宮前区版【10月3日(金)号】
つばめ号と協議会のメンバー

平で3度目の実証実験 本格運行めざし団結

 平地区のコミュニティ交通「つばめ号」の3度目の実証実験が、9月28日から始まった。同日、スタート地点近くの市営高山団地集会所で出発式が行われ、運行主体となる平・五所塚コミュニティー交通地域協議会の高見創会長(74)は「来年度には本格運行を」と期待を寄せた。

 「つばめ号」は、地域住民で構成される協議会が主体となり、路線バスが利用しづらいエリアの移動手段を確保するため、2022年度に試験運行が行われ、以後、毎年度、有料での実証実験を重ねている。

 今年度の運行期間は、来年3月30日までを予定。平高山自治会を起点に市営高山団地や老人ホームなどを経由してスーパーやクリニック、向丘出張所などがルートになっており、月曜日と金曜日の週2日、午前10時から午後2時まで、約25分間隔で周回する。現金の場合300円。

 出発式には、協議会のメンバーをはじめ関係者ら約20人が参加。「つばめ号」とステッカーが貼られた車の出発を見送った。

利用者増加がカギ

 高見会長によると、高台に建つ市営高山団地は、近隣のスーパーからは標高差が40mほどあることから、買い物帰りに坂を上るのが大変との住民の声を受け、つばめ号の運行を始めた。

 本格運行に向けては、利用者の増加と運行資金の確保が求められる。つばめ号は、23年度は運行時間1時間あたり2・9人が利用、24年度は同3・9人が利用と乗車人数は増加しており、今回も期待がかかる。

 高見会長は「広報をして利用を促したい。意識を高めて大切に利用してほしい」といい、「今年は募金も受け付ける予定。地域の集まりなどで募金箱を設置して募りたい」と、資金面での協力も呼びかけるという。
AIで生成した空き家のイメージ画像(川崎市提供)

川崎市 空き家52戸に改善指導 「対策計画」改定から1年

 年々増加する空き家の問題を解消するため、川崎市の「第2期空家等対策計画」の一部が昨年8月に改訂されて1年が過ぎた。行政指導の対象となる「管理不全空家」に52戸が認定されるなど新制度の効果は見られるといい、市は制度に関する啓発チラシを作成して一層の周知を図る構えだ。

 全国的に空き家は増え続けており、総務省によると2023年の時点で約900万戸という。このため国は23年12月に「空家法」の一部を改正し、市区町村が空き家の持ち主などに改善を促しやすいしくみを整えた。

 川崎市内の空き家も増加しており、23年時点で戸建て住宅約6千戸が空き家の状態だ。市は「空家法」の改正に伴い、昨年8月に「第2期空家等対策計画」を改定。保安上の危険が生じる可能性のある空き家などを「管理不全空家」と認定して指導・改善を促し、対応が見られない場合には「勧告・命令」のうえ、固定資産税の軽減措置を解除する制度となった。

 市によると、昨年9月の新制度開始から今年3月までに「管理不全空家」と認定されたのは52戸。所有者に対して文書で適切な管理を求めた結果、解体を始めたり、更地に戻したりしたケースが確認された。一方で対応が確認されないため「勧告」に至ったケースは13件で、このうち市が裁判所に清算の申し立てを行ったケースも2件あった。いずれも清算人による解体などの作業が進められているという。

予防の啓発チラシも作成

 市の担当者は「新制度により少しずつ空き家の解消につながっている」と語る。より広く制度を周知する必要があるとして、このほど啓発チラシを作成し、区役所などで配布する。市ではまた、地域活動などに空き家を利用したいと考える希望者と、空き家の所有者を市がつなぐ「マッチング制度」も試行実施中だ。

 空き家に関する相談窓口は所有者向けが市住宅供給公社【電話】044・244・7590、空き家の近隣住民は市住宅整備推進課【電話】044・200・2253。各区の地域振興課でも受け付ける。

著書「薬膳の食卓365日」が料理レシピ本大賞で入賞を果たした 川手 鮎子さん 東有馬在住 83歳

体と心の優しさ届けて

 ○…テレビドラマなどで「薬膳」が注目を集める中、2年前に出版した著書『薬膳の食卓365日』が脚光を浴びることになった。長年学んできた中国伝統医学に基づき、薬膳を日頃の食卓に取り入れる知恵を詰め込んだ一冊。「ブームの追い風があって運が良かったが、多くの読者に届き大変ありがたい」

 ○…東京都渋谷区で生まれ育った。高校時代に、母の「これからは医薬分業の時代になる。薬剤師をやってみたら」との一言で、東京理科大学薬学部へ進学した。卒業後は企業で研究職に従事。結婚を機に家庭に入るが、3度の流産を経験した。「身も心もボロボロになった。でも、このままではだめだ」と、体を立て直すために漢方を学び始めた。その効果からか、しばらくして2人の子どもに恵まれた。この経験が原点となった。

 ○…1973年に東有馬に薬局をオープン。子育てと両立しながら、健康相談に乗ってきた。現在の医学の発展は目覚ましいが、精神面の治療が伴っていないのではないか、そんな思いから学んできた「中医学」について自費出版した。それが縁で出版社から声がかかり、『漢方の暮らし365日』という題名の本を出版。好評だったことで第2弾となる『薬膳の食卓365日』を執筆した。どちらも自身が大切にしてきた「体にも心にも優しく」という思いを込めた。

 ○…45年間漢方相談に乗ってきた。「患者の喜びが自身の喜び」となり研鑽を積み重ね、国際中医師の資格も取得。地域貢献にも取り組み、神奈川県や川崎市の保険功労賞を受賞。現在は一線を退き、太極拳とウクレレに夢中だとか。人を笑わすのが好きで、日本だじゃれ活用協会に所属する一面も。好きな言葉は「念ずれば花開く」。

町内会・自治会が活動紹介や模擬店を出展

ご近助ピクニック盛況 1500人が来場

 みやまえご近助ピクニックが9月23日、有馬中央公園で開催され、約1500人が来場した。

 顔の見える関係づくりをすすめ、ゆるやかなつながりで助け合う「つながりひろがる」がテーマ。多世代交流や町内会・自治会の加入促進を目指して2019年から開催されている

 この日、会場には町内会・自治会の活動紹介のほかに、フリーマーケット、手作りアクセサリーや雑貨などの販売、グッズの製作体験を行うブースが多数設けられ、家族連れなどの来場者で賑わった。

 また同時開催となった宮前区防災フェアでは、災害時に役立つ知識を楽しく学びながら身につけてもらおうと、応急救護や水消火器の体験ブースが設けられ、災害時のさまざまな対策について紹介していた。
優勝を喜ぶメンバーたち

小学生一輪車大会 グループ部門で総合優勝 ユニサイクルのがわ 快挙

 宮前区を拠点に活動する一輪車チーム・ユニサイクルのがわ(和田千明代表)の小学生グループ「フルラージュ」が、9月14日に福島県で行われた「第11回全国小学生一輪車大会」のグループ演技部門で総合優勝を飾った。ミスの少ない息の合った演技が評価され、技術点で小学生全国大会の歴代最高得点を記録した。

 グループ演技は、一輪車に乗った選手たちが、音楽に合わせてフォーメーションを変え、小さくジャンプしたり、高速で回転したりしながら、技の精度と美しさを競う。

 大会ではクラスビギナー、クラスS(5〜9人)、クラスL(10〜18人)の3クラスに分かれて競技が行われ、フルラージュはクラスSに出場。アップテンポな曲に合わせてスピード感のある演技を披露し、高い技術力に加え、表現力や演技構成なども評価された。クラスSでの優勝に加え、全クラスの頂点となる総合優勝を果たした。チームリーダーを務めた比嘉水葉さん(小6)は、「指先や表情、動きのタイミングなどを意識して練習してきた。本番で練習の成果が発揮できてよかった」と喜びを語った。

 実は、大会1カ月前、選手1人がケガで欠場となるアクシデントが発生。チームは当初8人から急きょ7人で演技することに。演技構成を変更し、技のレベルを落としつつ完成度や表現力を高めることに集中。本番での演技につながった。

菅生神社で例大祭 神輿巡行や演芸大会

 鎌倉時代からの歴史がある菅生神社の例大祭が10月4日(土)と5日(日)の2日間、同神社境内などで開催される。

 4日は、午後1時から菅生太鼓連による宮太鼓、午後2時30分から演芸大会が開かれる。

 5日は、神輿巡行が行われる。午前8時宮出し、午後5時30分宮入り。菅生神社から、各地区をまわる。長沢子ども会神輿巡行は午後1時30分から。

2025オールキッズトライアスロンジャパン 地元スイミング所属選手が活躍

 「2025オールキッズトライアスロンジャパンin真岡・井頭公園」が9月14日、栃木県で開催され、宮前区のサギヌマスイミングクラブに所属する小学生が活躍した。

 全国から小中学生が参加し腕を競う大会。小学3年の部(スイム100m、バイク4Km、ラン0.9Km)で井上洋さん(宮崎小3年)が優勝、同5年の部(スイム150m、バイク5.4Km、ラン1.6Km)では横山由さん(梶ヶ谷小5年)が優勝、同4年の部(スイム100m、バイク4Km、ラン0.9Km)で五十畑柑汰さん(宮前平小4年)が3位になった。また、スイムとランで競ううアクアスロンでは、小学3・4年の部(スイム100m、ラン1.2Km)で小島徹也さん(西野川小4年)と益田莉瑚さん(鷺沼小3年)が男女で優勝した。

(左から)山田選手、中谷監督、中村GM、福田市長

NECレッドロケッツ川崎 「優勝が絶対目標」 開幕前に市役所で抱負

 女子バレーボール・SVリーグのNECレッドロケッツ川崎の関係者が9月22日に、10月10日(金)から開幕する新シーズンを前に市役所を訪れ、福田紀彦市長に意気込みを語った。

 昨年、リーグ戦3連覇を目指すも、チャンピオンシップファイナルで惜しくも敗れ、2位でシーズンを終えた同チーム。昨シーズンまでAstemoリヴァーレ茨城の指揮を執っていた中谷宏大監督を迎え、日本代表の山田二千華選手が新たにキャプテンに就任。その中谷新監督、山田選手、中村貴司GMが市役所を訪問した。

 中村GMは「昨シーズンのリベンジに燃えている。市民と共にチームも成長していきたい」と抱負を語った。中谷監督は「優勝が絶対目標。バレーを盛り上げて、地域が応援したくなるチームにしていきたい。等々力で大勢の皆さんに応援してもらいたい」と呼び掛け、山田選手は「夏場にチームとしてフィジカルを強化してきた。私たちが日本代表で経験してきたことを組み合わせて、リーグで成長しながら戦っていけるようにしていきたい」と抱負を語った。

 なお、チームの開幕戦は10月11日(土)。ホームの東急ドレッセとどろきアリーナでSAGA久光スプリングスと対戦する。

森の小道を照らす竹灯籠

南野川ふれあいの森 五感で楽しむ夜 市民団体が竹灯籠づくり

 南野川ふれあいの森で9月27日、竹灯籠づくりと夜の探検が行われた。南野川特別緑地保全地区管理運営協議会(野川はあも)の活動の一環として実施されたもので、約30人が参加した。

 2004年に発足した同会は月2回、大人と子どもが森を遊びながら雑木林を手入れし、多世代交流を行っている。今回は、下草刈りと竹7本を伐採。夜の森探検イベントに向けて、協力して高さ約20cmの灯籠を100個作った。

 日没を待ち灯籠が点火されると、森の小道は幻想的な柔らかな明かりで照らされた。参加者は、アオマツムシが鳴く森の中を散策した。伊藤菊代会長は「夜しか咲かないカラスウリの花も見られるなど、五感で夜の森を楽しむ貴重な体験となった」と話した。

宮前九条の会 20周年記念の特別講演

 20周年を迎える「宮前九条の会」は10月11日、宮前市民館大会議室で記念講演を開催する。

 九条の会事務局長の小森陽一さんが登壇し、「戦後80年、新しい改憲の動きと『九条の会』」をテーマに特別講演を行う。小森さんは、東京大学名誉教授で、九条の会設立時の2004年6月から事務局長を務めている。

 時間は午後2時から4時30分。資料代として500円が必要。

 問い合わせは事務局・若原さん【電話】044・855・8896。

記念コンサートのチラシ

稗原ゆ〜ず 10周年記念コンサート 小田原オペラが講演

 稗原ゆ〜ず連絡会(川田和子代表)の10周年記念コンサート「小田原オペラの魔法の笛」が10月11日(土)、稗原小学校体育館で開催される。午後1時30分開演。入場は無料で、申し込み不要。

 同会は、稗原小学校区内の7つの自治会と医療・障害・介護施設など14団体が集まり2015年に発足。現在は19団体となり「住み慣れたまちで不安のない生活の場」を目指し、多方面のノウハウを活用しながら取り組みを行っている。

 小田原オペラは、小田原市や近郊在住のプロの演奏家を中心に結成。オペラ公演やコンサートを小田原市を拠点に活動中。

 (問)稗原ゆ〜ず連絡会【電話】090・3681・6209

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2025年度・持続化補助金 診断士会 セミナー開催

 25年度、2回目となる小規模事業者持続化補助金の申請受付へ向け、川崎中小企業診断士会では小規模事業者や個人事業主を対象に10月17日(金)、川崎区富士見にある川崎市教育文化会館でセミナーを開催する。

 時間は午後3時から。質疑応答も入れ約2時間程度、要予約、無料(協力・タウンニュース)。

 セミナーでは、決算書や事業計画書など、申請に関する書類の説明、直近の採択事例などを参考にポイントなどを解説するほか、専門家による相談会も行う。

 診断士会では「申請については、先々の見通しも含めた事業の計画が非常に大切」と話し「書類の形式要件を満たすことは最低条件だが、事業の強みを活かした計画が重要」と説明。「興味のある事業者はぜひ、参加を」と呼び掛けている。

 希望者は10月15日(水)午後6時までに、タウンニュース営業推進部【電話】045・913・4141まで申し込み。

関口実氏

市長選 関口氏が出馬表明 ヘイト対策強化訴え

 任期満了に伴い10月26日に投開票される川崎市長選挙に、多摩区の清掃員・関口実氏(67)が無所属で立候補する考えを、9月26日に明らかにした。

 本紙の取材に対し、精神障害者グループホームで暮らす関口氏は、「国籍や性別、障害の有無にかかわらず、川崎を誰もが幸せに暮らせる街にしたい」と出馬の理由を説明。「差別のない、多様性のある社会を目指す」とし、ヘイトスピーチの対策強化を訴えた。南海トラフ地震に対する防災力の強化にも取り組む意欲を示したほか、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ問題などにも言及。「平和な世の中に向けて、川崎市としてできることをやっていきたい」と述べた。

 市長選には、これまでに会社員の國谷涼太氏、現職の福田紀彦氏、政治団体役員の野末明美氏、出版社代表の宮部龍彦氏、元川崎市議の山田瑛理氏が出馬の意向を示しており、関口氏が6人目で過去最多となった。(9月30日起稿)

旗を手に持つ吉村さん

市薬剤師会 開局示す黄色い旗 薬局で災害想定の訓練

 (一社)川崎市薬剤師会は9月1日、災害時に開局していることを示す「開局中」のイエローフラッグを掲出する訓練を市内の会員薬局475店舗で実施した。

 「災害時に薬局が営業しているか分かりづらい」という市民の声を受けて始めたもので、東日本大震災の起きた3月11日と、防災の日の9月1日に毎年行っている。

 グレイスファーマシー(中原区)の吉村美穂さんは当日を振り返り、「旗に気づいてくれる常連さんもいて、訓練であることを伝えた」と手応えを得た様子。「避難の際には、お薬手帳とマイナンバーカードを忘れずに携帯してほしい」とアドバイスを送った。

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秋の夜長にサックスの音色 森の広場で音楽会

 生田緑地初山地区内「森の広場」で10月11日(土)、「第48回 森の音楽会」が開催される 。開場は午後5時30分、開演は午後6時 。主催は、緑地の保全活動を行うボランティア団体「飛森谷戸の自然を守る会」 。

 出演は、音大のサクソフォン専攻科を卒業した女性4人組によるサックスカルテット「プロムカルテット」 。ソプラノサックスの神谷悦子さん、アルトサックスの小川久美子さん、テナーサックスの嶋田早苗さん、バリトンサックスの東出早希さんが、秋の森に豊かな音色を響かせる 。会費は一般1500円、中学生500円で、小学生以下は無料 。音楽会は、みどりのボランティア活動を応援することを目的としており、収益金は同会の活動資金の一部として活用される 。雨天の場合は会場を「初山幼稚園」ホールに変更 。(問)飛森谷戸の自然を守る会【メール】tonmori.hotaru@gmail.com  

馬絹神社 神輿と芸能の祭典 10月15日 秋季例大祭

 馬絹神社の秋季例大祭が10月15日(水)に行われる。同神社の例大祭は曜日に左右されず毎年10月15日に挙行している。

 14日(火)の宵宮では、午後5時10分から奉納演芸を開催。15日の御輿の宮出しは午前9時ごろ、宮入は午後6時〜。神楽や獅子舞、太鼓などの演芸大会は6時45分〜。露店は14日、15日の両日、参道に出店する予定となっている。

 氏子会会長の村木健一さんは「神輿渡御の迫力、伝統芸能の優雅さ、そして活気あふれる露店の賑わい、三拍子揃ったこのお祭りに、ぜひお越しください」と参加を呼びかけている。

川崎市役所

不登校の児童・生徒 総務省が健康状況を調査 川崎市も独自対応を調整

 不登校の子どもたちの健康状態を把握できていない可能性があるとして、総務省は10月から全国の市町村を対象に実態調査を始めた。川崎市でも、不登校の小中学生の健康診断に関する独自の取り組みを調整中だ。

 全国的に不登校の児童・生徒数は11年連続で増加しており、2023年度は過去最多の34万6482人。市内でも3261人となり、初めて3千人を超えた。

 不登校の状態にある子どもたちの多くが学校で実施する健康診断を受診できておらず、病気などが見つかりにくい環境にある。そのため総務省では今年10月から来年6月まで、全国市区町村の教育委員会や福祉部局、小・中学校にヒアリングやアンケートで実態調査の上、「改善すべき点が見つかれば当該省庁に改善を促していく」(担当者)という。

 川崎市では、学校で受診する健康診断のほか、市立学校の児童・生徒の全保護者に「保健調査票」を配布し、子どもたちの健康状態を把握している。しかし23年度に市議会で「不登校の子どもの健康状態を把握できていないのでは」との指摘を受けたため、市の医師会と歯科医師会と調整の上、各校に一人ずつの「校医」が所属する診療所やクリニックで健康診断を受けられるよう、環境整備を進めている。

 「川崎市子ども夢パーク」(高津区)内の「フリースペースえん」には約90人の小中学生が通う。夢パーク所長の友兼大輔さんは「不登校の子どもたちにとっても健康診断は大事なこと。市としての対応が求められている」と話している。

(上)投げ初め式の篠山選手(下)記念撮影=DeNA提供

若者文化の新拠点 カワサキ文化公園が開業 Shigekixも祝福

 アーバンスポーツの新たな拠点となる「カワサキ文化公園」(幸区)が9月21日に開業し、同日午後にはオープニングイベントが開かれた。川崎市の福田紀彦市長や公園の運営事業者である(株)ディー・エヌ・エー(DeNA)の元沢伸夫取締役会長らが出席したほか、ブレイキンの世界的パフォーマーであるShigekix(本名・半井重幸さん)もサプライズ登場した。

 バスケットボールやダンスなどを楽しめる場として約8万人に親しまれた「カワサキ文化会館」の閉館に伴い、幸町の国道用地に「会館」の機能を移設。スケートボードの専用施設や、アクロバティックな自転車競技「BMX」のエリアなど、設備を拡充した。

 イベントには市民ら約600人が駆けつけた。DeNAのスポーツ・スマートシティ事業本部川崎拠点開発室室長も務める元沢会長は、「バスケやダンスなどの若者文化は『川崎カルチャー』。この公園で様々なパートナーとサステナブルな取り組みを行い、川崎カルチャーとサステナビリティの二つを強力に推進していく」と語り、福田市長は「素晴らしい施設を作っていただいた。川崎市が応援するアーバンスポーツやカルチャーをここから発信していきたい」と述べた。

 続いてパリ五輪のブレイキン日本代表選手で川崎市在住のShigekixがサプライズゲストとして登場し、パフォーマンスで会場を沸かせた。川崎ブレイブサンダースの篠山竜青選手も「投げ初め式」で華麗なシュートを決め、閉会のあいさつで「この公園でいっぱいチャレンジして失敗して、たくましく元気に育って欲しい」と、集まった子どもたちにメッセージを送った。

 「カワサキ文化公園」の営業時間は、平日午後2時から午後8時までと、土日祝日は午前10時から午後8時までで、営業時間内はスタッフが常駐する。初回利用時に利用登録のうえ、入退場にはパスが必要になる。

「ちびっ子薬剤師体験」のブースイメージ

GO!GO!!フロンターレ

大人も子どもも健康促進!

 富士通スタジアム川崎で10月13日(月・祝)、「富士通スタジアム川崎 健康長寿フェスタ2025 supported by ひまわり調剤薬局株式会社」が開催される。午前10時から午後3時。入場無料(一部ブース有料)。雨天中止。

 子どもからシニアまでの健康増進を目的としたさまざまなブースが出展。便秘薬をテーマにした「知って安心!お薬の説明会」をはじめ、同クラブOBの森谷賢太郎さんと薬剤師が登壇するトークショーなどで、薬の知識を深められる。「ちびっ子薬剤師体験会」では、分包・一包化という薬剤師の仕事が体験できる。

 ほかにも、家族でゆったりとした時間を楽しめる「あおぞら図書館&ぬりえコーナー」や、体の筋肉量や体脂肪量などが細かくわかる「自分の体が丸わかり!からだ測定会」など、健康意識が高まるブースが目白押し。担当者は「健康と向き合い、充実した日々を過ごしましょう」と参加を呼び掛けている。詳細は同スタジアム【電話】044・276・9133。

画像はいずれも川崎フロンターレ

検証 福田市政㊤ 描く未来へ抜かりはないか 子育て支援・教育に注力

 10月12日告示、26日に投開票される川崎市長選挙。本紙は、3期目・4年間の福田市政を2週にわたり検証する。

   ◇ ◇ ◇

 川崎市が誕生し100年を迎えた昨年度、市内では節目を祝うさまざまなプロジェクトが行われた。その記念事業実行委員会の委員長となった福田紀彦市長の主導の下、参画した団体・企業は約400、「重ね合わせることで新たな価値や行動を」と呼び掛けて実施された事業や催しは700を超えた。行政独自では難しい取り組みを、民間の資金と人材を活用し実現させたのは、福田市長が掲げる「市民派市長」としての10年余りの実績を示した格好ともいえる。同時に開催した「全国都市緑化かわさきフェア」では秋春2期制を全国で初めて導入し、来場者は約162万人、市内への経済波及効果は88・7億円と推計。児童生徒による花苗づくりや、市民ボランティアの輪を広げ、来場者アンケートでは「花や自然への関心が高まった」という声が9割近くに上った。

 その実行委員会も当該年度を終え解散。「次の100年へのレガシー」を合言葉に、「100+1」のポスターを市内に掲出するが、重要なのは検証だ。官民連携の持続性、緑化フェアの会場となった等々力緑地の再編整備で注視される樹木伐採計画も含め、100周年が一過性で終わらぬように。十分な検証なくして前には進めない。

 また福田市長が力を入れてきた取り組みの一つが子育て支援だ。希望しても認可保育所などに入れない待機児童は5年連続でゼロを維持し、保育士や看護師ら専門職への相談も可能な支援拠点「保育・子育て総合支援センター」の設置を進め、提供を始めたかわさき子育てアプリも刷新の方針。中学3年までを対象としていた小児医療費の助成は、18歳を迎えた年度末までに拡充し、一部負担金撤廃を表明。一方、小児ぜん息患者医療費支給制度は廃止した。

 周辺自治体や時代の流れに合わせて政策を打ち出してきたが、市内の人口が年々増える一方で、子育て世代にあたる30〜40代は市外への「転出超過」が続き、転入との差は5年間で1万3千人超に。東京都の保育料無償化などから見える財政支援での自治体間競争では分が悪く、福田市長の「国が一律で整備すべき」との主張もかなわない中、支援の質やきめ細かさ、環境への配慮がどこまで届いているか。少子化対策にもつなげ、子育て世代から選ばれる都市になれるかが課題だ。

 教育面では、学習状況調査の対象拡大と、GIGA端末ソフトを連動させた支援策を導入。「誰一人取り残さない学び」を目指し、苦手科目の分析・克服など個別最適化させた指導を進め、今年4月に実施された小4・中3対象の全国学力・学習状況調査の正答率は、いずれの教科も全国平均を上回った。一方で、教員の不足は5年連続で100人を超えており、教育の質低下への懸念は続く。教員の働き方改革が進み、下校時間が早まる中、家庭環境や経済状況による学力格差の拡大も危惧される。増える不登校やヤングケアラーへの対応も、次の100年を描く上で不可欠だ。