鎌倉版【9月12日(金)号】
がけ崩れが発生した瑞泉寺の庭園。右の木と共に大量の土砂が池に落下し、激しい濁りも発生している

台風15号 国の名勝も被害 大雨で浸水や避難指示

 各地に大雨をもたらした台風15号により、鎌倉市内でも被害が発生した。二階堂にある瑞泉寺では、国の名勝に指定されている庭園でがけ崩れが発生。土砂災害警戒に伴う避難指示が出されたほか、浸水被害や冠水による道路の通行止めもあった。

 鎌倉市によると、台風15号の累積雨量(9月5日午前2時から午後6時)は、鎌倉消防署の計測で244mm、大船消防署の計測では190mmを記録した。

 5日午前8時頃から災害警戒本部が設置され、水位の上昇を受けて神戸川の近隣829世帯に避難指示が出された。その後、土砂災害警戒情報に伴い、約2万1千世帯に避難指示が出された。

 このため、市役所講堂や各支所、市立小学校16校に避難所が設置され、各施設合計で36人が避難した。土砂災害警戒情報は同日午後7時45分に解除され、8時には避難指示も解除された。

 市によると、翌6日午前10時の時点で台風による人的被害は発生していないが、倒木5件、がけ崩れ5件、浸水8件の被害が報告され、その後の被害について集計を行っているという。

 谷戸の多い鎌倉市では、緑地やがけ崩れの恐れのある場所の定期的な確認を行っており、市みどり公園課では「今後も被害を防ぐため対策を講じていきたい」と話す。

 二階堂の瑞泉寺では、鎌倉時代から残る夢窓疎石が作った庭園でがけ崩れがあり、落下してきた大木と土砂で池の一部が埋まって激しい濁りも発生した。大下一真住職は「想像を超える量の雨水だったのでは。国の名勝なので、文化庁の指導を受けて復旧していきたい」と話す。

 また、鎌倉駅周辺では一部の店舗で浸水があり、休業や清掃などの対応を余儀なくされた。
久保田会頭(左)とタイミーの葛井マネージャー

鎌倉商工会議所 多様な人材の架け橋に 「タイミー」と連携

 鎌倉商工会議所(久保田陽彦会頭)と、スキマバイトサービス「タイミー」を運営する株式会社タイミー(小川嶺代表取締役)が9月9日に連携協定を結んだ。同社が商議所と連携するのは全国で21例目、県内では3例目。同商議所では、観光客の増加で深刻化する地域の人手不足を解消し、多様な働き方を推進することで、地域経済を活性化させる狙いだ。

 鎌倉の2024年の入込観光客数は約1594万人で、前年比約130%と増加した。一方で、少子高齢化が進み、特に観光業や飲食業では人手不足が深刻な課題となっている。

 同社は長期の雇用契約を結ばずに、都合の良い時間だけ働く「スキマバイト」という新しい働き方の概念を広めた業界大手。雇用者が「働いて欲しい時間」と被雇用者の「働きたい時間」のマッチングをシステム化して急成長を遂げている。

労働力の掘り起こしに

 同商議所で行われた締結式には、久保田会頭とタイミーの地方創生グループ・グループマネージャーの葛西伸也さんが出席。久保田会頭は「必要なときに必要な人材とつながる仕組みは、小規模事業者にとって心強い。一時的な労働力確保だけでなく、将来的な正社員雇用にもつながる可能性もある」と期待を寄せた。さらに、「学生や主婦、シニアなど、多様な人材がライフスタイルに合わせて働く機会を広げる」として、潜在的な労働力の掘り起こしにも言及した。

 同社は近く、同商議所の職員向けに説明会を実施する。その後、会員企業への周知を図る。

 今回の協定を機に、会員企業と多様な人材との架け橋となり、誰もが安心して働き、事業を続けられる持続可能な地域づくりに取り組んでいく方針だ。

「オクトーバーフェスト鎌倉」(10月4日・5日、鎌倉市役所)の実行委員長を務める 森 暁洸(あきひろ)さん 鎌倉市在住 31歳

地元への恩返し胸に奮闘

 ○…神奈川県内や全国からブルワリーが集結し、バラエティ豊かなフードがそろう「オクトーバーフェスト鎌倉2025」の実行委員長を務める。自身が所属する鎌倉商工会議所青年部(YEG)が主催する一大イベント。メンバーからの推薦で委員長を任され、「プレッシャーや戸惑いがあったけれど、お世話になった諸先輩方や地域への恩返しのつもりで、しっかり努めたい」と熱く語る目は、情熱に満ちている。

 ○…YEGに入会したのはコロナ禍でさまざまなイベントが自粛ムードだった約4年前。入会2年目から活動が活発化し、「先輩たちから立ち振る舞いや仕事に関してのアドバイスもたくさんもらった。YEGでの活動は、自分にとって大きな財産」と話す。仕事との両立に苦労することもあったが、今では「自分の事業だけでなく、地域全体をどう盛り上げるかを考える視点が身についた」と続ける。今回のオクトーバーフェストでもその経験が活かされ、ただビールと食事を提供するだけでなく、地域の子どもたちのダンスや音楽発表のステージを企画し、工夫を凝らした。「絶対に成功させたい。雨だけは降らないでほしいですね」

 ○…鎌倉生まれ、鎌倉育ち。小学4年からサッカーを始め、高校卒業まで続けたが、「実はインドア」と苦笑する。ゲームが好きだったこともあり、大学卒業後は大手家電専門店に入社し、単に商品を売るだけでなく、「どうすればお客様が感動し、また来たいと思ってくれるか」を考え経験を積んだ。その後、27歳で家業の「きんつば専門店鎌倉いとこ」へ。商品開発や接客など忙しい日々を送る。「お土産の定番になり、多くの方がきんつば目当てに鎌倉にきてくれるといいな」

鎌倉ペンクラブの会長に就任した朝比奈さん

鎌倉ペンクラブ 朝比奈住職が新会長就任 「地域全体を文化の発信地に」

 浄智寺(山ノ内)の朝比奈惠温(えおん)住職(61)がこのほど、鎌倉ペンクラブの新会長に就任した。朝比奈会長は、多岐にわたる活動経験を生かし、文学を軸に地域文化の活性化を目指す。

 約140人の会員が所属する同クラブは、昭和初期に久米正雄や大佛次郎ら鎌倉文士が立ち上げた歴史ある団体。一度解散したが、前会長の伊藤玄二郎さん(かまくら春秋社代表)らが2001年に再結成して以降、鎌倉かるたや公開講座などを通じて、市民に文化の魅力を伝えてきた。

 就任にあたり朝比奈会長は、「私は作家ではない。だからこそ、才能にあふれた作家を発掘したり、さまざまな団体とつなぐ役割を担っていきたい」と抱負を語る。

 浄智寺の住職に加え、鎌倉エフエム放送の社長や鎌倉市芸術文化振興財団の理事も務める朝比奈会長。これらの肩書きを生かし、文学、メディア、芸術といった各分野を連携させ、鎌倉をより大きな文化の発信地にしていきたいとも。

 また、若い世代にも文学や文化に関心を持ってもらいたいという思いも強く、「会員の推薦があれば入会可能。新しい風を迎え入れたい」と門戸を開く。

青蓮寺と鎌倉山古道 10月の鎌倉史跡めぐり

 NPO法人鎌倉ガイド協会は、古都鎌倉史跡めぐりの10月の参加者を募集している。3日前までの事前予約制。

 Bコースは、「真言の教えに触れる癒しのひととき」と題し、古刹青蓮寺で法話を聞き、古道を歩いて鎌倉山を散策する。尾根道からは江の島や富士山が一望でき、夫婦池では森林浴が楽しめる。開催日は10月17日(金)、20日(月)、24日(金)、27日(月)の4回。湘南モノレール大船駅改札裏側の広場で午前9時から受付。午後0時30分ごろ深沢バス停で解散予定。高低差ややあり、徒歩距離約4Km。参加費800円、志納金300円、交通費280円。ガイドレシーバーあり。雨天時コース変更。定員各日100人。

 ほかにも、いたち川沿いの史跡(Aコース)、瀬谷の鎌倉古道(Cコース)などあり。詳細・申し込みは、協会ホームページへ。(問)【電話】0467・24・6548

鎌倉駅前の小町通り入口

鎌倉市観光協会 英語道案内ボラ募集

 (公社)鎌倉市観光協会と、日本でTOEIC Programを実施・運営する(一財)国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は、鎌倉駅周辺で外国人観光客を対象とした英語による道案内ボランティアを募集する。

 増加する訪日外国人へのホスピタリティ向上と、地域住民が異文化交流を体験し、まち全体でグローバル人材を育成することが目的。

 今回のボランティアは、英語の初中級レベルであれば、学生・社会人を問わず参加可能。活動は、10月18日(土)、19日(日)、25日(土)、26日(日)の週末に鎌倉駅周辺で行われる。活動時間は、午前9時から11時30分、または正午から午後2時30分を選択できる。募集人数は、合計約30人。

 参加者には、事前学習動画や小冊子が提供される。また、ポロシャツと参加証が贈呈されるほか、事後アンケートに回答するとアマゾンギフトカード1000円分が進呈される。

 希望者は9月16日(火)から30日(火)に専用フォーム(www.iibc-global.org/ghrd/volunteer/street-guide/kamakura-2025/requirements.html)から申し込む。

 問い合わせは、鎌倉市観光協会・有馬さん【電話】0467・23・3050へ。

発会式であいさつするさいとう代表(中央)

看護で地域貢献目指す キャンナス鎌倉が発会式

 看護師らによるボランティア団体「キャンナス鎌倉」(さいとうあやか代表)の発会式が9月1日にフォーク腰越で開催された。

 同団体は全国で176番目の支部として発足。イベントの救護班や健康・産前産後の相談、受診などの同行、医療・介護保険でカバーしきれない看護ケアなどでの社会貢献を目指す。保険でカバーできない看護ケアの一般的な利用料は1時間6千円を超える。もっと手の届きやすい料金で利用できるようにと、内容や条件にもよるが、1時間2500円とした。活動費や備品の購入費として寄付も募っていく。

 発会式では、地元で活動するアーティストや市民、店によるマルシェも開催され、会場が満員になるほど賑わった。

 さいとう代表は、「看護の仕事が本当に好き。地元の健康を守りたい」と意気込む。発会にあたり、キャンナス設立者の菅原由美さんや松尾崇市長らからもエールが送られた。

被災した鎌倉市内(提供)

台風15号 ふるさと納税で支援 鎌倉の水害受け

 台風15号による大雨の影響で被害を受けた鎌倉市を支援するため、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する株式会社トラストバンク(東京都品川区)が9月8日から、「ふるさとチョイス災害支援(https://www.furusato-tax.jp/saigai/)」で鎌倉市の災害時緊急寄付申込みフォームを開設した。

 ふるさとチョイス災害支援は、ふるさと納税で被災自治体の災害支援に寄付できるもの。被災地に寄付金と一緒にメッセージを送ることができる。自治体からの返礼品はなく、寄付金は被災地の復旧・復興に使われる。熊本地震では約19億円、能登半島地震では20億円以上を集めた。

 鎌倉市内は、台風15号による大雨で店舗や家屋の浸水のほか、冠水による通行止め、がけ崩れ、倒木などが発生した。土砂災害警戒に伴う避難指示が出され、市役所講堂や各支所、市立小学校に避難所が開設された。

連載vol.1鎌倉の未来 紡ぐ視点 官民連携で分散観光推進を 鎌倉市観光協会 中村悟会長

 鎌倉市のこれからのまちづくりについて、経済、観光、スポーツ、学生など、さまざまな分野の団体にインタビューする連載企画。初回は、(公社)鎌倉市観光協会の中村悟会長=写真=に「観光」を軸に話を聞いた。

 国内有数の観光都市・鎌倉。「呼び込まずとも観光客が来る」という人気ぶりだが、一方で慢性的な渋滞や江ノ電の混雑、観光客のマナー問題、白タクに民泊など、オーバーツーリズム(観光公害)による市民生活への影響はさまざまだ。

 対策として近年、観光協会が取り組むのが「分散観光」。「例えば、小町通りは昼間はぎゅうぎゅうに混んでいるのに、朝夜は閑散としている。王道の観光スポットに集中している観光客が時間と場所で分散するようにしたい」と中村会長。

 ウェブサイト「鎌倉観光公式ガイド」では、スマートフォンのGPSデータを活用した観光混雑マップを公開し、当日の混雑の様子や過去のデータからの推測カレンダーも用意。駅前の協会事務所では、手荷物の預かりや宿泊施設への配送サービスも行う。「大きな荷物を持って移動しがちな外国人観光客が手ぶらで観光することで、江ノ電などの混雑緩和につながっているのでは」

プレミアムな観光

 「王道」以外の場所に足を運んでもらおうと、寺や有識者と連携し、始めた企画もある。「質の高いプレミアム」なツアー「出張鎌倉ミュージアム」だ。昨年12月に明王院、5月に宝戒寺の協力を得て、アニメ『逃げ上手の若君』の主人公でもある北条時行の書状や足利尊氏の念持仏を特別公開した。今後も安養院などで開催予定で、ほかにも新企画の話が動き出しているという。

 「分散観光を狙うにも、朝夜に店を開けてと事業者に押し付けるわけにはいかない。マナーなどの問題がある一方で、真夏に日本人観光客が激減する中、外国人が来てくれることで助かっている事業者もいる」

 さらに、市内では、この数年でホテルが続々と営業を開始。市が導入を検討している宿泊税を前向きに捉えている。「導入されれば、街の課題解決に活用するなどの財源になり得る。どの課題も市や事業者らとの連携は欠かせない」

市長出席「世界ドローン魚釣り大会」 旧統一教会との関係「無し」

 鎌倉市は9月8日、材木座海岸で5月31日に開催された「世界ドローン魚釣り大会」への松尾崇市長の出席について、事実経過と今後の対応を発表した。同大会は、霊感商法問題で東京地裁から解散命令が出された世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体が関与しているとされた。

 市は、同大会が韓国の省庁による後援や、在横浜大韓民国総領事館副総領事の出席情報があり、日韓国交正常化60周年記念事業であったことなどから、国際交流の一環として妥当であると判断して出席したと説明。開会式では、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を示す表示や発言はなく、その後の調査でも明確な関係性は確認されなかったとした。

 市長は、同連合との関係は過去も現在も一切ないとしつつも、市民に誤解を招いたことを謝罪し、今後はイベントへの参加をより慎重に判断するとした。

みらいふる鎌倉 高齢化に伴い支援ボラ募集

 みらいふる鎌倉(鎌倉市老人クラブ連合会)では、会員の高齢化に伴い活動を支援してくれるボランティアを募集している。詳しい活動内容はホームページ(https://miraifulkamakura.main.jp/)で確認を。

 問い合わせは、みらいふる鎌倉・杉本さん【メール】joe2222@jcom.zaq.ne.jpへ。

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15日の神幸祭で行われる神輿渡御(鶴岡八幡宮提供)

鶴岡八幡宮で例大祭 14〜16日 流鏑馬神事も

 鶴岡八幡宮で9月14日(日)から16日(火)の3日間、恒例行事の「例大祭」が開催される。

 歴史書『吾妻鏡』によると、同宮の例大祭が始まったのは1187年。それ以来、絶えることなく800年以上続く行事で、捕獲した生き物の殺生を戒める放生祭や、疾走する馬上から矢を放って的を射る流鏑馬などを執り行っている。スケジュールは以下の通り。

 ▽14日午後6時から、翌日から始まる諸行事の無事を祈願する「宵宮祭」を本殿で実施。

 ▽15日午前10時から、メイン行事の「例大祭」を本殿で開催。神職や巫女らが心と歩調を合わせて参進し、皇室の弥栄と国家の繁栄、氏子崇敬者の安泰を祈念する。午後1時の「神幸祭」では、3基の神輿を担ぎながら若宮大路の二ノ鳥居前まで巡行する。

 ▽16日には、流鏑馬神事(午後1時)と鈴虫放生祭(午後5時)が開催される。また例大祭の期間中は、境内で鎌倉囃子や太鼓、合唱などの演奏も実施。

(問)鶴岡八幡宮【電話】0467・22・0315

医療講演とコンサート 28日 チャリティー企画

 地域食堂ゆきのしたのチャリティー企画として、医療講演とコンサートが9月28日(日)にカトリック雪ノ下教会レベックホールで開催される。

 地域食堂ゆきのしたは、毎月第1土曜日の正午から同会場で無料ランチを提供している。この企画は、その支援のために来場者に寄付を募る。

 医療講演では、鎌倉病院の三松興道院長が腰の病気の対処法について語り、コンサートでは三松院長率いる鎌倉メディカルアンサンブルが演奏する。午後2時30分開演。定員100人(予約制)。(問)【携帯電話】090・4759・8711

鎌倉で平和の灯 23日にキャンドルライト

 御成町の鎌倉市福祉センターで9月23日(火)、「ユネスコデーin鎌倉〜コミュニティ再生と平和の祈り〜」が開催される。午前10時から午後7時。主催は鎌倉ユネスコ協会、学生団体ニューコロンブス共催。

 当日は、学生からの目線で平和について考えるトークセッションや、マルシェ・バザーが行われるほか、午後6時からキャンドルライトを点灯する。事前申し込み制で参加無料だが一部ワークショップが有料(500円)。詳しくは鎌倉ユネスコ協会ホームページ(https://kamakura-unesco.com/)へ。