神奈川区版【6月5日(木)号】
フライヤーを手にする稲見さん

六角橋商店街 フリマが昼に“復活” 6月8日に「ととと市」

 かつて六角橋商店街ヤミ市の名物だった「夜のフリーマーケット」。コロナ禍以来約5年ぶりに「昼のフリマ」として6月8日(日)に復活する。「本とフリマとこそっとアート」をテーマにした、その名も「六角橋ととと市」。

 「狭くて昭和レトロな雰囲気が漂う商店街のコンプレックスを逆手に取り、名物を作れないか」とシャッター前のスペースを活用する形で1997年に始まった「ヤミ市場」。ライブステージや飲食露店などと共に人気を博したのが「誰でも、何でも」出店していたフリーマーケットだった。

 「夜のフリーマーケット」と銘打ち、アーケードのふれあい通りで東南アジアのナイトマーケットを彷彿とさせるにぎわいだったが、コロナ禍でヤミ市自体が2020年から2年間休止に。22年からヤミ市は再開したものの、来場者の増加でスペースが確保できないなどの事情でフリマは開催されていなかった。

 今回、比較的営業していない店の多い日曜昼間の誘客策や、飲食以外の物販店舗が関われるイベントを求める声が上がったことから、「夜のフリーマーケット」を昼間にくら替えして復活することになった。

20店舗が出店予定

 6月8日(日)が初回となるイベントの名称は「六角橋ととと市」。「『ととと』には本とフリマとこそっとアートのような、色々という意味合いがあります」と話すのは、企画を手掛ける六角橋興和会の稲見明子さん。商店街で雑貨と貸しスペースの店「switch box あけ/たて」を営む稲見さんがとりまとめとなり、これまでに20店舗ほどが参加予定。古本やZINEと呼ばれる個人の小冊子、骨董やハンドメイドアクセサリーなど出店者は多岐にわたる。中には、かつて商店街に店舗を構えていた「猫企画」なども出店予定。手回しオルガン奏者の紀あささんも参加する。

 「ぜひエコバックを手に買い物に訪れてもらえたら」と稲見さん。会場は商店街のふれあい通りの一部と、商店街大通りの空き店舗「シン會田商店」。時間は午前11時から午後4時まで。

横浜市営バス 25年度春は減便回避 運転手の採用拡大が奏功

 運転手の不足が主因で、2024年度に大規模な減便を余儀なくされた横浜市営バス。対策として打ち出した給与アップや住居手当の増額が後押しとなり、100人近く採用できたことなどから25年度春の減便は免れた。

 法改正による時間外労働の規制が昨年4月に始まったことや、退職者が相次いだことなどから運転手が不足し、市営バスは24年度に大幅減便となった。1年間の減便数は677便に上った。

 市交通局人事課によると、採用拡大のため全国の幅広い年代からの応募を促す対策を展開。月額1万9600円の住居手当を5万円に増額し、5年間支給する計画を打ち出した。大型二種免許所持者の年齢制限も49歳を60歳まで引き上げ、女性枠も新設。また、過去最大級という平均7・72%の給与ベースアップを実施した。

 24年度は一連の対策が功を奏し、同免許の養成コースから正規職員になった19人を含めて合計99人を採用。前年度から60人増えており、12年度以降で最多だった。住居手当が応募の決め手になった人がおり、北海道や沖縄からもエントリーがあったという。

 春の減便を回避し、現在の市営バスは8543便で運行されている。その一方で、年度内の見通しについて同局路線計画課の職員は、運転手の確保などの面から、「引き続き予断を許さない状況」と説明する。

今後10年、更なる不足懸念

 将来的な運行維持には課題も多い。特に大きいのが年齢構成で、約1000人の運転手の半数は50歳以上(24年度末)。現在の公務員の定年は62歳で、今後10年で多くの人が退職を迎えるため、人事課の職員は「人手不足が今の比では無くなる」と危機感を募らせる。再任用制度や65歳までの段階的な定年引き上げが計画されているものの、「視力低下など体調面の理由で、定年前に辞める人もいる」と話す。

 人事課では24年度、若年層の応募を促すため、同免許の資格要件を緩和する「受験資格特例教習」の受講費用を助成する制度も立ち上げた。今後も若い世代の採用を強化していく方針だ。

絵本学会の理事を務め、横浜大会の成功に向けて準備を進める 穴澤 秀隆さん 西区在住 69歳

絵本の本質『考える』面白さ

 ○…絵本専門の学会として1997年に日本で、そして世界で初めて設立された絵本学会。昨年から理事を務め、横浜大会の成功に向け奔走する。「夢のある場所で絵本の大会をやってみたかった」と、会場に選んだのは横浜市開港記念会館。『魔女の宅急便』の「ほうきに乗り慣れない主人公がぶつかりそうになる時計台のイメージ」と目を輝かせる。

 ○…大学卒業から約35年、美術教育専門誌『美育文化』の編集者として図工・美術教育の発展に努めた。著名な絵本作家への取材も多かった。デジタルメディアにはないモノとしての存在感、社会問題を取り上げるなどテーマの多様性さに「絵本に表現としての新しさを感じた」。編集者時代に親しくしていた仲間に誘われ、2015年ごろに学会に加入した。

 ○…中区元町出身。幼少期には、明るくおしゃれな雰囲気の商店街、そのすぐそばで営まれる水上生活、山手の外国人が暮らす住宅地など、人々の様々な生活を間近で見てきた。「おしゃれなものに触れていたいと思う一方、社会問題にも目を向けなければと思うのは、原風景にあるアンビバレンスさが影響しているのかも」と内省する。暮らしの匂いが感じられるものに惹かれ、「ランタンが灯り始める夏の夕方の中華街は郷愁を誘う」と話す。

 ○…余暇には友人アーティストの展覧会や制作風景を見に出かける。「美術とは何か『考える』ことが楽しい」と声を弾ませる。それは絵本にも通じること。子どもが大喜びする『だるまさん』シリーズを絵本だからできる表現と評し、「子どもにとってこの本の何が面白いのかを考えることが面白い」と語る。「絵本の世界は例えるなら『深い森』」。その冒険に終わりはない。

冒頭であいさつする桐ヶ谷会長

神奈川工業会、80周年へ始動 委員会が初会合

 来年に創立80周年を迎える、神奈川工業会(桐ヶ谷修幸会長)は、周年記念事業実行委員会を発足させ、5月27日に初の会合を開いた。

 会合には若手を中心に、委員約15人が出席。記念事業や式典運営など各小委員会のメンバー割り振りや、来年6月に予定している式典行事までの今後のスケジュールなどを確認した。

 実行委員長には久保田耕二副会長(久保田建設(株))が就任した。久保田委員長は「市内の区会でも一番古い工業会。若い会員も増えたので、これを機に皆の気持ちが一体となって、楽しみながら絆を深めてほしい」と会員らに呼びかけた。

105社加盟

 神奈川工業会は1946年4月に設立。京浜工業地帯の一角を担う神奈川区で「ものづくり」の企業約70社が集まり、神港工業会としてスタートした。1960年には神奈川工業会に改称され、今では「ものづくり」企業だけで無く、神奈川区を中心とした105社の企業が会員として集まり会を運営している。

店の脇に列を作る人々

六角橋商店街 商品券が即日完売 雨でも長蛇の列

 六角橋商店街で5月31日から限定800セットで販売された「プレミアム商品券」が、即日完売した。

 1万円で販売された商品券は1冊1万2千円分の商品券として、同商店街にある各店舗での買い物時に使用できるもの。使用期限は8月30日(土)までとなっている。

 当日は午前10時から同商店街事務所で販売を開始する予定が、すでに約130人が並んでいたため15分前倒しで販売を開始。当日の午後2時には800セットすべてが完売していた。

 同商店街連合会の石原孝一会長は「雨にもかかわらず、多くの方に楽しみにしていただけて、非常にありがたい」と話した。

演奏とトークを行う賢作さん

絵本の可能性考える 谷川俊太郎さん追悼企画も

 絵本学会横浜大会「絵本の窓から世界を見る」が6月21日(土)と22日(日)に横浜市開港記念会館=中区本町=で開催される。

 21日の午後12時10分からは、昨年逝去した谷川俊太郎さんの追悼企画を行う。共に制作活動をしてきた息子の谷川賢作さんと絵本の企画展を手掛けたキュレーターの林綾野さんが、谷川俊太郎さんや絵本の魅力について語る。2時40分からは、絵本作家の荒井良二さんのスペシャルトークとサイン会が行われる。

 22日は大学教授らによる研究発表と作品発表などが企画される。

 美術表現と言語表現を融合し、子どもと大人の架け橋となる文化として発展する絵本。作品のテーマもあらゆる分野に広がっている。同大会の事務局長を務める穴澤秀隆さん=人物風土記で紹介=は、「一般市民の方々にも絵本を知り、楽しんでいただける機会にしたい」と話す。

 参加費は1日一般1800円。2日間通しは3500円。フォームから申し込みを。締め切りは15日(日)の午後10時まで。(問)【メール】anazawa@kokugakuintochigi.ac.jp(穴澤さん)

訪問販売撃退のポスターを紹介する、斎藤分南部町内会の萩谷会長

各町の取り組みを共有 昨年に続き「神北のつどい」

 神北地区連合町内会(島田恵会長)主催の「神北のつどい」が5月31日に六角橋地域ケアプラザで開催された。

 地区内自治会町内会の意見交換や親交の場として、昨年から実施されているもの。地区内10の自治会町内会(二本榎自治会、平川町北部町内会、平川町南部町内会、斎藤分町北部自治会、斎藤分南部町内会、中丸町内会、西神奈川二丁目町内会、西神奈川三丁目通り町内会、西神奈川三仲町内会、白楽町内会)から会長や防災担当役員など約60人が出席した。

夏祭りなど議論

 第一部は意見交換の場として、各町が昨年度力を入れた取り組みについて発表した。個人宅の多い斎藤分南部町内会では、悪質な訪問販売対策として、昨年末から掲示している手作りのポスターについて説明。参加者からは、製作の経緯やかかった費用、掲示について地域の協力をどう募ったかなどについての質問が挙がった。

 また、各町内で行われている夏祭りについては、昨今の酷暑に伴い祭礼とは別の時期に開催をずらす可能性などについての議論がされた。

 第二部以降は懇親の場として、各町が混ざった形で軽食を楽しみながら情報交換を重ねた。

 島田会長は「今年は去年と比べて意見交換での笑いが足りなかったね」と振り返りつつ「今後も継続して実施していきたい」と硬軟織り交ぜた運営の継続を語った。

小学生から応募可能 朗読コンテスト参加者募集 締め切りは6月30日

 小学生から大人まで、だれでもで応募できる全国朗読コンテストが8月23日(土)、横浜市社会福祉センター(桜木町駅すぐ)で開催される。現在、小学生、中高生、一般(18歳以上年齢上限なし)の3部門で出場者を募集中。各部門の課題作品の中から1つを選んで、朗読を録音し応募する。締め切りは6月30日(月)まで。予選審査通過者が8月の本選に出場できる(7月21日発表)。エントリー費は一般3000円、中高生1500円、小学生1000円。

 詳細は主催するNPO法人声物園のホームページ(https://seibutsuen.jp/)で確認を。「物語の情景や登場人物の思いが伝わるような朗読をお待ちしております」と主催者は呼びかける。(問)【携帯電話】090・8490・3332(吉川さん)

表彰式に参加した(左から)森山新会長、志村前会長、緑川さん、加藤さん、福田さん、鈴木茂久区長(区スポーツ協会提供)

市スポーツ功労者称える 区関係団体の3人表彰

 「横浜スポーツ普及功労賞」の表彰式が5月20日、神奈川区スポーツ協会の総会内で開催され、区野球協会の緑川正さん、区バドミントン協会の加藤ひとみさん、区ソフトテニス協会の福田芳道さんの3人に賞状と盾が贈られた。

 同賞は地域でスポーツの普及・振興のために活動する人や大会で優秀な成績を収めた人を表彰するもの。市内にある各区のスポーツ協会から候補者が推薦され、市民スポーツ委員会の選考を受けて授与が決まる。

 福田さんは、中学生から60年間、ソフトテニスを続けており、現在もサークルを運営。ソフトテニス協会では理事を務めており、「周囲の支援や家族の協力に感謝している」と話した。バドミントン協会で会計を務める加藤さんは「長く続けてきて良い記念になった」と受賞を喜んだ。

 また、スポーツ協会の総会で、これまで会長を務めてきた志村昌佐さんが退任し、新たに副会長だった森山明さんが会長に就くことが決まった。

過去の様子=商店街提供

六角橋が「動物園」に 6月7日、乗馬体験も

 六角橋商店街で6月7日(土)に「ふれあい動物園」が開催される。午前10時から正午、午後1時から3時の2部制となる。会場は食品館あおば裏駐車場。同商店街連合会が主催、(株)どうぶつむら相模湖飼育所が協力。

 同イベントでは、「ポニー乗馬体験」と「動物ふれあい体験」の2つが楽しめる。参加料はそれぞれ1回500円だが、いずれも商店街商品券500円分が付いてくるため、実質無料で動物たちと触れ合えるお得な機会となっている。ポニー乗馬は小学生以下限定で、ふれあい体験は誰でも参加可。今年はウサギやアヒルも訪れる予定。当日先着順で、定員に達し次第締め切りとなる。

 小雨決行、荒天の場合は中止となる。問い合わせは同商店街事務所【電話】045・432・2887。

ホテルとして活用される横浜郵船ビル

横浜郵船ビル 市認定歴史的建造物に 外観を保存し、ホテルへ

 横浜市は5月9日、日本郵船(株)が所有する横浜郵船ビル=中区海岸通=を横浜市認定歴史的建造物として認定した。同社を含め2者がホテルとして活用することを発表した。26年秋に竣工予定で開業は2027年春を見込む。

 認定された建造物は、今回で105件目。郵船ビルは1936年に建てられ、長期間、事務所や訓練所として使用されてきた。横浜港から乗船する多くの乗組員を輩出しており、貿易産業を盛り上げ同市の発展に寄与した歴史がある。また、市内で古典主義様式が用いられた最後期の建物で特に正面は、コリント式の16本の並んだ柱が特徴的。海岸通り地区の歴史的景観を形成する代表的なランドマークとなっている。

 市は、郵船ビルに対して専門家などの調査を踏まえ価値の高い建造物として判断し、歴史的建造物に認定した。今後、保全改修などで市の助成を受けることが可能になる。

再開発事業の一環

 郵船ビルがある海岸通り地区は、22年に同社を含む3者が都市計画の変更を提案したことで、再開発事業がスタート。すでに一部の施設がオフィスとして生まれ変わったほか、同ビルの隣接地には、オフィスや文化施設を兼ね備えた高層ビルの建設を予定しており、昨年5月に新築工事に着手している。

 さらに、海岸線を歩けるように水際線プロムナードの整備も計画している。

 郵船ビルの外観はそのまま保存され、建物内部を宿泊・レストラン・バンケットを備えたホテルに改装する。同時に、チャペルなどの付帯施設や広場も整備される。市の担当者は「外観の特徴をそのまま残して活用いただけるのは、ありがたい。この事業による新たなにぎわいを期待したい」と話した。

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発見について語る森田さん(左)と竹中さん

横浜市電保存館 「世紀の大発見」初公開 100年以上前の乗車券金型

 100年以上前の横浜電気鉄道時代の路面電車の乗車券の金型が、横浜市電の元車掌だった故人の家からこのほど見つかった。処分に困っていた家族が市電の研究などを行う「しでんの学校」に相談したことをきっかけに、これまで確認されていなかった貴重な乗車券の金型ということが発覚。「世紀の大発見」として、横浜市電保存館=磯子区滝頭=で初公開されている。

 今回新たに発見されたのは、横浜電気鉄道時代の縦3cm、横4・8cmの「五銭乗車券」の金型など9点。片道運賃4銭に通行税1銭が課税されていること、乗車券の中央に横浜電気鉄道(1904〜21年)の社紋があることなどから、1911(明治44)年から21(大正10)年まで使用された乗車券の金型とみられる。

 中区在住の鈴木久美子さんが2023年秋頃、長年市電の車掌を務めた父の部屋で探し物をしていた時に、引き出しから古いボール紙の箱に入った金属を見つけた。ずっしりと重く、年月日が書かれているため、市電のものかもしれないが、どこに相談していいか、どう処分していいか分からないまま一年が経過。そんな時にタウンニュースで「しでんの学校」がイベントに出展する記事を見て金型を持参した。

 その日のことを「しでんの学校」の森田満夫さんと竹中洋一さんは、「見てすぐ大変なものだと思った」と振り返る。しでんの学校などによると市電に乗る場合、乗客が車内で車掌から乗車券を購入し、降車時に回収箱に投入されていたこともあり、紙の乗車券の現物はほぼ確認できていないという。元横浜都市発展記念館の学芸員で鉄道の歴史などに詳しい岡田直さんは「乗車券の原版となる金型の発見は意義が大きい」とする。

偶然重なり世へ

 なぜ車掌の鈴木さんの父が金型を持っていたのか――。森田さんと竹中さんは「いま市電保存館がある場所は元車両工場で、乗車券の印刷所があったので、何かのきっかけでもらったのでは」と推測する。鈴木さんは「父が生きていた時には見たことも聞いたこともなかったが、大事なものと分かり処分しなくてよかった。皆さんが明るみに出してくれた」と、偶然の重なりから後世につなげられたことを喜ぶ。

来年4月まで展示

 横浜市電保存館の武藤隆夫館長は、「横浜電気鉄道時代のものは、ほとんど現存しておらず、大変貴重な『世紀の大発見』だと思う。市電に関する昔のものをお持ちの方がいたらぜひ相談してほしい」と話す。

 展示期間は来年4月21日(火)まで。様々な年代の乗車券・乗換券の金型の実物8点と解説パネルが展示されている。平日は午前10時から午後4時、土日祝は9時30分から5時、水・木曜定休。入館料は大人(高校生以上)300円、3歳から中学生100円。問い合わせは同館【電話】045・754・8505。

西谷中のエレベーター

横浜市 エレベーター設置進む 1校1基以上目指す

 横浜市は今年度、市立学校33校にエレベーターを新規に設置する予定だ。これは2020年のバリアフリー法改正を受け、市が整備を加速させているもので、担当者は「1校1基以上の設置を目標に、優先度が高い学校から順次進めていく」とした。

 バリアフリー法改正は、車いすなどを利用する要配慮児童生徒が安心して学校生活を送れる環境整備を目的としており、公立小中学校などに対してエレベーター設置を含むバリアフリー基準への適合を努力義務としている。

 国は21年度から、エレベーター設置改修事業への補助率を3分の1から2分の1に引き上げた。これを受け市はエレベーターの新規設置数を大幅に増やしており、これまで年間10校程度だったものが23年度には24校、24年度には30校となった。

 市教育委員会の担当者によると、24年度末時点で小学校336校のうち約47%にあたる157校、中学校144校のうち115校(約80%)への設置が完了しているという。全国20の政令指定都市における設置状況の平均は35・6%(24年9月時点)で、市の設置率はこれを上回っている。

中学校を優先

 市は現在、中学校へのエレベーター設置を優先的に進めている。その理由の1つとして、小学校との連携により要配慮児童生徒の在籍状況を把握しやすい点が挙げられる。また、小学生と比較して体格の大きい中学生の場合、教員が車いすを持って階段を昇り降りする際の負担が大きいことも考慮されている。市は今年度の整備が完了すれば、中学校においては全校設置になるという。

 西谷中学校=保土ケ谷区=の仁平浩史校長は「車いす利用の生徒は一部の教室に移動する際に教員の補助を受けるが、それ以外スムーズに校内を移動できている。教職員の負担の軽減にもつながっている」と述べる。

 また、市の担当者は「エレベーターを1基設置するのに1億円以上必要で、設計や工事にも時間を要する。小中学校は災害時に避難所としても活用されることもありバリアフリー化は不可欠。全ての児童生徒が安心して学校生活を送れるよう、計画的に整備を進めていく」と話す。

福祉事業協会に感謝状贈呈 県更生保護協会

 5月28日に行われた神奈川県更生保護協会理事会の席上で、神奈川福祉事業協会に法務大臣感謝状が贈られた=写真。同協会は法務省主催の「社会を明るくする運動」など更生保護活動への支援を長年続けている。

横浜市長選 自民が独自候補擁立を断念へ

 任期満了に伴う横浜市長選(7月20日告示、8月3日投開票)で自民党が独自候補の擁立を断念する方針であることが6月3日に分かった。同日に中区で自民党横浜市連大会が行われ、大会終了後に市連会長の佐藤茂市議が記者団の取材に対して明らかにしたもの。

 市長選に向けて、自民党市連は昨年から検討チームを作って候補擁立を模索していた。佐藤氏は断念の理由を「時間がなかったことと適任者がいなかったため」と説明。「選挙に勝てるような候補者でなければ出すことはできない」とも述べた。

 自民党の一部市議は5月25日に山中竹春市長と面会している。山中氏は市長選への態度を公表していないものの、市会定例会最終日の6月5日に再選出馬を表明するものとみられている。

 佐藤氏は山中氏について「出馬宣言をすれば、有力な候補者となる」とし、山中氏から支援要請があった場合には「検討する」とした。しかし、党内には山中氏に批判的な市議がいることから「きちんと議論して、合意形成を図っていく」と語り、前回の市長選で市議団が2人の候補をめぐって分裂した反省を踏まえ、「一枚岩」で臨むことを強調した。また、前回選では共産党が自主的に山中氏を支援していたが、仮に今回も支援する場合は「同じ支援体制に入ることはあり得ない」とした。

 佐藤氏は、市連大会のあいさつでは市長選について、「現在も協議の真っ最中」と述べ、独自候補擁立断念には触れていなかった。佐藤氏の記者団への発言について、大会に参加していた市議は「断念というのは、踏み込み過ぎでは」と驚いていた。

筒香選手のポスター

ベイスターズ 筒香選手ら環境行動呼びかけ 市内1100カ所にポスター

 横浜市は6月の環境月間に合わせ、プロ野球横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智選手らが市民に環境行動を訴えるポスターを市内約1100カ所に掲出する取り組みを6月から行う。

 ポスターには、筒香選手と竹田祐選手、桑原将志選手が登場。それぞれ、環境行動を呼びかけるメッセージが記されており、筒香選手は「常に考えている。地球のために、自分にできること。」と、日々の行動を推奨している。

 これらのポスターは市内の公共施設や学校内に9月末まで掲示されるほか、地下鉄関内駅の1番出口付近には6月2日から8日まで大型ポスターが登場する。

 3選手のサイン入り色紙とボールが計6人に当たる市内在住者対象の環境に関するアンケートを6月1日から30日まで実施。回答は電子申請システムを通して行う。

 市は「ポスターが多くの人の環境行動につながるきっかけになれば」と期待している。

神大横浜キャンパスで中村さんの報告を聞く参加者

「山下ふ頭再開発に市民の意見を」 シンポジウムで市民団体訴え

 山下ふ頭の再開発について考えるシンポジウムが5月31日に神奈川大学横浜キャンパス=神奈川区=などで行われた。

 再開発をめぐっては、林文子市長時代にIR(カジノを含む統合型リゾート)誘致を計画していたが、2021年の市長選で当選した山中竹春市長が計画を撤回。市はその後、再開発に関する市民意見募集を実施し、23年8月から都市計画の専門家らによる検討委員会が議論を始めた。24年12月に緑化空間の創出や経済活性化を目的にした施設の導入などを盛り込んだ答申をまとめて市長に提出。市は今後、事業計画案を策定する。

 シンポジウムは神奈川大学法学研究所が主催し、約30人が集まった横浜キャンパスのほか、登壇者をオンラインで結ぶ形で行われた。

 横浜キャンパスでは、市民団体「市民による市民のための山下ふ頭を求める会(準備会)」の代表を務める中村寛三さんが報告を行った。同会は、市民が声を上げたことでIR撤回を掲げた山中市長が誕生した経緯を踏まえ、山下ふ頭再開発でも市民意見を尊重すべきとの姿勢で活動している。

 中村さんは検討委員会の答申を「短期的な商業的開発と中長期的な市民生活の豊かさを追求するまちづくりという両立しない方向性を無理矢理まとめたもの」と批判。市が事業計画案を策定する際は市民参画を保証する委員会を設置すべきと主張した。8月の市長選後に計画案が出るとの見方を示し、それまでに世論を喚起したいとした。今後、市長選立候補予定者に再開発に関する質問を行うことも検討しているという。

 シンポジウムではほかにも、まちづくりの専門家らが土地利用のあり方や港湾機能の活用などの観点から意見を述べた。

会見で市長選について語る山中市長

山中市長、再選出馬は「適切な時期に判断」 自民市議との面会は認める

 横浜市の山中竹春市長は5月30日の定例会見の中で、次期市長選(7月20日告示、8月3日投開票)について、「出処進退は適切な時期に判断したい」と述べた。

 市長選をめぐっては、山中氏が25日に市会最大会派の自民党市議団の一部議員と面会し、再選出馬の意向を伝えたとする報道が26日以降に相次いでいた。28日の市会本会議では、議員から報道に関する質問があり、「報道は事実」と答え、面会は自民党側からの要望だったとしていた。

 定例会見では記者から報道について問われ、山中氏は「会ったことは事実」と答えたものの、出馬意向の伝達は、「相手のあることだから回答は差し控える」と面会時の内容は明らかにしなかった。その上で市長選への立候補は「適切な時期に判断したい」とした。また、自民党との面会以降、他党とは会っていないとした。

 一連の報道を受け、4年前の市長選で山中氏を支援した立憲民主党のある市議は「市長が先に自民党に話をするのは順番が違うのでは」と語り、市会で自民党と歩調を合わせることが多い公明党の市議も「事前に自民党から何も聞いていない」と述べ、ともに山中氏や自民党がどう動くかを読み切れないとしていた。

子どもの歯にフッ素を塗る歯科医師

神奈川区役所で未就園児の歯科健診 無料で歯並び相談やフッ素体験

 神奈川区歯科医師会(加来めぐみ会長)と神奈川福祉保健センターによる歯科健診「歯っぴーキッズイベント」が、5月29日に区役所で実施され、区内在住の1歳6カ月以上の未就学児35人が受診した。

 これは幼児期から口内環境を整える大切さを伝えようと、6月4日から10日までの「歯と口の健康週間」に合わせて例年開催されている催し。

 当日は同会に所属する歯科医師約10人が健診や歯並び相談をはじめ、むし歯予防のために歯を強くするフッ素塗布などを行った。

 西寺尾在住で2歳6カ月の娘を連れてきた参加者は「まだ歯医者に診てもらうのは初めて。噛み合わせに関する悩みがあったので、このように気軽に相談できる機会はありがたい」と笑顔で話す。また1歳6カ月の息子を連れてきた参加者は歯磨きのタイミングや間食についての相談をし、「上の子の時には幼いころに健診をしてあげられなかったので、今回下の子には早めに健診ができてよかった」と話した。

 加来会長は「子どもの歯の状態を診てもらうだけでなく、子どもの歯に関する悩みをもった親が相談できる場所なので、これを機にかかりつけ医について考えてもらえれば」と語った。 

贈呈式に出席した関係者

若手経営者団体が横浜市社会福祉基金に寄付

 横浜エリアの若手経営者らによる団体「横浜スマイル」が5月22日、チャリティーゴルフコンペで集めた25万5200円を横浜市社会福祉基金に寄付した。寄付金は市内のこども食堂の運営支援などに活用される。

 同基金は2010年度に創設。市が行う社会福祉や青少年の育成に関する事業の向上などを目的としている。

 横浜スマイルの村松佑樹さん、錦織大さん、永島友樹さんの3人は、22日に横浜市庁舎を訪問。平原敏英横浜副市長から感謝状が贈呈された。村松さんは「地域の架け橋になるような活動を続けていきたい。今回の寄付をゴールにするのではなく、これからも誰かの力になれる取り組みを広げていければ」と今後の展望を語った。

医療リテラシーの向上を図る職員

横浜市 「あんしん救急教室」が6月始動 児童に救急車の適正利用など発信

 横浜市消防局は6月から、小学生を対象とした「あんしん救急教室」を市立小学校で順次開催する。児童や保護者に救急車の適正利用などを呼び掛けることが目的。

 同局によると、横浜市内の救急出場件数は2022年に24万4086件、23年に25万4636件、24年に25万6481件を記録し、3年連続で過去最多を更新。24年は2分3秒に1回の頻度で救急車が出場し、市民15人に1人が救急車を利用したことになった。

 同局は出場件数の抑制のため、救急を要する事態の予防や119番通報の適正利用を呼び掛ける機会を模索。「子どもに情報伝達することで、保護者も医療リテラシーなどについて考えるきっかけになる」と考え、市立小学校を対象とした「あんしん救急教室」を企画する運びとなった。

 市内334校(24年度時点)での開催に向けて今年2月、横浜市民防災センター=神奈川区=で試験実施。消防職員が横浜市の救急隊の数や出場件数について冊子やクイズを交えて紹介し、医療資源の効率的な利用促進を訴え掛けた。また、病気やけがを未然に防ぐことで救急車の出場数を減らし、本当に必要としている現場に出場できることを説明した。

 そのほか、意識障害や呼吸困難、大量の出血を伴うけがや広範囲のやけどなどの症状が表れた際は、迷わずにすぐに救急車を呼ぶように伝えた。

 同局の担当者は「救急車は限りある資源。子どもたちの『どんな状況でも呼べば来てくれる』という固定観念を払拭し、呼ぶべき時とそうではない時をはっきりとさせたい。学校教育ではあまり触れられない救急に関する話について発信していければ」と話す。

 

神奈川県議会 所属委員会決まる 神奈川区選出議員

 神奈川県議会は5月26日、今年度の常任・特別などの委員会の構成を決定した。神奈川区選出議員の所属は以下の通り(敬称略、氏名の後は会派名)。

 ▽梅沢裕之(自民党)産業労働常任委員会、社会問題対策特別委員会、予算委員会

 ▽片桐紀子(日本維新の会)文教常任委員会、安全安心・未来環境特別委員会

 常任委は8つ設置され議案や請願、陳情などの審査を行う場。特別委は特定の問題について必要に応じて設置される。

堀川圭輔氏

参院選 NHK党 堀川氏擁立へ 受信料制度見直し訴える

 参院選神奈川選挙区(改選定数4)に政治団体「NHK党」が会社員の堀川圭輔氏(51)を擁立することを決めた。

 堀川氏は2022年の参院選静岡選挙区、23年の豊島区議選に同党から立候補して落選している。5月29日の会見で「NHKの受信料制度は今の時代に合っていない」と述べ、受信料を支払った人だけが視聴できる制度の導入を訴えた。