多摩区・麻生区版【10月3日(金)号】
トンネル内で重機の説明を受ける児童ら

尻手黒川線道路築造工事 トンネル内部を公開 柿生小児童らが見学

 川崎市を縦断する都市計画道路「尻手黒川線」(尻手黒川道路)は、世田谷町田線と結節する麻生区の「片平2丁目」交差点から仲町橋付近までの約680mの整備が進められている。この区間に築造される約190mの山岳トンネル内部を地域に公開する現場見学会がこのほど開かれ、9月22日は柿生小学校(支倉圭太校長)の5年生約140人が工事の状況などについて関係者から説明を受けた。

 尻手黒川線は、幸区小倉と麻生区黒川を結ぶ幹線道路。1946年8月に都市計画決定され、I期からIV期まで段階的に整備されている。概成区間を含め、これまでに全体の約97%にあたる2万2160mが完成。現在は麻生区内のIV期事業区間で、山岳・開削トンネル部の新設と現道を拡幅する約680mの工事が2021年7月から続いている。IV期事業が完了すると、全線2万2840mが開通する。

「愛着を持って」

 市では、工事の進ちょく状況や安全対策について知ってもらおうと、近隣にある市立柿生小学校の児童や、隣接する地域の住民を招いた現場見学会を企画。9月22日から順次スタートさせた。

 最初の参加者は同校の5年生。2組に分かれてトンネル内に入ると、スクリーンに映された動画などを見ながら工事の概要や工法、建設機械などの説明を事業者から受けた。続いてトンネル奥へと進み、重機のデモ運転を見学。最後に現場の濁水処理に使う薬剤を用いた実験を見た。児童からあがった「薬剤は危ないの?」「山が崩れることは?」といった質問にも関係者が丁寧に答えた。

 見学を終えた児童は「機械を動かしてもらって楽しかった」「(トンネルが開通して)近道ができるならうれしい」「楽しみ。トンネルができたら通って、親に自慢したい」などと話していた。市北部都市基盤整備事務所の長谷川智所長は、「子どもたちが将来、大人になったときにこのトンネルに愛着を持ってもらえたら」と話した。

 トンネルは今年12月に貫通予定。市はIV期事業完了を28年度と見込む。10月11日(土)には柿生駅南口で行われる禅寺丸柿まつりにあわせて一般向けの見学会を予定。(問)044・955・1200
川崎市役所

不登校の児童・生徒 総務省が健康状況を調査 川崎市も独自対応を調整

 不登校の子どもたちの健康状態を把握できていない可能性があるとして、総務省は10月から全国の市町村を対象に実態調査を始めた。川崎市でも、不登校の小中学生の健康診断に関する独自の取り組みを調整中だ。

市内で3261人

 全国的に不登校の児童・生徒数は11年連続で増加しており、2023年度は過去最多の34万6482人。市内でも3261人となり、初めて3千人を超えた。

 不登校の状態にある子どもたちの多くが学校で実施する健康診断を受診できておらず、病気などが見つかりにくい環境にある。そのため総務省では今年10月から来年6月まで、全国市区町村の教育委員会や福祉部局、小・中学校にヒアリングやアンケートで実態調査の上、「改善すべき点が見つかれば当該省庁に改善を促していく」(担当者)という。

校医の所属先で

 川崎市では、学校で受診する健康診断のほか、市立学校の児童・生徒の全保護者に「保健調査票」を配布し、子どもたちの健康状態を把握している。しかし23年度に市議会で「不登校の子どもの健康状態を把握できていないのでは」との指摘を受けたため、市の医師会と歯科医師会と調整の上、各校に一人ずつの「校医」が所属する診療所やクリニックで健康診断を受けられるよう、環境整備を進めている。

 「川崎市子ども夢パーク」(高津区)内の「フリースペースえん」には約90人の小中学生が通う。夢パーク所長の友兼大輔さんは「不登校の子どもたちにとっても健康診断は大事なこと。市としての対応が求められている」と話している。

創立40周年の特別展を開催する麻生区美術家協会の会長を務める 三村 修一さん 麻生区王禅寺西在住 77歳

情熱胸に ふるさと刻む

 ○…絵画や彫刻、工芸などジャンルや会派を超えて集い、活動する麻生区美術家協会。会長として40周年の節目の特別展に臨む。「ふるさと麻生を描く」のテーマに沿い、自身が手がけたのは日課の散歩の途中、地元の真福寺川で見かけたサワガニと水の流れをモチーフにした彫刻作品。「作家はみんな思いがあって表現する。どんな思いを持って麻生の風景を描くのか、とても楽しみ」と期待を寄せる。

 ○…創作のルーツは故郷の福岡県飯塚市にある。筑豊炭田の一角、炭鉱のまちで育った少年時代。選炭後に残った石や質の悪い石炭は「ボタ」と呼ばれ、廃棄場から拾って帰ると、父が彫って作品に仕立てるのが常だった。「自分では作らなかったけど、その姿を見てたからかな」。大学では教育学部で美術を専攻し彫刻に没頭。教員として勤める中でも創作意欲はやまず、毎年作品を生み出してきた。

 ○…定年後は新設された学科の非常勤講師として10年、大学で教鞭を取った。「造形の基本や授業のやり方まで。学生たちに思いをぶつけるのは楽しかった」。市の寺子屋事業で行う、自然素材を使った造形のワークショップは子どもたちから力をもらう貴重なひと時だ。「みんな一生懸命で夢中になっていい作品を作る。見ていてうれしい」と目を細める。「材料が足りなくなったらいけないから準備は大変だけど、幸せな時間」

 ○…木々に囲まれ風が通る自宅の縁側はアトリエであり居場所。「気づくと日が暮れている」と話すほど今も彫刻に夢中だ。時には庭木のびわや桃でジャムを手づくり。遊びに来る孫が何か作れるようにと、素材を用意するのも忘れない。「まだまだ作りたい。等身の作品も作れたら」と少年のような笑顔を見せた。

多摩区観光協会 グルメなスタンプラリー 11月30日まで開催中

 多摩区観光協会は、グルメを通じて区内を巡る「多摩区(食)ぅ!?グルメスタンプラリー」を11月30日(日)まで開催中だ。

 期間中に神奈川県飲食業生活衛生同業組合多摩支部イチ推しの飲食20店舗を巡ってスタンプを集めると、同協会の会員企業による素敵な賞品に応募できるイベント。参加店舗、多摩区役所、JR・小田急線の登戸駅、区内の公共施設で配布されているラリーブック(台紙)を持って対象店舗で食事をし(サイドメニュー・ドリンクのみは対象外)、会計時にスタンプをもらう。3個〜20個集めたら同協会ウェブサイト(http://tamaku-kanko.net/)か台紙にある二次元コードから12月3日(水)までに応募を。スタンプの数に応じて8つの賞が用意される。20個全て集めると世界に5つしかないオリジナルの「多摩区完食」ピンバッジに応募できる。注文時に台紙を提示すると特典を受けられる店舗も。

 和洋問わずさまざまな多摩区のグルメを堪能しながら、スタンプラリーを楽しんでみては。

 詳細・問い合わせは同協会ウェブサイト。

前回の様子=提供

麻生区が後援 福祉応援、王禅寺フリマ 10月19日 新百合ヶ丘で

 地域密着、福祉参加型の第9回「福祉応援!王禅寺フリーマーケット」が10月19日(日)、新百合ヶ丘駅南口ペデストリアンデッキからマプレ専門店街一帯で開催される。午前10時〜午後4時。

 地域の福祉向上、交流拠点づくりを目的に実行委員会が主催。麻生区、柿生地区社会福祉協議会(地区社協)、東地区社協が後援する。120区画が出店。出店寄付金のうち運営費を除く全額が福祉施設に寄付される。雨天時は26日(日)に順延。

 綿菓子やヨーヨー釣り、スーパーボールすくいなど子どもが楽しめる企画や自然派パン、チュロス、タピオカなどキッチンカーも充実。ご当地アイドルやミュージシャン、大道芸なども登場し、会場内で演奏や技を披露する。(問)【メール】frm.ozenji@gmail.com

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「感謝と笑顔の一日に」
白山愛児園
「感謝と笑顔の一日に」
10月25日 まつり開催
麻生区の児童養護施設「白山愛児園」は、10月25日(土)に第9回白山愛児園まつりを開催する。「ありがとうと楽しいがあふれる一日を」をテーマに、地域への感謝を... (続きを読む)
関口実氏

市長選 関口氏が出馬表明 ヘイト対策強化訴え

 任期満了に伴い10月26日に投開票される川崎市長選挙に、多摩区の清掃員・関口実氏(67)が無所属で立候補する考えを、9月26日に明らかにした。

 本紙の取材に対し、精神障害者グループホームで暮らす関口氏は、「国籍や性別、障害の有無にかかわらず、川崎を誰もが幸せに暮らせる街にしたい」と出馬の理由を説明。「差別のない、多様性のある社会を目指す」とし、ヘイトスピーチの対策強化を訴えた。南海トラフ地震に対する防災力の強化にも取り組む意欲を示したほか、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ問題などにも言及。「平和な世の中に向けて、川崎市としてできることをやっていきたい」と述べた。

 市長選には、これまでに会社員の國谷涼太氏、現職の福田紀彦氏、政治団体役員の野末明美氏、出版社代表の宮部龍彦氏、元川崎市議の山田瑛理氏が出馬の意向を示しており、関口氏が6人目で過去最多となった。(9月30日起稿)

小学生が研究発表 SDGsの取り組み

 「SDGs多摩区こども研究発表会」が10月11日(土)、午前10時〜正午、多摩区役所1階アトリウムで開かれる。

 多摩区内の小学生が、SDGsの取り組みに関する夏休みの自由研究の成果を披露する。優秀者の表彰もある。詳細は同区企画課【電話】044・935・3136。

麻生区美術家協会 40周年の特別展 市民ギャラリーで

 今年創立40周年を迎えた麻生区美術家協会(三村修一会長)=人物風土記で紹介=が、10月3日(金)から第40回麻生区美術家協会展を開催する。

 同協会は1985年、麻生市民館に市民ギャラリーがオープンした際に、同区内の美術家らが開館記念の絵画展を開いたことがきっかけとなり創設された。現在は、洋画や日本画、彫刻、工芸を手がける22人が所属。毎年10月に協会展を開いているほか、アルテリッカしんゆりの美術展への参加、麻生区文化協会主催の講座に講師として協力するなど、精力的に活動している。

 8日(水)までは「ふるさと麻生を描く」をテーマに、40周年を記念した特別展を実施。9日(木)から13日(月)までは会員の自由作品を展示する。今年5月に就任した三村会長は「地元の会場で作品を発表し、地域の方の声を直接聞くことができるのはとてもうれしいこと。特別展ではそれぞれの作家が思いを持って、麻生のひとコマを表現する。楽しみでもあるし、皆さんにも見てもらいたい」と話している。「展示をきっかけに、若い人にも知ってもらって、造形が好きな人に仲間になってほしい」と期待を寄せた。

 会場は麻生市民館ギャラリー、午前10時から午後5時(最終日は4時)まで。問い合わせは事務局・佐藤さん【携帯電話】090・6185・4724。

旗を手に持つ吉村さん

市薬剤師会 開局示す黄色い旗 薬局で災害想定の訓練

 (一社)川崎市薬剤師会は9月1日、災害時に開局していることを示す「開局中」のイエローフラッグを掲出する訓練を市内の会員薬局475店舗で実施した。

 「災害時に薬局が営業しているか分かりづらい」という市民の声を受けて始めたもので、東日本大震災の起きた3月11日と、防災の日の9月1日に毎年行っている。

 グレイスファーマシー(中原区)の吉村美穂さんは当日を振り返り、「旗に気づいてくれる常連さんもいて、訓練であることを伝えた」と手応えを得た様子。「避難の際には、お薬手帳とマイナンバーカードを忘れずに携帯してほしい」とアドバイスを送った。

地元飲食店集う夜市 王禅寺で10月3日開催

 「おうぜんじ夜市」が10月3日(金)、たま日吉台病院外来駐車場(麻生区王禅寺1105)で開催される。時間は、午後5時から8時。入場無料。主催は、たま日吉台病院・川崎みどりの病院 親睦会と萬駄屋。

 コロナ前まで開催されていた納涼祭を、形を変えて復活させた同イベント。焼き鳥や窯焼きピザ、ベトナム料理など、地元で人気の飲食店が集結する。「王禅寺和太鼓の会」によるパフォーマンスの他、「子ども縁日&大じゃんけん大会」では女子サッカークラブ「日体大SMG横浜」の選手が会場を盛り上げる。

 小雨決行・荒天中止。駐車場はないため、公共交通機関の利用を。詳細は、萬駄屋インスタグラム(下記URL)で発信中。

(上)投げ初め式の篠山選手(下)記念撮影=DeNA提供

若者文化の新拠点 カワサキ文化公園が開業 Shigekixも祝福

 アーバンスポーツの新たな拠点となる「カワサキ文化公園」(幸区)が9月21日に開業し、同日午後にはオープニングイベントが開かれた。川崎市の福田紀彦市長や公園の運営事業者である(株)ディー・エヌ・エー(DeNA)の元沢伸夫取締役会長らが出席したほか、ブレイキンの世界的パフォーマーであるShigekix(本名・半井重幸さん)もサプライズ登場した。

 バスケットボールやダンスなどを楽しめる場として約8万人に親しまれた「カワサキ文化会館」の閉館に伴い、幸町の国道用地に「会館」の機能を移設。スケートボードの専用施設や、アクロバティックな自転車競技「BMX」のエリアなど、設備を拡充した。

 イベントには市民ら約600人が駆けつけた。DeNAのスポーツ・スマートシティ事業本部川崎拠点開発室室長も務める元沢会長は、「バスケやダンスなどの若者文化は『川崎カルチャー』。この公園で様々なパートナーとサステナブルな取り組みを行い、川崎カルチャーとサステナビリティの二つを強力に推進していく」と語り、福田市長は「素晴らしい施設を作っていただいた。川崎市が応援するアーバンスポーツやカルチャーをここから発信していきたい」と述べた。

 続いてパリ五輪のブレイキン日本代表選手で川崎市在住のShigekixがサプライズゲストとして登場し、パフォーマンスで会場を沸かせた。川崎ブレイブサンダースの篠山竜青選手も「投げ初め式」で華麗なシュートを決め、閉会のあいさつで「この公園でいっぱいチャレンジして失敗して、たくましく元気に育って欲しい」と、集まった子どもたちにメッセージを送った。

 「カワサキ文化公園」の営業時間は、平日午後2時から午後8時までと、土日祝日は午前10時から午後8時までで、営業時間内はスタッフが常駐する。初回利用時に利用登録のうえ、入退場にはパスが必要になる。

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GO!GO!!フロンターレ

大人も子どもも健康促進!

 富士通スタジアム川崎で10月13日(月・祝)、「富士通スタジアム川崎健康長寿フェスタ2025 supported by ひまわり調剤薬局株式会社」が開催される。午前10時から午後3時。入場無料(一部ブース有料)。雨天中止。

 子どもからシニアまでの健康増進を目的としたさまざまなブースが出展。便秘薬をテーマにした「知って安心!お薬の説明会」をはじめ、同クラブOBの森谷賢太郎さんと薬剤師が登壇するトークショーなどで、薬の知識を深められる。「ちびっ子薬剤師体験会」では、分包・一包化という薬剤師の仕事が体験できる。

 ほかに、ゆったりとした時間が楽しめる「あおぞら図書館&ぬりえコーナー」や、体の筋肉量などがわかる「自分の体が丸わかり!からだ測定会」など、健康意識が高まるブースが目白押し。担当者は「健康的な日々を過ごしましょう」と参加を呼び掛けている。(問)同スタジアム【電話】044・276・9133。

検証 福田市政㊤ 描く未来へ抜かりはないか 子育て支援・教育に注力

 10月12日告示、26日に投開票される川崎市長選挙。本紙は、3期目・4年間の福田市政を2週にわたり検証する。

   ◇ ◇ ◇

 川崎市が誕生し100年を迎えた昨年度、市内では節目を祝うさまざまなプロジェクトが行われた。その記念事業実行委員会の委員長となった福田紀彦市長の主導の下、参画した団体・企業は約400、「重ね合わせることで新たな価値や行動を」と呼び掛けて実施された事業や催しは700を超えた。行政独自では難しい取り組みを、民間の資金と人材を活用し実現させたのは、福田市長が掲げる「市民派市長」としての10年余りの実績を示した格好ともいえる。同時に開催した「全国都市緑化かわさきフェア」では秋春2期制を全国で初めて導入し、来場者は約162万人、市内への経済波及効果は88・7億円と推計。児童生徒による花苗づくりや、市民ボランティアの輪を広げ、来場者アンケートでは「花や自然への関心が高まった」という声が9割近くに上った。

 その実行委員会も当該年度を終え解散。「次の100年へのレガシー」を合言葉に、「100+1」のポスターを市内に掲出するが、重要なのは検証だ。官民連携の持続性、緑化フェアの会場となった等々力緑地の再編整備で注視される樹木伐採計画も含め、100周年が一過性で終わらぬように。十分な検証なくして前には進めない。

 また福田市長が力を入れてきた取り組みの一つが子育て支援だ。希望しても認可保育所などに入れない待機児童は5年連続でゼロを維持し、保育士や看護師ら専門職への相談も可能な支援拠点「保育・子育て総合支援センター」の設置を進め、提供を始めたかわさき子育てアプリも刷新の方針。中学3年までを対象としていた小児医療費の助成は、18歳を迎えた年度末までに拡充し、一部負担金撤廃を表明。一方、小児ぜん息患者医療費支給制度は廃止した。

 周辺自治体や時代の流れに合わせて政策を打ち出してきたが、市内の人口が年々増える一方で、子育て世代にあたる30〜40代は市外への「転出超過」が続き、転入との差は5年間で1万3千人超に。東京都の保育料無償化などから見える財政支援での自治体間競争では分が悪く、福田市長の「国が一律で整備すべき」との主張もかなわない中、支援の質やきめ細かさ、環境への配慮がどこまで届いているか。少子化対策にもつなげ、子育て世代から選ばれる都市になれるかが課題だ。

 教育面では、学習状況調査の対象拡大と、GIGA端末ソフトを連動させた支援策を導入。「誰一人取り残さない学び」を目指し、苦手科目の分析・克服など個別最適化させた指導を進め、今年4月に実施された小4・中3対象の全国学力・学習状況調査の正答率は、いずれの教科も全国平均を上回った。一方で、教員の不足は5年連続で100人を超えており、教育の質低下への懸念は続く。教員の働き方改革が進み、下校時間が早まる中、家庭環境や経済状況による学力格差の拡大も危惧される。増える不登校やヤングケアラーへの対応も、次の100年を描く上で不可欠だ。