多摩区・麻生区版【8月22日(金)号】
原田さん(左)の撮影に応じる中込さん

地元写真家原田さん 80歳超の「輝き」捉え 麻生区民モデルに写真展

 男女ともに平均寿命全国トップを誇る「長寿日本一」の麻生区で、80歳以上の区民をモデルにした写真展の企画が進行中だ。地元出身の写真家、原田京子さん(64)=人物風土記で紹介=らが主催し、10月の開催に向けて準備を進めている。

 『80歳を超えて今を輝く人生の肖像写真展』と銘打つ展覧会で、原田さんと、麻生区内の市民団体を取材し発信している佐々木直子さんが主催。「高齢者として一括りにするのではなく、年齢を重ねた個人であり、誰もが人生の主人公。今を生きる『人』の魅力を伝えたい」と原田さんは話す。モデルにはインタビューも行い、人生模様にも迫ってきた。

 8月18日には、11人目のモデルとなる中込清皓(きよあき)さん(90)の撮影を麻生市民交流館やまゆりで実施した。市民団体「やまゆりテック」のメンバーとして、利用団体向けに会場設営や照明、音響機器を手がける中込さんは、現役時代はテレビ朝日で美術や技術を担当。クイズ番組『タイムショック』や『ヒントでピント』のセットデザインや、テロップシステムのデジタル化に貢献したことなど、当時の経験を和やかに語った。原田さんも下積み時代にADとして携わっていたことが判明し、「まさか同じ番組をやっていたなんて、こんな偶然ない」と笑顔をみせ、思い出話に花を咲かせた。

地域へ恩返しを

 原田さんは麻生区高石出身。商業写真家として都内を拠点に活動していたが、2年前に同区に転居。近所の人が育てた野菜を分けてくれる温かさにふれ、麻生区が長寿日本一という事実を知り、改めて目を向けた地元に「恩返しできないか」と考えるようになった。まちのことを知ろうと訪れた同館で、相談員を務める佐々木さんと出会い、シニアの写真展を企画。佐々木さんの協力のもと、麻生区在住の80歳以上に対象を絞り、1年ほどかけて人選や撮影を進めてきた。今回は100歳を超える人も含め、11人のモデルが登場。「体が思うように動かないが、畑に来ると動ける」「70歳から始めたステッチが自慢」など、好きなことを語るモデルたちの表情は生き生きしているという。「まだまだ現役でやりたいことを自由に楽しんでいる。過去のことを語ってくれる時のエネルギーがすごい」と原田さん。シニアを元気に、という思いのほか、若い人にも知ってほしいとの願いも込める。「大変なことがあっても、今こうして笑っている姿を見て、年齢を重ねることをポジティブにとらえてほしい。地元の人にスポットを当てて、まちを知る機会につながれば」と話している。

アートセンターで展示

 写真展は10月1日(水)から19日(日)(14日休館)、川崎市アートセンター(麻生区)で開催。入場無料で午前10時から午後4時(最終日3時)。問合せはスリーコード【電話】044・952・5921。なお、開催に向けてクラウドファンディングを実施中。詳細はウェブサイト「キャンプファイヤー」(https://camp-fire.jp/projects/871338/view)で確認できる。
北乃さん(右)と作品を作る子ども

川崎市内2病院 小児病棟から万博参加 俳優も支援しアート制作

 大阪・関西万博会場と全国各地の小児病棟などをオンラインでつなぐアートイベント「KIDS ART WORKSHOP-ゴチャ・ゾウ」が8月8日に開かれた。会場に足を運べない子どもたちにも万博の楽しさを感じてもらうのが目的。川崎市内からは日本医科大学武蔵小杉病院(中原区)、総合川崎臨港病院(川崎区中島)の小児病棟で生活する子どもたちが参加。木材とタイルを使ったアート作品を作り、万博や他会場の参加者と出来栄えを共有して楽しんだ。

 「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開催されている大阪・関西万博。同イベントはこのテーマに沿いながら、難病などで長期間の入院している子にも万博を楽しんでもらうために開催された。当日は市内2病院のほか岡山大学病院、長野県立こども病院などの子どももZoomを通して万博とつながり、木材とタイルで制作した作品を見せ合い楽しんだ。

大人も驚く想像力

 日本医科大学武蔵小杉病院では、年長から高校1年までの6人が参加。俳優の北乃きいさんや同病院の関係者と共に、アート作品を制作した。最初は緊張気味だったが、大人たちの積極的な声掛けによって徐々に打ち解け、笑顔をみせた。中には万博の公式キャラクター・ミャクミャクを木材に直接マジックで描いたり、タイルと木材を組み合わせてゲーム機のニンテンドー・スイッチを模して作ったりする子もいて北乃さんらが驚く一幕も。制作が終わると、子どもたちは細長い木材を使った作品に「木のタワー」、カラフルなタイルを散りばめた作品に「色の王国」など思い思いの名前を付け、Zoomを通して紹介した。

 また他会場には俳優の伊原六花さん(万博会場)、鈴鹿央士さん(岡山大学病院)などが参加し、制作をサポート。北乃さんは「プライベートでもボランティアで同じようなことをした経験がある。明るい子が多くて、逆にパワーをもらった」と感想を語った。

 同イベントは万博のテーマ事業プロデューサー・中島さち子氏が手掛けるイベント「世界遊び・学びサミット」の一つで、認定NPO法人 キッズアートプロジェクト(渡邊嘉行理事長/川崎区中島)が協力。同法人はこれまで、粘土でクリスマス作品を作るオンライン教室などを実施して、入院中の子どもたちを勇気づけてきた。渡邊氏によると、作品の色や形から子どもの心理状況を読み取り、入院生活へのヒントを得られるという。今回は総合川崎臨港病院でも理事長を務めている渡邊氏を通じて、全国各地の小児病棟などをつないで開催されることとなった。渡邊氏は「今後は海外の小児病棟ともつながるイベントにできれば」と展望を話した。

写真家で80歳以上の麻生区民を対象にした肖像写真展を企画する 原田 京子さん 麻生区片平在住 64歳

人生は軽やかに 面白く

 ○…モデルは80歳以上の麻生区民。「80歳を超えて今を輝く」がテーマの写真展を企画し準備を進める。カメラ越しに多彩な個性や生き方がにじむ表情を目にし、「普通の人生なんてなくて、一人一人にストーリーがある」と実感。「若い人にも、年齢を重ねることを前向きにとらえてほしい」と願いを込める。

 ○…西生田小・中、百合丘高校出身。高校卒業後は編集デザインの専門学校へ。10代の頃から写真を撮るのが好きで、広告写真家に師事。アシスタントとして修業を積みながら、作品を持ってデザイン会社や出版社に売り込みを続けた。仕事がない日も作品撮りし、暗室で現像する写真漬けの日々。がむしゃらだったが「この道で行くと決めていた。楽しかったですよ」と微笑む。

 ○…独立後は雑誌や広告、音楽とのコラボなどさまざまな仕事に従事。胸に残るのは、ある女性アーティストとの思い出。とても気が合い「ずっと一緒にやろうね」と話していたが、彼女の病が発覚。抗がん剤治療で髪が抜けた姿も「撮ってほしい」と言われ「いつでもいいよ」と伝えていたが、ほどなく帰らぬ人となった。あまりに早い旅立ちに「やりたいことは今やらないとだめなんだ」と気づいて始めた、写真を通じた動物保護活動は今ではライフワークに。「生き死にが関わることには気持ちが入る」と静かに語る。

 ○…運転が好きで、休日はドライブでリフレッシュ。無類の動物好きで「いつ見つけてもいいように」と車内に保護セットも常備している。写真は好き、だが執着はない。「明日やめる、でもいい。楽しいことがあったらそっちに行っちゃうかも」。それでも人生は続いていく。「面白がって生きていけたらいい」と軽やかに笑った。

ヘアカットやネイルなどが実施された会場

「途上国に学校を」 理美容で寄付26万円

 川崎市内の理美容師らで組織されるNPO法人プリックジャパンビューティー(菅原司郎理事長)は8月5日、高津区のてくのかわさきでチャリティーカットイベントを開催した。

 当日は、理美容師やセラピストが無償で協力し、ヘアカットやネイル、マッサージなどさまざまなメニューを提供。一般の利用者が寄付として一定以上の金額を支払った。延べ178人が会場を訪れ、能登半島地震の義援金7805円を含めて、募金総額は26万4014円だった。

 社会貢献活動として年一度実施しているイベントで、25回目。開発途上国の子どもの教育を支援するため、寄付金で小学校を創設する取り組みを続けており、8月末、カンボジアに6校目が完成する予定だという。

 イベントのリーダーを務めた矢花敬さんは「今年も多くの笑顔に出会えた」と振り返り、「猛暑の中、ご来場くださりありがとうございました」と謝辞を述べた。同法人の菅原理事長は「理美容師をはじめ、全ての協力者の皆さまに感謝しかない。これからも7校目を目指して楽しみながら頑張っていく」と話した。

 26回目は来年8月4日(火)に開催される予定。

水道料金「値上げNO」 8月30日 多摩市民館

 上下水道料金の値上げに反対する市民の集いが8月30日(土)、午後1時30分から多摩市民館4階第1会議室で開かれる。

 川崎市が見直しを図っている上下水道料金に関して、意見交換なども通じて考える。参加無料。

 詳細・問い合わせは市民団体「かわさきの安全でおいしい水道水を守る会」の町井弘明代表【携帯電話】090・7944・5636。同会は、2016年に閉鎖された生田浄水場の復活を目指して活動している。

学生が「推す」一冊 多摩図書館 29日まで展示

 多摩図書館で8月29日(金)の午後4時まで、特集展示「大学生がおすすめする本」が実施されている。

 専修大学図書館ボランティア「Compass」(コンパス)の学生が選書した184冊と、それらを紹介するPOPが並ぶ。大学生が協力するこの取り組みは2021年に始まり、5回目。「学生が熱心に選んでくれて、利用者にも好評。涼しげなデザインのポスターも学生のオリジナル」と同館の担当者。問い合わせは同館【電話】044・935・3400。

ギャラリー入り口付近に設置されているPRコーナー

スポーツ7チームを紹介 多摩区 市民ギャラリーで

 多摩区総合庁舎2階の多摩市民館市民ギャラリーに開設中のクールシェアルームに、川崎市にゆかりのあるスポーツ7チームのPRコーナーが設置されている。

 NECレッドロケッツ川崎(女子バレーボール)・KADOKAWA DREAMS(ダンス)・川崎ファルコンズ(ラクロス)・川崎ブレイブサンダース(バスケットボール)・川崎フロンターレ(サッカー)・富士通フロンティアーズ(アメリカンフットボール)・富士通レッドウェーブ(女子バスケットボール)のマスコットキャラクターのぬいぐるみやのぼり旗、ポスター、各チームを紹介するパネルなどが展示されており、パンフレットやチラシなども配布する。区地域振興課の担当者は「ブースを通して市内で活躍するチームを知って、応援に足を運んでもらうきっかけになるとうれしい」と話す。

 クールシェアルームは、「涼」を共有し、読書や自習、一時的な休憩などをする場として一般開放されている。無料で午前9時から午後5時まで利用でき、入退場は自由。9月3日(水)まで開設されている。

麻生区 地域活動を学ぶ ボランティア養成教室

 健康づくりボランティアと食生活改善推進員の養成教室が、9月19日(金)から実施される。会場は麻生区役所、麻生市民館ほか。

 麻生区地域支援課では現在、受講者を募集している。

 麻生区職員や医師、歯科衛生士、健康運動指導士、管理栄養士らから、健康づくりや食生活、ボランティア活動などについて学ぶ。受講の対象は麻生区在住・在勤で、原則4日間講座に参加できる人。定員はそれぞれ20人で先着順。

 詳細は麻生区ウェブサイトを参照。申込み・問い合わせは同課【電話】044・965・5160。

生田緑地中央広場

多摩区 「マイピクニック」募集 9月5日まで テーマ不問

 多摩区では、10月12日(日)に生田緑地(多摩区)で初開催されるピクニックイベント「ピクたまフェスin生田緑地」の中で行われるコンテストの出展者を募集中だ。

 このコンテストでは、「あなたらしい自由なピクニック」をテーマに、2m四方の区画を使ってオリジナルのピクニック空間を演出する。9月上旬に書類審査。イベント当日に生田緑地中央広場で最終審査が行われる。入賞者には賞品を贈呈。

 募集は9月5日(金)まで。参加無料だが、出展経費は応募者負担。居住地・年齢不問(未成年者は保護者の同意が必要)で、イベント当日(雨天の場合は翌13日(祝))最終審査に参加可能な人が対象。応募は特設サイト(https://tama-ku.hp.peraichi.com/)から。

 「住んでみたいまち」「すみ続けたいまち」の実現に向け多摩区では、豊かな自然環境や文化施設などでピクニックを楽しむ「ピクニックタウン多摩区」の取り組みを進めている。多摩区地域振興課は「自由な発想で、個性溢れるピクニックの応募をお待ちしています」と呼びかけている。

 応募についての問い合わせは多摩区PR事務局((株)ノクチ基地)【電話】044・400・0410。

校庭で映画楽しむ夏の夜 9月6日 岡上小が劇場に

 KAWASAKIしんゆり映画祭「野外上映会2025」が9月6日(土)、岡上小学校(麻生区岡上675の1/鶴川駅徒歩10分)校庭で開かれる。午後7時上映開始。入場無料。主催はNPO法人KAWASAKIアーツと麻生区。

 校庭にスクリーンを設け、一夜限りの野外上映会を実施する企画。今回はアニメーション映画『おまえうまそうだな』(藤森雅也監督、宮西達也原作、2010年、89分)を上映する。雨天・強風時は体育館で開催。荒天時中止。

 当日5時からお楽しみコーナーと屋台がオープン。ソーマトロープ(視覚玩具)塗り絵体験や、ソフトドリンク、焼きそば、焼き鳥などの飲食物、くじや玩具の販売などを楽しめる。雨天の場合、コーナーは中止、屋台は縮小して実施。6時30分からオープニングイベントが開催される。混雑の場合は入場を制限する場合あり。公共交通機関の利用を。

 詳細・問い合わせは同映画祭事務局【電話】044・953・7652。

㊧親子でクイズに挑戦 ㊨議場で議長、副議長に質問する児童

36組の親子が議場見学 正副議長へ質問も

 川崎市議会は8月6日、小学4年〜6年生を対象にした「夏休みこども議場見学会」を実施し、市内外の小学生と保護者36組が参加した。

 議会のことをより広く知ってもらおうと実施し、今回で12回目。当日は、市議会局の職員が、一昨年に議場が第2庁舎から新庁舎に移転したこと、壁や天井の造りなどを説明。その後、2グループに分かれて、子どもたちが議員席から原典之議長、堀添健副議長に質問を投げかけた。「どうして議員になったのか」「どんな活動をしているのか」などの質問に議長、副議長が丁寧に答えていった。

 また議会図書室や委員会室に設けられたチェックポイントでクイズに答えていくスタンプラリーも行われ、「議長はどうやって決まるのか」などのクイズに子どもたちは保護者と一緒に挑戦していった。

 横浜市在住の北條あずささん(小4)は「議長への質問は緊張したけれど、スタンプラリーが面白かった」と話し、中原区在住の濱田雄守さん(小5)は「議長に会ってみたかったので参加した。質問の答えで難しい話も多かったので、しっかり勉強したい」と感想を語った。

 原議長は「『川崎市は高齢化が進んでいるのか』『等々力緑地の環境問題』など想定外の質問があり、将来が頼もしく感じた。今回は応募された方全員に参加してもらった。一人でも多くの人に議会をより身近に感じてもらえて有意義な時間になった」と語った。

<PR>
【LINE読者限定プレゼント】
【LINE読者限定プレゼント】
毎月15名様に抽選で『Amazonギフト券1,000円分』をプレゼント!ギフト券以外のプレゼントもあるかも!是非チェックしてみてください。 (続きを読む)
<PR>
【中途募集】「タウンニュース」の記者として、街の力になりませんか?
【中途募集】「タウンニュース」の記者として、街の力になりませんか?
神奈川県と東京多摩地域で発行する地域情報紙「タウンニュース」。制作するタウンニュース社では、紙面、Webプロモーション、イベント企画運営、公共施設の管理業務など... (続きを読む)
二ヶ領用水を流れる灯籠=提供

宿河原 灯籠流し 水面を照らす

 二ヶ領用水宿河原堀(多摩区)の灯籠流しが8月17日に行われた。先祖への感謝や、願いごとが込められた550個の灯籠が水面を照らした。

 宿河原町会と稲田部会子ども会が主催し、毎年この時期に催される地域の恒例行事。灯籠は、二ヶ領用水にかかる宿河原橋上流で放たれ、下流にある仲乃橋までのおよそ250mの川面に浮かび流れた。

 宿河原駅前商店会と稲田中の美術部員、稲田小、宿河原小、長尾小、久地小の児童、向の岡工業高校の生徒らがLEDライトなどを使って作った竹あかりのオブジェも川べりに並び、彩りを添えた。

柿生郷土史料館 セミナー100回目 9月7日 柿生中で 

 柿生中学校(麻生区上麻生)の敷地内にある柿生郷土史料館で年6回程度開催されている「カルチャーセミナー」が、このほど100回目を迎える。同館では9月7日(日)、「カルチャーセミナーを振り返って〜カルチャーセミナーの誕生と現在地、そして未来」と銘打って、第100回の記念セミナーを開く。

 郷土の歴史や文化を伝承しようと地域と学校が連携して2010年に開館した同館。同セミナーはその4年前に同校旧校舎で初開催されて以降、継続的に行われ、同館開館への機運を高める一助にもなった。今回のセミナーでは当時の同校校長で、開館に尽力した板倉敏郎氏が講師を務め、同セミナーへの思いや今後の同館の活動に期待することなどを語る。

 同校2階視聴覚室で午後2時から4時。無料。誰でも参加可。申込み不要。問い合わせは同館の小林基男さん【携帯電話】080・5513・5154。

図書館を考える 麻生市民館で講座

 麻生市民館市民自主企画事業「おしゃべりな図書館〜本と出会う、人と出会う」が9月から5回にわたり実施される。

 これからの図書館について考える。参加無料。日程は9月20日(土)、10月4日(土)、18日(土)、31日(金)(多摩市中央図書館見学)、11月15日(土)。1日のみの参加も可。先着順(4日は申込み不要)。

 申込みは麻生市民館ウェブサイト、電話、窓口。詳細は同館サイト。問い合わせは同館【電話】044・951・1300。

『うつし世の静寂に』より 

消えゆく川崎の風土問う 『うつし世の静寂に』上映 9月にアートセンターで

 川崎を拠点に映画づくりを続ける「ささらプロダクション」(宮前区)製作の旧作2本の特別上映会が、9月6日(土)と7日(日)、川崎市アートセンター(麻生区)小劇場で開催される。由井英監督作の『オオカミの護符』と『うつし世の静寂(しじま)に』で、いずれも失われつつある川崎の風土や風習にフォーカスした作品だ。

 『オオカミの護符』(2007年製作)は、川崎北部に残る護符にいざなわれ、関東一円に伝わる信仰の風習を追ったドキュメンタリー映画で、08年度の文化庁・文化記録映画優秀賞を受賞した。一方の『うつし世の静寂に』(10年製作)は、農村社会を支えた共同体の形「講」が川崎北部でも続く様子をとらえ、宅地化で失われた習俗と人との関係性を問う意欲作だ。

 『うつし世』は6日午前と7日午後に上映、『オオカミ』は6日午後と7日午前に上映予定。両日とも上映後にトークイベントがある。チケット発売中。問い合わせは主催の川崎市アートセンター【電話】044・955・0107。

「一人でもくつろげる施設づくり」に注力する小倉園長

夢見ヶ崎動物公園 魅力向上のアイデア募集 地域の「拠点機能」も加わる

 夢見ヶ崎動物公園(幸区)が魅力向上のためのアイデアを募集している。川崎市と民間企業が共同で取り組む「住民参加型クラウドファンディング」の実証実験で、クラファンの対象となる事業候補の公募に加え、ユーザーから幅広い意見を集める目的もある。

 昨年に開園50周年を迎えた夢見ヶ崎動物公園では、今年度中に再整備計画を策定する予定。これと並行して魅力向上の取り組み「ゆめみ50+1アクション」を進行中で、新たな動物の導入や、市民が救護した負傷動物の治療といったバックヤードの仕事を紹介するワークショップなどを開催している。

 実証実験も「アクション」の一環。川崎市が事業開発コンサルティング会社「Blue Lab」(本社・東京都)と共同で、市民から募ったアイデアやリクエストの事業化を目指すという。アンケートで選ばれたアイデアの実現に向けたクラファンを来年度に実施予定だが、まずは施設面や公園の機能に関するアイデアや希望を9月30日まで募集している。

散策がてら読書も

 また小倉充子園長は、クラファンに限らず「今の夢見ヶ崎動物公園に足りないものや、あればもっと楽しくなると思うものなど、利用者の目線から意見を寄せて欲しい」と呼びかける。

 同園では昨秋、休憩スペースや多目的室、乳児室などを備えた公共施設「パークセンター」を開設した。すると子育て世代の集まりや知的障がい者の絵画教室など、多様な市民が「センター」を利用し始め、さらに共用スペースに「書棚コーナー」を開設したところ、高齢者を中心に散策を兼ねて読書に訪れる来場者も増えたという。

 小倉園長は「もともと入園無料なので誰にでも開かれている施設だが、パークセンターの新設によりコミュニティーの『拠点機能』も加わった。その観点からも、利用者目線の要望や意見を寄せて欲しい」と呼びかけている。問い合わせは動物公園【電話】044・588・4030。

10代の参加者に向け資料館の展示を説明する山田館長(中央)

明大登戸研究所資料館 戦後80年 「戦争の本当の姿」伝える 10代向け特別イベントで

 終戦から80年を迎えた8月15日、明治大学生田キャンパス内の平和教育登戸研究所資料館で、10代のための特別イベント「ひみつの研究所をさぐれ! 〜登戸研究所と戦争の裏側〜」が開催された。小学5年から高校3年までの18人が日本の加害の歴史について学び、考察を深めた。

 同イベントは、戦争中に「秘密戦」の兵器を製造していた旧日本陸軍登戸研究所の史実を、戦争を知らない世代に伝える試みとして昨夏に初めて実施された。2回目の今年は申し込みが殺到し、定員より3人多い18人が市内外から参加。イベントの進行には同大の学生ボランティアの意見を取り入れ、山田朗館長の解説のもと館内を回った後、3グループに分かれて自由な雰囲気のもとで意見を交わした。

 戦時中、登戸研究所で働く人は所内のことを口外することを禁じられていたことについて、参加者が「終戦後に『ヤバいことやってた』と暴露する人がいなかったのはなぜか」と質問すると、進行役の学生は「研究所内の立場がそれぞれなので、沈黙した理由も一人ひとり違うと思う」と回答。逆に学生から「もし国から給料を出すから研究所で働けと言われたらどうする?」と質問され、「闇バイトと違って国の命令なら、危険だとは思わずに働くと思う」と即答する参加者もいた。

 イベントの最後には全員からの質問に山田館長が答えた。愛知県から参加した高校3年生の野牧叡人(えいと)さんは「日本にとって都合が悪い秘密の歴史を研究し、資料館で伝える意味は」と鋭く質問。山田館長は「人間は戦争でどんなひどいことでもやってしまうもの。戦争を知る世代が消えゆく時代に、戦争の本当の姿を伝え続ける必要がある」と回答した。

上半期の市内の火災件数 川崎市消防局 過去10年で最多の211件 リチウムイオン電池「注意を」

 川崎市内における2025年度の上半期(1月〜6月)に発生した火災件数は、昨年同時期より30件多い211件で、過去10年間で最多だったことが分かった。火災原因ではたばこや電気機器が多いほか、川崎市消防局では猛暑で発火事案が多発しているリチウムイオン電池の取り扱いに注意を呼び掛けている。

 7月29日に市消防局が公表した火災概況の速報によると、火災件数種別は建物火災が133件、車両火災が16件、その他の火災が62件だった。建物火災のうち住宅火災は79件で、このうち共同住宅が52件、専用住宅が19件、複合用途の住戸部分が8件だった。また火災による死者9人のうち8人が65歳以上の高齢者だった。

 火災原因のトップはたばこの31件。「ポイ捨て」による火災が後を絶たず、市消防局では「喫煙マナーを守って欲しい」と呼びかける。次いで電気機器と配線器具がそれぞれ23件だった。

 電気機器や配線器具などによる電気火災のうち、昨今の猛暑でスマートフォンやモバイルバッテリー、充電式扇風機などのリチウムイオン電池に起因する火災が増えており、市内でも昨年1年で30件、今年上半期では13件だった。市消防局ではリチウムイオン電池を内蔵する機器に関し、「正しく取り扱い、スマホなどに異常を感じたらすぐに使用を中止し、金属の容器に入れたうえで購入店やメーカーに相談を」と訴えている。

点字入門講習会 9月から 多摩区中野島 多摩川の里

 川崎市多摩川の里身体障害者福祉会館(多摩区中野島6の13の5)で9月5日(金)から10月3日(金)までの毎週金曜日、全5回の日程で「点字入門講習会」が開催される。

 視力に障害のある人のコミュニケーション手段の一つである点字を学ぶ、初心者を対象とした講座。時間は全日午前10時から正午まで。

 受講対象は、川崎市内在住・在勤・在学の人。受講無料。定員20人で、申込み先着順。「少しでも興味のある方、ぜひこの機会に点字器にふれて実際に点字をうってみませんか」と担当者。

 申込みは同館の窓口、電話(【電話】044・935・1359)、ファクス(【FAX】044・935・1706)。

芝生の上で夜ヨガ(C)川崎フロンターレ

GO!GO!!フロンターレ

芝生の上で夜ヨガを楽しもう!

 フロンタウンさぎぬまで9月6日(土)、夜のヨガイベント「芝生de星月夜ガ」が開催される。

 まちづくり活動や地域活性化の推進のために、同所と宮前区が結んだ「まちづくり連携協定」のもと、企画されたもの。夜の涼しい芝生の上で、一日の疲れを癒やすリラックスヨガを体験できる。今回は同区のcafe83が提供する、野菜たっぷりの「冷たいスープ」の特典付き。講師は同区在住の石塚睦己さんで、まさに"宮前区づくし"のイベントとなりそうだ。

 時間は午後8時10分から8時50分まで。参加費は中学生以上が500円、小学生以下は無料。先着40人。中学生以上にはヨガマットが一人一枚無料で貸し出される(小学生以下は貸し出しなし)。宮前区民以外も参加可能。

 申し込みは同所公式ウェブサイト内のオンライン予約システム「hacomono」で受け付けるほか、電話や直接カウンターでも可能。9月5日(金)午後3時締め切り。雨天中止で、開催可否は前日の午後5時頃にメールで連絡、及びフロンタウンさぎぬまの公式Ⅹで告知する。詳細・問い合わせは同所【電話】044・854・0210。