多摩区・麻生区版【9月19日(金)号】
ポスターとチラシを手に参加を呼びかける多摩区の担当者

「秋は多摩区でピクニック」 生田緑地でイベント

 ピクニックをテーマにした参加型イベント「ピクたまフェスin生田緑地」(多摩区主催)が10月12日(日)、生田緑地中央広場付近(多摩区枡形)を会場に開かれる。ワークショップやパフォーマンス、一般応募による「マイピクニック・コンテスト」など多くの企画が予定される。多摩区が進める「ピクニックタウン多摩区」の取り組みの一つで、初開催となる。

 多摩区では住み良い、にぎわいと魅力あるまちづくり「タウンプロモーション推進事業」の一環として、生田緑地や多摩川、農地など豊かな自然環境を活用してピクニックを楽しむ「ピクニックタウン多摩区」の取り組みを2013年度にスタート。さまざまなイベント開催、広報紙やSNS、各種メディアによる情報発信などを通じて、取り組みを進めている。20年度から24年度までは、区ゆかりの鎌倉武将「稲毛三郎重成」を題材にしたまち歩きイベント「SHIGENARI」を実施。今回の「ピクたま」は、その後継イベントと位置づけ、初めての開催となる。

コンテストも

 イベントは、生田緑地中央広場をワークショップ、パフォーマンス、グランピング、コンテストと区分けし、各エリアで企画を展開する。

 ワークショップのエリアでは、丸太切りやタイルを使った小物づくり、サンドアートの体験、野菜販売など、地域を中心に活動するアーティストや事業者による11のブースが設けられ、大人も子どもも楽しめるプログラムを揃える。

 パフォーマンスエリアには、生田緑地や二子玉川公園などでシャボン玉を飛ばしている「シャボン玉オヤジ」、アコーディオン奏者のいしぬきひなこさん、ヨガインストラクターの楠部静代さんが登場。地域にゆかりのある3人が、時間帯を分けてそれぞれパフォーマンスを見せる。

 グランピングエリアには、協賛するアウトドアメーカーのキャンプ用品が設置され、チェアやテーブルなどの利用を体験することができる。

 東口ビジターセンター側のエリアでは「マイピクニック・コンテスト」が実施される。「あなたらしい自由なピクニック」をテーマに、事前に募集した9ブースが「マイピクニック」を披露。5人の審査員による審査に加えて一般来場者の票も反映され、入賞者には賞品が贈られる。区の担当者は「想像していた以上に個性豊かなピクニックが寄せられた。来場者とコンテスト参加者との交流が生まれるような場になれば」と期待する。

 加えて、12日は生田緑地が主催する食のイベント「森のマルシェ」(午前10時から午後3時)も同時に開かれる。

 ピクたまフェスは午前10時から午後4時。入場は無料だが、一部ワークショップや物販は有料。雨天の場合は翌13日(祝)に延期される。

 詳細・問い合わせは多摩区地域振興課【電話】044・935・3132。
展示を企画した山田耕太郎さん=9月12日

山田土筆細山美術館 風景画で遺した郷土愛 生誕100年機に限定開館

 細山の出身で、地元の風景画を多数描いた日本画家の故・山田土筆(本名 昌一)さん。生前、自宅を改装して開いていた「山田土筆 細山美術館」が、生誕100年を記念し、長男・耕太郎さん(68)の手により10月から期間限定で開館する。

 土筆さんは1925年、細山生まれ。東京物理学校(現東京理科大学)を卒業後、日本画家の田中以知庵氏に師事した。教員として勤めながら絵の道へ進み、麻生区文化協会や細山郷土資料館(現在は閉館)の委員も務めるなど、地元の文化や歴史保全活動に尽力。1995年、自宅の改修を機に同美術館をオープンした。2023年、98歳で亡くなった後は閉館していたが、生誕100年にあたる今年、耕太郎さんが記念展を企画。来月から11月末までの2カ月間限定で、開館することになった。

かつての景色を絵に

 大小あわせて1000点ほどの作品が保管されているが、土筆さんが昔の風景を思いながら描いたものも多い。農作業に通った山道や、通学、通勤途中に眺めた百合ヶ丘駅ができた頃の風景、造成前の金程地区を見下ろす夕景など、今では見ることができない景色だ。「子どもの頃こうだった、という記憶で描いているもの。発展の一方で失われていくことを思い、残さなければと考えていたようだ」と耕太郎さん。土筆さんは生前、来館者を自ら案内し、かつての郷土の様子などを説明することをライフワークとしていたという。近隣の小学校の児童が地域学習で同館を訪れるのを楽しみにしており、倉庫には訪問後に児童から送られてきた学習の成果物が数多く残されている。「教育者でもあったから、未来を担う子どもたちに昔のことを伝えなければ、という思いもあったのでは」と耕太郎さんは話す。「歴史は必ず変わっていくものだが、昔の姿を心に刻み、何かを感じてもらえたら。古き良き時代を伝えたいという父の思いを引き継いでいきたい」

11月末までの土日休

 美術館は、10月4日(土)から11月30日(日)までの土日休日、午前10時から午後4時まで開館。期間中は50点ほどの作品のほか、下絵となるスケッチブックも自由に見ることができる。入場無料。住所は麻生区千代ヶ丘6の3の7(千代ヶ丘ゴルフ練習場向かい)。駐車場がないため、公共交通機関の利用を(車いすの場合は事前連絡)。

 問い合わせは【電話】044・966・4083(開館日のみ)。

(一社)神奈川県サッカー協会の5代目会長を務める 河野 雅道さん 藤沢市在住 66歳

サッカー愛で協会牽引

 ○…幼児から学生そしてシニアまで、幅広い年齢層の選手の競技支援を行う県サッカー協会。フットサルも含め約5万5千人の選手が登録する団体の会長に、このほど就任した。シニア選手層の増加を受け、「純粋にサッカーを楽しみたいという人も増えているのでは」と推察。そのためにも「支える側の人も増やして活動を充実させたい」と目標を語る。

 ○…協会歴は、22歳で高校の教員としてサッカー部に携わるようになってから40年余り。教員を定年退職した6年前までは二足のわらじで。大会運営の他、審判や選抜選手を育成するトレセンコーチなど幅広い分野で活動した。2002年の高知国体では代表監督も務めた。定年後は専務理事として対外窓口の激務をこなした。これもサッカーへの恩返し。

 ○…山口県出身。高校生からサッカーを本格的に始め、指導者になりたいと、大学入学に合わせ上京。卒業後は大学サッカー部の先輩が教鞭をとる神奈川県で教員になることを選んだ。初任は開校から歴史が浅い大清水高校(現・藤沢清流高校)。若い高校に赴任したことが気持ちに火を着け、「教え子たちを優勝に導く。それまでは地元に帰らない」と意気込んだ。「結局優勝できず、そのまま定年まで神奈川にいることになった」。これもまた「運命」。

 ○…現在は数十年ぶりにプレイヤーとして、教え子たちと同じシニアチームでボールを追う。最近の試合では「人生初のイエローカードをもらった」と笑う。「教え子たちに負けないという気持ちで切磋琢磨している」とも。目指すのは生涯スポーツと選手育成の両面を担う日常にサッカーがある環境づくり。そのために、今までの経験や長年の人脈を通じて県全体の活性化を誓う。

水が溢れる道路=中原区下新城付近

川崎市 記録的大雨、各所で被害 中原区で過去最大131ミリ

 9月11日、首都圏を襲った記録的な大雨。川崎市は各所で道路冠水や浸水被害に見舞われた。

 気象庁は午後1時53分、川崎市に大雨(浸水害)、洪水警報を発表。雨足は徐々に強まり、宮前区では1時間で91・5ミリ、高津区では116・5ミリ、中原区では市内過去最大となる131・5ミリを観測した。数年に一度レベルの短時間の大雨を観測・解析した際に発表され、災害の危険度の高まりを伝える「記録的短時間大雨情報」が2時51分以降繰り返し出され、3時48分、市は危険な場所から全員の避難を促す警戒レベル4の土砂災害警戒情報を発表した。市危機管理本部では災害応急対策活動要因を増強する警戒体制1号動員(浸水被害)、2号動員(土砂災害)を発令、全区で災害対応シフトが取られた。

 市の発表では、川崎区鋼管通や中原区小杉町、高津区末長など市道8カ所で道路冠水による通行規制を実施。武蔵中原駅などでエレベーターが浸水により停止したほか、民間や関係部署から多数の通報が寄せられ、一時的な道路冠水や建物への浸水などが確認されている。市は今回の大雨被害に関して、中原、高津、宮前の3区役所で連休中も罹災証明の臨時受け付けを実施。発災後から16日(午前9時時点)までに、あわせて88件の申請があった。市危機管理本部では「こうしたゲリラ豪雨は、短時間で大量に雨が降り、川が急に増水するなど非常に危険。普段から自治体の呼びかけや気象情報に注意し、対応を確認するなど備えを進めてほしい」と話している。

非戦の思いを込め鐘をつく参加者

鐘つき、平和訴え 多摩区の寺院で

 多摩区登戸にある浄土真宗本願寺派寺院・長念寺(小林泰善住職)で9月9日、第16回「平和の鐘つき」が行われた。

 戦争放棄などを定めた日本国憲法第9条にちなみ、毎年9月9日午前9時9分に、世界平和を願って鐘をつく取り組み。たま九条の会が主催、生田9条の会・すげ9条の会・のぼりと9条の会が共催した。

 朝9時過ぎ、鐘の前に集まった約50人の参加者に、たま九条の会の田代浩一共同代表(82)が取り組みの趣旨を説明。鐘つきが始まると、参加者は「軍事費を削減せよ」「子や孫、あらゆる人を戦地へ送らないために憲法9条を守ろう」などと声をあげて鐘をついた。たま九条の会の森田忠正さんは「始めた16年前より今のほうが平和の大切さをひしひしと感じている。戦争が始まったら止められない。その前に声をあげていかなければいけない」と述べた。

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山田瑛理氏

市長選 山田瑛理氏が出馬へ 元市議、無所属で

 任期満了に伴い10月26日(日)に投開票される川崎市長選挙に、元川崎市議会議員の山田瑛理氏(42)が9月12日、立候補する意思を表明した。

 川崎区出身の山田氏はソニーの子会社に約12年半勤めた後、2019年の川崎市議選に自民党公認で川崎区から出馬し初当選。2期目の途中、9月11日に市議を辞職し、無所属で出馬することを決めた。山田氏は同党に離党届を提出している。

 12日に行われた会見で「参院選の結果に市民が今何とかしてほしい、今大変なことがあるということを感じた。幸せな未来をつくるには市長でないとできない」と市長選へ思いを語った。庶民感覚を生かし2児の母親目線で、教育格差の是正、年齢を問わない留学支援、中小企業支援などを訴え「今に応え、希望、夢があふれるまちにしていきたい」と語った。

 市長選には、これまでに新人の國谷涼太氏、現職の福田紀彦氏、新人の宮部龍彦氏、野末明美氏が出馬の意向を示している。(9月14日起稿)

戦中の記憶を静かに語ってくれた小林さん

戦後80年 戦禍の記憶【12】 中原区小杉御殿町在住 小林美年子さん(93) 『海ゆかば』歌い迎えた英霊 近衛兵の従兄も「負ける」

 今もなお聞きたくない歌がある。記憶の奥底にしまい込んだままの歌の名は『海ゆかば』。天皇への忠誠心と死を恐れない覚悟を表した歌詞……。太平洋戦争末期、かっぽう着姿の女性らに交じり、まだ10代前半だった少女がこの歌を歌いながら駅に到着した英霊たちを出迎えた。「母の代わりに行かされたんです。何とも言えない悲しさと、この場にいたくないという嫌な気持ちがあふれ、心の中で激しく葛藤していました」

 横浜市鶴見区で育った。戦争が激しくなると、敵機の襲来を知らせる空襲警報が響くようになり、夜は電気に風呂敷をかぶせて外に光が漏れないようにした。1945年3月10日の東京大空襲は、自宅から東の空が真っ赤に染まるのが見えた。「ここには住み続けられない」と、母や妹と親戚のいる愛甲郡愛川町田代に避難した。

 疎開先では離れにあるあばら屋から厚木の女学校に通い、自給自足の生活を送った。肥桶を担いで畑仕事に精を出し、まき割りやわら草履も自ら編んだ。田んぼで捕れるイナゴは貴重なたんぱく質とカルシウム源。夕暮れには川に行き、アユを釣った。サイズが合わなくなったセーターはほどくときに編み方をノートに書き、人に教わることなく編み返した。「こうしないと着るものがなかった」。女学校の体育の授業ではなぎなたを訓練し、バケツリレーも経験した。周囲はみんな、それが当然のこととして受け入れていた。

 その後、40歳に近い叔父にも召集令状が届いた。「叔父が『こんな歳の者が駆り出されるようでは日本は危ないな』と言ったことをはっきり覚えています」。また、近衛兵だった従兄も『この戦争は負ける』と口にしていた。「常識のある大人は知っていて、無謀な戦争とわかっていたのでしょう」

 終戦は疎開先で迎えた。玉音放送が流れた日のことは忘れない。その親戚宅では、酒やしょうゆの醸造所を営んでおり、海軍の将校らが燃料となるアルコールを求めて連日のように通ってきていた。「海軍の若い将校さんたちは涙を流していましたね」

 『海ゆかば』を聞くと、今でも当時の記憶がよみがえる。「戦争は絶対にいけない。若い人たちが国のために、大切な命を犠牲にすることはあってはならない」 

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今年で戦後80年。体験者が年々減少し、戦争の記憶が風化しつつある。当事者の記憶を後世に残すとともに平和の意義について考える。不定期で連載。

妙楽寺で文化財公開 9月26日から3日間

 天台宗寺院・妙楽寺(多摩区長尾3の9の3)で9月26日(金)から28日(日)まで、市指定文化財の特別公開が行われる。見学無料。

 市文化財課では、市域の指定文化財を所有者の協力のもと、年1回程度特別公開している。今回は「浄土と地獄」をテーマとし、いずれも市重要歴史記念物で、鎌倉幕府の歴史書・吾妻鏡に見える「長尾山 威光寺」に関わる銘文をもつ「木造薬師如来両脇侍像」=写真=や、地獄絵の一種である「紙本着色五趣生死輪図」を公開。加えて、昨年第6回市地域文化財に決定した「石造十王像」なども見学することができる。同寺の溝江寛乃副住職は、「薬師如来三尊像のほか、『五趣生死輪図』は明治期に描かれた掛け軸で、高さ約3mの大作。静寂の中でその迫力を体感していただければ」と話している。

 申込みは不要。公開時間は午前10時から午後3時(最終受付2時45分)まで。詳細・問い合わせは同課【電話】044・200・3305。

 同寺は毎年6月頃になると境内に28種約1千株のアジサイが咲き誇り、「あじさい寺」の名で地域に親しまれている。市によると同寺での文化財公開は2009年以来。

神社を出発する神輿=提供

五反田神社 例祭に沸く 生田地域を神輿が渡御

 多摩区の五反田神社で9月13日と14日、例大祭が行われた。本祭の14日は扇睦会(渡辺文寛会長)による大神輿の渡御があり、市内外の友好団体や生田中学校の生徒らが駆け付け約250人が担ぎ手として参加した。

 朝10時頃、恒例の「木遣(きや)り」を唄って士気を高め、神輿が神社を出発。担ぎ手たちの威勢の良いかけ声にあわせて、夕方まで生田駅の周辺を練り歩いた。宮入り後は境内で太鼓の演奏や演芸などが披露され、最後に福銭と福餅が振る舞われて例大祭は幕を閉じた。

 例大祭を主催した五反田神社奉賛会の磯野清会長は「蒸し暑くて心配していたが、難所である生田大橋の坂をのぼり切り無事に宮入りできた。何事もなく祭礼を終えることができうれしい限り。休憩場所を提供してくださるなど、地元の皆さんの力添えに感謝したい」と話した。

生田マルシェで一日満喫 9月28日 生田駅近くで

 生田中央商店会は9月28日(日)、JAセレサ川崎生田支店駐車場で「生田マルシェ」を開く。午前11時から午後4時30分。

 当日は地元商店による飲食物販、ワークショップなどのブースがずらりと並ぶ。ステージには終日、和太鼓やチアダンス、けん玉、バレエ、パントマイムなどさまざまなパフォーマーが登場。午後0時30分と2時30分からプロレス団体・ヒートアップによるリングパフォーマンス、1時4分からはジャズミュージシャン・大林武司さんの演奏が披露される。

スタンプラリーも 

 マルシェとあわせてデジタルスタンプラリーを開催中。商店会エリアのスポットに設置された二次元コードを読み取りスタンプを集めて抽選会の参加券を獲得すると、生田マルシェで4時から行われる抽選会に参加できる。詳細はクリオホーム【電話】044・932・3219((水)(木)休み)。

参加する北條准教授(左)

「エシカル」テーマに対話 和光大 北條氏ゲストに

 和光大学准教授の北條貴文氏が、このほどルミネ町田(町田市)で行われた倫理的な消費行動を選択する「エシカル消費」のトークセッションにゲスト参加した。

 同施設では季節を楽しむことをエシカルな活動と捉え、「季産季消」「エシカーニバル」(造語)を掲げてさまざまな取り組みを展開する。今回は相模原市と町田市の大学や企業、地域が連携する組織「さがまちコンソーシアム」の学生と北條氏が参加。施設のスタッフと「季節を楽しむ、地域とつながる」をテーマに語り合った。北條氏は「地域、企業、大学の連携もエシカルな一歩につながる。消費者が倫理的、道徳的に正しい企業を選んで消費することで『季産季消』が進んでいくのでは」と話した。

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マンホールトイレの構造(断面図)

災害時のトイレ対策方針 川崎市 在宅避難の備え求める 10月31日までパブコメ

 川崎市は「災害時のトイレ対策方針(案)」をこのほどまとめ、9月8日からパブリックコメント(市民意見募集)を開始した。過去の災害の教訓を踏まえ、下水道設備を利用したマンホールトイレの整備や在宅避難時の携帯トイレに関する啓発などを進めていく方針だ。

 内閣府は2024年1月の能登半島地震の被災地の状況などから、同年12月に「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」等を改定し、市町村に対し、在宅避難者等の支援方策を検討するよう求めている。これを受けて川崎市では今年4月、4つの方向性を盛り込んだ「新たな災害時のトイレ対策の考え方について」をまとめ、市議会総務委員会に提示。今回の方針案では「考え方」の内容を整理し、一部を拡充した。

 方針案では3つの方向性を掲げている。

 一つ目が「避難所におけるマンホールトイレを軸としたトイレ対策への転換」。これまでは避難所などに設置する仮設トイレを軸に対策を進めていたが、各地の災害では、避難所のトイレが詰まって使用禁止になったり、仮設トイレのし尿処理が追い付かずに不衛生な状態になるなど、課題が指摘されていた。そのため市では既設の下水道管を利用したマンホールトイレの設備を、31年度までに計174カ所の避難所(24カ所は整備済み)に整備する方針だ。

トイレも「自助」重要

 二つ目が「市民の具体的な行動につなげる自助・共助への働きかけ」で、4月の「考え方」より項目の昇順を上げて内容を拡充した。市ではマンションなど共同住宅の居住率が7割を超え、人口規模も大きいことから在宅避難が中心になる。しかし携帯トイレを3日分以上備蓄する世帯の割合は32・1%、災害時のトイレの使用方法を知る人は34・5%で、市民の備えが十分ではない。「自分の命は自分で守る」という「自助」の意識を高めるよう、市民への啓発を進めるという。

 そして三つ目が「共助・公助が連携したトイレ対策の地域展開」。市は「川崎市防災協力事業所登録制度」により、これまでに389の民間事業者から災害時のトイレ利用などの協力体制を構築してきた。市の担当者は「今度は地域のスーパーなどにも協力を得られるよう、声掛けしていく」としている。

 方針案は市のウェブサイトのほか、各区役所や図書館などで閲覧できる。意見提出は10月31日(金)まで、専用フォームや郵送のほか、市危機管理本部危機管理部などで受け付ける。問い合わせは市の危機管理部【電話】044・200・2842。

緑化かわさきフェア 川崎市 経済効果は89億円 公式記録まとまる

 川崎市制100周年を象徴する事業として開催した「第41回全国都市緑化かわさきフェア(かわさきフェア)」の全容をデータと写真で記録した公式記録を、川崎市がまとめた。計53日間の祭典がもたらした経済効果や波及効果なども分析、総括している。

 1983年から続く都市緑化フェアで初めて、かわさきフェアは2024年秋と25年春の2期制で開催された。市の公式記録によれば、来場者数は約162万人で、秋開催(24年10月19日〜11月17日)の30日間の来場者数は約94万人、春開催(25年3月22日〜4月13日)の23日間の来場者数は約68万人だった。

 主要会場の来場者数は、富士見公園(川崎区)は計71万5千人、等々力緑地(中原区)は約60万4千人、生田緑地(多摩区)は約30万4千人。年齢別では、秋開催は50代以上の世代が過半数を占めた一方で、春開催は10歳未満を含む40代以下の世代が52%だった。来場者の居住地は秋も春も川崎市内が6割以上で、神奈川県内(市を除く)は3割弱だった。

「地域経済が活性化」

 「かわさきフェア実行委員会」の経費(予算ベース)は約25億円。一方で、来場者への調査結果から算出した消費額などから推計した神奈川県内への経済波及効果は計135・2億円だった。このうち川崎市内への波及効果は88・7億円で、「直接効果」は69・4億円、直接効果を受け経済活動が活性化するなどの「間接効果」は19・3億円と推計。公式記録では、フェア開催が県内や市内に経済波及効果をもたらし、「地域経済の活性化に大きく貢献した」と総括している。

 市はかわさきフェアの開催にあたり、「みどりで、つなげる。みんなが、つながる。」をテーマに掲げ、多くの市民が自然と関わる機会を創出し、緑を通じたコミュニティーの活性化を目指した。市内170の市立小中学校・特別支援学校すべてで花苗づくりの取り組みを実施し、枯れた花摘みなどを支えた市民ボランティアは大学生や高校生を含む458人だった。会場やネットで実施した来場者アンケートでは、フェアを通じて「花やみどり、自然への関心が高まったか」との質問に「高まった」「やや高まった」と答えた人は、秋も春も9割近かった。

 市の担当者は「緑を通して様々な形で地域に関われることを、フェアで多くの方に感じていただけた。ボランティアの方々が新たな活動を始めるなど、継続的な動きも生まれている。何をレガシーとして残せるか、今後の取り組みも大切」と話している。

 公式記録は市の公式ウェブサイトのほか各区役所などで閲覧できる。

GO!GO!!フロンターレ

秋冬開催の運動教室

 フロンタウンさぎぬまは、日々の健康を気遣う人向けに、運動教室を開催している。

 教室の前半では、屋外で専用ポールを使った正しい姿勢でのウォーキングや、軽い筋力トレーニングを行う。転倒予防や足腰への負担軽減が見込まれる。

 後半は室内でマットに横になりながらストレッチ。体をほぐし、心までリフレッシュする。元気な脚腰で自立した生活を続けたい人におすすめ。

 12月19日(金)までの毎週火曜日と金曜日の開催で、火曜日は午後1時〜2時と2時30分〜3時30分の各2回、名称は「ロコ体操教室」。金曜日は午後1時〜2時10分の1回で、名称は「ポールウォーキング&ストレッチ教室」(宮前区との連携事業)。

 両教室とも予約制先着20人。火曜日は前月の15日、金曜日は開催1週間前から受付(どちらも午前10時)。1回600円。申込みはフロンタウンさぎぬま【電話】044・854・0210、または同所カウンター。
麻生市民交流館やまゆり 昭和音楽大学に隣接

区民記者が走る! vol.50 2025年 September リタイア後の時間は思ったより永い

 定年が延長気味だががどっこい寿命も延びている。リタイアしたらあれこれやりたいと思っていても実際は時を持て余す。家に留まれば不健康な生活が始まる。シニア市民をいかに外に駆り出すか、その施策をお役所言葉でいうと「市民活動の促進」となる。

 新百合ヶ丘駅南口からマーケットプレイス入口の信号を右に進むと「市民交流館やまゆり」が見えてくる。貸会議室、打合せ、サロンを備えた交流館は「市民活動サポートセンター」というNPO法人が運営する。市民活動とは「市民によるヨガ、英会話、歌、演劇etcの同好会」活動のことだ。ここの同好会促進活動は、同好会の作り方講座→「目指せ!アクティブシニア講座」、同好会宣伝→「区民記者」同好会入会案内→「市民活動相談窓口」、同好会発表会→「やまゆり楽芸会」「市民活動団体発表会」という難解な表現になっている。しかし、一度訪ねていただけば、たくさんの同好会の活動に触れられ、リタイア後の時間が短くなること請け合いである。

区民記者とは?

地域活動が盛んな麻生区で活動する団体にスポットライトをあてるために、麻生市民交流館やまゆりを運営する認定NPO法人あさお市民活動サポートセンターが中心となって、文章を書くことが好きな区民で活動しています。