多摩区・麻生区版【6月6日(金)号】
高部さん(左)とペレーラさん

「言葉超えた多文化交流」 生田緑地で国際フェス

 スポーツやワークショップを通して異文化交流するイベント「生田緑地国際スポーツ&カルチャーフェスティバル ウィズTAROマルシェ」(スポカルフェス)が6月8日(日)、生田緑地(多摩区)で初めて開催される。川崎市の外国人市民代表者会議で委員長を務めたスリランカ人男性と、英会話教室を営む日本人男性がタッグを組み、川崎の「新しい祭り」を目指している。

グローバル運動会も

 「スポカルフェス」は、5万人以上の外国人が暮らす川崎で、スポーツや文化、「食」を通じた異文化交流の場を創出する試み。多国籍編成のチームで綱引きや玉入れを競う「グローバル運動会」と、さまざまな国の文化体験ができるワークショップ、子どもたちのダンスや外国のパフォーマンスが見られるステージなどがある「カルチャーフェスティバル」の二部構成で、諸国の食が楽しめるキッチンカーも出店。子どもたちが会場の外国人を訪ねて回る「地球まるごとサインラリー」もある。

 多摩区内で英会話教室を営む高部真生さんと、高津区在住のペレーラ・ラヒルサンケータさんが企画。「リアルな異文化交流の場を作りたい」と考えた高部さんが、知人を介してペレーラさんと知り合い、今年1月から2人で準備を進めてきた。

 「言葉の壁を超えて楽しむ場にしたい」と高部さん。ペレーラさんも「代表者会議の時から、こういうイベントを作りたいと考えていた。大いに盛り上げて川崎の新しいお祭りにしていきたい」と意気込む。

 会場は生田緑地内の岡本太郎美術館に隣接する広場(西口広場・母の塔広場)。運動会は午前10時から11時30分で、参加は事前申込み制。定員80人。参加費400円。カルチャーフェスティバルは午前11時から午後5時。

 加えて、このイベントにあたり、岡本太郎美術館「岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」入選作家が作品販売やワークショップで出店するアートマルシェ「TAROマルシェ」も合同で開催される。

 雨天時は縮小開催。イベント詳細・問い合わせは運営チーム【携帯電話】080・9007・0309。

トロフィーと賞状を手に、笑顔を見せる寺田さん

はるひ野小寺田さん バレエ米登竜門で1位に 強い精神力を武器に

 市立はるひ野小学校(麻生区はるひ野)に通う寺田羽那(はな)さん(6年)がこのほど米国・フロリダ州で行われた若手バレエダンサーのための国際コンクール「ユース・アメリカ・グランプリ」(YAGP)9〜11歳の女子「クラシック」の部で1位に輝いた。寺田さんは「多くの人に笑顔を届けられるダンサーになりたい」と、はつらつとした表情で夢を語った。

 このコンクールは、9歳から19歳までの若手バレエダンサーに、教育とパフォーマンスの機会を提供することを使命に掲げる非営利団体・YAGPが開催するもの。40カ国以上で地区予選が行われ、優秀な成績を収めたダンサーが米国で行われるファイナルに進める。

 寺田さんは、昨年10月に兵庫県で開催された日本予選に出場。9歳から11歳を対象にした「プリコンペティティブ部門」で最高位の「ホープ・アワード」を受賞した。全部門合わせて1千人ほどの参加者がいる中、各部門上位12人のうちの一人として、米国への切符を掴んだ。

「ダンサーの意地」

 「不安な気持ちもあったけれど皆の踊りを見て、ここに自分も立てるんだと楽しみになった」。ファイナルの会場で舞台上のライバルたちの姿を見て、心を躍らせたという寺田さん。一方で、既に知名度も高く、現地で多くの人に声を掛けられるなど、独特の空気も強く感じたそう。

 張りつめる緊張感の中、寺田さんは古典の名作『海賊』を披露。「音楽が軽やかで強弱がしっかりしている。振りも大好き」な作品だ。しかし、演技の途中ではバランスを崩したり、得意の回転技・ピルエットを失敗したりと、ミスが続いてしまったという。自身の演技を「60点くらい」と悔し気に振り返る。

 それでも、作品の高い理解度や技術が評価され、211人の頂点に輝いた。寺田さんを指導する「YARITA YU BALLET STUDIO」(稲城市)の鎗田優さんは「関係者からは、クラスレッスンの取り組み方などの評価も高かったと聞いた。ミスもあったが、切り替えの早さにダンサーとしての意地を感じた」と称えた。

失敗は成功のもと

 幼稚園年中の頃からバレエを始めたという寺田さん。元々ジャズダンスを習っていたが、合同発表会で見た華やかな衣装に目を奪われ、バレエダンサーとしての道を歩み出した。「バレエが好き。ずっと動いてずっと踊りたくなっちゃう」と愛は深まる一方だ。

 強みはメンタル面。コンクールに出場し始めた当初は、緊張から思うように踊れず、くよくよしてしまう時もあったが、今では「練習しなきゃと気持ちを切り替えられるようになってきた」と寺田さん。「辛いことがあっても寝れば治る。失敗してすぐの踊りは上手くなる」と力強く語る。

 夢は「いろいろな人に笑顔を届けられるお手本のようなダンサーになること」。今回の大会では賞品として英国にある名門「ロイヤル・バレエ・スクール」への短期留学の権利を得た。世界で刺激を受けながら、夢を叶えるため、舞い続ける。

「白山子ども図書館 ほんの森」を運営する「虹の会」の代表を務める 米倉 由布子さん 麻生区王禅寺西在住 66歳

温かな思い 本でつなぐ

 ○…絵本の読み聞かせなどを通じ、地域でのつながりを育む子ども図書館を運営する虹の会で、6年ほど前から代表を務める。地域社会に貢献する活動に取り組む団体を評価する2024年度の県ボランタリー活動奨励賞を今春、川崎市で唯一受賞。「この活動はやっぱり大事なことだと勇気や自信を持てた」と目を細める。常に良い本、安心する顔、穏やかな空気で包まれた場を目指し、仲間と共にまい進する。

 ○…「生きる力の源」でもある図書館活動の始まりは、長女が小学1年生だったころ。麻生区に転居したてで、子育て期特有の「何かが足りないような気持ち」になっていた時だった。現在の図書館の前身となる「私設ゆりがおか児童図書館」のチラシを偶然発見。「これだと思った」。笑い声が溢れる空間に足を踏み入れた瞬間から、集う人々に魅了され手伝うように。創設者の死や施設の老朽化などから閉館が決まった後も、そこに根差した思いを引き継ごうと、仲間と活動を再スタートさせた。

 ○…今幸せを感じるのは『男はつらいよ』の再放送を見る時間。末娘が幼少期に夢中になっていた作品を見返し、ケラケラと笑い、ほろりと涙する。「人のつながりを強く感じるから魅力的。自分たちの活動の出発点を思い出させてくれる」

 ○…数多あるやりたいことのほとんどが、図書館に訪れる子どもたちと共に何かを作ること。かつて麻生図書館と協働した、戦争がテーマの親子読書会の復活もその一つだ。今後、第2弾の開催や、沖縄に焦点を当てた企画も夢に描く。「本を読んでいるうちに、意識が子どもたちの中に降り積もり、祈りの土台になっていく」。絵本や児童書の持つ力を、子どもだけでなく大人にも伝え続けていく。

國谷涼太氏

今秋の川崎市長選 國谷氏が出馬表明

 任期満了に伴い10月26日に投開票される川崎市長選挙に、國谷涼太(くにやりょうた)氏(25)=麻生区片平在住=が無所属で立候補する考えを、5月23日の記者会見で明らかにした。

 國谷氏は大阪府和泉市生まれ。小学生の時に麻生区へ転居し、麻生小学校、麻生中学校、県立多摩高校、早稲田大学社会科学部を卒業。現在は東京都内のコンサルティング会社に勤務している。

 29日に本紙の取材に応じた國谷氏は、「今の川崎は強みを生かせていない。ポテンシャルを引き出し、もっと成長するまちにしていきたい」と出馬理由に言及。子育て世代の定着、規制緩和などによる企業進出、シニアの活躍などを促進する考えを示し、具体的な政策は国の動向を見極め、参院選後に明らかにするとした。「若すぎる、無謀だという意見があるかもしれないが、私には川崎の未来をもっと良くしたいという圧倒的な熱意と覚悟がある」と述べた。

 市長選への出馬意向の正式な表明は國谷氏が初めて。(6月3日起稿)
児童らの前で並んで自己紹介する寺子屋先生たち

地域の寺子屋 長沢小で開講 市内100カ所目

 川崎市が進める「地域の寺子屋事業」について市教育委員会は5月28日、長沢小学校(中西憲子校長/麻生区東百合丘)に、市内100カ所目、麻生区で16カ所目となる「寺子屋ながさわ」を開講した。

 市と地域が一体となり取り組む同事業は市教委が2014年度から始めた。シニア世代などの知識と経験を生かして児童の学習や体験を地域で支え、子どもたちの豊かな人間性の形成を図ることなどを目標に学校施設でさまざまな活動を行う。

 学習の場を学校活動以外にも作りたいと、中西校長が地域教育会議などに相談。1年程度の準備期間を経て、開講に至った。実施団体は寺子屋ながさわ実行委員会。東百合丘町会前会長の松澤武雄さんが実行委員長を務める。「子どもの居場所の提供に力を貸してほしいと頼まれ、うれしいリクエストだと感じた」と松澤実行委員長。「寺子屋先生」には、学区内に住む18人が手をあげた。

 2、3年生が対象で初日は登録児童35人のうち33人が参加。視聴覚室で算数や漢字の問題集に取り組み、寺子屋先生が寄り添った。小2の女児は「先生に引き算を教えてもらった」と喜んだ。寺子屋先生を務めた長山美穂子さんは「子どもたちが積極的に取り組んでくれた」と微笑んだ。「これを機に子どもたちが地域の方々ともっと顔を合わせ、地域を好きになってくれれば」と中西校長。市教委担当者は「世代間交流や生涯を通じて学べることを意識している。事業をさらに進めていきたい」と話した。

夏休みに福祉学ぼう 小学生向け 多摩川の里で

 多摩川の里身体障害者福祉会館(多摩区中野島6の13の5)集会室で7月29日(火)から31日(木)の3日間、「小学生のための福祉交流学習」と題した企画が行われる。無料。

 簡単な手話の練習や、目の不自由な人に分かりやすく伝える朗読、車椅子体験などを行う。

 定員20人で先着順。3日間全て時間は午前10時から11時30分。市内在住、在学の小学生対象(小学3年から6年向けの内容)。申込は6月20日(金)午前9時から同館窓口や電話で受付。(問)【電話】044・935・1359

登戸事件 忘れぬ日、6年

 多摩区登戸新町で、私立カリタス小学校の児童ら20人が男に刃物で襲われ殺傷された事件は、5月28日で発生から6年を迎えた。

 同校を運営するカリタス学園は15日、「お心を寄せてくださる皆さまへ〜事件から6年目を迎えて〜」と題してウェブサイトを更新。「二人の掛け替えのないいのちが失われ、たくさんの体と心が傷ついた記憶は消し去ることができませんが、皆さまのお気持ちを支えに、またどんな時にも神さまが共にいてくださることを信じて、これからも前を向いて進んでまいりたいと思います」などとメッセージを発した。

 多摩区では区や警察・消防、多摩防犯協会、区町会連合会、区PTA協議会ら各団体が、事件発生後の翌月から毎月28日を「多摩区子ども見守りの日」と定め、地域で見守り活動を続けている。

麻生区・山上千惺さん バタフライで全国へ

 麻生区細山在住の山上千惺(ちさと)さん(森村学園初等部4年)=写真=が、4月末に都内で行われたイトマンオープンジュニア長水路水泳競技大会に出場し、女子9歳以下のバタフライ50mで33秒96の好記録を出して同種目3位になった。8月の全国JOCジュニアオリンピックカップ夏季水泳競技大会の標準記録を突破し、参加資格を得た。

 自身初の長水路で、苦手のターンがないことが奏功。「最後の5mで、もう一度力を入れた」

 水泳デビューは生後6カ月。2歳でのけがを乗り越えて、体の柔らかさを武器にぐんぐん上達した。現在はメガロス町田に所属。「水に入らないと気持ち悪い」というほど水泳が大好きだ。「目標は五輪。JOでは練習の成果を思う存分発揮したい」と笑顔で語った。

麻生区黒川魅力を知る 6月28日

 麻生区黒川地域を巡る初夏のグリーンツーリズムが6月28日(土)に開催される。午前9時30分から午後1時頃。荒天中止。

 ジャム作りや夏野菜の収穫など。川崎市内在住・在学の小学3年生から中学3年生までの子どもと保護者(大人1人につき、子ども2人まで)が対象。定員16組32人程度。応募多数の場合、抽選。申込み(20日(金)午後5時まで)などは麻生区サイト。(問)区企画課【電話】044・965・5112

色づきだした境内のアジサイ=6月2日撮影

アジサイ1千株 咲き競う 6月15日 妙楽寺でまつり

 「あじさい寺」の名で親しまれる妙楽寺(多摩区長尾3の9の3)で6月15日(日)、「長尾の里あじさいまつり」が開かれる。同実行委員会主催、多摩区観光協会後援。

 今年で27回目。毎年、同寺の境内に咲き誇る約1千株のアジサイを楽しむ多くの人で賑わう。溝江光運住職は「昨年の猛暑で何本か枯れてしまったが他のアジサイは花持ちも良く、例年通りお楽しみいただけると思う」と話す。今年3月には参拝者が屋外で休憩できるあずまやを境内に建立。「自由にご利用ください」と呼びかける。

将棋塾を初開催

 今年も長尾こども太鼓の演奏で開幕。地元町会や協力団体による地場野菜や菓子、飲み物、軽食のほか、長尾町会環境美化部によるアジサイ苗の販売がある。野点も実施。加えて本堂では小学生を対象にした将棋ワークショップ「こども将棋塾」を初開催。プロ棋士による実演や指導対局などが予定されている。午前10時30分から午後0時30分。参加者募集中。事前申込制。詳細は同寺。

 同寺に向かう道路、通称アジサイロードも人々を出迎える。例年、長尾の里あじさい保存会や長尾町会、有志らが下草刈りや清掃を行っている。実行委員長で同町会会長の井田良一さんは「準備を整え、皆さまをお迎えします」、保存会の井田光政会長は「あずまや、トイレの整備も完了し、ゆっくりあじさいを鑑賞いただける環境が整った」と語る。

 まつりの開催は午前10時から午後2時。雨天決行。駐車場なし。詳細・問い合わせは同寺【電話】044・922・3653。

あじさい号臨時便

 当日はJR久地駅・妙楽寺間をコミュニティバス「あじさい号」直行便が臨時運行する。

参加チームを募集中 麻生区ボッチャ大会

 麻生区スポーツ推進委員会が主催する第4回「麻生区ボッチャ大会」が7月13日(日)に行われる。6月30日(月)まで参加チームを募集している。

 開催場所は麻生スポーツセンターで午前9時45分から。参加費無料。対象は麻生区内に在住、在勤、在学の小学生以上。1チーム3人以上。定員は32チームで、応募多数の場合、抽選となる。

 優勝チームには、来年1月に開催される第4回「川崎市長杯ボッチャ大会」への出場権が付与される。申し込みや大会詳細は麻生区役所のウェブサイト。問い合わせは麻生区地域振興課【電話】044・965・5370。

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段ボールで作られた甲冑を着て写真を撮る親子

「制作やめてはいけない」 高齢者作品展、好評博す

 麻生区在住の高齢者による「あさお芸術作品展」が5月30日から6月1日まで麻生市民館で開かれ、延べ497人が会場を訪れ盛況を博した。

 作品を披露することで高齢者に元気になってもらおうと、福祉に携わる有志が企画した展示会。全て本物の草木で作ったという小品盆栽を出展した土屋憲三さん(86)は「皆さんの関心を感じ、説明するのも楽しい。作るのをやめてはいけない。やめないことで若返るし勉強する意欲につながる」と話していた。発案者でケアマネジャーの小泉悦子さんは「プロ並みの作品に来場者の皆さんが感嘆の声をあげてくださった。今後も継続していきたい」と述べた。

昨年度の活動の様子

(一社)サステナブルマップ 「マイクラ」で新百合学ぶ 小中高生の参加者募集

 (一社)サステナブルマップ(麻生区上麻生/今井雄也代表)は、麻生区在住・在学の小学4年生から高校3年生を対象にした事業「新百合ヶ丘マインクラフト化計画」の参加者を6月22日(日)まで募集している。

 ブロックで構成された仮想空間の中で、ものづくりや冒険を楽しめる人気ゲーム「マインクラフト」。今回の企画は、まちをけん引する若者の育成を目的に、教育版の同ゲームと都市データを用いて「未来の新百合ヶ丘」をデザインする体験型プログラムだ。

 同法人は、小中学生を対象にした「麻生区SDGs推進隊」の活動を2021年にスタート。区内で実践されている取り組みを可視化できる地図作りや、企業と協働した体験活動を行ってきた。

 5年目になる今年度は、「推進隊」の名を「サステナブル未来ラボ」にリニューアル。今年度の「麻生区市民提案型協働事業」に採択された今回の企画などを通じ、自己探求学習の場を提供していく。

 期間は7月から来年2月。会場は主に麻生区内の施設かオンラインを予定している。定員は最大40人。申込み、費用などの詳細は同法人の公式LINEから。(問)同法人【電話】044・400・1900、【メール】info@sustainablemap.org

堀川圭輔氏

参院選 NHK党 堀川氏擁立へ 受信料制度見直し訴える

 参院選神奈川選挙区(改選定数4)にNHKから国民を守る党が会社員の堀川圭輔氏(51)を擁立することを決めた。

 堀川氏は2022年の参院選静岡選挙区、23年の豊島区議選に同党から立候補して落選している。5月29日の会見で「NHKの受信料制度は今の時代に合っていない」と述べ、受信料を支払った人だけが視聴できる制度の導入を訴えた。

(写真右)福田市長と篠山選手(写真下)左から篠山選手、北GM、川崎社長

川崎ブレイブサンダース 「来季は上位」意気込み 篠山選手ら市長表敬訪問

 男子プロバスケットボールのBリーグ2024-2025シーズン終了に伴い、「川崎ブレイブサンダース」の川崎渉社長と北卓也GM、篠山竜青選手の3人が6月2日、福田紀彦川崎市長を表敬訪問した。

 長らくチームの要だったニック・ファジーカス選手が昨年引退し、ヘッドコーチが交代して首脳陣が外国人になるなど、今季は大きな変化が続いた。そのため18勝42敗で中地区8位と厳しい成績だったが、5月30日のBリーグ年間表彰式では、各部門の優秀選手として篠山選手が「B1ベストFT成功率賞」を受賞し、チームのキャラクター「ロウル」が、マスコットオブザイヤーに輝くなど、最終盤に明るい話題も聞かれた。

 川崎社長は「シーズン後半に若い選手が加わり、目指すバスケが形になった。敗戦が多くてもポジティブに取り組めたことは来年につながる収穫だった」と前向きに総括し、北GMは「来シーズンは上位を狙いたい」と宣言。主将としてチームを率いた篠山選手は「来シーズンは新体制2年目なので、結果を出さなくては。すでにオフを返上してトレーニングを始めた選手もたくさんいる。引き続きご声援をお願いしたい」と意気込みを語った。

 福田市長はBリーグの「オールスター」に密着したテレビ番組での篠山選手の「活躍」にも触れ、「リーグ戦で強いことも大事だが、ブレイブサンダースの存在が川崎を元気にしてくれる。若い世代のバスケ教室など地域での取り組みもありがたい。来季も色々な意味で活躍をお願いしたい」と感謝を伝えた。

 訪問後の取材では来季の課題について、篠山選手は「強いチームと比べると細かいプレーの質の部分が欠けていた。強くなるために、そこを突き詰めてやっていく」と語り、ファンサービスについても、「川崎の皆さんにもっともっとブレイブサンダースを応援していただけるよう、まだまだやります」と断言した。

(上)パプアニューギニアの武具など国内外の仮面や神像を展示する企画展会場(下)岡本が国内外で撮影した写真

岡本太郎美術館企画展 「太陽の塔」地下展示とは 民族学との出合い解説

 1970年の大阪万博のレガシーとして知られる岡本太郎の代表作「太陽の塔」について、文化庁の文化審議会が5月16日、重要文化財への指定を答申した。これに先立ち川崎市岡本太郎美術館(多摩区)で開催中の企画展「岡本太郎と太陽の塔-万国博に賭けたもの」では、「太陽の塔」の足元の地下展示に焦点を当て、民族学的な観点から岡本が「塔」に込めたメッセージをひもといている。

 岡本太郎の「太陽の塔」は、55年前に大阪府吹田市で開かれた大阪万博のテーマ館として建設された高さ約70m、基底部の直径約20mの構造物。大阪万博で「テーマ展示プロデューサー」を任された岡本は、工業化・近代化を礼賛する従来の万博に否定的な立場から、「塔」を中心とするテーマ展示を構想した。

 岡本太郎美術館では大阪市で開催中の関西万博にあわせ、「太陽の塔」の足元の地下展示に焦点を当てた企画展を開催中だ。2000年に開かれた「太陽の塔からのメッセージ展」では展示できなかった地下展示に焦点をあてている。

なまなましい実感

 岡本は地下展示を考えるうえで、「過去-根源の世界」をテーマに据えた。その狙いを自著でこう述べている。「人間が(略)どのような手ごたえで生をたしかめてきたか、そのなまなましい実感をつきつけたい」

 イメージを具体化するため、東京大学や京都大学の学生約20人を47の国や地域に派遣し、神像や仮面、生活用具などの民族資料約2600点を収集。それらを「塔」の足元の地下空間に配置し、生活の知恵や神聖なものへの祈りを表現した。

 今回の美術館の企画展では、当時の地下展示のイメージを基に国内外の仮面や神像を展示しつつ、パリ時代の民族学との出合いや、国内外の習俗を知るための取材旅行で撮影した写真や論考を展示。「塔」の構想スケッチや制作現場の記録映像なども見られる。日本工業大学(埼玉県宮代町)のプロジェクトチームが7年がかりで制作した、「塔」を追体験できるVR作品「甦(よみがえ)るVR太陽の塔」の上映もある。

 担当学芸員の喜多春月さんは「岡本は従来の万国博とは異なるものを目指したが、その背景となったのが民族学との出合い。パリでの学びや国内外でのフィールドワークが、どのように『塔』につながるかをご紹介している」と話す。企画展は7月6日(日)まで。

高津市民館で開かれた金賞受賞者らの表彰式の様子。前列中央は応援サポーターで俳優の風間トオルさん

健幸福寿プロジェクト 計459人の要介護度が改善 10期の参加者募集中

 川崎市独自の介護施策である「かわさき健幸福寿プロジェクト」が今夏で10期目を迎える。第8期までに2千以上の事業所と3千人以上の高齢者がプロジェクトに参加して状態の改善に挑み、459人の要介護度が改善した。

 「かわさき健幸福寿プロジェクト」は、要介護度の改善と維持に積極的に取り組んだ市内の指定介護保険事業所(介護サービス事業所)を応援するため、市が報奨金などで支援する制度。要介護認定で1から5の状態にある利用者(高齢者)が、事業所と共に一定の取り組みを続け、要介護度が改善した場合に利用者本人を表彰し、事業所に報奨金を贈る仕組みだ。

 プロジェクトが本格スタートした2016年から、集計が完了した第8期までの参加業所数は延べ2355カ所で、参加した高齢者数は市内の介護サービス事業所を利用する3393人だった。

 第8期の参加者551人のうち要介護度が改善したのは85人で、高齢者の身体機能を測る指標「日常生活動作」(ADL)が改善した人は6人だった。改善した利用者を支える各事業所が対象となる報奨金は、延べ219事業所に贈られた。

杖なしで歩きたい

 第8期に要介護度が改善して「金賞」を受賞した黒木則行さん(77)のケースでは、脳出血の影響で左手足に麻痺や感覚障害が残ったため2022年1月に「要介護4」と認定されたが、本人が「杖なしで歩きたい」と強く希望した。介護支援専門員や福祉用具専門相談員、理学療法士などがチームケア体制を整えて黒木さんのリハビリをサポートした結果、杖は欠かせないものの毎日1時間ほどの歩行が可能になった。

 23年10月には「要介護2」と2段階の改善がみられ、金賞受賞後も「同窓会に参加する」などの目標を設定し、チームケア体制でリハビリに励んでいるという。

 市では今年7月から来年6月までの第10期の参加者を募集中だ。介護サービス事業所が利用者の希望と意志を確認のうえ、オンラインまたは書面で市に申し込む。市の担当者は「介護の現場を応援するプロジェクト。多くの事業所に参加してほしい」と話している。

 問い合わせは市高齢者事業推進課【電話】044・200・2454。

水道管の更新工事=川崎市提供

京都の冠水事故受け 川崎市 水道管調査「異常なし」

 川崎市は4月に京都市で発生した水道管の漏水事故を受け、老朽化した水道管の緊急調査を実施した結果、異常は確認されなかったと発表した。

 今年4月30日、京都市の中心地で地中に埋設された鋳鉄管(ちゅうてつかん)(水道管)から漏水し、大規模な冠水事故が起きた。この事故は66年前に埋設された水道管が破損し、穴が空いていたことが漏水の原因とみられることから、国土交通省は5月7日、「緊急輸送道路下に埋設されている鋳鉄管の緊急調査」の実施を全国自治体に要請した。鋳鉄管は、昭和30年代までに採用されていた水道管で、現在の「ダクタイル鋳鉄管」に比べ、素材が衝撃に弱いという。

 市はこれを受けて5月13日から21日までの間、緊急輸送道路の下に埋設されている鋳鉄管を対象に、地表への漏水や路面の段差などの異常の有無を、目視で確認。その結果、異常は確認されなかったという。

 市では地震時に破損などの被害が想定される鋳鉄管を「老朽管」と位置づけ、優先的に更新工事を進めてきたという。市内の水道管総延長約2500Kmのうち、2023年度末の時点で約10Kmの「老朽管」が残っており、今回はこのうちの計4Kmを緊急調査の対象とした。

昨年度の最優秀賞の献立を味わう福田紀彦市長と受賞者

中学校給食献立コン 今年度も募集開始 サブテーマ「ご飯がすすむ」

 川崎市教育委員会は、中学校の生徒と保護者が給食の献立を考える「中学校給食献立コンクール」の応募作品を募集している。8月27日まで。

 このコンクールは2017年に市の「みんなで創る『健康給食』」の取り組みの一つとしてスタート。市立中学校に通う生徒やその保護者を対象とする「生徒部門」と「保護者部門」があり、「生徒部門」の献立は主食、主菜、副菜、汁物がそろう1食分、「保護者部門」は「副菜」1品を応募する。

 今年のサブテーマは「ご飯がすすむおいしい献立」。市教委によると、給食で提供されるご飯を残す生徒も多く、ご飯の残食率はほかの食材より高い約1割。カレーや親子丼のようにご飯に具材がかかっている場合は完食する生徒が増えるが、ご飯が単体で提供される日は、残食率が上がるという。

 審査のうえ10月上旬に最優秀賞やアイデア賞(生徒部門のみ)などの受賞者を発表する。最優秀賞の生徒の献立は来年1月、保護者の献立は2月に給食で提供される。

 応募用紙に必要事項を記入し、学校に提出する。保護者はオンラインも可。問い合わせは市教委健康給食推進室【電話】044・200・2158。