横須賀・三浦版【5月30日(金)号】

三浦海岸 夏の賑わい呼び戻す 市主導で海水浴場開設

 三浦市は今夏、三浦海岸海水浴場を開設すると発表した。7月12日(土)の「海開き」イベントを皮切りに8月31日(日)まで実施する。昨夏は海の家の設置者が、建設費など財政的な事情から営業を断念。三浦海岸海水浴場運営委員会も海の家の出店料が見込めなくなったことでビーチの安全対策に充てる費用を捻出できなくなり、継続した運営が困難であると判断して解散を決定した。夏の観光の主役を欠いた状態に危機感を抱いた市が対策に乗り出し、新しいスタイルの海利用を提案することで賑わいを呼び戻す。

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 「MIURA FUNBEACH 三浦海岸」のネーミングで、委託事業者の(株)ニッポン放送が企画運営を行う。「駅近」「広い砂浜」などの優位性を全面に打ち出し、地場の食材を用いたグルメやビーチスポーツ、音楽などのコンテンツを用意して幅広い層の集客を図る。海の家は設置されないが、ストレッチテントと呼ばれる大型テントをエリア内に設けて、来場者の日よけやライブステージとして活用する。

 一方で、海水浴の人気低迷は全国的な傾向だ。レジャーの多様化や少子化に加え、近年は日焼けを嫌う若者が増えていることもあり、「海離れ」が進んでいる。

 三浦海岸海水浴場は、1999年のピーク時に104万人が訪れていたが、平成時代の中盤に70万台に。2019年には約35万人となり、20年で3分の1に減少した。新型コロナが猛威を振るった時期は海水浴場が休場されたこともあり、退潮を加速させた。

 こうした状況を踏まえ、市は多様なビーチ活用を仕掛けていく。その一つとして、広大な砂浜をアウトドアフィールドと捉え、ビーチバレーやビーチサッカーなどが楽しめる環境を用意する。三浦海岸が日本での発祥地とされるフレスコボールの大会も開催する。

 吉田英男市長は「時流や暑さなどの環境の変化に合わせた新しい海水浴場としていく。実験的な部分もあり、検証を重ねながら誘客につなげたい」と期待を話した。

マッチングにより耕作が開始した農地(横須賀市提供)

農地と農家をマッチング 横須賀市・JA・農業委が連携

 耕作の継続が難しい農地と、農地を必要とする農家を結び付ける取り組みが横須賀市内で動き出している。市・JAよこすか葉山・農業委員会の3者に寄せられる農地の貸し借り、売買に関する相談やニーズを共有することで、マッチングをスムーズに行うもの。市ホームページに利活用可能な農地の情報を一覧化し、有効活用を図る。

 今回の取り組みは、3者が今年3月に交わした連携協定に基づくもの。「耕作面積を拡大したい」「農地管理が負担」といった双方の農家の声に対応する。5月22日現在、4件のマッチングが成立。従業員の増加などを受けて農地の規模拡大を検討していた井上徹也さん(29)は、市に相談を持ち掛けたところ、1カ月ほどでマッチングが成立し、スムーズに耕作を開始できたという。

市HPで空き農地一覧

 市が提供するサイト「よこすかわが街ガイド」には、市内で活用可能な農地情報をまとめたマップを新設した。地番や、田や畑などの登記上の地目、耕作状況、売却や貸付といった所有者の利用意向などを一元化することで、取得希望者は求める条件に近い農地を取捨選択できるようになっている。

「耕作放棄地」増加

 全国的な課題として挙げられる耕作面積や生産量の減少。横須賀市も例外ではない。農林水産省が取りまとめた「2020年農林業センサス」によると、実際に使用されている農地面積を指す「経営耕地」は市内で約430ha(10年時点)あったが、20年には約380haに減じた。市が独自に調査した耕作放棄地の面積は、反対に増加の一途をたどる。農業者の高齢化や後継者、担い手不足といった課題もあり、3者間で認識を共有。対策案として今回のマッチングシステムを打ち出した。

 市農水産業振興課は、従来より農地情報がオープンになったことに触れ「新規就農者の拡大にも有益なものになるのでは」と期待を寄せている。

第86代横須賀市市議会議長に就任した 加藤 眞道さん 横須賀市湘南鷹取在住 56歳

胸に刻む「行動者たれ」

 ○…議場の演壇に立ち市長をはじめとする理事者に対して質問する。市民からの要望や苦情を行政職員に伝えて改善を促す。世間一般にイメージされる市議会議員の仕事だが、「それだけでは職責を果たせない」と考える。議員(議会)が自ら政策を練り上げて提言を行う。平たく言うと「人任せではなく、自分が動く」。課題解決のための条例制定など、議員提案を率先垂範してきた行動派だ。

 ○…家屋や庭先にごみを溜め込み放置状態となっている「ごみ屋敷」。問題の背景に潜むものは根深い。原因者に押し付けるだけでなく、地域の課題として捉える必要性を痛感し、動いたのが「ごみ屋敷条例」の制定。ごみの撤去を行う代執行を可能としただけでなく、福祉的な要素を盛り込み、生活支援や精神面のケアも同時に行うことで再発防止につなげる建付けにした。空き家の適性管理を促す条例も「すべて解決できるわけではないが、行政と市民の共有の問題であることを顕在化させることに意味がある」

 ○…市議だった父が急逝したため38歳で地盤を引き継いだ。それまでは大手家電メーカーの営業マン。商品を売り込むために、顧客のニーズを理解し、それを使用することでどんな効果が得られるかを綿密に練り上げたストーリーで示してきた。この時に身に着けた論理的思考は、議員活動に役立っている。アイデアや自分の思考を感覚ではなく、言葉にして伝えるのが本人流だ。

 ○…最近、自宅の庭先で花の栽培を始めた。チューリップなどを世話するうちに、気づいたことがある。「育つまで本当に時間がかかる」。一朝一夕で理想は実現しない。まちづくりもできない。新たな趣味が教えてくれた。

県立観音崎公園 アジサイ鑑賞 ラクラク 高齢者らを無料送迎

 アジサイが見ごろを迎える県立観音崎公園で6月6日(金)から8日(日)までの3日間、高齢者や障がい者など通常の歩行が困難な人を対象にした送迎サービスを実施する=写真。

 EVトライクと呼ばれる三輪バイクを用いて、パークセンターから花の広場までの約1キロを往復。車中からアジサイを愛でることができる。車椅子の人には、EV自動車を用いて同様のサービスを行う。利用者は終了後にアンケート調査に協力する。

 運行は各日午前10時、10時30分、午後1時、1時30分の計4回で1時間程度。定員は各回2人(介助者の同乗必須)。事前予約制。

 希望者は同公園パークセンター【電話】046・843・8316。

ジェンダー視点防災力を高める

 性別にとらわれない避難所運営について考えるセミナー「ジェンダー視点で考える防災セミナー」が6月25日(水)、横須賀市の主催で開かれる。講師は地域防災が専門のシンクタンク「インクル・ラボ」代表で防災士の高橋聖子さん。

 会場は市役所3号館5階正庁で定員80人。希望者は市コールセンター【電話】046・822・4000(6月13日(金)締め切り)。

ヴェルニー公園に登場する地震体験車

よこすかYY(わいわい)のりものフェスタ 「はたらく車」大集合

 JR横須賀線の車両や消防車などを展示する「よこすかYYのりものフェスタ2025」が5月31日(土)と6月1日(日)の2日間、横須賀市本町のヴェルニー公園一帯で開かれる。横須賀市観光協会が主催する社会で活躍する乗り物をテーマにしたイベント。オリジナルグッズ販売やスタンプラリーもある。

 公園内を「JRゾーン」と「京急ゾーン」に分け、「成田エクスプレス」を模したミニ電車の試乗や京急のマスコット「けいきゅん」とのふれあいイベントが楽しめる。地震体験車も設置される。

 横須賀駅にE235系が特別に常時停車し、グリーン車の試乗や制服の着用体験などを楽しめる。駅構内で米沢牛を使用した人気駅弁「牛肉どまん中」などが販売され、車内飲食ができる。線路の保守作業を行う「レールスター」や高所作業車の乗車体験もある(31日のみ)。

 コースカ・ベイサイド・ストアーズでは、パトカーや白バイなど警察車両がお披露目され、試乗できるほか、自動車運転シミュレーターなども設置される。

 隣接の海上自衛隊横須賀地方総監部は基地を一般公開。艦艇の内部などを見学できる。

 入場無料で荒天中止。問い合わせは市観光案内所【電話】046・822・8301。同協会HP(https://yokosuka-kanko.com/)に詳細情報。

選手宣誓を務めた横須賀イーグルスの八坂さん親子

小学生トス野球大会 ママも参戦、全力プレー 関東化成工業が大会協賛

 野球の楽しさを幅広い年代に知ってもらい、競技人口の増加につなげようと、「関東化成工業杯母と子のふれあいトスベースボール大会」(主催・横須賀少年野球連盟)が5月24日、追浜の夏島グラウンドで開かれた。三浦半島から23の、4年生以下で構成された学童野球チームが出場し、選手の母親2人以上が「助っ人」として参戦。球を自動で軽くトスする機械が投手を務めたり、アウト数が加算されず、打者が一巡するまで攻撃が続いたりと、難易度を下げた特別ルールで行われ、親子で楽しく汗を流した。

 同大会は野球の普及を目的に毎年行われており、体験入部中の児童の参加も歓迎している。今回から関東化成工業がスポンサーに加わった。

 開会式では、前回優勝チームの横須賀イーグルスから、母親代表の八坂ひとみさん、息子の翔太郎さん(4年)が選手宣誓。ひとみさんは「運動不足は気合いで乗り切る」と力強く宣言した。

 同チームの捕手は保護者の濱口さおりさんが務めた。濱口さんは、初戦で勝利を収め「毎年出場しているけど、一緒にプレーする度に子どもたちの成長を実感する。触れ合いの機会は大事」と笑顔で話した。

 大会を通じて健闘した郷成ボスターズの斉藤稜さん(2年)は「お母さんとプレーするのは慣れていなくて、難しいところもあったけど、一緒にできて新鮮だった。楽しかった」と話した。

連携協定を結んだ4市1町の首長とNTT澁谷直樹社長(右から3番目)

三浦半島4市1町 災害に強い地域づくり NTT東日本と連携協定

 三浦半島4市1町(横須賀市・三浦市・逗子市・葉山町・鎌倉市)は5月21日、半島地域特有の災害リスクに対応し、エリア一帯で災害に強い地域づくりを推進することを目的とした防災連携協定をNTT東日本と締結した。NTT東日本本社が広域の自治体と防災協定を結ぶのは初めてのこと。

 三浦半島は地形特性から災害発生時に交通網の遮断、土砂災害による孤立などの災害リスクを抱える。こうした点を踏まえ、今回の協定でNTT東日本は地域通信事業で培った災害対応の知見、映像やドローンなどのデジタル技術、地域密着の現場力を生かし、【1】広域での情報連携を踏まえた通信の応急対応力の強化【2】広域での災害対応を念頭に置いた防災力の強化支援【3】AIやドローンなど最先端技術を活用した次世代の防災DXの共同研究に取り組む。

 横須賀市の上地克明市長は「4月に三浦半島首長連合会議を立ち上げた。さらに心強いパートナーと手を取り合うことは、三浦半島に住む人たちの安全な暮らしに大いにつながる」と強調。三浦市の吉田英男市長は「三浦半島は(災害時)孤立の恐れがある中で、NTT東日本との協定は、4市1町の防災広域連携協定の取り組みを大きく前進させるものだ」と期待を寄せた。

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谷戸地域の景観活用を提唱した山本氏

観光地の可能性に言及 「横須賀の景観」山本理顕氏が講演

 横須賀の都市景観づくりを考えるフォーラムが5月18日、よこすか都市景観協議会の主催で開かれ、横須賀美術館の設計者で2024年プリツカー賞を受賞した山本理顕氏が講演を行った。

 山本氏は冒頭から「恵まれた立地にある横須賀は中心的な観光地になる要素をたくさん持っている」と持論を展開。その土地の景観や生活スタイルに惹かれて人を引き寄せるのが観光地の原点であるとするなら、「豊かな自然、漁師町を起源とするコミュニティ、軍港として発展を遂げた特異な歴史を有する点など大きな可能性を持っている」と力説した。

 高齢化の進展に伴い空洞化が目立っている谷戸地域も都市景観としての魅力があり、工夫を講じることで活性化を実現できるとした。

 国民の4割が斜面に暮らす南米ベネズエラでは、首都の貧困地帯に住民の移動手段としてロープウェイを開通したことで、都市開発が大幅に進んだ事例を紹介。イタリアの景勝地で海岸の断崖絶壁に築かれた街であるアマルフィ、急峻な斜面に建築されているギリシャのサントリーニ島など成功している観光地の手本も示した。

 横須賀の谷戸では、モノレールやケーブルカーなどによる交通インフラを整備しつつ、各所にコミュニティ空間を兼ねたテント式のカフェなどの拠点を開設していくアイデアを披露。「デザインは圧倒的に格好よくなければならない。そこは自分が担う」と話した。

「山本理顕展」横須賀美術館で7月19日から

 横須賀美術館で7月19日(土)から山本氏の50年にわたる設計活動を振り返る「山本理顕展 コミュニティと建築」が開かれる。パブリックとプライベートの境界を「閾(しきい)」と呼び、地域社会とのつながりを生む空間として重要視する山本氏の思考の一端を60点の模型やスケッチ、ドローイングを通して紹介していく。11月3日(月)まで。

長井・不断寺 和紙ランプを作ろう 竹灯籠まつりに飾り付け

 不断寺(横須賀市長井5の1の1)で6月8日(日)、和紙ランプをつくるワークショップが開かれる。

 7月4日(金)に同寺で行われる竹灯籠まつりの一環として行われる。完成した和紙ランプは、まつりで飾り付けされ、その後は持ち帰れる。「簡単な作業なので子どもから大人までご参加ください」と副住職の杉浦尋徳さんは参加を呼び掛けている。

 参加費1000円。定員20人。時間は午後1時から3時30分。6月5日(木)までに同寺【電話】046・856・2352もしくは【メール】fudanji@outlook.jpに申し込む。

石碑を前に祝詞奏上や玉串拝礼が行われた

久里浜 戦没者慰霊祭 5100柱に鎮魂の祈り

 太平洋戦争で犠牲となった旧海軍工作学校戦没者の第48回慰霊祭が5月22日、横須賀市の久里浜公園で行われた。遺族や地元関係者ら約20人が出席し、工作兵の功績をたたえ、冥福を祈った。

 海軍工作学校は、溶接や鍛冶などの技官や職工の養成機関として1941年に現在の同公園付近に開校。水中溶接の技術や特殊潜航艇「海竜」の製造など、当時としては画期的な発明がされていた。ここで教育を受けた卒業生約5100人が戦地に赴くなどで犠牲となっており、遺族や関係者らが77年に慰霊碑を建立。以来毎年5月に慰霊祭が執り行われている。

 この日、遺族代表としてあいさつした矢島真知子さん(75)は義父の良知さんが同校の教官だった。矢島さんは「義父は大勢の教え子を亡くしたことが心にずっと残っていたと思う。戦争は2度と繰り返してはならないと伝承していきたい」と話した。

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かながわ信金 「フードドライブ」呼びかけ

 かながわ信用金庫では、信用金庫法が1951年6月15日に公布・施行されたことにちなんで制定された「信用金庫の日」の社会貢献活動として、フードドライブへの協力呼びかけと職員による献血を行う。

 前者は、家庭などで消費しきれない食品を集めて地域の「フードバンク」と呼ばれる食支援団体を通して、こども食堂などに届けるもの。6月2日(月)から16日(月)までの期間、同金庫の全51店舗で市民からの食品提供を受け付ける。常温保存可能、未開封、賞味期限が3カ月以上あるものに限る。

 後者は6月9日(月)に横須賀中央駅Yデッキ下で行われる献血(献血バス)に職員が協力する。

 同金庫の担当者は「食の支援が必要とされる方に届ける社会活動を市民と一緒に取り組む。協力をお願いしたい」とコメントしている。

 フードドライブに関する問い合わせは、同金庫業務推進部【電話】046・821・1709。

ひとり親のライフプラン 6月8日(日)に人生設計講座

 横須賀市のひとり親家庭指導講座が6月8日(日)に横須賀市本町の総合福祉会館で開かれる。

 ひとり親の自立支援などを行うNPO法人「ひまわり」の主催で、テーマは「ひとり親人生設計講座〜自分だけのライフプランを考えよう〜」。子どもにかかる教育費や私学無償化など進学の問題、自分の老後など-。ひとり親生活で尽きない「お金」への不安。「5年後10年後の人生に、しっかり向き合ってみませんか」とひまわり理事長でひとり親サポーターの佐藤智子さん。ファイナンシャルプランナーの渡辺美智代さんがアドバイザーとして参加する。

 参加無料。時間は午前10時から正午、午後1時からは交流会も。対象はひとり親や離婚を考えている人など。定員20人、小学生以上の保育あり(無料・要予約)。申込は同団体HP(https://www.yokosuka-himawari.com/)。締切は6月4日(水)。

 問い合わせは佐藤さん【携帯電話】070・6635・7365。

三浦の海業、漫画で平易に ブルーエコノミーの好事例を紹介

 三浦市が推進する「海業」の取り組みを分かりやすく伝える「海業のひみつを発見! 海業発祥のまち、三浦を訪ねて」と題した漫画がこのほど(公財)笹川平和財団海洋政策研究所(東京都)によって製作された。海洋資源を保全しつつ持続可能な経済活動を推進する「ブルーエコノミー」の好事例として同市の海業を紹介している。

石破茂衆院議員(当時)が発案

 40ページのデジタルブックで日本語・英語版がある。今回作成されたのは、海業発祥の地である三浦市と、愛媛県南端に位置する愛南町が舞台の2作品。昨年夏ごろに開かれた自民党の水産総合調査会において、石破茂首相(当時は議員)が海業推進の一環として発案したことがきっかけ。海洋に関する課題の解決を目指し、政策提言や国際連携などを行う同研究所が製作を担当することになった。作中に登場する地元店などへの取材や市との調整を経て、3月末に発行された。

 物語は都内から観光で三浦を訪れた夫婦が、市井の人々から海業の取り組みを教わっていくもの。うらりマルシェや城ヶ島、公民連携で進めている二町谷地区埋立地のリゾート計画、三崎マグロのブランド力強化のため、積極的に海外市場を開拓している水産会社などに触れながら、2人は海業や三浦市の魅力に気づかされていく。

教材活用も視野

 市海業水産課によると今後、同財団が冊子として出版する場合、市内の小学校に頒布し、教材として活用することも視野に入れ検討を進めているという。「三浦の海業を市内外に知ってもらえるだけでなく、分かりやすく描かれている。今後は発信の機会を増やしていければ」と担当者は話している。

 閲覧は「三浦市 海業 漫画」で検索。

横須賀中央駅周辺のサイネージ

「Z世代」が投票呼びかけ 横須賀市選管、動画でPR

 横須賀市に暮らす10・20代の「Z世代」と呼ばれる若者らが、6月22日(日)に控える同市長選と市議会補欠選挙の投票啓発に協力している。

 「届け! Z世代の声」と銘打った、横須賀市選挙管理委員会による若年層の投票率アップを目指すプロモーション企画。市政への期待や要望などを発するメッセージ動画を市内に10カ所ある屋外サイネージなどで公開している。

 映像制作は市内の民間事業者のローカルビジョン(株)が担当した。

 動画では、14人の若者が出演し、「幸せいっぱいのまちに」「横須賀の未来は私達が作る。選挙に行きましょう」などの声を発している。

 動画は投開票日まで掲出。ローカルビジョンのYouTubeサイトでも視聴できる。

通学コース夜間 介護職員初任者研修

 三浦市社会福祉協議会は、福祉の現場で働くために必要な基礎知識と技術を学ぶ「介護職員初任者研修通学コース(夜間)」を実施する。取得した資格は、デイサービスやホームヘルパー等、高齢者や障害者支援の現場で役立てることができる。

 会場は三浦市社会福祉協議会安心館(南下浦町菊名1258の3)。期間は7月7日(月)から10月24日(金)(祝日と8月13日・15日除く)の42日間で毎週月・水・金曜日午後6時から3時間程度。定員24人(応募者多数の場合は三浦市在住・在勤者優先)。申し込みは同社協【電話】046・874・9882(斉田さん)。

武地域を巡行する神輿

神輿担いで「わっしょい」 武の八坂神社で夏祭り

 横須賀市武にある八坂神社(三島神社に合祀)の夏祭りが6月7日(土)・8日(日)に開催される。

 武会館(武4の2の8)で神事や伝統芸能の祭囃子、獅子舞、謡のほか、宵宮では、お囃子共演・青推の会(有志)の余興、陸上自衛隊高等工科学校生による桜花太鼓などが披露される。

 詳細は以下の通り。7日・宵宮(武会館で午後3時から午後8時)。神事、お囃子、獅子舞、謡、お囃子共演、青推余興、桜花太鼓など。

 8日・神輿、山車の町内巡行(午前8時50分〜午後5時40分、午前は下武まわりで午後は上武まわり)。

 今年は暑さ対策のため、例年より約1カ月半、日程を早めて実施される。

小栗上野介像(ヴェルニー公園)

OGURIをあるく 〜小栗上野介をめぐる旅〜第48回 キーマン編文・写真 藤野浩章

"最後の幕臣"として活躍した小栗忠順(ただまさ)。彼を語るうえで、特に注目したい人物が2人いる。

 1人は、徳川慶喜(よしのぶ)。江戸幕府を最後に舵取りした彼は、良くも悪くも忠順の上司。忠順は最後まで徳川の家臣であり続け、その恩顧はもはやDNAに刻み込まれているとも言えるものだった。

 一方、同じ家臣でありながら、組織を超えて日本全体のデザインを考えていたのが勝海舟だ。

 幕府がどうにも立ち行かない事は、3人に共通の事だった。しかしその先をどうするか、は大きく異なる。小栗は知識と経験をフル活用して、時に忖度(そんたく)なしに突っ走っても徳川を守ろうとする。一方で勝は、ひょいと組織を乗り越えて日本の形を変えようと走る。

 何とか力を合わせて国づくりができなかったのか?とモヤモヤしてしまうが、小栗は勝を「鼻先に人を小馬鹿にしたような敵意をぶら下げている」と評し、勝は勝で「育ちが悪ければ、考えもひねくれてこようというものでの」と意に介さない。実際に幕府内で有名だったという2人のすれ違いは、不幸にも最後まで続いてしまうのだ。

 加えて慶喜も、巨大な組織を率いてもがき続けた。時代を動かす主役になった彼らの物語を考える時、この3人それぞれの想いを追っていくと、新たな視点が見えてくるかもしれない。横須賀製鉄所が着工した1865年の時点で小栗38歳、勝42歳、そして慶喜27歳。江戸幕府の後始末は、彼らに託されていた。



 さて、本連載の第1部も終盤。次回は開国史研究の第一人者、山本詔?一(しょういち)さんに、小栗の業績と横須賀製鉄所について聞いてみる。