多摩区・麻生区版【7月18日(金)号】
川崎市役所復元棟1階のバリアフリートイレに設置された消臭用の炭を紹介する小泉さん

麻生区の里山保全団体 地産の木炭で市庁舎消臭 緑化フェア 遺産広がりへ

 麻生区で里山の保全などに取り組み、活動の中で伐採材の炭焼きを行っている早野聖地公園里山ボランティア(小林昌幸会長)はこのほど、「全国都市緑化かわさきフェア」での川崎市との連携をきっかけに、市庁舎の一部のトイレに消臭用の炭を設置した。市制100周年の象徴的事業として開催され、行政と市民が一体となってさまざまな取り組みが行われた緑化フェアのレガシー(遺産)が今後、市内で多様な展開を見せそうだ。

 今年4月13日に閉幕した緑化フェアには、多くの市民、団体、企業らが参加し、イベントを盛り上げた。同ボランティアも、その中の一つだ。

 同ボランティアは、麻生区早野の市営霊園「早野聖地公園」内で、清掃や下草刈り、篠竹刈り、間伐、植樹植栽、生物の繁殖環境の確保など、里山の保全に26年にわたり取り組んでいる。中でも特徴的なのは、活動エリアにある小屋で間伐材を使って実施する炭焼き。広報担当の小泉清さん(77)によると、毎年冬に1トン以上の炭を作るという。焼いた炭は湿地帯の水質浄化や土壌改良に活用。二ヶ領用水久地円筒分水でも水質の改善に利用されている。加えて炭はにおい消しとしても役立てられ、数年前から麻生区役所や市民館、図書館、近隣にある東柿生小学校、虹ヶ丘小学校のトイレの消臭剤として提供されている。「炭は呼吸する。昔は湿気取りにも使われた。湿度が高ければ湿気を吸い、乾燥していれば水分を放出する」と小泉さんは話す。

トイレ12カ所に

 今回の取り組みのきっかけは、緑化フェアの春開催時に等々力会場で企画された「五感の植物」の展示の中で、同ボランティアが焼いた炭を消臭剤として市に提供したこと。そのつながりから、同ボランティアが市庁舎への設置を提案。復元棟1階から3階と、本庁舎25階展望フロアの男女およびバリアフリートイレに6月頃から、籐かごに入った炭が設置されることになった。かごは麻生区の団体「籐・手工芸ふきのとう」が作った。

 緑化フェアへの思いや醸成した緑への意識を未来へつなげるため今年度創設された市グリーンコミュニティ推進室の担当者によると、今回の取り組みのほかに市は、市立小中学校と特別支援学校全170校で昨年フェア会場などに植栽した花苗づくりを今年度も予定。育てた花苗を学校の周りの花壇などに植える取り組みを実施する考えだという。担当者は、「緑化フェアを契機に取り組みが生まれたり継続したりしており、これから動き出すものもあると思う。フェアでテーマとしていた『みどりで、つなげる。みんなが、つながる。』を今後も続けていきたい」と話した。

祝賀会での鏡開き=提供

麻生消防3団体 防火防災へ連携誓い 創立40年、節目祝う

 麻生消防関係団体の麻生防火協会、麻生消防団、麻生消防研究会が7月、創立40周年を迎えた。住民の防火意識向上や災害活動、火災予防に尽力する3団体。6日には式典を行い、防火、防災への連携を改めて誓った。

 麻生防火協会(越畑好夫会長)、麻生消防団(碓井芳春団長)、麻生消防研究会(梶俊夫会長)は、多摩区からの分区に伴い、1985年7月に麻生消防署が開設された際に設立された。地域住民の防火思想の高揚や災害の防止、自主防火体制の確立などを目指してそれぞれ活動。現在、防火協会は町会や事業所などあわせて199の会員が所属し、消防団体への助成や火災予防の広報事業などを行う。消防団は138人の団員が、災害活動や市民への訓練指導などにあたる。消防研究会は32人が所属し、関係法令や危険物保全に関する研究、消防行事への協力などを行っている。

「活動に終わりない」

 6日には、「麻生消防関係団体創立40周年記念式典・祝賀会」をホテルモリノ新百合丘で開催。各団体や式典実行委員会、来賓を含め86人が参加した。あいさつに立った実行委員長の土方茂さん(前麻生防火協会会長、元消防団長)は、関係団体、事業者らへの支援に対し謝辞を述べた。また「この40年、麻生区では幸い大きな災害はないが、全国を見渡すとトカラ列島の地震や大船渡の森林火災など、災害が多発しており安心できない」と所感を語り、「40年の節目だが通過点であり活動に終わりはない。改めて今までの活動を再認識し、防火防災にあたっていただきたい」と表情を引き締めた。祝賀会ではステージで鏡開きが行われたほか、黒川囃子連が祝宴に華を添えた。

 式典を振り返り、土方実行委員長は「特色ある3団体が協力しあい防火防災の啓発にあたっていく。災害に備え、住民の方にも一人でも多くの人に関心をもってもらい、活動に参加してもらえたら」と話した。

 40周年に際し、3団体には川崎市長から功労表彰が贈られたほか、実行委員長からは長年の功績をたたえて3人に感謝状が贈呈された。表彰者は以下の通り(敬称略)

 ▽宮野敏男(麻生防火協会/前麻生区町会連合会会長)▽小澤智(麻生消防団/元消防団長)▽碓井美枝子(麻生消防研究会/元婦人消防隊委員長)

(公社)神奈川県医師会の会長に就任した 鈴木 紳一郎さん 藤沢市在住 67歳

「未来につなげる医療を」

 ○…県下9900余りの医師が加盟する巨大組織の舵を取る。副会長を2年歴任。会長は地域医療を守るために必要な取り組みを国に提案したり、行政や医療福祉団体と連携して県の医療全体をコントロールしたり、医療に関する正確な情報を県民に発信したりするなど重要な役割を担う。「県民の健康と安心のため精一杯努力していく」

 ○…課題は山積みだ。物価高でも公定価格で上げられない医療報酬や医療従事者の人手不足で、多くの医療機関が危機的状況にある。「”あって当たり前”の医療は決して盤石ではない」。医師を目指す人へ向けて情報発信するウェブサイト「かなドク」を立ち上げ、医師会の役割や医療に従事する魅力を伝えていく。「神奈川は日本の医療の縮図。国内で横展開できる好事例を提言したい」

 ○…藤沢市医師会の会長も8年務めた。コロナ禍では迅速なワクチン接種体制を整え、県内初となるドライブスルー型PCRセンター設置の他、かかりつけ医と訪問看護師が支援する「神奈川モデル」では、チーム一丸となって在宅療養者を24時間体制で見守った。地元では同級生やその親、子を診察することも。「一つしかない命を守れた時、そして『ありがとう』と言われた時、医者冥利に尽きる」と柔和な笑みをこぼす。

 ○…祖父が長後に構えた病院に運ばれる救急患者を目で追うなど、命と向き合う舞台裏を見て育った。尊い仕事に興味を抱き、横浜市立大学医学部へ。外科医として研鑽を積み、現在は藤沢湘南台病院の理事長を務める。「医療業界の未来は大丈夫か」。夢の中でも考えあぐねる日々。「医者になったらいいな」と7人の孫に慈愛に満ちた眼差しを送る。医療を次代につなげ、県民の暮らしに寄与し続けていく。

呉市の吉浦町(現・若葉町)の海軍工廠砲煩実験部から見た広島原爆のきのこ雲 撮影者:尾木正己 写真カラー化:渡邉英徳(東京大学大学院)

川崎市平和館 原爆写真をカラー化 終戦の日に合わせ特別展

 川崎市平和館(中原区木月住吉町)は7月26日(土)から、特別展「天然色で見る広島・長崎と80年後の世界」を開催する。8月24日(日)まで。午前9時から午後5時。8月11日を除く毎週月曜、12日(火)、19日(火)は休館。

 同館では、市民に戦争の悲惨さを伝え、平和に対する理解を深めてもらうことを目的に、毎年終戦の日である8月15日前後に特別展を企画している。戦後80年となる今年、東京大学大学院の渡邉英徳研究室の協力で、広島、長崎の原爆写真をカラー化したものを展示。同館の担当者は「モノクロ写真は遠い昔の風景と捉えがち。カラー化されることで、より最近のこと、自分事として感じる機会にしてほしい」と企画の意図を語る。

 そのほかにも、広島の高校生が被爆者の証言をもとに共同制作した「原爆の絵」、核実験の歴史、現在の核兵器の分布、核軍拡・軍縮の年表などのパネル展示を行う。6日(水)、9日(土)午前11時からと、午後1時からの2回、9歳以上の小学生を対象に、空襲や原爆などの戦争をテーマにしたアニメーション映画を上映する。定員30人(当日先着順)。

 終戦記念日となる15日(金)には平和館見学ツアーも実施。午後1時15分から2時15分。9歳以上で先着20人。事前申込み制で7月16日から市ウェブサイト、電話、FAXで申込み受付。

 今回の特別展関連イベントして2つの上映会も開催する。8月2日(土)午後2時から、英国で制作された核戦争をテーマにしたアニメーション作品『風が吹くとき』を上映。16日(土)午後2時からは日系人映画監督のスティーヴン・オカザキ氏が手掛けたドキュメンタリー映画『ヒロシマナガサキ』を上映。両日とも事前申込み制で定員は先着40人。市ウェブサイト、電話、FAXで申込み。(問)同館【電話】044・433・0171、【FAX】044・433・0232

前回のヘアカット会場

理美容で途上国支援 5日 チャリティーカット

 川崎市内の理美容師らで組織されるNPO法人プリックジャパンビューティー(菅原司郎理事長)は8月5日(火)、チャリティーカットイベントを、川崎市生活文化会館(高津区溝口1の6の10/愛称・てくのかわさき)で開催する。

 「世界の子どもたちに教育と自立、夢と希望を」と、社会貢献活動として年一度開催し、25回目。寄付金で開発途上国の子どもたちの教育を支援しようと、小学校を建設する取り組みを続けている。これまでに、カンボジアに5校、ネパールに1校を建設している。

 当日は理美容師らが無償で協力し、ヘアカットなどのサービスを提供。一般の利用者が寄付として一定の金額以上を支払う仕組みで、ヘアカットやネイルは1千円以上、眉カットは500円以上などのメニューがある。フードドライブも実施。

 午前10時から午後4時(受付3時)まで。イベントの問い合わせは美容室ルカ【電話】044・819・7077。

からむしの体験学習 8月2日

 「親子で楽しむからむしワークショップ・繊維発見!」が8月2日(土)、麻生市民館で開かれる。午前9時30分〜正午。主催は里山フォーラムin麻生と麻生市民館。

 麻生区の地名に由来するとされる植物「苧麻(からむし)」の繊維を取り出し、その特性を生かしてミニほうきを作る。小学生以上の親子10組を募集。参加費一人200円。希望者は7月24日(木)午後3時までに【メール】satoyamaforum@gmail.comへ申込む。応募多数は抽選。詳細は【携帯電話】070・6426・6123石井さん。

昨年も活況を帯びた夏まつり

民家園通り商店会 多摩区に今年も夏の祭典 19日 人力車が初登場

 多摩区の夏の一大イベント、民家園通り商店会(新田渉世会長)の「第25回夏まつり〜脱炭素化社会を目指して〜」が7月19日(土)、向ヶ丘遊園駅南側一帯で開催される。午後2時から8時15分。大通りが歩行者天国になり、地元商店など飲食物販約60ブースが出店。パレードやステージ、プロレスなども実施されるほか、今年は人力車が初登場する。雨天決行。

午後2時スタート

 午後2時から大パレード。地元保育園児や、多摩防犯協会をはじめとした団体、市消防音楽隊、川崎新田ボクシングジム、プロレス団体ヒートアップ、高校生や大学生など地域ゆかりの顔ぶれがメインストリートを練り歩く。見どころは初登場の人力車。パレードでは、川崎市広報テレビ番組「LOVEかわさき」(テレビ神奈川)でプレゼンターを務める平野詩乃さんが、浴衣で人力車に乗って祭りを盛り上げる。パレード終了後(3時15分〜)は先着20人限定で試乗会が楽しめる。

 大通りの第1ステージではキッズダンスや子ども太鼓など10団体が日ごろの練習の成果を発表(3時30分〜)。クロス向ヶ丘横に設置される登戸いこい公園内の第2ステージでは野外プロレスや大学生のチアリーディングなどが披露される(3時30分〜)。通り沿いには商店が軒を連ね、2時から8時15分まで飲食物などが販売される。会場内には脱炭素化社会のブース、人力発電かき氷自転車も設置される。

 同商店会の新田会長は「見どころは、何と言っても人力車。また、例年通りおいしい食事や飲み物はもちろん、プロレスのリングパフォーマンス、ボクシングのミット打ち体験、和太鼓やダンス、音楽、チアリーディングと、盛りだくさんのアトラクションでお楽しみを」と話す。

 なお、午後1時から9時30分まで大通りは規制道路に。主催者は公共交通機関の利用を呼びかける。

新たな観光資源に

 人力車導入は、川崎新田ジムの元ボクサーが浅草で車夫をしていたことがきっかけ。インバウンド需要を見込んで、導入することでインパクトのある観光資源になるだろうと、商店会内で企画を温めてきたという。新田会長は「日本民家園の『和』の文化とも親和性がある。生田緑地、ばら苑、藤子・F・不二雄ミュージアム、多摩川、地元商店と、徒歩ではやや距離がある中、広範囲で平地が続くまちの特徴は人力車での散策にピッタリ」と話している。

Specialバンドのステージ

第40回「麻生音楽祭」終幕 累計7千人が参加

 今年で40回目となった「麻生音楽祭」は7月12日に最終日を迎え、麻生市民館ホールで「ポピュラーミュージックショー」が催された。6月からひと月にわたり続いた音の祭典は、この日の出演者全員がステージに上がって合唱する「Specialバンド」でフィナーレを迎えた。

 麻生市民館が開館した翌年の1986年に「麻生音楽祭」は始まり、今では出演者約2千人、観客約5千人が参加する規模に成長した。

 40回目となる今年は、2月に川崎市制100周年記念事業を兼ねた記念イベント「1000人でオーケストラと歌おう!」を特別に実施。約700人が参加し、坂本九さんの「明日があるさ」などを観客と共に熱唱した。

 音楽祭は6月14日のオープニングコンサートを皮切りに、スクールコンサートなど6部門を6日間で開催。地域色豊かなステージが続いた。

 最終日の12日はポップスやロックなど多彩なジャンルのステージが続いた。最終演目「40周年記念Specialバンド」では、出演者約60人のほぼ全員がステージに上がり、井上陽水さんと奥田民生さんの「ありがとう」を歌い、音楽祭は幕を閉じた。

 実行委員長の池上裕子さんは「実行委員全員が『学園祭』のような熱量で準備を続けてきた。その全てを無事に終えられ、本当に感無量」と満面の笑みだった。

PC・スマホを学ぼう シニア向け 参加者募集

 シニア世代を対象に、パソコン(PC)とスマホの使い方が学べる教室が開かれる。主催は、川崎市とNPO法人かわさき創造プロジェクト。

 PC入門コースは【1】てくのかわさき(高津区溝口1の6の10)9月2日〜11月25日の毎週火曜【2】下平間幸会館(幸区下平間68の1)9月1日〜12月15日の祝日除く毎週月曜。各全12回、6千円。

 スマホコースはてくのかわさきで【3】iPhoneが9月5日〜26日の毎週金曜【4】Androidが10月10日〜11月7日の毎週金曜【5】下平間幸会館でAndroidが11月10日〜12月15日の毎週月曜。各全4回、2千円。

 時間は【1】〜【4】が午前10時〜正午、【5】は午後1時〜3時。対象は市内在住在勤在学の40歳以上。申込は住所・氏名・年齢・【電話】・希望コース(【1】〜【5】)、PC・スマホ歴、PC貸出希望有無を記入の上、往復はがき(〒210-8577川崎区宮本町1番地健康福祉局高齢者在宅サービス課)かファクス(【FAX】044・200・3926)。二次元コードでも受付。8月15日(金)(スマホのAndroidは9月12日(金))必着。応募多数は抽選。(問)【電話】044・200・2638

審査する関係者

セレサモスで夏野菜品評会 県知事賞に内藤さん

 JAセレサ川崎大型農産物直売所「セレサモス宮前店」で7月6日、市内で生産された夏野菜のコンテスト「夏季農産物品評会」が開催された。最高位となる神奈川県知事賞には、内藤正行さん(51)=中原区在住=のナス(品種・とげなし千両二号)が選ばれた。

 今回はナスやキュウリ、トマトなど145点が出品され、同組合の営農技術顧問や県市職員らが審査。優秀賞4点と優良賞14点、佳良賞24点、努力賞4点が入賞した。審査後は一般観覧と即売会が行われた。多摩区・麻生区では優秀賞に生田地区・宮田幸治さんの長ネギ(品種・ホワイトスター)が選ばれた。

表彰式後に記念撮影

小学生バスケットボール 菅リトル女子が県制覇

 小学生バスケットボールチーム「菅リトルツイスターズ」(多摩区・阿久津匠監督)の女子チームが、6月〜7月に行われた「第44回県スポーツ少年団エンジョイ!スポーツフェスティバル」で優勝した。神奈川代表として7月26日(土)から埼玉県で開かれる関東大会に挑む。

 瀧本理智(りさ)主将(菅小学校6年)は東希望が丘との決勝を「今まで準備してきたことが上手くいかず、相手のペースで始まってしまった。前半でとてもリードされ焦ったが、仲間との強い絆と監督、ベンチ、保護者の熱い想いでチーム一丸となれた」と振り返り、「みんなでモチベーションを高めて関東大会で全勝する」と抱負を述べた。

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菅の町コンサート 8月9日 菅稲田堤で

 第15回「菅の町・サマーコンサート」が8月9日(土)、らいふ・くつろぎ稲田堤(多摩区菅稲田堤1の11の5)で開催される。午後2時開演(1時40分開場)、4時閉会予定。入場無料。先着90人。スリッパの持参を。

 地域のミュージシャンが爽やかな軽音楽を披露する。カントリーやブルーグラスなど多彩な音楽を楽しめる。実行委員長の井口茂さんは「真夏の午後のひと時を、多くの人に楽しんでもらいたい」と話す。問い合わせは井口さん【携帯電話】090・3549・1635。

「多摩区」を知ろう 図書館でふるさと相談会

 川崎北部の郷土史を研究している稲田郷土史会が多摩区に関する質問に答える「ふるさとなんでも相談会」が8月2日(土)と3日(日)、多摩図書館整理室で開かれる。小学生以上が対象。

 2日は午後1時〜2時30分、2時30分〜4時の2回、3日は午前10時〜正午、午後1時〜2時30分、2時30分〜4時の3回。各回3グループ(1グループ5人以内)。

 申込み・詳細は同館カウンター、または【電話】044・935・3400。

麻生区の夏祭り 町連だより7月号で紹介

 麻生区町会連合会(笠原勝浩会長)が年3回発行している「麻生区町連だより」の最新号7月1日発行号(106号)で、麻生区内で行われる夏祭りや盆踊り大会などが紹介されている。

 10月4日までの22件。町連だよりは麻生区役所などで手に入る。同会ウェブサイト(https://asao-chouren.com/)にも掲載されており閲覧やダウンロードができる。

「笑いヨガ」で体を動かす参加者ら

地域で共に子育てを ひまわり幼稚園で講座

 多摩区栗谷の生田ひまわり幼稚園で6月30日、「笑って整う『ワッピー笑いヨガ』と子育て講座」が開催された。

 こども家庭庁が提唱する「こどもまんなか社会」の実現に向け、幼児期までの子どもの育ちに係る基本的ビジョン「はじめの100か月の育ちビジョン」と連動して、家庭・地域・教育が協働する場として開かれた。

 当日は、乳児から80代の高齢者まで多世代が参加。第1部はWAPPY主宰・石田友美さんによる「笑いヨガ」で会場は温かな空気に包まれた。第2部では石田さん、同園の岸正寿教頭、同園幼児教育アドバイザーの角内万三さんによる講座が行われ現代の子育てに必要な視点が多角的に語られた。終了後、岸教頭は「子育て世帯の孤立化を防ぐ手立てとして、多くの人が子どもを育てることに喜びを持てる社会を実現したい」と話した。

今回の出演者=提供

「記憶」にまつわる2作上演 劇団民藝の稽古場公演

 麻生区を拠点に活動する劇団民藝の公演「記憶の危うさについて」が、7月27日(日)から8月7日(木)まで、同劇団の稽古場(黒川649の1)で開催される。

 「だって何も思い出せない」「クラーラ」という対照的な2作品で構成する舞台。午後1時30分〜(28日(月)、1日(金)は7時)。一般5500円、会員・川崎市民5千円、30歳以下3500円。問合せは同劇団【電話】044・987・7711。

長崎での被爆の経験を語った松本さん

戦後80年 戦禍の記憶【7】 宮前区在住 松本 正さん(94) 14歳で見た地獄、歌に刻み 「私が死ぬ時、友人は2度死ぬ」

 14歳の夏、人生は一変した。1945年8月9日、長崎。旧制長崎中学校の2年生だった松本さんは、爆心地から2・8Km離れた自宅で被爆した。

 その日は、朝から空襲警報が鳴り響き、空爆の恐れのある勤労奉仕先の工場から自宅に戻っていた矢先だった。午前11時2分。突如、目の前が「太陽が爆発したかと思った」ほどの巨大な白い閃光(せんこう)で真っ白になった。夢中で庭先の防空壕へ駆け込もうとした瞬間、すさまじい爆風で家屋が倒壊。下敷きになったが這い出し、九死に一生を得た。

 被爆から2日後、体調を崩し療養のため離れて暮らしていた姉と母のもとへ向かった。市外の駅を目指したが、道に迷い、爆心地近くに足を踏み入れてしまう。そこで目の当たりにしたのは、想像を絶する地獄絵図だった。

 「『水、水を』とうめく人々、『助けて』と訴える声。何もできず、ただ『ごめんね』と心の中で繰り返しながら通り抜けるしかなかった」。

 数日後、家族との再会を果たし無事を喜び合った。それもつかの間、助かった人々が放射線の影響で次々と亡くなっていった。松本さんの友人や大切な人々も即死か、助かっても程なくして命を落とした。自身も髪の毛が抜け、下痢が続き、「死ぬのだろうか」と見えない恐怖におびえ続けた。「原子爆弾は、未曽有の破壊力と放射能の危険を伴う殺りく兵器。長期間にわたり人間の体をむしばみ、未来の命までを奪う」

 当時の無力感に、今でもさいなまれている松本さんは、五行歌という表現方法に、被爆体験と原爆の恐ろしさを託すようになった。

《白熱の閃光と 凄まじい爆風 瞬時にして港街は 阿鼻叫喚の 灼熱地獄となった》

《水 水 水 熱か 熱か 学生さん 小便でもよか かけてくれんね》

《化け物だ 幽霊だ 人間の姿を失った 異様な物体だ 少年が見た原爆地獄》

 「人は2度死ぬのだと思う」と松本さんはいう。「この悲劇を二度と繰り返さぬよう語り続ける限り、友は私の中で生きている。私が死ぬときが、彼らの2度目の死なのです。生きている限り機会があれば語り続けたい」。94歳の今でも、強い思いを持ち続ける。

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今年で戦後80年。体験者が年々減少し、戦争の記憶が風化しつつある。当事者の記憶を後世に残すとともに平和の意義について考える。不定期で連載。
昨年の「10代のための見学会」で解説する山田館長

明大登戸研究所資料館 今年も10代向け見学会 「戦争」や「平和」議論も

 明治大学生田キャンパス(多摩区東三田)内にある「平和教育登戸研究所資料館」が、昨年初めて開催した夏の特別イベント「10代のための見学会」を、今年も8月15日(金)に開催する。戦後80年の夏に、あの戦争における日本の加害の史実について、山田朗館長が若い世代に伝承する試みだ。

 特別イベントのタイトルは「ひみつの研究所をさぐれ〜登戸研究所と戦争の裏側〜」。対象は小学5年生から高校3年生で、山田館長の案内を受けながら登戸研究所資料館の展示を見学した後、グループに分かれて感想を述べあい、「戦争」や「平和」などをキーワードに意見を交わす。

 戦時中に旧日本陸軍の「秘密戦」の研究・開発機関だった登戸研究所では、生物兵器や偽札、風船爆弾などが開発され、多くが実際の作戦に使われた。終戦時に証拠隠滅が図られたが、資料館ではこれら「秘密戦」の実態を、資料と写真で解説している。

 中でも風船爆弾は小説化されたこともあり、幅広い年代に関心を集め、現在開催中の企画展「風船爆弾作戦と本土決戦準備-女の子たちの戦争」は、好評のため会期を3カ月延長した。今回の特別イベントも、風船爆弾に焦点を当てた内容になるという。

 山田館長は「若い世代に戦争のさまざまな面を知ってもらえるよう、わかりやすい説明を心がける」と意気込みを語る。

 参加希望者は、資料館の公式ウェブサイト内の受付フォームから申し込む。先着15人。問い合わせは資料館【電話】044・934・7993。

市教委のパンフレット

対話による校則の見直し カギ握る「子どもの権利」

 生徒と教員が対話しながら校則を見直す動きが、全国の教育現場に広がっている。国の働きかけを受けた流れであり、川崎市でも取り組みが進む一方で、一筋縄ではいかない「現場のリアル」もあるようだ。

 今年春、川崎市立川中島中学校(川崎区)の保護者に「校則の見直しに関するアンケート結果」と題した文書が、市の教育アプリを通して共有された。こんな内容だ。

 ▽校則の見直しに賛成ですか?(賛成98・3%)▽靴の色を白以外もOKにする(賛成88・8%)▽夏服着用時に体操着での登下校をOKにする(賛成94・2%)

 2024年度の同校PTA役員の発案で、同校の保護者にアンケートを実施し、415人から回答を得たものだ。

 発端は髪型の「ツーブロック問題」だった。同校では禁止されていたが、近年「過度な刈り上げ禁止」へと変更された。PTA役員の一人、高買舞さんは「『過度』の判断が難しいという保護者が多かったので、校則に関する親の声を学校に伝えたら、『校則を変えるには生徒の主体性が必要』という回答だった」。アンケートで声を可視化し、学校に共有した。

 あとは「生徒の主体性」次第だが、高買さんは子どもの「リアル」への懸念を打ち明ける。「一部の生徒が頑張って主張しても、消極的な子も多い。そもそも中1や中2が学校に問題提起することは難しいと思う」

 同校の新山英樹校長は「アンケートは承知している。子どもたちの学校生活をよくするためにルール変更が必要なら、子どもの声を聴き、教員たちと相談しながら対応していく」と語る。

子どもの意見表明権

 校則の見直しを巡り、文部科学省は22年12月に改訂した生徒指導の手引き「生徒指導提要」で「本当に必要なものか、絶えず見直しを行う」よう学校に求め、見直し過程での生徒参加を推奨している。これを受けて対話型の見直しの動きが全国に波及。川崎市教育委員会では23年3月に冊子「子どもたちとともにつくる学校生活のルールや約束」を作成し、学校に配布のうえ校長会などで周知を図っている。市教委の担当者は「何かしらの見直しを全校で実施している」とし、「市としては子どもの権利の観点からも『子どもたちと一緒に』という点を重視している」と強調する。

 確かに市の「子どもの権利条例」では子どもに自分の意見を表明する権利(意見表明権)を保障しているが、高買さんが指摘するように、自分の権利を行使できる子どもばかりではない。

 市の子ども会議の委員で、子どもによる「子どもの権利の学び舎」活動を続ける高木萌伽さん(17歳)はこう語る。「自分の声が反映される経験が少ない子どもは『意見を言おう』と思えない。子どもが意見する力を養うには、日ごろから『自分の声や意見を聴かれる経験』が重要。周囲の大人も子どもの思いに共感し、共に行動してほしい」