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宮前区 人物風土記

公開日:2025.09.19

宮前区役所で開催中の「つながるみんなのアート展」でガイドを行っている
小野 佳織さん
小台在住 58歳

アートで対話 心を紡ぐ

 ○…グループで美術品を見ながら感想を語り合い、作品を読み解いていく「対話型鑑賞」。東京国立近代美術館でその手法を使ったガイドを務める経験を生かし、宮前区役所で開かれているアート展のボランティアガイドを引き受けた。

 ○…美術愛好家だった両親の影響で、絵画に囲まれて育った。大学生になると美術館巡りに夢中になり、社会人になってからも月1、2度は通うほどだった。転機が訪れたのは40代を過ぎてから。義母の病を機に介護福祉士の資格を取得し、認知症について学ぶ中でその当事者を対象にした「対話型鑑賞」と出会った。「好きなアートで、認知症のためになる。これだと思った」

 ○…興味を持ったらのめりこむ性格。すぐに講習を受けて、資格を取得。区内の介護施設やオンラインで対話型鑑賞を実践してきた。ある時、認知症を患う参加者の一人が、小舟に2人の女性が乗る絵画を見て記憶を呼び覚ますことがあった。広島出身のその人は、それを呼び水に、忘れていた幼少の頃から悲惨な戦争の記憶、その後の生活のことまで思い出した。「忘れることが悲しくて家から出れなくなっていた方でしたが、『こんなに思い出せるんだ』と、気持ちを元気にしてくれた」。大好きなアートが人を癒すことにつながった感動は忘れられない。

 ○…活動の傍らはまっているのが、布をおる機織り。実は20代の頃、結婚か、機織りを学ぶかで真剣に悩み結婚を選んだという。その思いが子育てにひと段落がついた今、ふつふつと湧いてきた。「アートは好きなんですけど、絵を描くのは天才的に下手なんです。機織りは感性を生かして作り出せる」。いつかタペストリーのような作品を作ることが目標だ。

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