宮前区版【9月19日(金)号】
水が溢れる道路=中原区下新城付近

川崎市 記録的大雨、各所で被害 宮前区は1時間に91.5ミリ

 9月11日、首都圏を襲った記録的な大雨。川崎市では局地的に1時間に100ミリを超える雨が降り、各所で道路冠水や浸水被害に見舞われた。宮前区でも宮崎3丁目の民地のフェンスが倒壊する被害が報告された。

 気象庁は午後1時53分、川崎市に大雨(浸水害)、洪水警報を発表。雨足は徐々に強まり、宮前区では1時間で91・5ミリ、高津区では116・5ミリ、中原区では市内過去最大となる131・5ミリを観測した。数年に一度レベルの短時間の大雨を観測・解析した際に発表され、災害の危険度の高まりを伝える「記録的短時間大雨情報」が2時51分以降繰り返し出され、3時48分、市は危険な場所から全員の避難を促す警戒レベル4の土砂災害警戒情報を発表した。市危機管理本部では災害応急対策活動要因を増強する警戒体制1号動員(浸水被害)、2号動員(土砂災害)を発令、全区で災害対応シフトが取られた。

浸水、道路冠水も

 市の発表では、川崎区鋼管通や中原区小杉町、高津区末長のアンダーパスをはじめ市道8カ所で道路冠水による通行規制を実施。武蔵中原駅や高津区役所などでエレベーターが浸水により停止したほか、区内宮崎の民地ではフェンスの倒壊も発生した。このほか主に川崎区、中原区、高津区、宮前区で民間や関係部署から多数の通報が寄せられ、一時的な道路冠水や建物への浸水などが確認されている。

 宮崎町内会の戸倉建藏会長によると、川沿いに立つ2件の住宅で、家の基礎部分が大雨による流水の影響で破損している被害も報告されているという。その他にもマンションの地下の駐車場が浸水などの被害も見られた。

 市では今回の大雨被害に関して、中原、高津、宮前の3区役所で連休中も罹災証明の臨時受け付けを実施。発災後から16日(午前9時時点)までに、あわせて88件の申請があり、宮前区は4件だった。

 市危機管理本部では「こうしたゲリラ豪雨は、短時間で大量に雨が降り、川が急に増水するなど非常に危険。普段から自治体の呼びかけや気象情報に注意し、対応を確認するなど備えを進めてほしい」と話している。
森の中で冊子を手にする奥さん(左)と伊藤会長

野川はあも 森と紡いだ20年 記念冊子が完成

 南野川特別緑地保全地区管理運営協議会「野川はあも」(伊藤菊代会長)の20周年記念冊子が8月末に完成した。記念事業として行った南野川ふれあいの森での活動やシンポジウムの様子などを掲載。多くの関係者が登場し「森と紡いだ20年」を振り返っている。

 冊子「はあも 20th anniversry」は、A4カラー判・16ページ。発行は2000部で、野川エリアの教育機関や公共施設などに配布される。

 記念事業として開催された全4回の「森で遊ぶ日」を報告するコーナーでは、イチゴ狩りや昆虫採集、謎解きビンゴ、落ち葉遊びなどの季節ごとのイベントを、子どもたちの楽しむ写真を交えてカラフルに表現。特集として、今年2月に有馬・野川生涯学習支援施設で開催されたシンポジウム「森と遊びと子育てと」のレポートを掲載した。

人生が重なる森

 手掛けたのは、昨年春から参加している奥麻衣子さん。「関係者には誇りと愛着を、地域には活動を知ってもらうツールにしたかった」と話す。20年の歴史を振り返る中で感じたのは「ただの環境保全ではなく、人の人生に深く刻まれていること」だった。そこで、冊子の最終章では「人生が重なる森」と題し、活動に携わってきた老若男女19人の顔写真とエピソードを掲載した。

 伊藤会長は「今後も雑木林としての姿を維持しながら、子どもたちが遊び、さまざまな人が集い、自然を体感できる場にしていきたい」と展望を話す。課題は参加者の減少だとし、「活動の様子は、毎月第1日曜日の10時に来てもらえればわかります。五感で森を感じに来てください」と参加を呼びかける。

 同会の発足は、荒れて藪と化した里山を何とかしようと、2004年に宮前市民館で開催した交流会がきっかけ。名称は「もりで・あそび・はぐくむ」の頭文字から、「はあも」に決定。台風やナラ枯れによる3年間の立ち入り禁止の苦難を経て、現在は月2回、大人と子どもが森を遊びながら雑木林を手入れし、多世代交流を継続。今年7月末時点で272回活動、延べ4718人が参加している。

宮前区役所で開催中の「つながるみんなのアート展」でガイドを行っている 小野 佳織さん 小台在住 58歳

アートで対話 心を紡ぐ

 ○…グループで美術品を見ながら感想を語り合い、作品を読み解いていく「対話型鑑賞」。東京国立近代美術館でその手法を使ったガイドを務める経験を生かし、宮前区役所で開かれているアート展のボランティアガイドを引き受けた。

 ○…美術愛好家だった両親の影響で、絵画に囲まれて育った。大学生になると美術館巡りに夢中になり、社会人になってからも月1、2度は通うほどだった。転機が訪れたのは40代を過ぎてから。義母の病を機に介護福祉士の資格を取得し、認知症について学ぶ中でその当事者を対象にした「対話型鑑賞」と出会った。「好きなアートで、認知症のためになる。これだと思った」

 ○…興味を持ったらのめりこむ性格。すぐに講習を受けて、資格を取得。区内の介護施設やオンラインで対話型鑑賞を実践してきた。ある時、認知症を患う参加者の一人が、小舟に2人の女性が乗る絵画を見て記憶を呼び覚ますことがあった。広島出身のその人は、それを呼び水に、忘れていた幼少の頃から悲惨な戦争の記憶、その後の生活のことまで思い出した。「忘れることが悲しくて家から出れなくなっていた方でしたが、『こんなに思い出せるんだ』と、気持ちを元気にしてくれた」。大好きなアートが人を癒すことにつながった感動は忘れられない。

 ○…活動の傍らはまっているのが、布をおる機織り。実は20代の頃、結婚か、機織りを学ぶかで真剣に悩み結婚を選んだという。その思いが子育てにひと段落がついた今、ふつふつと湧いてきた。「アートは好きなんですけど、絵を描くのは天才的に下手なんです。機織りは感性を生かして作り出せる」。いつかタペストリーのような作品を作ることが目標だ。

全国大会の様子(上)とインタビューに応じる井上さん

宮前署 井上さんが全国3位 消防救助技術大会で

 宮前消防署警防第2課の井上尚土さん(25)が8月30日、兵庫県神戸市で開催された「第53回全国消防救助技術大会」の水上の部・人命救助種目で3位となった。

 井上さんは同種目で、川崎市消防局として7年ぶりの全国出場を果たした。同種目は、3人1組。「二重もやい結び」のロープをたすき掛けにした救助者が、1人目の要救助者を確保し、補助者がロープをたぐり寄せて救助。さらに、2人目となる水没しつつあるダミー人形を、水面に引き揚げ救助する訓練だ。タイムによる加点と「要救助者の顔が水面に着く」「もやい結びがほどける」などの行動減点で順位を競い合った。

 「趣味は筋力トレーニングです」。入庁6年目の井上さんは、その屈強な体格を見込まれ、ロープを引っ張る補助者に指名された。4月から勤務の合間を縫って個人パートの訓点に励み、5月末からは本番を想定して週2回、民間企業のプールで他のメンバーと合同訓練を行ってきた。

 心がけているのは、「緊張すると視野が狭くなるので、周りを見てリラックスしろ」という全国大会に2度出場した先輩からのアドバイスだ。「高得点はチームワークが重要となるが、そのためにはコミュニケーションが大切。教訓を業務に生かしていきたい」と強調。「来年は全国1位を目指したい」と抱負を語った。

優勝メダルと表彰状を持つ緒方さん

空手 平小5年の緒方さん日本一 「押し勝つ」で勝利掴む

 平小学校5年の緒方創一郎さん(10)が、8月24日に京都府で開催された「2025全日本青少年空手道選手権大会」の10歳男子+35kg級で優勝した。昨年の9歳クラスに続き2年連続で優勝を飾った。

 全国から33人が出場し、トーナメント戦で日本一を争った。緒方さんは、得意技の下段回し蹴りと膝蹴りを中心に攻めを組み立て勝ち上がると、決勝戦では身長の高い相手に対して、「押し勝つように気持ちを強く戦った」と、引かずに攻め続け勝利を手にした。

 4歳で道場に通い始めた緒方さん。「試合に勝つことが楽しい」と週4回の稽古に励んでいる。指導にあたる宮前平道場の責任者・本橋正道さんは、緒方さんの長所を「真面目でアドバイスを素直に聞くことができる」と語る。また「試合でも気持ちで引かなくなり、そこが強くなった」と成長を評価した。

 今年は、今大会を含め主要3大会で優勝しており、10月の全関東大会に勝てば年間グランドスラムを達成する。緒方さんは「2年連続で優勝できてうれしかったけれど、グランドスラムを狙いたい。スタミナを付け、得意技にさらに磨きをかけたい」と意気込んだ。

奈良時代のゲームを体験 10月14日 影向寺で

 奈良時代に流行した遊び「かりうち」を体験するイベントが10月14日(火)、影向寺で開かれる。

 川崎市が推進する「かわさきホリデー・アンド・スタディ」プロジェクトの一環で、親子が充実した休暇を過ごすきっかけを提供することが目的。「かりうち」は、「かり」という棒をサイコロ替わりに投げて出た目でコマを進めるゲーム。

 時間は午前10時と11時からの2回。定員は各回30人程度。申し込みは専用URL(https://logoform.jp/form/FUQz/1195219)から。

 (問)市教育委員会【電話】044・200・3286。

発射台からロケットを飛ばす子どもたち

西野川小 「おやじの会」がロケット大会 ペットボトルで製作

 西野川小学校おやじの会(伊東健一代表)は9月13日、同校校庭で3年ぶりに親子イベント「ペットボトルロケットを飛ばそう」を開催した。15組の家族が参加し、子どもたちが手作りしたペットボトルロケットで飛距離を競い合った。

 このイベントは、父親が学校に来るきっかけを作ろうと、同会が続けている恒例行事。今回は、あらかじめロケットの作り方のプリントを配布し、子どもたちは家庭で父親らと作ったロケットを持ち寄った。

 校庭の隅に発射台が設置され、水を入れたロケットを設置すると、おやじの会のメンバーがポンプで空気を入れて準備完了。子どもが発射ボタンを押すと、「プシューッ」という音とともにロケットが勢いよく飛び出した。羽根の取り付け方や水の量によって、うまく飛ばないロケットもあったものの、中には校庭の端から端まで飛ぶ大成功のロケットもあり、大きな歓声が上がった。

 最優秀賞に輝いたのは6年生の細田凌玖(りく)さん。約80mを記録した。細田さんは3年前の大会でも優勝しており、「連覇できてうれしい。前回と同じサイダーのペットボトルを使って、羽根を対角線上に取り付けたことが良かった」とこだわりを明かした。

 伊東代表は「長年続いているイベントなので今後も盛り上げて、親子で楽しめる機会を作っていきたい」と話した。

クラシックコンサート 「水」の演奏で潤いを 10月15日、ミューザ川崎で

 水源地の足柄と川崎をつなぐ「水」をテーマにしたクラシックコンサートが、10月15日(水)に、ミューザ川崎シンフォニーホール・音楽工房市民交流室で開催される。

 コンサートは「あしがらと川崎を結ぶ懸け橋」と題し、洗足学園音楽大学の卒業生らが中心となり、音楽を通した地域活性を目的に企画。表現力豊かなソプラノ歌手・橋本京子さん、ショパン国立音楽大学研究科修了のピアニスト・小澤由美さん、洗足学園音楽大学大学院修了のピアニスト・西垣亜由子さんら実力派が出演。弦楽四重奏「Quartet Lilas」や、県コンクールのピアノ部門で特選を受賞した小3の野津山日奈子さんら、若き才能も彩りを添える。主催する金太郎ムジカファミリーは「水の情景が目に浮かぶような演奏プログラムを、ぜひ楽しんで」と呼びかけている。

 開演は午後5時(4時30分開場)。チケットは全席自由、一般前売り3000円、学生1500円、当日券3500円。

 (問)金太郎ムジカファミリー事務局【メール】kintaro.mf@gmail.com

山田瑛理氏

市長選 山田瑛理氏が出馬へ 元市議、無所属で

 任期満了に伴い10月26日(日)に投開票される川崎市長選挙に、元川崎市議会議員の山田瑛理氏(42)が9月12日、立候補する意思を表明した。

 川崎区出身の山田氏はソニーの子会社に約12年半勤めた後、2019年の川崎市議選に自民党公認で川崎区から出馬し初当選。2期目の途中、9月11日に市議を辞職し、無所属で出馬することを決めた。山田氏は同党に離党届を提出している。

 12日に行われた会見で「参院選の結果に市民が今何とかしてほしい、今大変なことがあるということを感じた。幸せな未来をつくるには市長でないとできない」と市長選へ思いを語った。庶民感覚を生かし2児の母親目線で、教育格差の是正、年齢を問わない留学支援、中小企業支援などを訴え「今に応え、希望、夢があふれるまちにしていきたい」と語った。

 市長選には、これまでに新人の國谷涼太氏、現職の福田紀彦氏、新人の宮部龍彦氏、野末明美氏が出馬の意向を示している。(9月14日起稿)

戦中の記憶を静かに語ってくれた小林さん

戦後80年 戦禍の記憶【12】 中原区小杉御殿町在住 小林美年子さん(93) 『海ゆかば』歌い迎えた英霊 近衛兵の従兄も「負ける」

 今もなお聞きたくない歌がある。記憶の奥底にしまい込んだままの歌の名は『海ゆかば』。天皇への忠誠心と死を恐れない覚悟を表した歌詞……。太平洋戦争末期、かっぽう着姿の女性らに交じり、まだ10代前半だった少女がこの歌を歌いながら駅に到着した英霊たちを出迎えた。「母の代わりに行かされたんです。何とも言えない悲しさと、この場にいたくないという嫌な気持ちがあふれ、心の中で激しく葛藤していました」

 横浜市鶴見区で育った。戦争が激しくなると、敵機の襲来を知らせる空襲警報が響くようになり、夜は電気に風呂敷をかぶせて外に光が漏れないようにした。1945年3月10日の東京大空襲は、自宅から東の空が真っ赤に染まるのが見えた。「ここには住み続けられない」と、母や妹と親戚のいる愛甲郡愛川町田代に避難した。

 疎開先では離れにあるあばら屋から厚木の女学校に通い、自給自足の生活を送った。肥桶を担いで畑仕事に精を出し、まき割りやわら草履も自ら編んだ。田んぼで捕れるイナゴは貴重なたんぱく質とカルシウム源。夕暮れには川に行き、アユを釣った。サイズが合わなくなったセーターはほどくときに編み方をノートに書き、人に教わることなく編み返した。「こうしないと着るものがなかった」。女学校の体育の授業ではなぎなたを訓練し、バケツリレーも経験した。周囲はみんな、それが当然のこととして受け入れていた。

 その後、40歳に近い叔父にも召集令状が届いた。「叔父が『こんな歳の者が駆り出されるようでは日本は危ないな』と言ったことをはっきり覚えています」。また、近衛兵だった従兄も『この戦争は負ける』と口にしていた。「常識のある大人は知っていて、無謀な戦争とわかっていたのでしょう」

 終戦は疎開先で迎えた。玉音放送が流れた日のことは忘れない。その親戚宅では、酒やしょうゆの醸造所を営んでおり、海軍の将校らが燃料となるアルコールを求めて連日のように通ってきていた。「海軍の若い将校さんたちは涙を流していましたね」

 『海ゆかば』を聞くと、今でも当時の記憶がよみがえる。「戦争は絶対にいけない。若い人たちが国のために、大切な命を犠牲にすることはあってはならない」 

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今年で戦後80年。体験者が年々減少し、戦争の記憶が風化しつつある。当事者の記憶を後世に残すとともに平和の意義について考える。不定期で連載。

鷺沼駅周辺にぎわい創出 10月5日 さぎ沼まつり

 川崎市と東急、さぎ沼商店会の3者が連携し、鷺沼駅周辺の活性化を目指すイベント「さぎ沼まつり」が10月5日(日)に開催される。

 会場はさぎ沼商店会一番街(午前11時〜午後6時)、鷺沼公園および鷺沼第一公園(午前11時〜午後4時)。飲食ブースをはじめ、親子で楽しめる体験型イベントや、駅周辺を巡るスタンプラリーなどを実施する。

 鷺沼のまちを歩きながら、新たな魅力を発見できる一日となる。入場は無料。雨天時は一部内容が中止、荒天の場合は中止となる。

 詳細は市まちづくり局地域整備推進課【電話】044・200・0483。 

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障害者アート力作ずらり 10月12日 アートフェスタ

 社会福祉法人みのり会が主催する「アートフェスタ」が10月12日(日)、生活介護セルプ宮前こばとで開催される。午前10時から午後4時まで。入場は無料。

 会場となる施設は、主に知的障害者を対象にした生活介護事業所で、利用者の絵画活動に力を入れている。当日は、個性的なアート作品が約400点展示される他、自主製品を各種販売、ワークショップも企画されている。売上金は、必要経費を除きアーティストに工賃として支払い、経済的自立の一助となる。

 問合せは会場【電話】044・855・9455。

マンホールトイレの構造(断面図)

災害時のトイレ対策方針 川崎市 在宅避難の備え求める 10月31日までパブコメ

 川崎市は「災害時のトイレ対策方針(案)」をこのほどまとめ、9月8日からパブリックコメント(市民意見募集)を開始した。過去の災害の教訓を踏まえ、下水道設備を利用したマンホールトイレの整備や在宅避難時の携帯トイレに関する啓発などを進めていく方針だ。

 内閣府は2024年1月の能登半島地震の被災地の状況などから、同年12月に「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」等を改定し、市町村に対し、在宅避難者等の支援方策を検討するよう求めている。これを受けて川崎市では今年4月、4つの方向性を盛り込んだ「新たな災害時のトイレ対策の考え方について」をまとめ、市議会総務委員会に提示。今回の方針案では「考え方」の内容を整理し、一部を拡充した。

 方針案では3つの方向性を掲げている。

 一つ目が「避難所におけるマンホールトイレを軸としたトイレ対策への転換」。これまでは避難所などに設置する仮設トイレを軸に対策を進めていたが、各地の災害では、避難所のトイレが詰まって使用禁止になったり、仮設トイレのし尿処理が追い付かずに不衛生な状態になるなど、課題が指摘されていた。そのため市では既設の下水道管を利用したマンホールトイレの設備を、31年度までに計174カ所の避難所(24カ所は整備済み)に整備する方針だ。

トイレも「自助」重要

 二つ目が「市民の具体的な行動につなげる自助・共助への働きかけ」で、4月の「考え方」より項目の昇順を上げて内容を拡充した。市ではマンションなど共同住宅の居住率が7割を超え、人口規模も大きいことから在宅避難が中心になる。しかし携帯トイレを3日分以上備蓄する世帯の割合は32・1%、災害時のトイレの使用方法を知る人は34・5%で、市民の備えが十分ではない。「自分の命は自分で守る」という「自助」の意識を高めるよう、市民への啓発を進めるという。

 そして三つ目が「共助・公助が連携したトイレ対策の地域展開」。市は「川崎市防災協力事業所登録制度」により、これまでに389の民間事業者から災害時のトイレ利用などの協力体制を構築してきた。市の担当者は「今度は地域のスーパーなどにも協力を得られるよう、声掛けしていく」としている。

 方針案は市のウェブサイトのほか、各区役所や図書館などで閲覧できる。意見提出は10月31日(金)まで、専用フォームや郵送のほか、市危機管理本部危機管理部などで受け付ける。問い合わせは市の危機管理部【電話】044・200・2842。

緑化かわさきフェア 川崎市 経済効果は89億円 公式記録まとまる

 川崎市制100周年を象徴する事業として開催した「第41回全国都市緑化かわさきフェア(かわさきフェア)」の全容をデータと写真で記録した公式記録を、川崎市がまとめた。計53日間の祭典がもたらした経済効果や波及効果なども分析、総括している。

 1983年から続く都市緑化フェアで初めて、かわさきフェアは2024年秋と25年春の2期制で開催された。市の公式記録によれば、来場者数は約162万人で、秋開催(24年10月19日〜11月17日)の30日間の来場者数は約94万人、春開催(25年3月22日〜4月13日)の23日間の来場者数は約68万人だった。

 主要会場の来場者数は、富士見公園(川崎区)は計71万5千人、等々力緑地(中原区)は約60万4千人、生田緑地(多摩区)は約30万4千人。年齢別では、秋開催は50代以上の世代が過半数を占めた一方で、春開催は10歳未満を含む40代以下の世代が52%だった。来場者の居住地は秋も春も川崎市内が6割以上で、神奈川県内(市を除く)は3割弱だった。

「地域経済が活性化」

 「かわさきフェア実行委員会」の経費(予算ベース)は約25億円。一方で、来場者への調査結果から算出した消費額などから推計した神奈川県内への経済波及効果は計135・2億円だった。このうち川崎市内への波及効果は88・7億円で、「直接効果」は69・4億円、直接効果を受け経済活動が活性化するなどの「間接効果」は19・3億円と推計。公式記録では、フェア開催が県内や市内に経済波及効果をもたらし、「地域経済の活性化に大きく貢献した」と総括している。

 市はかわさきフェアの開催にあたり、「みどりで、つなげる。みんなが、つながる。」をテーマに掲げ、多くの市民が自然と関わる機会を創出し、緑を通じたコミュニティーの活性化を目指した。市内170の市立小中学校・特別支援学校すべてで花苗づくりの取り組みを実施し、枯れた花摘みなどを支えた市民ボランティアは大学生や高校生を含む458人だった。会場やネットで実施した来場者アンケートでは、フェアを通じて「花やみどり、自然への関心が高まったか」との質問に「高まった」「やや高まった」と答えた人は、秋も春も9割近かった。

 市の担当者は「緑を通して様々な形で地域に関われることを、フェアで多くの方に感じていただけた。ボランティアの方々が新たな活動を始めるなど、継続的な動きも生まれている。何をレガシーとして残せるか、今後の取り組みも大切」と話している。

 公式記録は市の公式ウェブサイトのほか各区役所などで閲覧できる。

「原爆と平和展」19日から 広島の高校生作品など

 「原爆と平和展」が9月19日(金)から24日(水)、宮前市民館ギャラリーで開かれる。午前9時から午後5時。入場無料。 

 主催は同実行委員会。会場では、岡本太郎氏の壁画「明日の神話」のレプリカや、広島の高校生と被爆者が共同製作した絵画などが並ぶ。また、宮前区・陸軍東部62部隊の記録などを展示する。

 連携企画としてノーベル平和賞を受賞した日本被団協の事務局次長・和田征子さんの講演会も開催する。会場は同館第4会議室で午後2時から。

 問い合わせは実行委員会の田中さん【携帯電話】090・1884・0296。

奈良時代のゲーム体験 10月14日 影向寺で

 奈良時代に流行した遊び「かりうち」を体験するイベントが10月14日(火)、影向寺で開かれる。

 川崎市が推進する「かわさきホリデー・アンド・スタディ」プロジェクトの一環で、親子が充実した休暇を過ごすきっかけを提供することが目的。「かりうち」は、「かり」という棒をサイコロ替わりに投げて出た目でコマを進めるゲーム。

 時間は午前10時と11時からの2回。定員は各回30人程度。申し込みは専用URL(https://logoform.jp/form/FUQz/1195219)から。

 市教育委員会【電話】044・200・3286。

ポールウォーキングを行う参加者

GO!GO!!フロンターレ

秋冬開催の運動教室

 フロンタウンさぎぬまは、日々の健康を気遣う人向けに、運動教室を開催している。

 教室の前半では、屋外で専用ポールを使った正しい姿勢でのウォーキングや、軽い筋力トレーニングを行い、全身運動で運動効果を高める。転倒予防や足腰への負担軽減が見込まれる。

 後半は室内でマットに横になりながらストレッチ。ゆっくりと体をほぐして、心までリフレッシュする。いつまでも元気な脚腰で自立した生活を続けたい、健康寿命を延ばしていきたいという人におすすめだ。

 12月19日(金)までの毎週火曜日と金曜日の開催で、火曜日は午後1時〜2時と2時30分〜3時30分の各2回、名称は「ロコ体操教室」。金曜日は午後1時〜2時10分の1回で、名称は「ポールウォーキング&ストレッチ教室」(宮前区との連携事業)。

 両教室とも予約制先着20人。火曜日は前月の15日、金曜日は開催1週間前から受付(どちらも午前10時)。1回600円。申込みはフロンタウンさぎぬま【電話】044・854・0210、または同所カウンター。

画像はいずれも川崎フロンターレ