横須賀・三浦版【8月8日(金)号】

三浦半島戦争遺跡 「物言わぬ語り部」後世に 自分の足でめぐるガイドブック

 明治時代から昭和初期にかけて、首都防衛を目的に建設された「東京湾要塞」と呼ばれる戦争遺跡(戦跡)にスポットを当てたガイドブック『三浦半島 東京湾要塞地帯を行く!』を在野の研究家であるデビット佐藤(佐藤正弘さん/66)が作成した。東京湾要塞は三浦半島と房総半島に築かれた砲台や海堡などの軍事施設。同ガイドブックでは三浦半島に遺されている約80の戦跡を紹介している。

「『戦争遺跡』の言葉はここ20〜30年で使われるようになった表現」と佐藤さん。主に明治以降の戦争の痕跡を指すもので軍事遺構だけでなく、有形・無形のものすべてが対象であり、体験者の証言も含むというのが近年の考え方だという。

 今回手掛けたガイドブックもそうした視点に立ち、砲台跡や弾薬庫、地下壕などの施設に加え、供養塔、特攻隊員の遺品、戦時教育に用いられた二宮金次郎像ほかを盛り込んだ。数多の戦跡資料は学術的で堅苦しい記述が大半であるため平易な言葉で伝えることに力点を置き、現地を訪れて五感を通して感じてもらう作りとした。佐藤さんは「戦争遺跡が語り掛けることに耳を傾けて欲しい」と話している。

 三浦市出身の佐藤さんが戦跡に興味を持つようになったのは約30年前。幼少期の遊び場だった海岸沿いの洞窟が、太平洋戦争末期の本土決戦に備えて築かれたものであることを知り、探求心に火が付いた。三浦半島の考古学研究の先駆者である赤星直忠博士が手掛けた『三浦半島城郭史』を頼りに、休日を使って各地の戦跡を訪ね歩いた。

 2001年に独自の調査結果をまとめたホームページ「東京湾要塞」を公開。三浦半島に点在する戦跡のガイドも務めてきた。18年からはタウンニュース横須賀版(現横須賀・三浦版)で戦跡を紹介するコラムを担当。今回のガイドブックはここで取り上げてきた内容を大幅に加筆、新たな情報も追加した。戦跡の保存活用のこれからを考える対談も掲載している。

 B5判オールカラー160ページで定価2728円+税。文教堂 横須賀MORE,S店で販売しているほか、佐藤さんへの直接注文も可。

 問い合わせはメール(tkyosai830@tf6.so-net.ne.jp)へ。

夕日に映える「巨大魚籠」の作品

三浦海岸 泳がなくてもアート満喫 飲食店と連携、周遊企画も

 2年ぶりに海水浴場が開設されている三浦海岸で、賑わいづくりにアートが一役を買っている。多彩なアーティストたちが手掛けた作品がビーチをはじめ三浦海岸駅周辺にいくつも飾られ、”アートシティ”さながらの様相を呈している。飲食店めぐりの企画との連携もあり、若い世代を中心とした周遊促進につながっているようだ。

 「三浦海岸アートフェスティバル」は、海水浴だけではない楽しみ方を提案する「MIURA FUN BEACH」の一環として展開されている。三浦海岸駅から海岸までの道中にある施設や店舗に種々のアート作品が飾られており、エリア一帯をミュージアムに見立てて周遊してもらう。

 ビーチで一際目を引く竹を使った造形物は「巨大魚籠(ビク)」と銘打たれた作品。葉山芸術祭で話題を呼んだもので、葉山・森戸海岸で海の家を営む朝山正和さんと関東学院大学共生デザイン学科の兼子朋也准教授が中心となって海開き初日に完成させた。高さ4・8m、円は直径5・4mあり、三浦海岸近くの竹林から伐採した孟宗竹を使用しているという。

 飲食店とアーティストが連携して実施している「みんなの椅子プロジェクト」もユニークだ。各店舗が廃棄寸前の椅子を用意し、地元の画家やイラストレーターなどがリペイントして作品に昇華させるもの。全部で32脚あり、「うみあかりバルウォーク」参加店で展示されている。

 8月1日には、複合拠点施設のチェルseaみうら広場で三浦市在住の現代美術作家、倉重光則氏の作品「EVEの家」を展示。ネオンや蛍光管を用いた光のインスタレーションを得意とする同氏の作品が幻想的な雰囲気を醸している。同じ場所に三崎の三富染物店とruinunoによるテキスタイルのコラボ作品もある。使用済みの布や端切れで作ったリボンをシンボルツリーに設置。風になびく雄大な姿が見ものだ。すべての展示作品は8月31日(日)まで鑑賞することができる。

走水で自然体験や学習を行う学びの場「海とミライのがっこう」を運営する 金澤 等(ひとし)さん 横須賀市走水在住 46歳

感性育む里海の案内人

 ○…横須賀市走水の海岸の一画、ここは”校舎を持たない”ミライの学校だ。子どもたちは海辺を駆け、自由気ままに自然に身を置く。海という自然そのものを教材に、そこに住まう生物に触れ、感じ、感性を磨く。子どもたちが五感を使い、創造力を育むワークショップやプログラムを提供している。「より良い世界にするためには、子どもたちを大切に育てること」。学び舎設立の源だ。

 ○…漁業を営む傍ら、夏には海の家を開く。そんな両親の元、走水で幼少期を過ごした。高校時代からサーフィンに熱中し、波を求めて異国の地に何度も足を運んだ。ある時には海岸に流れ着いた流木でオブジェを制作、アルバイトは米軍基地内のライフガードをするなど、人生は常に海とともにあった。持ち前の柔軟な思考力は自然で育ち、経験を重ねてきたゆえだ。

 ○…「東京湾に残された最後の聖地」とも称されるほど、豊かな海洋環境が残る走水と、家族が代々築いてきた漁業。これらを紡ぐことこそが「家族の豊かさにも繋がり、走水が持つ環境の価値を守っていける」。そんな使命感ともいえるビジョンが浮かび、24歳で漁師小屋をリノベーションして「かねよ食堂」を開店した。

 ○…食堂を運営する傍ら「自分には他に何ができるのか」。立ち止まり、悩み葛藤した。そんな折、走水をテーマに地域課題の解決をめざす取り組みに参画。当時、走水小学校の統廃合の可能性が浮上しており、「かけがえのない学びや体験が得られる場所であり続けてほしい」。そんな思いでプログラムをスタート。豊かな自然と都会が共存する三浦半島の環境だからこそ、「視野を広く持ち、本当に大切なものを見つけてほしい」。

ナイトミュージアム 暗闇の異空間を探検 参加者募集

 横須賀市自然・人文博物館(深田台95)は、10月18日(土)に実施する「ナイトミュージアム」の申込受付を開始している。普段は見られない夜間の博物館を学芸員が案内する人気企画。ライトアップで演出された館内の様子と展示が楽しめる。

 午後6時30分から8時30分。市のHPから10月3日(金)までに申し込む。市内在住者優先で抽選100人。費用200円。

 詳細は同館【電話】046・824・3688。

ホームに出現した自動販売機群。パン専用ボックスを設置した森代表

横須賀中央駅ホーム食のセレクト自販機 パッと選んで、サッと出発!

 京急線「横須賀中央」駅上りホームに、横須賀の人気店の商品を集めたセレクト自動販売機がお目見えした。その名も「YOKOSUKA OISHI BASE」(横須賀オイシイベース)。京急線内でパンの販売実績のある法塔ベーカリーが専用の自販機を新たに用意し、呼び掛けに応えた地元企業が商品を供給している。

 横須賀の”おいしい”を発信する基地を標榜しており、同ベーカリーの看板商品であるよこすか海軍カレーパンや京急電鉄のキャラクター「けいきゅん」とコラボした横須賀メロンパンラスクなどが並ぶ。SDGsボックスもあり、消費期限の迫ったパンの格安販売も行っている。このほか、さかくら総本家の海軍羊羹(ようかん)や食品卸会社のヤチヨが手掛ける京急の人気車両をパッケージデザインに採用したレトルトカレーなど、ご当地土産も扱っている。

 同ベーカリーの森柾人代表取締役は「人手不足の中で売上を維持するための挑戦。異なる企業の商品を扱うことで、驚きや話題性を提供していく」と話す。乗降客数が1日5万人という数字にも目を付け、広告効果も期待している。今後は出店企業を増やしていく考えで、グッズなど非食品の展開も視野に入れる。営業時間は始発から終電まで。

子どもと考える性といのちの話

 学校では学ぶ機会の少ない「性」について、親子で考えるセミナーが9月6日(土)、横須賀市立総合福祉会館で開かれる。市人権・ダイバーシティ推進課の主催。「大切にしたい自分のからだ、相手のからだ」をテーマに、助産師で性教育YouTuberのシオリーヌさん=写真=が正しい知識と情報の伝え方をレクチャーする。

 対象は小学3年生から6年生の親子。中学生以上は1人も可。参加無料、定員は抽選で30人。9月1日(月)締め切り。

 申し込みは同課【電話】046・822・8228。

家族で楽しむ「三笠」 保存会が夏休み特別企画

 横須賀市稲岡町にある記念艦「三笠」を家族で楽しんでもらおうと、「世界三大記念艦『三笠』こどもミュージアム」と題した夏休み特別企画が開かれている。公益財団法人三笠保存会の主催。8月24日(日)まで。

 期間中はオリジナル缶バッヂがもらえるスタンプラリーや、うちわをつくるワークショップ、ハンモック体験、軍服着用体験などがある。

 三笠は1902年に英国で竣工した。日露戦争では東郷平八郎司令長官が乗艦する連合艦隊の旗艦として、05年の日本海海戦の勝利に大きく貢献。現存する世界最古の鋼鉄戦艦であり、26年に記念艦として保存された。

 時間は午前9時から午後5時30分。観覧料は一般600円、高校生300円、小・中学生無料。問い合わせは同保存会【電話】046・822・5225。

広島の地図と原爆投下後の資料写真を貼付

被爆の実相 自分事に サポセンで展示8月10日まで

 横須賀市本町の市民活動サポートセンターで「被爆の実相を知る」と題した展示が行われている。市民団体「被爆体験を語り継ぐ会」の主催。入場無料。8月10日(日)まで。

 広島県や長崎県に投下された原子爆弾の被害や戦争の悲惨さなどを伝える狙いの企画。強烈な光線により爆心地付近の石段に残された人影や、屋根が抜け落ちた広島駅など、原爆投下後の広島の資料写真を1939年の地図とともに掲示している。地図には当時住んでいた人の名前も記されており、一人ひとりの生活があったことを体感し、自分事として捉えてもらうことも狙いの一つだという。

 同会は2017年、戦争体験者の減少を受けて、被爆者の証言をDVDなどに残し、当事者の声をリレーしていく活動を開始。以後はそれを元にした展示などに取り組んでいる。

展示される作品の一部

ヨコスカ美術展 芸術で平和訴える 8月14日から

 反戦をテーマにした作品などを展示する「ヨコスカ平和美術展」が8月14日(木)から、横須賀市文化会館(深田台50)で開かれる。ベトナム戦争反対を訴えるため1970年に企画されて以来、今回で56回目を迎えた歴史ある展示会。実行委員会が直接、画家に出展依頼の手紙を送る伝統がある。今回はイギリス、ポーランド、プエルトリコなど10カ国からアーティスト64人が応じた。

 焦土を呆然と見る男性を描いたものや、野に咲いた花のスケッチなど、見た人に「平和とは何か」を問いかける力作を並べる。神奈川県内の小、中学生の作品も展示する。

 実行委事務局の倉田るみさんは「近年は世界のどこを見ても衝突が起きて、只事ではないと感じる。作品を作る自由は、平和があってこそ。発表できる機会を大事にしていきたい」と強調。同展の発起人の一人で世話役の山野辺明さん(80)は「毎回、平和への強い感情をぶつけた作品が集まる。個性は千差万別。戦争によって失われてはいけない」と語る。

 期間は同17日(日)まで。開場は午前10時から午後6時(17日のみ午後5時)。最終日は、一部の出展者によるトークや、23歳の若さで戦死した詩人・竹内浩三の詩を朗読するイベントが予定される。入場無料。(問)【電話】046・865・4788(倉田さん)

砕氷艦「しらせ」(提供:しらせ乗組員)

横須賀から南極へ 砕氷艦「しらせ」乗組員が講演

 市民有志によるまちづくり文化ボランティアグループ、よこすか市民会議(YCC)は9月15日(月)、「よこすか海洋シンポジウム2025」を稲岡町の記念艦「三笠」で行う。参加無料。

 豊かな海洋自然環境やその歴史・文化を紹介する活動として、海洋研究者や事業者に発表してもらう。27回目を迎える今回は「横須賀から南極へ! 砕氷艦『しらせ』と昭和基地越冬」と題した講演を行う。

 「しらせ」は、海上自衛隊に所属する自衛艦で、南極地域観測協力を行う横須賀を母港とする艦船。物資や人員の輸送、観測支援などを担っている。

 講演は4部制。1部では、海自横須賀地方総監部の山口宣久海将補が海自や同部の概要や任務などを伝える。2部は、岩瀬剛1等海佐が南極での5カ月に及ぶ活動を紹介する。3部では、南極地域観測隊として「昭和基地」に1年間滞在したJAMSTECの白野亜実さんが登壇。基地での暮らしや仕事について語る。4部は質疑応答。

 午後1時30分から4時30分。定員先着200人。申込はYCCのHP(https://www.ycc2018ikou.org/)から9月8日(月)までに申し込む。(問)【携帯電話】090・1995・2001

踊りを稽古する三浦市民謡協会の皆さん

三浦市民謡協会 盆踊りで暑気払い 8月15日、「うらり」で

 三浦市民謡協会による盆踊りが8月15日(金)、三崎の「うらり」で開かれる。会員総勢50人が「三崎港音頭」「三崎甚句」など地域に伝わる踊りを披露する。実行委員会代表の宮川悦子さんは「踊りで暑気払いができれば」と話している。

 盆踊りには霊魂を供養する意味合いがあり、同企画は2011年の東日本大震災を機に始まった。三浦の踊りは静かな曲調に合わせて舞うものが多く、宮川さんは「海と緑に囲まれた三崎の風景を、脳裏に思い描いてほしい」と語る。全世代が楽しめるイベントになるよう、「ドラえもん音頭」など子ども向けの曲も流す予定。

 また、今回は大小様々な太鼓を打ち鳴らす、鹿児島県発祥の「五つ太鼓」演奏家・佐々木京子さん(横須賀市森崎在住)をゲストに招く。「五つ太鼓」は、年貢米を納めるため出港した船が、無事たどり着くのを庶民が太鼓を叩いて喜んだことが発祥とされ、雷鳴が轟(とどろ)くように激しく演奏するのが特徴。盆踊りとの対比を楽しめる。

 佐々木さんは、会員の皆さんの踊りに合わせて太鼓を叩く「地方(じかた)」としても出演予定。「鹿児島から移住して長い。地域への感謝を、伝統を伝えることで表したい」と意欲を見せている。

 時間は午後5時から8時30分。来場した子どもには菓子類のプレゼントもある。

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タコの生態を説明する金澤さんと参加者ら(提供:海とミライのがっこう)

走水「かねよ食堂」 海を舞台に自由に学ぶ 食育、漁見学に20人

 走水の海を舞台に小学生や親子向けに漁業体験や磯遊び、食育プログラムなどを提供する「海とミライのがっこう」が7月29日に行われ、市内外から親子連れ約20人が参加した。同地で「かねよ食堂」を運営する金澤等(ひとし)さん=人物風土記で紹介=の主催。

 この日は、海岸の漂着物を拾い集めて観察をする「ビーチコーミング」や、走水で獲れた魚介類を食したり、プランクトンの一種で、刺激を受けると青白く光る性質を持つ「夜光虫」を観察したりした。タコ漁の見学では、タコつぼの仕掛けとタコの生態を金澤さんが説明。子どもたちは興味津々な様子で熱心に耳を傾けていた。

 金澤さんは「この自然豊かな環境で育ち、自由な発想力や感性が磨かれた。自然は想像を超えた世界がある。その中で様々なことに感動する気持ちや物事を大切にする感性を養う機会にしてほしい」と狙いを話す。

 同プログラムは2年前に初企画。今年に入ってからは月に1度のペースで実施しており、これまで10回以上開催している。

 「地域循環型社会の共創」をめざすNTT東日本(株)神奈川事業部が企画立案や集客など同プログラムの運営をサポートしている。

参加した子どもに料理を提供する音さん

NPO法人すばる 家庭に「少しの余裕を」 教員辞し、こども食堂開設

 横須賀市湘南鷹取出身の音克典さん(47・横浜市金沢区在住)が代表を務めるNPO法人すばるは、追浜地域を中心に月に1度、こども食堂を開いている。7月26日に追浜コミュニティセンターで開いた第4回目には市内外から親子連れ約40人が参加した。

「社会の影」支えたい

 音さんが同法人を設立したのは、今年の5月末。大津中学校から横須賀総合高校、大津高校と29歳から18年間務めた教員を辞して、こども食堂の運営に乗り出した。

 開設をめざしたのは、結婚後、子どもが生まれてからだった。当事者意識が芽生えたのか「一家心中とか、子どもが親を殺害したとか、悲しいニュースを聞くと、今までよりも心が痛むようになった」。このような社会の「暗い部分」を支える人の重要性と増やしていく必要性を痛感した。それとともに自分の使命だとも直感した。

 「学校に通える生徒は、ある程度の経済力がある。それでも、アルバイトをしないと修学旅行に行けない生徒などもいた」。教員としては直接支援できないもどかしさもあり、転身を決意。「人を笑顔にするために自分にできることは何か」。その一心だった。

親へのサポート視野

 ただ食事を提供するだけでなく、「保護者へのサポートを」という思いを強く持っている。実施日を金曜日の夜に固定することで、家事の負担を軽減し、一息つける時間を生み出す狙いがある。

 「家庭環境に余裕があれば、子どもも笑顔でいられる。保護者が少しでも楽になれば、子どもたちもより幸せになれるはず。そんな環境を提供できたら」と話している。

「劇団河童座」朗読劇共生社会テーマに

 横須賀を拠点に活動する市民劇団「劇団河童座」は8月23日(土)・24日(日)の両日、共生社会の実現をテーマにした朗読劇「いっしょに行こう…ネ、ネ」の公演を行う。昨年演じた「いっしょに行こう…ネ」の第2弾。同劇団の座長で脚本を担当している横田和弘さんの作品。前作は横田さんの父である弘行さんが手掛けており、親子の競演となる。

 「人生100年時代」を迎える老人と若者が登場する楽しくも切ない家族の物語。福祉の大切と難しさを描いている。

 チケットは一般前売り2000円(2500円)、高校生以下1000円(1500円)。※カッコ内は当日。23日は午後1時と4時30分開演。24日は午後1時開演。23日の4時30分の回は手話通訳あり。

 問い合わせは同劇団【携帯電話】090・8319・3766(長谷川さん)

住職に続き読経する子どもら

大きな声で「南無妙法蓮華経」 実相寺寺子屋に35人

 「なむみょうほうれんげきょう」--。初声小学校の前身である実相寺(三浦市初声町)で7月31日・8月1日の1泊2日で「命の大切さ」や「多くのご縁の中で生かされている」という謙虚な気持ちを学ぶ寺子屋が実施され、市内外から小学生35人が参加した。

 子どもたちは、茶道や写経、本堂の掃除、植坂泰雄住職による法話、2日目には焼香を上げる練習や読経、野菜の収穫体験などを行い、社会性や協調性を養った。

 同寺は約100年前の寺子屋を再現し、児童を対象に毎夏実施。今年で19回目を数えた。

昨年度の様子(追浜地運協提供)

追浜デー スタジアムで遊びつくせ 神奈川県野球交流戦も

 夏島町の横須賀スタジアムの場外を会場にした親子イベント「追浜デー2025」が8月14日(木)に開かれる。追浜地域運営協議会の主催。入場無料。時間は午後1時から4時30分。

 チョコバナナやかき氷、スーパーボールすくいなどの縁日に加え、雑貨類や石けんの販売、追浜工業会によるものづくり体験も楽しめる。そのほか、追浜地区の企業が製造する製品の紹介展示も。

 今年の目玉は、会場の屋台などに使用する電力を日産自動車の電気自動車(EV)から供給する取り組み。クールスポットの設置も行う。

 当日は、県内に拠点を置くチームらによる「神奈川県野球交流戦」も開催。午後5時からは社会人野球選抜(JABA神奈川県野球協会)と大学野球選抜(神奈川大学野球連盟)の試合も楽しめる。入場無料。

 追浜デーへの問い合わせは主催の追浜地運協【電話】046・865・1111。

つながり方はいろいろ 不登校当事者団体の講演会

 不登校児童・生徒を持つ保護者グループ「学校外の親子の居場所よりどこ」は8月24日(日)、2022年の団体立ち上げから3年間の活動を報告するトークイベントを開く。同会の芹田枝里さん=写真=がスピーカーを務める。「つながり方は、いろいろでいい。」をテーマに不登校や行き渋り、家にこもりがち、ホームスクーリング家庭などが地域で関係性を築き、社会的孤立を減らしていくこれまでの取り組みを振り返る。

 主催は横須賀市上町のフリースクール「アンガージュマン・よこすか」元理事の滝田衛さんが代表を務める七里が丘こども若者応援研究所。

 会場は汐入駅前の横須賀市産業交流プラザ第一会議室。時間は午後2時から4時。参加無料。

 希望者は同研究所のメールアドレス(shichirigaoka.1ab2013@gmail.com)に名前と参加人数を記して申し込む。

AIを味方にする働き方セミナー

 業務効率化にAIの活用が必須となっている昨今。文章作成やデータ分析、ポスターやチラシ作成、事務作業などの具体的な使い方を指南する講座が9月1日(月)・22日(月)の2日間、よこすかテレワークと横須賀商工会議所の共催で開かれる。

 Canva公式クリエイターの倉田ともかさんが講師を務める。

 隙間時間を利用して働きたい女性などが対象。よこすかテレワークに登を考えている人やひとり親のスキルアップの機会とする。両日午前10時から11時30分。会場は同商議所301A会議室。定員20人で参加無料。

 申し込み・問い合わせは同商議所【電話】046・823・0421。

初心者講座 初めてのミュージカル 歌って、踊って、演じる

 田浦コミュニティセンターでは、歌・演技・ダンスの総合芸術であるミュージカルを通じて表現の世界を体感する初心者講座の参加者を募集している。元劇団四季メンバーで横須賀出身の岡本和子さん、武藤寛さんが講師を務める。

 9月16日(火)を皮切りに11月30日(日)まで全8回のレッスンが組まれている。最終日にはステージで成果発表を行う。

 会場は田浦コミュニティセンター。レッスン時間は午後6時から8時で呼吸法や開口発声、ストレッチ、歌、ダンス、演技を学ぶ。成果発表は正午から午後3時。講師陣によるミニコンサートもある。対象は小学4年生から高校生で15人(応募者多数の場合は抽選)。全回出席が条件。参加費3500円(保険料・楽譜・小道具代)。

 申し込みは【1】講座名「歌って、踊って、演じよう! 初めてのミュージカル」【2】住所【3】氏名(フリガナ)【4】学年【5】電話番号を明記して、メールアドレス(taph-bes@city.yokosuka.kanagawa.jp)。9月2日(火)必着。問い合わせは同センター【電話】046・861・9007。

浦賀奉行所の模型(浦賀コミュニティセンター分館蔵)

三郎助を追う〜もうひとりのラストサムライ〜 第6回文・写真 藤野浩章

 江戸幕府が始まって百年以上経ったところで登場した浦賀奉行所。

 この役所は幕府の重要な直轄地を担当する「遠(おん)国(ごく  )奉行」の1つで、幕末には長崎奉行を上回るトップの格式になった。それだけ、浦賀の重要性が高まっていったのだ。

 奉行所の仕事は、激増していた江戸と各地を結ぶ海運を管理する「海の関所」の役割かと思いがちだが、実際は紛争の調停、税の徴収、治安維持など幅広い。警察と税務署と裁判所と海上保安庁が合わさったようなもので、幕末には防衛と外交も加わることになる。

 さながら浦賀奉行は"浦賀藩"の殿様とも言えるが、その下には部課長クラスの与力が10名、係長役の同心が50名。業務量と比較して意外と少数精鋭な感じがするが、案の定、後のペリー来航後にはそれぞれ倍近くの人数になった。このチームで通常の行政を行いながら、異国船との外交交渉に挑んだのである。

 その与力の報酬だが、当初は年に1人あたり米75俵だった。約4500kgに相当するが、これを各自で食料にしたほか、売って現金を得て生活していたという。

 さて、この価値は今のいくらなのか?を算出するのは至難の技だが、参考値として貨幣博物館の簡易計算を用いると、年収3百万ちょっと。実際、多数の同居人を食べさせるのはなかなか大変だったようだ。そのせいか、幕府との間で賃上げ交渉が続き、開設から百年ほど経った頃には3割ほど増えたという。

 幕府財政の悪化、物価の高騰、そして業務量の増加。そんな状況の中で、大坂では奉行所の元与力・大塩平八郎が反乱を起こす。三郎助16歳の時だった。