中原区版【6月13日(金)号】
「多くの人に参加してほしい」と呼び掛ける須田さん(右)と今西さん

下小田中須田さん ごみをアートに地域活性 高校生が新丸子で初企画

 「拾ったごみで街を活性化したい」下小田中在住の高校3年生・須田友寿さん(17)が企画する「アップサイクルアートイベント」が6月29日(日)、新丸子駅西口前広場で開催される。小学生でも楽しめる作品づくりを通し、親子で地域や環境問題に目を向けてもらうことが狙い。

 須田さんは「ごみとして捨てられたペットボトルを使い、子どもたちがアート作品を作るという企画。楽しみながら環境問題に興味を持ってもらいたい」と意図を話す。

 高2の冬から週末に、新丸子駅周辺でごみ拾いを続けている須田さん。ごみの中からリサイクル素材として使えるペットボトルを材料にアクセサリー作りを行い、親子らに環境について考えてもらう活動を始めた。今までは地域のイベントに参加する形で実施していたが、今回は自身が主体となる初の企画。須田さんは「新丸子駅前は多くの人が行き交う場所。これまで以上に効果を期待したい」と力を込める。

 このイベントのもう一つの狙いが地域コミュニティーの活性化だ。須田さんが関心を持つきっかけが、社会から孤立した状態だった身内の存在。「自分にできることはないか」と考え、まずは自身が行動を起こすことで、孤立する人たちを地域とつなげるきっかけをつくりたいと考えた。「自分たちが暮らしている地域の中で、『何やってるの』『手伝おうか』と言った声掛けが自然と出てくるような気軽に参加できる集まりがあることを知ってもらいたい」

大人たちも協力

 昨年から通う新丸子の学習塾代表の今西竜一さん(38)をはじめ、地域のつながりづくりを目的に意見交換している中原区ソーシャルデザインセンター(SDC)、商店街、町内会も、須田さんの姿を見て「応援したい」と協力を申し出た。ごみ拾いも一緒に行っている今西さんは「受験生で勉強も忙しいのに地域のために立ち上がろうという思いに共感した。主体性があり、いつの間にか周囲の大人たちも巻き込まれている」とその行動力を称賛する。

 須田さんは「いろんな大人たちが関心を持って耳を傾け、後押ししてくれた。最初は小さな活動かもしれないが、地域の孤立問題が解消するはじめの一歩になり、街の活性化につながってほしい」と思いを込める。

 当日は、リサイクル素材とレジン液を使い、キーホルダーや髪飾りなどのアート作品づくりが体験できる(予約不要で、幼児から参加可)。午前10時から午後3時。入場無料(作品づくり体験は1回100円)。雨天決行。詳細は公式ウェブサイト(https://petart.hp.peraichi.com)。

建設予定の「Fujitsu Arena」(仮称)=富士通提供

富士通 川崎工場の再開発、再始動 2035年の創立100年に向け

 総合電機メーカーの富士通(株)(上小田中)は6月2日、川崎市と連携して、武蔵中原駅前の元川崎工場(現Fujitsu Technology Park)の再開発プロジェクトを開始することを発表した。同プロジェクトでは、4つのまちをテーマに敷地内をエリア分けし、2035年の創立100周年に向けて段階的に拡充、推進していく計画だ。

 この6月に創立90周年を迎えた同社。創立当初から主要拠点としていた川崎工場について、研究開発拠点として整備していくため、11年に再開発計画を開始。しかし15年に計画を見直すため一時中断。現在は老朽化した建物の解体などを進めている。その間、川崎市の持続可能な未来都市実現に向けた取り組みなどを推進し、川崎市との連携を強化してきた。24年には研究開発機能やコーポレート機能を同所に集約し、本社機能を移転。今年1月には、世界最大規模の1000量子ビットの超電導量子コンピューター展示施設となる量子棟の建設を開始し、26年度の完成を予定している。

 今回、スタートした再開発プロジェクトのコンセプトは「Open Innovation&Technology Park」。「豊かな環境を創造するまち」「テクノロジーで社会をひらきつながるまち」「スポーツ、健康を中心に心身が満たされるまち」「創業の精神が息づくまち」の4つのまちをテーマに敷地内をエリアに分けて段階的に拡充、推進していく予定だ。

 第1段階では、敷地北西部に誰もがスポーツを楽しめるエリアとして「Fujitsu Arena」(仮称・体育館棟)を新設する。社内イベントや災害発生時の近隣住民向けの一次避難所として誰もが利用可能な複合用途施設を計画しているという。

 第2段階では、「Fujitsu Museum/Open Innovation」(仮称)と題し、同社の顧客、社会、地域をつなぐ多目的施設を新設。敷地駅側広場を整備する予定。地域に開かれた空間として、多様な人たちが集い、テクノロジーに触れて感動し、創造性と探求心を育み、新たなイノベーションの創出に寄与することを目指すという。

 同社広報担当者は「以降の計画は、今後の環境の変化に合わせて段階的に推進し、周辺住民などへ説明しながら公表していく」としている。

「川崎市大山街道ふるさと館」の館長に就任した 服部 隆博さん 高津区在勤 64歳

「歴史宝庫」の伝道師

 ○…大山街道の歴史や民俗などに関する資料の保存、展示を目的とする「川崎市大山街道ふるさと館」(高津区)の館長に就任した。これまで、川崎市教育委員会や市民ミュージアムで仕事をしてきたが、施設のトップを務めるのは今回が初めて。培ってきた豊富な経験を生かし「多くの人が興味を持つような、魅力あふれる場所にしていきたい」と熱意を見せる。

 ○…愛知県出身。徳川家康を輩出した岡崎市にほど近い場所で育ち、幼い頃から歴史に興味を持っていた。中学生の時、旧石器時代の遺跡発掘に尽力した考古学者に憧れ、大学は明治大学の文学部考古学専攻に進む。各所の遺跡発掘や調査に関わった。川崎市の教育委員会に入庁後は、地域の歴史や文化遺産を調査・保存する文化財課に奉職。橘樹官衙遺跡群など、市内の遺跡発掘にも大きく貢献した。「この場所で働くことになったのも、遺跡たちのおぼしめしなのだと思う」

 ○…家庭では、妻や娘との時間を大切にしており、時間を見つけてはドライブや食事に出掛け、家族の絆を育んでいる。趣味は、30年以上続けている家庭菜園。「農薬は一切使わず、手間暇かけて育てた野菜は、何よりも活力の源です」と、穏やかな表情で語る。

 ○…「さまざまな遺跡や史跡がある歴史の宝庫」と、川崎市を表す。多くの人にその魅力を再認識してもらう伝道師的な役割を担うべく、アイデアは枚挙にいとまがない様子。近隣からの出土品や昔懐かしい昭和の頃の生活道具を展示して来場者に時代ごとに思いをはせてもらい、脳の活性化を促すような企画展の開催などを視野に入れる。「地域の人がこの町に誇りを持てるような企画をスタッフと共に実行していければ」と、力強く語った。

大会のポスター

中原消防団 日頃の訓練成果を発表 6月15日 等々力で大会

 中原消防団消防大会が6月15日(日)に等々力緑地催し物広場で開催される。午前10時から。

 今年、発足から100周年を迎える中原消防団。その記念大会として、各分団が日頃の消防技術の訓練の成果を発表する。

 また家屋に見立てたテントを使って、初期消火や情報伝達などの本格的な消火活動の様子も披露。はしご車、小型ポンプ積載車の展示もあり、一緒に撮影することもできる。鹿島連団長は「消防団が普段どのような活動をしているのか理解してもらえる機会。訓練で身に付けたものを披露するので、ぜひ観覧に来ていただければ」と呼び掛ける。

 雨天決行。問い合わせは中原消防署【電話】044・411・0119。

手を挙げて質問する児童(上)、紙芝居を披露する中本さん

俳優・中本さん 西丸子小で「多摩川」語る 4年生81人が聴講

 市立西丸子小学校の4年生81人が6月3日、俳優の中本賢さんによる多摩川をテーマにした特別授業を受けた。川周辺を拠点に活動する多摩川クラブが協力して実現。

 手作りの紙芝居と、スライド写真を見せながら多摩川について熱く語った中本さん。全長138Kmの河川の流域には約425万人が暮らしていることや、年間の訪問者が2千万人もいて、千葉県のテーマパークの年間来場者数に匹敵することなどを説明した。中本さんが「しかも多摩川には着ぐるみではない、本物のネズミやカモがいるんだぞ」と冗談を言うと、児童たちは手を叩いて喜んだ。下水道が整備される50年以上前は、生き物が住めないほど汚染された川で臭いもひどかったことなどを伝えると、児童らは当時の多摩川の様子に戸惑いながらも、熱心に耳を傾けた。

 代表してあいさつした実行員会のメンバーは「これから総合学習の時間に多摩川について学んでいく上で、中本さんのお話を役立てたい」と話した。

BC級戦犯 受刑者の遺書写し展示 市平和館で6月14日から

 川崎市平和館で6月14日(土)から企画展「戦後80年 チャンギから考える 未来のための過去との付き合い方」が開催される。7月13日(日)まで。

 終戦後、日本のBC級戦犯裁判と刑執行が行われたシンガポール・チャンギ刑務所に教誨師として関わった川崎区大師本町の明長寺住職・関口亮共氏(故人)らが遺した受刑者の遺書の写しや遺族からの書簡点を展示する。

 午前9時から5時。毎週月曜、6月17日(火)は休館。(問)同館【電話】044・433・0171

レモンをかじる参加者

レモンフェス大にぎわい 武蔵小杉駅前で

 武蔵小杉駅前のこすぎコアパークで、5月30日から6月1日の3日間、レモンをテーマにしたイベント「レモンフェスティバル2025」が開催された。

 会期中は、レモンを生かしたフードやドリンクを提供する屋台が、横浜や静岡、埼玉など県内外から約15店舗が集まったほか、レモン重量測定チャレンジのプログラムが行われた。

 穏やかな天気に恵まれた最終日はステージを設置。表情に出さずにレモンをかじる「レモン無表情選手権」が行われ、家族連れや友人同士など幅広い年齢層の24人が参加し、観客200人ほどが見守った。主催者は「参加者、観客が一体となって笑って盛り上がれる企画になった」と当日の様子を振り返り、イベント全体を通しては「明るく爽やかなレモンを軸に、視覚・嗅覚・味覚をフルに刺激する催しになった」と語った。

市茶華道協会 100周年記念 いけ花体験 小中高校生対象

 今年創立100周年を迎えた川崎市茶華道協会(徳安興会長)は6月21日(土)・22日(日)に川崎市コンベンションホール(小杉町)で「いけ花と茶の湯の会」「いけ花展」「呈茶の会」など記念イベントを開催する。

 その一つとして小・中学生、高校生を対象にした無料「いけ花体験」も実施。21日は午後2時50分、3時30分、4時10分からの3回、22日は午後1時30分、2時からの2回。先着順で各回10名程度。当日整理券配布。(問)同協会【メール】kcsakadokyokai@outlook.jp

本紙のインタビューにそれぞれ応える原議長(左)と堀添副議長

川崎市議会 新議長に原典之氏 副議長・堀添氏と「開かれた議会に」

 川崎市議会は「令和7年第2回定例議会」を6月2日に開き、新議長に自民党の原典之氏(中原区・4期)、副議長にみらい川崎の堀添健氏(高津区・5期)を選出した。慣例により、任期は2年。本紙は、原氏、堀添氏にそれぞれ今後の抱負や課題などを聞いた。

次の100年に向けて

 原氏は、議長就任にあたり「市制101年目、第45代の議長ということで、これまで44人しか経験したことがなく、その職責の重さを痛感している。与えられた職責を全うしていきたい」と決意を語る。

 昨年市制100周年を迎えた川崎市。議会としての100周年の振り返りと課題について「日々議会改革に取り組んでいる中、『開かれた議会』として録画や生中継など広く発信している。それを市民にどうキャッチしてもらうか。ラジオやSNSなどを含めて広報面で発信の仕方を変えていきたい」と話す。

 二元代表制を担う立場として力を入れたいことについて「議会の役目の一つに行政のチェックがある。行政の取り組みや職員の不祥事、情報漏洩などチェック機能の役割を果たしていきたい」と強調。今後の議会運営については「2016年に川崎市は『イクボス宣言』を行っている。議会、議長としてもワークライフバランスを大事にしていきたい。『ふれあいなくして街の発展なし』の思いを込め、次の川崎市の100年に向けて、市民に身近な議会、開かれた議会にしていきたい」と抱負を述べた。

積極的な議会活動を

 副議長に就任した堀添氏は「川崎市の意思決定機関である市議会の副議長に就任し、大変光栄であるとともに、改めて職責の重さを痛感し、身の引き締まる思い」と心境を語る。議会の課題について「人口も155万人を超え、都道府県と同等の規模になっており、各行政区も中核市並に成長してきた。行政区ごとに市民の生活環境や課題も異なってきている中、議会としても行政区を単位とした活動を強化していくことの必要性が高まっている」と話す。

 また、「公正・公平な議会運営に努めるとともに、多様な市民の声を踏まえ、熟議を通じて丁寧に合意形成をはかっていくことが重要」とし、「市民の負託に応えるとともに、開かれた場での議論によって議会の透明性を確保するために、議会として積極的に活動することが求められていると思うので、そのようなかじを取っていきたい」と今後の議会運営について意気込みを語った。

 なお、議長選では、有効投票数57のうち、自民の推薦を受けた原氏が49票を獲得し、共産推薦の宗田裕之氏は8票だった。副議長選では、有効投票数60票のうち、みらい推薦の堀添氏が52票を集め、共産推薦の市古次郎氏は8票だった。

國谷涼太氏

今秋の川崎市長選 國谷氏が出馬表明

 任期満了に伴い10月26日に投開票される川崎市長選挙に、國谷(くにや)涼太(りょうた)氏(25)=麻生区片平在住=が無所属で立候補する考えを、5月23日の記者会見で明らかにした。

 國谷氏は大阪府和泉市生まれ。小学生の時に麻生区へ転居し、麻生小学校、麻生中学校、県立多摩高校、早稲田大学社会科学部を卒業。現在は東京都内のコンサルティング会社に勤務している。

 29日に本紙の取材に応じた國谷氏は、「今の川崎は強みを生かせていない。ポテンシャルを引き出し、もっと成長するまちにしていきたい」と出馬理由に言及。子育て世代の定着、規制緩和などによる企業進出、シニアの活躍などを促進する考えを示し、具体的な政策は国の動向を見極め、参院選後に明らかにするとした。「若すぎる、無謀だという意見があるかもしれないが、私には川崎の未来をもっと良くしたいという圧倒的な熱意と覚悟がある」と述べた。

 市長選への出馬意向の正式な表明は國谷氏が初めて。(6月3日起稿)

お天気キャスター・木原 実さんに聞く 「無理せず、ゴールを目指す」

――SDGsをどのように評価されていますか。また、達成目標年2030年まであと、5年に迫っている状況です。

 「大前提として私はSDGsの理念は大賛成。しかしゴールまで5年は時間的に厳しいですね」

――その理由は。

 「国は環境・エネルギー問題に一時期は『車に乗るのをやめよう。公共交通機関を使おう』と呼びかけましたが、多くの人は不便だから応じません。でも自家用車をエコカーに変える人は増えました。無理や我慢をしない手法でゴールを目指す方が現実的です」

――具体的に何をすべきでしょうか。

 「気候変動対策でいえば、再生可能エネルギーの技術革新でしょう。太陽光発電や風力発電は使い始めたばかりの技術でノウハウが蓄積されていませんが、今後強力な研究開発をのぞみます。SDGsを提唱した国連が世界の科学技術を結集し、前進させていくことも一案です。残念ながら、ガザやウクライナの戦争もあり、それどころではない状況。しかし、 SDGsを本気で達成させるなら、世界のありようを考え直すべきです」

日常生活見直しを

――私たちの日常生活でできることは。

 「まずはごみ削減です。ご家庭の冷蔵庫の中で賞味期限が切れてるものありますよね。すぐに捨てませんか?お金と手間をかけて作った野菜、海で採ってきた魚が捨てられていく。消費期限を見て必要以上に買わないだけで済む。みなさん室内の消灯には熱心ですけど、食料を捨てることに罪悪感がないように感じます。僕は食いしん坊でケチん坊。少しくらい賞味期限が過ぎているものでも食べますよ(笑)」

――気象予報士として現在の地球環境は。

 「人間の力では気候変動を止められないだろうと思っています。コンピューターの計算ではじりじりと温暖化していくはずなんですが、実際は急上昇。一方、この冬の西日本の気温は低かった。自然は予測不能な変動を大きく起こします。温暖化で海水温も上がり強い台風が来ると言われており、実際、日本付近の海水温は過去にないくらい高くなりました。 けれども未だに1934年の室戸台風や1959年の伊勢湾台風を超える台風は来ていない。では異常気象とどう向き合うか。僕は対処療法だと思います。その環境に人が適応していくこと。SDGs的な対策を進めつつ、寒波や大雪、熱波や洪水に備える。天気予報は効果があります」

――最後に読者にメッセージを。

 「私は防災士でもあります。皆さん、災害が起きても喉元過ぎるとすぐ忘れる。だから繰り返し伝えていかなきゃいけない。準備できるのは災害の発生前、地震なら揺れる前。命を守るため、今やれること全部やってください。ひとりひとりのできることは限られています。しかし、知恵とお金を戦争や軍拡でなく、科学に投入すれば、安全で素敵な地球になります。みんなで実現させましょう」

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JAセレサと川崎信金 新人ら協力して田植え 国際協同組合年にあわせ

 国連の定める「国際協同組合年」を記念し、JAセレサ川崎と川崎信用金庫は6月9日、新人職員らによる合同田植えイベントを麻生区黒川地区で実施した。

 今年は国連がSDGsに貢献する協同組合の振興を目的に定めた「国際協同組合年」にあたる。これを機に、JAセレサ川崎と川崎信用金庫は連携強化を目的に、双方の幹部職員や新人職員ら計約100人が協力し、JA青壮年部柿生支部が委託管理する水田で、神奈川県推奨米「はるみ」の田植えを実施した。

 新人職員らは靴下を着用のうえ水田に入り、一列に並んで苗を1本1本、手植えしていった。水田に入るのが初めての職員が多く、泥の感触に歓声を上げたり、足をとられて転んだりしながら、JA側のサポートを得ながら丁寧に植えていった。

 市内在住で田植えは初体験という川崎信用金庫の女性新人職員(22)は、「田んぼが思ったより深くて、何度か転びそうになった。自分が植えたコメを食べてみたい」と満面の笑みだった。

 JAの梶稔組合長や川崎信用金庫の堤和也理事長も、列の真ん中で若者と共に田植えを楽しんだ。堤理事長とって小学校以来の田植え体験だったといい、「とっても楽しかった」とにっこり。「しかしコメ作りの大変さはこの後。若い職員がコメ作りの大変さを知る貴重な体験をさせてもらえた」と語り、梶組合長も、「米作りは大変手間がかかるもの。そのことを学んでいただけたと思う」と満足げだった。

左から落合さん、早田さん、濱田さん

大和市の早田茂さん 「国際化学五輪」に出場 KISTEC職員が支援

 神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)の溝の口支所(高津区)にある光触媒ミュージアムに刺激を受けた高校生が、7月にドバイで開催される「国際化学オリンピック」に日本代表として出場する。高校生の背中を押して学びを支えたのは、KISTECの研究員たちだった。

 「国際化学オリンピック」に出場するのは、大和市在住で三田国際科学学園高等学校(東京都世田谷区)の高校3年生、早田茂さん(17)だ。全国の高校生が化学の実力を競う「化学グランプリ」で優秀な成績を収め、「オリンピック」の日本代表の一人として選抜された。

 早田さんが「オリンピック」に挑戦しようと決意したのは、2023年12月のことだった。ある日の放課後、「リンモリブデン酸アンモニウム」について調べるため、東急溝の口駅で途中下車し、かながわサイエンスパーク(KSP、高津区)内にある県立川崎図書館を訪れた。この時、KSP内の「光触媒ミュージアム」(藤嶋昭館長)にも立ち寄ったが休館日だった。「光触媒の『ミュージアム』に、何があるんだろう?」。化学の知識が豊富で探究心旺盛な早田さんは、日を改めることにした。

 早田さんはミュージアムを再訪すると展示を丹念に見ながら、空気清浄機や生活用品など、光触媒が幅広い用途に製品化されていることに驚き、そばにいたスタッフを質問攻めに。その様子を見たKISTEC研究員、濱田健吾さんが、早田さんに「挑戦してみては」と手渡したのが、「オリンピック」の選考を兼ねる「化学グランプリ」の要項だった。

 その帰り道には心を決めたという。「自分の実力を試したいと思った」

方向性を軌道修正

 早田さんは昨夏の「化学グランプリ」に挑戦。日ごろの学習の成果を存分に発揮し、「オリンピック」の代表選抜に進んだ。しかし選抜試験の過去の問題は非公開のため、勉強方法に迷ったという。そこで濱田さんにメールで相談を寄せ、濱田さんは上司の落合剛さんと情報を集め、「応用力が問われるはず。暗記ではなく応用を意識して」とアドバイスした。以後もたびたび二人から助言を得たといい、早田さんは「勉強の方向性を軌道修正してくれた」と感謝を述べる。

 今年3月、早田さんがKISTECを訪ねてきた。満面の笑みで「オリンピック」代表に決まったことを報告。二人も大いに喜び、祝福した。

 将来は、「光触媒」を発見したミュージアムの藤嶋館長のように、「自分の研究が新しい分野を生み出せるような研究者になりたい」という早田さん。まずは決戦の地・ドバイで、金メダル獲得を目指している。

川崎市役所

4月から警報発令中 水ぼうそうが市内で流行 市「手洗いなど徹底を」

 川崎市内で水痘(水ぼうそう)が流行している。患者の発生状況が警報基準値を超えたため、市は4月30日に水痘に関する「流行発生警報」を発令したが、以後も患者数は「警報レベル」で推移している。厚生労働省が2018年に水痘の警報基準を引き下げて以後、警報発令は初めて。

 市は週に一度、複数の小児科定点医療機関から感染症の発生状況の報告を受け、週ごとの患者数の平均値から流行状況を評価している。市内の水痘の患者数は今年3月から増え始め、4月下旬に急増。第17週(4月21日〜4月27日)にはこの平均値が「3・67人」となり、警報基準値の「2・0人」を超えたことから、「流行発生警報」を発令していた。

 5月半ばに「2・0人」を下回ったものの再び患者数が増え、直近の第22週(5月26日〜6月1日)も「2・08人」と、例年より高いレベルで推移している。

 水痘はウイルスによる感染症で、空気、飛まつ、接触などで感染する。定期予防接種の対象疾病でもあり、生後12カ月から36カ月までに2回の予防接種を受ける必要がある。市の担当者は「手洗いやうがいを徹底し、症状が出たら医療機関にかかってほしい」と注意を呼びかけている。