横須賀・三浦版【5月23日(金)号】
上地市長(左)と野口社長

横須賀市 AIで糖尿病リスク特定 健康データベース会社と協定

 横須賀市は5月19日、糖尿病の発症リスクが高い市民をAIで抽出し、早ければ今年度から希望に応じて生活改善などの指導を実施すると発表した。約400件を超える健康保険、共済組合との取引があり、累計約2000万人の健康データを有する(株)JMDC(本社・東京都港区)との包括連携協定に基づくプロジェクト。同社のデータをもとに、11月以降を目途に保健師が直接指導する。

11月以降に保健指導

 市によると、AIを用いて健康診断などのデータを個人に結びつけ、保健師につなげる取り組みは全国初。分析対象となるのは40歳以上の国民健康保険加入者のうち、特にリスクが高い200人で、2026年度から後期高齢者医療制度に加入している人も含める。分析対象者は約5万5000人から約13万人に拡大する見込み。

 上地克明市長は会見で「健康推進都市として、新たな歴史を作ろうと取り組んでいる。様々な健康相談が寄せられているので、人生100年時代の現在、できることを考えていきたい」と語った。また、プロジェクトの一環として、26年度以降は要介護リスクの高い市民に対しても指導を実施予定。対象を75歳以上に拡大する。

 同社は医師・看護師などの専門家約130人が在籍しており、データ管理や疾患の予測モデル構築を行う。

 同社の野口亮代表取締役社長は「医療スキル、リソースの最適な配分を考えるとともに、市民の健康リテラシー向上につなげることが我々の役割。ぜひ実現したい」と期待感を示した。

 今後は7月から9月にかけてデータ分析を行い、10月ごろにリスクが高い市民をリスト化して抽出し、通知した上で保健師が指導する。通知方法について、市の担当者は「今後検討する」とした。

 市は24年度、「健康推進プランよこすか」を策定し、市民が日常生活を問題なく過ごせる期間「健康寿命」の延伸を目標に掲げた。市が公表したプラン概要によると、市民の平均健康寿命は22年時点で男性79・9歳、女性84歳。男女ともに10年間で約1・5歳程度延びた。

 同プランに基づき、悪化すると失明など生活に支障をきたす症状を伴う糖尿病を予防しようと、膨大なデータと知見を有する同社と協定の締結を決めた。

 上地市長は「より多くの市民に、データ分析の恩恵を受けてもらいたい。ビッグデータを活用できることは非常にありがたい」と述べ、対象となる市民に対し「生活状況は様々なので、それぞれに応じて適切なメッセージを与えられれば。リスクを見つけ、改善の機会にしてほしい」と呼びかけた。野口社長は「データ、ノウハウを自治体とともに活用できれば。健康を先回りして、サポートしていきたい」と語った。

北下浦の山にひっそり佇む「大根石」

長沢駅周辺商店会 「低山ハイク」に商機 三浦富士、大根石伝説で誘客

 初心者でも気軽に挑戦できる「低登山」ブームを受けて、京急長沢駅周辺に広がる「長沢サンリヴ商店会」では、三浦富士(標高181m)のハイキングを促す仕掛けづくりに取り組んでいる。付近の散策路に「大根石」と呼ばれる人の背丈を超えるおむすび型の巨石が鎮座しており、大蛇が住んでいたという民話がある。この逸話を掘り起こして観光客誘致につなげる考え。伝説にちなんだツアーの造成や関連商品の開発を進めている。

 大根石は久里浜霊園の裏山にあり、大蛇が住んでいたという言い伝えがある。その蛇が対岸の房総半島の鋸山にいる雌の蛇に会いたいと願い、海を渡るために投げ込んだのが北下浦海岸にある「三ッ磯」とされており、干潮時に姿を現す。「大根石の大蛇」の民話では、この石に願をかけると恋愛が成就することが語り継がれており、同商店会では運気が上がるパワースポットに位置づけて地域の宝として育てていく。

 アウトドアアクティビティを提供しているYOKOSUKA OUTDOORSでは、駅近の立地を生かし、三浦富士の登頂に絡めて伝説を紹介するガイド付の散策ツアーを計画。夜間にライトを照らしながら現地を訪れるユニークな企画も検討している。洋菓子店のカシュカシュは、大根石を模ったクッキーの販売を開始したほか、飲食店でも三ッ磯をモチーフにしたメニューづくりを急ぐ。取り組みの主導者のひとりである原良一さんは、「埋もれた小さな歴史を磨き上げて地域に元気を呼び込みたい」と意気込んでいる。

「須藤オルガン工房」の主宰者で現在、横須賀美術館で特集展示が行われている 須藤 宏さん 横須賀市根岸町在住 79歳

信念は細部に宿る

 ○…デザインから設計、工作、整音、調律にいたるまでオルガン製作に携わり約60年。公共施設や大聖堂、劇場などこれまで20余台のオルガンを手掛けてきた。「納期が遅れても、赤字になっても、質の良い品をつくりあげる」。決して手を抜かず、真正面から向き合う姿勢が仕事の信条だ。

 ○…三浦郡逗子町(現逗子市)生まれ。雑誌や専門誌などから情報を得ては、アマチュア無線機をつくるなど子ども時代からモノを作ることには一層心を惹かれた。オルガンとの出合いは中学生の頃。当時では珍しい電子オルガンを目にした時だった。「構造はどうなっているのか」「どうすれば動くのか」。調べ、尋ね、手を動かしてみる。幼い頃から醸成されたモノづくりへの好奇心が入口となり、作り手への道を切り拓いた。

 ○…大学卒業後は国内とドイツの製作所で経験を積み、1977年には同国で日本人初の「オルガン製作マイスター」に認定。帰国後に工房を開き、日夜作業に没頭する日々を送る。少しの手抜かりがあった自身の過去の作品を顧み「やり直しはいとわない。完成間近でもひずみがあれば一からつくる」と強く心に誓う。

 ○…30数年ほど前に受けた新設の公共施設に設置するパイプオルガンの依頼では、地元の楽器代理店から、依頼主との間の仲介を迫られることに。しかし「商行為の費用があるならば、製作につぎ込みたい」と信条を貫き、依頼を完遂。「あなたは正しかった」。落成式では代理店の社長からそう告げられた。依頼者の声と、製作に真摯に向き合う姿勢を見てなのか。「あの言葉は嬉しかったね」。信ずるところに従うことで物事は良い方向に動く。信念は曲げない。

日産追浜工場 上地市長は動向注視 地元からは不安の声

 日産自動車が発表した再建計画に、横須賀市にある追浜工場の閉鎖が含まれているという報道に対して5月19日、上地克明市長は記者会見を開き、「日産側から憶測によるもので事実ではないとの報告を受けた」と説明した。同日に同社の役員が上地市長を訪れ、今後検討を進めるにあたっては情報共有を行っていくことを伝えたという。

 追浜工場の従業員4千人の内、正社員1000人、アルバイト600人が市内在住者。部品供給を行っている地元企業も数多あり、横須賀経済の中核を担う。上地市長は正式決定ではなく現時点で対策を講じることはないとしたが、動向を注視していく考えを示した。

 一方で地元の動揺は収まらない。追浜駅近くで飲食店を営む下澤敏也さんは「工場と商店街が連携してイベントを開催するなど良好な関係を築いてきた。再始動した野球部を応援する後援会の立ち上げも進めていたところ」と不安をこぼした。追浜商盛会の織田俊美代表理事は「駅前再開発を工場閉鎖と結び付けて風評被害を受けることを危惧している」と話した。

氏子らによって神社の境内に建てられた男神の御柱(右)

大津諏訪神社 並び立つ「夫婦御柱」 創建1200年の奉祝行事

 横須賀市大津町に鎮座する大津諏訪神社で5月17日・18日の両日、創建1200年の奉祝行事「御柱祭」が執り行われた。初日はあいにくの雨に見舞われたが、長さ12m、重さ約6・5トンのもみの巨木を威勢のいい掛け声と鳴り物とともに神社に運び込む「里曳き」、2日目は神前に奉納する「建御柱」を挙行した。長野県の諏訪大社の氏子ら約200人も応援に駆け付けた。2日間で同神社の氏子や見物客のべ1万人が集まり、節目を祝った。

 大津諏訪神社は824年、諏訪大社から御分霊を頂いたことがルーツとされる。2014年には諏訪大社の女神を祀る下社から御柱を譲り受け、今回は男神の上社から運ばれ建てられたため、「夫婦御柱」が出現することになった。

 一大神事を成し遂げた運営委員長の長森修さんは「諏訪の大木が大津の里におりて神となった。『御柱祭』を通じて地域の一体感を得ることができた」と感慨ひとしおに話した。

補助金交付が決まった各団体の代表者と上地市長(中央右)

市民協働推進補助金 市長「ともに生きる横須賀を」 8団体を認定

 横須賀市は5月19日(月)、芸術イベントや高齢者向けの運動教室など社会活動を行う市民団体に「市民協働推進補助金」を交付した。2月にプレゼンテーションによる審査を行い、8団体が合格した。交付額は19万7000円から50万円。

 交付対象となったのは、健常者と障がい者が即興で絵を描き合うイベント「筆ロック」実行委員会(田ノ岡高志代表)、古民家を活用して不登校児童向けの居場所づくりを行っている「むすびぃと」(池井将代表)など。

 同日に市役所で交付式が行われ、上地克明市長が目録を手渡した。上地市長は「行政がカバーできない部分を、市民の皆さんが行動力を持って助けてくれる。知恵を生かして、ともに生きる横須賀を作り上げていきたい」と語った。

 その他の交付団体と事業内容は次の通り。

 ▽NPO法人あかり=悩み事を話し合う場「リカバリーカレッジ」の設置▽地域を明るくするリハビリテーション専門職の会横須賀=町内会等での運動教室の定期開催▽COLOMAGA YOKOSUKA制作実行委員会=子どもたちによる地域情報誌の制作▽NPO法人プラットファーム=多世代の市民による子ども見守り拠点の運営▽横須賀の2040年を考える会=上町周辺での暮らしの拠りどころ創出▽一般社団法人NELD=世代をまたいだファッションショーを開催。

横須賀・三浦市長選 有権者に判断材料提供 JC主催で動画展開

 6月に予定されている横須賀、三浦の市長選に向け、両市のまちづくり団体「青年会議所」(JC)は、市民の市政への意識高揚を図るため、各立候補予定者らによる公開討論会や政策方針を語る動画配信などを企画している。

 横須賀JCでは6月4日(水)、無観客による討論会を実施。その様子を同団体のYouTubeでライブ配信する。午後7時から8時45分。

 三浦JCでは、討論会は行わず、6月9日(月)午後7時に立候補者それぞれが語る主張を動画にまとめ、公開する。横須賀同様、同団体のYouTubeに投稿する。

 5月20日現在、横須賀市長選には元市議の小幡沙央里氏、現職の上地克明氏、共産党三浦半島地区委員会常任委員の爲壮(ためそう)稔氏の3氏が、三浦市長選には、新人で元会社員の出口嘉一氏、現職の吉田英男氏の2人が出馬表明している(並びは五十音順)。

 当日の閲覧は各団体のYouTubeから。問い合わせは横須賀JC【携帯電話】090・5812・0847(中島さん)、三浦JC【携帯電話】090・1659・0858(小林さん)。

仕舞を披露する森さん(同会提供)

野外で見る伝統芸能 三浦市の個人宅で能楽の公演

 神奈川県を拠点とした能楽(観世流)の同好会「白謡会」による公演が5月25日(日)、三浦市の黒崎の鼻付近の個人宅で開かれる(雨天時は初声町の神田黒崎区会館)。初声地区を拠点に活動する市民グループ「うぶごえ」の主催。

 室町時代に成立した日本の伝統芸能である能楽。面をつけたシテ方を中心に、ワキ方、狂言方、囃子方が演じる幽玄の世界が特徴だ。歴史物語や伝説を題材にしたものが多く、歌舞劇的な要素と、洗練された様式美を併せ持ち、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている。

 同会は新潟や長崎、熊本県に支部を持っており、60人が在籍。今回は会員の高齢化や減少などを受けて、少しでも興味を持ってもらおうと、三浦市在住で同会とうぶごえの両方に在籍する森庸一さんを中心に企画が成立した。

 当日は、声楽的要素を伴う「謡」や、面や装束をつけず喜怒哀楽、慈しみを表現する「仕舞」などが披露される。

 開演は午後1時から(開場午後0時30分)。入場料500円(子ども無料)。会場の詳細な住所は、ギャラリー&ティーサロンなごみ【電話】046・887・1338に申し込む際に確認する。

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青袈裟をまとい連行列で法蔵院周辺を練り歩いた隆正さん

津久井「法蔵院」 開創820年祝う法要 副住職の就任披露も

 横須賀市津久井にある五劫山法蔵院で5月18日、開創820年と浄土宗の開宗850年を記念した「令和慶讃法要」が開かれた。同院が経営する津久井幼稚園の園児約30人が、華やかな衣装で近隣を一周する「稚児行列」や、弦楽器ユニットJEWEL(ジュエル)の特別コンサートなどが企画され、節目を盛大に祝った。

 同院は1204年、明円上人により天台宗の寺として開創され、後に浄土宗に改宗したとされる。

 余郷有聡住職(61)は55代目で、副住職には新たに実息の隆正さん(24)が就任。法要では、満開の桜が描かれた青袈裟を身にまとった隆正さんが初めて導師を務め、「南無阿弥陀仏」の念仏を唱えて檀家の無病息災を祈願した。

 有聡さんは「『南無阿弥陀仏』と唱えれば、誰でも極楽浄土に行けると教えているのが浄土宗。ここまで脈々と受け継がれてきた教えを広めてほしい」と期待を寄せた。隆正さんはスノーボード選手、津久井幼稚園の職員、僧と3足のわらじを履く。今後について、隆正さんは「恩返しをする意味でも、寺を継いで、浄土宗を次の世代につなげたい。三つの生活が、それぞれ良い方向に影響すれば」と語った。

 同院では、仏教の開祖である釈迦の誕生祭や、経典の勉強会などを定期的に開催している。

横須賀市久村にある水田

整然と並ぶ緑豊かな稲 横須賀市久村に広がる水田風景

 全国各地で田植えの時期を迎える中、横須賀市内でもゴールデンウィークから5月中旬にかけて、田植え作業が進んだ。久村にある個人所有の約15アール(1500平方メートル)の田んぼでは、5月初旬ごろに植えられた苗が整然と並んでいる。

 同地の水田で収穫された米は市場に流通しておらず、個人で消費しているもの。収穫したあとは家族などで分けるという。

 物価高が取り沙汰されている昨今。中でも米価格の高騰は際立っている。農林水産省がまとめた統計によると、全国のスーパーで5月5日から11日までの1週間に販売された米5キロあたりの価格は4268円。前週比で1・3%増、前年同期比では102・5%の上昇を見せている。

宮崎県立芸術劇場アイザックスターンホール(宮崎県宮崎市/1993年)撮影:須藤宏

横須賀美術館 音と形 オルガン製作の魅力 須藤宏さんの特集展示

 横須賀市西浦賀にパイプオルガン専門工房を構える須藤宏さん=人物風土記で紹介=の製作過程が分かる写真や模型などから、オルガンの新たな魅力に迫る所蔵品展「須藤オルガン工房の半世紀 その音と形」が横須賀美術館(鴨居4の1)で開かれている。

 須藤さんは1977年、渡独先で日本人初の「オルガン製作マイスター」に認定。同年帰国したのちに工房を開き、全国各地の公共施設や劇場、大聖堂などからの依頼を受け、これまで約20台を生み出してきた。

 オルガンの構造やパーツ、どのようにつくられるのか-。今回はこれまで手掛けた約10台の模型や製作途中の写真、図面などを展示し、オルガンという楽器の知られざる内側や製作の裏側に迫る。須藤さんが使用している道具なども展覧する。

 会期は7月6日(日)まで(6月2日(月)は休館)。問い合わせは市コールセンター【電話】046・822・4000。

 会期中の6月21日(土)にはポジティフ(移動式小型オルガン)を中心としたコンサートもある(午後6時30分開演)。抽選60人。参加無料だが、同展示の観覧券が必須。締切は公演日の2週間前まで。横須賀美術館HPから申し込む。

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三浦半島建物改修工事業協会 地域防災を下支え

 建設事業26社で構成する「三浦半島建物改修工事業協会」(MBRA)は5月20日、若松町のセントラルホテルで通常総会を開催した。

 同会は岡田成煥代表理事(富士防)=写真=の発案で2020年6月に発足。会員の相互連携で建物改修工事の技術力向上や地域貢献に取り組んできた。

 重点事業として、横須賀・鎌倉・逗子・三浦・葉山の4市1町と地震や風水害の際に防災拠点となる建物改修応急措置に関する防災協定を締結。この日の総会で挨拶した岡田代表理事は「三浦半島の防災活動を下支えする基盤を構築することができた」と報告した。このほかに横須賀市の要請に基づき、被災時に一般住宅の破損瓦屋根の応急処置に使用するブルーシート展張作業の講習会の実施や作業用消耗品備蓄の依頼要請に取り組んできたことなどを伝えた。今秋には、横須賀市の総合防災訓練に展示参加する意向も示した。

あの震災を忘れない 「劇団Y劇場」の2人芝居

 大震災で失われた命の尊さをテーマにした舞台「鯔(ぼら)」が6月15日(日)、市民劇団「劇団Y劇場」の主催で開かれる。

 30年前の阪神淡路大震災と14年前の東日本大震災をそれぞれ経験した2人の女性が横須賀中央で邂逅する物語。神戸と石巻でボランティア活動に従事していた男性を追って辿り着いたのが横須賀。唯一の手掛かりは、米海軍基地前のバーでバーテンダーを務めているという情報のみ。2人が思い出話を語り始めるとドラマのような事実が浮かび上がってくる─。

 同劇団代表の五月女ナオミさんと横須賀シニア劇団「よっしゃ‼」所属の増井ナオミさんによる会話で展開する2人芝居。「人も場所も移り変わるが、私たちは震災の過去を忘れずに生きなければならない。過去・現在・未来を考える契機に」と五月女さん。

 午後3時開演。会場は横須賀中央の三笠ビル商店街内「地球堂」2階スタジオ。入場料1500円。問い合わせは【携帯電話】080・6535・2720。

挑戦、逆境の人生哲学 「八日会」講演に杉谷氏

 横須賀を拠点に活動する青年経済人の団体「横須賀青年八日会」は6月9日(月)、元プロ野球選手で現在はYouTuberとして人気を誇る杉谷拳士=写真=さんを迎えて講演会を開く。

 杉谷選手は高校野球の名門、帝京高校から2008年に北海道日本ハムファイターズに入団。スイッチヒッターとして活躍するとともに、持ち前の明るいキャラクターで人気を博した。

 今回の講演では、現役時代から貫いてきた「挑戦する姿勢」「逆境を跳ね返す力」に加えて「人に愛される処世術」など、杉谷流の人生哲学を余すことなく語る。

 会場はヨコスカ・ベイサイド・ポケットで午後7時開始。定員先着200人。参加費2000円(中学生以下無料)。問い合わせは【メール】youkakaijimukyoku@gmail.com【携帯電話】090・5344・9925。

ヨコスカアートセンター 示崎マキ 木彫展

 多様な芸術と気軽に接することができる「ヨコスカアートセンター」(上町2の3の11)で造形作家の示崎マキ氏の展覧会「示崎マキ 木彫展」が開かれている=写真。会期は6月28日(土)まで。

 木彫の人形の各パーツを壁面に展示して、人形の頭部、胴体、手足などを個別に飾り、それぞれを自由に組み合わせることで一体の人形を出現させる新作も発表。組み合わせの数だけ異なる姿が生まれ、無限とも言える可能性を提示する。

 開館は木・金・土曜日の午前10時30分から午後6時30分。入場自由。

園2階のキッズルームで実施。水曜日はイベントなども

子育てママ、ホッと一息 田浦幼稚園の交流広場

 0歳から1歳の乳幼児を抱える母親がリラックスしてくつろげるスペースを提供しようと田浦幼稚園(横須賀市田浦町5の51)では、「てらこ かふぇ」と銘打った広場を開設している。

 核家族化が進んだ現代において、乳幼児の育児に励む母親は社会との接点が少なくなるため孤立しやすい。「激しく泣く我が子の対応の仕方がわからない。相談できる人も周囲にいない─」。そんな声に応えようと昨年9月にこの場所を立ち上げた。「離乳食のこと、子ども服のこと、寝返り時期など、当事者同士が集まって情報交換してもらう。プロのアドバイスを求めるのではなく、悩みや不安を吐き出すことができる空間」と杉山智子園長。居合わせた人たちの話を聞いて「自分だけではない」「そんな考え方もある」と安心感を得てもらいたいと話す。乳幼児にいる同園のスタッフも交流の輪に加わりながら、子どもたちの見守りを行っている。

 毎週水曜日と木曜日の午前10時から正午に実施。初回体験無料で2回目以降は500円の登録料が必要。定員5組で事前予約制。同園の駐車場が利用できる。同園のホームぺージ(https://taura-ed.net/)に詳細情報。問い合わせは【電話】046・861・0720。

大阪湾・天保山沖(大阪市港区)

OGURIをあるく 〜小栗上野介をめぐる旅〜第47回 大坂編文・写真 藤野浩章

 横須賀製鉄所の鍬(くわ)入れ式が行われた1週間前。ついに長州再征討の勅許が下り、幕府軍は出陣準備を進めていた。

 ところがその直後、英仏米蘭の連合艦隊が突如として大坂湾に現れる。日米修好通商条約に明記されつつも勅許が得られず延期となっていた兵庫(神戸)開港を要求してきたのだ。慌てた幕府は長州攻撃を遅らせることになってしまったが、鍬入れ式で横須賀に滞在していた小栗はさぞかし気を揉んだことだろう。

 しかし彼の頭の中には1つの確信があった。仏によれば、それは英公使パークスの発案で、さらに武器商人のグラバーを通じて薩摩の西郷隆盛と何度も面会しているという情報も入手する。犬猿の仲と言われる薩摩と長州が裏で手を結び、それを英が後押ししているのではないか──。小栗は大坂の幕閣にその懸念を急報する。すぐにでも長州を攻めなければ、薩摩と組んで一気に倒幕に向かってしまうことは明白。大坂の老中、阿部正(まさ)外(と)らは、まず兵庫問題を処理すべく、4国に無勅許での開港を伝える。

 ところが、それに猛反発したのが天皇側近の公卿(くぎょう)たちだった。しかもあろうことか、将軍家茂(いえもち)の側近である阿部らを目の上のこぶと見ていた一橋慶喜(よしのぶ)は、天皇に働きかけて彼らを罷免してしまう。そんな朝廷と慶喜の軽率な行動に、幕閣は怒りを露(あら)わにする。この期に及んで、政治の中枢ではとんでもない内輪揉めが起きていたのである。

 後から考えれば完全に薩長の術中にはまった瞬間だったが、遠く江戸にいる小栗は、その行く末がクリアに見えていたのではないだろうか。

 どうする、小栗。事態は切迫していた。