横須賀・三浦版【8月22日(金)号】
全国大会出場を決めた三浦学苑の選手ら。普段練習で使用している衣笠公園 軟式野球場で

三浦学苑軟式野球部 堅守武器 挑む夏の陣 3年ぶり4回目の全国出場

 神奈川の強豪、三浦学苑高等学校軟式野球部が、3年ぶり4度目となる全国の舞台に挑む。8月24日(日)から29日(金)にかけて兵庫県明石市の明石トーカロ球場などで開催される第70回全国高等学校軟式野球選手権大会に、南関東・神奈川代表として出場する。部員30人は22日に現地入りし、25日の初戦で西中国・広島代表の広陵高校と対戦する。

 今夏の三浦学苑は、圧倒的な強さで全国出場を決めた。

 神奈川大会決勝は横浜創学館を相手に12対0と大勝。続く南関東大会決勝も埼玉県の浦和実をエースの出口未來選手(3年)が相手打線を2安打に封じ込め、5対0で優勝をもぎ取った。同校は春季関東大会も制しており、公式戦22連勝中。その勢いを維持したまま全国の頂きを狙う。

 岡村悟司監督は「ディフェンスに強く、野球を良く知っているメンバーが揃っている。仕上がりも上々。普段通りの力を出せれば」と冷静にコメント。キャプテンを務める武内俊太選手(3年)も「これまでの試合を守備力で勝ち抜いてきた。どのチームより選手が明るく、雰囲気も良い。それが強さに直結している。目標はひとつだけ、全国優勝しかない」と意気込みを語った。

 チームへの感謝を口にしたのは、投打の主力である出口選手。「(神奈川大会準決勝の)慶應戦では、ボコボコに打ち込まれた。自信を失いかけたが、仲間に励まされなが辛くも勝ち上がれた。試合後にうれしさ半分、悔しさ半分の涙がこぼれた」と振り返り、最後の夏を全力プレーで挑む覚悟を示した。

 部員数30人という選手層の厚さも強さの要因だ。控えの選手を含めて実力派が揃う。同校は2014年の同大会で準優勝を遂げており、初の全国制覇に周囲の期待は高まっている。
横須賀本港に寄港中の英空母打撃群の駆逐艦「ドーントレス」とノルウェー海軍のフリゲート艦「ロアール・アムンセン」(奥)

英空母打撃群3隻が寄港 4年ぶり2度目 受け止め様々

 英空母の「プリンス・オブ・ウェールズ」を旗艦とする英空母打撃群3隻が8月12日から横須賀本港に寄港している。同国の打撃群の寄港は2021年9月の「クイーン・エリザベス」に続き2度目で、日英安保・防衛協力強化などの狙い。同艦は12日午前に米海軍横須賀基地に、打撃群を構成する英海軍の駆逐艦「ドーントレス」と、初来日となったノルウェー海軍のフリゲート艦「ロアール・アムンセン」は海上自衛隊横須賀基地に接岸した。

 プリンス・オブ・ウェールズは同盟国との8カ月間にわたる合同演習のため、今年4月下旬に英南部ポーツマスを出港。横須賀本入港の直前まで海自や米海軍、オーストラリア海軍など5カ国との共同演習を実施していた。

 同艦は全長284mで乗員約1500人、満載排水量は約6万7千tと、クイーン・エリザベスに並び、英海軍でも指折りの大きさを誇る軍艦とされる。英空軍のステルス戦闘機「F─35B」などの搭載が可能だ。

 今年6月に防衛省・外務省から寄港に関する説明を受けた上地克明横須賀市長は「今回の英空母打撃群の横須賀への寄港については、我が国を取り巻く安全保障環境が格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増している中で、地域の平和と安定のためには、ある意味必然的なことなのではないかと考えている」と述べた。

 防衛省によると同艦は8月28日(木)まで横須賀に、その後、東京国際クルーズターミナル(東京都江東区)に9月2日(火)まで寄港する予定。ほか2艦は同日まで横須賀に停泊する。

混在する市民感情

 迫力ある巨艦の姿を一目見ようと、全景を眺められる市内の公園などにはカメラを構える人々の姿も見られる。また、横須賀本港の日米艦船観光ツアー「YOKOSUKA軍港めぐり」では連日盛況を見せており、注目度の高さが伺える。

 一方で8月11日には、反基地などを訴える複数の団体が入港に抗議する声明を発表。翌日のウェールズ入港時には、市民団体「ヨコスカ平和船団」が基地の機能拡大などに抗議するとして、洋上にボートを浮かべ、寄港反対を主張した。

芸術を通じて平和を考える展示「ヨコスカ平和美術展」の発起人である 古澤 潤さん 横須賀市秋谷在住 94歳

筆先が平和を問いかける

 ○…アートを通じて、平和を問いかける美術展の発起人で、今年で56回目を数えた。当初、出展者を募るべく、作家の元へ東奔西走。「自身の美意識や絵画論、展示の趣旨をぶつけ、真正面から向き合ってきた」。そのかいあってか、1970年の第1回には県内の美術家約100人が出展。現在では国内外問わず、数十名のアーティストが趣旨に賛同し、それぞれが手掛けた”分身”から平和を訴えかけている。

 ○…1931年3月10日、日本が中国大陸に侵攻した日に生を受けた。時勢もあってか、周囲からは”戦争の申し子”と羨望の的だった。大阪府岸和田市の中学校に通っていたころ、対岸にある神戸に壊滅的な被害をもたらした大空襲をいまもはっきりと覚えている。「次の日、灰になった教科書のようなものが西風に乗り、頭上を舞った」

 ○…武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)入学を機に上京。卒業後は、生計を立てるため教員の道へ進み、大楠中学校配属を機に横須賀に移住した。教壇に立つ傍ら、ふと外に足を運ぶと見えてくる漁港の風景。生命力みなぎる肉体、焼けた肌、大がかりな仕掛けを数人で運ぶ漁師-。そのすべてに惹かれ、絵画に落とし込む日々を送った。その後、34歳で画家として歩み始めた。

 ○…ベトナム戦争では横須賀から多くの米国軍艦が出撃。「美術家として平和のために何かできることは。そして巧拙やキャリアで区切らない自由な発表の場を」。美術展にはそんな思いが込められている。発起人ではあるが、運営や絵画の選定には、トップダウンでは臨まない。「何かに従属した創作活動からは何も生まれない」。哲学的ともいえる美意識が信念だ。「平和でなければ絵は描けない」。切なる思いを筆先に宿す。

人生の最期を考える 「終活フェス」大明寺会場に

 忌避しがちな死や人生の最期を、明るく自然に語り合うことをめざしたイベント「終活フェスティバル」が8月30日(土)、衣笠栄町の大明寺で開かれる。HALENOHI(ハレノヒ)とよこすか人社プロジェクトの主催。

 大明寺の楠山泰道住職が「言葉の大切さと信仰」をテーマに講演するほか、横須賀市の在宅医療をリードする千場純医師(前三輪医院院長)、同市の終活支援事業を立ち上げた市職員の北見万幸氏が専門家の立場で情報提供を行う。

 介護・葬儀・相続などの専門家に相談できるブースや遺影撮影のワークショップ、新しい生前葬を映像紹介に加え、棺の入棺体験といったユニークな企画も。キッチンカーの出店や音楽ライブなどもある。

 時間は午後2時から8時。入場無料。問い合わせは、HALENOHIのメールアドレス(halenohi414@gmail.com)。

ウィング久里浜5階にある壁面に描かれた京急電車。丸2日間かけて完成させた

ウィング久里浜 「京急ファン」写真スポット

 京急電鉄の車両とマスコットキャラクターの「けいきゅん」を描いた大型アート作品が、ウィング久里浜5階スペースにお目見えした。8月16・17日に催された「京急ミュージアム」(横浜市西区)の出張イベントの一環。横須賀市久村在住のペン画家、Tanochiさんが観衆に囲まれながら絵を描くライブペイントで完成させた。

 タテ267mm×ヨコ440mmの特大サイズ。「京急を代表する赤・青の車両にコロコロとした形状が愛らしいけいきゅんをいくつもちりばめた」とTanochiさん。しばらくの間、フォトスポットコーナーとして展示される。

ステージ上空に吊られたバトンと呼ばれる装置を用いて紙の雪を降らせる体験

舞台の裏側に興味津々 横須賀芸術劇場 バックステージツアー

 客席からは見ることができないステージの裏側の仕組みを体感できる「子どものための劇場裏側探検ツアー」が8月19日、横須賀芸術劇場小劇場(ヨコスカ・ベイサイド・ポケット)で開かれた。同劇場を管理運営している横須賀芸術文化財団が毎年実施している人気企画。前半・後半を合わせて72人の児童が参加した。

 舞台づくり体験と劇場の裏側をめぐる探検ツアーの2部構成。子どもたちは、この日のために書き下ろした朗読劇に演出チームの一員として参画。小道具を用いて雨音を表現し、シーンに合うBGMを選定。完成した作品を地元劇団「劇団河童座」が実際に演じ、それを鑑賞した。舞台裏をめぐるツアーでは、照明や音響設備を”裏方”と呼ばれる専門スタッフがわかりやすく説明、機材操作も経験した。舞台照明や音響機材を吊るすためにステージの上部に設置されているバトンを用いて紙の雪を降らせる仕掛けも教わった。

 エンタメ要素を多分に盛り込んだ今回のツアーは、同財団の若手職員5人が企画構成を主導。舞台づくりの面白さや、新しいことを知る喜びを随所に散りばめたという。

 参加者のひとりで、バレエの発表会で小劇場のステージに立った経験があるという根岸小6年の大城美嘉さんは「ステージの色を変化させる照明の技術で舞台の雰囲気を一変させられることを知った。貴重な経験」とこの日の感想を笑顔で話した。

茂木敏宏「優しさの浅瀬にて」展

ヨコスカアートセンター 自分の目に見えるもの 茂木敏宏 作品展

 自らの視覚体験を起点に「見ること」の本質を探求し続けるアーティスト、茂木敏宏氏の個展「優しさの浅瀬にて」が、ヨコスカアートセンター(横須賀市上町2の3の11)で始まった。

 緑内障という自身の経験から見つめた独自の世界観を描き出し、鑑賞者に「共有された現実」とは何かを問いかける。同センターでの個展は今回が初。9月27日(土)まで。

 茂木氏の創作の原点は、緑内障によって生じる「見えているけれど、見えていない」という特有の視界にある。他者とは共有できない光のノイズやバグのような現象を初期の作品では、自己の真実を確かめるように緊張感をもって描き出してきた。

 しかし本展では、その作風に確かな変化が見て取れる。かつての「描かなければ」という切迫した探求から、近年は「描きたいものを素直に描く」という穏やかな境地へと移行。新作群は、柔らかな光と優しい時間に満ちており、初期の作品が放つ静謐な緊張感とは対照的な世界を繰り広げる。

 本展はひとりのアーティストが彼にしか見えない世界と向き合い、その答えを見つけ出すまでの壮大な旅路の記録といえる。初期の作品から最新作までをたどることで、鑑賞者は「見ること」、そして「描くこと」の意味を見つめ直すことができる。

 展覧会の詳細は同センターのホームページ(https://www.yokosuka-ac.jp/)で確認。

過去の野外映画館の様子(同館提供)

横須賀美術館「野外シネマ」 巨大スクリーンでルパン

 海を見渡す広場を会場にした「野外シネマパーティー」が8月30日(土)・31日(日)の両日、横須賀美術館で開かれる。巨大スクリーンで宮崎駿監督初の長編アニメ作品『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年/100分)を上映する。全国各地で移動映画館を展開しているキノ・イグルーの企画。今回で35回目を数える。

 上映時間は両日、午後6時30分から8時15分頃終了予定。参加無料。シートを広げて寝そべりながらなど自由なスタイルで観賞できる。キッチンカーなどによる飲食の販売もある。

ソレイユの丘の広場から花火を見上げた(長時間露光で撮影)

西地区花火 ソレイユが継承 夏夜彩った500発

 長井海の手公園「ソレイユの丘」で8月16日、500発の花火が西地区の夏夜を焦がし、観覧者は笑顔で空を見上げていた。

 毎年8月下旬ごろに陸上自衛隊武山駐屯地で実施されていた「横須賀市西地区納涼花火大会」のこの先3年間の中止を受け、西地区を盛り上げるイベントを引き継ぐ形で、同園が初となる打ち上げを企画。開催費用は同園の指定管理者が負担し、打ち上げ前には、ワークショップやキッチンカーの出店などで祭り気分を演出した。

 当日の花火の演出は、湘南学院高校の教諭で花火師資格を持つ安部英次さんが担当。V字形に飛び出る連続花火などの圧巻の仕掛けに観衆は息をのみ夜空を見上げ、「きれい」「今年も見られてよかった」と口々に話していた。

写真と文章で分かりやすく展示

資料で見る日本の大震災 三崎昭和館でパネル展

 チャッキラコ・三崎昭和館(三浦市三崎2の11の3)では、地震など自然災害に備える機会にしてもらおうと「日本大震災パネル展」を開いている。

 館内には発生から100年を超えた関東大震災のほか、東日本大震災、熊本や最大震度7を記録した能登半島地震などの一覧を展示。家屋の倒壊、土砂災害や火災などの二次災害の状況を写真などを用いて、分かりやすく掲示している。

 関東大震災では、三崎下町・城ヶ島地区の死傷者数、家屋の被災状況などを表を用いるなどで詳細に説明している。

 入場無料。9月28日(日)までの土日祝。(問)(株)三浦海業公社【電話】046・881・6721

三浦消防署の訓練場に集った隊員ら

横須賀市消防局 救助技術2種で全国へ 「ロープ応用登はん」46年ぶり

 全国の消防隊員が日頃の訓練の成果を生かして、救助活動を披露しあう「第53回全国消防救助技術大会」(主催/全国消防協会)が8月30日(土)に兵庫県三木市を会場に行われる。横須賀市消防局から46年ぶりとなる「ロープ応用登はん」と、2年連続の「ロープブリッジ救出」の2種目に予選を勝ち抜いた精鋭6人が出場する。

 2人1組で、15mの垂直の壁をロープを用いて駆け上がるタイムを競う応用登はんには南消防署西分署第1救助係の石渡憲祐さんと大久保伸悟さんが出場。全国大会への切符は、県大会1位のみがもらえるシビアな戦いの中、9・2秒を記録。2位以下もコンマ1秒を競う展開だった。チームリーダーである石渡さんは「昨年は県大会2位と涙をのんだが、これまで毎日のように本数を重ねてきた。登った数はどこにも負けていない」とこれまでを振り返り、自信をのぞかせる。

 水平に展張された約20mの渡過ロープを渡り、要救助者役を救出する4人1組の競技、ブリッジ救出には、三浦消防署第2救助係から常石将司さん、高橋祥平さん、朝倉達也さん、日下貴冬さんが挑む。

 同チームは、選考会や県大会では3位という成績だった。目標としていた1位に届かず、思い悩んでいたところ、かつて競技に励んだ経験を持つ佐藤正和三浦消防署副署長に相談を持ち掛けた。「1位にとらわれず、4人それぞれの役割をきっちりとやることを意識する方がよい」とアドバイスを受け、チームメンバーに共有。以来好タイムを記録し、関東大会では46・6秒と県での記録を1秒短縮してTOP通過を果たした。

 通常、チーム内のメンバーは人事異動などの兼ね合いで1年間限定となるケースが多い中、両チームは2年連続で入れ替えがない。息を合わせた行動で全国の頂点をつかみ取る。隊員らは「周囲への感謝を忘れず、全国1へ」と意気込みはばっちりだ。

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昨年は同園のレイクサイドステージで行われた

西地区の地域芸能を披露 9月13日に秋祭り

 横須賀市西地区の各地に伝わる囃子や踊りなどの伝統芸能を楽しめる祭りが9月13日(土)、長井海の手公園「ソレイユの丘」で開かれる。大楠・武山・長井連合町内会、長井地域運営協議会の主催。

 長井飴屋踊り(長井)、北武若者中による謡(武山)、獅子舞(武山)、佐島舟唄保存会(大楠)、ダンススクールによるステージなど約10団体が出演。午後6時45分からは盆踊りがある。当日は出店もあり、祭り気分を盛り立てる。

 同園「のんびりはらっぱ」で午後1時から午後7時25分。雨天時は翌日順延。大楠・武山・長井地区在住の人は証明書持参で駐車場無料。

明治天皇御駐蹕碑(諏訪公園)

戦争遺跡 歩いて巡る ガイドブック付ツアー

 三浦半島に眠る戦争遺跡を紹介している本紙連載コラム「東京湾要塞地帯を行く!」の掲載内容をまとめたガイドブックの発刊を記念した現地散策ツアーが9月27日(土)、東京湾要塞研究会の主催で開かれる。同会代表で著者のデビット佐藤氏が案内役を務める。

 ツアータイトルは「軍港市民の日常を感じる『横須賀の裏町』を巡る」。

 屈指の軍港都市だった横須賀は大きな戦災を受けていないため、路地裏などに昔ながらのレトロな風景と戦争遺跡が遺されている。これを確認しながら中央エリアを約3時間かけて歩く。

 午前10時に京急線「横須賀中央」駅集合、午後1時「汐入」駅解散予定。雨天・荒天時は翌日順延。

 参加費はガイドブックがセットになってひとり6千円。現地で直接支払う。定員8人(先着順)で階段の昇降などが可能な人。

 申し込みはタウンニュース社横須賀支社【電話】046・850・1290。

よこすか浦賀病院 街角ミニドック 8月23日、公開講座も

 よこすか浦賀病院(西浦賀)では8月23日(土)に開かれる「浦賀みなと祭」に合わせて「街角ミニドック」を開催する。

 血管年齢や体脂肪などの測定のほか、薬や栄養、介護や看護に関する相談も受け付ける。1階ラウンジで午後3時から4時30分。午後2時からは、同院副院長の鈴木祥生医師がアルツハイマー病に焦点を当てた市民公開講座を開く。事前予約制だが、状況により当日参加も可。

 そのほか、浦賀の歴史展示なども。詳細や講座の申込は同院【電話】046・841・0922。

ハーモニカ奏者沢柳和夫さん 音楽人生の集大成

 今年80歳を迎えたハーモニカ奏者の沢柳和夫氏のリサイタルが8月31日(日)、汐入駅前のヨコスカ・ベイサイド・ポケットで開かれる。横須賀ハーモニカ愛好会の主催。

 沢柳氏はハーモニカ指導歴約30年を誇る音楽家。フルートやピアノなどの楽器習得にも励み、ハーモニカの演奏力向上に役立ててきた。音楽人生の集大成として今回のステージに立つ。

 開演時間は午後2時。入場無料。

 問い合わせは【電話】046・843・8493(伊藤さん)。

千代ヶ崎砲台から見た東京湾

三郎助を追う〜もうひとりのラストサムライ〜 第8回文・写真 藤野浩章

 アメリカの商船モリソン号が浦賀沖に現れたのは1837(天保8)年6月28日昼前のこと。

 突然の来航に上を下への大騒ぎかと思いきや、むしろ奉行所は慣れていた。"ジャパン・グランド"と呼ばれた鯨(くじら)の良漁場を求めて、日本近海へ外国船がたびたび来ていたのである。

 しかし問題は寄港した場合の扱いだ。当初は薪(まき)や水、食料を与えて帰ってもらう決まりだったが、その数があまりに多かった。しかも来航の度に地域で大規模な動員が行われて警備をするため、財政的な負担も馬鹿にならない。おまけに各地で無断上陸やキリスト教を布教する外国船も出現。そこで登場したのが「異国船打払令」だった。外国船は問答無用で追い払え、というのだ。

 モリソン号に対し、浦賀奉行所はその規定に従って粛々と対処した。トップの太田資統(すけのり)自らが、現在の千代ヶ崎砲台跡に隣接した平根(ひらね)山台場に陣取り、16歳だった三郎助は観音崎台場で砲撃に参加していた。

 防戦一方のモリソン号は野比沖に退避するが、ここでも砲撃を加え、さらに船を出して撃つという念の入れよう。ついに"打ち払う"ことに成功したのだった。

 しかし後にとんでもない事が発覚する。実は同船は、難破した日本船の乗組員を送り届ける目的で来航したのだった。

 この処置をめぐり、批判派を弾圧する事件(蛮(ばん)社(しゃ )の獄)にまで発展する。さらに大塩の乱に続いて各地で一揆や打ちこわしも頻発。内にも外にも問題を抱え、幕府の根幹が揺れ始める。

 そんな中、元服(げんぷく)を迎えた三郎助は、江戸幕府の役人として順調に歩みを進めていた。