中原区版【5月16日(金)号】
初めて県大会を制し、関東大会に出場するメンバー

法政二高サッカー部 創部86年 県大会で初V 26年ぶり関東へ

 関東高校サッカー大会神奈川県予選の決勝が5月6日、保土ヶ谷公園サッカー場で行われ、法政大学第二高校(木月大町)が初優勝を決めた。同校が県大会を制するのは創部86年目で初。5月24日(土)から26日(月)まで埼玉県で行われる関東大会に、神奈川第一代表として26年ぶりに出場する。

 「県大会でやっと勝てた。長かった」――。2001年に指揮官に就任し、25年目を迎えた水島光監督は優勝を決めた瞬間をそう振り返る。

 高円宮杯JFA U―18サッカーリーグ神奈川K1に属する同校。同大会は、上位2校が関東大会への出場権が得られる。第1シードとして2次予選のブロック決勝から出場し、座間高を3対0で退け、準々決勝へと駒を進めた。

 準々決勝では、相洋高に1対0で勝利。水島監督が「優勝を目指すうえでポイントだった」と話す、勝てば関東大会の出場権を得られる準決勝では、昨年関東大会に出場した横浜創英高と対戦。副主将でGKの波木井陽夏選手は「押し込まれる時間が長かった中で、しっかりハードワークができた。全員で勝ち取れた」と、1対0で勝利を収めた。

 決勝の相手は、同じK1に所属し、昨冬の全国選手権で4強入りした東海大相模高。昨年の選手権予選、今季のK1リーグでも敗れていたため「その試合でできなかったチャレンジと、相模に勝ち切る意識で臨んだ」と波木井選手。試合は法政二が押し込む展開が続くも、後半早々に失点を許す。それでもコーナーキックから同点に追いつき、延長戦へ。決着がつかずPK戦へもつれる中、10人目の相手キッカーを波木井選手が止めて初優勝を決めた。主将の堀内泰良選手は「初めて優勝できて、素直にうれしかった」と声を弾ませ、水島監督は「なかなか勝てない時期が続いていたので、勝った瞬間ホッとしたし、こみ上げるものがあった」と熱戦直後の心境を語る。

 今大会は、失点を少なくするためにリーグ戦から守備を改善して臨んだという。「守備が安定した結果、ロースコアの試合が多かった」と水島監督は今大会を総括。堀内選手は「攻守の切り替えの早さを常に意識している。失点をしなければ負けないので」とチームの強みを語る。

目標は初の全国

 関東大会への出場は、1997年、99年に続いて3回目。強豪校との対戦に加えて、勝てば3日で3試合と厳しい大会日程が待っている。堀内選手は「今回の優勝で二高の歴史が変わった。関東大会で目指すのは優勝」と意気込みを語る。

 神奈川を制し、26年ぶりとなる関東大会への出場。そして、次なる目標は、創部初となる全国大会出場だ。堀内選手は「関東大会のすぐ後にインターハイの予選があるし、冬の選手権の予選もある。そこで勝って全国大会に行きたい」と抱負を語る。水島監督は「これから決定力をあげて、県代表として関東大会を勝ちに行きたい。その後に待っている総体、選手権の予選を戦い抜き、勝って初めての全国大会に出場したい」と目標を語った。

外国人市民意識実態調査 「入居拒否」 25%が経験 「ネット上の攻撃」不安増

 川崎市が外国人市民を対象に実施した意識実態調査の結果が公表され、4人に1人が外国人であることを理由に賃貸物件などの入居を断られた経験がある一方で、「ヘイトスピーチ」などの差別的な暴言への不安は、2019年の前回調査よりは減少した。

 川崎市では、日本国籍を持たない外国籍の人々が市民生活で感じる不便や不安などを行政として解消するため、5年に1度、実態を調査している。今回の調査は昨年6月28日〜7月31日に実施され、川崎市在住の18歳以上の外国人市民5千人を対象に、郵送方式で実施。1031人から回答があり、回収率は20・6%だった。

 国籍・地域別の内訳は、中国籍28・4%、韓国籍とベトナム籍が11・9%、フィリピン籍が10・6%と続き、その他アジアが20%を占めた。居住地域は川崎区が最も多く31・8%、中原区15・4%、高津区11・6%と続いた。

 市内で住居を探す際に「外国人を理由に入居を断られた」は前回と同じ26・1%。「外国人であることを理由に物件を紹介してもらえなかった」は17・7%と前回の14・2%より3・5ポイント増加し、不動産業者の段階で拒否されている可能性がある。

 直近の1年間で感じた不安や危険に関する質問では、「住んでいる地域の治安についての不安」は前回の17・7%より大幅減の10・9%。外国人であることを理由に「暴力をふるわれる不安・危険」は6・8%(0・3ポイント減)、「脅迫や差別的な暴言を受ける不安」は14・7%(3・3ポイント減)といずれも減少したが、「外国人を攻撃するようなインターネットやSNSの書き込みを見て感じる不安・危険」は13・2%で前回の12・4%より微増した。市は「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の効果は表れているものの、条例の運用を一層、推進していく必要がある」としている。

 国籍に関係なく全国的な課題である災害への備えでは、「飲み水や食料を準備している」は7・8ポイント増の51・7%と5割を超えたが、「特に何もしていない」は27・7%(前回32・5%)と3割近く、「防災訓練に参加している」は16%(前回16・7%)にとどまった。

 市担当者は「この結果を関係部局に共有のうえ、施策に反映していく」と話している。報告書は市のホームページで公開しており、ルビ付きの日本語を含め10カ国語で閲覧できる。

4月から「なかはら散策ガイドの会」の会長に就任した 原 正巳さん 中丸子在住 69歳

今できることに全力投球

 ○…中原区の歴史や文化、史跡を紹介し、後世に伝える目的で2009年に結成した「なかはら散策ガイドの会」。4月から会長に就任し、「武蔵小杉を中心に再開発が進み、昔の面影が消えていく。区の魅力を発信することで、街に暮らす人に愛着と誇りを持ってもらいたい」と意気込む。現在会員は20人で、平均年齢70代と高齢化が進む中、5月26日から行う街歩きボランティアガイド養成講座など、新たな仲間獲得にも力を入れる。

 ○…もっと地域を知り、いろいろな人と出会いたいと4年前に入会。これまで副会長として2年間、前会長をサポートしてきた。市内の各区にあるガイド協会との交流や、地域のことを学ぶ小学校の総合学習にも協力するなど、会の活動の幅を広げる新しいことにも挑戦。「先輩たちが築いてきたものを継承しながら、会長として会の発展と存続のために期待に応えたい」

 ○…生家は中丸子に350年以上続く旧家。玉川小、玉川中に通い、中学生のときに見た大河ドラマ『天と地と』をきっかけに歴史に興味を持った。名字の約7割が地名に由来すると知り、旅先で古い墓地を訪ね歩くことが習慣に。「特に地方では村ごとに名字がはっきりと分かれ、その土地に住む人のことがわかるから面白い。お墓を見るのが好きと話すと驚かれるけどね」と笑う。

 ○…大学卒業後、40年務めた金融機関を61歳で退職。「やりたいことをやるには今しかない」。退職金や年金を計算して人生設計をまとめ、妻を納得させた。地元の行事に参加するようになり、今では中丸子神明大神の総代も務める。「子どもたちが積極的に祭りなどへ参加してくれるように、大人たちにも地域にもっと関心を持ってもらいたいですね」

イベントでは「守人」の役割についても説明

コミュニティ賃貸住宅「フロール元住吉」 人と人とのつながりを深めた5年間の歩み

 神奈川県住宅供給公社が運営する賃貸マンション「フロール元住吉」(中原区)は、2020年3月の入居開始より同公社初の"コミュニティ賃貸住宅"として、住民同士あるいは、地域と住民とのゆるやかなつながりづくりを目指してきた。竣工5周年を迎え、その試みが現在どのように広がりを見せているのか、コミュニティ運営を担ってきたHITOTOWA INC.(東京都)の「守人(もりびと)」担当者に話を聞いた。

いざという時に助け合える関係を

 フロール元住吉は一般的な賃貸マンションとは違い、人と人とが関わる機会が自然に増えるような機能、入居者や入居者以外も利用できる共用部が特徴だ。1階右手に住民用シェアラウンジがあり、左手の受付には、「守人」という呼称で呼ばれるコミュニティ運営担当が常駐。通常のマンションの管理人のように共用部利用時の対応や館内点検という管理業務の他、入居者のコミュニティを育むためイベントを企画・開催している。また1階には地域交流スペース「となりの.」が設けられている。こちらはカフェとレンタルスペースで、マンション以外の地域住民も利用可能となっている。災害などいざというときに助け合える、つながりづくりを目指している。

 入居開始時期はコロナ禍ということもあり、シェアラウンジには、突然在宅勤務となった住民が多く訪れるように。当初はあまり机を置いていなかったが、当時テイクアウト営業のみになっていたカフェから机を移動させ、作業スペースとして活用できるよう臨機応変に対応したという。

 また、コロナ禍から日常に戻ってきた頃には、マンションのエントランスを活用した地域にも開かれた夏祭りのイベントや、カフェスペースを使った栄養士の健康相談、子育てサロン、子どもの放課後サポートなどが精力的に企画された。今年の3月には入居開始5周年記念イベントのコンサート等が企画され、2回のイベントにのべ100人が参加した。

 一方で、2023年に「守人」業務に加えて、入居開始時にはバリスタが担っていた「となりの.」のカフェ業務運営にも挑戦した際には、「コミュニティづくり」と「カフェ経営」2つの業務の同時並行に課題が発生した。最終的には、飲食業と場づくりのノウハウをもち、以前からパートナーとして協働している株式会社Yuinchu(東京都)に相談。2024年5月からは、株式会社Yuinchuがカフェ経営を行い「TONARINO. by SWITCH STAND」としてリニューアルオープンした。

 新体制になってからは「守人」の業務に専念。時間の余裕もでき、現在では守人メンバーそれぞれの得意分野を生かして、企画、広報、イベント運営などスムーズに業務を推進している。「最初は交流イベントに対し積極的でなかった住民の方も、だんだん声をかけてくれるようになってやりがいを感じる」とは守人スタッフの一人。守人が主導してきた企画も、今では一緒に作りあげたり、住民が主導する企画が多くなってきたという。現在では、守人で月2回ほど住民の交流イベントを企画している。

 取材した4月19日は、入居者の交流会「お花見の会」が行われており、1Fのシェアラウンジに親子ら約10人が集まった。お互いに「出身地」「好きな食べ物」などを自己紹介し、共通項がある際にビンゴカードの穴をあけるビンゴゲームなどでなごやかに交流した。イベント参加が2回目という住民は「今度子どもが生まれるので、保育園や近くの遊び場など、先輩ママさんの情報をいろいろ聞けてよかった。またいろいろなイベントに来てみたい」などと感想を話した。

受賞を喜ぶ栗原さん(右から2人目)とメンバー

おはなしもり 文科大臣賞を受賞 読み聞かせ続け19年

 読み聞かせボランティアグループ・おはなしもり(栗原厚子代表/木月住吉町18の30)が「子ども読書の日」の4月23日、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で行われた子どもの読書活動推進フォーラムで文部科学大臣賞を受賞した。

 2006年に結成し、中原図書館や住吉中での読み聞かせなどを11人のメンバーで続けている同グループ。子どもの読書活動における優秀実践団体として表彰され、栗原代表は「自分たちの活動を見ていてくれる人たちがいるんだと思うとうれしかったし、続けてきてよかった」と喜んだ。読み聞かせを始めた当時は聞く側だった小学生が、母親となってグループに参加しているメンバーもいる。

 23年には絵本文庫「おはなしもりのへや」も開設。絵本や紙芝居、子育て本など、2700冊以上をそろえる。栗原代表は「読み聞かせは、人の声による温かさが伝わる。これからも本の楽しさを知ってもらうために活動していきたい」と話す。5月26日(月)には「0歳から楽しむ英語絵本のおはなし会」を開催。午前10時30分、11時15分から各30分。参加無料。

 問い合わせは【メール】ohanashimori@jb4.so-net.ne.jp。

土のう作成を体験する参加者

中原区 有事に備え、公園で初訓練 玉川地区12町会ら600人参加

 中原区役所は5月11日、今年度初の総合防災訓練を中丸子公園で実施した。玉川地区の12町会、区民約600人が参加して、有事に備えた訓練を行った。

 年に2回開催している区の総合防災訓練。例年、大規模災害の際などに、指定避難所となる学校で開催していたが、今回は初めて公園で実施された。

 同訓練では、風水害や地震発生時の対応を中心に企画。実際に土を袋に詰めていく土のう作成や、その土のうを積んでいく訓練、水消火器を使った初期消火や煙の体験、三角巾やAEDを使った人命救助の訓練など12のブースを設け、参加した町会や来場者が順番に体験していった。また今回は、市内在住の外国籍の人たちで構成された川崎市外国人代表者会議のメンバーも初めて参加し、いざという時のための備えを学んだ。

 訓練に参加した中原区自主防災組織連絡協議会の原新次会長は「玉川地区は多摩川の隣にあり、水害の被害が起こりえる。地震、風水害時の備えを学ぶことができた」と訓練を振り返った。

 主催した区危機管理担当の担当者は「例年よりも訓練の規模が小さいながらも、12町会に参加してもらい、実際の災害に即した訓練で助け合うことを確認できた。今後もこうした有事に備えた訓練を企画していきたい」と展望を語った。

魚を見つめる子どもたち

親子で川の生き物を観察 「水辺の楽校」ガサガサ体験

 子どもたちが川に親しむ自然体験の場を提供する「とどろき水辺の楽校」の今年度初のイベントが、4月29日に等々力河川敷広場で行われた。

 前日の雨から一転、晴天に恵まれ、親子や関係者ら100人ほどが集まった。

 石積みの陰に隠れた生き物を、足で追い込み網ですくう「ガサガサ」体験に臨んだ子どもたち。ライフジャケットを身に着け、講師のレクチャーを受けた後、順番に川に足を入れた。

 講師があらかじめ作った10カ所の石積みに網を近づけて捕獲。子どもたちは瓶に入れた魚を、興味津々に観察していた。捕獲した生き物は、ヤゴ、ヌマチチブ、ウキゴリ、テナガエビなど。参加した北川楓登さん(7)は「生き物が好きで、家で図鑑を見ていた。ヌマチチブが捕れて、ハゼっぽかった」と笑顔を見せた。

 最後には、水難事故に備えた「カッパの川流れ体験」を実施。ライフジャケットの浮力を生かし、仰向けで川に体を任せた。主催者の鈴木眞智子さんは「足を岸の方に向けて寝そべれば、勝手に岸の方に流れていく。これを知っているだけで万が一のことがあったとき、役に立つかもしれない。楽しみながら覚えてもらえれば」と話した。

ロケット作りに挑戦する児童

ロケット教室 等々力の上空40mへ 「できた」を自信に

 自分で作ったロケットを大空へ飛ばす――。川崎ロケット教室プロジェクトFUEL(フエル)主催のモデルロケット教室が5月11日、等々力緑地で開催された。

 市内の小中学生など23人が参加し、等々力いこいの家で本物と同じ構造のロケットをペーパークラフトで製作。等々力緑地の運動広場に移動し、各自が火薬エンジンを搭載した全長約30cmのロケットを打ち上げた。発射ボタンを押すと、ロケットは0・3秒で時速200Kmのスピードで40mの高さに到達。上空でパラシュートが開き、ゆっくりと落ちてくる様子を見守った。

 参加した小6の児童は「ロケット作りは難しかったけど、精密にできていてカッコよかった。高くまで飛んでびっくりした」と話し、中1の生徒は「ロケットを飛ばす経験は新鮮だったし、作る過程も楽しかった」と笑顔を見せた。代表の伊東悠太さんは「ロケットを『作れた』『飛ばせた』という経験が、自分に自信を持つきっかけになってくれたら」と思いを込めた。次回は7月13日(日)、8月11日(月・祝)に開催予定。詳細は同団体のウェブサイトへ。

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ニュースポーツを体験 5月25日 とどろきA(アリーナ)で

 誰もが気軽に楽しめるニュースポーツ等の体験イベント「みんなのスポーツフェスタ2025」が5月25日(日)、とどろきアリーナ(サブアリーナ)で開催される。午前10時から午後2時まで。申込・参加費は不要。主催は中原区スポーツ推進委員会、中原区。

 大きく柔らかいボールを使う「ふらば〜るバレーボール」など4種の競技のほか、風車づくりやけん玉などのむかし遊び体験が企画されている。(問)中原区役所地域振興課【電話】044・744・3323。

協力を呼び掛ける山本さん

上平間の山本さん 手づくり品に思い込め 5月17日 自宅で展示会

 平間で子ども食堂を開く山本芙佐子さんが、ガザ地区(パレスチナ)やウクライナを支援するため5月17日(土)、上平間346の3の自宅で「きものリメイク展」を開く。午前10時から午後4時。

 劇団で衣装係をしていた山本さんを中心に、多くの作品製作者が協力して出展。着物をほどいて洋服にリメイクしたオリジナル品、バッグやアクセサリーなどの小物が並ぶ。洋服は日常で着られるデザインで、天然素材を生かした着心地の良さが特徴だという。山本さんは「戦禍で苦しむ子どもたちの姿に胸がふさがる思い。少しでも支援につながれば」と思いを込める。売り上げは支援金として寄付する。(問)【電話】044・533・7470

自身の体験を語る吉田さん

戦後80年 戦禍の記憶【3】 中原区在住 吉田 恵美子さん(86) 6歳で感じた「死」の恐怖 「今でもサツマイモが嫌い」

 元住吉は田んぼや畑が広がり、春には菜の花が一面に咲き渡る、のどかな場所だった。幸いにも焼け野原になることはなく、死線を越えるような経験はない。それでも戦争は、当時6歳の少女に今もなお消えることのない傷痕を残している。

 まず食べるものがなかった。セリやナズナといった野草を摘んで、食事の足しにした。ご飯の中には、サツマイモの種芋が入っていたこともあった。「子どもながらに状況を理解して、我慢して食べた。でも種芋がまずくてね、今でもサツマイモが嫌いで食べないんです」

 小学1年生だった、1945年。空襲警報のサイレンが鳴り響くと、学校から夢中で走って帰った。低空飛行をしている飛行機の羽に「B29」と書いてあるのが見えたことも。電球に黒い布がかぶせてあったせいで、家の中はいつも薄暗かった。庭には父が作った地下防空壕があり、サイレンが鳴ると近所の家族と一緒に入った。

 隣のおばさんと、その息子のお兄さんにはよく可愛がってもらった。だが戦争が激しくなってきたある日、お兄さんは出征することになった。日の丸の小旗を持って記念写真を撮ったのもつかの間、お兄さんは国防色(カーキ色)の軍服に帽子をかぶり、肩から名前の書かれたたすきをかけて、元気に出征していった。「それが最後の姿。今もお兄さんは帰ってきていない」と声を震わせる。おばさんは生前、事あるごとに「もし生きていたら」と口にし、息子のいる生活を想像していたという。

 一度、夜中に綱島街道の方に焼夷弾が落ちたらしく、夜空が真っ赤に染まったことがあった。家の前の道は大勢の人々でごった返しており、みな頭には防空頭巾、手にはいろいろなものを持って、井田山の方へ逃げていた。母としっかり手をつないで、農家の竹やぶに逃げたが、目の前の井田山はすさまじい勢いで燃えている。その時、子ども心に死を感じ、母のそばで「お母さん死んじゃいやー」と震えながら叫んだ。

 あれから80年。これほどの月日が流れても、人間が戦争を止める兆しはない。「一番かわいそうなのは子どもたち。戦争ほど愚かなことはない」と涙し、遠い海の向こうに思いをはせた。

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今年で戦後80年。体験者が年々減少し、戦争の記憶が風化しつつある。当事者の記憶を後世に残すとともに平和の意義について考える。不定期で連載。
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受章を喜ぶ伊藤氏

春の叙勲 中原区から14人受章 伊藤氏に旭日小綬章

 2025年春の叙勲と、褒章、危険業務従事者叙勲が4月29日付で内閣府から発令され、神奈川県商店街振興組合連合会の伊藤博理事長(82/木月)が旭日小綬章を受章した。

 伊藤氏は県商店街振興組合連合会の理事長職10年の実績で「自分の中では県の理事長というよりも、ブレーメン通り商店街の理事長職20年に対しての叙勲だと思っている。これからも培ったノウハウをいかして実行する立場でありたい」と話し、「多くの人に助けられて今がある」と感謝を口にした。

 区内からは叙勲10人、危険業務従事者叙勲2人、褒章2人が選ばれた(叙勲・褒章名、氏名、発令時年齢、経歴、功績功労概要)。敬称略。

【叙勲】

▽旭日小綬章/伊藤博(82)現神奈川県商店街振興組合連合会理事長(中小企業振興功労)

▽瑞宝中綬章/木下信行(70)元証券取引等監視委員会事務局長(金融行政事務功労)/平之山俊作(70)元九州森林管理局長(農林水産行政事務功労)/渡會修(70)元総務省行政評価局長(総務省行政事務功労)

▽瑞宝小綬章/久松孝(74)元関東運輸局東京運輸支局長(国土交通行政事務功労)/吉水純子(70)元特許庁審判部審判長(経済産業行政事務功労)

▽瑞宝双光章/中田泰光(71)現保護司(更生保護功労)

▽瑞宝単光章/中里栄一(71)元川崎市清掃作業員(環境衛生功労)/野本ヨシ子(83)元新日本保育園副園長(児童福祉功労)/三上能樹(72)元川崎市中原消防団団長(消防功労)

【危険業務従事者叙勲】

▽瑞宝双光章/土井武勝(74)元警視庁警視(警察功労)/森下泰弘(68)元川崎市消防監(消防功労)

【褒章】

▽紫綬褒章/星田剛司(54)現富士通(株)フォトニクスシステム事業本部先行技術開発室長(発明改良功績)

▽藍綬褒章/野澤学(58)現(一社)日本試薬協会会長(産業振興功績)

「今回の経験をリーグ戦とインターハイに生かす」と誓うメンバーら

市立橘高サッカー部 県大会、初のベスト4 「部の新たな歴史作った」

 関東高校サッカー大会神奈川県予選で、市立橘高校(中丸子)サッカー部が1942年の学校創立以来初となるベスト4に進出した。5月4日に行われた準決勝で東海大相模高に敗れ、関東大会出場という目標には届かなかったが、部の歴史に新たな1ページを刻んだ。

 高円宮杯JFA U─18サッカーリーグ神奈川K2に所属する同校。3回戦の浅野高、4回戦の横浜商大高、5回戦の慶應義塾高に勝利し、ベスト8に進んだ。迎えた準決勝は優勝候補の一角といわれた日大藤沢高。主将の鈴木聖成(せな)選手(3年)は「試合前からみんなの気合が入っていた。絶対に勝つという気持ちだった」と振り返る。試合は互いに譲らず、前半を0対0のスコアレスで折り返す。エンドが変わった後半、日大藤沢高の攻撃に対し、市立橘も集中を切らさなかった。そして生まれた先制点は、主将の鈴木選手のシュートがネットを揺らした。「必ずボールが来ると信じて走り込んだ。決まった瞬間は本当にうれしかった」。先制後も守りに入らず、次の得点を狙って攻め続け、1対0でベスト4入りを果たした。

 2年前からチームを率いる森谷周平監督(40)は「ベスト8に残った公立校はうちだけだったが、同じサッカーをやる上で公立、私立は関係ない」という。準決勝の東海大相模高戦は、十分に気を付けていたはずの試合の入りの部分でつまずき、1対4と大敗。勝てば関東大会出場が決まる一戦に敗れ、新チーム結成以来、公式戦負けなしの記録も途絶えて大会を終えた。森谷監督は「優勝が目標だったから残念だが、ここまで来た選手たちのことは誇らしく思う」と話した。「敗退後もチームの雰囲気は悪くなかった」と鈴木主将。「悔しい部分はもちろんがあるが、部の歴史を作れたことは素直に喜んでいいと思う」。この大会でK1に所属する日大藤沢高、東海大相模高という強豪と対戦できたことは自分たちの立ち位置を知る上で収穫になった。

 市立橘は昨年、大きな挫折を味わう。昇格以来5年間守り続けてきたK1から降格し、今年はK2で戦う。次の目標はリーグ戦での全勝と、6月から始まるインターハイ予選。鈴木主将は「負けたことで見えたことがたくさんある。試合中でも臨機応変に対応できるチームとしての良さをいかし、さらにレベルアップしたい」と意気込む。

 森谷監督は「全国大会出場という目標はあるが、部員らには卒業後もずっとサッカーを続けてもらい、いつかここからプロになるような選手が出てくれるとうれしい」と思いを込めた。

山本社長(左)と山本真弓店長

記者まちかど探訪 未来へ向けて再スタート 数少ない文具店の挑戦

 全国で少子高齢化や、後継者不足、大規模小売店の進出といった問題から、商店街の衰退が叫ばれている。中原区内では、元住吉駅前など活発に活動している商店街がある一方で、商店街の構成主である個人商店が減少しつつある。

 以前は、街中で見かけた個人経営の文房具店もその一つ。平間駅から向河原駅に延びる北谷町通り商店会の一角にある文具店「文具倶楽部クリップス」は、今や市内でも数少ない個人経営の文具店だ。今年創業70年を迎え、5月7日に「文具と推し活の店クリップス」としてリニューアルオープンした。

 同店は、1955年に日用雑貨店としてオープン。70年に文具専門店、90年代に入り文具とギフトの店と、時代に合わせて少しずつ業態を変更してきた。3代目の山本守弘社長は「大規模小売店の影響もあり、年々お客さんが減って街の文具店は絶滅危惧種になってきた。時代に即したビジネスへの転換が必要だと思った」とリニューアルの理由を語る。

 リニューアルに際し山本社長は、現状を徹底的に分析。来店構成は、地元の小学生や小学生を持つ親、昔馴染みの人たちであり、20代から30代といった購買力のある年代が少ないことがわかった。その世代に来店してもらおうと着目したのが「推し活」だった。スポーツやミュージシャンなどのオリジナルのグッズを一緒に作ることができるように、ワークショップを定期的に開催していくという。「店内で一緒に考えながらグッズを作る。お客さまと共有して自分たちも育っていきたい」と話す。

 変化の激しい時代に個人商店としてどう生き残っていくか。「3代で店が終わるかもしれない。お客様とともに進化し、子どもたちが継ぎたいと言ってくれるように、20年後も存在し続ける街の文具店でありたい」。山本社長の挑戦は続く。

リニューアルした散策マップの表紙

中原の魅力マップ、改訂 スマホでの閲覧も

 中原区は「なからは歴史と緑の散策マップ」を5年ぶりにリニューアルし、5月中旬以降に区役所や市民館、中原図書館などで配布する。

 中原街道や二ヶ領用水の探訪をはじめ、歴史や自然、文化など、区の魅力を紹介する同マップ。区のプロフィールから面積や人口などの概要、バス路線図まで幅広い情報を網羅している。

 改訂版の変更箇所としては、世界中の地図を見ることができるアプリ「Avenza Maps」をダウンロードすることで、スマホやタブレット端末上でガイドマップの地図が閲覧できるようにした。担当者は「地図上に現在地が表示されるので、区内の散策にも役立つ」と話す。

 散策コースは全長や所要時間といった目安が記され、歴史の道探訪、水辺と緑の散策、七福神めぐりなど6コースを紹介。地図データ内の情報更新、名所などの説明も見直されている。各地の案内情報には、「なかはら散策ガイドの会」(原正巳会長=人物風土記で紹介)も協力した。

 同マップ内で紹介している各散策コースは、区ウェブサイトからダウンロードできる。問い合わせは地域振興課まちづくり推進係【電話】044・744・3324。

子ども向けフェス復活 5月24日 グリーンロード

 平間駅から向河原駅に延びる北谷町通り商店会を中心とした地域有志で「復活!グリーンロードフェスティバル」を5月24日(土)、同商店会、グリーンロード(北谷町緑道)で開催する。午後1時から5時。参加無料。

 20年以上前に子ども向けイベントとして実施していた同フェスティバル。一時期から中止となっていたが、昨年商店会の軒先を地域団体に提供する形で同商店会がハロウィーンイベントを実施。それを見た地域住民からの声掛けで、同様のスタイルで同フェスティバルを復活させることになった。

 今回は、地元小学校PTAや町内会、商店、地域団体などが、飲食やゲーム、活動紹介など10ブースを出店。同商店会担当者は「子どもたちと一緒に地域の楽しさ、ふれあいを作ることができれば」と話している。

 詳細は文具倶楽部クリップス【電話】044・522・6369。

保護者で共有 発達の悩み

 区地域みまもり支援センター主催「発達に支援が必要な子どもの保護者のための中原区保護者ミーティング」が、6月10日(火)から来年2月17日(火)まで8回開催される。会場は区役所別館。

 小中学生の子を持つ区内在住の保護者が対象。子どもたちが楽しく安心して日々の学校生活を送れるよう、保護者同士で思いや悩みを話し合う。担当者は「カフェに行くような気持ちで気軽に参加してほしい」と呼び掛ける。参加無料。参加には事前登録が必要。問い合わせは教育活動総合サポートセンター【電話】044・877・0553。

(左から)中西GM、澤田選手、福田市長、金子監督

レッドロケッツ 悔しさを来季へ 市長へシーズン結果報告

 女子バレーボール・SVリーグに所属するNECレッドロケッツ川崎の金子隆行監督、澤田由佳選手ら関係者は5月8日、川崎市役所を訪れ、福田紀彦市長に2024―25シーズンの結果を報告した。

 チームは、昨年9月に行われたアジアクラブ選手権で優勝。今シーズンから新たに始まったSVリーグを戦いながら、皇后杯と世界クラブ選手権にも出場するなど厳しい日程の中、リーグ戦を2位で終え、チャンピオンシップファイナルまで勝ち進んだ。

 中西了将GMは「8年ぶり2度目のアジア制覇ができた。日程面で難しいシーズンだったが、ファイナルは悔しい結果となった。これをバネに来季に向けて戦っていきたい」と前を向いた。日本代表コーチへの就任が決まった金子監督は「リーグ戦44試合、チャンピオンシップ5試合を戦うことができ、選手に感謝したい。地元に愛され、世界で戦えるチームになっていってほしい」とチームに期待を寄せた。キャプテンを務めた澤田選手は「長いシーズン、けが無くチーム全員で戦えた。地域やファンの声援が力になった。今シーズンの悔しさを原動力に来期SVリーグを戦いたい」と話した。

 福田市長は「準優勝でもすごい。胸を張ってほしい。金子監督は代表コーチとして、チームは来シーズンに向けて頑張ってほしい」とエールを送った。

大人のお話し会 5月22日 中原図書館

 中原図書館は「おとなのためのおはなし会」を5月22日(木)に6階多目的室で開催する。午前10時30分から正午。

 『三つの願い』(イギリス)、『水晶のおんどり』(イタリア)などの世界の昔話を、1985年から図書館や小学校で活動を続けるボランティア団体「おはなしの小箱」のメンバーが読み聞かせる。定員50人。申込み不要で直接会場へ。(問)中原図書館【電話】044・722・4932

12人が立候補を表明 今夏参院選 本紙調べ

 任期満了(7月28日)に伴う夏の参議院選挙で、神奈川県選挙区(改選定数4)には本紙の調べでこれまでに現職3人、新人9人の12人が立候補の意向を示している。(5月9日起稿)

 自民党は2019年の前回改選時にトップ当選した島村大氏が23年に死去したことを受け、公募を実施。元神奈川県局長の脇雅昭氏(43)を選んだ。「県で働く中で国だからできることがあると感じた。行政のデジタル化を進めたい」と話す。

 立憲民主党の牧山弘惠氏(60)は07年に初当選し、4期目を目指す。「物価高から生活を守るための具体的な提案を行う。食料品に掛かる消費税をゼロに引き下げ、暫定税率の早期廃止でガソリン価格を25円引き下げる」と述べる。

 22年の合併選挙で欠員枠の5位で初当選し、任期が約3年だった立憲民主党の水野素子氏(55)は「物価高対策はもちろん、大学までの所得制限のない授業料無償化の推進など、未来を担う人材の育成や産業発展にも力を注ぎたい」と語る。

 13年に初当選し、現在、党女性局長を務め、3期目を目指す公明党の佐々木さやか氏(44)は「物価高克服のための減税や給付、中小企業支援などで給料アップ、全世代を守る社会保障の充実を求めていく」とコメントする。

 日本維新の会からは参議院議員秘書の千葉修平氏(52)が挑む。1999年から八王子市議を1期務め、03年から松沢成文氏の秘書を務める。「首相公選制の実現や飲食店の禁煙化などの受動喫煙対策を訴えていきたい」としている。

 共産党は党県委員会副委員長の浅賀由香氏(45)を擁立する。参院選に過去3回挑戦しており、「賃金の引き上げによる8時間働けば普通に暮らせる社会の実現や、大学をはじめとする高等教育の学費無償化を進めていきたい」と語る。

 国民民主党は元農林水産省官僚の籠島彰宏氏(36)を立てる。13年に農水省に入省し、20年から23年に経済協力開発機構へ出向していた。「日本を守るため、給料が上がる経済が必要。手取りを増やし、再び日本を強くしたい」と語る。

 れいわ新選組は元外務官僚の三好諒氏(39)を擁立する。21年に外務省を退職後、山本太郎参議院議員の秘書を務め、24年の衆院選では神奈川2区から立候補していた。「消費税廃止や社会保険料の減免などを訴えたい」と話す。

 社民党は元相模原市議の金子豊貴男氏(75)を立てる。1991年から2023年まで市議を8期務め、基地問題などに取り組んできた。「今の日本は平和を維持できるか、戦争国家に進むかの岐路に立たされている」と訴える。

 参政党は警備会社顧問の初鹿野裕樹氏(47)を立てる。警視庁に約23年間勤務し、24年衆院選で神奈川11区から出馬していた。「消費税や社会保険料を下げ、可処分所得を増やしたい。また、警察官など公安職の待遇改善を求めたい」という。

 日本改革党からはダンスインストラクターの畠山貴弘氏(45)が出馬意向。23年の南足柄市議選に立候補していた。「国民生活が苦しい中、消費税は5%にし、最終的には廃止。ガソリン暫定税率と再エネ賦課金の即刻廃止」と訴える。

 このほか1人が立候補の意向を示している。

川崎市労働白書を発行 過半数が「人手不足」 新たにカスハラの状況も

 川崎市の「2024年度版川崎市労働白書」がこのほどまとまり、発行された。人手が不足している企業は半数を超え、従業員からカスタマーハラスメントに関する相談があった企業は1割以上だった。

 川崎市は1990年度から市内の2000事業所を対象に、労働・雇用状況を確認する「川崎市労働状況実態調査」を実施している。35回目となる直近の2024年度調査では、886事業者から回答があった。

 ワーク・ライフ・バランス(WLB)への取り組み状況では、「育児・介護等による時差勤務制度」を実施する企業は53・7%、「育児・介護等による勤務軽減措置」がある企業は40・7%、「在宅勤務制度」がある企業は24・3%など、WLBへの配慮が広がる一方で、「いずれも行っていない」と回答した企業も4分の1あった。

 また「働き方改革」の取り組みは、「有給休暇の取得促進」(70・5%)や「長時間労働の是正」(59・7%)を多くの企業が進めているほか、「短時間勤務・フレックスの導入」(26・1%)や「テレワークの導入」(20%)など、多様な働き方を取り入れる企業も一定数確認された。

 全業態で共通の悩みである「人手不足」に関しては、「やや不足」(43・9%)と「大いに不足」(11・3%)を合わせた数値が55・2%と、2社に1社が不足しており、業種別では建設業や運輸・郵便業、情報通信業で「不足」の傾向が強かった。人材確保のために、「求める人材の明確化」(33・5%)や「自社の魅力のPR」(28・3%)など工夫をこらす企業が多い一方で、「特になし」も27・9%を占めた。

 調査項目に新たに加えた「カスタマーハラスメントに関する取り組み状況」では、従業員からカスハラに関する相談を「受けたことがある」は13・5%だった。業種別では医療・福祉業者の約4割が「受けたことがある」と答え、教育・学習支援業35・3%、卸売・小売業22・2%と、接客や利用者と接触する業態が高かった。

 詳細は市のホームページへ。

(右)今年4月に発刊された「ししる」(下)昨年開催の「編集懇談会」の様子

市制100周年記念版 みんなで作る「歴史の本」 題名や子ども記者募集

 川崎市は市制100周年を記念し、市民と共に作る「川崎の歴史の本」プロジェクトを本格始動した。本のタイトルやテーマの検討過程、調査取材などに市民が参加し、声を反映しながらまとめ、2027年3月の発行を目指すという。

 川崎市の歴史をまとめた冊子としては、市制60周年を記念して88年から97年に発行した全11巻の「川崎市史」があるが、学識者中心の「編さん委員会」が、学術的・専門的な観点から集めた資料や記事が主体だった。

 福田紀彦市長は市制100周年を迎えた2024年度の施政方針の中で、基本政策「活力と魅力あふれる力強い都市づくり」の一環として、市民が川崎の歴史や文化を身近に感じられるような「親しみやすく、手に取りやすい、新しい形の『川崎市史』の作成」の取り組みを打ち出した。

 これを受けて市は、市民団体関係者や大学教員、学生など15人に委員を委嘱した。まずは委員らによる「編集懇談会」を重ね、テーマや構成を議論し、昨秋の「みんなの川崎祭」などのイベント会場やウェブ上で「市史で読みたいテーマ」についてアンケートを実施。約3000件の回答が寄せられ、「楽しい・面白い」と思う話題に関する質問では、約5分の1の19・5%が「文化・エンターテインメント・スポーツ」と答え、15・15%が「川崎の歴史・うつりかわり」と回答した。

 今年4月から6月末まで本のタイトル案を募集しており、今秋の市内のイベント会場で投票を募り、タイトルを決める。6月にはテーマに沿って取材活動をする「子ども記者」を各区から募り、取材した内容は7月開催予定のワークショップで、福田市長との対話を交えながら公表する。

 市の担当課は「市民参加のさまざまな形を用意している。ぜひ積極的に参加してほしい」と呼びかけている。活動の状況は4月に刊行したデジタル新聞「ししる」で発信していく。問い合わせは市公文書館【電話】044・733・3933。

鈴木委員長(左)から答申を受ける福田市長(市提供)

子どもの権利委員会 川崎市 5つの提言など答申

 川崎市子どもの権利委員会は4月25日、福田紀彦市長から諮問を受けていた「子どもの相談及び救済機関の利用促進」に関する答申を行った。

 子どもの権利委員会は、「川崎市子どもの権利に関する条例」に基づき、子どもに関する施策や子どもの権利の保障の状況について調査・審議する組織。市長が委嘱した学識経験者が委員を務める。

 今回は2022年10月1日から委嘱された第8期委員会(委員長・鈴木秀洋日本大学教授)が同年12月に諮問を受けた。

 委員会では、不登校の状態にある小中学生が学籍を置いたまま通える「ゆうゆう広場」を利用する子どもや、「川崎市子ども会議」の子どもたち、多摩市民館の子育て支援事業「外国人の子育てひろば」の利用者などに、困ったり悩んだりした時の相談経験の詳細や、望ましい相談相手や相談方法について、ヒアリング調査を実施。さらに定時制高校の「居場所カフェ」の運営スタッフや「子ども会議」の担当職員、「子ども夢パーク」のスタッフらに意見を求め、相談態勢や他機関との連携・協力体制、相談・救済の好事例について調査した。

 調査では「誰に相談したらいいか分からなかった」や「スクールカウンセラーには大事なことじゃないと相談しようと思わない」、悩みを相談しても「答えにがっかりした」といった生の声を拾い、具体的な課題を抽出。そのうえで、「相談・救済に関する各種取組への絶え間ない検証・効果測定の実現」や「相談・救済機関の選択肢を拡充し、利用促進のための環境整備の実現」、「子どもの相談・救済を担う人の待遇改善と人員増員、充実した研修内容の実現」など、5つの提言を答申に盛り込んだ。

 答申の内容は関係部署に共有され、2026年度中に対応を公表する。

GO!GO!!フロンターレ

エバラ食品とFRO CAFEがコラボ

 川崎フロンターレオフィシャルカフェ「FRO CAFE」が、エバラ食品工業株式会社の商品を使用したメニューを、6月13日(金)まで期間限定で販売中。

 通常の揚げ物に比べて脂質などが控えめな「ノンフライ米粉からあげ」(1200円)には、ガーリックオイル風味の中辛の焼肉のたれ「黄金の味 旨にんにく 360g」を使用。ごはん(炭水化物)や野菜(ビタミン・ミネラル)など、多様な食材が組み合わさった「ビビンバ丼」(1200円)は、「黄金の味 濃熟 360g」で濃厚な味わいに仕上げた。

 エバラ食品のウェブサイトでは、スポーツ栄養学の視点から考案されたレシピの特徴や選手のコメントなどを紹介する特設サイト「食べて共に戦おう!エバラ×川崎フロンターレ コラボ飯‼」を公開中。今回のコラボメニューのレシピも紹介されているので、家で作ることも可能だ。

 問い合わせは同カフェ【電話】044・767・6111。