川崎区・幸区版【6月27日(金)号】
カラフルな山車を引く参加者=過去

インド山車祭り 「世界平和」に願い込め 6月29日 川崎駅前で

 インドの伝統的な祭り「ラタジャトラ」が6月29日(日)、川崎市役所広場で開かれる。高さ約3mの山車の練り歩きが行われるほか、阿波踊り、日印両国の子どもたちが互いの国の歌を披露する。世界のさまざまな場所で戦争や紛争が起こる中、「こういう時代だからこそ、みんなが仲良くすることが大事。祭りを通じて神様に平和を祈願してもらいたい」と主催するOCJ(オディサ コミュニティ ジャパン)代表のプラティマ・ベヘラさん(51)は願いを込める。

 ラタジャトラは、インド南東部オリッサ州で6月から7月に行われ、現地では毎年100万人以上の人出で賑わう。世界170カ国でもまつりは実施され、日本では愛知県などでも行われている。川崎では2012年から開催されている。

 開催当日は、ヒンドゥー教の神「ジャガンナート」「バラバドラ」「シュバドラ」を乗せたカラフルな山車を伝統音楽に乗って踊り、歌いながら巡行する。市役所広場を出発し、銀柳街や仲見世通りなどを経て、東田公園まで練り歩く。

 文化交流イベントも行われ「日本の子どもたちがインドの歌を歌い、インドの子どもたちは坂本九の『上を向いて歩こう』を披露する文化交流ステージは見どころ」と、ベヘラさんはいう。イベント前には大使館関係者友好セレモニーも行われる。べヘラさんは「普段はヒンドゥー教の人以外は入れない寺院に安置されている神様が年に一度外に出る日。民族や宗教を超えて多くの人が集まって、神様に触れて楽しんでもらえれば」と語る。

 開催時間は午後2時から6時。詳細は公式ウェブサイト(http://odishajapan.org/)で確認できる。

川崎市議会 マイナカード交付拡充へ 6月補正予算案が可決

 川崎市議会第2回定例会は6月19日、国の制度に基づいて実施するマイナンバーカード交付体制の拡充や介護人材確保に向けた事業費など、2025年度の一般会計を43億9084万4000円増額する6月補正予算案を全会一致で可決した。補正項目は7つで、補正総額のうち、約41億7000万円は国からの財源を活用する。

 急増するマイナンバーカードの更新に対応するため、約21億8300万円を計上。現在、川崎市役所北庁舎(旧第4庁舎)にあるマイナンバーカードセンターを武蔵小杉駅周辺に移設し、2023年末に終了した交付窓口を再開させる。加えて、サテライトの交付窓口を川崎駅、溝の口駅、宮前平駅、新百合ヶ丘駅の周辺に設置。人員配備にも約7100万円を計上し、交付体制の充実を図る。市では、いずれの窓口も10月の開設を見込んでいる。

生活支援に18億円

 価格が高騰する電力・ガス・食料品などの支援給付金事業費として、17億9846万円を計上。昨年度、定額減税補足給付金(不足額給付)の支給額に不足が生じた人に対し不足額を給付する。

 生活保護実施事業費には3457万9000円をあて、国の調査項目の変更などにかかるシステムを改修する。

 福祉人材確保支援事業費として8522万3000円を計上。訪問介護などのサービスを提供する事業所に対し、研修体制の構築や、経営状況の改善などの支援を行う。

 運転手不足の影響などによるバス減便などの交通課題対策として、自動運転バスの実装を進めるため、地域公共交通事業費には一般財源5900万円を含めて1億2000万円を充当。今まで使用していた中型バスに加えて、大型バスによる実証実験も実施する。

一般財源は2億円超

 補正額のうち約2億1000万円が一般財源で、市の貯金に当たる財政調整基金から繰り入れた。全額を一般財源で負担するのは次の2項目。

 公設民営障害者施設運営費には4429万円を充当。麻生区五力田にある障害者支援施設「柿生学園」の指定管理者が2026年度から変更されるのに伴い、業務の引き継ぎのための経費を盛り込んだ。

 川崎市内の民有地に設置されている貯水槽を地権者の求めに応じて撤去する費用として、5328万3000円を計上。この撤去により、市内の民有地にある貯水槽は全部で85カ所となる。

 補正後の一般会計の総額は8990億909万9000円。

歌集『沖積層』を出版した 喬木(たかぎ) 驟雨(しゅうう)さん(筆名) 川崎区小田栄在住 74歳

身近な日常を短歌に

 ○…74歳で初の歌集『沖積層』を出版。「沖積層」とは、河川や海によって形成された最も新しい地層のことで、住まいのある川崎区沿岸部を示す。「扇島ドッグヤードに犬はなく海風なびき涼しき夕暮れ」。40代からこれまでの、約30年間の短歌429首を収めた。自然や日常を詠んだものが多く、「心が動いた瞬間や、身辺の小さな出来事を歌にする」と自身の特徴を話す。

 ○…東京都豊島区出身。若い頃から詩が好きで、寺山修司などに親しんだ。また幼い頃、家では『百人一首』をやる習慣があり、「潜在的に歌に触れていたかもしれない」と振り返る。短歌を作り始めたのは、大学教員として社会学の教鞭を執り、福島に住んでいた頃。たまたま見かけた広報誌の和歌募集がきっかけだった。それからのめり込むように歌を詠むものの、仕事が忙しくなり、50代で一時中断。再び詠み始めたのは約20年後で、定年退職を機にもう一度歌に向き合った。

 ○…ハンセン病を患い、失明も経験した歌人・沢田五郎や、壮絶な生い立ちが話題となったセーラー服歌人・鳥居など、決して恵まれた境遇とはいえない詠み手の歌に関心が高い。中でも、ハンセン病文学を集めた全集の短歌の巻に、衝撃を受けた。自ら療養所にも赴き、感慨を歌に詠んだ。それらの短歌をハンセン病対策などに取り組む笹川保健財団主催の『ふれあい文芸』に応募。2024・25年には特撰を得た。

 ○…高校野球の大ファンで、公立のみを応援するというこだわりの持ち主。これまでに大師高校や川崎工科高校などの試合を現地で観戦した。県内の球場はほぼすべてに足を運んだという。「自分も元高校球児。高校生の真剣さには胸を打たれる」と魅力を語る。

カフェに訪れたファミリー

大師公園でも「どまりば」 カフェやワークショップ

 一般社団法人大師ONE博が運営するコミュニティースペース「どまりば」が6月8日と14日、「出張どまりばマルシェ」を大師公園で開催した。

 地域の人にどまりばを知ってもらうと同時に、公園を楽しんでもらおうと、同公園の指定管理者である石勝エクステリアとの共催で企画した取り組み。今後も月1回程度を目安に開催していく予定という。

 当日は海洋プラスチックで光るコースターを作るワークショップや、ヨガレッスンなどが行われた。カフェの出張販売では、川崎区大島のコーヒー豆専門店「グリーンビーンズ」の豆を使用したブレンドコーヒーや、能登への応援を込めて、金沢の「ウフフドーナチュ」のドーナツなどを販売。家族と一緒に訪れた瀬崎琉華ちゃん(4)は、「もちもちのドーナツが美味しかった」とはにかんだ。

 同法人監事の奥貫賢太郎さんは「今後は店数を増やして、より盛り上がるイベントを目指していきたい」と意気込みを語った。

幸区で地域デザイン会議 6月28日 傍聴者募集

 幸区役所は6月28日(土)、古市場一丁目町会会館(幸区古市場)で開催する地域デザイン会議の傍聴者を募集している。

 同区ゆかりの絵本作家故・かこさとしさんをまちづくりに生かす取り組みについて、幸区長、幸高校の生徒、古市場第2公園近隣保育園の保育士、子育て関係団体の参加者がグループワーク形式で意見交換を行う。来年3月実施予定の記念イベントにつなげていく。

 開催時間は午後2時から4時。受付は1時45分から。定員は当日先着5人。問い合わせは、同区役所【電話】044・556・6607。

長崎での被爆の経験を語った松本さん

戦後80年 戦禍の記憶【6】 宮前区在住 松本 正さん(94) 14歳で見た地獄、歌に刻み 「私が死ぬ時、友人は2度死ぬ」

 14歳の夏、人生は一変した。1945年8月9日、長崎。旧制長崎中学校の2年生だった松本さんは、爆心地から2・8Km離れた自宅で被爆した。

 その日は、朝から空襲警報が鳴り響き、空爆の恐れのある勤労奉仕先の工場から自宅に戻っていた矢先だった。午前11時2分。突如、目の前が「太陽が爆発したかと思った」ほどの巨大な白い閃光(せんこう)で真っ白になった。夢中で庭先の防空壕へ駆け込もうとした瞬間、すさまじい爆風で家屋が倒壊。下敷きになったが這い出し、九死に一生を得た。

 被爆から2日後、体調を崩し療養のため離れて暮らしていた姉と母のもとへ向かった。市外の駅を目指したが、道に迷い、爆心地近くに足を踏み入れてしまう。そこで目の当たりにしたのは、想像を絶する地獄絵図だった。

 「『水、水を』とうめく人々、『助けて』と訴える声。何もできず、ただ『ごめんね』と心の中で繰り返しながら通り抜けるしかなかった」

 数日後、家族との再会を果たし無事を喜び合った。それもつかの間、助かった人々が放射線の影響で次々と亡くなっていった。松本さんの友人や大切な人々も即死か、助かっても程なくして命を落とした。自身も髪の毛が抜け、下痢が続き、「死ぬのだろうか」と見えない恐怖におびえ続けた。「原子爆弾は、未曽有の破壊力と放射能の危険を伴う殺りく兵器。長期間にわたり人間の体をむしばみ、未来の命までを奪う」

 当時の無力感に、今でもさいなまれている松本さんは、五行歌という表現方法に、被爆体験と原爆の恐ろしさを託すようになった。

《白熱の閃光と 凄まじい爆風 瞬時にして港街は 阿鼻叫喚の 灼熱地獄となった》

《水 水 水 熱か 熱か 学生さん 小便でもよか かけてくれんね》

《化け物だ 幽霊だ 人間の姿を失った 異様な物体だ 少年が見た原爆地獄》

 「人は2度死ぬのだと思う」と松本さんはいう。「この悲劇を二度と繰り返さぬよう語り続ける限り、友は私の中で生きている。私が死ぬときが、彼らの2度目の死なのです。生きている限り機会があれば語り続けたい」。94歳の今でも、強い思いを持ち続ける。

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今年で戦後80年。体験者が年々減少し、戦争の記憶が風化しつつある。当事者の記憶を後世に残すとともに平和の意義について考える。不定期で連載。

読み聞かせと音楽演奏 7月9日 ゆりかご幼稚園で

 ゆりかご幼稚園(川崎区小田)は7月9日(水)、同園の絵本図書館を開放し「絵本と音楽のコラボレーション」と銘打ったイベントを開催する。

 五味太郎の『きんぎょがにげた』やエリックカールの『パパ、お月さまとって』を音楽演奏を交え、読み聞かせする。『ちょっとだけ』(瀧村有子作、鈴木永子絵)の朗読やマリンバ奏者・奥平哲也さんによる演奏も行われる。同園は「心がホッとできるひと時。子育てに少し疲れたという方に参加いただければ」と呼び掛ける。

 開催時間は午後2時から3時30分。参加費は無料で事前申し込みが必要。定員は5人。申し込み、問い合わせは同園【電話】044・322・3979。

目録を手にする関係者

石川商事 「ゆとりあ」に寄付金贈呈 支援続け10年

 不動産賃貸管理を営む石川商事(本店・川崎区東門前)が地域福祉に役立ててもらおうと、特別養護老人ホーム「ゆとりあ」(同区殿町)に現金50万円を寄付した。2016年から同社が続ける取り組みで、今回で10年目の節目を迎えた。石川純一郎社長は「これからも地域で一生懸命頑張る法人を支えていきたい」と抱負を語った。

 6月13日に行われた贈呈式には、石川社長と石川弘行会長が同施設を訪れ、寺尾富美代理事長に寄付金目録を手渡した。寺尾理事長は「介護の運営コストは物価高騰の影響などで増加している。善意に重みを感じる。非常にありがたい」と感謝した。

 石川商事では、石川弘行会長が社長時代から全国各地のさまざまな災害支援や教育支援などで寄付金を送っている。「地域に支えられて社業が成り立っている。寄付は地域への恩返し。日本では寄付文化が浸透していないが根付かせていきたい」と石川弘行会長は語る。

七夕まつりの開催チラシ

鹿島田で七夕まつり 屋台やワークショップも

 親子で楽しめる「鹿島田七夕まつり」が7月5日(土)午前10時から午後4時、鹿島田駅前広場で開催される。主催は鹿島田デイズとNPO法人幸区盛り上げ隊。小雨決行、荒天中止。

 短冊に願い事を書いて笹の葉に飾る七夕飾りのコーナーが設けられるほか、屋台ではポップコーン、チュロスアイス、ジュース、ビールなどが販売される予定。

 ワークショップやハンドメイド商品の販売、マッサージ体験など、子どもから大人まで楽しめる癒しのコーナーも充実。キャンピングカーの展示や、盆踊り、スタンプラリーなどの企画も。

 詳細・問い合わせは同NPO法人【電話】044・276・6526(月・木午前10時〜午後2時、火・水・金午前10時〜午後4時)。

内海聡氏

参院選 無所属連合内海氏、出馬へ 50歳、医師で作家

 夏の参院選神奈川選挙区(改選定数4)に、政治団体「無所属連合」代表で、医師で作家の内海聡氏(50)が16日、出馬を表明した。

 内海氏は筑波大学医学専門学群卒業後、病院勤務を経て2013年に医院を開院。昨年、都知事選、衆院選(神奈川15区)に出馬し、落選。

 17日の会見で内海氏はワクチン・医療行政の見直しのほか「移民、外国人優遇、中小企業冷遇の反対」などを掲げた。

建設予定の「Fujitsu Arena」(仮称)=富士通提供

富士通 川崎工場の再開発、再始動 2035年の創立100年に向け

 総合電機メーカーの富士通(株)(上小田中)は6月2日、川崎市と連携して、武蔵中原駅前の元川崎工場(現Fujitsu Technology Park)の再開発プロジェクトを開始することを発表した。同プロジェクトでは、4つのまちをテーマに敷地内をエリア分けし、2035年の創立100周年に向けて段階的に拡充、推進していく計画だ。

 この6月に創立90周年を迎えた同社。創立当初から主要拠点としていた川崎工場について、研究開発拠点として整備していくため、11年に再開発計画を開始。しかし15年に計画を見直すため一時中断。現在は老朽化した建物の解体などを進めている。その間、川崎市の持続可能な未来都市実現に向けた取り組みなどを推進し、川崎市との連携を強化してきた。24年には研究開発機能やコーポレート機能を同所に集約し、本社機能を移転。今年1月には、世界最大規模の1000量子ビットの超電導量子コンピューター展示施設となる量子棟の建設を開始し、26年度の完成を予定している。

 今回、スタートした再開発プロジェクトのコンセプトは「Open Innovation&Technology Park」。「豊かな環境を創造するまち」「テクノロジーで社会をひらきつながるまち」「スポーツ、健康を中心に心身が満たされるまち」「創業の精神が息づくまち」の4つのまちをテーマに敷地内をエリアに分けて段階的に拡充、推進していく予定だ。

 第1段階では、敷地北西部に誰もがスポーツを楽しめるエリアとして「Fujitsu Arena」(仮称・体育館棟)を新設する。社内イベントや災害発生時の近隣住民向けの一次避難所として誰もが利用可能な複合用途施設を計画しているという。

 第2段階では、「Fujitsu Museum/Open Innovation」(仮称)と題し、同社の顧客、社会、地域をつなぐ多目的施設を新設。敷地駅側広場を整備する予定。地域に開かれた空間として、多様な人たちが集い、テクノロジーに触れて感動し、創造性と探求心を育み、新たなイノベーションの創出に寄与することを目指すという。

 同社広報担当者は「以降の計画は、今後の環境の変化に合わせて段階的に推進し、周辺住民などへ説明しながら公表していく」としている。

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河合道雄氏

参院選 チームみらい 河合氏擁立 教育改革など訴える

 参院選神奈川選挙区(改選定数4)で、政治団体「チームみらい」は会社員の河合道雄氏(34)を擁立した。河合氏は東大卒業後、京大大学院で教育学を研究。教育系企業に勤める傍ら、新たな学びや機会を提供する民間団体「HLAB」に携わり、教育改革や格差是正などの課題と向き合う。河合氏は「デジタルや対面を通じ、一人ひとりの声を国に届ける政治が必要。透明性も高めたい」と訴える。

参院選神奈川選挙区 16人が立候補の意向 アンケート ウェブで公開

 7月3日公示、20日投開票の参議院議員選挙(改選定数4)で、本紙調べで6月20日現在、神奈川県選挙区には16人が立候補の意向を表明している。現職2人に、新人は14人。現時点で激しい選挙戦になることが予想される。

 本紙では立候補予定者を対象に全14問の独自アンケートを実施。回答を当社政治情報サイト「政治の村」で公開している(二次元コードから)。

 県内の6月2日時点の選挙人名簿登録者数は769万7043人。22年の前回選挙は補欠1を含む定数5で行われ22人が立候補。投票率は54・51%だった。

(6月20日起稿)

高校生年代対象 最先端量子技術を体験 4日間の夏キャンプ

 高校生年代を対象にした「Kawasaki Quantum Summer Camp 2025」が7月29日(火)〜8月1日(金)までの4日間、かわさき新産業創造センターAIRBIC(初日は東京大学本郷キャンパス)で開催される。

 日本IBMや東京大学の研究者を講師に、量子コンピューターの基礎やプログラミングを学ぶ。研究施設の見学や、参加者自身が思い描く「量子コンピューターのある未来」についての発表会も予定。

 対象は高校に在学中、または高校生年代(07年4月2日〜10年4月1日生まれ)の人。参加無料、定員30人(応募多数の場合は川崎市在住・在学者を優先に抽選)。申し込みは市ウェブサイト内フォームから。7月4日(金)締切。

 問い合せは市経済労働局【電話】044・200・2407。

(写真上)「しっぽとり」で芝生を走り回る参加者たち(写真下)ヘナアートのブースで顧客対応する林さん(右)

異文化交流フェス開催 言葉の壁超え笑い合った

 言語を超えたリアルな交流を作りたい--。一人の英語講師の思いから生まれた異文化交流イベント「生田緑地国際スポーツ&カルチャーフェスティバル ウィズTAROマルシェ」(スポカルフェス)が、6月8日に生田緑地で開催された。主催者の願い通り、さまざまな国にルーツを持つ人々が共に汗を流し、笑い合った。

 「スポカルフェス」は、多くの外国人が暮らす川崎の地に新たな異文化交流の場を作ろうと、多摩区で英会話教室を営む高部真生さんと、スリランカ出身で川崎市外国人市民代表者会議の元委員長、ペレーラ・ラヒルサンケータさんが立ち上げたイベントだ。

 高部さんの「外国の人々と実際に触れ合える場が欲しい」という思いから始まり、協力者のペレーラさんと「リアルな触れ合い」にこだわってイベントを考えた。多国籍チームで力を合わせる綱引きや玉入れなどの「グローバル運動会」や、子どもたちが会場内の外国人を探して声をかける「地球まるごとサインラリー」など、「言葉に関係なくコミュニケーションを交わせる仕掛けを考えた」という。

 東京都狛江市から父親と参加した小学1年生の女の子は、外国ルーツの大人や子どもたちと追いかけっこの「しっぽ取り」を力いっぱい楽しんだ。父親は「娘がこの運動会を楽しみにしていた。実際に外国人と触れ合える、いい機会だと思う」と笑顔で話した。

外国人が当たり前に 

 会場には、タイマッサージの体験コーナーやロシア人写真家のギャラリーなど、多国籍の文化に触れるブースが並んだ。「ヘナアート」のブースを出店した林リダさん(29)は、父がパキスタン、母が台湾にルーツを持ち、自身は生まれも育ちも川崎市。日本語が母国語だが、イスラム教徒の女性が着用するヒジャーブをまとう外見から、幼いころ電車の中で「自分の国に帰れ」と言われた経験もある。「でも今は川崎に外国人がいて当然という感じ。すっかり変わった」

 昨年9月、日本に暮らすムスリムの人々を応援する一般社団法人「清真の木」を立ち上げた。「モスクに通う子どもの中にはいじめにあい、不登校になる子もいる。社会の懸け橋になりたい」と林さん。ブースにはパキスタンやスリランカのスタッフが並び、続々と訪れるゲストの手に手際よくヘナアートを描いた。林さんは「ヘナがこんなに人気だなんて。スタッフも楽しそうでうれしい」と喜んでいた。

246号線から見える富士山(アレンさん提供)

ロシア人の写真愛好家 撮り続ける宮前の魅力 ネットギャラリー開設

 宮前区在住のロシア人写真愛好家、アレン・スミルノフさん(47)が、宮前区で撮り続けた写真を集めたネットギャラリー「みやまえ日和」を開設した。地元愛に満ちた写真を通し、地域の魅力を発信していくという。

 東高根森林公園から見える富士山。平瀬川のほとりではためくこいのぼり。6月初めに開設したネットギャラリー「みやまえ日和」には、アレンさんが4年ほど前から宮前区で撮り続けてきた写真が並び、街がもつ多彩な表情を伝えてくれる。

 青空へとのびる雲間の光や夕日に輝く坂道など、アレンさんがカメラで捉えたひとこまは、異国の街の風景のようでもある。しかし「自分はただ出合った風景にカメラを向け、その瞬間を撮るだけ。宮前の魅力を伝える写真が撮れれば、それで十分」と語る。

 当初はSNSのコミュニティー「ふらっと宮前区」へ投稿していたが、6月8日(日)に生田緑地(多摩区)で開かれたイベントの主催者に「写真を展示しないか」と打診され快諾。初のイベント出展にあわせ、ネットギャラリーも開設した。

違う輝きに気づいた

 アレンさんは旧ソ連時代のサンクトペテルブルク近郊の出身。幼い頃、父が旅行先から持ち帰った日本の雑誌に魅了され、15歳の時に父と初来日した。新潟と京都を訪れ、「歴史、文化、食べ物、街の人たちの優しさ。いっぺんで日本のとりこになった」という。

 独学で日本語を学び、2000年に北海道の大学に留学。修士課程を修了後、東京都の会社に就職して日本人女性と結婚し、2011年から宮前区に暮らす。千葉や東京でも暮らしたが、「自然が多く人も温かい。この町が一番」という。

 学生時代から趣味だった写真に本格的に打ち込み始めたのは、コロナ禍の2021年だった。息詰まる日々の中、気分を変えるため、お気に入りスポットの東高根森林公園にカメラを手に通い始めた。するとこれまで気づかなかった風景に「出合える」感覚があったという。「普通に歩いても素敵な街だけれど、ファインダーを通すと、違う輝きに気づく。その一瞬が写真の面白さだと思う」

 日本での暮らしが四半世紀を超え、改めてこう感じているという。「もっともっと宮前の魅力を発見し、写真で伝えていきたい」

 

極寒の冷蔵庫で実験 東洋水産、参加者を募集

 即席カップ麺や焼きそばの「マルちゃん」ブランドで知られる東洋水産(株)(東京都港区)が8月21日(木)、22日(金)に川崎区の東扇島第一冷蔵庫の見学会を開催する。

 地域の人に食品流通や冷蔵倉庫の役割を楽しく学んでもらう企画で、今回で8回目。

 当日は、マイナス20度からマイナス30度の中でシャボン玉を膨らませたり、濡れたタオルを振り回す実験を行う。

 参加無料。対象は小学4年〜6年生(とその保護者)。定員は各日25人程度。応募は同社ウェブサイトの専用フォームから。期間は7月1(火)から17日(木)。同社の担当者は「自由研究にも生かせたりと、人気企画です」と参加を募っている。

優勝を喜ぶメンバー

古市場が優勝 ドッジボールフレッシュ杯

 ドッジボール大会第12回「フレッシュ杯」(田中徳一郎県議主催)が6月8日、古市場アリーナ(幸区古市場)で開催され、古市場ドッジボール部が優勝した。

 大会には9チームが出場し、コート上で熱戦を繰り広げた。準優勝は塚越一丁目ドッジボール部、3位は杉の子グリーンモンスターズとなった。猛闘賞は小向レッドバルーンが獲得した。

川崎市役所

社会的養護の現場 「人材確保に向け支援を」 福田市長が国に要請

 川崎市の福田紀彦市長は6月13日、指定都市市長会を代表し、児童福祉人材の確保に必要な支援についてこども家庭庁に要請した。川崎市として要請を続けてきたが、今回初めて、指定都市市長会の総意として要請した形だ。

 福田市長は三原じゅん子・内閣府特命担当大臣と面会し、児童養護施設の職員の処遇改善や、体制強化に向けた人材確保のための「配置基準」の見直しなどを盛り込んだ要請文を提出。「社会的養護の現場にも光をあてて頂きたい」と訴えた。三原大臣は「限られた財源の中で精いっぱい取り組んでいきたい」と回答した。

 親からの虐待などで家庭での養育が難しい子どもが暮らす児童養護施設では、夜勤や長期間労働が常態化している上に子どものケアが欠かせないなど、困難な業務が多い。にも関わらず給与水準が低いため、全国的にも人材確保が難しくなっており、市内でも、職員不足から子どもの受け入れを抑制せざるを得ない施設もあるという。

 加えて国が社会的養護の基本理念を里親などの「家庭養育優先」へと転換したことに伴い、児童養護施設にも家庭的な環境整備と、自立支援のためのショートステイや里親支援などの「多機能化」も求められるなど、施設職員の負荷が増す一方だ。

 こうしたことから川崎市では2022年度から、施設が職員のために宿舎を借り上げる際の補助金を支給している。その結果、23年度に宿舎を利用した職員は全体の約3割にあたるのべ1131人(実数約94人)に達し、補助金は約7千万円だった。

 一方、国は保育人材確保のために「宿舎借り上げ支援制度」を実施しているが、補助基準額の減額や補助期間の短縮など、制度が縮小されている。要請文にはこの点でも要望が盛り込まれた。

7月1日は「ミューザの日」 ウェルカムコンサート 親子で楽しめるイベントも

 ミューザ川崎シンフォニーホールが7月1日(火)に開館21周年を迎え、今年も多彩な地域交流イベントが開催される。

 メイン会場では、オーケストラが初めての人や家族でも楽しめる「ウェルカム・コンサート」。

 同ホールの周辺では、JR東日本による鉄道模型のNゲージ操作体験や制服着用体験。川崎フロンターレのキックターゲットなど市内のプロスポーツチームが企画する人気企画やアクセサリー作りなど、一日親子で楽しめる催しが盛沢山。

GO!GO!!フロンターレ

恒例の100m走グランプリ

 サッカーJ1・川崎フロンターレは7月21日(月・祝)午前10時〜午後4時、恒例の「真夏のDreamChampionship 2025〜かわさき100m走グランプリ〜」を開催する。場所は富士通スタジアム川崎。小雨決行。

 MCによる盛り上げを入れて、100m走を楽しく走るのがテーマのイベント。当日は100m走グランプリをはじめ、キッズ障害物体験ブース、ペガーボール、アメフトのアトラクション「クォーターバックチャレンジ」など、多彩なプログラムを用意。運動経験の有無に関わらず楽しめる。

 総監督を務めるのは、運動系バラエティー番組に多数出演歴のある、おねだり豊さん。各学年の優勝者には特製トロフィーが贈られる。

 参加費は川崎市内在住1200円(税込)、市外在住1500円(税込)。対象は年中・年長各25人、小学1〜6年生各25人。詳細は同スタジアム【電話】044・276・9133。

教えて!職人さん vol.7 訪問悪徳業者のセールスにご用心!

 Q...戸建てにお住まいの方なら時々、業者を名乗るセールスマンが訪問で「家の外壁を無料チェックして差し上げます!」等々勧められた経験があるハズ。こうした訪問営業は、一時期「悪質リフォーム」として有名になったのでは?

 A...そうですね。実際は一部の業者だけがそういうことを行っていたのですが、業界全体が悪いイメージになってしまって、正直つらい日々でした...。もちろん、訪問してくる業者が必ず悪質だということはありません。偶然通りがかって外壁を見て、思わず声をかけてしまう様な職人気質の方も沢山おられます。

 Q...どういったケースでトラブルに?

 A...実は、悪質なセールスマンによる被害は今でも減る気配がないんです。具体的にはやはり「お年寄りを狙うケース」が多いですね。

 Q...どう対策すれば?

 A...「訪問販売では、できるだけ契約しないこと」「工事を依頼するかどうかは手間と時間をかけて十分に検討すること」「家族や身近にいる人が注意すること」さらに成年後見制度の活用も検討してみてください。いずれにしても悪徳リフォーム業者は「考える時間を与えない」「危機感を煽ってその場で契約させてしまう」といった共通の手口がありますので、たとえ大幅な値引きを提示されようとも、その場で即決は禁物です。必ず見積書の作成を求め、別の塗装業者との比較検討などをしっかり行った上で、依頼先を決めるようにしましょう。