横須賀・三浦版【5月2日(金)号】
満昌寺の宝物殿に安置されている木造 三浦義明坐像

満昌寺 三浦義明坐像 京都に搬出 180年ぶりの改修へ

 横須賀市大矢部にある臨済宗建長寺派の名刹「満昌寺」の国指定重要文化財「木造 三浦義明坐像」が修復されることになった。約180年ぶりとなり、坐像と台座それぞれの経年劣化している継ぎ目や塗装などを約10カ月かけて作業を行う。終了は2026年3月頃としている。文化庁管轄のもと、古文化財の保存修理を専門とする(公財)美術院が京都府で作業を行い、100〜200年先まで維持保存できる状態を目指すとしている。

 同寺は三浦大介義明を開基として源頼朝が1194年に建立。坐像は、三浦義明をかたどった等身大の武人俗体彫刻で鎌倉時代後期の造立と考えられている。像高81・4cm、重さは約70kgある。寄木造りで玉眼入り、頭頂には冠をのせ、右手に笏(しゃく)を持ち、腰には太刀を携えている。1993年に国指定重要文化財に指定された。

 同寺は創建以降、記録に残っているだけで坐像が安置されている宝物殿は4度ほど火災に見舞われたが、そのたびに難を逃れ、700年超、保存されている。

三浦半島の歴史を伝承

 平安時代の1092年、衣笠で生を受けた三浦義明。幼少の頃より弓馬に秀でていたと言われている。15歳で元服。自身の兄弟や息子らを三浦半島全域にわたって配置して領地を治めた。頼朝の旗揚げにいち早く呼応するなど鎌倉幕府の成立にも大きな役割を果たした。

 永井宗寛第31世住職は「坐像は寺の宝物(ほうもつ)である以上に、市や三浦半島の歴史を伝える重要なもの。この機会に三浦義明の存在をもっと知ってもらえたら」と話している。

10ヵ月かけ修復

 今回は、継ぎ目に生じた亀裂や接合のために使われている鉄くぎなどの腐食、虫蝕孔などを修復する。外見の色や形などは変えず、あくまで長期保存できる体躯に調整していくという。

 5月28日(水)に同寺で解体後に搬出、翌朝に美術院がある京都府までトラックで運送し、約10カ月かけて作業を行う。全体で約600万円の費用が掛かり、半分を国が負担し、残りを県・市・同寺で分担する。

 今回、改修に至った経緯は昨年、坐像を安置している宝物殿の扉の修繕を行った際、美術院の担当者に「坐像も修復が必要」と打診されたことがきっかけだった。これを機に昨年4月、同院の技師が坐像の頭部と体部分などを解体し、修復の範囲や劣化の程度を図る内部調査を実施。費用を割り出した。

胎内から江戸の木札

 坐像の胎内には文字が書かれた木札が入っており、三浦一族の子孫が有志でこれを解読すると、前回行った修復作業が江戸時代の1846年(弘化3年)であることが分かったという。

 永井住職は「2030年には大介公が没してから850年の節目になる。記念事業も予定しており、しっかりと直してから、これを迎えたい」と話している。

 坐像は5月27日(火)まで公開している(要予約・拝観料300円)。詳細は同寺【電話】046・836・2317または公式HPを確認。

横須賀市 「痩せすぎ注意」動画で啓発 県福大生と共同制作

 厚生労働省の調査で若い女性の5人に1人が「痩せすぎ」の状態にあることが指摘される中、横須賀市は改善を呼び掛ける啓発動画を制作した。当事者世代へ効果的に届けるために、神奈川県立保健福祉大学の生徒に企画段階から参加してもらいストーリーを編んだ。4月中旬から市のホームページや公式LINEほかで配信している。

若い女性ターゲットに

 「若い女性の痩せすぎは、将来の健康リスクを高めるだけでなく、後年の不妊症に繋がる原因にもなる」。こう指摘するのは、市民生局健康部健康増進課の川田貴久江課長。本人だけの問題ではなく、胎児に十分な栄養が届かないことで、次世代の子どもの生活習慣病にかかる可能が高まるという。

 プレコンセプションケアと呼ばれる「妊娠前の健康管理」を重要視する市は、こうした状況を重く受け止めて動画を用いた独自の啓発に乗り出すことにした。数年前からパンフレットを制作したり、講演会を開いたりして発信を強めてきたが、当事者世代に伝えることの難しさを感じていた。

 昨年度、同大の栄養学科の学生らにヒアリングを実施。「『痩せたい』が口癖になっている人が多い」「周囲から『細い』『顔が小さい』と見られたい願望が強い」「朝食を抜く人が多く、食事の優先度は決して高くない」といった声を得た。若者の情報収集手段はSNS中心で、ショート動画を好んで視聴していることも掴んだ。これらを踏まえて動画制作をスタート。市の若手職員と学生らとでチームを組み、「新・デレラ大作戦」と題した4本から成る連続作品を完成させた。

 ストーリーはこうだ。

 「痩身のシンデレラがダイエットに励む。だが数十年後に待っていたのは、理想としていた未来とはかけ離れた現実。魔法使いとともに過去に戻ったシンデレラは、未来を変えるために生活を見直すことに…」

 1話、1分以内。否定や比較を嫌う若者の傾向を踏まえて、前向きな言葉で栄養バランスの良い食事を摂取することや生活習慣の見直し、定期的な健康チェックを呼び掛ける。同課では、デジタルサイネージへの掲出やイベントを通じて視聴を促していく方針。「中高生にも届けたい」と話している。

(一社)神奈川県建築士事務所協会横須賀支部長に就任した 小山 美智恵さん 横須賀市三春町在住 53歳

意志が道を切り開く

 ○…横須賀の景観や住まいづくりを専門家の立場からサポートする法定団体、建築士事務所協会横須賀支部の13代目支部長に就いた。今年度掲げる指針は「伝統と革新の融合」。前任者の築き上げてきたものを大切にしながらも、時代に合わせた変化を促していく。一般消費者と行政との煩雑な手続きの見直しにも力を入れる。「もっと効率的に、そして『横須賀にいて良かった』と思えるような組織づくりを」

 ○…出身は北海道。幼少期、忙しく家事に勤しむ母を見て感じた「室内の導線を改良すればもっと動きやすいのに」という疑問が建築士を志すきっかけに。建築系の大学を卒業したのち、ゼネコンへ入社したが、「女性」という理由で一般職採用となり、ほかの社員と仕事内容は変わらないのに待遇は下げられた。「資格が無いと話にならない」。実務をしながら猛勉強し、一発で一級建築士に合格。理不尽に臆さない気概で困難を乗り越え、道を切り拓いてきた。

 ○…社会奉仕団体ロータリークラブや協会での活動、自身の事務所の仕事など忙殺される日々を送る。数年前には、市内にある実業家の故・万代順四郎氏の邸宅だった「万代会館」の保存活動にも参加。建物とともに「歴史的な人物の記憶を未来に伝え、市の誇りを育みたかった」

 ○…大学受験や就職、子育てのタイミングで横須賀に住む親戚の家に身を寄せていたこともあり、なじみがあった。「バランスの取れた利便性と自然の豊かさ。横須賀というまちが、本当に好きなんです」。建築のプロとして、そして横須賀で暮らす一人として、安全で快適な住まいを提供することはもちろん、地域の景観形成や防災対策にも積極的に関わっていく。

三浦ロータリークラブ 鈴木桂治氏講演会 「柔道と私」テーマに

 奉仕団体の三浦ロータリークラブは5月31日(土)、2004年アテネ五輪金メダリストで24年パリ五輪では全日本男子柔道の監督を務めた柔道家の鈴木桂治氏=写真=を迎えて講演会を開く。

 演題は「柔道と私」。金メダル獲得の偉業にまつわる秘話や監督として臨んだパリ五輪での経験、3年後に控えるロス五輪に向けた展望などを語る。

 会場は三浦市三崎のうらり2階市民ホール。時間は午後2時から4時。先着300人で誰でも参加できる。

横須賀市文化会館60周年記念企画 あの日、あの時 思い出募集

 横須賀の文化創造発信拠点として1965年5月に誕生した横須賀市文化会館(深田台50)=現在と過去のコラージュ写真=が、5月に開館60周年を迎える。これを記念した周年事業を展開している同館では、この場所を利用した、または訪れた過去の記憶やエピソードなどを募集している。9月末まで。

 「BUNKA思い出ギャラリー」と題した企画。結婚式を挙げた経験やアーティストのコンサートの熱狂、舞台発表でステージに立った時の緊張などを時代の空気とともに文章にして伝える。これからの会館運営に期待したいことなど未来志向の提言も歓迎している。

 寄せられた内容は、6月から館内の壁面スペースに掲出される。12月には集大成の展示を行う予定。投稿者先着200人に同館オリジナルクリアファイルを進呈する。

海の事故防止啓発 FMブルー湘南で放送

 コミュニティラジオ放送局のFMブルー湘南(78・5MHz)では、マリンレジャーの本格シーズン到来に合わせて、釣りや磯遊び、海水浴などの海の安全と事故防止を呼び掛ける「海の安全インフォメーション」の放送を開始した。2016年から続く番組。横須賀海上保安部交通課の職員が出演して啓発を行う。

 放送は平日午前9時から5分間で9月末まで。パソコンやスマートフォンからも視聴できる。

 同局のホームページ(https://yokosukafm.com/)に詳細情報。

砂浜を疾走し矢を射る笠懸(写真は過去)

三浦一族偲ぶ「道寸まつり」 人馬一体の笠懸を披露

 三浦一族の興亡を偲ぶ「道寸祭り」が5月18日(日)、荒井浜海岸(三浦市油壺)で開かれる。今年で48回目を数える恒例行事。平安時代末期から鎌倉、室町と隆盛を見せた「流鏑馬」や「犬追物」と並ぶ日本三大古弓馬術の一つ「笠懸」が披露される。

 源頼朝が三崎を訪れた際、三浦義澄や和田義盛などが競い合うように、砂浜を駆け抜ける馬上から的を狙い矢を射ったとされ、三浦一族の”お家芸”として長く伝えられてきた笠懸。行事としては第1回開催の1979年から行われている。時代は違うが、道寸は戦国初期の武将で北条早雲との壮絶な攻防の末に落城、油壺湾に朽ち落ちた悲話がある。

 観覧無料。三浦一族の供養祭は午前11時から、同45分から笠懸が行われる。また、会場では三浦一族ゆかりの「武将印」も販売される(1枚700円)。

 問い合わせは(一社)三浦市観光協会【電話】046・888・0588。

撮影を楽しむ来園者(4月25日撮影)

ヴェルニー公園 軍港彩る「春バラ」 1千300株が開花、5月中旬頃から見頃

 海上自衛隊や米海軍の艦船などが停泊する横須賀港を臨むヴェルニー公園(横須賀市汐入町)では、春バラの開花が進んでいる。

 フランス庭園様式の同園には約130種1300株のバラが植えられ、毎年春と秋に開花。遊歩道付近に植栽された白・赤・ピンク色などの鮮やかなバラが咲き始め、来園者の目を楽しませている。

 同園では、「青色」「一重咲き」などのテーマに沿った花壇もある。

 同園によると春バラは5月中旬から下旬ごろに見頃となる見通しだという。入園無料。関連イベントなど詳細は同園HPから確認する。

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ウィング久里浜 見て触れる水族館 5月3日〜5日

 京急久里浜駅直結の「ウィング久里浜」(横須賀市久里浜4の4の10)でゴールデンウィークの特別企画として、5月3日(土)から期間限定で「ふれあい水族館」が登場する。5日(月)までの3日間、4階イベントプラザで開催される。

 観覧無料でカクレクマノミやナンヨウハギなどの海水魚を大型水槽で展示するほか、サメやカブトガニに触る体験ができるタッチプールも登場する。タッチプールはウィング久里浜で1会計500円以上のレシート(当日に限る)を提示するか、500円を支払うと参加できる。

 各日午前10時から午後5時。詳細は同店【電話】046・834・8958または公式HPを確認する。

店内に展示された琉球紅型のサンプルと生武さん

横須賀の「琉球紅型(びんがた)」知って 戦中の避難民作成の見本品展示

 横須賀市若松町の輸入品や古着の販売店「ディッシャーズ」で沖縄の伝統染物「琉球紅型(びんがた)」の展覧会が行われている。同店代表の生武浩一さん(57)によると、戦時中に沖縄から横須賀に避難してきた技術者が仕立て屋などで従事していた際に作られたものだという。今回の展示では、和紙にあしらわれた色鮮やかな琉球紅型42枚を額装している。

 琉球紅型は13世紀頃を起源としており、紅型の「びん」は色彩、「がた」は模様を意味するとされる。かつての琉球王朝では王族や貴族の衣装として、また琉球の文化や技術の高さを諸外国に示す交易品として発展してきた。鮮やかな色彩と大胆な配色が特徴で、1984年には国の伝統工芸品指定を受けている。

「お直し屋」から発掘

 ことの発端は、かつて横須賀中央で衣服や着物の「お直し屋」を営んでいた建物の解体だった。生武さんはリサイクル業者として立ち合ったところ、和紙に版画された紅型を数十枚発見。用途や価値などを測りかねていたが、近隣の老舗の呉服屋などに聞き込みしたところ、琉球紅型であることが発覚。戦時中に帝国海軍や陸軍のつてを頼りに横須賀に逃れてきた技術者が、着物関係の仕立て屋などで客にデザインを提示した際の見本であったことが分かった。

 し烈さを増す戦禍で沖縄本土に残る当時の型紙や道具は多くが焼失したとされる。生武さんは、その貴重さと歴史を周知する狙いで展示に至った。「沖縄と横須賀の融合したスタイルの紅型を知ってもらえる機会になれば」

 観覧無料。5月31日(土)まで。平日・土曜は午前11時から午後5時30分。日曜は夕方ごろから開店。不定休。詳細は同店【電話】046・823・7786。額装した紅型の複製品やTシャツも販売している(税込2千円)。

ヒトデ粉末をネットに入れてぶら下げるだけ。「カラスの姿を見かけなくなった」と古山会長

大津3丁目町内会 ヒトデ粉末 カラスNO ゴミ集積場の散乱解消

 ごみの集積場を荒らすカラスに頭を痛めている自治会や町内会は少なくないはず。

 横須賀市大津3丁目町内会では、海洋生物のヒトデを粉末化した忌避剤(キヒザイ)が効果を発揮しているとして、周辺の町内会にも利用を勧めている。

 「カラスによるごみの散乱で片付けに困っている──」。町内会館のポストに投函された投書を受けて、古山美枝子会長ほか役員らが対策を協議。ネット上の情報を頼りに製品を取り寄せて昨年5月に設置。約2ヶ月間経過観察したところ、カラスの姿を見かけなくなったという。

 北海道では、漁師の網に掛かった未利用魚などをヒトデと一緒に放置しておくと野生動物が寄り付かなくなるという不思議な現象を確認しており、ヒトデが持つ「ヒトデサポニン」という物質に忌避効果があるとされている。「海産物特有の強い臭いが有害鳥獣を遠ざけていると思われる」と古山会長。町内に23あるゴミステーションにヒトデ粉末をネットに詰めてぶら下げるだけで高い効果を得られているという。

 現在は市販の製品を購入して使用しているが、地元の海に生息するヒトデを用いることや、学生たちの研究対象として商品開発が進められることを期待している。

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三浦の田園風景を楽しむ 7Kmのウォーキングツアー

 三浦半島南部に広がる田園風景を楽しみながら歩く「三浦半島さきっ歩ウォーク2025第一弾」が、6月3日(火)に開催される。みうらガイド協会の主催。

 コースは、ベイシアを出発し、松輪入口、岩堂山、宮川公園、宮川大橋を経て、宮川町バス停(希望者のみ解散)、三崎下町、そしてうらりへと続く。午後0時30分ごろ解散予定。岩堂山は三浦市で最も高い山であり、頂上からは三浦市ならではの田園風景を一望できる。晴れた日には、房総半島、伊豆大島、そして富士山を望むことができる合計7キロメートルの行程だ。

 集合場所はベイシア三浦店正面入口で、午前9時30分集合(受付開始は9時15分)。

 参加費は一人500円(保険・資料代含む)で、定員30人(先着順)。みうらガイド協会ホームページ(https://miuraguide.jimdofree.com/)から申し込む。申込締切は5月23日(金)。

 雨天中止。中止の場合は前日までにメールで連絡がある。参加者は、マスク、雨具、飲み物などを各自で用意し、歩きやすい靴で参加する。

 問い合わせは、同協会【電話】046・888・0588。

デザインした商品を手にする石川さん

三浦学苑3年の石川さん ばんそうこうに乗る女子高生  斬新なデザイン評価

 三浦学苑高校に通う石川莉子さん(3年)が、地元企業の長井水産が扱うノベルティグッズのパッケージデザインを手掛けた。同社と絆創膏製造・販売の日廣薬品のコラボで登場した靴擦れ用のばんそうこう。4月末から新港町のよこすかポートマーケットで観光客向けの商品として1セット200円(税込)で販売されている。

 工業技術科デザインコースで商業デザインを学ぶ石川さん。今回は実践学習としてチャレンジした。同級生の数名もエントリーした中で、「サーフボードに見立てたばんそうこうの上を女子高生が魚を抱えて立っている」というユニークなアイデアが採用された。石川さんは、ばんそうこう会社の製造現場を見学するなどして商品の理解も深めたという。

 「学校の枠を飛び超えた貴重な学びの機会。デザインを通じて、販売手法などのマーケティングにも興味が湧いた。実社会に触れるきっかけをもらえたことに感謝したい」と石川さん。商品を手にして満足げな表情で話してくれた。

ベストセラー紙芝居作家 BUNちゃんライブ

 紙芝居の愛好家グループ「ヨコスカ・三浦半島 紙芝居ネッ!と」は5月24日(土)、修行中のちびっ子忍者のまん丸の奮闘を描いた人気紙芝居『まんまるまんま たんたかたん』の作者であるBUNちゃんこと荒木文子さんを迎えてライブショーを開く=写真。手あそびなどを交えたパフォーマンスを披露する。

 会場は横須賀市西逸見町の市生涯学習センター「まなびかん」2階市民ホール。第1部は午後1時30分から2時30分、第2部は3時から4時。1・2部の通し券は1200円、どちらか片方は700円(18歳未満は無料)。定員70人で先着順。希望者は氏名、電話番号を記してメール(mamorin358@gmail.com)で申し込む。

選書に出店者の個性が反映される(過去の様子)

横須賀ブックミュージアム 本と博物 知る楽しむ 選書に個性「一箱古本市」

 本を媒介として人とひとが繋がるイベント「横須賀ブックミュージアム」が5月10日(土)、横須賀市文化会館(深田台50)の展示室と1階中ホールで開かれる。文芸から紀行、郷土、酒場文化と多彩なジャンルの本に触れることができる本の市。横須賀市自然・人文博物館の出張展示があるなど、アカデミックな空気も漂う。

 目玉企画は「一箱古本市」。出店者が段ボール箱ひとつ分の古本を持ち込んで販売するもので、選書やブースのレイアウトで個性を発揮する。マーケットコーナーでは地域で本づくりに携わる出版社や古書店による販売もある。午前11時から午後4時。入場無料。

「地層」テーマにミュージアムトーク

 三浦半島の身近な地質をテーマに、折り重なる様が美しい「地層」の成り立ちについて同館学芸員で地球科学担当の柴田健一郎さんが解説する。

 参加希望者は午前11時に同博物館ナウマンゾウ全身模型前に集合。

横浜仏語伝習所跡(現横浜市役所付近)

OGURIをあるく 〜小栗上野介をめぐる旅〜第45回 横浜編【6】文・写真 藤野浩章

「小栗のフランス狂いと、また言われることでしょうな。(中略)言いたい者には言わせておけばよいのでござるよ」(第七章)



 横須賀製鉄所の建設が正式に決まり"責任を取る"形で無役になった小栗。しかし彼を放っておくほど、幕末の状況は単純ではなかった。駿河台の家にはひっきりなしに幕臣が足を運び、彼の意見を求めてきたのだ。

 その1つが、陸軍の軍制改革。以前、短い在任期間に小栗が設計に携わったが、未だに江戸初期以来の旗本を中心とした体制だったため、自前の造船所を建設する海軍に追いつくための近代化が急がれていた。そこで彼はフランスに協力を仰ぐことを画策する。仏から士官を呼んで訓練を進めるに当たり、言語の習得も重要だ。

 こうして陸軍御用取扱浅野氏祐(うじすけ)を通じて上申した案が採択され、仏から軍事顧問団の派遣に加え、1865年春に「横濱佛蘭西(フランス)語伝習所」が設立される。ここでは、後に明治新政府で活躍し日本の仏語学の権威になる面々に加え、小栗の養子、又一(またいち)も学んだ。

 これで安全保障の根幹を広く仏から学ぶ体制が整ったが、冒頭のセリフの通り、幕府内外からの批判は日に日に大きくなりつつあった。そんな中、前の年に征伐があったばかりの長州藩で反幕府の動きが公然と上がり、2回目の長州征伐が行われようとしていた。

 こんな危機的な状況で幕府が頼りにするのは、もちろん小栗だ。ついに4度目の勘定奉行に任命される。彼が最終的に罷免されるのは3年後の江戸城だ。幕府と日本の未来を賭けた、1000日間の"最後の闘い"が幕を開ける。