横須賀・三浦 人物風土記
公開日:2025.08.22
芸術を通じて平和を考える展示「ヨコスカ平和美術展」の発起人である
古澤 潤さん
横須賀市秋谷在住 94歳
筆先が平和を問いかける
○…アートを通じて、平和を問いかける美術展の発起人で、今年で56回目を数えた。当初、出展者を募るべく、作家の元へ東奔西走。「自身の美意識や絵画論、展示の趣旨をぶつけ、真正面から向き合ってきた」。そのかいあってか、1970年の第1回には県内の美術家約100人が出展。現在では国内外問わず、数十名のアーティストが趣旨に賛同し、それぞれが手掛けた”分身”から平和を訴えかけている。
○…1931年3月10日、日本が中国大陸に侵攻した日に生を受けた。時勢もあってか、周囲からは”戦争の申し子”と羨望の的だった。大阪府岸和田市の中学校に通っていたころ、対岸にある神戸に壊滅的な被害をもたらした大空襲をいまもはっきりと覚えている。「次の日、灰になった教科書のようなものが西風に乗り、頭上を舞った」
○…武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)入学を機に上京。卒業後は、生計を立てるため教員の道へ進み、大楠中学校配属を機に横須賀に移住した。教壇に立つ傍ら、ふと外に足を運ぶと見えてくる漁港の風景。生命力みなぎる肉体、焼けた肌、大がかりな仕掛けを数人で運ぶ漁師-。そのすべてに惹かれ、絵画に落とし込む日々を送った。その後、34歳で画家として歩み始めた。
○…ベトナム戦争では横須賀から多くの米国軍艦が出撃。「美術家として平和のために何かできることは。そして巧拙やキャリアで区切らない自由な発表の場を」。美術展にはそんな思いが込められている。発起人ではあるが、運営や絵画の選定には、トップダウンでは臨まない。「何かに従属した創作活動からは何も生まれない」。哲学的ともいえる美意識が信念だ。「平和でなければ絵は描けない」。切なる思いを筆先に宿す。
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