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川崎区・幸区 人物風土記

公開日:2025.06.27

歌集『沖積層』を出版した
喬木(たかぎ) 驟雨(しゅうう)さん(筆名)
川崎区小田栄在住 74歳

身近な日常を短歌に

 ○…74歳で初の歌集『沖積層』を出版。「沖積層」とは、河川や海によって形成された最も新しい地層のことで、住まいのある川崎区沿岸部を示す。「扇島ドッグヤードに犬はなく海風なびき涼しき夕暮れ」。40代からこれまでの、約30年間の短歌429首を収めた。自然や日常を詠んだものが多く、「心が動いた瞬間や、身辺の小さな出来事を歌にする」と自身の特徴を話す。

 ○…東京都豊島区出身。若い頃から詩が好きで、寺山修司などに親しんだ。また幼い頃、家では『百人一首』をやる習慣があり、「潜在的に歌に触れていたかもしれない」と振り返る。短歌を作り始めたのは、大学教員として社会学の教鞭を執り、福島に住んでいた頃。たまたま見かけた広報誌の和歌募集がきっかけだった。それからのめり込むように歌を詠むものの、仕事が忙しくなり、50代で一時中断。再び詠み始めたのは約20年後で、定年退職を機にもう一度歌に向き合った。

 ○…ハンセン病を患い、失明も経験した歌人・沢田五郎や、壮絶な生い立ちが話題となったセーラー服歌人・鳥居など、決して恵まれた境遇とはいえない詠み手の歌に関心が高い。中でも、ハンセン病文学を集めた全集の短歌の巻に、衝撃を受けた。自ら療養所にも赴き、感慨を歌に詠んだ。それらの短歌をハンセン病対策などに取り組む笹川保健財団主催の『ふれあい文芸』に応募。2024・25年には特撰を得た。

 ○…高校野球の大ファンで、公立のみを応援するというこだわりの持ち主。これまでに大師高校や川崎工科高校などの試合を現地で観戦した。県内の球場はほぼすべてに足を運んだという。「自分も元高校球児。高校生の真剣さには胸を打たれる」と魅力を語る。

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