る喜びを得た町田さんは、団体の勧めもあり、2013年にニューヨークマラソンに初出場。以降、世界を飛び回り、海外5大会を完走した。「ちょうど東京が最後になった。なかなか抽選が当たらず、(称号は)12年かけてようやく獲得できたよ」とにっこり。

 「120歳位まで生きたいね。科学技術が発展して、人工網膜でこの目でも見えるようになるはずだから」と笑顔の町田さん。「そのためにもずっと健康でいなきゃ」

「つづきの本ばこ」(イメージ)

「つづきの本ばこ」が開設 ららぽーと3階に

 新しい図書取次所「つづきの本ばこ」が3月29日、ららぽーと横浜(都筑区池辺町4035の1)3階北立体駐車場出入口付近に開設された。

 図書取次所は、横浜市内の市立図書館で予約した本の貸出しと返却ができる施設。都筑区には総合庁舎内に「都筑図書館」があり、1日あたりの平均入館者数や貸出冊数は市内18館で最多。しかし、区南部からのアクセス性が低いことが課題だった。そこで大規模な駐車場を備え、自家用車で来館しやすいららぽーと横浜に新たな図書取次所(名称・都筑南図書取次所)が設置された。

愛称は投票で決定

 取次所の愛称「つづきの本ばこ」は、投票で決定した。「つづき」には、ららぽーと横浜の場所を表す「都筑」のほか「本の続き」、「イベントの続きで本を探す」など、「続き」の意味が。「本ばこ」には、子どもから大人になっても「ずっと本を楽しめるような場所になるように」という想いが込められている。

 「つづきの本ばこ」には、絵本や小説、暮らしに役立つ本、都筑・緑図書館司書のおすすめ本などが置かれ、読書だけの利用も可能。また子ども用のスペースや展示・イベントスペースも設置されている。

 なお本の予約や受取りには、図書館カードの作成が必要。カードはオンラインまたは市立図書館や移動図書館で作成できる。図書取次所でカードの作成はできないので注意が必要。利用可能時間は、平日は午前10時から午後8時まで、土日祝日は午後9時まで。休所日は年末年始と、ららぽーと横浜の休館日。

模型愛が紡ぐ人生 心は楽に 日々、顧みる 野田友幸さん(青葉区在住)

 「やっぱり、一から自分の手で作ってこそだよね」。野田さんが手掛ける模型は全て「フルスクラッチ」――既存のものは一切使用せず、全てが手作りだ。もちろん、図面も手描き。当時の図面や写真をもとに、主砲の1基、手すりの1本まで精密に再現している。特に、退職前から仕事の合間を縫い、13年かけて完成させた駆逐艦「雪風」は、(株)東急ハンズの第20回ハンズ大賞で準グランプリを受賞した大作だ。

「手作り」だから知れること

 横須賀海軍で造船に携わる父に製造の話を聞いて育ち、昔から船や飛行機の模型作りが好きだった野田さん。ゼネコンに勤め、高層ビル建設の現場監督も務めた元建築士だ。30代の頃には愛車までデザイン。アルミ板を加工して、自身の手でモデルチェンジするなど、「自分で作る」ことへのこだわりは人一倍だ。

 フルスクラッチの良さは「技術や歴史を理解できる」こと。実際の図面を見れば、内部の設計までよく分かる。当時最新鋭だった蛍光灯や、空調、トイレ、風呂の設備など「当時の最新技術の結晶だ」と熱い愛のこもった語りは止まらない。さらに、社内でも「模型好き」で名が通っていた野田さん。仕事で関わりがあった自衛隊関係者に誘われ、潜水艦の内部見学やヘリコプターの搭乗など、趣味を通じて貴重な出会いや経験を得た。趣味が、人生を豊かに彩っている。

完璧でなくても

 ただ、趣味だけを楽しんでいるわけではない。「やるべきことは、ちゃんとやらなきゃね」と野田さん。

 まずは、家での役割を果たすこと。若い頃は仕事と趣味に没頭していた野田さんだが、今は食器洗いなど家事手伝いを率先。奥さんの買い物には必ず同行し、朝食のおかずを一品作ることも。その甲斐あってか、夫婦仲は良好だ。

 次に健康づくり。若草台地区センターで開かれている体操教室に、夫婦で毎週参加。散歩も定番で、桜台周辺をのんびり歩きながら、四季の移り変わりを楽しんでいる。

 そして何より、常にアンテナを張ること。サークルや展示会を通して情報を集め、視野を広げている。退職をきっかけに団地内のボランティアにも参加。自身の知識や趣味を活かして活動できないかと画策している。

 一人で籠らず、周囲に意識を向けることを大事にしている野田さん。一方で、「完璧にこなさなくてもいい」と話す。大切なのは、日々自身や周りとの関係を顧み、改善を重ねること。それは、趣味に関しても同じだ。「時間は一生ある。急がず焦らず、好きな時に好きなだけ。楽な心で、楽しみ続けることです」

研究をまとめた冊子を手にする小谷田さん(左)と村上さん

地域を探究、心の灯消さず 八杉神社郷土史研究会

 地域の神社などを研究している八杉神社郷土史研究会(港北区)。同神社奉賛会総代の小谷田作夫さん(78)が会長を務め、(公財)大倉精神文化研究所の客員研究員である村上芳信さん(82)らで構成されている。

 同会の発足は約3年前。以前から同神社の研究を行っていた村上さんの情熱に小谷田さんが感化されて立ち上がったという。200年にわたる同神社の歴史について、通史『流域地域学研究』をこれまでに2冊発行しており、現在3冊目を執筆している。「徹底して調べないと見えてこない」と話す村上さん。2冊目までは文献や石碑・棟札など「文字史料」を中心とした調査だったが、3冊目は同神社の歴史を知る人物から聞き取り調査なども実施し、その成果をまとめる。

 村上さんは、6〜7年前に前立腺がんにより歩行困難になり余命3年の宣告を受けたことがある。現在は状態が良くなり、「調査することが楽しくてしょうがない」と数々の資料に視線を向ける。「顕彰碑や慰霊碑など、地域を研究すると素晴らしいものも悲しいものも見えてくる。長生きしてもっと研究したい」

横浜市長選 7月20日告示、8月3日投開票

 任期満了に伴う横浜市長選挙の日程が7月20日告示、8月3日投開票に決定した。3月28日の市選挙管理委員会で決まった。

 公職選挙法により、任期満了日の前日から30日以内に選挙を行う必要があり、投票日は期間中の日曜日の8月3日、10日、17日、24日の中で検討されていた。お盆の時期と重なることや8月20日〜22日にアフリカ開発会議が市内で開かれることなどを考慮し、日程を決めた。

 告示の7月20日は参議院選挙の投票日になる可能性がある。異なる選挙の投開票と告示が同日になるのは法的には問題はないが、その場合、投票所入口から半径300m以内では選挙カーによる街頭演説を行えないなどの制限がある。

歩いて発信「自由な移動」 発達障害啓発イベント

 4月2日の世界自閉症啓発デーと発達障害啓発週間(4月2日から8日)に合わせ、発達に遅れのある子どもたちの療育拠点を運営するたすく株式会社(本社・鎌倉市)が4月6日(日)、家族会と協力し、理解啓発運動としてウォーキング企画とSNSを使った啓発活動を実施する。

 企画は障害やハンディがあっても、誰もが行きたい場所へ自由に移動できる社会を目指し、「自らの足で、意思で、自由に移動する」ことの重要性を発信するもの。ウォーキング企画は、移動を通じて得られる多様な可能性を信じ、子どもたちの挑戦と再挑戦の機会を創出する。

 当日は「僕らは自分の意思で歩いていく」を合言葉に、午前9時30分からテーマカラーの青を身につけ、関内から、大さん橋、港の見える丘公園などを通り、山下公園までノルディックウォーキングで歩く。

 また誰もが啓発活動に参加できるように、との思いからSNSで「#僕らは自分の意思で歩いていく」をつけてメッセージの発信を呼び掛ける

 たすく株式会社は、発達障害の教育的支援を行うたすくグループの一社。横浜市内には、センター南(茅ケ崎中央25の2)に0歳から18歳までの個別療育を行う教室がある。

 企画に関する問合せはセンター南教室【電話】045・507・6824。

にぎわう会場

交流物産展で東北・北関東の魅力を発信 横浜市庁舎にぎわう

 横浜市と再生可能エネルギー(再エネ)の創出や利用拡大などを目的とした連携協定を締結している東北・北関東の自治体の名産品を販売する交流物産展が3月13、14日に横浜市役所1階アトリウムで行われた。

 市は脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環として、2019年2月に再エネ資源を豊富に有する東北12市町村と連携協定を締結。その後に茨城県神栖市と締結して東北地方から裾野を広げ、現在17市町村と協定を結んでいる。

 横浜市内では、現在約130事業者が連携協定で得られた再エネを活用。電気代の一部を地域活性化資金として連携先の自治体に還元している。自治体間の交流促進を図ろうと、昨年初めて交流物産展を実施。好評を博し、今年も開催する運びとなった。

 今年の交流物産展には青森、岩手、秋田、福島、茨城の12市町村が参加。野菜やワインのほか、岩手県九戸村の非公認マスコットキャラクター・キングオブチキンの関連グッズなどが販売された。市内在住の40代女性は「独自性のある商品ばかりで楽しかった」と感想を述べた。

 

約半年PR大使を務めた「ウタ」

PR大使「ウタ」へ感謝状 野毛山動物園で離任式

 昨年10月から赤い羽根共同募金運動のPR大使を務めていた、野毛山動物園=横浜市西区=のホンドタヌキ「ウタ」の離任式が3月12日に行われ、神奈川県共同募金会の中島孝夫常務理事から、同園の田村理恵園長に感謝状が渡された。ウタにはあまおう、清見オレンジ、デコポン、鹿肉ジャーキーなどの食べ物が贈られた。

 昨年10月から今年3月までの県全体の募金目標額が12億円のところ、3月12日現在の募金実績額は9億5500万円強。また、ウタのPR大使期間中、同園の管理事務所で1回500円以上の寄付をした人にコラボピンバッジを渡し、ピンバッチ389個分、19万9381円が寄付された。

楽しくイキイキ体操を 4月17日、中川中CH(コミュニティハウス)で

 中川中学校コミュニティハウス(大棚町240)で4月17日(木)、「楽笑体操」の体験講座が行われる。午後1時30分から2時30分。

 年齢を重ねても元気でイキイキ過ごすために、脳トレやストレッチ、フレイル介護予防などを行う。

 参加費は100円。飲み物、タオル、室内履きを持参。申し込みは4月14日(月)までに電話、または窓口で(火・金曜日は休館)。

 申込み、問い合わせは同ハウス【電話】045・591・3131へ。

パーティーで市長選への意欲を語る高橋氏

横浜市長選 市議の高橋徳美氏が出馬へ 市会議長の鈴木氏も意欲示す

 任期満了に伴う今夏の横浜市長選挙に横浜市会議員の高橋徳美氏(56)が立候補する意向を表明した。3月27日に行われた自身の政治資金パーティーで明らかにした。高橋氏は25日に自民党市議団に離団届を提出。6月中旬に市議を辞職し、市長選には無所属で出馬する方向。金沢区では市議補欠選挙が行われる見通し。

 高橋氏は出馬を決めた理由に山中竹春市長の市政運営への不満や閉塞感を挙げ、2026年度から中学校で始まる全員給食について「安全で温かい食事を与えたい」と述べ、一部の学校は自校で調理する方式にすべきだと主張した。また、27年の国際園芸博覧会を契機に「50年後の横浜をつくりたい」と語った。

 高橋氏は会社員、参議院議員秘書を経て、2011年に金沢区選挙区で初当選。現在4期目。市会運営委員会の委員長などを務める。

 市長選への立候補表明は(株)つま正会長の小山正武氏(76)に続いて2人目。山中市長は態度を明確にしていない。

 同日、市会議長の鈴木太郎氏(58)が記者向けの定例会報告の場で「市長選に意欲を持っている。そのことは自民党に伝えてある」と述べ、今後、党の対応を踏まえて立候補を判断する意向を示した。

認知症について語る蝶野さん(中央左)と中島さん(同右)

プロレスラー・蝶野正洋さんが認知症啓発イベント参加「相手を思いやる気持ちを」

 認知症について考えてもらうための横浜市によるイベントが3月26日、市役所1階アトリウムで行われ、プロレスラーの蝶野正洋さんらが参加した。

 蝶野さんは市が作成した認知症に関する動画に出演している。この日は動画で若年性認知症の当事者として紹介されている中島輔(たすく)さんと蝶野さんらの対談が行われ、約300人が熱心に耳を傾けた。

「症状、状況は人それぞれ」

 対談に先立ち、中島さんは普段通っているデイサービスの仲間と行っているバンド活動の成果として歌を披露。これを見た蝶野さんは「今までは認知症と聞くと、徘徊などのイメージが先行していたが、症状や状況は人それぞれ違うということが分かった」と述べた。さらに、「プロレスラーの先輩には、自分の言いたいことばかり話して、会話のキャッチボールが成り立たない人もいる」とユーモアを交えて会場を沸かせた後、「認知症に関する正しい情報を得て、相手を思いやる気持ちを大切にしたい」と語った。

 中島さんが通う若年性認知症の支援に特化した介護サービス事業所を運営するGrASP株式会社の山崎健一さんは「認知症の方が活躍でき、周りの人に支えられる環境を作りたい」と述べ、そのためには社会全体の正しい理解が不可欠だと訴えた。

 蝶野さんらが出演する啓発動画は今後、公開される予定。

旧家に響く箏・尺八 13日、都筑民家園

 都筑民家園(大棚西2)で4月13日(日)、都筑区三曲協会による「2025筝・尺八春のコンサート」が開催される。午後1時開演。

 当日は『さんさんさくら』などの箏、尺八の定番曲から『アメイジンググレイス』『糸』『夏祭り』といった異色の曲まで多数披露される予定。入場無料。

 問合せは同協会・新保さん【携帯電話】090・9978・0848。

都筑区発ミュージカル  12月公演、出演者を募集

 都筑区発のオリジナルミュージカルを目指し活動する「ミュージカル8(前田慶治代表)」は、都筑区民文化センター「ボッシュホール」で12月に公演するオリジナルミュージカル「KAMUI〜ピリカヌプリに向かって走れ!〜」の出演者を募集している。

 「KAMUI」は、理想の国を創り上げた平和な国「アイヌモシリ」に住むウサギのカムイが、故郷を追われ、権力に立ち向かい、仲間とともに伝説の理想郷「ピリカヌプリ」を目指す「知恵」と「勇気」、「友情」、「愛」の物語。公演は、12月20日(土)、21日(日)に4回を予定している。

 応募資格は、演技、ダンス、歌が好きで、4月から12月まで毎週日曜日のレッスンに参加できる人。時間は午前9時から午後3時の間の数時間。経験不問。募集人数は、小学生の男女、中学・高校生の男女、18歳からシニアまでの一般男女で、それぞれ15人程度、合計45人。

 応募方法は、ミュージカル8または横浜丘の手ミュージカルスタジオのホームページから履歴書をダウンロードし、必要事項を記入の上、前田代表宛に郵送(〒223-0066横浜市港北区高田西4の8の6)またはメール(kamui2025-apply@yahoo.co.jp)で応募のこと。締め切りは3月20日(木)(必着)。

 選考は書類選考で行い、合格者にはメールで通知。3月下旬に説明会を実施する。応募に関する問合せもホームページから。