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横須賀・三浦 文化

公開日:2025.08.22

ヨコスカアートセンター
自分の目に見えるもの
茂木敏宏 作品展

  • 茂木敏宏「優しさの浅瀬にて」展

 自らの視覚体験を起点に「見ること」の本質を探求し続けるアーティスト、茂木敏宏氏の個展「優しさの浅瀬にて」が、ヨコスカアートセンター(横須賀市上町2の3の11)で始まった。

 緑内障という自身の経験から見つめた独自の世界観を描き出し、鑑賞者に「共有された現実」とは何かを問いかける。同センターでの個展は今回が初。9月27日(土)まで。

 茂木氏の創作の原点は、緑内障によって生じる「見えているけれど、見えていない」という特有の視界にある。他者とは共有できない光のノイズやバグのような現象を初期の作品では、自己の真実を確かめるように緊張感をもって描き出してきた。

 しかし本展では、その作風に確かな変化が見て取れる。かつての「描かなければ」という切迫した探求から、近年は「描きたいものを素直に描く」という穏やかな境地へと移行。新作群は、柔らかな光と優しい時間に満ちており、初期の作品が放つ静謐な緊張感とは対照的な世界を繰り広げる。

 本展はひとりのアーティストが彼にしか見えない世界と向き合い、その答えを見つけ出すまでの壮大な旅路の記録といえる。初期の作品から最新作までをたどることで、鑑賞者は「見ること」、そして「描くこと」の意味を見つめ直すことができる。

 展覧会の詳細は同センターのホームページ(https://www.yokosuka-ac.jp/)で確認。

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