中原区版【10月3日(金)号】
駄菓子を購入する児童たち

平間地区 大学生が「駄菓子屋」開店 子ども集う、交流拠点に

 平間銀座商店街の一角に9月20日、昔懐かしい「駄菓子屋」がオープンした。店名は「駄可笑屋敷」(上平間1955小島ビル)。運営するのは「一般社団法人駄可笑屋敷プロジェクト」の大学生。理事の平間大夢さん(22)は「商店街や地域と連携し、子どもたちの居場所にしていきたい」と抱負を話す。

 「これください!」。小銭を持った地域の子どもたちが駄菓子を手に店頭に並ぶ。昭和の時代にはいくつか街中にあった駄菓子店。今では数が少なり、そうした光景を見ることも少なくなった。

 平間銀座商店街にオープンした「駄可笑屋敷」は、閉店した書店の跡地を活用。子ども目線で作られた木製の棚には、10円から100円ほどの昔ながらの駄菓子や、新しい菓子が複数並ぶ。「日に日に子どもたちが来てくれている。スクラッチ付きのラムネのお菓子が人気。毎日来てくれたり、レジを手伝ってくれる子もいる」と話すのは同プロジェクト川崎支部のリーダー・清水晴さん(20)だ。続けて「駄菓子の販売だけでなく、子どもたちが集える居場所にしていきたい」と話す。店舗の奥にはキッチンなども備え付けられており、「今後は、ビルのオーナーさんや地域の人たちと協働して、子ども食堂や大人向けのシェアキッチンなども開いていきたい」と清水さんは展望を語る。

子どもの居場所に

 運営する(一社)駄可笑屋敷プロジェクトは、駄菓子店を拠点に、地域コミュニティの創出を目的として2021年に発足。さまざまな大学の学生が集まり、子どもと大学生が交流する、自宅や学校とは異なる「第3の居場所」づくりを中心に活動し、これまで杉並区や品川区でも同様の駄菓子店をオープンさせてきた。平間銀座商店街の店舗で5拠点目となる。

 1年前に平間さんが同ビルオーナーと都内の子ども食堂で知り合い、平間でのオープンに向けて動き出した。オーナーや商店街など関係各所との調整も自ら行ってきた。オープン後には、町内会やこども文化センターのイベントにも早速参加するなど、地域との連携にも力を入れる。平間さんは「地域でいろいろな人が集える場所にしていきたい」と話す。清水さんは「ここで私たちが勉強を教えたり、一緒に遊ぶだけでなく、多世代の交流の場にしていければ」と今後へ意欲を見せた。
AIで生成した空き家のイメージ画像=川崎市提供

「対策計画」改定1年 市、空き家52戸に改善指導 予防の啓発チラシも作成

 年々増加する空き家の問題を解消するため、川崎市の「第2期空家等対策計画」の一部が昨年8月に改訂されて1年が過ぎた。行政指導の対象となる「管理不全空家」に52戸が認定されるなど新制度の効果は見られるといい、市は制度に関する啓発チラシを作成して一層の周知を図る構えだ。

 全国的に空き家は増え続けており、総務省によると2023年の時点で約900万戸という。このため国は23年12月に「空家法」の一部を改正し、市区町村が空き家の持ち主などに改善を促しやすいしくみを整えた。

 川崎市内の空き家も増加しており、23年時点で戸建て住宅約6千戸が空き家の状態だ。市は「空家法」の改正に伴い、昨年8月に「第2期空家等対策計画」を改定。保安上の危険が生じる可能性のある空き家などを「管理不全空家」と認定して指導・改善を促し、対応が見られない場合には「勧告・命令」のうえ、固定資産税の軽減措置を解除する制度となった。

 市によると、昨年9月の新制度開始から今年3月までに「管理不全空家」と認定されたのは52戸。所有者に対して文書で適切な管理を求めた結果、解体を始めたり、更地に戻したりしたケースが確認された。一方で対応が確認されないため「勧告」に至ったケースは13件で、このうち市が裁判所に清算の申し立てを行ったケースも2件あった。いずれも清算人による解体などの作業が進められているという。

 市の担当者は「新制度により少しずつ空き家の解消につながっている」と語る。より広く制度を周知する必要があるとして、このほど啓発チラシを作成し、区役所などで配布する。市ではまた、地域活動などに空き家を利用したいと考える希望者と、空き家の所有者を市がつなぐ「マッチング制度」も試行実施中だ。

 空き家に関する相談窓口は所有者向けが市住宅供給公社【電話】044・244・7590、空き家の近隣住民は市住宅整備推進課【電話】044・200・2253。各区の地域振興課でも受け付ける。

10月5日に中原平和公園で行う「街ナカアート2025秋」でパフォーマンスを披露する 藤川 誠さん 上丸子山王町在住 55歳

タップで人生を切り開く

 ○…子どもの頃のヒーローは、ジャッキー・チェン。中学のとき、千葉真一のジャパンアクションクラブに入りたくて、腕を磨いたのがタップダンスだった。「隠し芸番組で芸人が踊る姿を見て、自分もできるんじゃないかって」。ダンス教室に通い、学校でも練習した。「上履きの底に画びょうを刺してステップを踏むんです」。中3でオーディションに受かるが、同期は200人。得意のダンスだけは負けたくなかった。

 ○…高校卒業後に独立し、タップダンスの指導者としての道を探りながらジャズダンスやヒップホップなど自身のダンスの幅も広げていった。新丸子駅近くで時計店を営んでいた父には「25歳までにダンスで食べられなかったら跡を継ぐ」と宣言。アルバイトで食いつなぎ、「自分の手で道を切り開く」という思いを原動力に、ダンス教室を主宰するまでになった。

 ○…実は、小さいころから怖がりで運動嫌い。「野球に誘われても、キャッチボールすらできない子だった」と笑う。一方、手先が器用で物づくりは得意。「独特のリズムや流れなどタップダンスの構成を組み立てるのも、物づくりに近いかも」。好きなアクション映画を見ているときも、パンチやキックを繰り出す格闘シーンでは知らない間にリズムを刻んでいるほど、頭の中にはいつも音楽が流れている。

 ○…地元川崎でタップダンスを盛り上げようと主催するフェスティバルをはじめ、ダンサーたちが活躍する舞台づくりに力を入れる。踊ってみたいと言われれば、車いす利用者にも教える。「見せ方は十人十色、正解はない」と言い切る。「死ぬまで踊り続けていると思う。いつか引退したら、誰もいない山の中で自分の思うままにステップを踏めたら最高だね」

刺股を使った犯人確保訓練

武蔵小杉駅員が自衛訓練 中原警察署で25人受講

 中原警察署(菅健司署長)は9月25日、東急電鉄(株)、JR東日本(株)の武蔵小杉駅駅員を招いて、受傷事故防止訓練を行った。

 同署が、各社個別に出張で同訓練を行っているものの、一堂に会して行うのは今回が初。

 訓練には、両社の駅員約25人が参加。冒頭、菅署長が「駅員の方々は、犯人逮捕に立ち会う場面がある。けがのないよう安全に業務を」と呼び掛けた。

 その後、同署署員の指導の下、反射反応訓練からスタート。手に触れたら手をたたくなどの反射神経を鍛える訓練にペアで取り組み、手をつかまれた際にどのように振り払うかなどの護身術も学んだ。署員から「1・6mが相手との安全な距離だと言われている。相手が構えているときは、手を前に出し、斜めに構えるように」とアドバイスを受け、駅から持参した刺股を使った犯人確保も体験。腰を落として顔に向けて構え、複数人で対応することなどのポイントを学んだ。

 JR武蔵小杉駅の松本綾駅長は「今年7月に駅員が押されて線路に落ちたこともあった。悪質な被害はないが、身を守る訓練ができるのはありがたい。突然起きるものなので、冷静に対応できるよう日頃から意識を高め、スキルを身に付けていきたい」と話した。

フラッグが掲げられた商店街

ブレーメン通り イベント満載の秋祭り 10月5日 フライマルクト

 モトスミ・ブレーメン通り商店街(伊藤博理事長)の最大のイベント「第19回フライマルクト」が、10月5日(日)に開催される。正午から午後5時まで。荒天中止。

 「脱炭素社会の実現に向けた取り組み」をうたい、子どもから大人まで家族そろって楽しめるイベントがいっぱい。住吉神社境内の神楽殿では、ひとみ座幼児劇場「ママ・ライオン」を上演。コミュニティーセンター前のライオンズ広場では、ブレーメントリオンのコンサートやブレスト・ヒーローショーなどが行われる。「ふれあいコーナー」や「福祉コーナー」には地域の団体等が出店。ピエロラッキーの大道芸体験教室も開かれる。飲食コーナーでは、たんたん焼きそば、ブレドッグ、ブレーメンビアといった数々の飲食も味わえる。

 同商店街では10月6日(月)まで、スタンプを集めて賞品が当たるモバイルスタンプラリーも実施中。

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啓発チラシを配りながら安全運転を呼び掛けた生徒

交通安全運動 自転車マナー呼び掛け 法政二高の生徒も参加

 中原区は秋の全国交通安全運動に合わせ、9月26日に法政通り商店街で自転車マナーアップキャンペーンを実施した。中原区交通安全対策協議会、中原交通安全協会などの団体から25人が参加。午後3時から4時30分までの自転車通行量の多い時間帯に、安全運転を呼び掛けた。

 法政二高からも生徒会の1、2年生の5人が協力。登り旗を手にしながら通行人に向けて「交通ルールを守ろう」と声を掛け、自転車に乗っている人に啓発グッズを手渡した。竹内友紀さん(2年)は「見通しが悪い交差点など危険な場所では必ず安全確認をしてほしい」と話し、能川あかりさん(2年)は「歩道を走っている自転車をよく見掛ける。みんなが交通ルールを守って、少しでも自転車による交通事故が減ってくれたら」と思いを込めた。

メダルを手に笑顔を見せる二人

極真全国大会で金と銀 区内の佐藤きょうだい

 区内在住で極真会館神奈川川崎中央支部の佐藤晴瑠(はる)さん(東住吉小3年)と姉・愛瑠(あいる)さん(私立中3年)が、8月に行われた極真空手の全日本体重別空手道選手権大会「2025極真祭」に出場し、晴瑠さんがセミコンタクト(ポイント制)8歳男子で優勝、愛瑠さんは極真ルール(フルコンタクト)13〜14歳女子-45kgで準優勝に輝いた。

 晴瑠さんは出場した13人の選手の中で一番小さい体格(121cm、24kg)でありながら、3試合行って相手に1ポイントも与えなかった。昨年は準優勝だった大会の頂点に立ち、「初めて優勝できた。勝ててうれしい」と金メダルを胸にして喜んだ。応援に駆け付けた両親も「ここまでの成績は期待していなかった」というほどで、晴瑠さんの快挙に驚きを隠さない。愛瑠さんの姿を見て5歳から空手を始め、現在は週2回ほど練習に励む。得意技はインローの蹴りで「次は(姉と同じ)フルコンタクトの部門でも全国優勝したい」と抱負を述べた。

 2歳上の兄の影響で3歳から道場に通う愛瑠さんは、2019年の国際大会に優勝し世界王者の座を手にするなど、数々の実績を持つ。今大会前に体調を崩したが、決勝まで順当に勝ち上がった。迎えた決勝戦では判定負け。「万全の状態で臨めなかったのは調整に失敗した自分のせい。向こうの方が強かった」と優勝した相手をたたえた。次の目標は「来年4月の国際大会。最近は2位が続いているので、優勝して金メダルを取りたい」と力を込めた。

等々力いこいの家 落語やフラダンス披露 10月11日 イベント開催

 高齢者のための福祉活動施設「等々力老人いこいの家」(等々力1の1)が10月11日(土)、イベント盛りだくさんのまつりを開催する。午前9時10分から午後0時15分。主催は利用者団体まつり実行委員会。和太鼓、津軽三味線の演奏をはじめ、ハワイアンフラダンス、落語、太極拳などを披露する。盆栽、編み物・パッチワーク、書道、俳句、絵手紙の作品展も。主催者は「茶を振る舞いますので、一緒に楽しみませんか」と参加を呼び掛ける。(問)【電話】044・733・3618

綿あめを頬張る子ども(上)と盛り上がる会場

サードアヴェニュー 縁日に笑顔広がる 地域の協力で盛況に

 小杉町3丁目の複合施設コスギサードアヴェニューが9月27日、サウスパークで縁日を開催した。主催は同縁日実行委員会。近隣の住民ボランティアや法政通り商店街らが「地域のにぎわいをつくろう」と協力して実現。金魚すくいやヨーヨー釣りのほか、かき氷、玉こんにゃく、綿菓子、ビール、ラムネなどの飲食店も並び、親子連れの姿が多く見られた。実行委員長の安藤均さんは「子どもたちに縁日を楽しんでもらえてよかった」と成功を喜んだ。

指導員の話に真剣に耳を傾ける児童

リバティLC 薬物「ダメ。ゼッタイ」 指導員が西丸子小で授業

 西丸子小学校(吉村あかね校長)で9月22日、6年生70人を対象に薬物乱用防止教室が開催された。奉仕団体の川崎リバティライオンズクラブ(齊藤一夫会長)主催。

 ライオンズクラブ国際協会330--B地区のメンバーで薬物乱用防止・クエスト委員会地区アドバイザーの橋本信行氏が講師を務めた。授業では、脳を破壊し自分の意思ではやめることのできない薬物の恐ろしさをまとめた動画を上映。また薬物のサンプルを児童に見せながら、身近に潜む危険性を説明した。齊藤会長は「巧みな言葉で子どもたちに薬物を進める悪人がいる。お父さんやお母さんのことを悲しませないでほしい」と訴えた。

 授業を受けた男子児童は「普通に売られている市販の薬でも量を超えて服用することが危険なことだとわかった。また、知らない人から誘われても断る勇気を持ちたい」、女子児童は「これからの自分の人生を大切にするためにも薬物には絶対に関わらないようにしたいと強く思った。今日の話を家族にも伝えたい」と話した。

街ナカアート 過去最大規模で開催 10月5日 中原平和公園で

 芸術や文化に触れ、平和を願う市民参加型アートフェスティバル「街ナカアート2025秋」が10月5日(日)、中原平和公園(木月住吉町33の1)野外音楽堂などで開催される。午前11時から午後6時15分。入場無料。主催はコスギアート ラ・ファブリカ実行委員会。

 「誰もができるアート体験」をテーマに、参加団体は40を超え、過去最大規模での開催になる。さまざまな料理が味わえるキッチンカーや、落書きアート、オリジナルの妖精を作るワークショップなどの出店多数。ライブパーフォーマンスは、キッズダンスや和太鼓演奏などが楽しめる。運営にも関わる区内在住のタップダンサー・藤川誠さん=人物風土記で紹介=は、ダンスユニットやバンドのステージに出演して盛り上げる。

 実行委員長の横井史恵さんは「文化芸術活動を触媒として、多くの市民が分け隔てなくつながり合うことができる交流の場をつくり、たくさんの笑顔を届けたい」と思いを込める。詳細は公式ウェブサイト。

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旗を手に持つ吉村さん

市薬剤師会 開局示す黄色い旗 薬局で災害想定の訓練

 (一社)川崎市薬剤師会は9月1日、災害時に開局していることを示す「開局中」のイエローフラッグを掲出する訓練を市内の会員薬局475店舗で実施した。

 「災害時に薬局が営業しているか分かりづらい」という市民の声を受けて始めたもので、東日本大震災の起きた3月11日と、防災の日の9月1日に毎年行っている。

 グレイスファーマシー(市ノ坪)の吉村美穂さんは当日を振り返り、「旗に気づいてくれる常連さんもいて、訓練であることを伝えた」と手応えを得た様子。「避難の際には、お薬手帳とマイナンバーカードを忘れずに携帯してほしい」とアドバイスを送った。

関口実氏

市長選 関口氏が出馬表明 ヘイト対策強化訴え

 任期満了に伴い10月26日に投開票される川崎市長選挙に、多摩区の清掃員・関口実氏(67)が無所属で立候補する考えを、9月26日に明らかにした。

 本紙の取材に対し、精神障害者グループホームで暮らす関口氏は、「国籍や性別、障害の有無にかかわらず、川崎を誰もが幸せに暮らせる街にしたい」と出馬の理由を説明。「差別のない、多様性のある社会を目指す」とし、ヘイトスピーチの対策強化を訴えた。南海トラフ地震に対する防災力の強化にも取り組む意欲を示したほか、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ問題などにも言及。「平和な世の中に向けて、川崎市としてできることをやっていきたい」と述べた。

 市長選には、これまでに会社員の國谷涼太氏、現職の福田紀彦氏、政治団体役員の野末明美氏、出版社代表の宮部龍彦氏、元川崎市議の山田瑛理氏が出馬の意向を示しており、関口氏が6人目で過去最多となった。(9月30日起稿)

川崎市役所

不登校の児童・生徒 総務省が健康状況を調査 川崎市も独自対応を調整

 不登校の子どもたちの健康状態を把握できていない可能性があるとして、総務省は10月から全国の市町村を対象に実態調査を始めた。川崎市でも、不登校の小中学生の健康診断に関する独自の取り組みを調整中だ。

 全国的に不登校の児童・生徒数は11年連続で増加しており、2023年度は過去最多の34万6482人。市内でも3261人となり、初めて3千人を超えた。

 不登校の状態にある子どもたちの多くが学校で実施する健康診断を受診できておらず、病気などが見つかりにくい環境にある。そのため総務省では今年10月から来年6月まで、全国市区町村の教育委員会や福祉部局、小・中学校にヒアリングやアンケートで実態調査の上、「改善すべき点が見つかれば当該省庁に改善を促していく」(担当者)という。

 川崎市では、学校で受診する健康診断のほか、市立学校の児童・生徒の全保護者に「保健調査票」を配布し、子どもたちの健康状態を把握している。しかし23年度に市議会で「不登校の子どもの健康状態を把握できていないのでは」との指摘を受けたため、市の医師会と歯科医師会と調整の上、各校に一人ずつの「校医」が所属する診療所やクリニックで健康診断を受けられるよう、環境整備を進めている。

 「川崎市子ども夢パーク」(高津区)内の「フリースペースえん」には約90人の小中学生が通う。夢パーク所長の友兼大輔さんは「不登校の子どもたちにとっても健康診断は大事なこと。市としての対応が求められている」と話している。

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(上)投げ初め式の篠山選手(下)記念撮影=DeNA提供

若者文化の新拠点 カワサキ文化公園が開業 Shigekixも祝福

 アーバンスポーツの新たな拠点となる「カワサキ文化公園」(幸区)が9月21日に開業し、同日午後にはオープニングイベントが開かれた。川崎市の福田紀彦市長や公園の運営事業者である(株)ディー・エヌ・エー(DeNA)の元沢伸夫取締役会長らが出席したほか、ブレイキンの世界的パフォーマーであるShigekix(本名・半井重幸さん)もサプライズ登場した。

 バスケットボールやダンスなどを楽しめる場として約8万人に親しまれた「カワサキ文化会館」の閉館に伴い、幸町の国道用地に「会館」の機能を移設。スケートボードの専用施設や、アクロバティックな自転車競技「BMX」のエリアなど、設備を拡充した。

 イベントには市民ら約600人が駆けつけた。DeNAのスポーツ・スマートシティ事業本部川崎拠点開発室室長も務める元沢会長は、「バスケやダンスなどの若者文化は『川崎カルチャー』。この公園で様々なパートナーとサステナブルな取り組みを行い、川崎カルチャーとサステナビリティの二つを強力に推進していく」と語り、福田市長は「素晴らしい施設を作っていただいた。川崎市が応援するアーバンスポーツやカルチャーをここから発信していきたい」と述べた。

 続いてパリ五輪のブレイキン日本代表選手で川崎市在住のShigekixがサプライズゲストとして登場し、パフォーマンスで会場を沸かせた。川崎ブレイブサンダースの篠山竜青選手も「投げ初め式」で華麗なシュートを決め、閉会のあいさつで「この公園でいっぱいチャレンジして失敗して、たくましく元気に育って欲しい」と、集まった子どもたちにメッセージを送った。

 「カワサキ文化公園」の営業時間は、平日午後2時から午後8時までと、土日祝日は午前10時から午後8時までで、営業時間内はスタッフが常駐する。初回利用時に利用登録のうえ、入退場にはパスが必要になる。

AIで生成した空き家のイメージ画像(川崎市提供)

「対策計画」改定から1年 川崎市 52戸に改善指導 予防の啓発チラシも作成

 年々増加する空き家の問題を解消するため、川崎市の「第2期空家等対策計画」の一部が昨年8月に改訂されて1年が過ぎた。行政指導の対象となる「管理不全空家」に52戸が認定されるなど新制度の効果は見られるといい、市は制度に関する啓発チラシを作成して一層の周知を図る構えだ。

 全国的に空き家は増え続けており、総務省によると2023年の時点で約900万戸という。このため国は23年12月に「空家法」の一部を改正し、市区町村が空き家の持ち主などに改善を促しやすいしくみを整えた。

 川崎市内の空き家も増加しており、23年時点で戸建て住宅約6千戸が空き家の状態だ。市は「空家法」の改正に伴い、昨年8月に「第2期空家等対策計画」を改定。保安上の危険が生じる可能性のある空き家などを「管理不全空家」と認定して指導・改善を促し、対応が見られない場合には「勧告・命令」のうえ、固定資産税の軽減措置を解除する制度となった。

 市によると、昨年9月の新制度開始から今年3月までに「管理不全空家」と認定されたのは52戸。所有者に対して文書で適切な管理を求めた結果、解体を始めたり、更地に戻したりしたケースが確認された。一方で対応が確認されないため「勧告」に至ったケースは13件で、このうち市が裁判所に清算の申し立てを行ったケースも2件あった。いずれも清算人による解体などの作業が進められているという。

 市の担当者は「新制度により少しずつ空き家の解消につながっている」と語る。より広く制度を周知する必要があるとして、このほど啓発チラシを作成し、区役所などで配布する。市ではまた、地域活動などに空き家を利用したいと考える希望者と、空き家の所有者を市がつなぐ「マッチング制度」も試行実施中だ。

 空き家に関する相談窓口は所有者向けが市住宅供給公社【電話】044・244・7590、空き家の近隣住民は市住宅整備推進課【電話】044・200・2253。各区の地域振興課でも受け付ける。

等々力いこいの家 落語やフラダンス披露 10月11日 イベント開催 

 高齢者のための福祉活動施設「等々力老人いこいの家」(等々力1の1)が10月11日(土)、イベント盛りだくさんのまつりを開催する。午前9時10分から午後0時15分。主催は利用者団体まつり実行委員会。和太鼓、津軽三味線の演奏をはじめ、ハワイアンフラダンス、落語、太極拳などを披露する。盆栽、編み物・パッチワーク、書道、俳句、絵手紙の作品展も。主催者は「茶を振る舞いますので、一緒に楽しみませんか」と参加を呼び掛ける。(問)【電話】044・733・3618

空襲記録運動を振り返る 平和館で全国大会

 「空襲・戦災を記録する会」の全国大会が10月17日(金)から19日(日)まで、川崎市平和館(木月住吉町)で開催される。

 第55回となる今回は、川崎市大会として同館が会場に。全国の空襲記録運動を振り返り、未来へつなげていくことが狙い。17日夜と、18日午前は空襲資料研究会、18日午後1時から明治大学教授の山田朗氏の講演やシンポジウム「空襲記録運動のふりかえい、そして未来へ」を開催。19日は全国各地の同会の活動・調査報告が行われる。

 詳細、申込みは「空襲戦災を記録する会」ウェブサイトから。

「ちびっ子薬剤師体験」のブースイメージ

GO!GO!!フロンターレ

大人も子どもも健康促進!

 富士通スタジアム川崎で10月13日(月・祝)、「富士通スタジアム川崎 健康長寿フェスタ2025 supported by ひまわり調剤薬局株式会社」が開催される。午前10時から午後3時。入場無料(一部ブース有料)。雨天中止。

 子どもからシニアまでの健康増進を目的としたさまざまなブースが出展。便秘薬をテーマにした「知って安心!お薬の説明会」をはじめ、同クラブOBの森谷賢太郎さんと薬剤師が登壇するトークショーなどで、薬の知識を深められる。「ちびっ子薬剤師体験会」では、分包・一包化という薬剤師の仕事が体験できる。

 ほかにも、家族でゆったりとした時間を楽しめる「あおぞら図書館&ぬりえコーナー」や、体の筋肉量や体脂肪量などが細かくわかる「自分の体が丸わかり!からだ測定会」など、健康意識が高まるブースが目白押し。担当者は「健康と向き合い、充実した日々を過ごしましょう」と参加を呼び掛けている。詳細は同スタジアム【電話】044・276・9133。

画像はいずれも川崎フロンターレ

検証 福田市政㊤ 描く未来へ抜かりはないか 子育て支援・教育に注力

 10月12日告示、26日に投開票される川崎市長選挙。本紙は、3期目・4年間の福田市政を2週にわたり検証する。

   ◇ ◇ ◇

 川崎市が誕生し100年を迎えた昨年度、市内では節目を祝うさまざまなプロジェクトが行われた。その記念事業実行委員会の委員長となった福田紀彦市長の主導の下、参画した団体・企業は約400、「重ね合わせることで新たな価値や行動を」と呼び掛けて実施された事業や催しは700を超えた。行政独自では難しい取り組みを、民間の資金と人材を活用し実現させたのは、福田市長が掲げる「市民派市長」としての10年余りの実績を示した格好ともいえる。同時に開催した「全国都市緑化かわさきフェア」では秋春2期制を全国で初めて導入し、来場者は約162万人、市内への経済波及効果は88・7億円と推計。児童生徒による花苗づくりや、市民ボランティアの輪を広げ、来場者アンケートでは「花や自然への関心が高まった」という声が9割近くに上った。

 その実行委員会も当該年度を終え解散。「次の100年へのレガシー」を合言葉に、「100+1」のポスターを市内に掲出するが、重要なのは検証だ。官民連携の持続性、緑化フェアの会場となった等々力緑地の再編整備で注視される樹木伐採計画も含め、100周年が一過性で終わらぬように。十分な検証なくして前には進めない。

 また福田市長が力を入れてきた取り組みの一つが子育て支援だ。希望しても認可保育所などに入れない待機児童は5年連続でゼロを維持し、保育士や看護師ら専門職への相談も可能な支援拠点「保育・子育て総合支援センター」の設置を進め、提供を始めたかわさき子育てアプリも刷新の方針。中学3年までを対象としていた小児医療費の助成は、18歳を迎えた年度末までに拡充し、一部負担金撤廃を表明。一方、小児ぜん息患者医療費支給制度は廃止した。

 周辺自治体や時代の流れに合わせて政策を打ち出してきたが、市内の人口が年々増える一方で、子育て世代にあたる30〜40代は市外への「転出超過」が続き、転入との差は5年間で1万3千人超に。東京都の保育料無償化などから見える財政支援での自治体間競争では分が悪く、福田市長の「国が一律で整備すべき」との主張もかなわない中、支援の質やきめ細かさ、環境への配慮がどこまで届いているか。少子化対策にもつなげ、子育て世代から選ばれる都市になれるかが課題だ。

 教育面では、学習状況調査の対象拡大と、GIGA端末ソフトを連動させた支援策を導入。「誰一人取り残さない学び」を目指し、苦手科目の分析・克服など個別最適化させた指導を進め、今年4月に実施された小4・中3対象の全国学力・学習状況調査の正答率は、いずれの教科も全国平均を上回った。一方で、教員の不足は5年連続で100人を超えており、教育の質低下への懸念は続く。教員の働き方改革が進み、下校時間が早まる中、家庭環境や経済状況による学力格差の拡大も危惧される。増える不登校やヤングケアラーへの対応も、次の100年を描く上で不可欠だ。