藤沢版【1月31日(金)号】
地元産の食材を使った「手前味噌作り」キット(提供)

湘南たべまな便 食文化、親子で触れて なでしこブランド市内9件目

 県は1月21日、女性が開発に貢献した優れた商品を紹介する「神奈川なでしこブランド」の今年度の認定商品を発表した。藤沢市からはこどもおりょうりラボ(株)(辻堂西海岸)が手掛ける食育教材キット「湘南たべまな便」を選出。市内の事業者では9件目の認定となった。

 女性の活躍を促進しようと、県が2013年度から開始した同事業。10回目を迎えた今年度は100件の応募のうち、10件を認定した。内訳は食料品・飲料3件、生活・文化用品5件、サービス2件。認定商品は過去累計で172件となった。

 市内では過去にRe Sail Factry(立石)の「アップサイクルセイルバッグ」や(株)TOMOMI RESEARCH(遠藤)の「AI外観検査システムTR―100」などが認定を受けている。

「食育を遊びに」

 こどもおりょうりラボは、23年設立の企業。代表の入澤理世さん=人物風土記で紹介=が「子どもたちに豊かな『食の原体験』を」という思いから立ち上げた。今回の認定商品のほか、市内保育園での出張授業など食育に関する事業を展開している。

 「湘南たべまな便」は1年を通じ、旬の食材や行事食を自宅で手軽に体験できる親子向けの教材。湘南で生産された食材の調理キットのほか、生産者の思いや食材に関する知識、食文化のあらましを学べる絵本やワークシート、リーフレットが同梱。多忙のため家庭で食育を行うのが難しい未就学児の保護者などから注文があり、人気を博しているという。

 昨年は味噌、梅シロップ作り、キノコ狩り体験、元旦準備体験などの内容を販売。今年は新たに柏餅作りと、地元を舞台にした絵本を企画中だ。認定商品に込めた思いを入澤さんは「幼少期に親子間で食にまつわる思い出がある人は、大人になってからも料理に前向きでいられる。ぜひ食の原体験に役立ててもらえたら」と話した。

 同商品は現在、公式サイトで販売している。

今年度で事業終了

 なでしこブランドは今年度を最後に幕を下ろす。黒岩祐治知事は「時代が『女性ならでは』から『ジェンダー平等』に変わり、商品PRによる女性活躍の機運醸成の波及効果が少なくなってきた。ブランドが果たす役割は終えた」と説明した。認定式は2月1日(土)に横浜市のマークイズみなとみらいで開かれ、副知事から認定証が贈呈されるほか、認定商品の展示・一部販売がある。

実証実験の端末を操作する市職員

藤沢市 手話AI実証実験 動作を自動で文字へ

 藤沢市が21日から、AI(人工知能)を活用して手話の動作を文字にする双方向コミュニケーションシステムの実証実験を実施している。担当の市障がい者支援課では「手話が普及する一助になれば」と期待を寄せる。

 実証実験のシステムは、ソフトバンク株式会社が開発した「SureTalk(シュアトーク)」。専用の端末を使用し、手話の動作をカメラで読み取ると、瞬時に文字が表示される。マイクから取り込んだ音声も文字化され、ろう者と健常者の双方がリアルタイムで意思疎通できる。同システムの神奈川県内自治体での実証実験は初。

 市では、手話通訳者の派遣や手話講習会など手話を使いやすい環境づくりを進めており、今回の実証実験もこの一環。

 実施場所は市役所本庁舎2階の同課窓口。同課では常に1人は手話通訳のできる職員を配置する体制を取っており、1日に3人ほど手話での来庁相談があるという。手話通訳の職員は、同システムがあることで「来庁者の相談目的が分かるだけでも、窓口対応する職員の負担が軽減されるのでは」と話す。

 一方で、動作の読み込みや地名など課題も浮き彫りになってきた。

 手話では「藤沢」という単語だけでも複数の動作があり、実際に手話の動作を文字化すると「藤原」と表示されることもあった。また、「分ける」と「久しぶり」など、似た動きの判別も難易度が高い。「人それぞれ手話の動作に違いがあり、難読の地名などもデータの学習と蓄積が必要になる」という。同課では手話通訳者による検証を行い、今後は来庁者の対応のほか、手話講習会での活用も予定している。実証実験は9月30日まで。

 同システムは、2月19日(水)から24日(月)まで開催される「デジタル福祉フェア」での展示や体験も行われる。会場はロボテラス(辻堂神台2の2の1)で時間は午前10時から午後5時。

なでしこブランドに認定された食育体験キット「湘南たべまな便」の考案者 入澤 理世さん 辻堂在住 43歳

豊かな人生は食から

 ○…「こどもおりょうりラボ」の代表取締役を務め、子どもの食育に心血を注ぐ。今年のなでしこブランド認定を受けた「湘南たべまな便」は、前職の時から構想を練り、親子で楽しめる工夫を凝らした渾身の体験キットだ。「料理を前向きに捉える人が増えたら」と明るく語る。

 ○…働きづめだった20代。多忙を極め、3食をコンビニで済ますような生活が続くうちに体が限界を迎えてしまった。「あの頃していたのは食事ではなく単なる摂取」。立ち直るきっかけになったのは、幼い頃に親戚皆とおせち料理を作ったり、母親と菓子作りをしたりした記憶。湘南たべまな便にも生きる「旬をいただく、行事食を楽しむ、野菜を育てる」の3本柱を軸に食生活を見直すと徐々に体調が回復。「原体験があったからこそ食の大切さに気付けた」と振り返る。

 ○…食にまつわる仕事を求め、レシピサイト運営会社に転職。検索の上位に並ぶ「手抜き」「時短」の文字を見て、「皆料理が嫌いなんだ。親しんでもらうにはどうしたら」と悩んだ。そんな時、調理前の小麦粉を触るだけで楽しそうにはしゃぐ甥と姪の姿に「これだ」と思った。子どもが遊びながら学べる食育事業を実現するため、独立。わずか1年足らずで発売にまで漕ぎつけた。「食材も教材として捉えると歴史や栄養、気象など多くの分野に興味が広がる」と力を込める。

 ○…自身も2児の母。親子で料理を楽しんでいるが、「食育したいけれど時間も気力もないというお母さんは多い」。今後目指すのは全ての子どもに平等に食育を届けることだ。保育園など教育現場を中心に、農家や行政などと連携した取り組みを進めている。「食育を通して地域のつながりも広げていけたら」

藤沢湘南ロケ地マップ

ロケ地巡りはいかが? 18作品でマップ一新

 藤沢市内でロケが行われた映画やドラマの情報を集約した「藤沢湘南ロケ地マップ」が新しくなり、藤沢市観光センターなどで25日から配布されている。

 マップでは、湘南藤沢フィルム・コミッション(藤沢市観光協会)が撮影協力を行った18作品の情報を掲載。作品名や舞台となった場所などを紹介している。前回は2018年に作製されたが、近年の作品を加え一新した。同協会では「ロケ地巡りを楽しんでいただけたら」と話す。

 配布は日本語版3万部、英語版1万部で無くなり次第終了。配布場所は藤沢市観光センター、片瀬江の島観光案内所、市観光課(平日のみ)。

 詳しくは【電話】0466・55・4141。

藤沢豆まきinfo

 来る節分の日。旧暦の正月節に当たり、立春の前日に一年間の無病息災を願い、鬼や邪気を祓う。藤沢市内各地の寺社仏閣でも豆まきイベントが行われる。1年に1度、誰でも参加できる季節ならではの行事。近所の会場にぜひ足を運んでみては。

鵠沼伏見稲荷神社

 鵠沼伏見稲荷神社では、2月2日(日)に厄除祈願として、午後3時から豆まきを行う。年男・年女が豆をまくほか、ゲストとして、「ウルトラセブン」モロホシ・ダン役で知られる俳優の森次晃嗣さんが登場する。豆には景品付きのものもある。

 (問)鵠沼伏見稲神社【電話】0466・36・5803

白旗神社

 白旗神社では、2月2日(日)に子ども豆まき「ふじさわ子ども豆まき」が開催。午前11時からと午後3時から、受付は各回30分前から、対象は小学6年生までの児童。参加無料。

 境内に数体の鬼が登場し、豆を投げることができる。(問)ふじさわ子ども豆まき実行委員会【電話】0466・22・9210

妙福寺

 打戻の妙福寺では、2月2日(日)に「星祭り節分会」が開催される。午後5時から。参加無料。

 家内安全や健康維持の祈祷を、厳しい修行を経験した僧侶が執り行う。豆まきではお菓子もまかれ、子どもも楽しめるイベントとなっている。

 (問)妙福寺【電話】0466・48・4151

遊行寺

 開山700年を迎える時宗総本山・遊行寺では、2月2日(日)に「節分追儺式」と呼ばれる法要が執り行われる。

 豆まきは午後1時半と3時から。特設舞台から豆袋が投げられ、貼られているシールによって家電製品や商品券などの景品が当たる。

 (問)遊行寺【電話】0466・22・2063

生まれたばかりの「リトルベビー」(NPO法人pena提供)

「リトルベビー」を知る 湘南モールフィルで写真展

 辻堂新町の湘南モールフィル1階で「小さく生まれた赤ちゃんの写真展」が、きょう1月31日(金)から開催される。2月17日(月)まで。

 「リトルベビー」と呼ばれる、体重2500グラム未満で生まれた小さな赤ちゃんの写真展。神奈川県でリトルベビーとその家族への支援活動を行う、NPO法人penaの主催で、藤沢市では初の開催となる。

 会場では、出生直後から成長を辿る写真約30点や、小ささを体感する370グラムのウェイトベアのほか、小さなおむつ、一昨年から県や市町村で配布されている「かながわリトルベビーハンドブック」、「みんなの出産STORYBOOK」などを展示する。同団体は「生まれてくる10人に1人の身近な存在として、多くの人に知ってもらうことや、当事者同士でもつながるきっかけになれば」としている。

 入場無料。午前10時から午後9時(初日は午後1時から。最終日は正午まで)。問い合わせは同団体坂上さん【携帯電話】090・4738・0052。

廊下の壁に感謝のメッセージを書く参加者=上写真=、あいさつする熊切病院長

藤沢湘南台病院 50年間の歴史に感謝込め 「2号館ありがとう祭」に人・人・人

 半世紀にわたり地域医療の中核を担ってきた藤沢湘南台病院(高倉)の2号館が解体されるのを前に、同院は26日、「ありがとう祭」と銘打ったイベントを行った。

 1974(昭和49)年に竣工した2号館。老朽化に伴い、同院は建て替えを決断したが、これまでの歴史に感謝し、地域住民らとの絆を深めようと、鈴木紳祐副院長が中心となり解体前に交流イベントを企画した。

 当日は開催時間前にもかかわらず、2号館入口付近には参加者が長蛇の列をなしていた。これまでイベント準備に奔走した社会福祉士の小原由里さんは「こんなにたくさんの人が来てくれるなんて」と感極まっていた。

 冒頭、あいさつに立った熊切寛病院長は「2号館は長後のまちを見守り続けてきたランドマーク。皆さんと一緒に別れを告げると共に、今後も地域のために時代に沿った医療を展開していきたい」と述べた。その後、熊切病院長は片手に塗料を塗り、2号館の壁に描かれた木の幹に花に見立てた手形を押した。

 参加者もそれに続いたり、絵を描いたり、感謝のメッセージを書いたりしたほか、白衣に身を包んで写真撮影をするなどして楽しんでいた。家族連れで参加した女性(67歳・湘南台在住)は「先週まで入院していた。母や娘、孫も4世代でお世話になった2号館。どんな新しい病院になるのか見てみたい」と笑った。

 2号館にあった療養病棟と回復リハビリ病棟の機能は、敷地内に移設。解体は2月中旬から始まり、新館は3〜4年後に完成予定という。

クラフトビールを掲げて「乾杯」する主催者たち

市内4飲食店 観光振興の起爆剤へ 初開催「ブルワリーマラソン」

 近年、クラフトビール市場が拡大している。ビアバーの増加や大手メーカーの参入、居酒屋でも取り扱うようになった。市内も例外ではない。あす2月1日(土)から市内4つの飲食店を巡る企画「湘南を楽しもう!ブルワリーマラソン」が初開催。「モキチクラフトビア」(南藤沢)の高橋将太さんは「各店、個性的な味わいのクラフトビールを藤沢のカルチャーにしたい」と展望を描く。

スタンプ集めサービス券に

 イベントを主催するのは「モキチ」のほか、「ラープブリュワリー」(湘南台)、「アマテラス」(江の島)、「オーラブリューイング」(藤沢本町駅付近に6月開業予定)。「うちが開店した14年前に比べ、ブルワリー(醸造所)も増えた。ビールで藤沢を盛り上げられないか」と高橋さんは昨秋、以前から親交のあったラープで働く渡辺恭利さんに相談した。他店にも声を掛け、数回の打ち合わせを経て、イベント開催に至った。

 企画内容は、それぞれのブルワリーを巡り、クラフトビールまたは料理を注文すると、スタンプカードがもらえる。スタンプが3つたまれば、各店で利用できるサービス券になる仕組み。料理では、酒粕(モキチ)と自家製モッツアレラチーズ(ラープ)を掛け合わせたコラボ料理も用意している。

 開催期間は4月30日(水)まで。サービスは5月(オーラは6月)以降に受けられる。

お気に入りの一杯に出合う

 1994年の酒税法改正で最低製造量基準が緩和され、全国に多くのブルワリーが誕生した。クラフトビールは「小規模なブルワリーでつくられる多種多様なビール」と定義されるジャンルで、その土地の風土や文化、食材、水を生かしたものが多く、遠方からお目当てのブルワリーを訪れるファンも少なくない。

 モキチの一押しは、熊澤酒造(茅ヶ崎市)から毎日仕入れる「HAZY IPA」。グレープフルーツを思わせるジューシーかつ、ホップのほろ苦さを感じる。

 「偶然の産物」と前置きした上で「SHONANDAI LAGER」を差し出したのは、ラープの小浪直之社長。「醸造の時に麦芽の種類を間違えた。でも試飲してみると、通常のラガーよりも重めでしっかりした味になった」と商品化した。

 アマテラスは、湘南の白波のような泡立ちが特徴の「SURF BLUE」などのラインナップ。苦みと香りのバランスが良く、2杯、3杯と飲みたくなる味だ。

 会社員とブルワーの”二足のわらじ”を履くのが、オーラの大浦真琴代表。副業のため高額なタンクではなく、業務用冷蔵庫とビニール袋を使用して醸造する島根県の石見麦酒で4カ月、週末に修行を重ねた。まだ開店前だが、すでに12種類は醸造できるという。

 「自慢のビールで藤沢を盛り上げたい」。主催者たちは声をそろえた。

 問い合わせはラープの渡辺さん【電話】0466・53・9377。

午後3時の開店とともに、カウンターで常連客を待つ「富士見湯」3代目店主の白石重治さん(50)。タオルや洗面用具なども随時販売している。その前には「銭湯の定番」とも言われる大塚製薬(株)の自動販売機も稼働。存在感を放っている。なかには「ポカリ」がたくさん

湯けむりのすたるじぃ 〜記者が巡る銭湯ハシゴ旅〜

 なぜだろう。心惹かれるものがある。すっくとそびえ立つ古びた煙筒。北風に運ばれ、薪の燃える匂いが鼻腔に流れ込む。手繰り寄せられるように向かった先は銭湯。ここでは健康ランドやレジャー施設(その他の公衆浴場)ではなく、地域住民の日常生活で保健衛生上必要な場として利用される「ザ・銭湯」(一般公衆浴場)を指す。日本の古き良き文化だが、生活様式の変化やコロナ禍、燃料費高騰などのあおりを受け、その数は減少傾向にある。一方で、歴史と伝統を何とか次世代に残そうと奮闘する店主もいる。手足かじかむ1月下旬、市内2軒の銭湯に記者が潜入取材。そこにはポカポカとした交流があった。

「美肌と健康に」藤沢・富士見湯 

 湯気の向こうに見えるのは、壁一面を彩る巨大な西洋画タイル。「ケロリン」の文字が踊る桶で湯を一杯にすくって肩にかけると「嗚呼」。思わず声が漏れる。「超軟水の湯〜美肌と健康に〜」という説明書きによると、肌に優しく保温・保湿に優れているという。超音波風呂や気泡風呂、座風呂、寝風呂、水風呂、サウナもある。

 終戦した1945(昭和20)年に創業した「富士見湯」。藤沢駅北口徒歩7分に立地し、3代目の白石重治さん(50)が店主を務める。祖父の竹次郎さんが開店。重治さんは20歳から父・武志さんと共に働き、40歳の時に代を受け継いだ。

 開店当時は風呂のない家も珍しくなく、暖簾を掲げる前から客が列をなすなど、戦後の暮らしぶりを如実に表していた。「『サザエさん』のように3世代で暮らす家庭が多く、『順番を待っていられない』というおじいさんが来ていた」。重治さんは幼い頃の記憶をこう振り返る。

 現在は早い時間に高齢者、日が暮れるとサラリーマンが利用するそうだ。飲食店で働く人も多く、裸の付き合いで「今度食べに行くよ」と客同士のつながりもあるという。「常連さんの中には『あの人、きょう来てないな。家行ってみようかな』と他人を心配する人もいる。高齢者の独り暮らしが多い世の中で、銭湯は安否確認の意味合いもあるのかもしれない」と重治さんは語る。

 一日の仕事の流れは、起床後すぐに水を張り、湯を沸かし、タオルを畳むなど開店準備に取り掛かる。カウンターに座り、接客。閉店後は売上整理、そして掃除、掃除、掃除。タワシ一つでも清潔に洗い、乾かす。

 かなり重労働だが、「気持ちよかった」「ありがとう」という客の声が両足を支えている。

 最近では外国人客も訪れるという。「興味はあるが、恐る恐る入口からのぞく人も見かける。いつ来ても、いつ帰ってもいい。ここは自由に語り合う憩いの場。気軽に利用してもらえれば」

【店舗情報】藤沢1003の8/営業時間午後3時〜10時/木曜定休

「地下100mの水」亀井野・栄湯

 「窯の温度は70℃。風呂の温度は42℃。薪をくべるのは20分に一度」。燃え盛る炎の前で玉の汗を頬に伝わせるのは、北橋節男さん(65)。「地下100mの水」を沸かし、客からは「肌触りがいい」と評判の「栄湯湘南館」の店主だ。

 時は大正末期、祖父の栄太郎さんが自身の名から一字取り、藤沢駅前の線路沿いに「栄湯」を開店した。「当時は駅周辺に味のある銭湯が5〜6軒あった」と節男さん。その後、父の英信さんが一面畑だった六会日大前駅近くに、農家をターゲットとした「第二栄湯」を構えた。節男さんは社会科の高校教師だったが、英信さんが病気を患ったため、25歳で代替わりすることになった。

 広々とした休憩処には書籍がずらり。地域共生社会推進のために市が取り組む「地域の縁側」事業に参加し、毎週木曜に客が本を読んだり、話し合ったり、南こうせつなど懐かしのレコードを回したりする。学生街に位置していることもあり、70年代は「四畳半フォーク」に象徴される『神田川』(かぐや姫)の一節にある『横町の風呂屋』を目掛け、ここを訪れるカップルもいたという。

 ”ちゃぷ”。湯に浸かるひと時の癒しが記者を饒舌にし、隣にいた客と話すまで時間は掛からなかった。40代前半の男性は「いや〜、足を伸ばせるから疲れが取れるね」と口にする。老いも若きも男も女も初対面でも心が通う場だからこそ、銭湯は人の心を捉えて離さないのかもしれない。

 「別に儲けたい訳ではない。お客さんとコミュニケーションを図って、共に生活していきたいだけ」と節男さんは言う。帰り際に”ひょい”と渡された「ポカリ」。記者は老人のようにしわしわになった手でそれを受け取り、額に当てた後に一口含むと、優しい甘さに涙が出そうになった。ボトルを逆さにし、さまざまな思いと一緒に飲み干すと、カウンター越しに看板娘の花子さん(88)がにこりと笑った。

【店舗情報】亀井野1の10の13/営業時間午後3時〜10時/火曜定休

県内107種カードゲット

 県公衆浴場業生活衛生同業組合主催の企画「推し活さがしIN神奈川銭湯」が現在、県内の組合員店舗107カ所で開催されている。初の試み。3店舗を回りスタンプを押すと、各店の写真や情報がまとめられたオリジナルトレーディングカード2枚1組(最後にスタンプを押した銭湯1枚とランダムカード1枚)がもらえる。レアカードも用意されている。

 実施期間は6月まで。

大庭城跡シンポ 湘南の名城魅力再発見

 「第2回大庭城跡シンポジウム〜湘南の名城・魅力再発見〜」が2月15日(土)、湘南大庭市民センター小ホールで開かれる。午後2時から4時。湘南大庭地区郷土づくり推進会議の主催。

 ドローンを活用した動画上映「大庭城址の紅葉・土塁、空堀など」や藤沢市文化財保護委員で元駒寄小学校校長の川地啓文氏によるショートプレゼン講演「お城のあるまち・子どもたちの学びに活かす」、トークセッションが行われる。

 定員は先着80人。参加希望者は市HP内にある電子申請、または電話、窓口で直接申し込む。締め切りは10日(月)。問い合わせは同センター【電話】0466・87・1111。

市役所での表彰式

藤沢市 グループ歩数チャレンジ ミスターマックス2連覇

1日平均2万1千歩記録

 藤沢市の健康推進事業「ふじさわ歩くプロジェクト グループ歩数チャレンジ」の表彰式が1月24日、市役所で行われ、2部門で上位3位までのグループが鈴木恒夫市長から表彰された。

 同チャレンジは昨年11月、期間中1日当たりの平均歩数をチームで競うルールで行われ、事業所部門に38グループ、任意団体部門に11グループが参加した。

 事業所部門では、「ミスターマックス オペレーションチーム」が平均2万1155歩を記録、2年連続で優勝した。辻堂新町にある同店は店舗が広く、日常業務で歩く距離が長いという。表彰式に参加した宮田和之さんは「今年も多くのお客様にご来店いただき、2万歩を超えられた」と晴れやかに語った。

 任意団体部門では「健康ふじさわ」が平均歩数1万4392歩を記録し、2022年から3年連続の優勝を飾った。メンバーの一人は「地域を歩くことは健康だけでなく、地域の歴史、文化を見て知ることができる」と笑顔で話していた。

 鈴木市長は「藤沢市は健康寿命日本一を目指し、まずは歩くことから少し頑張っていただこうという中で、優秀な成績を収めていただいた」と受賞者を労っていた。

 その他の上位チームと平均歩数は次の通り。事業所部門▽2位・テクノステート1万7167歩▽3位・ヤキトリ酒場カイギュウチーム1万4044歩、任意団体部門▽2位・チームマエザキ1万4168歩▽3位・アンジェリカコアウォーキング部1万1294歩

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完成した図鑑を手にする同館職員

新江ノ島水族館 初の図鑑刊行 海岸の無脊椎動物を紹介

 新江ノ島水族館初の図鑑「えのすい海のずかん・江の島むせきつい海岸どうぶつ図鑑」が、来月10日(月)に発行される。

 前身の江の島水族館時代の1987年から定期的に江の島の海岸で見られる生き物の種類や密度の調査を続けてきた記録をもとに制作。背骨を持たない無脊椎動物であるカニやヒトデ、フジツボ、ゴカイなど水族館の人気者から一風変わった生き物まで253種を128ページにわたって紹介している。そのほか、動物の見方や生き物の見分け方、観察のポイント、調査開始時からの環境の変化などもわかりやすく解説されている。

 図鑑は縦180mm、横148mmのハンディサイズ。同館担当者は「ぜひこの図鑑を手に江の島の海岸へ出かけてみて」と呼び掛けている。

 図鑑の定価は1430円(税込)。2月10日から館内ショップで販売される。図鑑を購入した先着300人には、オリジナルデザインのしおりがプレゼントされる。

バレンタイン企画も

 また同館では来月28日(金)まで、バレンタインシーズンにちなんだ館内イベント「恋する”えのすい”」を開いている。

 今の時季にしか現れず、神秘的な姿から冬の妖精とも呼ばれるクリオネが期間限定で展示され、来場者の恋を応援するほか、企画展「えのすいの深海展」では深海生物の恋愛や繁殖にまつわる展示が行われる。

 営業時間は午前10時から午後5時。問い合わせは同館【電話】0466・29・9960。

江の島・鎌倉のカフェ 「#秘密のえのかま」 アプリでスタンプラリー

 江ノ島電鉄(株)と小田急電鉄(株)は現在、江の島や鎌倉エリアのカフェと連携したデジタルスタンプラリー「#秘密のえのかま」を実施している。3月23日(日)まで。

 参加者はアプリ「SpotTour」をダウンロードし、スタンプを提示すると、各店舗が考案した今企画限定の「秘密のメニュー」を注文できる。

 全部獲得した参加者には、湘南藤沢スーベニールズドリップパックなどの賞品がプレゼントされる。参加賞は各店舗先着50人に、店舗ロゴの描かれた缶バッジが贈呈される。

 参加店舗は、藤沢駅、鵠沼海岸駅、腰越駅、七里ヶ浜駅、長谷駅、和田塚駅、鎌倉駅の徒歩圏内にある9つのカフェ。

 店名などの詳細は特設サイトか、小田急お客さまセンター【電話】044・299・8200まで。

フードトラック60台集結 辻堂で2月1日(土)から

 辻堂海浜公園であす2月1日(土)と2日(日)、食をテーマにした体験イベント「SHONAN FOODTRUCK FESTIVAL 2025」が開催される。午前10時から午後3時。雨天中止。

 会場では、世界各国の料理が楽しめるフードトラック60台が集まるほか、湘南地域の農家によるマルシェや、フードバンクコーナー、リユース品のフリーマーケットが開かれる。地元ダンスチームやアーティストのライブパフォーマンスもある。子ども向けコーナーでは食育ワークショップが行われる。

 イベント収益の一部はフードバンクなどに寄付される予定。

節分で地域に絆 長後でスタンプラリー

 長後駅周辺で2月2日(日)、「節分仮装スタンプラリー」が開催される。

 大人から子どもまで、多世代が交流し地域を知ってもらおうと、長後ファイト実行委員会が主催。参加者は鬼の仮装(お面やツノ等)をしてお菓子をもらいながら店を巡る。参加無料(募金受付あり)。時間は午前11時から午後3時30分(受付は2時まで)。当日は、わだ薬局前(高倉641の6)で受付し、対象店舗のマップを配布。同日、長後食堂では「こども食堂」も開かれる。イベントの問い合わせは高見さん【携帯電話】080・3428・8792。

食器棚を寄贈した藤沢南ロータリークラブと、永寿会のメンバー

藤沢南RC 子ども食堂に食器棚寄贈

 藤沢南ロータリークラブ(入澤淑江会長)は24日、「にっこりかりん 子ども食堂」(城南1の22の7)に食器棚を贈呈した。食堂内で寄贈式が行われ、入澤会長は「楽しく美味しいお食事ができるよう活用していただけたら」と期待を込めた。

 同子ども食堂は、社会福祉法人永寿会が地域貢献活動の一環として2022年ごろから運営。月に一度、同法人の「特別養護老人ホームかりん」の食堂設備を使って地域の子どもたちや一人暮らしの高齢者にあたたかい食事を提供している。

 寄贈を受け、子ども食堂担当者で同法人総括事務長の川島令子さんは、「子ども用食器の収納場所が足りず、困っていたので大変ありがたい。これを機に開催や利用者を増やしていけたら」と感謝を表した。

 また寄贈式では同クラブが先月寄贈したサツマイモで作られた石焼き芋も振舞われ、同席した利用者とともに楽しんだ。

カットする本間慎弥さん(右)と、妹の三枝木慶子さん

藤沢LC 障害者に「散髪」贈る 地元ヘアサロンが協力

 奉仕団体の藤沢ライオンズクラブ(立石直子会長)によるチャリティカットが21日、石川の社会福祉施設「湘南マロニエ」で行われた。

 この活動は辻堂神台でヘアサロン「HONMA」を経営する本間慎弥さんが、2023年に急逝した父・義和さんの遺志を継ぎ協力。コロナ禍で中断はあったものの、30年を超える活動となっている。

 当日は慎弥さんのほか、妹の三枝木慶子さんもアシスタントにつき、施設を利用する障害者6人をカット。安心感を与えるように優しく声をかけながら、一人一人丁寧に髪を整えていった。

 カットを心待ちにしていたという保護者の一人は「リラックスさせてもらいながら、本当に素敵にカットしていただいた。本人も可愛いといわれてにこにこしていた」と嬉しそうに話した。

 所長の金子敦也さんは「サロンに行きにくいという方も少なくない。親子2代30年を超える取り組みに本当に感謝している」とコメント。同LCの立石会長は「本間さんのご協力は大変ありがたい。年に3、4回の活動だが、ニーズはとても高く、希望者が多い時は抽選に。今後はより多くの人たちにお応えできるよう場を整えていきたい」と意欲を示した。

目を引く大正時代の絵はがき

100年前の展覧会 絵はがきで きょうから湘南くじら館

 「100年前の展覧会 絵はがきで辿る近代〜黎明の時」と銘打った展覧会がきょう31日から、「Art&Cafe 湘南くじら館」(片瀬目白山1の3)で開かれる。

 明治維新後の近代化と社会の激変により、大きく揺れ動いた美術界。日本絵画史上最大の絵師集団「狩野派」などは急速に勢力を失い、政府は西洋式絵画を導入し、欧州諸国に認められる芸術の体裁を整えようとした。国は1907(明治40)年、公募展「第一回文部省美術展覧会」(文展)を開催。その後、紆余曲折を経て、1919(大正8)年に「第一回帝国美術院展覧会」(帝展)に引き継がれる。

 同展では明治末期に売り出された当時の美術界一覧表と、大正時代に文展・帝展で販売された横山大観など300枚以上の絵はがきを展示する。

 会期は2月23日(日)まで。開館は金・土・日曜の正午から午後5時。

 問い合わせは同館の小山田さん【電話】0466・21・9262。

シリアの理解深めて 2月16日、善行雑学大学

 善行公民館(善行市民センター)3階多目的ホールで2月16日(日)、善行雑学大学の第309回講座が行われる。

 「シリア〜その歴史、文化、社会生活、伝統について」と題し、慶應義塾大学非常勤講師のラーウィヤ・ジャームースさんが登壇。中東に位置する歴史深いアラブの国、シリア。ヨーロッパと南アジアを結ぶ橋の役割を果たし、異なる民族や宗教が共存している。講座では宗教や言語、食文化、貿易、産業のほか、シルクロードや古代の移住といった要因で文化的多様性が図られ、国の経済的、社会的、政治的な発展に大きく影響したことなどが語られる。

 時間は午後2時から4時(受付開始1時30分)。定員は100人。参加費は500円。参加希望者は、善行雑学大学HP、または【メール】kataoka9@gmail.comから申し込む。

 問い合わせは【携帯電話】090・7251・3232(片岡さん)。

流鏑馬を知ろう 交流館で教養講座

 片瀬海岸東浜で3月8日(土)に開催される「江の島流鏑馬」をもっと楽しんでもらおうと2月8日(土)、ふじさわ宿交流館ホールで「江の島流鏑馬教養講座」が開催される。時間は午後2時から3時30分。参加費無料。

 当日は、講師に一般社団法人日本古式弓馬術協会の豊田重之代表理事を招き、実際に流鏑馬を行う武田流の歴史をはじめ、馬具や木馬などの諸道具、装束、馬術についての知識を学ぶ。定員は40人。参加希望者は、ふじさわ宿交流館に電話で直接申し込む。詳しくは同館【電話】0466・55・2255。

総菜パンの製造を体験する参加者

パン職人の技を体験 藤技連インターンシップ

 長後製パン(齋藤伸一社長)で25日、市と市技能職団体連絡協議会が連携して実施する「職人版インターンシップ」が行われた。これは技能職を希望する若年者に、優秀な技能者を紹介し、実際の仕事を体験してもらう企画で、若者の就労支援と次世代の技能者の育成につなげる狙いがある。毎回市内の任意の事業所が受け入れを担当しており、長後製パンで同事業が行われるのは初めて。今回は18日、25日、来月1日の3日間で実施される。

 この日参加者は午前6時から休憩をはさんで午後3時まで、職人の技を間近で見て、パンの成形方法などを学んだほか、「てりたまブレッド」など総菜パンの製造を体験した。

 参加者は「なかなか大きな企業や職人のノウハウを学べる機会はないのでありがたいし、助かる」と感想を話した。

 同社の齋藤社長は「職人の技術は奥深いもの。体験を一つのきっかけとして捉えてもらえたら」と語った。

鏡開きを行う代表者ら

市観光協会新年会 入込客数増へ更なる飛躍誓う

 (公社)藤沢市観光協会の新年会が21日、湘南鎌倉クリスタルホテルで開かれた。会員や来賓ら約150人が出席。今後の観光業の繁栄を目指し互いに交流を深めた。

 冒頭、あいさつに立った湯浅裕一会長は「藤沢七福神めぐり」や武者行列・流鏑馬が行われる「湘南江の島春まつり」など同協会が手掛ける年間行事を紹介。また、女性センター跡地の利活用事業者募集の窓口が県から市に変更されたことについて「観光交流機能を備え、津波避難場所としても利用できるように、良い事業者に決まれば」と期待を込めた。さらに市内年間観光客数がおととし1960万人に達したことに触れた上で、「昨年は念願の2千万人を達成できたのではないか。今年は巳年。江島神社の守り神である弁天さまに見守られ、観光業がますます発展していくことを願う」と述べた。

 その後、各代表者らが「よいしょ」の掛け声で鏡開きを行ったほか、湘南江の島海の女王・王子の紹介なども行われた。

小さな踏切のある片瀬海岸(上)と片瀬

小さな道も安全に 幅1メートルの踏切

 「狭!」と思わず声に出してしまいそうなほど小さい踏切がある。江ノ電江ノ島駅から藤沢方面に進むと2つ目に現れる踏切は、歩行者が1人渡るのがやっとというサイズ感。横には「車両通行止め(自転車を除く)」の標識が立っている。

 江ノ電の担当者も「体感でもかなり狭く感じる」と話すこの踏切は幅員1メートル。以前は警報機のみが設置されていたが、安全上の理由から2005年に遮断機が設置され、現在の形になったという。

 市内の路線上には同じサイズの踏切が、もう1カ所設置されている。こちらは、江ノ島駅から藤沢方面に進み4つ目に位置しており、83年に警報機と遮断機が取り付けられた。

 なんともコンパクトな踏切だが、電車接近時には大きな踏切と変わらない警報音を鳴らし、通行者の安全を守っている。

関係者らによるセレモニーの様子

湘南モノレール 「アクエリオン号」が発車 コラボ企画3月末まで

 湘南モノレールがTVアニメ『想星のアクエリオンMyth of Emotions』とのコラボ企画として25日、ラッピング車両「想星のアクエリオン号」の運行を開始した。同モノレール「湘南江の島駅」では出発式が行われ、原作の河森正治氏や監督の糸曽賢志氏、鈴木恒夫市長らが発車を祝った。

 出発式には多くのファンがかけつけ、式典では鈴木市長が「観光をしっかりと盛り上げていけるよう、頑張りたい」とあいさつ。続いて河森氏が幼い頃からの藤沢市とのエピソードなどを紹介し、「アクエリオンの車両が走ることは、とてもうれしい」と喜びを語った。また、「作品で登場させるために改めて地形や景色を見て、ロケーションの豊かさを再確認した」と藤沢の魅力を話した。

 その後は、ホームで河森氏や糸曽氏、オープニングテーマを唄うAKINO氏、福山芳樹氏ら参加者が発車合図を行い、アクエリオン号の出発を見守った。

 アクエリオン号の運行は3月31日(月)まで。車両は5605編成湘南グリーンラインで、オリジナルのヘッドマークやラッピング広告が施されている(期間中、整備点検等で運行しない場合あり)。また、同モノレール全8駅では、コラボ駅名版も掲出されている。

 同作品は、2005年から続くロボットアニメ「アクエリオン」シリーズの第4期目。湘南モノレール沿線である江の島が舞台となっている。今月9日から放送が始まり、TOKYO MX(毎週木曜日午前0時30分〜)、tvk(毎週金曜日午前0時〜)、BS朝日(毎週金曜午後11時30分〜)などのほか、各オンデマンド、SVODで配信されている。

過去のひなまつり会場(同実行委提供)

藤沢のひなまつり2025 古今の人形並ぶ 旧桔梗屋などで2月末から

 「あかりをつけましょぼんぼりに」――。誰しも一度は聴いたことがある唱歌『うれしいひなまつり』。だが、桃の節句に「ぼんぼり」に触れる機会は少なくなっているのではないか。

 藤沢駅北口の旧・蔵まえギャラリーなどで2007年から行われていたひな祭りが、今年は「蔵まえ34」を含めた4つの施設で行われる。

 江戸時代から飾られていた「享保雛」や大正時代のひな人形、昭和50年代頃のものまで、各地から寄贈され、七段飾りや、箱の中に納められた「団地雛」と呼ばれる人形が各会場に並べられる。「享保雛は顔の長さが印象的。時代ごとに異なる特徴を見ていくのも楽しい」と、藤沢のひなまつり実行委員会の宮原かほるさんは解説する。

 実行委員会はひな祭りの存続を掲げ、代表の戸井田道子さんのもと立ち上がった。「旧蔵まえギャラリーのような展示場所を確保しなければ、今年は開催できないと思った」と同実行委で蔵まえ34(藤沢34)運営メンバーの佐野晴美さんは話す。

 そこで実行委では、旧東海道藤沢宿の国登録有形文化財である旧桔梗屋(藤沢1の1の9)での開催を企画した。「事業の内容」や「相乗効果」などを記載した事業計画書を作成し申請。開催に漕ぎつけた。

 ひな人形は「大好き」と語る同実行委メンバー。「寄贈してくれた人の思いが伝わり、畳の間できれいに飾りたい」との思いから、正しい飾り方を専門の学芸員から学んだという。

 旧桔梗屋では2月28日(金)から、庭や奥座敷を含め展示会場となり、布細工や、3月1日(土)と2日(日)には和紙折り紙の吊るしびななども飾られる。蔵まえ34では3月3日(月)まで。午前11時から午後4時まで展示。遊二自治会館(藤沢667)では午前10時から午後4時まで。ふじさわ宿交流館(西富1の3の3)では2月20日(木)からの展示となる。各会場を巡るツアーは3月1日(土)に開催。午前10時からと午後2時半から、各回20人。参加費千円。申込は2月18日(火)から、ふじさわ宿交流館【電話】0466・55・2255まで。

 また、同実行委では現在飾りつけなどを手伝うボランティアを募集中。問い合わせは佐野さん【携帯電話】090・6035・9552まで。

常立寺境内で開花したしだれ梅

蕾開き、春ふわり 片瀬・常立寺で「梅まつり」

 龍口山常立寺(片瀬3の14の3)で、今年も梅が開花した。1月28日時点では山門前の紅梅のほか、境内では白梅のしだれ梅も開花しており、今後は青軸梅なども開花するという。

 同寺では、2月15日(土)に「梅まつり」を開催する。午前10時から午後3時。境内にはお茶席やこども縁日も出店。「その頃には一番の見頃となるのでは」と服部功志住職は話す。

 あわせて同日には「日蓮聖人ご降誕慶讃法要」も開催。2月16日に誕生し、「龍ノ口法難」などで同地域とゆかりの深い日蓮聖人を信徒による万灯供養で弔う。

 ライトアップはあす2月1日(土)から2月24日(月)まで。日没から午後9時まで梅を楽しむことができる。「ぜひ春の訪れを感じていただければ」と服部住職は呼び掛ける。

巨大な壁一面に思い思いの漢字を書く3年生=23日撮影

藤沢翔陵高校3年生 唯一無二の卒業記念に 守谷さん監修、壁面アート制作

 藤沢翔陵高校(善行)の3年生226人が、正面玄関の壁に一風変わったアートを描いている。卒業記念制作の一環で、藍と左官を融合させた「藍左師」として活動する守谷玲太さんが監修。生徒の心に残る唯一無二の作品が誕生しそうだ。

 「学校は地域のおかげで成り立っている。閉鎖的な雰囲気を払拭し、誰もがふらっと立ち寄れる場になれば」と根岸和也教諭が昨年7月、親交のあった守谷さんに協力を依頼。同校1期生の守谷さんも「とても感慨深い」と快く承諾した。

 高台に位置する同校はかつて飛行場だったことから守谷さんはイメージを膨らませ、「卒業生が綿毛のように自由に飛んでいってほしい」という思いを込め、タンポポを描くことにした。

 今月5日から守谷さんが天然藍を使用したセメントで下地を作り、23日には生徒が「学」「楽」「心」など3年間を表す漢字一字を書いた。「岳」と力強く筆を走らせた小島悠暉さんは山岳部の部長で「人生は山。登ったり、下ったりする人生を楽しんでいきたい」と笑みをこぼした。漢字を綿毛に見立てており、下にある字は小さく、上にあるほど大きな字になった。「指示した訳ではない。行動心理ですかね」と守谷さんは笑った。

 今後、守谷さんが仕上げ作業に取り掛かり、2月5日(水)に完成予定。保護者や近隣に住む住民なども見られるという。

ボトル印刷の一例

防災ボトルいかが? いざに役立つ5点セット

 昨年元日に発生した能登半島地震では、災害時に向けた備えの大切さが改めて認識された。

 タウンニュース社では現在、”いざ”という時に役立つアイテムがセットになった「防災ボトル」に、藤沢市公式マスコットキャラクター「ふじキュン♡」のイラストと団体名などを印刷したオリジナル商品を取り扱っている。

 水などを入れられるフタ付きボトルに入っているのは【1】救助要請を知らせる笛【2】LEDライト【3】ペットボトルキャップ1杯の水で元のサイズに戻る圧縮タオル【4】保温大判アルミシート【5】ジッパーバッグの計5点。ボトルは500ミリリットルのスリムサイズで、飲用にも使える。

 取り扱いは300本からで、価格は1本あたり880円(税込)。また、防災トイレや安否確認タオルなど、あらゆる防災グッズの中から選べる総合カタログを無料で届けるサービスも実施している。

 問い合わせは、営業推進部【電話】045・913・4141(平日午前9時から午後6時)。

2市1町の花ずらり 長久保公園で展覧会

 藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町の花が集う「湘南花の展覧会」が2月8日(土)と9日(日)、辻堂太平台の長久保公園で開かれる。色とりどりの花を楽しめるほか、ゆるキャラやキッチンカーもイベントを盛り上げる。

 8日は展覧会とクイズラリーが午前10時から午後4時まで。気に入った花に投票する来場者投票(先着200人)は3時まで、投票結果は翌日の販売会場で発表される。

 中学生以下を含む親子対象の「親子で寄せ植え体験」は午前10時30分からと11時30分から行われ、各回受付は10時15分から、先着10組、参加無料。「苗物寄せ植え体験」は午後1時30分からで、受付は1時15分から、先着20組、参加費千円。

 9日は出品物販売会が午前11時から午後1時まで、売り切れ次第終了。

 問い合わせは藤沢市農業水産課【電話】0466・50・3532。

節分で地域に絆 長後でスタンプラリー

 長後駅周辺で2月2日(日)、「節分仮装スタンプラリー」が開催される。

 大人から子どもまで、多世代が交流し地域を知ってもらおうと、長後ファイト実行委員会が主催。参加者は鬼の仮装(お面やツノ等)をしてお菓子をもらいながら店を巡る。 参加無料(募金受付あり)。時間は午前11時から午後3時30分(受付は2時まで)。当日は、わだ薬局前(高倉641の6)で受付し、対象店舗のマップを配布。同日、長後食堂では「こども食堂」も開かれる。イベントの問い合わせは高見さん080・3428・8792。